JP3209044B2 - 光コネクタ及び光コネクタへの光ファイバの固定方法 - Google Patents

光コネクタ及び光コネクタへの光ファイバの固定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、光ファイバ同士の接
続又は、光ファイバと発光素子、受光素子との接続のた
めに使用する光ファイバ用の光コネクタ及び、光ファイ
バをそのような光コネクタ等のコネクタハウジングに固
定するための固定方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】この種の光コネクタとしては、樹脂成形
品であるコネクタハウジングにフェルールが一体成形さ
れているものと、金属製のフェルールを樹脂成形品であ
るコネクタハウジングに取り付けるようにしたものがあ
る。
【０００３】前者は、図３（ａ）、（ｂ）に示すよう
に、フェルール５２が一体成形された樹脂成形品である
コネクタハウジング５１と、このコネクタハウジング５
１に光ファイバＦを固定するための金属製の固定爪５５
とから構成されており、光ファイバＦのコネクタハウジ
ング５１への固定は、次のようにして行われる。
【０００４】まず、前記コネクタハウジング５１に先端
の被覆部ｃが皮剥ぎされてファイバ芯線ｆが露出した光
ファイバＦを、前記コネクタハウジング５１の導入路５
３から挿入して前記フェルール５２にファイバ芯線ｆを
挿入する。そして、前記コネクタハウジング５１の前記
導入路５３部分に形成されたスリット５４からＵ字型の
前記固定爪５５を圧入し、光ファイバＦの被覆部ｃに固
定爪５５の刃５５ａを食い込ませることで、光ファイバ
Ｆが前記コネクタハウジング５１に固定される。
【０００５】一方、後者は、図４に示すように、樹脂成
形品であるコネクタハウジング６１と、このコネクタハ
ウジング６１に収容される金属製のフェルール６２と、
コネクタハウジング６１内に収容されたフェルール６２
の抜止めを行うストッパ６３と、前記コネクタハウジン
グ６１内に収容されたフェルール６２をその先端側に付
勢するスプリング６４と、光ファイバＦのコネクタハウ
ジング６１への挿入部分を保護するための保護カバー６
５とから構成されており、前記フェルール６２は、光フ
ァイバＦのファイバ芯線ｆが挿入される小径の芯線保持
部６２ａと、光ファイバＦの被覆部ｃが挿入される大径
の被覆保持部６２ｂと、前記芯線保持部６２ａと被覆保
持部６２ｂとの境界部分に径方向外方に張り出して前記
スプリング６４の被押圧面を形成する鍔部６２ｃとを有
している。
【０００６】このように構成された光コネクタ６０にお
ける光ファイバＦのコネクタハウジング６１への固定
は、次のようにして行われる。まず、先端の被覆部ｃが
皮剥ぎされてファイバ芯線ｆが露出した光ファイバＦを
フェルール６２に挿入し、フェルール６２の被覆保持部
６２ｂを光ファイバＦの被覆部ｃにかしめ固定する。な
お、この時、前記スプリング６４を予めフェルール６２
の被覆保持部６２ｂ外周に嵌挿しておく。
【０００７】そして、光ファイバＦの先端に固定された
フェルール６２をコネクタハウジング６１内に収容し、
前記ストッパ６３によって前記スプリング６４をフェル
ール６２の鍔部６２ｃ側に押圧しながらこのストッパ６
３をコネクタハウジング６１に固定する。
【０００８】これによって、フェルール６２の鍔部６２
ｃが前記コネクタハウジング６１の内部に形成された段
部６１ａに押圧された状態で、フェルール６２がコネク
タハウジング６１内に保持されるので、光ファイバＦが
コネクタハウジング６１に固定される。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな光コネクタ５０では、固定爪５５を光ファイバＦの
被覆部ｃに食い込ませることによって光ファイバＦをコ
ネクタハウジング５１に固定しているため、固着強度が
８０Ｎ程度であり、１００Ｎ以上の固着強度が要求され
る車載用の光コネクタとして使用することができない。
【００１０】また、金属製のフェルール６２を使用した
光コネクタ６０は、フェルール６２の被覆保持部６２ｂ
を光ファイバＦの被覆部ｃにかしめ固定するので、１０
０Ｎ以上の固着強度が得られるが、フェルール自体の製
作に精密な金属加工が要求されるため、フェルールの製
造コストが高くなると共にフェルールを押さえるスプリ
ング６４等が必要で部品点数が多くなるので、前記光コ
ネクタ５０に比べてコスト面で不利になる。
【００１１】そこで、この発明の課題は、コネクタハウ
ジングに対する固着強度が大きく、しかも安価に製造で
きる光コネクタ及び光ファイバのコネクタハウジングへ
の固定方法を提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項１に記載の光コネクタは、先端部分の被覆部
分が剥ぎ取られてファイバ芯線が露出した所定の光ファ
イバの被覆部分にかしめ固定され、前記光ファイバの径
方向外方に突出した係止部を有する把持部材と、前記係
止部が嵌まり込む凹状の嵌合部が形成され、該嵌合部に
前記係止部を嵌合させて前記把持部材を保持する保持部
材と、前記ファイバ芯線が挿入されるフェルールおよび
前記保持部材が挿入、固定される本体部が一体的に形成
されたコネクタハウジングとを備え、前記把持部材は、
挿入された前記光ファイバにかしめ固定される筒状部
と、この筒状部に一体成形された前記係止部としての鍔
部とから形成されており、前記保持部材は、前記把持部
材を挟み込む一対の分割体によって形成されており、そ
れぞれの分割体には、前記把持部材の鍔部を受け入れる
前記嵌合部としてのスリットが形成されるものである。
【００１３】
【００１４】
【００１５】さらに、請求項２に記載の光コネクタは、
請求項１に記載の光コネクタであって、前記保持部材に
は、外表面から突出するロック爪を設け、前記コネクタ
ハウジングには、前記ロック爪が係合する係合孔を設け
たものである。
【００１６】また、請求項３に記載の光コネクタへの光
ファイバの固定方法は、請求項１又は請求項２に記載の
光コネクタへの光ファイバの固定方法であって、先端部
の被覆部分が剥ぎ取られてファイバ芯線が露出した光フ
ァイバの被覆部分に把持部材をかしめ固定する工程と、
前記把持部材の係止部を保持部材の嵌合部に嵌合させて
前記保持部材により前記把持部材を保持させる工程と、
前記ファイバ芯線をフェルールに挿入すると共に前記保
持部材を本体部に挿入、固定する工程とを備える固定方
法である。
【００１７】
【作用】請求項１に記載の光コネクタおよび請求項３に
記載の光コネクタへの光ファイバの固定方法では、把持
部材を光ファイバの被覆部分にかしめ固定し、この把持
部材の係止部を保持部材の嵌合部に嵌合させて保持部材
により把持部材を保持させ、この保持部材を介してコネ
クタハウジングの本体部に挿入して固定させるため、コ
ネクタハウジングに対する光ファイバの固着強度が充分
に確保されると共にスプリングを使わずに済む。また、
光ファイバにかしめ固定された把持部材を分割体によっ
て挟み込むため、把持部材が完全に位置決めされた状態
で保持部材に保持されて、コネクタハウジングに挿入で
きる。また、把持部材は、従来の金属製のフェルールの
ように直接光学素子等との結合に関与する部品ではない
ため、精密な金属加工が要求されることもない。
【００１８】
【００１９】さらに、請求項２に記載の光コネクタで
は、固定部材のロック爪がコネクタハウジングの係合孔
に係合することで、固定部材がコネクタハウジングに確
実に固定される。
【００２０】
【実施例】以下、実施例について図面を参照して説明す
る。図１及び図２に示すように、この光コネクタ１は、
樹脂成形品であるコネクタハウジング１０と、光ファイ
バＦを保持した状態で、前記コネクタハウジング１０に
挿入、固定される固定部材２０とから構成されている。
【００２１】前記コネクタハウジング１０は、後端側が
開放された角筒状の本体部１１と、その本体部１１の先
端側に一体成形されたフェルール１７とから構成されて
おり、前記本体部１１には、連結される相手側の光コネ
クタのコネクタハウジング（図示せず）の一部を受け入
れる空間を前記フェルール１７の周囲に形成するための
フェルールハウジング１２が形成されている。
【００２２】前記本体部１１には、その先端側に相手側
のコネクタハウジングとの連結の際に使用されるロック
爪１３が形成されていると共に、その後端側に後述する
固定部材２０のロック爪２９と係合する係合孔１４が形
成されている。
【００２３】また、前記本体部１１は、図２に示すよう
に、開放された後端側から前記固定部材２０を受け入れ
る収容部１５を有しており、この収容部１５の先端側に
は固定部材２０の先端面が当接して位置決めされる段部
１６が形成されている。
【００２４】前記固定部材２０は、図１に示すように、
黄銅等の金属によって形成された把持部材２１と、この
把持部材２１を挟み込んで保持する保持部材２４とから
構成されている。
【００２５】前記把持部材２１は、光ファイバＦが挿入
可能な円筒部２２と、この円筒部２２の一端に一体形成
された径方向外方に張り出す鍔部２３とから構成されて
おり、前記円筒部２２に光ファイバＦを挿入した状態で
この円筒部２２をかしめることで光ファイバＦに固定す
るようになっている。
【００２６】前記保持部材２４は、樹脂成形品である一
対の分割体２５によって構成されており、それぞれの分
割体２５には、光ファイバＦにかしめ固定された前記把
持部材２１の円筒部２２が嵌まり込む半円溝２６、前記
把持部材の２１の鍔部２３が嵌まり込むスリット２７及
び光ファイバＦの被覆部ｃが嵌まり込む半円溝２８が形
成されている。また、それぞれの分割体２５の外表面に
は、前記コネクタハウジング１０に形成された係合孔１
４に係合するロック爪２９が形成されている。
【００２７】従って、光ファイバＦにかしめ固定された
前記把持部材２１を前記分割体２５によって挟み込む
と、前記把持部材２１が完全に位置決めされた状態で保
持部材２４に保持され、前記コネクタハウジング１０の
収容部１５に挿入できる一つのブロック体となる。
【００２８】以上のように構成された光コネクタ１に光
ファイバＦを取り付ける場合は、まず、図１に示すよう
に、光ファイバＦの先端部の被覆部ｃをはぎ取ってファ
イバ芯線ｆを露出させる。そして、この光ファイバＦを
前記把持部材２１の円筒部２２に挿入し、被覆部ｃに円
筒部２２をかしめ固定した後、把持部材２１を保持部材
２４の分割体２５で挟み込んで保持する。
【００２９】このようにして把持部材２１が保持部材２
４によって保持された固定部材２０をコネクタハウジン
グ１０の収容部１５に挿入し、その固定部材の先端を段
部１６に当接させると、前記ロック爪２９が係合孔１４
に係合して固定部材２０がコネクタハウジング１０に固
定される（図２参照）。なお、この時、皮剥ぎされた光
ファイバＦのファイバ芯線ｆは、フェルール１７に挿入
されて光ファイバＦの光軸の位置ズレが防止される。
【００３０】このようにして光ファイバＦが取り付けら
れた光コネクタ１では、金属製の把持部材２１が光ファ
イバＦの被覆部ｃにかしめ固定され、この把持部材２１
の鍔部２３が保持部材２４の分割体２５に形成されたス
リット２７に嵌まり込んだ状態で把持部材２１が一対の
分割体２５に挟み込まれているので、コネクタハウジン
グ１０に対する光ファイバＦの十分な固着強度（１００
Ｎ）が確保され、しかも、従来の金属製のフェルールを
使用した光コネクタに使用されていたスプリング等の部
品が不要となり部品点数の削減を図ることができる。
【００３１】また、前記把持部材２１は、従来の金属製
のフェルールとは異なり、光学素子等との結合に直接関
与する部品ではないため、製造時に厳しい加工精度を要
求されることもなく、把持部材２１自体を安価に製造で
きるため、先程述べた部品点数の削減と相まって、光コ
ネクタ１全体の製造コストの低減を図ることができる。
【００３２】また、上述した把持部材２１のかしめ方法
としては、本願出願人が既に特許出願をしているフェル
ールの固定方法（特願平４−１５６００３号、特開平５
−３２３１５０号公報参照）を応用することによって、
即ち、光ファイバＦを挿入した把持部材２１の円筒部２
２の外周部を互いに異なる少なくとも３以上の方向から
光ファイバＦのファイバ芯線ｆに向けてかしめることに
よって、さらに大きい固着強度（１００Ｎ以上）を確保
することも可能である。
【００３３】なお、この実施例においては、把持部材２
１として鍔部２３を有する筒状のものを使用したが、こ
れに限定されるものではなく、一枚の金属板に部分的に
係止片を形成したものを使用し、これを光ファイバＦの
外周に沿って円筒状にかしめるようにしてもよい。この
場合、前記係止片は、光ファイバＦにかしめ固定したと
き光ファイバＦの径方向外方に突出するものが望まし
く、これを保持する保持部材には、その係止片がはめ込
まれる凹状の嵌合部を形成しておく必要がある。
【００３４】
【００３５】
【発明の効果】以上のように構成された光コネクタ及び
光ファイバのコネクタハウジングへの固定方法では、把
持部材を光ファイバの被覆部にかしめ固定し、この把持
部材を保持部材によって保持し、前記把持部材及び保持
部材からなる固定部材をフェルールが一体化されたコネ
クタハウジングに固定するようにしたため、十分な固着
強度が確保されると共に前記把持部材に精密な金属加工
が要求されることもなく、従来の金属フェルールを使用
したものに比べて安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明にかかる一実施例を示す分解斜視図で
ある。
【図２】同上の断面図である。
【図３】従来例を示す断面図である。
【図４】他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
１ 光コネクタ １０ コネクタハウジング １１ 本体部 １４ 係合孔 １５ 収容部 １６ 段部 １７ フェルール ２０ 固定部材 ２１ 把持部材 ２２ 円筒部 ２３ 鍔部 ２４ 保持部材 ２５ 分割体 ２６ 半円溝 ２７ スリット ２８ 半円溝 ２９ ロック爪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) G02B 6/36 G02B 6/38

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 先端部の被覆部分が剥ぎ取られてファイ
    バ芯線が露出した光ファイバの被覆部分にかしめ固定さ
    れ、前記光ファイバの径方向外方に突出した係止部を有
    する把持部材と、 前記係止部が嵌まり込む凹状の嵌合部が形成され、該嵌
    合部に前記係止部を嵌合させて前記把持部材を保持する
    保持部材と、 前記ファイバ芯線が挿入されるフェルールおよび前記保
    持部材が挿入されて固定される本体部が一体的に形成さ
    れたコネクタハウジングとを備え、 前記把持部材は、挿入された前記光ファイバにかしめ固
    定される筒状部と、この筒状部に一体成形された前記係
    止部としての鍔部とから形成されており、 前記保持部材は、前記把持部材を挟み込む一対の分割体
    によって形成されており、それぞれの分割体には、前記
    把持部材の鍔部を受け入れる前記嵌合部としてのスリッ
    トが形成される ことを特徴とする光コネクタ。
  2. 【請求項２】 前記保持部材は、外表面から突出するロ
    ック爪を有し、 前記コネクタハウジングは、前記ロック爪が係合する係
    合孔を有する ことを特徴とする請求項１に記載の光コネ
    クタ。
  3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２に記載の光コネク
    タへの光ファイバの固定方法であって、 先端部の被覆部分が剥ぎ取られてファイバ芯線が露出し
    た光ファイバの被覆部分に前記把持部材をかしめ固定す
    る工程と、 前記把持部材の前記係止部を前記保持部材の前記嵌合部
    に嵌合させて前記保持部材により前記把持部材を保持さ
    せる工程と、 前記ファイバ芯線を前記フェルールに挿入すると共に前
    記保持部材を前記本体部に挿入、固定することにより、
    前記光ファイバを前記光コネクタに固定する工程とを備
    えることを特徴とする光コネクタへの光ファイバの固定
    方法 。
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