JP4778864B2 - 銀付調皮革様シート状物の製造方法 - Google Patents
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さらには、多孔層が高分子弾性体溶液を湿式凝固させて得たものであることが好ましい。
本発明の皮革様シート状物は、繊維質基体上に多孔質層を有するものである。本発明で用いられる繊維質基体としては、繊維集合体、あるいはこの繊維集合体に高分子弾性体を含浸させた複合繊維集合体が使用でき、従来から人工皮革用として用いられているものが該当する。厚さとしては0.2〜5mm、さらには0.4〜2.5mmであることが好ましい。繊維集合体としては、不織布や織編物が挙げられ、これらを構成する繊維としては、例えばポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維、または綿、麻、羊毛などの天然繊維、またはレーヨンなどの半合成繊維が挙げられ、また、これらの2種以上の混合であってもよい。
高分子重合体からなる多孔質層は、前述の繊維質基体上に直接、コーティング法などにより形成することができる。
逆にヌバック的な表面、すなわち高分子弾性体の多孔開孔部があたかも天然皮革の立毛(ヌバック)であるかのような表面を有するヌバック調の皮革様シート状物(人工皮革)とする場合には、その表面のほとんどが開孔部であることが好ましい。このようなヌバック的な凹凸の多い表面を有する場合であっても、インクジェットなどように一方向から放出されるインクを用いた場合、微細な図柄をそのシート状物表面に形成でき、表面凹凸の影響は画像の解像度をあまり低下させず、逆に磨耗堅牢度等の耐久性が向上される効果がある。
多孔層を開孔させるために溶剤を塗布する方法とは、より具体的には繊維質基材上に形成された多孔質膜表面を多孔質を構成する成分の良溶剤、貧溶剤、良溶剤と貧溶剤の混合溶剤、または良溶剤と非溶剤の混合溶剤のいずれかをグラビアメッシュロールで塗布して、開放孔を形成させる方法である。たとえば多孔質を構成する成分がポリウレタンであった場合、多孔質ポリウレタン層の表面に開放孔を出現させるためには、多孔質ポリウレタン層の表面に、ポリウレタンの、良溶剤、貧溶剤、良溶剤と貧溶剤の混合溶剤、または良溶剤と非溶剤の混合溶剤のいずれかを、グラビアメッシュロールで塗布することにより得られる。
JIS−L0824に準ずる方法で50時間、カーボンアークの光照射を施した後の変退色を観察し、変化が無いものを5級とし、変退色が激しく元の図柄が読み取れないものを1級、元の図柄は残しているが変退色しているものを3級として判定した。
各実施例、比較例で得られたインクジェット方式で印刷された図柄を表面に有する皮革様シート状物表面と、表面がポリウレタンで形成された一般的な白色の人工皮革の表面とを、A6サイズの面積で重ね合わせ、均一に2kgの荷重を与えて70℃の雰囲気下に3日間放置した後の白色人工皮革表面への色移行を観察し、白色の人工皮革表面に移行していないものを5級とし、激しく移行して白色人工皮革のほぼ全面に着色されているものを1級、3割から5割の面積が着色されているものを3級として判定した。
ASTM D−3886法に準じ、サンドペーパーとして、HANDY ROLL P320J(NORTON社製)を使用し、摩耗部位の繊維層が露出した大きさが直径10mmに到達する回数とした。
JIS K6301法に準じ、引張速度50mm/分で100mm剥離させ、20mm毎のミニマム値5点の平均値をN/cmで表し剥離強力とした。
<繊維集合体−1の作成>
120℃で乾燥したナイロン−6(m−クレゾール中の極限粘度1.1)をエクストルーダーに供給し溶融した。別途160℃で乾燥したポリエチレンテレフタレート(o−クロロフェノール中の極限粘度0.64)を、前述とは別個のエクストルーダーにて溶融した。引き続き、ナイロン−6混合体溶融流は導管ポリマー温度250℃で、ポリエチレンテレフタレート溶融流は300℃で、275℃に保温されたスピンブロックへ導入し、中空形成吐出孔を格子状配列で有する矩形の紡糸口金を用いて両重合体溶融流を合流させ複合し2g/分・孔の量で吐出し、空気圧力0.35MPa(吐出量と複合繊維繊度から換算した紡速で約4860m/分)にて高速牽引した。牽引された複合繊維は、−30kVで高電圧印加処理し、空気流とともに分散板に衝突させ、開繊し、16分割の多層貼合せ型断面をもつ剥離分割型複合繊維からなるウェブとしてネットコンベアー上に幅1mで補集した。引き続き、得られたウェブを100℃に加熱された上下一対のエンボスカレンダーロールに通し熱接着を行った。得られたウェブをニードルパンチにて交絡処理を施した後、水に浸漬し、軽くマングルで絞った後シート状物打撃式揉み機にて剥離分割処理を行い目付210g/m2の極細繊維不織布を得た。次いでこの不織布を70℃の温水中で収縮させ収縮前の面積に対し60%の面積のものを得た。
得られた繊維集合体−1の目付は350g/m2、厚さは1.0mmであり、繊度は0.15dtexであった。
上記の繊維集合体−1に、10重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製;クリスボンTF50P)−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す。)溶液を含浸させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、5%のDMFを含んだ水中に20分間浸漬してポリウレタンを凝固させ、DMFを水で十分に洗浄除去した後120℃で4分間乾燥して繊維質基体(複合構造物)を得た。
得られた多孔質層を有さない繊維質基体(複合構造物)の表面は繊維とポリウレタンが混在するものであり、目付は455g/m2、厚さは1.0mmであった。
上記のポリウレタン多孔質層を有する繊維質基体−1の表面に、メチルエチルケトン40%、ジメチルホルムアミド60%の混合液をグラビア塗布機(110メッシュのロール使用)で4kg/cm2の圧力で塗布して乾燥し、孔を開孔させた。得られたシート状物−1の表面を走査電子顕微鏡で観察したところ、平均30μmの開放孔が1平方センチメートル当たり2050個形成されていた。なお、この解放孔の最大径は55μmであった。
上記のシート状物−1の表面にインクジェットプリンター(ローランド社製、SJ−545EX)にて有機溶剤系顔料インク(ECO−SOLMAX)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷した後、120℃で1分間熱処理を施し、人工皮革(皮革様シート状物)−1を得た。なお、使用したインクは、シアン ESL3−CY、マゼンタ ESL3−MG、イエロー ESL3−YE、ライトシアン ESL3−LC、ライトマゼンタ ESL3−LM、ブラック ESL3−BKである。得られた人工皮革−1の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。剥離強力は30.7N/cmであり、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層とポリウレタン多孔質層の界面であった。また、耐磨耗性は370回であった。表1のその物性を示す。
<表面に開孔部を有するシート状物−2の作成>
実施例1で得られた繊維質基体(複合構造物)−1の未開孔ポリウレタン多孔質層の表面を200メッシュのサンドペーパーを装着させたバッフィングマシーンを使用して、表面の開孔した径が平均で50μmとなるようにサンドペーパー装着ロールの回転数とロール間の間隙を調整して表面を研削した。得られた開孔部は無数存在し、開孔径は最大が110μm、平均で55μmであった。
上記のシート状物−2の表面にインクジェットプリンター(ローランド社製、SJ−545EX)にて有機溶剤系顔料インク(ECO−SOLMAX)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷した後、120℃で1分間熱処理を施し、人工皮革(皮革様シート状物)−2を得た。なお、使用したインクは、シアン ESL3−CY、マゼンタ ESL3−MG、イエロー ESL3−YE、ライトシアン ESL3−LC、ライトマゼンタ ESL3−LM、ブラック ESL3−BKである。得られた人工皮革−2の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。剥離強力は31.2N/cmであり、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層とポリウレタン多孔質層の界面であった。また、耐磨耗性は320回であった。表1に物性を併せて示す。
<人工皮革(皮革様シート状物)−3、4の作成>
離型紙(リンテック社製R53)上に、ポリウレタン樹脂の33%水分散液100部に増粘剤を混合し、攪拌して粘度を8000CPSに調整した調合液を目付け90g/m2でコートし、温度70℃で2分間、110℃で2分間乾燥して高分子弾性体の膜を形成した。さらにその表面に、水分散型ポリウレタン系接着剤100部に増粘剤を混合して粘度を5000CPSに調整した調合液を目付け80g/m2でコートした。次いで、温度90℃で2分乾燥後、その離型紙状の高分子弾性体と、実施例1で得られた人工皮革(皮革様シート状物)−1とを重ね合わせ、温度110℃の加熱シリンダー表面上で0.6mmの間隙のロールに通過させ圧着した。その後、温度60℃の雰囲気下で2日間放置した後、離型紙を剥ぎ取り人工皮革(皮革様シート状物)−3を得た。
また、実施例1で得られた人工皮革−1を用いる代わりに、参考例1で得られた人工皮革−2を用いた以外は上記と同様にして、人工皮革(皮革様シート状物)−4を得た。
得られた人工皮革−3、4は、ともに耐光堅牢性、耐色移行性が良好なものであった。剥離強力も高く、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層内であった。また、耐磨耗性も良好であった。表1に物性を併せて示す。
<人工皮革(皮革様シート状物)−5の作成>
参考例1で得られた表面に開孔部を有するシート状物−2の表面に、有機溶剤系顔料インクを用いる代わりに、インクジェットプリンター(EPSON社製、PM−4000PX)にて水系顔料インク(PX−Pインク)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷した後、120℃で1分間熱処理を施した以外は参考例1と同様にして、人工皮革(皮革様シート状物)−5を得た。なお、使用したインクは、シアン ICC23、マゼンタ ICM23、イエロー ICY23、ライトシアン ICLC23、ライトマゼンタ ICLM23、グレー ICGY23、フォトブラック ICBK23、およびマットブラック ICMB23である。得られた人工皮革−5の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。剥離強力は30.8N/cmであり、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層とポリウレタン多孔質層の界面であった。また、耐磨耗性は330回であった。表1に物性を併せて示す。
<人工皮革(皮革様シート状物)−6の作成>
参考例1で得られた表面に開孔部を有するシート状物−2の表面に、有機溶剤系顔料インクを用いる代わりに、インクジェットプリンター(ラスタープリンター社製、RP−720UVZ)にてUV硬化顔料タイプのインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、およびブラック)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷した以外は参考例1と同様にして、人工皮革(皮革様シート状物)−6を得た。得られた人工皮革−6の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。剥離強力は29.7N/cmであり、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層とポリウレタン多孔質層の界面であった。また、耐磨耗性は590回であった。表1に物性を併せて示す。
実施例1の表面に開孔部を有するシート状物を印刷に用いる代わりに、実施例1の途中で得られた、表面に開孔していない多孔層を有する繊維質基体(複合構造物)−1を用いる以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンター(ローランド社製、SJ−545EX)にて有機溶剤系顔料インク(ECO−SOLMAX)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷し、人工皮革を得た。得られた人工皮革の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。しかしながら、剥離強力は5.2N/cmと低く、その剥離箇所はインクジェット印刷の顔料層であり、人工皮革として各用途の使用に耐えられる物ではなかった。また、耐磨耗性は10回であり、顔料層の剥離が原因であった。表1に物性を併せて示す。
<繊維集合体−2の作成>
ナイロン6と低密度ポリエチレンを50/50で混合、エクストルダーで溶融、混合し290℃で混合紡糸し、延伸、油剤を処理しカットし5.5dtex、51mmの繊維を得た。これをカード、クロスラッパー、ニードルロッカー、カレンダーの工程を通し、重さ400g/m2、厚さ1.6mm、見掛け密度0.25g/cm3の繊維集合体−2を得た。
上記の繊維集合体−2を10重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製;クリスボンTF50P)−DMF溶液を浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズした後、基材の圧縮が回復する前に20重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製;クリスボンTF50P)−DMF溶液(添加剤として東レ・ダウコーニング製SH28PAを溶液100部に対し0.3部を使用)を800g/m2の目付けでコーティングし、次いで5%のDMFを含んだ水中に浸漬してポリウレタンを凝固させDMFを水で十分に洗浄除去した後120℃で乾燥してポリウレタン多孔質層の形成されたシートを得た。得られたシートを90℃の熱トルエン中で圧縮、緩和を繰り返し、繊維中のポリエチレン成分を抽出除去し、0.003dtexの極細繊維を繊維質基材とするポリウレタン多孔質層の形成された、高分子多孔質層を表面に有する繊維質基体(複合構造物)−2を作成した。得られた繊維質基体−2の剥離強力は35.7N/cmであり、スポーツシューズ用途を始め人工皮革の各用途での使用に耐えうる強度であった。
上記のポリウレタン多孔質層を有する繊維質基体−2の表面に、グラビアロールを用いて、ジメチルホルムアミド:メチルエチルケトン=7:3の混合液をグラビア塗布機(150メッシュのロール使用)で4kg/cm2 の圧力で塗布して乾燥し、孔を開孔させた。得られたシート状物−3の表面を走査電子顕微鏡で観察したところ、平均値15μmの開放孔が1800個/cm2形成されていた。なお、この開放孔の最大径は40μmであった。
実施例1の表面に開孔部を有するシート状物−1を印刷に用いる代わりに、上記のシート状物−3を用いる以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンター(ローランド社製、SJ−545EX)にて有機溶剤系顔料インク(ECO−SOLMAX)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷し、人工皮革(皮革様シート状物)−7を得た。得られた人工皮革−7の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。剥離強力は36.2N/cmであり、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層とポリウレタン多孔質層の界面であった。また、耐磨耗性は440回であった。表2にその物性を示す。
<人工皮革(皮革様シート状物)−8の作成>
実施例3で得られた表面に開孔部を有するシート状物−3の表面に、有機溶剤系顔料インクを用いる代わりに、インクジェットプリンター(EPSON社製、PM−4000PX)にて水系顔料インク(PX−Pインク)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷した後、120℃で1分間熱処理を施した以外は実施例3と同様にして、人工皮革(皮革様シート状物)−8を得た。なお、使用したインクは、シアン ICC23、マゼンタ ICM23、イエロー ICY23、ライトシアン ICLC23、ライトマゼンタ ICLM23、グレー ICGY23、フォトブラック ICBK23、およびマットブラック ICMB23である。得られた人工皮革−8の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。剥離強力は30.5N/cmであり、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層とポリウレタン多孔質層の界面であった。また、耐磨耗性は390回であった。表2に物性を併せて示す。
<人工皮革(皮革様シート状物)−9の作成>
実施例3で得られた表面に開孔部を有するシート状物−3の表面に、有機溶剤系顔料イ
ンクを用いる代わりに、インクジェットプリンター(ラスタープリンター社製、RP−7
20UVZ)にてUV硬化顔料タイプのインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシ
アン、ライトマゼンタ、およびブラック)を使用して720DPI(ドット/インチ)の
解像度の風景画を印刷した以外は実施例3と同様にして、人工皮革(皮革様シート状物)
−9を得た。得られた人工皮革−9の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていた。なお
、耐光堅牢性を測定したところ、変化はなく5級の判定で良好なものであった。また、耐
色移行性も無く5級の判定であり良好なものであった。剥離強力は34.7N/cmであ
り、その剥離箇所はインクジェット印刷前の剥離強力測定時の不織布層とポリウレタン多
孔質層の界面であった。また、耐磨耗性は1360回であった。表2に物性を併せて示す。
<人工皮革(皮革様シート状物)−10の作成>
実施例3で得られた表面に開孔部を有するシート状物−3の表面に、有機溶剤系顔料インクを用いる代わりに、インクジェットプリンター(EPSON社製、PM3700C)にて染料インク(IC5CL06、およびIC1BK05)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷した以外は実施例3と同様にして、人工皮革(皮革様シート状物)−10を得た。得られた人工皮革−10の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていたが、耐光堅牢性を測定したところ、部分的に色が退色変化し元の色彩とは程遠いものであり2級の判定であった。また、耐色移行性も3級の判定であり白色人工皮革表面に色が転写されていた。また、剥離強力は、32.9N/cmとインクジェットプリンターでの印刷前とほぼ同等であり、耐磨耗性は410回であった。表2に物性を併せて示す。
実施例3で得られた表面に開孔部を有するシート状物−3を印刷に用いる代わりに、実施例3の途中で得られた、表面に開孔していない多孔層を有する繊維質基体(複合構造物)−2を用いる以外は、参考例5と同様にしてインクジェットプリンター(EPSON社製、PM3700C)にて染料インク(IC5CL06、およびIC1BK05)を使用して720DPI(ドット/インチ)の解像度の風景画を印刷し、人工皮革を得た。得られた人工皮革の表面は、微細で鮮明な画像が印刷されていたが、耐光堅牢性を測定したところ、部分的に色が退色変化し元の色彩とは程遠いものであり2級の判定であった。また、耐色移行性も3級の判定であり白色人工皮革表面に色が転写されていた。また、剥離強力は、11.5N/cmと低く、その剥離箇所はインクジェット印刷の顔料層であり、人工皮革として各用途の使用に耐えられる物ではなかった。また、耐磨耗性は32回であり、顔料層の剥離が原因であった。表2に物性を併せて示す。
Claims (7)
- 繊維質基体上に多孔層を有する銀付調皮革様シート状物の製造方法であって、多孔層の表面に溶剤を塗布する方法により繊維質基体上の多孔層を開孔させ、その表面にインクジェット法により顔料インクからなる画像を形成することを特徴とする銀付調皮革様シート状物の製造方法。
- 画像を有する表面のさらに外側に水溶液あるいは水分散液をコーティングし、高分子弾性体層を形成する請求項1記載の銀付調皮革様シート状物の製造方法。
- 画像を形成する顔料インクが有機溶剤系、水系またはUV硬化系である請求項1または2に記載の銀付調皮革様シート状物の製造方法。
- 表面の投影面積に対する開孔部の合計面積が1%以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の銀付調皮革様シート状物の製造方法。
- 多孔層の開孔部が繊維質基体から連通したものである請求項1〜4のいずれか1項記載の銀付調皮革様シート状物の製造方法。
- 繊維質基体が極細繊維を含むものである請求項1〜5のいずれか1項記載の銀付調皮革様シート状物の製造方法。
- 多孔層が高分子弾性体溶液を湿式凝固させて得たものである請求項1〜5のいずれか1項記載の銀付調皮革様シート状物の製造方法。
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JP2002054078A (ja) | 通気性の良好な皮革様シート及びその製造方法 |
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