JP2005084357A - 複数心接続型光コネクタとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造の簡素化と組立性及び耐コード引張性の向上等を図る。
【解決手段】前側に複数のフェルール2、後側に連結部12を有する光コネクタ本体4と、フェルールに固定される複数の光ファイバ21を有する複数心一括型光ファイバコード5と、連結部に連結され、光ファイバコード5の抗張力体26を固定する複数のハウジング6,7とを備える複数心接続型光コネクタ1を採用する。ハウジング6,7の後部に連結される可撓性のブーツ5を備える。抗張力体にクリップ41を固定し、ハウジングにクリップに対する当接部40や収容部38を設けた。光コネクタ本体4はエクステンションチューブ10を有し、連結部12をストレングスメンバ13に形成し、フェルール2とストレングスメンバとの間に弾性部材11を弾設した。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数心一括型光ファイバケーブルを接続する複数心接続型光コネクタとその製造方法に関するものである。
図11は、従来の複数心接続型光コネクタの一例として二心接続型光コネクタの一形態を示すものである。
この二心接続型光コネクタ61は、左右一対の連結されたプラグハウジング62と、プラグハウジング62の後部に装着された一対のブーツ63と、各プラグハウジング内に収容された一対のフェルール64とを備えたものである。
フェルール内には、図12に示すような光ファイバコード65の中心部分が収容される。ファイバ中心の心線66は補強チューブ67や抗張力体71やジャケット72で覆われて、単心光ファイバコード65として各ブーツ63から後方に導出されている。一対の単心ファイバコード65は変換部68を介して二心一括型光ファイバコード69として続いている。抗張力体71(図12)はケブラ(高弾性の高強力繊維)等で構成されている。図12の光ファイバコード65はあくまでも一例を示すものである。
図13の如く、二心接続型光コネクタ61は雌型の光アダプタ70に接続される。二心接続型光コネクタ61はブーツ63を経て導出された二本の単心光ファイバコード65に続き、両単心光ファイバコード65は変換部68を経て一本の二心光ファイバコード69に続いている。
上記以外の二心接続型光コネクタの形態としては、例えば特許文献1に記載された二心接続型光コネクタ(図示せず)が挙げられる。
この二心接続型光コネクタは二本の光ファイバを分岐して収容固定する内部ハウジングと、フェルールを収容し、内部ハウジングに結合される嵌合部品と、嵌合部品と内部ハウジングとを収容する外部ハウジングとを備えるものである。
特開2001−21765(第2〜3頁、図1)
しかしながら、図11に示す従来の二心接続型光コネクタ61にあっては、単心光ファイバコード65ごとに個々の抗張力体71を光コネクタ61に取り付けて固定する必要があるために、二心光ファイバコード69を変換部68で個々の単心光ファイバコード65に変換し、補強を施した上で組立加工を行わなければならず、そのため、二心光ファイバコード69を使用する利点を大きく損なっていた。また、光ファイバコード65と二心接続型光コネクタ61の組付作業者は、組付作業時に同じ作業を二回繰り返す必要があり、作業性や生産性が悪く、また、部品点数も多く、コスト高となっていた。また、二心光ファイバコードに引張力が作用した場合に、その引張力がフェルール64内の光ファイバに及ばないようにするために、変換部68を専用の張力引止め部(図示せず)に固定するための構造が必要となったり、あるいは変換部68を張力引止め部に固定しない場合には、変換部68にて引張力を単心ファイバコード65の個々の抗張力体71に伝えるための構造が必要で、部品点数が多くなる等の問題があった。
また、特許文献1に示す二心接続型光コネクタにあっては、内部ハウジングへの光ファイバコードの固定をねじ締めで行うために、固定作業が面倒であり、ねじの緩みによる固定力の低下で、光ファイバコードの引張時にフェルール内の光ファイバに抜け出し力を生じかねないという懸念があった。また、内部ハウジングや嵌合部材に加えて外部ハウジングを必要とするために、部品点数が多く、組付工数や部品コストがアップするという懸念もあった。
本発明は、上記した点に鑑み、作業性(効率)良く組み立てることができ、しかも光ファイバコードの引張時に光ファイバに悪影響を及ぼすことのない複数心接続型光コネクタとその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る複数心接続型光コネクタは、前側に複数のフェルール、後側に連結部をそれぞれ有する光コネクタ本体と、該複数のフェルールに固定される複数の光ファイバを有する複数心一括型光ファイバコードと、該連結部に連結され、該複数心一括型光ファイバコードの抗張力体を固定する複数のハウジングとを備えて構成されることを特徴とする。
上記構成により、複数心一括型光ファイバコードと光コネクタ本体と複数のハウジングという少ない部品で複数心接続型光コネクタが簡単且つコンパクトに形成される。光ファイバを挿通した光コネクタ本体とハウジングとの連結操作で、光コネクタが容易に形成される。複数心一括型光ファイバコードに後向きの引張力が作用した場合、ハウジングに抗張力体が固定されているから、ハウジングが引張力を受け止め、光コネクタ本体側の光ファイバに引張力が及ばない。
請求項2に係る複数心接続型光コネクタは、請求項1記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記複数のハウジングの後部に連結され、前記複数心一括型光ファイバコードを覆う可撓性のブーツを備えることを特徴とする。
上記構成により、可撓性のブーツ内に複数心一括型光ファイバコードが挿通され、光コネクタの接続時等に複数心一括型光ファイバコードがブーツによって折れ曲がりなくスムーズに屈曲し、最小屈曲半径が確保される。
請求項3に係る複数心接続型光コネクタは、請求項1又は2記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記抗張力体にクリップが固定され、前記ハウジングが、該クリップの後端を当接させる部分を有することを特徴とする。
上記構成により、複数心一括型光ファイバコードに後向きの引張力が作用した際に、クリップがハウジングの当接部に当接して、引張力を確実に受け止める。
上記構成により、複数心一括型光ファイバコードに後向きの引張力が作用した際に、クリップがハウジングの当接部に当接して、引張力を確実に受け止める。
請求項4に係る複数心接続型光コネクタは、請求項3記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記抗張力体が複数配置され、該複数の抗張力体同士が前記クリップで結束され、該複数の抗張力体の間に前記当接させる部分が位置することを特徴とする。
上記構成により、複数の抗張力体がハウジングの当接部に引っ掛けられた形となり、光ファイバコードの引張に対する抗力が高まると共に、クリップが当接部から不意に外れることが確実に防止される。
請求項5に係る複数心接続型光コネクタは、請求項3又は4記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記ハウジングが、前記当接させる部分の前方に前記クリップを収容する部分を有することを特徴とする。
上記構成により、抗張力体に固定されたクリップがハウジングの収容溝内に収容されて光ファイバとの干渉等が防止される。
請求項6に係る複数心接続型光コネクタは、請求項1〜5の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記複数のハウジングが相互の位置決め手段と係止手段とを有することを特徴とする。
上記構成により、複数のハウジングが位置決め手段で相互に位置決めされつつ、係止手段で相互に固定される。複数のハウジングの合体により、光コネクタ本体がハウジングに連結固定されると共に、例えば両ハウジングの当接部相互の接合や収容溝相互の接合が行われる。
請求項7に係る複数心接続型光コネクタは、請求項1〜6の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記光コネクタ本体が、前記フェルールに続くエクステンションチューブを有することを特徴とする。
上記構成により、エクステンションチューブに沿ってフェルール内に光ファイバが容易に挿入案内され、エクステンションチューブで光ファイバが安全に保護される。
請求項8に係る複数心接続型光コネクタは、請求項7記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記連結部がストレングスメンバに形成され、該ストレングスメンバの内側に前記エクステンションチューブが挿通されたことを特徴とする。
上記構成により、ストレングスメンバが光コネクタ本体内に挿入固定され、光コネクタ本体と一体化し、複数のハウジングに対する連結部を構成する。ストレングスメンバは光コネクタ本体を補強する。
請求項9に係る複数心接続型光コネクタは、請求項8記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記フェルールと前記ストレングスメンバとの間に弾性部材が弾設され、該フェルールが弾性部材で前方に付勢されたことを特徴とする。
上記構成により、ストレングスメンバが弾性部材の受け部材を兼ね、フェルールは弾性部材により常に一定の押圧力を付与される。
請求項10に係る複数心接続型光コネクタは、請求項1〜9の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタにおいて、前記光コネクタ本体が、前記フェルールを収容する複数のプラグハウジングと、該複数のプラグハウジングを連結するヨークとを備えたことを特徴とする。
上記構成により、複数のプラグハウジングがヨークで並列に連結されて一体のプラグハウジングを構成する。複数のプラグハウジングとヨークを一体成型して一つのプラグハウジングを構成させることも可能である。
請求項11に係る複数心接続型光コネクタの製造方法は、請求項1〜10の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタを製造する方法であって、前記複数心一括型光ファイバコードのシースを皮剥きして複数の光ファイバと抗張力体とを露出させ、該抗張力体を一方の前記ハウジングに仮固定し、該複数の光ファイバを前記光コネクタ本体に挿通し、該光コネクタ本体を該一方のハウジングに仮連結し、他方の前記ハウジングを該一方のハウジングに合体させて、該抗張力体の本固定と該光コネクタ本体の本連結を行わせることを特徴とする。
上記構成により、複数心一括型光ファイバコードと光コネクタ本体と複数のハウジングという少ない部品で複数心接続型光コネクタが簡単且つコンパクトに形成される。光ファイバを挿通した光コネクタ本体とハウジングとの連結操作で、光コネクタが容易に形成される。複数心一括型光ファイバコードに後向きの引張力が作用した場合、ハウジングに抗張力体が固定されているから、ハウジングが引張力を受け止め、光コネクタ本体側の光ファイバに引張力が及ばない。
請求項12に係る複数心接続型光コネクタの製造方法は、請求項11記載の複数心接続型光コネクタの製造方法において、予め前記複数心一括型光ファイバコードをブーツに挿通させておき、該ブーツを前記一方のハウジングに仮連結し、前記他方のハウジングの合体時に本連結させることを特徴とする。
上記構成により、可撓性のブーツ内に複数心一括型光ファイバコードが挿通され、光コネクタの接続時等に複数心一括型光ファイバコードがブーツによって折れ曲がりなくスムーズに屈曲し、最小屈曲半径が確保される。
請求項13に係る複数心接続型光コネクタの製造方法は、請求項11又は12記載の複数心接続型光コネクタの製造方法において、前記抗張力体に前記クリップを固定し、該クリップを前記一方のハウジングに仮固定し、前記他方のハウジングを該一方のハウジングに合体させて、該クリップの本固定を行わせることを特徴とする。
上記構成により、複数心一括型光ファイバコードに後向きの引張力が作用した際に、クリップがハウジングの当接部に当接して、引張力を確実に受け止める。
請求項14に係る複数心接続型光コネクタの製造方法は、請求項13記載の複数心接続型光コネクタの製造方法において、前記クリップを複数の前記抗張力体に加締め固定させ、該複数の抗張力体を前記当接させる部分の両側に配置することを特徴とする。
上記構成により、複数の抗張力体がクリップ内に挿通された状態で加締め固定される。複数の抗張力体はハウジングの当接部に引っ掛けられた形となり、クリップの外れが防止される。
以上の如く、請求項1,11記載の発明によれば、従来に較べて少ない部品で複数心接続型コネクタが構成されるから、組付工数及び部品コストが低減され、且つコンパクトに仕上がり、光接続が省スペースで行われる。また、複数心一括型光ファイバコードの引張力がフェルール内の光ファイバに及ばないから、光接続の信頼性が高まる。
請求項2,12記載の発明によれば、ブーツで複数心一括型光ファイバコードの折れ曲がり等が防止されて屈曲性が向上し、光接続の信頼性が高まる。
請求項3,13記載の発明によれば、クリップがハウジングの当接部に当接して、複数心一括型光ファイバコードの引張力を確実に受け止めるから、光接続の信頼性が一層向上する。
請求項4,14記載の発明によれば、クリップがハウジングの当接部に外れなく確実に当接し、光ファイバコードの引張力を一層確実に受け止めるから、光接続の信頼性がさらに一層向上する。
請求項5記載の発明によれば、クリップと光ファイバとの干渉が防止されて、光ファイバの傷付き等が防止され、光接続の信頼性が向上する。
請求項6記載の発明によれば、両ハウジングが正確に位置決めされて光ファイバの噛み込み等が防止され、光接続の信頼性が高まると共に、係止により、光コネクタ本体が簡単且つ確実に固定される。
請求項7記載の発明によれば、エクステンションチューブで光ファイバの挿入作業性が向上し、複数心接続型光コネクタの組み付けが容易化する。
請求項8記載の発明によれば、ストレングスメンバで光コネクタ本体の機械的強度がアップし、且つハウジングに対する連結部が容易に形成されて、複数心接続型光コネクタの組立性が向上する。
請求項9記載の発明によれば、ストレングスメンバが弾性部材の受け部材を兼ねるから、部品点数が削減される。
請求項10記載の発明によれば、複数のプラグハウジング相互の結合が容易に行われ、複数心接続型光コネクタの組立性が向上する。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る複数心接続型光コネクタの一例として二心接続型光コネクタの一実施形態を示すものである。
この二心接続型光コネクタ1は、各フェルール2を収容する左右一対のプラグハウジング3を有する光コネクタ本体4と、光コネクタ本体4の後部に連結固定され、二心一括型光ファイバコード5を固定する上下一対の合成樹脂製のハウジング6,7と、ハウジング6,7の後部に連結される合成ゴム又は熱可塑性エラストマ製の弾性のブーツ8とを備えるものである。
図2〜図3に示す如く、光コネクタ本体4は、合成樹脂製の一対の並列なプラグハウジング3と、一対のプラグハウジング3を後部で連結固定する合成樹脂製の枠状のヨーク9と、各プラグハウジング3の前部に収容された合成樹脂製等(金属製やセラミック製も可)のフェルール2と、フェルール2に続いてプラグハウジング3を後方へ貫通する合成樹脂製のエクステンションチューブ10と、フェルール2を前方すなわち光コネクタ嵌合方向へ付勢する金属製のコイルばね(弾性部材)11と、エクステンションチューブ10の外周に沿ってプラグハウジング3内に組み付けられ、プラグハウジング3の後端から突出した連結部12を有する金属製のストレングスメンバ13とを備えたものである。
各プラグハウジング3は上壁に可撓性のロックアーム14を有し、ロックアーム14は中間部にロック突起14aを有し、ロックアーム14の先端(自由端)はヨーク9と一体の可撓性の操作板15の内側に接し、操作板15の押圧操作で図示しない相手側の光アダプタとのロックを解除可能となっている。
各プラグハウジング3の内側には円形の孔部16が貫通して設けられ、孔部16の前側部分が相手側の光アダプタに対する嵌合室17となり、嵌合室17の底部は環状の停止壁18で区画され、停止壁18は後部テーパ面18aを有して、孔部の後方の長い収容室(符号16で代用)に続いている。
ヨーク9は矩形枠状に形成され、前向きに傾斜した前記操作板15を上壁に有し、プラグハウジング3の側壁の突部19(図1)で前端を当接され、図示しない係止突起や係合凹部等の係止手段でプラグハウジング3に係止されている。
フェルール2は、嵌合室17の底部から前部開口の前方まで突出する小径部2aと、停止壁18に当接する大径な鍔状部2bと、鍔状部2bの後方に続く中径部2cとで構成され、段付きの貫通した孔部20を有している。中径部2cの後端は断面円形のエクステンションチューブ10に続き、エクステンションチューブ10は後述のストレングスメンバ13から少し後方に突出している。
各フェルール2と各エクステンションチューブ10内に二心一括光ファイバコード5(図1)の二本の光ファイバ21が連続して挿入され、フェルール2内で接着等の手段で固定される。各光ファイバ21はエクステンションチューブ10の後方まで導かれ、エクステンションチューブ10の後方に露出した光ファイバ21が後述のハウジング6,7内に収容される。
ストレングスメンバ13は、エクステンションチューブ10を挿通させる円筒部22と、円筒部22の後方部分に設けられ、プラグハウジング3の後端に当接する環状の鍔部23と、鍔部23に続く後方の環状の連結部12とで構成され、連結部12は後端の鍔状で環状の係止部24を有して、後述のハウジング6,7を連結可能である。
ストレングスメンバ13の前端とフェルール2の鍔部2bの後端との間に圧縮コイルばね11が弾設されている。コイルばね11はフェルール2を前方に付勢し、フェルール2は相手側の光コネクタ(図示せず)との嵌合時等にコイルばね11を圧縮させつつ後退可能である。
図4は、二心一括型光ファイバコード5の一形態の断面図(コードの長手方向とは直交する方向すなわち径方向に切断した図)を示すものであり、断面長円形のコードシース25の左右両側に鋼線等の一対の抗張力体26がコード長手方向に沿って平行に埋設され、コードシース25の中央に区画壁27が形成され、区画壁27の左右両側に一対の空間28が形成され、各空間28内に各光ファイバ心線(コアとクラッドとで成る部分)又は各光ファイバ(心線と補強層とで成る部分)21が挿通されている。
図1に戻って、上下一対のハウジング6,7で光コネクタ本体4と二心光ファイバコード5の抗張力体26とブーツ8とが固定及び相互に連結される。一対のハウジング6,7は連結兼固定部材として作用する。
下側のハウジング6は図8にも示す如く、水平な基板部(底板部)30と、その両側の垂直な側壁31と、両側壁31を連結する前端側の壁部32と、前壁32に形成された左右一対の半円状(半割)の孔部33と、両側壁31に対角線上に設けられた位置決めピン34及び位置決め孔35と、一方の側壁31に設けられた可撓性の係止爪45と、他方の側壁31に設けられた係合凹部36と、両側壁31の後端部に設けられたブーツ連結用の溝部37と、一対の半割状の孔部33の間で前壁32の中央から基板部30の長手方向中間部にかけて延設された水平な収容溝38をなす左右一対の収容壁39と、収容溝38の後方に延設された垂直な当接部である当接壁(引っ掛け壁)40と、ハウジング6内で一対の半割状の孔部33に連通して続く光ファイバ挿通用の空間(符号30で代用)とを備えるものである。
一対の半割状の孔部33に光コネクタ本体4(図1)の後端の連結部12が上方から係合し、連結部12の後端の鍔部24(図3)が孔部33の後端の段部33aに係合して、光コネクタ本体4の前方への抜け出しが阻止される。上下のハウジング6,7の合体により、各ハウジング6,7の半割状の孔部33が合体して円形の孔部となり、円形の孔部内に光コネクタ本体4の環状の連結部12が係合して連結される。
また、下側の各位置決めピン34は上側のハウジング7の各位置決め孔35に進入係合し、下側の各位置決め孔35に上側のハウジング7の各位置決めピン34が進入係合する。それと同時に下側のハウジング6の係止爪45が上側のハウジング7の係合凹部36に係合し、上側のハウジング7の係止爪45が下側のハウジング6の係合凹部36に係合して、両ハウジング6,7が位置ずれなく強固に固定される。
二心光ファイバコード5の二本の抗張力体26は金属製のクリップ41で相互に連結固定され、クリップ41の下半分が下側ハウジング6の収容溝38に収容されると共に、クリップ後方の二股に開いた抗張力体26が当接壁(当接部)40の両側(外側)に位置し、抗張力体26の二股部が当接壁40に引っ掛けられ、クリップ41の後端が当接壁40の前端に当接して、二心光ファイバコード5の後方への引張力がクリップ41と当接壁40とでしっかりと受け止められる。一対の光ファイバ21は二心光ファイバコード5のシース25の前端中央からハの字状に開き、当接壁40の両側を通過しつつ平行に前方に延び、ハウジング内部空間を挿通して光コネクタ本体4の内部に挿入されている(図1)。
クリップ41は例えば円筒状のスリーブ(金属部材)に長手方向のスリットが形成されたものや、あるいは圧着端子のように左右一対の加締め片を有したもの等が好適である。要は二本の抗張力体26を加締めて結束させ、相互に連結固定させるものであればよい。
図1の如く上側のハウジング7は下側のハウジング6とほぼ対称に形成されている(係止爪45や位置決めピン34等の位置を除けば全く上下対称であってよい)。下側のハウジング6と同一の構成部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。クリップ41の上半分が上側のハウジング7の収容溝38に収容される。上下の当接壁40は隙間なく接合し、クリップ41を確実に係止して、光ファイバコード5の引張力を確実に受け止める。
ブーツ8は、矩形筒状に形成され、内部の空間に長円形の二心光ファイバコード5を挿通させ、後半の両側の切欠部42で光ファイバコード5の屈曲性を高めている。
以下に図5〜図10を用いて上記二心接続型光コネクタ1の製造方法(組立方向)を順に説明する。
先ず、図5の如く二心光ファイバコード5の外周にブーツ8を挿通させる(ブーツ8の内側の孔部に光ファイバコード5を先端から挿入して貫通させる)。次いで、光ファイバコード5の先端から所要の長さの位置43でコード被覆(シース)25を皮剥きする。シース25はワイヤストリッパ(図示せず)で垂直に切断し、その後、シース25を引っ張って抗張力体26(図6)から引き離す。さらに、光ファイバ21の先端をカッタで再切断して切断面を整える。
次いで、図6の如く、二本の抗張力体26を中央に集めて、クリップ41を二本の抗張力体26の先端から長手方向に挿通させ、シース前端寄りの所要位置(予めマーキング等しておくとよい)でクリップ41を径方向に加締めて抗張力体26に固定する。
次いで、クリップ41の前端側で抗張力体26をニッパ等で切断する(切断位置を符号44で示す)。図7の如く、抗張力体26はクリップ41の後端からテーパ状に開いてシース25の前端に達している。クリップ41の両側に光ファイバ21を平行に位置させる。光ファイバ21の基部側部分はハの字状に開き、抗張力体26とクロスして位置する。ハウジング6(図8)に固定しやすいように(ハウジング6の当接壁40を抗張力体26の内側に挿通しやすいように)、クリップ41の手前で抗張力体26をラジオペンチ等で広げておくことが好ましい。
次いで、図8の如く、ブーツ8、二心光ファイバコード5、クリップ41を下側のハウジング6に仮固定する。すなわち、ブーツ8の前端部分をハウジング6の後端側の溝部37に上方から係合させると共に、クリップ41を収容溝38に係合させる。光ファイバ21はハウジング前端の半割の孔部33から前方へ導出させておく。二心光ファイバコード5は作業テーブル(図示せず)の上に固定しておくことが好ましい。次いで、接着剤(エポキシ樹脂系接着剤が好ましい)を光ファイバ21の先端部に薄く塗布する。
次いで、図9の如く、各光ファイバ21に光コネクタ本体4の各プラグハウジング3を挿通させる(各光ファイバ21を各プラグハウジング3内のエクステンションチューブ10を経てフェルール2内に挿入する)。光コネクタ本体4の後端の連結部12を下側のハウジング6の半割の孔部33内の段部33aに係合させて連結する。光ファイバ21は光コネクタ本体内のフェルール2の孔部20を挿通して前方に突出し、フェルール2の孔部内面に接着剤が付着する。
次いで、図10の如く、上側のハウジング7を下側のハウジング6に被せて合体させる。両ハウジング6,7は位置決め手段34,35と係止手段45,36で確実に位置決め固定される。上下のハウジング6,7の両収容溝38(図8)は接合して収容孔となり、クリップ41を確実に保持する。上下の当接壁40は隙間なく接合して前端にクリップ41の後端を当接させて光ファイバコード5の引張力を受け止める。これにより、光コネクタ本体内の光ファイバ21に全く引張力が作用しなくなる。接着剤は放置又は加熱によって硬化し、光ファイバ21がフェルール2に固定される。次いで、フェルール2から外部に突出した不要な光ファイバ21を若干のゆとり寸法を存してニッパ等で切断除去する。
最後に、若干突出した光ファイバ21とフェルール2の先端とを粗研磨、仕上げ研磨の順で研磨紙で研磨して、ファイバコアとクラッド層とで成る光ファイバ心線と、その外側の補強層と、その外側のフェルール端面とが同心円状に隙間なく仕上げられる。光ファイバ心線と補強層とで光ファイバ21が構成されている。
なお、上記実施形態においては、一対のプラグハウジング3をヨーク9で並列に連結する構造としたが、ヨーク9を用いずに、ハウジング6,7に似た構造のハウジング(図示せず)を使用して一対のプラグハウジングを平行に整列させて形成することも可能である。
また、ブーツ8は二心光ファイバコード5の屈曲性(最小曲げ半径を確保する)を高めるものであるが、その作用が不要である場所に光コネクタ1を配置する場合には、ブーツ8を用いなくともよい。
また、ハウジング6,7の収容溝38や当接壁40は上下一対のハウジング6,7の両方ではなく何れか一方のハウジングにのみ設けるようにすることも可能である。
また、二心一括型光ファイバコード5の構造は、断面長円形や略長方形に限らず、断面丸形等にしてもよく、また、抗張力体26の位置は光ファイバコード5の両側ではなく中央に配置したり、同心円状に配置してもよく、抗張力体26の数は各一本に限らず、各複数本としたり、あるいは全体で一本とすることも可能である。これらに二心一括型光ファイバコード5の形状等に応じてハウジング6,7やブーツ8の形状等が変更されることは言うまでもない。
また、上記実施形態においては二心接続型光コネクタを示したが、本発明の構成は二心の光ファイバに限らず、三心ないしそれ以上の光ファイバを接続する複数心接続型光コネクタとしても有効である。
本発明に係る複数心接続型光コネクタの一実施形態を示す分解斜視図である。 複数心接続型光コネクタの光コネクタ本体を示す要部を切欠した斜視図である。 同じく光コネクタ本体を示す縦断面図である。 複数心一括型光ファイバコードの一形態を示す縦断面図である。 複数心接続型光コネクタの製造方法の第一過程を示す斜視図である。 複数心接続型光コネクタの製造方法の第二過程を示す斜視図である。 複数心接続型光コネクタの製造方法の第三過程を示す斜視図である。 複数心接続型光コネクタの製造方法の第四過程を示す斜視図である。 複数心接続型光コネクタの製造方法の第五過程を示す斜視図である。 複数心接続型光コネクタの製造方法の第六過程を示す斜視図である。 従来の複数心接続型光コネクタの一形態を示す平面図である。 単心光ファイバケーブルの一形態を示す縦断面図である。 従来の複数心接続型光コネクタを用いた接続構造の一形態を示す斜視図である。
符号の説明
1 二心接続型光コネクタ(複数心接続型光コネクタ)
2 フェルール
3 プラグハウジング
4 光コネクタ本体
5 二心一括型光ファイバコード(複数心一括型光ファイバコード)
6,7 ハウジング
8 ブーツ
9 ヨーク
10 エクステンションチューブ
12 連結部
11 コイルばね(弾性部材)
13 ストレングスメンバ
21 光ファイバ
25 シース
26 抗張力体
34 位置決めピン(位置決め手段)
35 位置決め手段(位置決め孔)
36 係合凹部(係止手段)
38 収容溝(収容する部分)
40 当接部(当接させる部分)
41 クリップ
45 係止爪(係止手段)

Claims (14)

  1. 前側に複数のフェルール、後側に連結部をそれぞれ有する光コネクタ本体と、該複数のフェルールに固定される複数の光ファイバを有する複数心一括型光ファイバコードと、該連結部に連結され、該複数心一括型光ファイバコードの抗張力体を固定する複数のハウジングとを備えて構成されることを特徴とする複数心接続型光コネクタ。
  2. 前記複数のハウジングの後部に連結され、前記複数心一括型光ファイバコードを覆う可撓性のブーツを備えることを特徴とする請求項1記載の複数心接続型光コネクタ。
  3. 前記抗張力体にクリップが固定され、前記ハウジングが、該クリップの後端を当接させる部分を有することを特徴とする請求項1又は2記載の複数心接続型光コネクタ。
  4. 前記抗張力体が複数配置され、該複数の抗張力体同士が前記クリップで結束され、該複数の抗張力体の間に前記当接させる部分が位置することを特徴とする請求項3記載の複数心接続型光コネクタ。
  5. 前記ハウジングが、前記当接させる部分の前方に前記クリップを収容する部分を有することを特徴とする請求項3又は4記載の複数心接続型光コネクタ。
  6. 前記複数のハウジングが相互の位置決め手段と係止手段とを有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタ。
  7. 前記光コネクタ本体が、前記フェルールに続くエクステンションチューブを有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタ。
  8. 前記連結部がストレングスメンバに形成され、該ストレングスメンバの内側に前記エクステンションチューブが挿通されたことを特徴とする請求項7記載の複数心接続型光コネクタ。
  9. 前記フェルールと前記ストレングスメンバとの間に弾性部材が弾設され、該フェルールが弾性部材で前方に付勢されたことを特徴とする請求項8記載の複数心接続型光コネクタ。
  10. 前記光コネクタ本体が、前記フェルールを収容する複数のプラグハウジングと、該複数のプラグハウジングを連結するヨークとを備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタ。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の複数心接続型光コネクタを製造する方法であって、前記複数心一括型光ファイバコードのシースを皮剥きして複数の光ファイバと抗張力体とを露出させ、該抗張力体を一方の前記ハウジングに仮固定し、該複数の光ファイバを前記光コネクタ本体に挿通し、該光コネクタ本体を該一方のハウジングに仮連結し、他方の前記ハウジングを該一方のハウジングに合体させて、該抗張力体の本固定と該光コネクタ本体の本連結を行わせることを特徴とする複数心接続型光コネクタの製造方法。
  12. 予め前記複数心一括型光ファイバコードをブーツに挿通させておき、該ブーツを前記一方のハウジングに仮連結し、前記他方のハウジングの合体時に本連結させることを特徴とする請求項11記載の複数心接続型光コネクタの製造方法。
  13. 前記抗張力体に前記クリップを固定し、該クリップを前記一方のハウジングに仮固定し、前記他方のハウジングを該一方のハウジングに合体させて、該クリップの本固定を行わせることを特徴とする請求項11又は12記載の複数心接続型光コネクタの製造方法。
  14. 前記クリップを複数の前記抗張力体に加締め固定させ、該複数の抗張力体を前記当接させる部分の両側に配置することを特徴とする請求項13記載の複数心接続型光コネクタの製造方法。
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