JP2003105679A - 皮革様シート - Google Patents

皮革様シート

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JP2003105679A JP2001302351A JP2001302351A JP2003105679A JP 2003105679 A JP2003105679 A JP 2003105679A JP 2001302351 A JP2001302351 A JP 2001302351A JP 2001302351 A JP2001302351 A JP 2001302351A JP 2003105679 A JP2003105679 A JP 2003105679A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】天然皮革調の高級な外感とソフト性、高い剥離
強力を有する皮革様シートを提供する。 【解決手段】本発明は、単繊維繊度0.2dtex以下
の極細繊維からなる3次元絡合不織布の絡合空間にポリ
ウレタンを主体とする弾性樹脂が充填された繊維質基体
層と繊維質基体層の表面に密着したポリウレタンからな
る表面多孔層と表面仕上げ層とからなり、表面多孔層と
密着した繊維質基体層中の上層部分には、表面多孔層を
構成するポリウレタンより熱変形しにくいポリウレタン
樹脂が充填されていることを特徴とする皮革様シート

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然皮革調の優美な外
観と優れた柔軟性、高い剥離強力を兼ね備えた皮革様シ
ートに関するもので、靴、ボール、鞄等の用途に広く使
用することができる皮革様シートおよびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成皮革や人工皮革は、天然皮革
の代替品として靴、衣料、手袋、鞄、ボール、インテリ
アなどのあらゆる分野に多く利用されている。これら
は、より高い品質と感性が要求されており、とりわけ優
美な天然皮革調の外観、柔軟性と特に靴用には剥離強度
が両立したものが強く望まれている。
【0003】従来、天然皮革調の外観を作り出すために
離型紙を用いて天然皮革のシボを再現した樹脂フィルム
を作り基体に貼り付ける造面法が提案され、あるいは、
同一の弾性体が均一に充填された基体層の片面に密着し
た多孔樹脂層を形成し、エンボスロールで型押しするこ
とで天然皮革のシボを再現する方法がとられてきた。ま
た、基体の上に多孔層を形成するに際し、基体表面の界
面をまたがるように高剥離強度を得るための高密度樹脂
層を形成し、その上に必要な多孔皮膜層を形成する方法
が提案されている。さらには、特開平11−14077
9号公報では、表面多孔層と同一の弾性樹脂を表面多孔
層と連続して基体表層に充填する方法が提案されてい
る。
【0004】
【発明を解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では、目的とする天然皮革調の優美な外観と柔軟性、高
い剥離強力をすべて満たすことはできない。まず、離型
紙を用いる造面法では、あまりに均一で人工的であり天
然皮革調とは言えず、また深いシボ模様を形成すること
は出来ない。また、同一の弾性体が均一に充填された基
体層の片面に密着した多孔樹脂層を形成し、エンボスロ
ールで型押しすることで天然皮革のシボを再現する方法
では、自然な天然皮革調の外観を得られるが、ソフト性
を重視すると、基体層にソフトな弾性体を比較的少量充
填する必要があるが、これでは必要な剥離強力を得る事
は出来ない。また、必要な剥離強力を得ようとすると、
比較的硬質の弾性体を多量に充填する必要があり、こう
するとソフト性が失われることになり、これらをすべて
満たすことは出来なかった。
【0005】さらには、特開平11−140779号公
報で提案されている表面多孔層と同一の弾性樹脂を表面
多孔層と連続して基体表層に充填する方法では、エンボ
ス型押しにより自然な天然皮革調の外観を得られるが、
エンボス型押し時に表面多孔層と同時に、同一の樹脂か
らなる基体層上層も圧縮変形して基体層のソフト性を損
う傾向がある。これを避けるために、エンボスにより変
形しにくい弾性体に変えると、エンボス型押しが不十分
であり、天然皮革調の外観を得られにくい傾向がある。
また、基体の上に多孔層を形成するに際し、基体表面の
界面をまたがるように高剥離強度を得るための高密度樹
脂層を形成し、さらにその上に多孔皮膜層を形成する方
法では、上記提案と同様に表面多孔層と基体層との界面
をまたがるように存在する高密度樹脂層を同一樹脂とし
た場合、エンボス型押しにより天然皮革調の外観を得る
ことが出来る場合では、必要な剥離強力も得られるがソ
フト性が損なわれ、ソフト性を優先するとエンボス型押
しにより天然皮革調の外観を得ることが出来ない。ま
た、異種の弾性体を組み合わせて使用した場合、つまり
表面多孔層にエンボス型押し性が良好な樹脂を用い、基
体層との界面をまたがるように存在する高密度樹脂層に
はエンボス型押しにより変形しにくい樹脂を用いた場合
では、同一の樹脂を両方に使用した場合に比べると、型
押し性とソフト性のバランスが良好にはなる傾向はある
が、表面多孔層の一部に型押し性が不十分な樹脂がある
ことには変わらず、ソフト性を重視すると、十分な型押
し性は得られない。さらに、複数の層が形成されること
によりゴムライクな風合いになる傾向がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討の結果、天然皮革調の優美な外
観と柔軟性、高い剥離強力を兼ね備えた、靴、ボール、
鞄等の用途に広く使用することができる皮革様シートが
得られることを見出した。すなわち、本発明は単繊維繊
度0.2dtex以下の極細繊維からなる3次元絡合不
織布の絡合空間にポリウレタンを主体とする弾性樹脂が
充填された繊維質基体層、繊維質基体層の表面に密着し
たポリウレタンからなる表面多孔層、および表面仕上げ
層とからなり、表面多孔層と密着した繊維質基体層中の
上層部分には、表面多孔層を構成するポリウレタンより
熱変形しにくいポリウレタン樹脂が充填されていること
を特徴とする皮革様シートである。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。まず本発明
で使用する繊維質基材は、単繊維繊度0.2dtex以
下、好ましくは単繊維繊度0.0001〜0.05dt
exの極細繊維の束からなる三次元絡合不織布とその絡
合空間に存在する弾性重合体の多孔構造体とからなる表
面平滑な繊維質基体層である。単繊維繊度0.2dte
x以下の極細繊維の束は、従来公知の方法で作られる。
例えば、少なくとも2種類のポリマーからなる極細繊維
発生型繊維から少なくとも1成分を溶解又は分解除去す
ることにより、又は機械的又は化学的な処理により2成
分の界面で剥離することにより得ることができる。得ら
れる極細繊維の束を構成する極細繊維の単繊維繊度を
0.2dtex以下とするためには、貼合わせ型の極細
繊維発生型繊維を用いるよりは繊維断面が海島構造とな
っている極細繊維発生型繊維を用いることが工程上有利
である。
【0008】極細繊維発生型繊維中で極細繊維を構成す
るポリマーとしては、6−ナイロン、66−ナイロンを
はじめとする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチ
オン可染型変性ポリエチレンテレフタレートをはじめと
する溶融紡糸可能なポリエステル類などから選ばれた少
なくとも1種類のポリマーが挙げられる。また溶解また
は分解除去される成分としては、極細繊維成分と溶剤ま
たは分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、極細
繊維成分との相溶性の低いポリマーであり、かつ紡糸条
件下で極細繊維成分より溶融粘度が小さいかあるいは表
面張力が小さいポリマーであり、例えば、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリエチレンプロピレン共重合体、
変性ポリエステルなどのポリマーから選ばれた少なくと
も1種類のポリマーである。
【0009】極細繊維発生型繊維は、カードで解繊し、
ウェッバーを通してウェッブを形成し、得られた繊維ウ
ェッブは、所望の重さ、厚さに積層し、次いで、ニード
ルパンチ、高速水流などの公知の方法で絡合処理を行っ
て三次元絡合不織布とする。ウエッブには必要に応じて
織編物等を積層することもできる。三次元絡合不織布
は、表面が極細繊維発生型繊維でなっていればよいが、
得られるシートの風合いの点から繊維シート全体が極細
繊維発生型繊維又は極細繊維からなっている場合が好ま
しい。三次元絡合不織布は、表面平滑な基体層とするた
め、弾性重合体の含浸前にプレス処理などにより表面平
滑化することが好ましい。三次元絡合不織布、あるいは
プレスして得られる不織布の厚みは、得られる皮革様シ
ートの用途等によって任意に選択でき、特に制限される
ものではないが、1枚ものの場合にその厚みは0.2〜
10mm程度であることが好ましく、0.4〜5mm程
度であることがより好ましい。密度は0.15g/cm
〜0.50g/cmが好ましく、0.20g/cm
〜0.40g/cmがより好ましい。0.15g/
cm未満であると含浸する樹脂が多くなりゴムライク
な風合いとなり、さらに剥離強力も低下する。0.50
g/cmを越えると得られる皮革様シートの風合いが
硬くなる傾向がある。
【0010】次に該三次元絡合不織布中にポリウレタン
樹脂溶液または分散液を充填し、ポリウレタン樹脂溶液
をコートしたのち、凝固し多孔質皮膜層を形成する。含
浸、コートするポリウレタンの好ましい代表例として
は、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオー
ル、ポリエステル・エーテル系ジオールなどの高分子ジ
オールの1種または2種以上と、有機ポリイソシアネー
ト、好ましくは脂肪族系、芳香族系あるいは脂環族系の
有機ジイソシアネートの1種または2種以上と、低分子
ジオール、低分子ジアミン、ヒドラジンなどの活性水素
原子を2個有する鎖伸長剤とから得られるポリウレタン
があげられる。
【0011】中でも、ポリウレタンエラストマー全重量
に対する、該ポリウレタンエラストマーを合成するのに
用いた有機ポリイソシアネート中のイソシアネート基を
構成する窒素原子の重量百分率(以下N%と称す)が
2.5〜5%であるようなポリウレタンエラストマーま
たはこのポリウレタンエラストマーを主体とするポリマ
ー混合物が好ましい。N%が2.5%未満の場合には、
得られる表面多孔質層や基材層は耐摩耗性や耐引っ掻き
強さにおいて劣ることとなり、またN%が5%を越える
場合には、折り曲げシワが粗くなり、風合いも硬く、得
られる皮革様シートが安っぽくなると同時に、耐屈曲疲
労性においても劣ったものとなる。
【0012】表面多孔質層に用いるポリウレタンは、エ
ンボス型押しにより天然皮革調のシボが形成可能なポリ
ウレタンを用いる。好ましい代表例としては、両末端に
ヒドロキシル基を有する分子量500〜5000のポリ
マーグリコールと4,4′−ジフェニルメタン−ジイソ
シアネートと炭素数2〜6の低級アルキレングリコール
を主体とするハードセグメントから得られたポリウレタ
ン、あるいは、両末端にヒドロキシル基を有する分子量
500〜5000のポリマーグリコールと脂肪族または
脂環族ジイソシアネートと有機ジアミンあるいは有機酸
ジヒドラジドを主体とするハードセグメントから得られ
たポリウレタンなどがあげられる。ただし、ソフト性、
耐久性、加工性、多孔質膜形成性等を考慮し、これらの
共重合物、混合物も用いられる。
【0013】両末端にヒドロキシル基を有する分子量5
00〜5000のポリマーグリコールとしては、ポリエ
チレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペート
グリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコー
ル、ポリカプロラクトングリコールなどのポリエステル
系グリコールや、ポリヘキサメチレンカーボネートグリ
コールで代表されるポリカーボネート系グリコール、ポ
リエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテ
ルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、ポリヘキサメチレンエーテルグリコールなどのポリ
エーテル系グリコールおよびこれらの混合物が使用され
るが、特に、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネ
ート系グリコールあるいはポリエステル系グリコールと
ポリカーボネート系グリコールとの混合グリコール、ポ
リエステル系グリコール、ポリカーボネート系グリコー
ルとポリエーテル系グリコールとの混合グリコールが好
ましい。
【0014】脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラ
メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネートなどが、また脂環族ジイソシアネートとしては、
シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロ
ヘキシルメタン−ジイソシアネートなどが挙げられる。
有機ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、メタ
フェニレンジアミン、4,4′−ジアミンジフェニルメ
タン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエタ
ノールアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメ
タン、イソホロンジアミンなどが挙げられ、有機酸ジヒ
ドラジドとしてはアジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸
ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル
酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0015】炭素数2〜6の低級アルキレングリコール
の代表例としては、エチレングリコール、ブタンジオー
ル、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコールなどがあり、中でもエチレングリコー
ルが良好な型押し性が得られる点で好ましい。得られる
ポリウレタンの好ましい100%モジュラスとしては、
20〜120kg/cmであり、より好ましくは40
〜80kg/cmである。20kg/cm未満の場
合は、表面物性が劣る傾向があり、120kg/cm
を越えると、風合いが硬くなる傾向がある。また、表面
多孔質層の好ましい厚みとしては、0.02〜1.50
mmであり、より好ましくは0.05〜1.00mmで
ある。0.02mm未満の場合には、平滑な面が得られ
ず、さらにエンボス型押し性も不良となる傾向があり、
1.50mmを越えると、エンボス型押し性は良好であ
るが、ゴムライクな風合いになる傾向がある。
【0016】基体層にもポリウレタンを充填するが、特
に表面多孔層に接する基体層中の上層部分には表面多孔
層を形成するポリウレタンより対熱変形固定性が大きい
ポリウレタン樹脂、下層にはソフト性を重視し、上層と
のバランスを考慮した100%モジュラスが20〜10
0kg/cmであり、より好ましくは40〜80kg
/cmのポリウレタン樹脂を含浸する。
【0017】これは、エンボス型押し処理により表面多
孔層が熱変形固定する際に、基体層は熱変形固定しにく
く、柔軟性を保持するためである。そのために、基体層
中の上層部分は表面多孔層を構成するポリウレタンより
対熱変形固定性が大きいポリウレタンを選択する必要が
ある。具体的には、表面多孔層に使用するポリウレタン
と基体層中の上層部分に使用するポリウレタンの後述す
る評価方法による対熱変形固定性比が1.05〜2.
0、好ましくは1.10〜1.50のものを使用する。
対熱変形固定性比が1.05に満たない場合は、エンボ
ス型押し時に表面多孔層と同様に変形し、基体層の風合
いが硬化して好ましくない。また、対熱変形固定性比が
2.0を越える場合は、エンボス型押し時に生じるはず
の表面多孔層と基体層の一体感が損なわれ、風合いが劣
るものとなりこれも好ましくない。
【0018】ここで、基体層中の上層に選択されるポリ
ウレタンの種類は特に限定されず、エステル系、エーテ
ル系、カーボネート系あるいはこれらの共重合系、ある
いは混合物が用いることが出来る。ここでは、ソフトセ
グメントにエーテル系を主体とするもの、ハードセグメ
ントには、芳香族ジイソシアネートと芳香族ジアミンを
主体とするものを使用することが、対熱変形固定性が大
きい点より好ましい。例えば、平均分子量500〜30
00のポリエーテルジオール、好ましくはポリテトラメ
チレングリコールを50%以上、さらに好ましくは、7
0%以上含むソフトセグメントと4,4′−ジフェニル
メタン−ジイソシアネート、p−フェニレンジアミン、
メタフェニレンジアミン、4,4′−ジアミンジフェニ
ルメタンなどから選ばれた芳香族ジイソシアネートから
なるポリウレタンが用いられる。このポリウレタンに
は、必要に応じ、上記とは異なるポリウレタンを混合さ
せることも出来る。特に表面多孔層との良好な接着性を
満たすために表面多孔層と同一または近似したポリウレ
タンを混合させる方法も好ましく用いられる。また、こ
のポリウレタンは、上記のようなポリウレタンの混合物
でも良いが、エーテル系ポリマージオール、ポリカーボ
ネート系ポリマージオール、ポリエステル系ポリマージ
オール等が、同一の分子鎖に共存する共重合型ポリウレ
タンでも良い。
【0019】これらのポリウレタンは、基体層のソフト
性を発現できるようにソフトなポリウレタンを使用す
る。例えば、100%モジュラスが、20〜100kg
/cm 、好ましくは、30〜60kg/cmのポリ
ウレタンが用いられる。また、ソフト性と剥離強力を重
視し、全体のバランスを損なわない範囲の量を充填す
る。また、その充填量は、充填する上層部分の不織布の
繊維重量に対して、固型分で0.3〜3.0倍、好まし
くは、0.8〜2.0倍で設定する。不織布の繊維重量
に対して、0.3倍未満では、繊維とのバインダー効果
が弱く、必要な剥離強力が得られず、3.0倍を越える
場合には繊維を固定しすぎ、また密度が高くなりすぎ
て、基体層のソフト性を損なう。
【0020】また、表面多孔層を形成する反対側の基体
下層にもポリウレタンを充填する。このポリウレタンと
しては特に制限はないが、該基体上層を構成するポリウ
レタンは、エンボス型押し時に表面多孔層を通して熱に
よる影響を受けやすく熱プレスにより変形を受けやす
い。しかしながら基体下層は、基体上層よりもエンボス
型押し時の熱による影響を受けにくい傾向があるため、
基体層のソフト性を発現できるように、対熱変形固定性
が基体上層部分よりも小さいポリウレタン、またはソフ
トなポリウレタンを使用することが好ましい。例えば、
100%モジュラスが、20〜90kg/cm、好ま
しくは、20〜60kg/cmである。そして、基体
上層を構成するポリウレタンの100%モジュラスより
も10kg/cm以上低いポリウレタンが好ましく用
いられる。また、ソフト性を重視し、全体のバランスを
損なわない範囲の量を充填する。例えば、充填する下層
部分の不織布繊維重量に対して、0.1〜1.5倍、好
ましくは、0.3〜1.0倍に充填する。0.1倍を下
回るとソフト性は得られるが、あまりに充填される樹脂
が少ないために、充実感が失われ、全体の風合いバラン
スが損なわれる。また、1.5倍を超えると樹脂の充填
度が高くなりすぎ、ゴム弾性が強くなり、また硬くな
り、天然皮革調の高級な風合いではなくなってしまう。
【0021】また、基体層の上層に充填するポリウレタ
ンと基体層中の下層部分に含浸するポリウレタンは出来
るだけ層状に充填することがエンボス加工を行って天然
皮革調の優美な外観を均一に付与できることから好まし
い。また、表面多孔層に接する基体層中の上層部分に充
填されたポリウレタン層は、基体層の厚みにもよるが、
例えば0.1mm〜1.0mm、好ましくは0.2mm
〜0.6mm厚みで存在させることが好ましい。層厚み
が、0.1mmを下回ると必要な剥離強力を得られず、
またエンボス型押し時の変形に抗しきれず、ソフト性が
損なわれることになる。また、1.0mmを上回ると、
必要な剥離強力は得られるが、ゴム弾性が強くなり、天
然皮革様の低反発の風合いと離れる傾向がある。さらに
基体層中の上層部分と下層部分を構成するポリウレタン
樹脂の好ましい重量比率は固型分で10:90〜90:
10より好ましくは20:80〜80:20である。上
層部分が10%に満たない場合、必要な剥離強力を得ら
れず、またエンボス型押し時の変形に抗しきれず、ソフ
ト性が損なわれることになる。また90%を越えた場
合、必要な剥離強力は得られるがゴム弾性が強くなる。
【0022】基体層へのポリウレタン溶液の含浸は、以
下のいくつかの方法が好ましい。まず、三次元絡合不織
布に上面より表面多孔層を形成するポリウレタンより対
熱変形固定性が大きいポリウレタン樹脂を所定量塗布
し、自然浸透させるか、ロールあるいはナイフでこすり
付けるように浸透させ、下面より基体下層用のポリウレ
タン溶液をロールあるいはナイフ等でこすりつけるよう
に浸透させ、過剰分はナイフ等でかきとる方法がある。
あるいは、不織布全体にいったん基体下層用のポリウレ
タン溶液を充填した後、ロールあるいはナイフで圧縮
し、その直後に表面多孔層を形成するポリウレタンより
対熱変形固定性が大きいポリウレタン樹脂をコートし、
不織布の回復力を利用して浸透させ、その後該三次元絡
合不織布よりはみ出した過剰分はナイフでかきとる方法
も使用できる。
【0023】ポリウレタン溶液を充填させた基体にポリ
ウレタン液をコートするには、上記基体層にポリウレタ
ン溶液を含浸後に続いてコートする方法、あるいは含浸
後に凝固液中で基体層のポリウレタンを凝固させ、乾燥
後に溶液をコーティングする方法があるが、基体層とコ
ート層の密着性を考えると、含浸後に引き続いてコート
し、その後に凝固する方法が好ましい。密着とは基体表
面層と表面多孔層が実質的に該2層以外の物質を介さず
連続的に結合している状態を言う、そして部分的に接し
ている状態と異なる場合を言う。部分的に接している状
態とは、基体層表面にグラビアロール等でポリウレタン
溶液等を塗布し、表面多孔層を貼り合せることによって
基体層表面と表面多孔層とが点接着されている場合や、
基体層表面と表面多孔層とが架橋型ポリウレタン接着剤
によりドライ接着されているような状態を言う。ポリウ
レタンの凝固方法としては、ポリウレタンの非溶剤を含
む液に浸漬して湿式凝固するか、ゲル化させた後加熱乾
燥する方法などが挙げられるが、基体層およびコート層
がソフトな多孔構造を作ることが可能な湿式凝固する方
法が好ましく用いられる。また、ポリウレタン溶液に
は、必要に応じて着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、分
散剤等の添加剤を配合する。そして、発明の効果が変わ
らない範囲内であれば、少量別のポリウレタン等の樹脂
を添加させても良い。
【0024】ついで、極細繊維発生型繊維を少なくとも
1成分の溶解剤若しくは分解剤で処理して、又は機械的
若しくは化学的処理により2成分の界面で剥離して極細
繊維束に変性する。極細繊維発生型繊維の変性処理は弾
性重合体の付与前であってもよいが、極細繊維束に変性
後に弾性重合体を含浸、凝固すると、弾性重合体が極細
繊維に接着し風合いが硬くなりやすいため、弾性重合体
付与後に変性することが好ましい。弾性重合体付与前に
変性処理を行った場合は、極細繊維と弾性重合体が接着
しないようにポリビニルアルコールなどの溶解除去可能
な仮充填剤を付与した後に弾性重合を付与し、その後に
該仮充填剤を除去することが好ましい。
【0025】上記で得られた三次元絡合不織布とポリウ
レタンを主体とした弾性重合体からなり、表面多孔層を
有する繊維質基体層は、以下の方法で仕上げることで、
天然皮革調の外観を得ることが出来る。すなわち、顔
料、染料等の着色剤と樹脂とからなるインクをグラビア
ロール、リバースロール、スクリーン等の手法で基体表
面に転写して着色し、エンボスロールで型押しして天然
皮革調のシボを再現する。これにより得られたシート状
物は、天然皮革調の高級な外観を有するものであった。
また、エンボス加工により天然皮革調の外観を付与する
ためのエンボス加工条件は、エンボスロールの加熱温度
100℃〜230℃の範囲が好ましい。加熱温度が10
0℃未満の場合、多孔層を形成するポリウレタン樹脂の
軟化温度にもよるが、エンボス絞の掛かり斑が発生する
場合があり、230℃を越えた場合には、絞のくずれが
生じたり基体層中のポリウレタン樹脂の軟化にも影響を
与え風合いが硬くなる場合がある。エンボスロールのプ
レス圧力は0.5kg/cm 〜15kg/cmの範
囲が好ましい。0.5kg/cm未満の場合、エンボ
ス絞の掛かり斑が発生する場合があり、15kg/cm
を越えた場合には、基体層下層にくたりを生じ風合い
が硬くなる場合がある。得られる皮革様シートの柔軟性
と天然皮革調の外観を兼ね備える為、さらに好ましく
は、加熱温度120℃〜190℃、プレス圧力1kg/
cm〜6kg/cmの範囲である。さらに、エンボ
ス型押し後に機械的な揉み処理あるいは液流型染色機等
でリラックス処理を行うことで、自然な揉みシワが入
り、ソフト性も増し自然な高級感を増すことができる。
また、グラビア着色時に染料で染色可能な樹脂を塗布し
ておき、エンボス後に染色機で染料による着色を行うと
透明感のある着色がされ、自然なシュリンク等も表現さ
れ、さらにソフト性も増すので、より高い高級感が得ら
れる。
【0026】本発明皮革様シートの一例の模式図を図1
に示す。図1は断面を示すものであるが、皮革様シート
の表面から、表面仕上げ層(1)、表面多孔層(2)、
繊維質基材(3)の順に積層され、繊維質基材は上層
(4)と下層(5)が存在する。
【0027】本文中で述べている対熱変形固定性につい
ては、以下の方法により評価している。 <測定サンプル作成>海成分としてメルトインデックス
70のポリエチレン50重量部および島成分として6−
ナイロン50重量部を同一溶融系で溶融紡糸して、単繊
維繊度10dtex、島数約300の複合繊維を製造し
た。この複合繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した
後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロ
スラッパーウェバーでウェブとした。次に、9バーブの
ニードル針でパンチ数500パンチ/cmの条件でニ
ードルパンチを行い、120℃に加熱したロールでプレ
スし、厚み2.17mm、目付650g/m2、密度
0.30g/cmの繊維絡合不織布を作成する。この
不織布に評価するポリウレタンの13%ジメチルホルム
アミド(以下DMFと略すこともある)溶液を含浸し、
DMF/水=30/70の比率の温度40℃の凝固浴中
で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水洗後、複合
繊維中のポリエチレンを90℃に加熱したトルエンにて
抽出除去して、0.01dtexの6−ナイロン極細繊
維束状繊維とポリウレタンとからなるサンプルを作成す
る。 <対熱変形固定性の評価>上記サンプルを150℃に加
熱された平板金型にクリアランスなしで2.0kg/c
の圧力で挟み、10秒間圧着する。その後、平板金
型で圧縮された後の厚みを3点測定し、これらの平均を
Tとする。Tを対熱変形固定性と定義し、大きい程つぶ
れ難く、小さい程つぶれ易い。比較するサンプル同士の
圧縮された後の厚み(T1:表面多孔層構成するウレタ
ン樹脂使用時の圧縮された後の厚み、T2:基体層中の
上層部分を構成するウレタン樹脂使用時の圧縮された後
の厚み)の比を出し、これを対熱変形固定性比と呼ぶ。 対熱変形固定性比=T2/T1
【0028】
【実施例】次に本発明を具体的に実施例で説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の部及び%は断わりのない限り重量に関す
るものである。また本発明でいう単繊維繊度は、繊維束
の断面の顕微鏡写真から、繊維束を構成する極細繊維の
本数を数え、繊維束のトータル繊度を該本数で割った値
である。
【0029】実施例1 海成分としてポリエチレン50重量部および島成分とし
て6−ナイロン50重量部を同一溶融系で溶融紡糸し
て、繊度10dtexの複合繊維を製造した。この複合
繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長5
1mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウ
ェバーでウェブとした。次に、ニードルパンチにより、
目付650g/m2の繊維絡合不織布とした。この不織
布にポリヘキサカーボネートグリコール、ポリメチレン
プロピレンアジペート、メチレンジアミンが5:2:3
の重量比で構成され、n−ヘキサンジイソシアネート、
MDI、EGで共重合された100%モジュラス60k
g/cmのポリカーボネート系ポリウレタン13%ジ
メチルホルムアミド溶液(T3(基体層中の下層部分を
構成するウレタン使用時の圧縮された後の厚みであり、
測定方法はT1、T2と同様の方法。)=0.80m
m)を含浸後にナイフを押し当てて、不織布厚みの70
%まで圧縮し、その直後にソフトセグメントがポリテト
ラメチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエチ
レングリコールが67.5:22.5:10の重量比で
構成され、4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネ
ート(以下MDIと略す)、4,4′−ジアミンジフェ
ニルメタン(以下DAMと略す)、エチレングリコール
(以下EGと略す)で共重合された100%モジュラス
50kg/cmのポリウレタンの18%ジメチルホル
ムアミド溶液(T2=1.05mm)をコートし浸透さ
せた後、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった
後の上面に、ポリヘキサカーボネートグリコール、ポリ
メチレンプロピレンアジペート、メチレンジアミンが
5:2:3の重量比で構成され、n−ヘキサンジイソシ
アネート、MDI、EGで共重合された100%モジュ
ラス60kg/cmのポリカーボネート系ポリウレタ
ン18%ジメチルホルムアミド溶液(T1=0.80m
m)をコートし、DMF/水=30/70の比率の凝固
浴中で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水洗後、
複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01d
texの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊
維とポリウレタンとからなり、厚さ0.2mmの表面多
孔層を有する厚さ1.3mmの繊維質基体を得た。な
お、表面多孔層と基体層中の上層部分のポリウレタンの
対熱変形固定性比は、1.3であった。この基体中の表
面多孔層に接する基体上層部のポリカーボネート系エー
テル系ポリウレタンの層は、厚みが0.3mm、繊維と
ポリウレタンの比率は、重量比50/50であり、その
下層部は、繊維とポリウレタンの比は、重量比60/4
0であった。
【0030】この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタ
ン液をグラビアロールで塗布し、固形分で5g/m
着色層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボ
スロールを30秒間プレス圧2kg/cmで型押し
し、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉むこ
とで、天然皮革調の自然な外感とソフトな外感を有し、
さらに目標とする剥離強力を上回る2.8kg/cm以
上が得られた。上記皮革様シートを用いてスポーツ靴を
作製したところ天然皮革調の優美な外観、優れた柔軟性
および高い剥離強力を兼ね備えたものであった。
【0031】実施例2 実施例1と同一の不織布の上層より、ポリテトラメチレ
ングリコール、ポリカプロラクトンが70:30の重量
比であり、MDI、DAM、EGで共重合された100
%モジュラス50kg/cmのポリウレタンの18%
ジメチルホルムアミド溶液(T2=1.05mm)をコ
ートし、ロールでこすり付けるように浸透させ、浸透し
きれなかった溶液をナイフでかきとった後、下層より1
00%モジュラス40kg/cmポリカーボネート系
ポリウレタンを主体とするポリウレタン13%ジメチル
ホルムアミド溶液をロールでパンより持ち上げ、こすり
付けるように含浸後し、浸透しきれなかった溶液をナイ
フでかきとった後、不織布の上層面に、100%モジュ
ラス60kg/cmのポリカーボネート系ポリウレタ
ン18%ジメチルホルムアミド溶液(T1=0.80m
m)をコートし、DMF/水=30/40の比率の凝固
浴中で凝固して、多孔構造体とした。続いて、水洗後、
複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01d
texの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊
維とポリウレタンとからなり、厚さ0.2mmの表面多
孔層を有する厚さ1.3mmの繊維質基体を得た。な
お、表面多孔層と基体層上層のポリウレタンの対熱変形
固定性比は、1.3であった。この基体中の表面多孔層
に接する基体上層部のエーテル系ポリウレタンの層は、
厚みが0.3mm、繊維とポリウレタンの比率は、重量
比50/50であり、その下層部は、繊維とポリウレタ
ンの比は、重量比60/40であった。
【0032】この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタ
ン液をグラビアロールで塗布し、固形分で5g/m
着色層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボ
スロールを30秒間プレス圧2kg/cmで型押し
し、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉むこ
とで、天然皮革調の自然な外感とソフトな外感を有し、
さらに目標とする剥離強力を上回る2.7kg/cm以
上が得られた。上記皮革様シートを用いてスポーツ靴を
作製したところ、天然皮革調の優美な外観、優れた柔軟
性および高い剥離強力を兼ね備えたものであった。
【0033】比較例1 実施例1と同一の極細繊維発生型複合繊維からなる不織
布に、100%モジュラス40kg/cmポリカーボ
ネート系ポリウレタンを主体とするポリウレタン13%
ジメチルホルムアミド溶液を含浸後にナイフを押し当て
て、不織布厚みの70%まで圧縮し、その直後に100
%モジュラス60kg/cmポリカーボネート系ポリ
ウレタンを主体とするポリウレタン13%ジメチルホル
ムアミド溶液(T2=0.80mm)をコートし、不織
布の回復力を利用して浸透させた後、浸透しきれなかっ
た溶液をナイフでかきとった後、さらに同一の100%
モジュラス60kg/cmのポリカーボネート系ポリ
ウレタン18%ジメチルホルムアミド溶液(T1=0.
80mm)をコートし、DMF/水=30/40の比率
の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水
洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.
01dtexの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維
束状繊維とポリウレタンとからなり、厚さ0.2mmの
表面多孔層を有する厚さ1.3mmの繊維質基体を得
た。なお、表面多孔層と基体層上層のポリウレタンの対
熱変形固定性比は、1.0であった。この基体中の表面
多孔層に接する基体上層部のエーテル系ポリウレタンの
層は、厚みが0.3mm、繊維とポリウレタンの比率
は、重量比50/50であり、その下層部は、繊維とポ
リウレタンの比は、重量比60/40であった。
【0034】この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタ
ン液をグラビアロールで塗布し、固形分で5g/m
着色層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボ
スロールを30秒間プレス圧2kg/cmで型押し
し、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉み製
品とした。このものは、目標とする剥離強力を上回る
2.8kg/cm以上が得られたが、エンボス型押し時
に多孔表皮層のみならず、基体層も圧縮変形し、風合い
の硬いものとなり、高級感の乏しいものとなった。上記
皮革様シートを用いてスポーツ靴を作製したところ天然
皮革調の優美な外観、高い剥離強力を有するが柔軟性に
劣るものであった。
【0035】比較例2 実施例1と同一の極細繊維発生型複合繊維からなる不織
布に、100%モジュラス40kg/cmポリカーボ
ネート系ポリウレタンを主体とするポリウレタン13%
ジメチルホルムアミド溶液を含浸後にナイフを押し当て
て、不織布厚みの70%まで圧縮し、その直後にポリテ
トラメチレングリコール、ポリカプロラクトンが70:
30の重量比であり、MDI、DAM、EGで共重合さ
れた100%モジュラス50kg/cmのポリウレタ
ンの18%ジメチルホルムアミド溶液(T2=1.05
mm)をコートし、不織布の回復力を利用して浸透させ
た後、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった
後、さらに同一のポリテトラメチレングリコール、ポリ
カプロラクトンが70:30の重量比であり、MDI、
DAM、EGで共重合された100%モジュラス50k
g/cmのポリウレタンの18%ジメチルホルムアミ
ド溶液(T1=1.05mm)をコートし、DMF/水
=30/40の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体
とする。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを
抽出除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6
−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからな
り、厚さ0.2mmの表面多孔層を有する厚さ1.3m
mの繊維質基体を得た。なお、表面多孔層と基体層上層
のポリウレタンは同一であるので、対熱変形固定性比
は、1.00である。この基体中の表面多孔層に接する
基体上層部のエーテル系ポリウレタンの層は、厚みが
0.3mm、繊維とポリウレタンの比率は、重量比50
/50であり、その下層部は、繊維とポリウレタンの比
は、重量比60/40であった。
【0036】この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタ
ン液をグラビアロールで塗布し、固形分で5g/m
着色層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボ
スロールを30秒間プレス圧2kg/cmで型押し
し、天然皮革調の模様を付与した。さらに揉み機で揉み
製品とした。このものは、目標とする剥離強力を上回る
2.8kg/cm以上が得られ、風合いもソフトであっ
たが、表面多孔層に用いられたポリウレタンがエンボス
型押し性の乏しいものであり、表皮多孔層に天然皮革調
模様が型押し出来ず、高級感の乏しいものとなった。上
記皮革様シートを用いてスポーツ靴を作製したところ、
優れた柔軟性と高い剥離強力を有するが、天然皮革調の
優美な外観を有さず高級感の乏しいものであった。
【0037】比較例3 実施例1と同一の不織布に100%モジュラス40kg
/cmポリカーボネート系ポリウレタンを主体とする
ポリウレタン13%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後
にナイフを押し当てて、不織布厚みの70%まで圧縮
し、その直後に実施例1でコート層に使用した100%
モジュラス60kg/cmのポリカーボネート系ポリ
ウレタン18%ジメチルホルムアミド溶液(T2=0.
80mm)をコートし、不織布の回復力を利用して浸透
させた後、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとっ
た後の上面にソフトセグメントがポリテトラメチレング
リコール、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコー
ルが67.5:22.5:10の重量比で構成され、
4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネート(以下
MDIと略す)、4,4′−ジアミンジフェニルメタン
(以下DAMと略す)、エチレングリコール(以下EG
と略す)で共重合された100%モジュラス50kg/
cmのポリウレタンの18%ジメチルホルムアミド溶
液(T1=1.05mm)をコートし、DMF/水=3
0/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とす
る。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出
除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6−ナ
イロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなり、厚
さ0.2mmの表面多孔層を有する厚さ1.3mmの繊
維質基体を得た。なお、表面多孔層と基体層上層のポリ
ウレタンの対熱変形固定性比は、0.76であった。こ
の基体中の表面多孔層に接する基体上層部のポリカーボ
ネート系ポリウレタンの層は、厚みが0.3mm、繊維
とポリウレタンの比率は、重量比50/50であり、そ
の下層部は、繊維とポリウレタンの比は、重量比60/
40であった。
【0038】この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタ
ン液をグラビアロールで塗布し、固形分で5g/m
着色層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボ
スロールを30秒間プレス圧2kg/cmで型押し
し、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉み処
理を行ったが、得られた皮革様シートは剥離強力が2.
8kg/cmと高い値を示したが、天然皮革模様絞が得
られず、不織布層がつぶれ風合いが硬くなった。さらに
目標とする。上記皮革様シートを用いてスポーツ靴を作
製したところ高い剥離強力を有したが、天然皮革調の絞
模様の斑と硬い風合いのものであった。
【0039】比較例4 実施例1と同一の極細繊維発生型複合繊維からなる不織
布に、実施例1の基体上層を構成するポリウレタン溶液
(T2=1.05mm)と同一のポリウレタン13%ジ
メチルホルムアミド溶液を不織布全体に含浸後、浸透し
きれなかった溶液をナイフでかきとった後DMF/水3
0/40の比率の凝固浴中で凝固し、続いて、水洗後、
複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01d
texの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊
維とポリウレタンとからなり、厚さ1.3mmの繊維質
基体を得た。次にあらかじめ金属ベルト上に実施例1の
表面多孔層を構成するポリウレタン溶液と同一のポリウ
レタン(T1=0.80mm)18%ジメチルホルムア
ミド溶液をコートし、DMF/水=30/40の比率の
凝固浴中で凝固、水洗、乾燥して厚さ0.3mmの多孔
質シートを作製した。このシートを繊維質基体に多孔質
シート用のポリウレタン溶液を10%溶液に希釈し14
0メッシュのグラビアロールで塗布し多孔質シートを張
り合せて乾燥を行い厚さ1.3mmの繊維質基体を得
た。この基体中の表面多孔層に接する基体の繊維とポリ
ウレタンの比率は、重量比60/40であった。
【0040】この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタ
ン液をグラビアロールで塗布し、固形分で5g/m
着色層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボ
スロールを30秒間プレス圧2kg/cmで型押し
し、天然皮革調の模様を付与した。さらに揉み機で揉み
製品とした。このものは、天然皮革調の自然な外感を有
し、風合いはソフトであるが風合いのバランスに欠け、
さらに目標とする剥離強力を下回る1.7kg/cm
で、多孔質シートと繊維質基体層の界面で剥離している
部分が目立つものしか得られなかった。そして上記皮革
様シートを用いてスポーツ靴を作製したところ、優れた
柔軟性は有するが風合いのバランスに欠け、剥離強力も
低いものであった。
【0041】
【発明の効果】本発明は、単繊維繊度0.2dtex以
下の極細繊維からなる3次元絡合不織布の絡合空間にポ
リウレタンを主体とする弾性樹脂が充填された繊維質基
体層と繊維質基体層の表面に密着したポリウレタンから
なる表面多孔層と表面仕上げ層とからなり、表面多孔層
と密着した繊維質基体層中の上層部分には、表面多孔層
を構成するポリウレタンより熱変形しにくいポリウレタ
ン樹脂が充填されていることを特徴とする皮革様シート
であり、これにより高級な天然皮革調の外観とソフト
性、剥離強力を兼ね備えた靴、ボール、鞄等の用途に広
く使用できる皮革様シートが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮革様シートを模式的に表す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 表面仕上げ層 2 表面多孔層 3 繊維質基体 4 繊維質基体上層 5 繊維質基体下層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥浦屋 兼治 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 中野 学 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 Fターム(参考) 4F055 AA02 BA13 CA07 DA08 EA05 EA12 EA24 EA34 FA20 GA02 HA05 HA16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単繊維繊度0.2dtex以下の極細繊維
    からなる3次元絡合不織布の絡合空間にポリウレタンを
    主体とする弾性樹脂が充填された繊維質基体層、繊維質
    基体層の表面に密着したポリウレタンからなる表面多孔
    層、および表面仕上げ層とからなり、表面多孔層と密着
    した繊維質基体層中の上層部分には、表面多孔層を構成
    するポリウレタンより熱変形しにくいポリウレタン樹脂
    が充填されていることを特徴とする皮革様シート。
  2. 【請求項2】請求項1記載の皮革様シートを用いたスポ
    ーツ靴。
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