JP3988655B2 - 抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルと光コネクタの接続構造 - Google Patents

抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルと光コネクタの接続構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルに光コネクタを取り付けるための接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属管型光ファイバケーブルを機器に対してコネクタ接続する場合、光ファイバ心線の外周を覆って保護している金属管を光コネクタに確実に連結して光ファイバ心線に強い引っ張り力が加わらないようにし、さらに、この状態でコネクタとの接続部に屈曲の自由度(可撓性)を与えて機器への接続を容易化することが要求される。
【0003】
このための接続構造の従来技術としては、例えば、下記特許文献1に示されるものがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−118272号公報
【0005】
この特許文献1の接続構造は、心線保護用金属管の先端近傍に複数の穴を設け、さらに、光コネクタまたは光コネクタとの接続部品に、光ファイバ心線と金属管との間に挿入する円筒部と係合爪を有する弾性片を設け、金属管に設けた前記穴に弾性片の係合爪を係止させて光コネクタまたは光コネクタとの接続部品に金属管を接続するようにしている。
【0006】
このほかにも、ケーブル端末部の保護部材をフレキ管(可撓性管)に置き換え、このフレキ管の一端をケーブルの被覆に固定し、他端に光コネクタをネジで固定して取り付けた光ファイバ加工品が市販されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
金属管型光ファイバケーブルの金属管の外径は一般的に数mm程度と非常に細い。特許文献1の接続構造では、その細い金属管に係合爪を係止させるための穴をあける必要があり、その穴の加工が難しくなる。特に、この穴は寸法精度、位置精度が要求されるため、加工は困難を究める。
【0008】
また、端末加工は金属管に光ファイバ心線が収納された状況下で行うので、穴あけ時に内部の光ファイバ心線を傷つけたり、断線させる虞もある。
【0009】
なお、金属管に設ける穴の寸法精度、位置精度がラフになると、光コネクタの引き留めが不十分になって光ファイバ心線の保護効果が低下する。
【0010】
このほか、特許文献1の接続構造は、接続部品が複雑な形状になり、製造コストの面でも不利になる。
【0011】
また、フレキ管を使用するものは、光コネクタに対するフレキ管の固定を小サイズのネジで行うため、ネジ締め時の作業性が悪い。
【0012】
この発明は、これ等の不具合を無くした光コネクタの接続構造を提供することを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、単心又は多心の光ファイバ心線の外周に金属管を配置し、その金属管の外周に抗張力繊維を縦添えし、さらにその外側に被覆を配置した構造の金属管型光ファイバケーブルを、端末部の被覆を剥がして抗張力繊維が金属管よりも長く露出する状態に処理し、この金属管型光ファイバケーブルの端末部に露出した金属管に、第1スリーブとこの第1スリーブよりも金属管の先端側に配置する第2スリーブを前記抗張力繊維を内側に通してはめ、第2スリーブの内側を通り抜けた抗張力繊維を第2スリーブの外側に折り返して第1スリーブの内側に挿入し、第1、第2スリーブをかしめて金属管の外周に固定するか又は第1、第2スリーブと抗張力繊維を金属管に接着剤で接着固定し、以上の処理を行った金属管型光ファイバケーブルの端末部を、光コネクタのブーツに設けた溝に第1スリーブを抜止め状態に係止させてはめ込むようにした、抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルと光コネクタの接続構造を提供する。この構造で第2スリーブをかしめ固定する場合には、その第2スリーブのかしめを抗張力繊維を折り返す前に行うのがよい。
【0014】
また、上記と同様の端末処理を行ってケーブルの端末部に露出させた金属管に、第1スリーブを前記抗張力繊維を内側に通してはめ、この第1スリーブの内側を通り抜けた抗張力繊維を第1スリーブの外側に折り返した後、第1スリーブの外周に第2スリーブを重ね、この第2スリーブと第1スリーブを折り返した抗張力繊維を間に挟む状態にして同時にかしめて金属管の外周に固定し、以上の処理を行った金属管型光ファイバケーブルの端末部を、光コネクタのブーツに設けた溝に第1、第2スリーブの少なくともどちらか一方を抜止め状態に係止させてはめ込むようにした、抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルと光コネクタの接続構造も併せて提供する。
【0015】
【作用】
この発明の接続構造は、光ファイバケーブルの一般的な端末処理と同様の処理、即ち、被覆剥がし、露出した抗張力繊維と金属管の余長部切除を行った後、スリーブを用いて抗張力繊維をスリーブのかしめ又はスリーブに対する接着によって引き留めるので、金属管に係止用の穴をあける必要が無く、ネジ止めや電源を要する工具も不要であり、光コネクタ接続の作業性が向上する。
【0016】
また、抗張力繊維の引き留めに使用する部品が単純な構造のスリーブであるので、部品の製作が簡単で、部品価格も抑えることができる。
【0017】
さらに、抗張力繊維を2個のスリーブを用いて、しかも折り返した状態にして引き留めるので、抗張力繊維の固定力が大きくなり、接続部の耐引っ張り強度が高まる。
【0018】
このほか、第1、第2スリーブを重ねて同時にかしめるものは、かしめ作業を1回行えばよく、作業性がより良くなる。
【0019】
なお、スリーブの引き留めは光コネクタのブーツで行うので、光コネクタの先端側の屈曲の自由度も確保され、機器への接続は支障無く行える。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1に、この発明の接続構造の実施形態を示す。図中1は金属管型光ファイバケーブル、20は後部にブーツ21を取り付けた光コネクタである。
【0021】
金属管型光ファイバケーブル1は、、図2に示すように、単心または多心の光ファイバ心線2の外周を金属管3で覆って保護し、さらに、金属管3の外周にケーブルの引っ張り強度を高める抗張力繊維4を縦添えして設け、その外側をさらに被覆5で覆ったものを用いる。
【0022】
この金属管型光ファイバケーブル1の端末部の被覆5を所要長さ剥ぎ取り、さらに、露出した金属管3と抗張力繊維4の余長部を切除して光ファイバ心線2を所要長さ露出させる。このとき、抗張力繊維4の露出部は、金属管3の露出部よりも長く切り残す。
【0023】
以上の処理を行った後、2個の金属スリーブを用いて抗張力繊維4の引き止めを行う。その作業は、図3から図5の手順で行う。
【0024】
図3の端末処理は、外周に係止片6a(図のそれは鍔)を有するスリーブ6と単純な円筒のスリーブ7を、それ等のスリーブの内側に剥ぎ出した抗張力繊維4を通して金属管3の外周に順にはめ、その後にまず、スリーブ7をかしめて金属管3の外周に固定し、このスリーブ7と金属管3との間に抗張力繊維4を挟み込む。次いで、抗張力繊維4の先端側をスリーブ7の外面に沿わせて折り返して係止片付きスリーブ6の内側に挿入し、その後、スリーブ6をかしめて金属管3の外周に固定する。こうして2ヵ所で抗張力繊維4を固定したら金属管型光ファイバケーブル1の端末部を光コネクタのブーツ21に設けられている溝22(図1参照)にはめ込み、係止片6aをブーツ21に係止させて端末部をコネクタ20から抜止めする。なお、光ファイバ心線2の端末はフェルール23をつけてコネクタ20のハウジングに組み込む。
【0025】
図4の端末処理は、図3と同じ形状のスリーブ6、7を用い、このスリーブ6、7をかしめずに接着剤で固定する。即ち、剥ぎ出した金属管3の外側にスリーブ6をはめた後に図中a部に接着剤8を塗布し、その後スリーブ7をはめ、抗張力繊維4の先端側をスリーブ7の外面に沿わせて折り返して係止片付きスリーブ6の内側に挿入する。その後、図中b部に再度接着剤8を塗布し、スリーブ6、7と抗張力繊維4を金属管3に接着固定する。この構造でも、抗張力繊維4が複数箇所で固定され、その抗張力繊維4の引き留めが確実になされて接続部の引っ張り強度が高まる。この図4の処理を行った端末部も図3の端末部と同様にして光コネクタ20に接続する。なお、図3の端末部に用いるスリーブ6、7はかしめが可能な金属スリーブになるが、図4の端末部に用いるスリーブ6、7は接着剤で接着できるものであればよく、材質は特に限定されない。
【0026】
図5の端末処理は、ケーブルの被覆5の端部にはめる大径部9aと露出した金属管3の外周にはめる小径部9bとを有する異形スリーブ9と、スリーブ9よりも大径で後部に内、外の双方に突出する係止片10aを有するスリーブ10を用いて抗張力繊維4を引き留める。
【0027】
異形スリーブ9をケーブルの被覆5に突き当たる位置にはめ、異形スリーブ9の内側を通り抜けた抗張力繊維4をスリーブ9の外周に沿って折り返す。その後、スリーブ10を小径部9bの外側にはめ、このスリーブ10とスリーブ9の小径部9bを外側から同時にかしめる。この端末処理部は、かしめを1回行うだけで2個のスリーブ9、10が固定され、また、抗張力繊維4もスリーブ9の小径部9bと金属管3との間、及び小径部9bとスリーブ10との間に挟み込まれて2箇所で固定され、作業性と抗張力繊維4の固定力が向上する。
【0028】
なお、図5の処理を行った金属管型光ファイバケーブル1は、処理した端末部を光コネクタ20のブーツ21に設けられている溝22(図1参照)にはめ込み、係止片10aをブーツ21に係止させてコネクタから抜止めする。この構造の場合、係止片10aはスリーブ9に設けてもよく、その係止片をスリーブ9、10の両者に設けることもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明の接続構造は、金属管の外周に縦添えされた抗張力繊維を2個のスリーブを用いてケーブルの端末部に剥ぎ出された金属管の外周に固定し、さらに、抗張力繊維の固定に利用したスリーブを光コネクタのブーツに係止させてケーブル端末部に光コネクタを取り付けるので、金属管に係合用の穴をあけたり、端末部の保護材をフレキ管に置き換えてそのフレキ管に光コネクタをネジ止めしたりする必要がなく、光コネクタの装着の容易化と、抗張力繊維の固定力向上、およびそれによる接続部の信頼性向上が図れる。
【0030】
また、スリーブは複雑な加工が不要で安価に作製でき、接続コストの低減も図れる。
【0031】
なお、2個のスリーブを重ねて同時にかしめるものは、かしめ作業を1回行えばよく、作業性がより良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の接続構造の実施形態を示す部分破断平面図
【図2】抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルの斜視図
【図3】金属管型光ファイバケーブルの端末処理の第1形態を示す図
【図4】金属管型光ファイバケーブルの端末処理の第2形態を示す図
【図5】金属管型光ファイバケーブルの端末処理の第3形態を示す図
【符号の説明】
1 金属管型光ファイバケーブル
2 光ファイバ心線
3 金属管
4 抗張力繊維
5 被覆
6、7 スリーブ
6a 係止片
8 接着剤
9 異形スリーブ
9a 大径部
9b 小径部
10 スリーブ
10a 係止片
20 光コネクタ
21 ブーツ
22 溝
23 フェルール

Claims (2)

  1. 単心又は多心の光ファイバ心線の外周に金属管を配置し、その金属管の外周に抗張力繊維を縦添えし、さらにその外側に被覆を配置した構造の金属管型光ファイバケーブルを、端末部の被覆を剥がして抗張力繊維が金属管よりも長く露出する状態に処理し、この金属管型光ファイバケーブルの端末部に露出した金属管に、第1スリーブとこの第1スリーブよりも金属管の先端側に配置する第2スリーブを前記抗張力繊維を内側に通してはめ、第2スリーブの内側を通り抜けた抗張力繊維を第2スリーブの外側に折り返して第1スリーブの内側に挿入し、第1、第2スリーブをかしめて金属管の外周に固定するか又は第1、第2スリーブと抗張力繊維を金属管に接着剤で接着固定し、以上の処理を行った金属管型光ファイバケーブルの端末部を、光コネクタのブーツに設けた溝に第1スリーブを抜止め状態に係止させてはめ込むようにした、抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルと光コネクタの接続構造。
  2. 単心又は多心の光ファイバ心線の外周に金属管を配置し、その金属管の外周に抗張力繊維を縦添えし、さらにその外側に被覆を配置した構造の金属管型光ファイバケーブルを、端末部の被覆を剥がして抗張力繊維が金属管よりも長く露出する状態に処理し、この金属管型光ファイバケーブルの端末部に露出した金属管に、第1スリーブを前記抗張力繊維を内側に通してはめ、この第1スリーブの内側を通り抜けた抗張力繊維を第1スリーブの外側に折り返した後、第1スリーブの外周に第2スリーブを重ね、この第2スリーブと第1スリーブを折り返した抗張力繊維を間に挟む状態にして同時にかしめて金属管の外周に固定し、以上の処理を行った金属管型光ファイバケーブルの端末部を、光コネクタのブーツに設けた溝に第1、第2スリーブの少なくともどちらか一方を抜止め状態に係止させてはめ込むようにした、抗張力繊維を縦添えした金属管型光ファイバケーブルと光コネクタの接続構造。
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