JP3752088B2 - 光部品並びにその光部品端面の研磨方法および研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光通信などに用いられる光部品並びにその接続端面を研磨することによって、光ファイバなどの光通路を光部品の接続端面から突出させて仕上げる光部品端面の研磨方法および研磨装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図16には光部品として代表的な多心光コネクタの一例が示されている。同図に示すように、光コネクタ1はハウジングとしてのフェルール2を有し、フェルール2の内部に形成されている光ファイバ挿通孔7に、光ファイバテープ心線12の先端側の被覆が除去された光ファイバ4が、その端面側をフェルール2の接続端面5に露出させて挿通されている。光ファイバ4の接続端面側は、フェルール2の接続端面5から例えば1μm突き出した状態で接着剤等によりフェルール2に固定されており、光ファイバ4の固定領域の両側にはピン嵌合穴9が形成されて光コネクタ1が組立られている。なお、前記光ファイバ4は光通路として機能するものである。
【0003】
図17には、このような多心光コネクタ1の接続構造の一例が示されており、同図に示す光コネクタ1は、その接続端面5が光ファイバ4の光軸に直交する面と光軸に直交する面に対して8度傾いた斜面とにより形成されている。なお、同図において、光コネクタ1aは側面図により、光コネクタ1bは断面図により示されている。同図に示されるように、光コネクタ1aと光コネクタ1bは接続端面5同士が対向するように配置され、光コネクタ1aのピン嵌合穴9と光コネクタ1bのピン嵌合穴9とに共通の接続ピン36が嵌合されることによって、光コネクタ1aと光コネクタ1bとが位置あわせされる。
【0004】
そして、この位置あわせによって光コネクタ1a、1bの光ファイバ4が位置あわせされ、光ファイバ4の接続端面同士は接続整合剤などを介せずに直接物理的に光接続されている。なお、このように光ファイバ4同士を直接物理的に接続することを光ファイバ4のPC(Physical Contact)接続と呼んでいる。
【0005】
上記のように、光コネクタ1における光ファイバ4のPC接続を可能とするために、従来は、例えば図18に示すように、研磨台33にアルミナなどを含むスラリー状のラップ液40を入れ、このラップ液40に光コネクタ1の接続端面5を押し付け、光コネクタ1のフェルール2と光ファイバ4の材質の違いから、光ファイバ4よりも軟らかいフェルール2をラップ液40によってより多く研磨することにより、上記のように光ファイバ4の接続端面をフェルール2の接続端面5よりも1μm程度突出させていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光コネクタ1のフェルール2の材質は、例えば8割程度のガラスフェラーと2割程度の樹脂の混合材により形成されており、石英ガラス等により形成された光ファイバ4とフェルール2との硬度差はそれほど大きくないために、上記のように光ファイバ4の接続端面をフェルール2の接続端面5よりも僅か1μm突出させるためにも非常に長い時間がかかり、光コネクタ1の研磨に長い時間を要するといった問題があった。
【0007】
また、このように、長い時間をかけても、光ファイバ4の接続端面をフェルール2の接続端面5よりも1μmといったわずかな長さしか突出させることができないために、この光ファイバ4の突き出しによって、確実に良質なPC接続を保証するのは困難であり、光コネクタ1aと光コネクタ1bとがわずかに位置ずれしただけでも、光コネクタ1a,1bの光ファイバ4の接続端面間に隙間が生じ、光ファイバ4同士の光接続損失を増大させてしまうといった問題が生じた。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、短い時間で、光コネクタ等の光部品の接続端面から光ファイバ等の光通路を所望の長さだけ突き出して研磨することが可能であり、それにより、光部品同士の良質なPC接続を可能とする光部品並びにその光部品端面の研磨方法および研磨装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、光部品端面の研磨方法の第1の発明は、光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置に凹部を形成した研磨補助部材を該光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置し、該研磨補助部材と前記光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭変化する方向に相対移動させて光部品の接続端面を研磨し、前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの光部品の接続端面よりも突出させる構成をもって課題を解決する手段としている。
【0010】
また、光部品端面の研磨方法の第2の発明は、光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置にその周りよりも軟質な軟質部材を設けた研磨補助部材を該光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置し、該研磨補助部材と前記光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭変化する方向に相対移動させて光部品の接続端面を研磨し、前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの光部品の接続端面よりも突出させる構成をもって課題を解決する手段としている。
【0011】
また、光部品端面の研磨方法の第3の発明は、上記第1の発明の構成に加え、上記研磨補助部材の凹部には該凹部の周りの研磨補助部材形成材質よりも軟質な軟質部材を設ける構成をもって課題を解決する手段としている。
【0012】
さらに、光部品端面の研磨方法の第4の発明は、上記第1又は第3の発明の構成に加え、研磨補助部材は光ファイバ挿通孔を形成したフェルールとし、該光ファイバ挿通孔を凹部とする構成をもって課題を解決する手段としている。
【0013】
さらに、光部品端面の研磨方法の第5の発明は、上記第4の発明の構成に加え、上記光部品はフェルールに光ファイバを挿通固定して該光ファイバ固定領域の両側にピン嵌合穴を形成して成る光コネクタとし、研磨補助部材の光ファイバ挿通孔の両側には前記光コネクタのピン嵌合穴に対応する位置にピン嵌合穴を形成し、該研磨補助部材のピン嵌合穴と前記光コネクタのピン嵌合穴とに嵌合ピンを挿入して光部品の接続端面の研磨を行う構成をもって課題を解決する手段としている。
【0014】
さらに、光部品端面の研磨方法の第6の発明は、上記第1又は第2又は第3又は第4の発明の構成に加え、上記光部品の外形と研磨補助部材の外形を基準として光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に研磨補助部材の凹部を位置あわせして光部品の接続端面の研磨を行う構成をもって課題を解決する手段としている。
【0015】
さらに、光部品端面の研磨方法の第7の発明は、上記第1乃至第6の何れか1つの発明の構成に加え、上記研磨補助部材と光部品の少なくとも一方に超音波振動又はバイブレータによる振動を加えることにより研磨補助部材と光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭振動変化する方向に相対移動させる構成をもって課題を解決する手段としている。
【0016】
さらに、光部品端面の研磨装置の第1の発明は、光部品の保持部と、該光部品の保持部に保持される光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置に凹部を形成した研磨補助部材を前記光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置する研磨補助部材配置部と、該研磨補助部材と前記光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭振動変化する方向に相対移動させることによって前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの接続端面よりも突出させて研磨する研磨用移動機構とを有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0017】
さらに、光部品端面の研磨装置の第2の発明は、上記第1の発明の研磨装置の構成に加え、上記光部品の保持部は複数の光部品をともに保持する構成とし、研磨用移動機構は前記光部品の保持部に保持される光部品群の接続端面と研磨補助部材との間に研磨媒体を介在させた状態で該研磨補助部材と前記光部品群の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を振動変化する方向に相対移動させることによって光部品群の前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの光部品の接続端面よりも突出させて研磨する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0018】
さらに、光部品端面の研磨装置の第3の発明は、上記第1又は第2の研磨装置の発明の構成に加え、上記研磨用移動機構は超音波振動発生装置又はバイブレータによる振動発生装置とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0019】
さらに、光部品の第1の発明は、光部品の接続端面に露出する光通路端面を含む領域が請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の研磨方法により研磨されて周りの接続端面よりも略1〜5μm突き出されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0020】
さらに、光部品の第2の発明は、光部品の接続端面に複数の光通路端面が露出されている光部品であって、光部品の接続端面に露出する光通路端面を含む領域が請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の研磨方法により研磨されて光通路端面を含む領域が周りの接続端面よりも突き出されており、各光通路の光通路端面を含む領域間の突き出し量の不揃いは0.5μm以下と成している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
上記構成の本発明において、光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置に凹部を形成した研磨補助部材を、光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置し、光部品の接続端面研磨を行うために、前記凹部に対向する光通路側の接続端面部分は殆ど研磨されずに、その周りの光部品の接続端面のみが研磨媒体によって研磨される。そのため、前記凹部に対向する光通路端面を含む領域の周りの端面研磨を短い時間で行って光通路端面を含む領域を光部品の接続端面から突出させた状態とすることが可能となり、研磨時間等の研磨条件を自在に設定して、所望の長さの光通路端面側の突き出し量を得ることが可能となり、上記解決すべき課題が解決される。
【0022】
なお、本明細書では、「光通路端面を含む領域」という用語は、光通路端面のみの領域(光通路端面と合同の領域)を意味する場合と、該光通路端面よりも外側に張り出した光通路端面を含む領域(光通路端面を囲んで該光通路端面よりも大きい領域)を意味する場合との両方を意味する概念で使用している。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は簡略化又は省略する。図1、2には、本発明に係る光部品端面の研磨方法を適用する研磨装置の一実施形態例の要部構成が、光部品としての多心光コネクタ1および、この光コネクタ1の研磨に用いられる研磨補助部材であるフェルール3を取りつけた状態で示されている。なお、図1には、この研磨装置の正面図が、図2には、その側面図がそれぞれ示されており、図1において、光コネクタ1およびフェルール3は、断面図により示されている。また、図4には、この研磨装置の全体図が模式的に示されており、図1,2に示す構成部分は、図4に示す装置の第3研磨工程部位30に設けられている。
【0024】
図4に示すように、この研磨装置は、制御機能を備えた架台25上に、第1研磨工程部位28,第2研磨工程部位29および第3研磨工程部位30を設けて構成されており、第1,第2研磨工程部位28,29にはそれぞれ、砥石回転部21,22とコネクタ保持部17,18と、移動機構23,24が設けられており、第3研磨工程部位30には光コネクタ1の端面を研磨するための研磨媒体の供給ユニット27が設けられている。第2研磨工程部位29に設けられている砥石回転部21の砥石(図示せず)は、第1研磨工程部位28の砥石回転部22の砥石(図示せず)よりもきめの細かい砥石により構成されており、また、各移動機構23,24は、各コネクタ保持部17,18を各砥石回転部21,22に対して図の左右と前後(紙面に対して垂直な方向)に移動させるものである。
【0025】
本実施形態例では、第1研磨工程部位28と第2研磨工程部位29を以上のような構成にすることにより、光コネクタ1の接続端面5を、第1研磨工程部位28において粗研磨し、その後、第2研磨工程部位29において、例えば接続端面5の斜面の角度を8度とするといったように、予め定められた形状にきれいに研磨するように構成している。そして、その後、第3研磨工程部位30に光コネクタ1を移動させるようにしており、第3研磨工程部位30は、光コネクタ1の接続端面5から光ファイバ4を突出させて仕上げる工程部位としている。
【0026】
図1,2に示されるように、本実施形態例の光部品端面の研磨装置は、光部品の保持部としてのコネクタ保持部16と、このコネクタ保持部16に保持される光コネクタ1の接続端面5との間に研磨媒体20を介してフェルール3を配置するフェルール配置部15を有して構成されている。なお、例えばフェルール配置部15には、図示されていないばね等が設けられており、フェルール3をフェルール配置部15に配置すると、フェルール3がそのばね等によって光コネクタ1側に押し付けられるようになっている。
【0027】
本実施形態例で用いた光コネクタ1は、従来例と同様に、石英ガラス製の光ファイバ4および、ガラスフェラーとエポキシ樹脂材質の成形体のフェルール2を有して形成されている。また、フェルール3は、光コネクタ1の接続端面5に露出している光ファイバ4に対応する位置に凹部としての光ファイバ挿通孔8を形成したものであり、フェルール3は、光コネクタ1のフェルール2と同形状、同材質と成している。なお、図の簡略化のために、図1においては、フェルール2,3の各光ファイバ挿通孔7,8と光コネクタ1の光ファイバ4はそれぞれ2本づつ示しているが、実際には、それよりも多い本数が用いられる場合が多く、例えば、図3,5,6に示す例では、前記光ファイバ挿通孔7,8および光ファイバ4は、それぞれ4本づつ設けられている。
【0028】
また、各光ファイバ挿通孔7,8は断面が円形状であり、その内径(孔直径)Rは約126μmであり、光ファイバ4の外径(125μm)よりも少しだけ大きく形成されている。また、フェルール2の接続端面5およびフェルール3の端面6は、図5,6に示すように、光ファイバ4の光軸に直交する面と、光軸に直交する面に対して8度傾いた斜面とにより形成されている。
【0029】
光コネクタ1における光ファイバ4の固定領域両側には、ピン嵌合穴9が形成され、フェルール3の光ファイバ挿通孔8の両側には、光コネクタ1のピン嵌合穴9に対応する位置にピン嵌合穴10が形成されており、本実施形態例では、フェルール3のピン嵌合穴10と光コネクタ1のピン嵌合穴9とに、嵌合ピンとしての段付ガイドピン11が挿入されている。なお、この段付ガイドピン11の細径ピン13側が光コネクタ1のピン嵌合穴9に挿入されている。
【0030】
前記フェルール配置部15にはシャフト26を介して超音波発生装置(超音波振動発生装置)14が設けられており、超音波発生装置14は、図4に示したように、架台25内に設けられている。この超音波発生装置14は、前記の如くフェルール3を光コネクタ1の側に押し付けた状態で、フェルール3を、該フェルール3とフェルール2との端面間隔を相対的に広狭振動変化する方向に移動するものであるが、図1に示す例では、フェルール3を光ファイバ4の光軸方向に相対振動移動させることによって光ファイバ4の接続端面をフェルール2の接続端面5よりも突出させて研磨する研磨用移動機構として機能する。
【0031】
本実施形態例は以上のように構成されており、次に、この研磨装置を用いた光コネクタの接続端面5側の研磨方法について説明する。まず、図4に示した第1研磨工程部位28のコネクタ保持部18に光コネクタ1を保持し、その接続端面5側を砥石回転部22側に向けた状態として接続端面5を粗研磨する。次に、第2研磨工程部位29に光コネクタ1を移動させ、コネクタ保持部17に保持し、その接続端面5側を砥石回転部21側に向けて研磨することにより、光コネクタ1の光ファイバ4の端面とフェルール2の接続端面5をきれいに仕上げ研磨する。その後、光コネクタ1を第3研磨工程部位30に移動させる。
【0032】
次に、図1,2に示すように、光コネクタ1をフェルール3の上部側に配置して、段付ガイドピン11を光コネクタ1のピン嵌合穴9に挿入し、光コネクタ1の接続端面5とフェルール3の端面6との間に研磨部材20(例えば粒径3μmのダイヤモンド砥粒)を介在させて、光コネクタ1をコネクタ保持部16によって保持する。そして、この状態で、超音波発生装置14を駆動させて20KHzの超音波を約20秒間発生させ、フェルール3を光ファイバ4の光軸Z方向に振動させて相対移動させ、光コネクタ1の接続端面5を研磨する。
【0033】
そうすると、図7に示すように、フェルール3の振動が研磨媒体20に伝えられて研磨媒体20が光ファイバ4の光軸方向に移動し、光コネクタ1の接続端面5の研磨が行われるが、フェルール3には、光コネクタ1の光ファイバ4に対応する位置(光ファイバ4の端面を含む領域に対応する位置)に光ファイバ挿通孔8が形成されているために、同図に示すように、研磨媒体20は光ファイバ4の接続端面側に衝突することは殆どなく、フェルール3の光ファイバ挿通孔8に落ちていき、このことにより、光コネクタ1の光ファイバ4の接続端面は殆ど研磨されず、凹部(光ファイバ挿通孔8)の周りのフェルール2の接続端面5のみが研磨される。
【0034】
本実施形態例によれば、上記のように、光コネクタ1の端面研磨において、光ファイバ4の接続端面側を殆ど研磨せずに、その周りのフェルール2の接続端面5のみを研磨することができるために、非常に短時間で、光ファイバ4の接続端面側をフェルール2の接続端面(光部品の接続端面)5から突出させた状態に研磨することが可能となり、例えば超音波発生装置14の駆動時間等を調節することにより、所望の光ファイバ突き出し量を容易に、かつ、確実に得ることができる。
【0035】
実際に、本実施形態例の研磨装置を用いて上記研磨方法により光コネクタ1の端面研磨を行ったところ、図8に示すように、光ファイバ4の接続端面をその周辺のフェルール2の接続端面5よりも3μm程度突き出して研磨することを、非常に短時間で、容易に行えることが確認された。そして、このように、光ファイバ4の接続端面がフェルール2の接続端面5から3μm程度突出した光コネクタ1を用いて、図15に示したように光コネクタ1同士の光接続を行ったところ、極めて良好な光ファイバ4のPC接続を行うことができた。
【0036】
また、本実施形態例によれば、光コネクタ1の研磨補助部材として、光コネクタ1のフェルール2と同形状のフェルール3を用いており、光コネクタ1のフェルール2のピン嵌合穴9とフェルール3のピン嵌合穴10とに段付ガイドピン11を挿入して光コネクタ1とフェルール3の位置決めを行うために、非常に容易に、かつ、正確に、この位置決めを行うことが可能となり、上記光コネクタ1の端面研磨を非常に容易に、かつ、正確に行うことができる。
【0037】
さらに、本実施形態例によれば、この光コネクタ1とフェルール3との位置決め用に用いられる段付ガイドピン11は、図の上部側が細径ピン13と成しており、この細径ピン13を光コネクタ1のピン嵌合穴9に挿入して研磨を行うために、細径ピン13とピン嵌合穴9との間に比較的大きな隙間が生じるため、研磨媒体20によってピン嵌合穴9の研磨が行われることを抑制できる。そのために、ピン嵌合穴9の径が大きくなってしまうといった支障が生じることを確実に防止することができる。
【0038】
なお、この実施形態例における光通路端面を含む領域(光通路を含む微小領域)の大きさは、その領域にに対向する研磨補助部材の凹部8の大きさと、光コネクタ1と研磨補助部材との位置決め精度等によって自由自在に決められるものである。
【0039】
例えば、光通路としての光ファイバ4の直径を125μmとした光コネクタ1に対して、研磨補助部材としてのフェルール3の凹部(光ファイバ挿通孔)8の直径を126μmとし、段付ガイドピン11の太径を0.698mm、細径を0.660mmとして研磨を行ったところ、突出された光通路端面を含む微小領域は直径約80μmの範囲であった。これは、光通路の光ファイバの中心コアの直径10μmの外径部分から離れたグランド部分は研磨されるものの、コアとその周辺近傍には研磨媒体が触れていないことを意図するものである。
【0040】
また、上記のフェルール3の光ファイバ挿通孔8の直径を約180μmに変更して研磨を行ったところ、研磨されない「光通路端面を含む微小領域」の範囲は、直径125μmの光ファイバを含む直径約135μmの範囲であった。さらに、段付でなく外径0.690mmのストレートのピン(ピン嵌合穴は直径0.7mm)をガイドピン11に使用し、上記フェルール3の光ファイバ挿通孔8の直径を約136μmにして同様の研磨を行ったところ、研磨されない「光通路端面を含む微小領域」の範囲は、光ファイバ4の直径に等しい直径125μmの範囲であり、条件を変えることにより、研磨されない「光通路端面を含む微小領域」の範囲を自在に可変調整できることを検証することができた。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記実施形態例では、研磨媒体20は、粒径3μmのダイヤモンド砥粒としたが、研磨媒体の砥粒径サイズや種類等は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものであり、例えばアルミナ等としてもよく、また、これらのアルミナやダイヤモン等を含むラップ液等としてもよい。例えば、粒径9μmのダイヤモンド砥粒を用いて上記実施形態例と同様に光コネクタ1の端面研磨を行ったところ、光ファイバ4の接続端面を含む領域(光ファイバ4の接続端面を含む微小領域)をその周りのフェルール2の接続端面から10μm程度突出させることができた。
【0042】
また、光コネクタ1等の光部品の研磨に用いられる研磨媒体20は、必ずしも1種類のものとするとは限らず、数種類の研磨媒体を混合させて用いてもよいし、光ファイバ4等の光通路突き出し量に合わせて複数段階の研磨を行うようにし、この各段階毎に研磨媒体20の種類等を代えるようにしてもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態例では、フェルール3は光コネクタ1のフェルール2と同じ形状、同じ材質のものとしたが、フェルール3は例えば金属等により形成したフェルールとしてもよい。
【0044】
さらに、上記実施形態例では、フェルール3の光ファイバ挿通孔8は貫通の孔としたが、光ファイバ挿通孔8等のような凹部は必ずしも貫通の孔とするとは限らず、光ファイバ4等の光通路端面に対応する位置や、光ファイバ4等の光通路端面を含む領域に対応する位置に形成されている凹部であればよい。また、図9の(a)に示すように、フェルール3の光ファイバ挿通孔8等の凹部に、フェルール3の形成材質よりも軟質な軟質部材19を凹部(光ファイバ挿入孔8)の空間を完全に埋める形態で設け(つまり、研磨補助部材の凹部の形成位置に凹部の代わりに軟質部材19を設け)てもよく、あるいは、図9の(b)に示すように凹部(光ファイバ挿入孔8)の表面側にわずかの空間部を残して凹部空間に軟質部材19を充填形成したものでもよい。このように、フェルール3の形成材質の弾性ヤング率E2よりも軟質部材19の弾性ヤング率E1を小さいものとすると、研磨媒体20によって光コネクタ1の端面研磨を行うときに、凹部に対向する部分に伝わる加工エネルギーがその周りのフェルール2に加えられる加工エネルギーよりも小さくなり、したがって、上記実施形態例の場合と同様な効果をもって、光ファイバ4の接続端面を含む領域をそれらの周りのフェルール2の接続端面5よりも突き出した状態に研磨することができる。
【0045】
特に、図9の(a),(b)に示すように、フェルール3の光ファイバ挿通孔8等の凹部に、フェルール3の形成材質よりも軟質な軟質部材19を設けて光コネクタ1(フェルール2)の接続端面を研磨する場合には凹部(軟質部材19)に対向する光ファイバ4の接続端面に微弱な研磨力が作用するので、前の研磨工程(第2研磨工程部位29での研磨工程)の終了段階で、光通路端面(ファイバ端面)の研磨が多少不十分であったとしてもこの第3研磨工程部位30で微少の研磨が引き続き行われることとなるので、光通路端面をきれいに研磨でき、しかも、前記のように、凹部8に対向する以外の部分の研磨が促進的に行われることから、前記光ファイバ4の接続端面を含む領域をそれらの周りのフェルール2の接続端面5よりも効果的に突き出し研磨することができる。
【0046】
さらに、上記実施形態例では、フェルール3の光ファイバ挿通孔8は、断面が円形状の孔としたが、例えば図10の(a),(b)に示すように、光ファイバ挿通孔8の代わりに、断面が三角形状や四角形状の凹部32をフェルール3の端面6側に設けてもよい。このように、フェルール3等の研磨補助部材に設ける凹部の形状等は特に限定されるものではなく。光ファイバ4等の光通路の端面形状等に対応させる等して適宜設定されるものである。
【0047】
さらに、上記実施形態例では、光コネクタ1のピン嵌合穴9とフェルール3のピン嵌合穴10に嵌合ピンとして段付ガイドピン11を挿入して光コネクタ1とフェルール3の位置あわせを行ったが嵌合ピンとして段のないストレートピンを上記各ピン嵌合穴9,10に挿入するようにしてもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態例では、光コネクタ1の接続端面5側を研磨する際に、フェルール3と光コネクタ1との位置合わせを、光コネクタ1のピン嵌合穴9とフェルール3のピン嵌合穴10に段付ガイドピン11を挿入して行ったが、光コネクタ1の外形とフェルール3の外形を基準として光コネクタ1とフェルール3の位置合わせを行うことによって、光コネクタ1の接続端面5に露出している光ファイバ4にフェルール3の光ファイバ挿通孔8を位置合わせして光コネクタ1の接続端面5の研磨を行うようにしてもよい。
【0049】
さらに、上記実施形態例では、超音波発生装置14により、フェルール3側を振動させたが、フェルール3側を振動させる代わりに光コネクタ1側を振動させてもよく、あるいは、光コネクタ1とフェルール3の両方を振動させて両者を相対移動させ、光コネクタ1の接続端面5の研磨を行うようにしてもよい。また、これら、光コネクタ1の端面とフェルール3の端面との一方又は両方を振動する研磨用移動機構(光コネクタ1の端面とフェルール3の端面との端面間隔を広狭振動変化する機構)は、超音波発生装置14に代えてバイブレータ装置を用いるようにしてもよい。さらに、その振動方向(光コネクタ1の端面とフェルール3の端面との端面間隔を広狭振動変化する方向)を光通路(光ファイバ4)の光軸方向としたが、光軸方向に対して角度をもった斜め向きとしてもよく、光コネクタ1の端面とフェルール3の端面との端面間隔を広狭振動変化する方向であればその移動の角度は問わない。
【0050】
さらに、上記実施形態例では、光コネクタ1の端面研磨を行うときに、超音波発生装置60により20KHzの超音波を約20秒間発生させて研磨を行ったが、超音波発生装置14から発生する発生周波数や超音波発生時間等は特に限定されるものではなく適宜設定されるものであり、これらの超音波発生周波数や超音波発生時間を適宜設定することにより、所望の光ファイバ突き出し量を得ることができる。
【0051】
さらに、上記実施形態例では、フェルール配置台15にばねを設けてフェルール3を光コネクタ1側に押し付けるようにしたが、このように、フェルール3を光コネクタ1側に押し付ける手段は、ばねとは限らず、適宜設定されるものである。また、フェルール3を光コネクタ1側に押し付ける代わりに、光コネクタ1側をフェルール3側に押し付けるようにしてもよいし、光コネクタ1およびフェルール3を互いに相手側に押し付けるように配置してもよい
【0052】
さらに、光コネクタ1とフェルール3の配設部分の構成は例えば、図14,図15に示すような他の構成形態を採り得る。図14に示すものは、光コネクタ1の上側を押え部材110で押さえ、圧縮ばね100の押し付け力を光コネクタ1に加えて、超音波振動により研磨を行う構成としたものである。
【0053】
図15に示すものは、超音波発生装置14に代えてバイブレータ装置を設け、光コネクタ1はその上側でホルダ210で保持し、ホルダ210とストッパ200との間には隙間δを確保し、この状態でバイブレータ装置を駆動して振動を与え、光コネクタ1の端面研磨を行う構成としたものである。この図15の構成においては、バイブレータによって振動を与えると、光コネクタ1とホルダ210とが一体となって振動の押し上げ力を受けてストッパ200に衝突し、次にその反動で下方に復帰移動するが、その帰り移動中にまた次のバイブレータ振動の押し上げ力を受けてストッパ200に衝突するという如く、繰り返し振動移動が行われることで、光コネクタ1の端面研磨が行われる。
【0054】
上記図14,図15のいずれの構成も、光コネクタ1とフェルール3の間に砥粒(研磨媒体)20が介在されることで、好適な研磨が達成される。
【0055】
さらに、上記実施形態例では、超音波発生装置14を用いてフェルール3を振動させて光コネクタ1の接続端面研磨を行ったが、超音波発生装置14を用いずに、光コネクタ1とフェルール3の一方又は両方に圧力を加える加圧研磨方式の研磨用移動機構を用いて、光コネクタ1とフェルール3の少なくとも一方を光ファイバ4の光軸方向等、光コネクタ1の端面とフェルール3の端面との端面間隔を振動変化する方向に相対移動させて、研磨部材20によって光コネクタ1の接続端面5を研磨するようにしてもよい。
【0056】
さらに、上記実施形態例では、1つの光コネクタ1の接続端面研磨方法について述べたが、例えば光コネクタ1等の光部品の保持部は複数の光部品を共に保持する構成とし、超音波発生装置14等の研磨用移動機構は、光部品の保持部に保持される光部品群の接続端面とフェルール3等の研磨補助部材との間に研磨媒体20を介在させた状態で、研磨補助部材と光部品群の少なくとも一方を光ファイバ4等の光通路の例えば光軸方向等、光コネクタ1の端面とフェルール3の端面との端面間隔を広狭振動変化する方向に相対移動させることによって、光部品群の光通路の接続端面を含む領域その周りのフェルール2等のハウジングの接続端面よりも突出させて研磨する構成としてもよい。このようにして、光部品の端面を一括研磨する装置を構成すると、より一層効率的に光部品の端面研磨を行うことができる。
【0057】
さらに、上記実施形態例では、光コネクタ1は石英ガラス製の光ファイバ4および、ガラスフェラーとエポキシ樹脂の成形体のフェルール2を有するものとしたが、本発明の光部品端面の研磨方法および研磨装置を用いて研磨を行う光コネクタ1の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ジルコニア等のセラミックスとしても構わない。
【0058】
さらに、上記実施形態例では、接続端面5が斜面を有する多心光コネクタ1の接続端面5を研磨する方法について述べたが、本発明の光部品端面の研磨方法および研磨装置は、接続端面5が光ファイバ4の光軸に垂直な面の多心光コネクタ1の端面研磨や、図14の(b)の鎖線に示すように、光ファイバ4がフェルール2に斜めに設けられたり、ピン嵌合穴9がフェルール2に斜めに設けられたりした光コネクタ1の端面研磨や、接続端面5が曲面の単心光コネクタ1等の様々な光コネクタ1の接続端面5を研磨する際に適用されるものである。
【0059】
さらに、上記実施形態例では、研磨補助部材として、光コネクタ1と同形状、同材質のフェルール3を用いて光コネクタ1の端面研磨を行ったが、研磨補助部材は必ずしもフェルール3とするとは限らず、光部品の光通路端面に対応する位置又は光部品の光通路端面を含む領域に凹部を形成するか、又は図9の(b)に示すようにその凹部に軟質部材19を充填するか、或いは、図9の(a)に示すように、光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置にその周りよりも軟質な軟質部材を設けた研磨補助部材を用いて光部品端面の研磨を行うことができる。
【0060】
さらに、本発明の光部品端面の研磨方法および研磨装置は、光コネクタ1のみならず、光ファイバ4や光導波路等の光通路を接続端面に突出させている様々な光部品の端面研磨方法および研磨装置として適用されるものであり、それらの光部品の接続端面を研磨することによって、光通路(光通路端面を含む領域)を光部品の接続端面から突出させて仕上げる光部品端面の研磨方法および研磨装置として広く適用されるものである。
【0061】
さらに、本発明の光部品端面の研磨方法および研磨装置は、上記実施形態例に示した石英系光ファイバとプラスチック系のフェルールから構成される光部品に限定されることなく、例えば図11に示されるような構成形態の光部品の研磨方法および研磨装置としても適用できるものである。
【0062】
この図11に示す光部品は、ハウジングとしてのフェルール2に光通路としての多心(図では8心)のコア(材質石英)を形成したSiや石英基板を収容したもので、多心のコアは光コネクタ1の接続端面5に露出されており、接続端面5は光通路の光軸に対し82度の傾斜面Aと光通路の光軸に対し直交する面Bとを有している。
【0063】
この図11に示される光部品を、上記実施形態例の場合と同様な凹部8を設けた研磨補助部材としての8心フェルールを用いて同様な研磨を行ったところ、10μm角のコアをもつ各光通路毎に直径約80μmの光通路端面を含む領域を短時間の研磨で2μm突出させることができた。勿論、その突き出し量は制約されることなく、研磨時間等の条件を制御することによって、所望の突き出し量が得られる。
【0064】
この場合、上記8心フェルールに代えて図12に示すような長方形の凹部8を有するフェルールを研磨補助部材として使用することにより、図13に示すような8心のコアを一括的に含む長方形の微小領域の端面を所望量突出させることができる。
【0065】
次に、上記実施形態例の研磨方法を用いた光部品研磨の具体例を説明する。
【0066】
(具体例1)
研磨対象:
12心MPO光コネクタをワークとして接続端面を研磨した。
研磨条件:
超音波方式、周波数20KHz、押し付け力0.1kgf、研磨媒体20として粒径3μmのダイヤモンド砥粒を使用。研磨時間は約20秒とした。
研磨結果:
光ファイバ端面を含む領域の突出量は4μm、光ファイバ端面同士の突き出し量の不揃いは0.5μm以下であった。
【0067】
この研磨された光コネクタの接続性能を調べたところ、整合剤を用いた場合と用いない場合の接続損失の変動は0.02dB以下であり、極めて良好なPC接続を達成することができた。
【0068】
(具体例2)
研磨対象:
12心MPO光コネクタをワークとして接続端面を研磨した。
研磨条件:
バイブレータによる振動方式、バイブレータ周波数100Hz、バイブレータ振幅約90μm、コネクタホルダ210の重量300gf、コネクタホルダ振幅約200μm、コネクタホルダ210の振動周波数約100Hz、ストップ時における光コネクタ1とフェルール3の初期端面間隔約150μm、研磨媒体20として粒径6μmのダイヤモンド砥粒を使用。研磨時間は約120秒とした。
研磨結果:
光ファイバ端面の突き出し量は2μm、光ファイバ端面同士の突き出し量の不揃いは0.5μm以下であった。
【0069】
この研磨された光コネクタの接続性能を調べたところ、整合剤を用いた場合と用いない場合の接続損失の変動は0.02dB以下であり、極めて良好なPC接続を達成することができた。
【0070】
【発明の効果】
本発明の光部品端面の研磨方法および研磨装置によれば、光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置に凹部を形成した研磨補助部材を光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置し、研磨補助部材と光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭振動変化する方向に相対移動させて光部品の接続端面を研磨するものであるから、上記相対移動により、上記研磨補助部材の凹部形成部位以外の領域、すなわち、光部品の光通路端面を含む領域以外の領域のみを研磨し、光部品の接続端面を含む領域は殆ど研磨しないようにできるために、非常に短時間で、容易に、かつ、正確に光部品の光通路の接続端面を含む領域をその周りの光部品の接続端面よりも突出させることができる。
【0071】
そのため、本発明によれば、研磨時間等の研磨条件を適切に設定することにより、光ファイバ等の光通路端面を含む領域を例えば、略1〜5μmの範囲内の所望の突き出し量にすることができるために、例えば光ファイバを備えた光コネクタにおいて、光ファイバの接続端面を光ファイバの周りのフェルールよりも突出させて光コネクタ同士を接続することにより、光ファイバ同士の良質なPC接続を確実に得ることができる。
【0072】
また、上記研磨補助部材の凹部(凹部形成位置)に該凹部の周りの研磨補助部材形成材質よりも軟質な軟質部材を設けるか、又は、光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置にその周りよりも軟質な軟質部材を設けた本発明の光部品端面の研磨方法によれば、この軟質部材とその周りの研磨補助部材形成材質の弾性ヤング率の違いによって、光部品の光通路端面又は当該光通路端面を含む領域に加える加工エネルギーをその周りの光部品の接続端面に加える加工エネルギーよりも小さくすることができるために、上記と同様の効果を奏することができる。
【0073】
さらに、上記研磨補助部材は光ファイバ挿通孔を形成したフェルールとし、この光ファイバ挿通孔を凹部とする光部品端面の研磨方法によれば、コネクタ側フェルールの光ファイバ挿通孔に光ファイバを挿通固定した光コネクタの接続端面研磨を、上記研磨補助部材を用いて同様に、容易に、かつ、正確に行うことができる。
【0074】
さらに、光部品はフェルールに光ファイバを挿通固定して該光ファイバ固定領域の両側に接続用のピン嵌合穴を形成して成る光コネクタとし、研磨補助部材の光ファイバ挿通孔の両側には前記光コネクタのピン嵌合穴に対応する位置にピン嵌合穴を形成し、該研磨補助部材のピン嵌合穴と前記光コネクタのピン嵌合穴とに嵌合ピンを挿入して光部品の接続端面の研磨を行う本発明の光部品端面の研磨方法によれば、上記嵌合ピンを挿入して行われる光コネクタと研磨補助部材との位置合わせを非常に容易に、かつ正確に行うことができるために、非常に容易に、かつ、正確に、光ファイバ端面を含む領域を短時間の研磨によりフェルールの接続端面から所望量突出させることができる。
【0075】
さらに、光部品の外形と研磨補助部材の外形を基準として光部品の接続端面に露出している光通路端面に研磨補助部材の凹部を位置あわせして光部品の接続端面の研磨を行う本発明によれば、上記嵌合ピンを挿入して光部品と研磨補助部材との位置合わせを行う発明の場合と同様に、光部品と研磨補助部材の位置合わせを容易に、かつ正確に行い、上記のような光部品端面の研磨を非常に容易に、かつ正確に行うことができる。
【0076】
さらに、研磨補助部材と光部品の少なくとも一方に超音波振動又はバイブレータによる振動を加えることにより研磨補助部材と光部品の少なくとも一方を互いの端面間隔を広狭振動変化する方向に相対移動させる本発明の光部品端面の研磨方法によれば、超音波振動によって研磨補助部材と光部品の少なくとも一方を容易に制御移動させて、上記のような光部品端面の研磨を非常に容易に、かつ正確に行うことができる。また、超音波やバイブレータの振動エネルギを容易に可変調節できるという利点も得られる。
【0077】
さらに、光部品の保持部は複数の光部品をともに保持する構成とし、研磨用移動機構は該光部品の保持部に保持される光部品群の接続端面と前記研磨補助部材との間に研磨媒体を介在させた状態で該研磨補助部材と前記光部品群の少なくとも一方を互いの端面間隔を広狭変化する方向に相対移動させることによって光部品群の前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの前記ハウジングの接続端面よりも突出させて研磨する構成とした本発明の光部品端面の研磨装置によれば、光部品群の端面研磨を一括して行うことができるために、より一層効率的に上記のような光部品端面の研磨を行える優れた装置とすることができる。
【0078】
さらに、上記研磨用移動機構を超音波振動発生装置又はバイブレータによる振動発生装置とした本発明の光部品端面の研磨装置によれば、超音波やバイブレータの振動発生装置によって振動を発生させ、上記研磨補助部材と光部品の少なくとも一方を互いの端面間隔を広狭振動変化する方向に相対移動させて、上記のような光部品端面の研磨を非常に容易に、かつ、正確に行える装置とするこができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光部品端面の研磨装置の一実施形態例を示す要部構成正面図である。
【図2】上記実施形態例の光部品の研磨装置の要部構成を示す側面図である。
【図3】上記実施形態例の研磨装置に配設された光コネクタ1の光ファイバ配設領域とフェルール3の光ファイバ挿通孔配設領域を拡大して示す説明図である。
【図4】上記実施形態例の光部品の研磨装置の全体構成図である。
【図5】上記実施形態例の光部品の研磨装置に配設される光コネクタ1の一例の接続端面側から見た正面図(a)と、この光コネクタ1の側面図(b)である。
【図6】上記実施形態例の光部品の研磨装置に配置されるフェルール3の側面図(a)と、フェルール3の端面側から見た正面図(b)である。
【図7】上記実施形態例の光部品の研磨装置を動作させたときに生じる研磨媒体の動きを示す説明図である。
【図8】上記実施形態例の光部品の研磨装置を用いて接続端面側を研磨した光コネクタを断面図(a)と側面図(b)により示す説明図である。
【図9】本発明に係る光部品の研磨方法に用いられるフェルールの別の例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る光部品端面の研磨方法に用いられるフェルールの他の凹部形成例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る光部品端面の研磨方法に用いられる光コネクタの別の構成形態例を示す説明図である。
【図12】本発明に係る光部品端面の研磨方法に用いられるフェルールのさらに他の凹部形成例を示す説明図である。
【図13】図11の光コネクタを図12のフェルールを用いて研磨した後に得られる光コネクタの接続研磨端面の説明図である。
【図14】光コネクタ1とフェルール3の配設部分の他の構成を示す実施形態例の説明図である。
【図15】光コネクタ1とフェルール3の配設部分のさらに他の構成を示す実施形態例の説明図である。
【図16】多心光コネクタの一例を斜視図(a)と、(a)のA−A断面図により示す説明図である。
【図17】多心光コネクタの接続構造例を示す説明図である。
【図18】従来の光コネクタ端面の研磨方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 光コネクタ
2,3 フェルール
4 光ファイバ
5 接続端面
6 端面
7,8 光ファイバ挿通孔
14 超音波発生装置
15 フェルール配置部
16 コネクタ保持部
20 研磨媒体
Claims (12)
- 光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置に凹部を形成した研磨補助部材を該光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置し、該研磨補助部材と前記光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭変化する方向に相対移動させて光部品の接続端面を研磨し、前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの光部品の接続端面よりも突出させることを特徴とする光部品端面の研磨方法。
- 光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置にその周りよりも軟質な軟質部材を設けた研磨補助部材を該光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置し、該研磨補助部材と前記光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭変化する方向に相対移動させて光部品の接続端面を研磨し、前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの光部品の接続端面よりも突出させることを特徴とする光部品端面の研磨方法。
- 研磨補助部材の凹部には該凹部の周りの研磨補助部材形成材質よりも軟質な軟質部材を設けることを特徴とする請求項1記載の光部品端面の研磨方法。
- 研磨補助部材は光ファイバ挿通孔を形成したフェルールとし、該光ファイバ挿通孔を凹部とすることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の光部品端面の研磨方法。
- 光部品はフェルールに光ファイバを挿通固定して該光ファイバ固定領域の両側にピン嵌合穴を形成して成る光コネクタとし、研磨補助部材の光ファイバ挿通孔の両側には前記光コネクタのピン嵌合穴に対応する位置にピン嵌合穴を形成し、該研磨補助部材のピン嵌合穴と前記光コネクタのピン嵌合穴とに嵌合ピンを挿入して光部品の接続端面の研磨を行うことを特徴とする請求項4記載の光部品端面の研磨方法。
- 光部品の外形と研磨補助部材の外形を基準として光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に研磨補助部材の凹部を位置あわせして光部品の接続端面の研磨を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載の光部品端面の研磨方法。
- 研磨補助部材と光部品の少なくとも一方に超音波振動又はバイブレータによる振動を加えることにより研磨補助部材と光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭振動変化する方向に相対移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の光部品端面の研磨方法。
- 光部品の保持部と、該光部品の保持部に保持される光部品の接続端面に露出している光通路端面を含む領域に対応する位置に凹部を形成した研磨補助部材を前記光部品の接続端面との間に研磨媒体を介して対向配置する研磨補助部材配置部と、該研磨補助部材と前記光部品の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を広狭変化する方向に相対移動させることによって前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの接続端面よりも突出させて研磨する研磨用移動機構とを有することを特徴とする光部品端面の研磨装置。
- 光部品の保持部は複数の光部品をともに保持する構成とし、研磨用移動機構は前記光部品の保持部に保持される光部品群の接続端面と研磨補助部材との間に研磨媒体を介在させた状態で該研磨補助部材と前記光部品群の少なくとも一方を互いの対向端面間隔を振動変化する方向に相対移動させることによって光部品群の前記光通路の接続端面を含む領域をその周りの光部品の接続端面よりも突出させて研磨する構成としたことを特徴とする請求項8記載の光部品端面の研磨装置。
- 研磨用移動機構は超音波振動発生装置又はバイブレータによる振動発生装置としたことを特徴とする請求項8又は請求項9記載の光部品端面の研磨装置。
- 光部品の接続端面に露出する光通路端面を含む領域が請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の研磨方法により研磨されて周りの接続端面よりも略1〜5μm突き出されていることを特徴とする光部品。
- 光部品の接続端面に複数の光通路端面が露出されている光部品であって、光部品の接続端面に露出する光通路端面を含む領域が請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の研磨方法により研磨されて光通路端面を含む領域が周りの接続端面よりも突き出されており、各光通路の光通路端面を含む領域間の突き出し量の不揃いは0.5μm以下と成している光部品。
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