JPH11158782A - 皮革様シート - Google Patents

皮革様シート

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JPH11158782A
JPH11158782A JP10214830A JP21483098A JPH11158782A JP H11158782 A JPH11158782 A JP H11158782A JP 10214830 A JP10214830 A JP 10214830A JP 21483098 A JP21483098 A JP 21483098A JP H11158782 A JPH11158782 A JP H11158782A
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elastic polyurethane
layer
elastic
polyurethane
leather
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JP10214830A
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Hisao Yoneda
久夫 米田
Teruo Kitamura
照夫 北村
Goji Kasuya
剛司 糟谷
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SAN PLUS KK
Kuraray Co Ltd
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SAN PLUS KK
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精細で且つ鮮明に描画され、しかも耐摩耗性
および堅牢性に優れる、インクジェット方式によって繁
雑な手間を要することなく生産性良く描画された画像を
有する高品質の皮革様シートおよびその製造法、並びに
それに用いる描画用皮革様シートの提供。 【解決手段】 繊維質基体(A)上に、隠蔽層(B)及び易
染層(C)を順次有し、前記の易染層(C)上にインクジェ
ット方式により描画された解像度が4ドット/mm以上
である画像(D)を有し、且つ前記の画像(D)上に透明ま
たは半透明の保護層(E)を有する本発明の皮革様シー
トおよびその製造法、並びに上記の繊維質基体(A)、
隠蔽層(B)および易染層(C)よりなる本発明のイン
クジェット方式による描画用皮革様シートにより上記の
課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット方
式によって描画した画像を有する皮革様シート、その製
造方法および該皮革様シートを用いて形成したゴルフ手
袋、並びにインクジェット方式による描画用の皮革様シ
ートに関するものである。本発明による場合は、精細で
且つ鮮明に描画され、しかも耐摩耗性および堅牢性に優
れる画像を有する、意匠効果に優れる高品質の皮革様シ
ートを、従来よりも簡単に、生産性良く、低コストで製
造することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、人工皮革に模様を施す方法として
は、人工皮革の銀面に、グラビア印刷、捺染、ローラー
印刷、転写、手描きなどによって模様を描く方法が一般
に採用されている。しかしながら、グラビア印刷、捺
染、ローラー印刷、転写などによって模様を描く方法で
は、図柄を変更する際に、グラビアロール、捺染用スク
リーン、彫刻ロールなどを変更することが必要であるた
め、多大の時間、人手、費用がかかる。また、これらの
従来法による場合は、色数の制限があったり、調色作業
に手間や熟練を要したり、画像の精細性に問題がある。
さらに、手描きによる場合は、高度の熟練を要し、時間
がかかり、生産性が極めて低い。
【0003】印刷分野では、近年、インクジェットプリ
ンターが普及している。インクジェットプリンターによ
る場合は、上記した従来のグラビア印刷、捺染、ローラ
印刷、転写などと異なり、コンピュータ上で画像の調整
や変更を行うだけで、紙などに精細な画像や文字を多色
刷りで短時間で効率よく印刷することができる。そこで
このようなインクジェット方式によるプリント技術を皮
革素材に利用することが試みられており、特開平9−5
9700号公報には、天然皮革などの皮革素材上に水性
下塗り剤層を形成し、その上にさらにアルミナ水和物を
含有する多孔質インク受容層を設け、該多孔質インク受
容層上にインクジェット方式によって描画し、その上に
透光性保護層を設けた皮革製品が記載されている。しか
しながら、この皮革製品では、多孔質インク受容層に用
いられているアルミナ水和物のインク受容性(染着性)
が十分ではないため、ここで採用されている方法を銀付
人工皮革に用いても、精細で鮮明な、高解像度の画像が
形成されにくく、しかも画像の色調も深みのないものと
なり易い。さらに、この公知の技術の場合には、多孔質
インク受容層が摩擦により脱落し易いという問題を有し
ており、耐摩耗性の点でも満足できるものではない。そ
のため、インクジェット方式によるプリント技術は画像
の変更や設計の容易性、高速性、多色刷りの容易性など
の種々の利点があるにも拘わらず、人工皮革の分野では
未だ充分に活用されておらず、人工皮革表面にインクジ
ェット方式によって精細で且つ鮮明であり、深みがあ
り、しかも耐摩耗性や堅牢性に優れる画像を形成し得る
技術の開発が求められてきたが、未だそのような技術が
得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
クジェット方式によって描画された、精細で且つ鮮明で
あり、色調に深みがあり、しかも耐摩耗性や堅牢性に優
れる画像を有する人工皮革(皮革様シート)、およびそ
の製造方法を提供することである。そして、本発明の目
的は、上記した優れた特性を有するインクジェット方式
によって描画された皮革様シートを用いて形成した手袋
などの製品を提供することである。さらに、本発明の目
的は、インクジェット方式による画像の形成に有効に用
いる皮革様シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、繊維質
基体上に隠蔽層および特定の易染層を順次形成し、その
易染層上にインクジェット方式によって描画して画像を
形成し、該画像の上にさらに透明または半透明の保護層
を形成すると、4ドット/mm以上の高い解像度を有し
ていて、精細性、鮮明性に優れ、色調に深みがあり、し
かも耐摩耗性および堅牢性に優れる画像を有する皮革様
シートが、簡単に且つ安定して、生産性よく得られるこ
とを見出して本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、繊維質基体(A)上
に、隠蔽層(B)および易染層(C)を順次有し、前記
の易染層(C)上にインクジェット方式により描画され
た解像度が4ドット/mm以上である画像(D)を有
し、且つ前記の画像(D)上に透明または半透明の保護
層(E)を有することを特徴とする皮革様シートであ
る。
【0007】そして、本発明は、繊維質基体(A)上
に、隠蔽層(B)を形成し、更にその上に易染層(C)
を形成した後、該易染層(C)上にインクジェット方式
によって描画して解像度が4ドット/mm以上である画
像(D)を形成し、次いで前記の画像(D)上に透明ま
たは半透明の保護層(E)を形成することを特徴とする
皮革様シートの製造方法である。
【0008】さらに、本発明は、繊維質基体(A)上
に、隠蔽層(B)および易染層(C)を順次有し、且つ
前記易染層(C)のインクに含まれる着色料に対する平
衡染着量が60mg/g以上であることを特徴するイン
クジェット方式による描画用皮革様シートである。
【0009】そして、本発明は、インクジェット方式に
よる描画によって画像を形成した上記の皮革様シートを
手の甲側用材料として用い、立毛人工皮革を手の掌側用
材料として用いて形成したゴルフ手袋である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明では、繊維質基体(A)として、皮革様シ
ート(人工皮革)において従来から用いられてきた繊維
質材料をベースとする繊維質基体のいずれもが使用でき
る。本発明で用い得る繊維質基体(A)の例としては、
不織布や編織物などの布帛自体、不織布や編織物などの
布帛に弾性重合体を含浸させたもの、不織布や編織物な
どの布帛に弾性重合体以外の樹脂を含浸させたもの、不
織布や編織物などの布帛に弾性重合体とその他の樹脂を
含浸させたものなどを挙げることができる。
【0011】また、繊維質基体(A)のベースをなす不
織布や編織物などの繊維質材料は、合成繊維、半合成繊
維、人造繊維、天然繊維、それらの2種以上の併用など
のいずれであってもよい。また、不織布や織編物を構成
する繊維は、単繊維繊度が0.5デニール以下の極細繊
維であっても、単繊維繊度が0.5デニールよりも太い
繊維であっても、またはそれらの併用であってもよい。
【0012】そのうちでも、本発明では、繊維質基体
(A)が単繊維繊度0.5デニール以下の極細繊維から
構成されていることが好ましい。特に、本発明では、繊
維質基体(A)として、単繊維繊度0.5デニール以下
の極細繊維からなる絡合不織布が好ましく用いられ、単
繊維繊度0.5デニール以下の極細繊維からなる絡合不
織布に弾性重合体を含浸してなるシート状物がより好ま
しく用いられる。繊維質基体(A)として、単繊維繊度
0.5デニール以下の極細繊維からなる絡合不織布に弾
性重合体を含浸してなるシート状物を用いる場合は、繊
維質基体(A)上に施す隠蔽層(B)の層厚を低減させ
ることが可能になって天然皮革に一層近い外観や触感を
有する皮革様シートが得られるようになり、インクジェ
ット方式による画像形成の細密度が向上し、しかもスポ
ーツ手袋やその他の製品に必要とされるソフトさ、縫目
強力、引裂強力などを兼ね備えたものとなる。
【0013】繊維質基体(A)に好ましく用いられる極
細繊維の製法は特に制限されず、従来から知られている
方法のいずれもが採用でき、例えば、(1)溶解性また
は分解性の異なる2種類以上のポリマーを混合紡糸法、
海島型複合紡糸法、分割型複合紡糸法などにより紡糸
し、それにより得られた極細発生型繊維を構成するポリ
マーの一部を抽出または分解除去して極細繊維とする方
法、(2)合成繊維を用いて立毛構造を有する布帛など
を製造した後に立毛部の一部を分解除去して極細繊維を
形成する方法、(3)溶融ポリマーを紡糸ノズルから吐
き出した直後に高速気体を吹き付けて繊維を吹き飛ばし
て細くするメルトブロー法などを挙げることができる。
そのうちでも、極細発生型繊維を用いてポリマーの一部
を除去する上記(1)の方法が、繊維の太さの管理を容
易に且つ安定に行うことができて、目的とする単繊維繊
度の極細繊維が簡単に且つ安定して形成される点から好
ましく採用される。
【0014】上記した極細発生型繊維において、極細繊
維として残留させるポリマー成分の代表例としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トなどの芳香環を有するポリエステル類;ナイロン−
6、ナイロン−66などのポリアミド類;ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類などを挙げ
ることができ、これらのポリマーの1種または2種以上
が好ましく用いられる。しかしながら、勿論これら以外
の繊維形成性ポリマーであってもよい。
【0015】また、上記した極細発生型繊維において、
抽出または分解除去されるポリマー成分の代表例として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリス
チレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレ
ン−エチレン共重合体などを挙げることができ、これら
のポリマーの1種または2種以上が好ましく用いられ
る。しかしながら、これら以外のポリマーも、抽出また
は分解除去されるポリマーとして用いることができる。
【0016】極細発生型繊維を用いて極細繊維からなる
繊維質シート、特に極細繊維からなる絡合不織布を製造
する方法としては、(i)極細発生型繊維を用いて絡合
不織布を製造した後に、極細発生型繊維を形成している
一部のポリマー成分を抽出または分解除去して極細繊維
化を行う方法、または(ii)極細発生型繊維を形成して
いる一部のポリマー成分を抽出または分解除去して極細
繊維を形成した後にその極細繊維を用いて絡合不織布を
形成する方法などを挙げることができ、いずれの方法を
採用してもよい。そのうちでも、極細発生型繊維を用い
て絡合不織布を製造した後に極細繊維化を行う前記
(i)の方法が、絡合不織布を製造する際の工程性、極
細繊維化の容易性、得られる極細繊維の均一性などの点
から好ましく採用される。そして、上記(i)の方法を
採用する場合は、その極細繊維化工程を、極細発生型繊
維から形成した絡合不織布に弾性重合体などを含浸させ
た後に行っても、または弾性重合体など含浸させる前に
行ってもよく、弾性重合体など含浸させてから極細繊維
化を行う前者の方法が、弾性重合体などの含浸作業の容
易性、弾性重合体の均一含浸性、得られる皮革様シート
の柔軟性などの点から好ましく採用される。
【0017】極細発生型繊維を用いる絡合不織布の製造
法は特に制限されず、従来から知られている方法によっ
て行うことができる。何ら限定されるものではないが、
例えば、極細発生型繊維に対して延伸、熱固定、捲縮、
切断、解綿処理などを行って原綿を製造した後、この原
綿をカードで解繊し、ウエーバでランダムウエブまたは
クロスラップウエブなどを形成し、必要に応じて前記ウ
エブを複数枚積層して所望の厚さ又は重さ(目付け)に
し、それを公知の手段で絡合処理して絡合不織布を形成
することができる。その際に、絡合処理を施す前のウエ
ブまたはウエブ積層体の重さ(目付け)は、本発明の皮
革様シートの用途などに応じて異なり得るが、一般に1
00〜3000g/m2の範囲であることが、天然皮革
様の風合が得られ易いことおよび工程通過性の点から好
ましい。また、ウエブまたはウエブ積層体の絡合処理
は、例えば、ニードルパンチング法、高圧水流噴射法な
どの従来既知の絡合方法により行うことができる。ニー
ドルパンチング法による絡合処理を行う場合のパンチン
グ数、パンチング条件などは使用針やウエブの厚みなど
により異なり得るが、一般的には200〜2500パン
チ/cm2の条件が好ましく採用される。
【0018】本発明において、繊維質基体(A)とし
て、弾性重合体を含浸した不織布や織編物などの布帛を
用いる場合、特に弾性重合体を含浸した極細発生型繊維
からなる絡合不織布を用いる場合には、布帛に含浸させ
る弾性重合体として、各種の合成ゴム、熱可塑性エラス
トマー、天然ゴムから選ばれる弾性重合体の1種または
2種以上を用いることができる。そのうちでも、得られ
る皮革様シートの風合が良好になる点、耐久性、弾性回
復性の点などから、布帛に含浸させる弾性重合体とし
て、弾性ポリウレタン(ポリウレタンエラストマー)が
好ましく用いられる。
【0019】布帛に含浸させる弾性ポリウレタンとして
は、ジオール化合物とジカルボン酸またはそのエステル
形成性誘導体との反応により形成されたポリエステルジ
オール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオ
ール、ポリエーテルジオールなどから選ばれるポリマー
ジオールの1種または2種以上をソフトセグメント用成
分として用い、このポリマージオールにジイソシアネー
ト化合物および低分子量鎖伸長剤を反応させて得られる
いわゆるセグメント化ポリウレタンが好ましく用いられ
る。
【0020】弾性ポリウレタンの製造に用いる上記のポ
リマージオールは、その数平均分子量が500〜500
0の範囲であることが好ましい。ポリマージオールの数
平均分子量が500未満であると、ポリウレタンの柔軟
性が不足し、ひいては天然皮革様の風合を有する皮革様
シートが得られにくくなる。一方、ポリマージオールの
数平均分子量が5000を超えると、弾性ポリウレタン
におけるウレタン基濃度が減少して、柔軟性、耐久性、
耐熱性、耐加水分解性などの物性においてバランスのと
れた皮革様シートが得られにくくなる。
【0021】ポリマージオールとしてポリエステルジオ
ールを用いる場合は、ポリエステルジオールの形成に用
いる上記ジオール化合物として、炭素数が6〜10のジ
オール化合物、例えば、3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−
1,3−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオールなどの1種または2種以上を
使用すると、耐久性が良好で、且つ良好な皮革様風合を
有する皮革様シートを得ることができる。また、ポリエ
ステルジオールの形成に用いる上記ジカルボン酸または
そのエステル形成性誘導体の代表例としては、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン
酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成
性誘導体を挙げることができ、これらの1種または2種
以上を用いることができる。
【0022】また、弾性ポリウレタンの製造に用いる上
記したジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソ
シアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂
環式ジイソシアネート化合物のいずれもが使用でき、例
えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネー
ト、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレン
ジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのジ
イソシアネート化合物の1種または2種以上を用いるこ
とができる。
【0023】弾性ポリウレタンの製造に用いる上記した
低分子量鎖伸長剤としては、活性水素原子を2個有する
低分子量ジオール、低分子量ジアミン、第3級アミノ基
含有2官能性化合物などを用いることができ、具体例と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ブタンジオール、ヘキサンジオール、エチレンジアミ
ン、N−メチルジエタノールアミンなどを挙げることが
できる。弾性ポリウレタンは、上記したポリマージオー
ル、ジイソシアネート化合物および鎖伸長剤を、一般
に、イソシアネート基:全活性水素原子が1:0.9〜
1.1のモル比になるようにして反応させることによっ
て好ましく製造される。また、布帛に含浸させる弾性ポ
リウレタンは、必要に応じて、顔料、染料、凝固調節
剤、安定剤などを含有していてもよい。
【0024】布帛への弾性重合体の含浸方法は特に制限
されず、例えば弾性重合体溶液を含浸させる方法、弾性
重合体の溶融物を含浸させる方法などを採用し得るが、
一般には風合のバランスの点から弾性重合体を溶液状に
して含浸させる方法が好ましく採用される。その際の含
浸方法としては、布帛を弾性重合体溶液中に浸漬させる
方法、布帛に弾性重合体溶液を噴霧、ローラー塗布、流
延などによって施す方法などが採用される。布帛への弾
性重合体の含浸量は、本発明の皮革様シートを天然皮革
様のソフトな風合にする点から、布帛:弾性重合体の重
量比が30:70〜80:20の範囲であることが好ま
しく、40:60〜55:45の範囲であることがより
好ましい。布帛への弾性重合体の含浸量が高くなり過ぎ
ると、ゴムライクな不良な風合になり易い。また、本発
明では繊維質基体(A)として弾性重合体を含浸させて
いない布帛も使用できるが、布帛の種類や形態などによ
っては、弾性重合体を含浸させないと、得られる皮革様
シートがペーパーライクな風合になる場合があるので、
布帛の種類や形態などに応じて、弾性重合体を含浸させ
たり、その含浸量を調節するとよい。
【0025】弾性重合体を含浸させた布帛では、弾性重
合体を凝固、固化または硬化させる。凝固、固化または
硬化方法は、弾性重合体の種類などに応じて適した方法
を採用することができる。例えば弾性ポリウレタン溶液
を含浸させた場合は、湿式凝固法や乾式凝固法などによ
り弾性ポリウレタンを凝固させることができる。また、
例えば弾性重合体の溶融物を含浸させた場合は含浸後に
弾性重合体の融点以下の温度にすることによって弾性重
合体を固化することができる。さらに、例えば加硫や架
橋によって硬化する弾性重合体を含浸させた場合は、含
浸後に加硫または架橋して硬化させる。
【0026】弾性重合体を凝固、固化または硬化させた
後の上記した弾性重合体含浸布帛において、布帛が極細
発生型繊維から形成されている場合は、弾性重合体およ
び極細発生型繊維中の一部のポリマー成分を溶解または
分解せず且つ極細発生型繊維中の他の一部のポリマー成
分を溶解または分解する溶剤または分解剤を用いて弾性
重合体含浸不織布を処理して、極細発生型繊維中の一部
のポリマー成分を除去して、布帛を構成している極細発
生型繊維を極細繊維にする。それにより得られる極細繊
維から構成させる弾性重合体を含浸した布帛は、柔軟
性、強度、風合、触感などの点で優れており、本発明の
皮革様シートにおける繊維質基体(A)として好ましく
用いられる。
【0027】本発明の皮革様シートに用いる繊維質基体
(A)の厚さは特に制限されず、皮革様シートの用途な
どに応じて調節し得るが、得られる皮革様シートの柔軟
性、力学的特性、重さなどの点から、一般的には100
μm〜3mmの範囲であることが好ましく、300μm
〜2.5mmであることがより好ましい。
【0028】本発明の皮革様シートは、上記した繊維質
基体(A)の表面に隠蔽層(B)を有している。この隠
蔽層(B)は、繊維質基体(A)の色斑や繊維斑(繊維
による凹凸斑など)などを隠蔽して、インクジェットに
よる描画が鮮明に且つ精細に行われるようにするための
層である。可撓性および柔軟性に富む皮革様シートを得
られる点から、隠蔽層(B)は可撓性を有する有機重合
体または有機重合体組成物から形成することが好まし
い。隠蔽層(B)を形成する可撓性の有機重合体は弾性
重合体および非弾性重合体のいずれであってもよく、例
えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプ
レン、SBR、NBRなどの合成ゴム;天然ゴム;弾性
ポリウレタン、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル
系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラス
トマーなどのエラストマー類;ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデンなどの
ハロゲン化重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、エチ
レン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−メタク
リル酸エチル共重合体などのオレフィン系重合体;アク
リル系重合体;ポリビニルアルコール系重合体;ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートな
どのポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66など
のポリアミド;などを挙げることができる。
【0029】そのうちでも、隠蔽層(B)は、弾性重合
体、すなわちゴム類やエラストマー類またはその弾性重
合体組成物から形成されていることが、柔軟性に優れる
皮革様シートが得られる点から好ましい。特に、繊維質
基体(A)として弾性ポリウレタンを含浸した布帛を用
いる場合は、隠蔽層(B)を弾性ポリウレタンまたはそ
の組成物を用いて形成すると、繊維質基体(A)と隠蔽
層(B)の親和性が高くなり、層間剥離などが生じず、
均一な風合、良好な触感、一体感のある折れシボとなる
ので好ましい。その際に、隠蔽層(B)を構成する弾性
ポリウレタンとしては、繊維質基体(A)において布帛
の含浸に好ましく用いられる上記した種々の弾性ポリウ
レタンと同様の弾性ポリウレタン、すなわち、ポリマー
ジオールの1種または2種以上、ジイソシアネート化合
物および低分子量鎖伸長剤を反応させて得られるセグメ
ント化ポリウレタンが好ましく用いられる。
【0030】隠蔽層(B)の色は特に制限されず、イン
クジェット方式によって描画される画像の色調、模様の
種類、皮革様シートの用途などに応じて決めることがで
きる。一般的には、隠蔽層(B)の色は白色または淡色
であることが好ましく、白色であることがより好まし
い。隠蔽層(B)が白色または淡色であると、インクジ
ェット方式によってより鮮明で、精細な画像が形成で
き、しかもインクの色の選択の自由度が大きくなり、イ
ンクの色数を多くすることができる。
【0031】隠蔽層(B)は、無孔質の層であっても、
或いは発泡または多孔質の層であってもよい。隠蔽層
(B)が発泡または多孔質の層である場合は、発泡部や
多孔部で光を乱反射させて繊維質基体(A)への光の透
過を抑制するので、隠蔽層(B)の白色度を増すことが
できる。隠蔽層(B)を発泡または多孔質の層にする場
合は、隠蔽層(B)を構成する有機重合体の種類などに
応じて、湿式発泡法(湿式多孔質化法)、乾式発泡法
(乾式多孔質化法)、感熱発泡法などの従来既知の発泡
法(多孔質化法)を採用して行うことができる。隠蔽層
(B)として発泡層または多孔質層を用いる場合には、
該層の空隙率を20〜80容量%とすることが、隠蔽層
(B)の機械的強度の低下を防止しながら高い隠蔽効果
を得ることができるので好ましい。特に、繊維質基体
(A)が織物または編物から形成されている場合は、隠
蔽層(B)として発泡層または多孔質層を採用すること
により、基体層の凹凸を解消することができるので好ま
しい。一方、繊維質基体(A)が極細繊維から構成され
た不織布である場合には、隠蔽層(B)として白色粉末
含有非多孔質層を用いるのが天然皮革に一層近似した風
合を達成する上で好ましい。
【0032】また、無孔質(非発泡または非多孔質)の
隠蔽層(B)、或いは発泡または多孔質の隠蔽層(B)
中に、光の通過を阻害する白色の無機粉末、有機粉末、
金属粉末などを添加しておくと、隠蔽層(B)の白色度
を増すことができる。隠蔽層(B)に含有させ得る白色
粉末の代表例としては、酸化チタン、酸化ケイ素、亜鉛
華、リトポン、炭酸カルシウム、バライトなどを挙げる
ことができる。なかでも酸化チタンと酸化ケイ素が好ま
しい。隠蔽層(B)中に白色粉末を含有させる場合は、
隠蔽層(B)を構成する有機重合体の重量に対して、白
色粉末の量を50〜300重量%の範囲にすることが好
ましく、50〜200重量%の範囲にすることがより好
ましい。隠蔽層(B)中における白色粉末の含有量が多
すぎると、隠蔽効果は向上するものの、隠蔽層(B)の
強度が低下して、繊維質基体(A)や易染層(C)との
層間接着強度が低下する。
【0033】隠蔽層(B)の厚さは、繊維質基体(A)
を構成する繊維の太さ、繊維質基体(A)の目付け、色
調、厚さ、隠蔽層(B)を構成する有機重合体の種類や
色調などに応じて調節し得るが、一般的には、5〜60
0μmの範囲であることが好ましい。隠蔽層(B)の厚
さが5μm未満の場合には、隠蔽効果を達成するのに必
要な白色粉末の添加量を極端に多くする必要があり、層
間の剥離強度が低下し易い。一方、隠蔽層(B)の厚さ
が600μmを超える場合には、天然皮革様の風合が得
られにくくなる。そのうちでも、隠蔽層(B)が無孔質
層(非発泡層または非多孔質層)である場合には、隠蔽
層(B)の厚さが5〜100μmの範囲であることがよ
り好ましく、10〜50μmの範囲であることが一層好
ましい。また、隠蔽層(B)が発泡層または多孔質層で
ある場合には、隠蔽層(B)の厚さが30〜600μm
であることがより好ましく、100〜300μmである
ことが一層好ましい。また、隠蔽層(B)は、繊維質基
体(A)中に一部含浸した状態になっていてもよい。さ
らに、皮革様シートの用途などに応じて、隠蔽層(B)
は繊維質基体(A)の両面に設けても、または片方の面
に設けてもよく、一般的には繊維質基体(A)の片方の
面に設けられる。
【0034】繊維質基体(A)上への隠蔽層(B)の形
成方法としては、繊維質基体(A)上に隠蔽層(B)を
均一に形成し得る方法であればいずれの方法で行っても
よい。例えば、隠蔽層(B)を形成するための有機重合
体または有機重合体組成物の溶媒溶液や溶融液を繊維質
基体(A)の表面に、ローラー塗装、吹付け塗装、カー
テンフロー塗装、エクストルーダー塗装、ハケ塗りなど
の適当な塗装方法により塗布した後、該塗布層を乾燥、
凝固、固化または硬化することによって隠蔽層(B)を
形成することができる。その際に、発泡したまたは多孔
質の隠蔽層(B)を形成させる場合は、繊維質基体
(A)上に隠蔽層(B)を形成する有機重合体または有
機重合体組成物を塗布した後に、または塗布するのと同
時に、湿式発泡法(湿式多孔質化法)、乾式発泡法(乾
式多孔質化法)、加熱発泡法などによって発泡または多
孔化すればよい。例えば、繊維質基体(A)上に発泡し
た弾性ポリウレタンからなる隠蔽層(B)を形成する場
合は、弾性ポリウレタンの溶剤溶液を繊維質基体(A)
上に塗布した後、水中に投入したり、水を散布して湿式
凝固させると同時に発泡させると、発泡した弾性ポリウ
レタンからなる隠蔽層(B)を形成させることができ
る。また、繊維質基体(A)上に隠蔽層(B)を形成す
るに当たって、繊維質基体(A)の隠蔽層(B)形成面
をバッフィングなどにより多少粗面化しておいてもよ
い。
【0035】次に、上記した隠蔽層(B)上に易染層
(C)を設ける。易染層(C)はインクを染着し易くし
てインクジェットによる描画が鮮明に且つ精細に行われ
るようにするための層である。そのため、本発明の皮革
様シートでは、インクに含まれる着色料(染料)に対す
る易染層(C)の平衡染着量が60mg/g以上である
ことが好ましく、80mg/g以上であることがより好
ましい。易染層(C)の平衡染着量が60mg/g以上
であることによって、4ドット/mm以上(100ドッ
ト/インチ以上)の解像度(ドット数)のインクジェッ
トを用いて、鮮明で且つ精細な画像(D)を易染層
(C)上に描画することが可能になる。易染層(C)の
平衡染着量が60mg/g未満であると、インクと易染
層(C)との親和性が低いことによって、インクジェッ
トによる描画時にインクのはじきが生じて、鮮明で精細
な画像が得られなくなり、しかもインクジェットによる
描画後の乾燥工程およびその後の保護層(E)を設ける
までの工程において易染層(C)からのインクの剥離な
どが生ずる。なお、本明細書でいう「インクに含まれる
着色料に対する易染層(C)の平衡染着量」とは、易染
層(C)を構成する材料(一般的には重合体または重合
体組成物)が、インクに含まれる着色料(染料)を平衡
状態(飽和状態)になるまで吸収する能力(吸収量)を
いう。易染層(C)の平衡染着量は、易染層(C)を構
成する重合体または重合体組成物から厚さ100μmの
シートをつくり、そのシートをインクに含まれる着色料
中に浸漬させてシートによる着色料の吸収が平衡状態に
なるまで浸漬を継続し、平衡状態に達した時点でシート
を取り出してシートに吸収されている着色料の重量を測
定し、それをシート1g当たりの吸収量に換算すること
によって求める。
【0036】易染層(C)は、柔軟性に優れ、機械的強
度などの力学的特性に優れ、且つ隠蔽層(B)との親和
性が高くて、皮革様シートから剥離したり脱落しない材
料から形成する。易染層(C)を形成する材料として
は、インクの吸着性に優れ且つ柔軟性のある有機重合体
材料が一般に好ましく採用される。その場合の有機重合
体材料としては、インクに含まれる着色料と親和性であ
る基を分子中に有する有機重合体、インクに含まれる着
色料と親和性を有する添加剤を含有する有機重合体組成
物などが好ましく用いられる。インクの種類、インクに
含まれる着色料の種類などに応じて、易染層(C)を形
成する有機重合体の種類や、重合体に含有させるインク
中の着色料と親和性の添加剤の種類や量などを選択する
のがよい。本発明の皮革様シートは、インクジェットプ
リンターで通常用いられている染料系インクを用いて好
ましく製造されることから、インクジェット中に含まれ
る着色料(染料)が酸性のものである場合は、易染層
(C)を、塩基性の基を有する有機重合体や塩基性の添
加剤を有する有機重合体組成物から形成するのがよく、
またはインクジェット中に含まれる着色料が塩基性であ
る場合は、易染層(C)を、酸性の基を有する有機重合
体や酸性の添加剤を有する有機重合体組成物から形成す
るのがよい。
【0037】本発明では、インクジェットによる描画が
鮮明に行われ、且つ得られる皮革様シートの物性が良好
なものとなる点から、易染層(C)を弾性ポリウレタン
から形成し、酸性染料を含有するインクを用いて該易染
層(C)上に描画することが好ましい。その際に、易染
層(C)を構成する弾性ポリウレタンとしては、繊維質
基体(A)において布帛の含浸に好ましく用いられる上
記で説明した種々の弾性ポリウレタンと同様の弾性ポリ
ウレタン、すなわち、ポリマージオールの1種または2
種以上、ジイソシアネート化合物および低分子量鎖伸長
剤を、イソシアネート基:全活性水素原子のモル比が
1:0.9〜1.1であるようにして反応させて得られ
る種々のセグメント化ポリウレタンの1種または2種以
上が好ましく用いられる。
【0038】そのうちでも、本発明では、易染層(C)
を、下記の弾性ポリウレタンおよび弾性ポリウレタン
の少なくとも1種から形成することが好ましい。 ・弾性ポリウレタン:ポリエチレングリコールに由来
するソフトセグメントを、弾性ポリウレタン中のソフト
セグメントの全重量に基づいて30重量%以上の割合で
有する弾性ポリウレタンであって、且つ該弾性ポリウレ
タンの製造に用いたイソシアネート化合物のイソシアネ
ート基に由来する窒素の含有量が、弾性ポリウレタンの
重量に基づいて3〜7重量%である弾性ポリウレタン。 ・弾性ポリウレタン:第3級アミノ基含有2官能性化
合物に由来する構造単位を、弾性ポリウレタン1g当た
り1.0×10-4モル以上の割合で有する弾性ポリウレ
タンであって、且つ該弾性ポリウレタンの製造に用いた
イソシアネート化合物のイソシアネート基に由来する窒
素の含有量が、弾性ポリウレタンの重量に基づいて3〜
7重量%である弾性ポリウレタン。
【0039】易染層(C)として好ましく用いられる上
記の弾性ポリウレタンは、ポリエチレングリコールに
由来するソフトセグメントを、弾性ポリウレタン中のソ
フトセグメントの全重量に基づいて30重量%以上の割
合で有するセグメント化した弾性ポリウレタンであっ
て、且つ該セグメント化した弾性ポリウレタンの分子中
に、該弾性ポリウレタンの製造に用いたイソシアネート
化合物のイソシアネート基に由来する窒素を、弾性ポリ
ウレタンの重量に基づいて3〜7重量%の割合で同時に
有する弾性ポリウレタンである。この弾性ポリウレタン
では、ポリエチレングリコールに由来するソフトセグ
メントの含有量が上記した30重量%以上であることに
よって、染色性が顕著に優れたものとなる。また、この
弾性ポリウレタンでは、上記したイソシアネート基に
由来する窒素の含有量が上記した3重量%以上であるこ
とにより、強度が良好になり、また該窒素の含有量が上
記した7重量%以下であることにより染色性が優れたも
のとなる。そのため、易染層(C)をこの弾性ポリウレ
タンから形成した場合は、インクジェット中に含まれ
る染料に対する染着性に極めて優れたものとなって易染
層(C)の解像度が一層向上し、しかも易染層(C)の
強度も良好なものとなる。弾性ポリウレタンでは、ポ
リエチレングリコールに由来するソフトセグメントの割
合が、弾性ポリウレタン中のソフトセグメントの全重量
に基づいて50重量%以上であることがより好ましく、
また前記したイソシアネート基に由来する窒素の含有量
が、弾性ポリウレタンの重量に基づいて3.5〜6重量
%であることがより好ましい。
【0040】易染層(C)として好ましく用いられる上
記の弾性ポリウレタンは、第3級アミノ基含有2官能
性化合物に由来する構造単位を、弾性ポリウレタン1g
当たり1.0×10-4モル以上の割合で有する弾性ポリ
ウレタンであって、且つ第3級アミノ基含有2官能性化
合物に由来する構造単位を有する該弾性ポリウレタンの
分子中に、該弾性ポリウレタンの製造に用いたイソシア
ネート化合物のイソシアネート基に由来する窒素を、弾
性ポリウレタンの重量に基づいて3〜7重量%の割合で
同時に有する弾性ポリウレタンである。この弾性ポリウ
レタンでは、第3級アミノ基含有2官能性化合物に由
来する構造単位を弾性ポリウレタン1g当たり1.0×
10-4モル以上の割合で有していることによって、染色
性が優れたものとなる。また、この弾性ポリウレタン
では、弾性ポリウレタンの場合と同様に、上記したイ
ソシアネート基に由来する窒素の含有量が上記した3重
量%以上であることにより、強度が良好になり、また該
窒素の含有量が上記した7重量%以下であることにより
染色性が優れたものとなる。そのため、易染層(C)を
この弾性ポリウレタンから形成した場合にも、インク
ジェット中に含まれる染料に対する染着性が優れたもの
となって易染層(C)の解像度がより向上し、且つ易染
層(C)の強度も良好なものとなる。弾性ポリウレタン
では、第3級アミノ基含有2官能性化合物に由来する構
造単位の割合が、弾性ポリウレタン1g当たり1.3×
10-4モル以上であることがより好ましく、また前記し
たイソシアネート基に由来する窒素の含有量が、弾性ポ
リウレタンの重量に基づいて3.5〜6重量%であるこ
とがより好ましい。弾性ポリウレタンの製造に用いら
れる上記した第3級アミノ基含有2官能性化合物の代表
例としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチ
ルジエタノールアミン、N−イソブチルジエタノールア
ミン、N−メチルアミノビスプロピルアミン等を挙げる
ことができ、弾性ポリウレタンはこれらの第3級アミ
ノ基含有2官能性化合物の1種または2種以上に由来す
る構造単位を有する。
【0041】易染層(C)は、上記した弾性ポリウレタ
ンおよび弾性ポリウレタンのうちの一方のみを用い
て形成しても、または両方の混合物を用いて形成しても
よい。そのうちでも、易染層(C)は、弾性ポリウレタ
ンを単独で用いるか、または弾性ポリウレタンを主
体としこれに弾性ポリウレタンを混合したものを用い
て形成することが、インクに含まれる染料に対する染着
性が一層良好になることから、極めて望ましい。易染層
(C)は、弾性ポリウレタンおよび/または弾性ポリ
ウレタンのみからなっていても、または弾性ポリウレ
タンおよび/または弾性ポリウレタンと他の重合体
の混合物からなっていてもよい。弾性ポリウレタンお
よび弾性ポリウレタンの製法は特に制限されず、上記
した要件を満たす弾性ポリウレタンおよび弾性ポリウ
レタンを製造し得る方法であれば、いずれの方法で製
造されたものでもよい。そのうちでも、弾性ポリウレタ
ンにおいてポリエチレングリコールに由来するソフト
セグメントの割合を上記した30重量%以上にするに
は、ソフトセグメント形成成分であるポリマージオール
として、ポリエチレングリコールの含有量が30重量%
以上のものを用いて弾性ポリウレタンを製造する方法が
挙げられる。この際に、ポリエチレングリコールをも含
めたポリマージオールとしては、数平均分子量が500
〜5000のものを用いることが、柔軟性、耐久性、耐
熱性、耐加水分解性などに優れる易染層(C)が得られ
る点から好ましい。また、弾性ポリウレタンにおい
て、第3級アミノ基含有2官能性化合物に由来する構造
単位を弾性ポリウレタン1g当たり1.0×10-4モル
以上にするには、例えば、鎖伸長剤の一部および/また
はポリマージオールの一部として、第3級アミノ基を有
する2官能性低分子化合物および/または第3級アミノ
基を有する2官能性化合物を用いて得られたポリマージ
オールを用い、且つそれらの使用量を第3級アミノ基を
有する2官能性化合物に由来する構造単位の割合が、生
成する弾性ポリウレタン1g当たり1.0×10-4モル
以上となるようにして弾性ポリウレタンを製造する方法
が挙げられる。そして、弾性ポリウレタンおよび弾性
ポリウレタンにおいて、イソシアネート基に由来する
窒素の含有量を上記した3〜7重量%の値にするには、
弾性ポリウレタンの製造に用いるポリマーポリオール、
ジイソシアネート化合物および/または鎖伸長剤として
適当な分子量のものを選択したり、ポリマージオールと
鎖伸長剤の使用割合などを調節する方法が挙げられる。
【0042】易染層(C)の厚さは、発色性、機械的物
性の点から、一般に5〜80μmの範囲であることが好
ましく、10〜40μmの範囲であることがより好まし
い。また、易染層(C)の色は特に制限されず、インク
ジェットによって描画される画像の色調、種類、内容、
隠蔽層(B)の色などに応じて決めることができる。一
般的には、易染層(C)の色を白色、淡色、透明または
半透明にすることが好ましく、透明または白色にしてお
くことがより好ましい。易染層(C)が透明でない場合
は、隠蔽層(B)の色と同色にしておくことが、インク
ジェットによる画像がきれいに仕上がるので好ましい。
【0043】易染層(C)の形成方法としては、隠蔽層
(B)上に易染層(C)を均一に形成し得る方法であれ
ばいずれの方法で行ってもよい。例えば、易染層(C)
を形成するための有機重合体または有機重合体組成物の
溶媒溶液や溶融液を隠蔽層(B)の表面に、ローラー塗
装、吹付け塗装、カーテンフロー塗装、エクストルーダ
ー塗装、ハケ塗りなどの適当な塗装方法で塗布した後、
該塗布層を乾燥、凝固、固化または硬化することによっ
て易染層(C)を形成することができる。
【0044】また、本発明では、繊維質基体(A)の表
面への隠蔽層(B)および易染層(C)の形成方法とし
て、上記した方法以外に、転写による方法を採用しても
よい。転写による方法の具体例としては、(i)離型紙
などのような離型シートの表面に隠蔽層(B)となる材
料を施して層を形成し、それを繊維質基体(A)上に転
写して繊維質基体(A)上に隠蔽層(B)を形成した
後、その上に易染層(C)を転写やその他の方法で形成
する方法;(ii)離型紙などの離型シートの表面に易染
層(C)となる材料を施して層を形成した後、その上に
隠蔽層(B)となる材料を施して層を形成し、それを繊
維質基体(A)に接触させて繊維質基体(A)上に転写
して繊維質基体(A)上に隠蔽層(B)および易染層
(C)を同時に形成する方法などを挙げることができ
る。転写によって繊維質基体(A)上に隠蔽層(B)ま
たは隠蔽層(B)と易染層(C)を形成する場合は、転
写が良好に且つ強固に行われるように接着剤を用いても
よい。
【0045】次に、繊維質基体(A)/隠蔽層(B)/
易染層(C)からなる上記した積層体の易染層(C)上
に、インクジェット方式によって描画して画像(D)を
形成する。インクジェットによる描画は、目的とする画
像の種類などに応じて、単色または複数の色を用いて行
うことができる。画像の種類や内容は何ら制限されず、
任意に選択、決定することができ、例えば文字、図柄、
模様、絵画風の模様などのいずれであってもよい。
【0046】描画に用いるインクとしては、インクジェ
ット方式による描画(印刷)において通常用いられてい
る染料系インクを用いることができ、インク中に含まれ
る染料は、酸性染料、直接染料、または分散染料のいず
れであってもよい。易染層(C)が弾性ポリウレタンか
ら形成されている場合は、画像の鮮明性および堅牢性の
点から、酸性染料を含むインクが好ましく用いられ、酸
性染料の一種である金属錯塩染料を含むインクが特に好
ましく用いられる。
【0047】画像の形成は一般にインクジェットプリン
ターを用いて行われる。インクジェットプリンターは、
画像展開ユニットのコンピューターから送り込まれるデ
ーターをリアルタイムで受けて、易染層(C)上に画像
(D)をプリントする。その際に、スキャナーやCD−
ROMなどからデーター(原画など)をコンピューター
に入力し、コンピューター上で自由自在に処理すること
によって、易染層(C)上に描画する画像(D)を適宜
選択、変更、調整することができる。インクジェットプ
リンターによる易染層(C)上への画像形成によって、
連続方式またはバッチ方式で、鮮明で且つ精細な、任意
の画像(D)を、極めて短時間で生産性よく易染層
(C)上にプリントすることができる。インクジェット
方式により形成した画像(D)は、そのまま低温で乾燥
してもよいが、一般に、50〜130℃の熱処理するこ
とが好ましく、それによって易染層(C)への画像
(D)(着色量)が固着される。
【0048】次いで、上記で形成された画像(D)上に
保護層(E)を形成する。この保護層(E)は、画像
(D)形成面の全体を透明または半透明は保護層で被覆
して、画像(D)の剥離やその他の損傷の防止、表面の
光沢感の付与、色調の調整などの機能を有する。保護層
(E)は無色の透明層または半透明層であっても、或い
は着色した透明層または半透明層であってもよい。
【0049】画像(D)上への保護層(E)の形成方法
としては、画像(D)上に保護層(E)を均一に形成し
得る方法であればいずれの方法で行ってもよい。例え
ば、保護層(E)を形成するための有機重合体の溶媒溶
液や溶融液を画像(D)の表面に、ローラー塗装、吹付
け塗装、カーテンフロー塗装、エクストルーダー塗装、
ハケ塗りなどの適当な塗装方法で直接塗布した後、該塗
布層を乾燥、凝固、固化または硬化することによって保
護層(E)を形成することができる。また、本発明で
は、画像(D)上への保護層(E)の形成方法として、
上記した直接塗布方法以外に、転写による方法を採用し
てもよい。転写法による場合は、離型紙などのような離
型シートの表面に保護層(E)となる材料を塗布し、必
要に応じて該材料中に含まれる溶媒などを除去した後、
それを画像(D)上に重ね合わせて画像(D)上に保護
層(E)を形成させ、次いで離型シートを剥離する方法
が一般に採用される。さらに、別の方法として、予め透
明なフィルムを製造または用意しておき、それを画像
(D)上に保護層(E)として直接被覆する方法を採用
してもよい。
【0050】保護層(E)を形成する材料としては、柔
軟性に優れ、機械的強度などの力学的特性に優れ、且つ
画像(D)を形成している材料や易染層(C)との親和
性が高くて、皮革様シートから剥離したり脱落しない、
透明または半透明の材料を用いる。一般的には、保護層
(E)を透明または半透明で柔軟性のある有機重合体材
料から形成することが好ましい。保護層(E)用の有機
重合体材料としては、透明または半透明のエラストマー
や可撓性樹脂を用いることができ、具体例としては、弾
性ポリウレタンで代表されるエラストマー類、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリプロピ
レンなどを挙げることができる。特に、本発明の皮革様
シートにおいて、布帛にポリウレタンを含浸させて繊維
質基体(A)を形成し、その上にポリウレタンからなる
隠蔽層(B)およびポリウレタンからなる易染層(C)
を形成した場合には、保護層(E)をポリウレタンを用
いて形成すると、層間剥離がなく、しかも柔軟性に優
れ、且つ天然皮革に一層近似した高品質の皮革様シート
を得ることができる。
【0051】その際に、保護層(E)を特に架橋した弾
性ポリウレタンから形成すると、皮革様シートの表面の
耐摩耗性および耐傷性が一層向上し、しかもインクジェ
ットで描いた画像(D)が長期に亙って鮮明に保たれる
ので望ましい。保護層(E)を形成する架橋した弾性ポ
リウレタンの種類は特に制限されず、弾性を有し且つ分
子中に架橋構造を有するポリウレタンであればいずれで
もよい。そのうちでも、架橋した弾性ポリウレタンとし
ては、ポリマージオール、ジイソシアネート化合物およ
び鎖伸長剤の反応により得られた末端に活性水素原子を
有する弾性ポリウレタン(a)に対して、イソシアネー
ト基を3個以上有するイソシアネート系架橋剤(b)を
反応させて得られた架橋弾性ポリウレタンが好ましく用
いられる。
【0052】その際に、上記した弾性ポリウレタン
(a)の製造に用いるポリマージオールとしては、ポリ
エステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステ
ルエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなどを
挙げることができ、そのうちでも保護層(E)の耐光性
が優れたものとなることからポリカーボネートジオール
が好ましく用いられる。また、弾性ポリウレタン(a)
の製造に用いるジイソシアネート化合物は、脂肪族ジイ
ソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソ
シアネートなどのいずれでもよい。但し、隠蔽層(B)
が白色または淡色である場合には、弾性ポリウレタン
(a)の製造に用いるジイソシアネート化合物が脂肪族
ジイソシアネートおよび/または脂環式ジイソシアネー
トであることが、長期に亙って白色または淡色状態が良
好に保たれるので望ましい。そして、弾性ポリウレタン
(a)の製造に用いる鎖伸長剤としては、エチレングリ
コール、ブタンジオールなどの低分子ジオールで代表さ
れる2個の活性水素原子を有する低分子化合物が挙げら
れる。
【0053】架橋した弾性ポリウレタンの製造に用いる
上記したイソシアネート系架橋剤(b)としては、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの活性
水素原子を3個以上有する多価化合物に対して、トリレ
ンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロ
ヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネー
トなどのジイソシアネート化合物を反応させて得られ
る、3個以上の末端イソシアネート基を有する化合物を
挙げることができる。
【0054】画像(D)上への架橋した弾性ポリウレタ
ンよりなる保護層(E)の形成方法は特に制限されず、
画像(D)上に保護層(E)を均一に且つ円滑に形成し
得る方法であればいずれの方法で行ってもよいが、弾性
ポリウレタン(a)の溶液と、イソシアネート系架橋剤
(b)を含む液を予め別々に調製しておき(2液型溶
液)、それらの2つの液を画像(D)上に保護層(E)
を形成させる時点で混合して、架橋した弾性ポリウレタ
ンを生成し得る被覆材料(反応性ポリウレタンの溶液)
を調製し、その被覆材料を用いて保護層(E)を形成す
る方法が好ましく採用される。その際に、架橋した弾性
ポリウレタンよりなる保護層(E)の画像(D)上への
形成方法としては、(1)反応性ポリウレタンの溶液よ
りなる被覆材料を画像(D)上に直接塗布した後に、溶
媒の除去と同時または溶媒の除去と前後して反応性ポリ
ウレタンを反応させて架橋した弾性ポリウレタンを画像
(D)上に形成させる方法(直接塗布法)、或いは
(2)反応性ポリウレタンの溶液よりなる被覆材料を離
型シート(離型紙など)上に塗布した後に溶媒の一部ま
たは全部を乾燥除去し(好ましくは溶媒の大半を乾燥除
去し)、次いでそれを画像(D)面上に重ね合わせて反
応性ポリウレタンを反応させて架橋した弾性ポリウレタ
ンよりなる保護層(E)を画像(D)上に形成させ、次
に前記離型シートを剥離する方法(転写法)などを採用
することができる。そのうちでも、上記(2)の転写法
が好ましく採用される。上記の転写法による場合は、保
護層(E)となる反応性ポリウレタンを画像(D)面上
に重ね合わせる前の段階で反応性ポリウレタンから溶媒
の大半が除去しておくことができるので、反応性ポリウ
レタンを画像(D)と接触させたときに画像(D)を構
成している染料が保護層(E)の形成時に溶媒中に溶け
出すことがなくなって、画像のぼやけが生じず、鮮明な
画像を有する皮革様シートが得られる。
【0055】保護層(E)の厚さは、保護層(E)を構
成する有機重合体の種類や皮革様シートの用途などに応
じて調整し得るが、十分な保護機能を発揮させ且つ皮革
様シートの柔軟性を損なわないようにするために、一般
には5〜60μmの範囲であることが好ましく、10〜
30μmの範囲であることがより好ましい。
【0056】これによって、繊維質基体(A)上に、隠
蔽層(B)および易染層(C)を順次有し、前記の易染
層(C)上にインクジェット方式により描画された解像
度が4ドット/mm以上である画像(D)を有し、且つ
前記の画像(D)上に透明または半透明の保護層(E)
を有する本発明の皮革様シートが得られる。本発明の皮
革様シートは、その用途などに応じて、隠蔽層(B)、
易染層(C)、画像(D)および保護層(E)を、繊維
質基体(A)の片面のみに有していても、または両面に
有していてもよい。
【0057】本発明の皮革様シートは、その保護層
(E)側がいわゆる銀面をなす銀付皮革様シートであっ
て、インクジェット方式によって描画された鮮明で且つ
精細な画像を有しており、しかもその画像は耐摩耗性に
優れていて、摩擦したり、折り曲げても、損傷したり、
剥離せず、長期にわたってその良好な画像を維持する。
そのため、本発明の皮革様シートはそのような特性を活
かして、例えば、コート、スーツ、上着、スカート、ズ
ボン、シャツなどの各種衣類;ネクタイ、スカーフ、ベ
ルトなどのアパレル品;バッグ、鞄;履物;カーテン、
壁紙、テーブルクロス、タペストリー、シーツ、カバー
などのインテリア製品;ミュージアムグッズ、ポスタ
ー、カレンダー、幕、旗、写真、ディスプレーなどのア
ートやPOP製品;ゴルフ手袋、スイムウエア、スノー
ボードウエア、スキーウエア、ゴルフウエア、テニスウ
エアなどのスポーツ用品;サッカーボール、バレーボー
ルなどのボール類;ゴルフシューズ等のスポーツシュー
ズ類;ソファーなどの家具類及びカーシート等の自動車
用品などの広範な用途に有効に使用することができる。
【0058】特に、本発明の皮革様シートを用いてゴル
フ手袋を形成する場合は、本発明の皮革様シートを手の
甲側用材料として用い、立毛人工皮革を手の掌側用材料
として用いてゴルフ手袋を形成すると、装飾効果に優
れ、しかもグリップ性、強度、手との一体感性などのゴ
ルフ手袋本来の機能にも優れるゴルフ手袋を得ることが
できる。
【0059】
【実施例】以下に実施例により本発明について具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以
下の例において、特に断らない限り、部は重量部を、%
は重量%を意味する。また、以下の例において、易染層
(C)の平衡染着量は、次のようにして測定した。
【0060】[易染層(C)の平衡染着量]インクジェ
ットプリントで用いるインク中に含まれる染料(チバガ
イギー社製「イルガランレッド2GL」;赤色染料)を
水に溶解して濃度0.05%染色浴を調製する。その染
色浴中に、易染層(C)の用いる重合体(ポリウレタ
ン)から製造した厚さ100μmのシートを、浴比1:
200、温度90℃の条件下に60分間浸漬して染色す
る。染色後、シートを染色浴から取り出して、残液(染
色浴)を比色定量して染色浴中に残留している染料の量
を測定し、下記の数式により平衡染着量を求める。
【0061】
【数1】易染層(C)の平衡染着量(mg/g)=(F
0−F1)/W 式中、F0=シートを浸漬する前の染色浴中に含まれる
染料の量(mg) F1=シートを浸漬した後の染色浴中に残留している染
料の量(mg) W =染料浴中に浸漬したシートの重量(g)
【0062】《実施例1》 (1)繊維質基体(A)の製造: (i) ナイロン6とポリエチレンを50:50の重量
比で混合して押出機に供給して溶融混合紡糸を行った
後、延伸、切断を行って、ナイロン6を島成分とし、ポ
リエチレンを海成分とする、単繊維繊度4デニール、繊
維長51mmの海島型混合紡糸繊維からなる短繊維を製
造した。 (ii) 上記(i)で得られた短繊維を用いてウエーバ
ーでクロスラップをつくり、ニードルパンチング機を用
いて1500パンチ/cm2でニードリングを施して絡
合不織布(目付510g/m2)を製造した。 (iii) 上記(ii)で得られた絡合不織布に、ポリウ
レタン(ポリメチルペンタンアジペートジオールとポリ
エチレングリコールからなる数平均分子量2000のポ
リマージオール、4,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アネートおよびブタンジオールの反応により得られたポ
リウレタン)の13%ジメチルホルムアミド溶液を含浸
させた後、それを水中に浸漬して湿式凝固させた。 (iv) 上記(iii)で得られたポリウレタン含浸絡合
不織布をトルエンで処理して、絡合不織布を構成してい
る海島型混合紡糸繊維中の海成分を抽出除去し、乾燥し
て、厚さ1.2mmおよび目付420g/m2の繊維質
基体(A)を製造した。この繊維質基体(A)を構成し
ているナイロン6極細繊維の平均単繊維繊度を走査電子
顕微鏡で測定した結果0.006デニールであった。ま
た、この繊維質基体(A)における繊維とポリウレタン
の重量比は60:40であった。
【0063】(2)隠蔽層(B)の形成: (i) 上記(1)で得られた繊維質基体(A)を厚さ
方向の中央部で2分割し、その分割面をサンドペーパー
でバフィングして、厚さ0.5mmの2枚のシートを得
た。 (ii) 上記(i)で得られたシートの分割面と反対の
面上に、以下の表1に示す組成のポリウレタン溶液をナ
イフコーターを用いてコーティングし、70℃で乾燥し
て、厚さ45μmの白色の隠蔽層(B)を形成した。
【0064】
【表1】 [隠蔽層(B)形成用のポリウレタン溶液の組成] ポリウレタン(ポリエーテル系ポリウレタン) 100部 (大日精化社製「レザミンME8105」、樹脂濃度:30重量%) 酸化チタン(大日精化社製「セイカセブンDUT−09-850」) 30部 ジメチルホルムアミド 40部 メチルエチルケトン 40部
【0065】(3)易染層(C)の形成:上記(2)で
形成した隠蔽層(B)の上に、ポリウレタン[ポリエチ
レングリコール、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)およびエチレングリコールを反応させて得たポ
リウレタン;イソシアネート基に由来する窒素含有量4
%]の10%ジメチルホルムアミド溶液をナイフコータ
ーを用いてコーティングし、100℃で乾燥して、厚さ
15μmの易染層(C)を形成させた。この易染層
(C)の平衡染着量を上記した方法で測定したところ、
97.5mg/gであった。
【0066】(4)インクジェットプリンターによる画
像形成:上記(3)において易染層(C)を形成したシ
ート上に、インクジェットプリンター(キャノン株式会
社製「バブルジェットプリンターBJC445J」)を
使用して、赤、青、黄および黒の4種類の酸性染料系イ
ンクを用いて、360ドット/inchのドット数で幾
何学模様を印刷した後、80℃の乾燥機中で5分間熱処
理してインクを固着させた。
【0067】(5)保護層(E)の形成: (i) 上記(4)で描画を行ったシートの表面にポリ
ウレタン(ポリカーボネート系ポリウレタン、数平均分
子量3000)の6%ラッカーシンナー溶液[ラッカー
シンナー組成=トルエン:メチルエチルケトン:酢酸エ
チル=50:20:30(容量比)]を、エアースプレ
ーガンを用いてコーティングした後、乾燥して保護層
(E)を形成させて(乾燥後のポリウレタン塗布量15
g/m2)、描画された銀付き皮革様シートを得た。 (ii) 上記(i)で得られた描画皮革様シートでは、
インクの滲み、画像の乱れが殆ど生じておらず、設計ど
おりの精細な幾何学模様が形成されており、しかも描画
された画像は耐摩耗性に極めて優れており、染色堅牢度
摩擦試験機II型を用いて200回摩擦した後でも何ら損
傷が生じなかった。
【0068】《実施例2》 (1) ポリエステル繊維を用いて製造した編地(目付
400g/m2)を繊維質基体(A)として用いて、こ
の編地の表面に下記の表2に示す組成を有する隠蔽層
(B)用のポリウレタン溶液を溶液重量として400g
/m2の割合で塗布した後、10%ジメチルスルホキシ
ド水溶液中に投入して凝固・発泡させて、繊維質基体
(A)上に発泡した白色の隠蔽層(B)を形成させた
後、120℃で乾燥した。隠蔽層(B)の厚さは200
μm、空隙率は70容量%であった。
【0069】
【表2】 [隠蔽層(B)用のポリウレタン溶液の組成] ポリウレタン(ポリエーテルエステル系ポリウレタン) 100部 (大日精化社製「レザミンCU7459A」、樹脂濃度:25重量%) ポリウレタン(ポリエーテル系ポリウレタン) 20部 (大日精化社製「レザミンBS09−961」、樹脂濃度:55重量%) ポリウレタン(ポリカーボネート系ポリウレタン) 20部 (大日精化社製「レザミン180」、樹脂濃度:100重量%) ジメチルホルムアミド 40部
【0070】(2) 上記(1)で形成させた隠蔽層
(B)上に、実施例1の(3)と同様にして易染層
(C)を形成した後、その上に実施例1の(4)と同様
にしてインクジェットプリンターにより模様をプリント
し、次いで実施例1の(5)と同様にして保護層(E)
を形成して、描画皮革様シートを製造した。これにより
得られた描画皮革様シートでは、インクの滲み、画像の
乱れが全く生じておらず、設計どおりの精細な幾何学模
様が形成されており、しかも描画された画像は耐摩耗性
に極めて優れており、染色堅牢度摩擦試験機II型を用い
て200回摩擦した後でも何ら損傷が生じなかった。
【0071】《実施例3》 (1) 離型紙上に、実施例1の(3)で用いたのと同
じポリウレタン溶液を塗布し、乾燥して厚さ20μmの
易染層(C)を形成させた。 (2) 次に、上記(1)で形成した易染層(C)上
に、下記の表3に示す組成を有する隠蔽層(B)用のポ
リウレタン溶液を塗布し、乾燥して厚さ40μmの隠蔽
層(B)を形成させて、離型紙上に易染層(C)と隠蔽
層(B)が順次積層した積層物を製造した。
【0072】
【表3】 [隠蔽層(B)用のポリウレタン溶液の組成] ポリウレタン(ポリエーテル系ポリウレタン) 100部 (大日精化社製「レザミンME8105」、樹脂濃度:30重量%) 酸化チタン(大日精化社製「セイカセブンDUT−09−850」) 30部 ジメチルホルムアミド 40部 メチルエチルケトン 40部
【0073】(3) 実施例1の(1)と同様にして製
造した繊維質基体(A)の一方の表面に下記の表4に示
す組成の接着剤を塗布した後、上記(2)で得られた離
型紙上の積層物を、その隠蔽層(B)側を繊維質基体
(A)の接着剤を施した面に密着させて積層し、70℃
で1分間放置して接着剤を硬化させた。
【0074】
【表4】 [接着剤の組成] ポリウレタン 100部 (大日精化社製「レザミンDU8310」、樹脂濃度:60重量%) 酸化チタン(大日精化社製「セイカセブンDUT−09−850」) 30部 架橋剤(大日精化社製「レザミンNE」) 8部 架橋促進剤(大日精化社製「レザミンUD103」) 5部 ジメチルホルムアミド 40部 メチルエチルケトン 15部
【0075】(4) 次いで、離型紙を剥がすと、繊維
質基体(A)の一方の表面上に、隠蔽層(B)および易
染層(C)が順次積層転写された淡いピンク色を呈する
積層物が得られた。 (5) 上記(4)で得られた積層物の易染層(C)上
に、実施例1の(4)と同様にしてインクジェットプリ
ンターを使用して、赤、青、緑および黒の4種類の酸性
染料からなるインクを用いて、360ドット/inch
のドット数で模様を印刷した後、80℃の乾燥機中で5
分間熱処理してインクを固着させた。
【0076】(6) 上記(5)で描画を行ったシート
の表面に、実施例1の(5)と同様にして保護層(E)
を形成して、表面毛穴シボを有する淡ピンク色のベース
に繊細で鮮明な模様が描画された銀付調の皮革様シート
を製造した。これにより得られた皮革様シートでは、イ
ンクの滲み、画像の乱れが全く生じておらず、設計どお
りの繊細で鮮明な模様が形成されており、しかも描画さ
れた画像は耐摩耗性に極めて優れており、染色堅牢度摩
擦試験機II型を用いて200回摩擦した後でも何ら損傷
が生じなかった。
【0077】《実施例4》 (1) 実施例1の(1)と同様にして繊維質基体
(A)を製造した後、その厚さ方向の中央部分で2分割
し、その分割面をサンドペーパーにてバフィングして厚
さ0.5mmの2枚のシートを得た。 (2) 上記(1)で得られた2枚のシートの分割面と
反対の面をバフ機にてサンドペーパー(番手#400)
により起毛した後、サーキュラー染色機にてリラックス
処理し、次いでタンブラー乾燥機で乾燥して、ソフトな
触感を有する2枚のスエード調人工皮革を得た[「人工
皮革(A)」という]。
【0078】(3) 上記(2)で得られた人工皮革
(A)のうちの1枚を用いて、そのスエード面(バフ機
にて起毛した面)上に、実施例1の(2)の(ii)と同
様にして、厚さ45μmの白色のポリウレタンからなる
隠蔽層(B)を形成した。 (4) 上記(3)で形成した隠蔽層(B)の上に、実
施例1の(3)と同様にして、厚さ15μmのポリウレ
タンからなる平衡染着量が97.5mg/gである易染
層(C)を形成させた。
【0079】(5) 上記(4)において易染層(C)
を形成したシート上に、インクジェットプリンター(キ
ャノン株式会社製「バブルジェットプリンターBJC4
45J」)を使用して、赤、青、黄色および黒の4種類
の酸性染料系インクを用いて、360ドット/inch
のドット数で部分的に描画を行った後、120℃の乾燥
機中で5分間熱処理してインクを固着させた。 (6) 上記(5)で描画を行ったシートの表面に実施
例1の(5)と同様にして保護層(E)を形成させて、
繊細で鮮明な画像(D)を有するソフトな銀付き皮革様
シートを得た[「人工皮革(B)」という]。
【0080】(7) 上記(2)で得られた人工皮革
(A)を手の掌側に用い、また上記(6)で得られた人
工皮革(B)を手の甲側に用いてスポーツ手袋(ゴルフ
手袋)を縫製した。これにより得られたゴルフ手袋は、
手の甲側には繊細で鮮明な模様を有していて意匠性に優
れており、また手の掌側は機械的特性に優れ丈夫で且つ
蒸れが少なく、極めて高品質のゴルフ手袋であった。し
かも、このゴルフ手袋の手の甲側の模様は耐摩耗性に優
れていて、長期間の使用にも模様が損なわれることがな
かった。
【0081】《実施例5》 (1) 実施例1の(1)〜(4)と同じ方法を採用し
て、繊維質基体(A)の製造、隠蔽層(B)の形成、易
染層(C)の形成およびインクジェットプリンターによ
る画像(D)の形成を行った。 (2) 上記(1)とは別に、下記の表5に示すa液と
b液よりなる2液型の反応性ポリウレタン溶液(a液と
b液を100部:71部の割合で混合した溶液)を離型
紙上に80g/m2の量で塗布し、60℃の乾燥機中で
1分間加熱乾燥して該反応性ポリウレタン溶液中の溶媒
の殆どを蒸発除去した。
【0082】
【表5】 [2液型の反応性ポリウレタン溶液の組成] a液: ポリカーボネート系ポリウレタン溶液(固形分濃度70重量%) 100部 (大日本インキ社製「クリスボンTA−205」) ○b液: イソシアネート系架橋剤(固形分濃度70重量%) 8部 (大日本インキ社製「クリスボンDN−950」) 架橋促進剤(大日本インキ社製「アクセルT」 3部 溶媒(ジメチルホルムアミド:メチルエチルケトン=7:5)(重量比) 60部
【0083】(3) 上記(2)の溶媒の蒸発除去後
に、離型紙上の反応性ポリウレタンが未だ未架橋で粘着
性を有している時点で、離型紙上の反応性ポリウレタン
層を画像(D)に接触させて上記(1)で得られた画像
(D)形成シート上に重ね合わせ、60℃で48時間加
熱してポリウレタン反応させて架橋した弾性ポリウレタ
ンからなる保護層(E)を形成した後、離型紙を剥離し
た。 (4) 上記(3)によって、繊維質基体(A)の上
に、隠蔽層(B)、易染層(C)、画像(D)および保
護層(E)が順次積層された皮革様シートが得られた。
この皮革様シートにおける保護層(E)の厚さは約35
μmであった。この実施例5で得られた皮革様シート
は、実施例1〜4で得られた皮革様シートと比べて、イ
ンクの滲みが一層低減されていて、設計通りの極めて精
細で幾何学的な模様がシャープかつ鮮明に形成されてお
り、しかも耐摩耗性および耐傷性においても一層優れて
いた。
【0084】《比較例1》 (1) 実施例1の(1)および(2)と同様の工程を
行って、繊維質基体(A)上に隠蔽層(B)が形成され
た積層物を製造した。 (2) 上記(1)で得られた積層物の隠蔽層(B)上
に、ポリウレタン[ポリメチルペンタンアジペートとポ
リエチレングリコールからなる数平均分子量2000の
ポリマージオール(ポリメチルペンタンアジペートとポ
リエチレングリコールの重量混合比=85:15)、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびブ
タンジオールを反応させて得たポリウレタン;イソシア
ネート基に由来する窒素含有量5%]の10%ジメチル
ホルムアミド溶液をナイフコーターを用いてコーティン
グし、100℃で乾燥して、厚さ15μmの易染層
(C)を形成させた。この易染層(C)の平衡染着量を
上記した方法で測定したところ、45mg/gであっ
た。 (3) 上記(2)において易染層(C)を形成したシ
ート上に、インクジェットプリンター(キャノン株式会
社製「バブルジェットプリンターBJC445J」)を
使用して、赤、青、黄色および黒の4種類の酸性インク
を用いて、80ドット/inchのドット数で幾何学模
様を印刷したところ、インクジェット液のはじきが発生
して、鮮明な輪郭のある模様が形成されず、しかも熱処
理して固着しても深みのある色調にはならなかった。
【0085】《比較例2》 (1) 実施例1の(1)と同様にして繊維質基体
(A)を製造し、その一方の面上に、隠蔽層(B)を設
けることなく、実施例1の(3)と同様にして易染層
(C)を直接形成させた。 (2) 上記(1)で形成した易染層(C)上に、実施
例1の(4)と同様にしてインクジェットプリンターを
使用して、赤、青、黄および黒の4種類の酸性インクを
用いて、360ドット/inchのドット数で幾何学模
様を印刷し、熱処理した後、実施例1の(5)と同様に
して保護層(E)を形成させて、銀付き皮革様シートを
製造した。これにより得られた皮革様シートでは、繊維
質基体(A)の製造工程中に表面に汚れが発現して画像
が美麗に仕上がっておらず、しかも全体が黄色味を帯び
た不良な色調であって、画像の鮮明さ、精細さに欠け
る、不良な仕上がりであった。
【0086】
【発明の効果】本発明の皮革様シートは、インクジェッ
ト方式によって描画された、意匠効果などに優れる、精
細で且つ鮮明な画像を有しており、しかもその画像は耐
摩耗性および堅牢性に優れているので、それらの特性を
活かして、衣料用、各種アパレル製品、バッグや鞄類、
履物、インテリア製品、各種アートやPOP製品、スポ
ーツ用品をはじめとして広範な用途に有効に用いること
ができる。グラビア印刷、捺染、ローラー印刷、転写、
手描きなどによって皮革様シート(人工皮革)に模様を
描く従来の方法による場合は、模様の変更時に、グラビ
アロール、捺染用スクリーン、彫刻ロールなどの交換や
変更で、多大の手間、時間、費用を要していたのに対し
て、本発明による場合は、インクジェットプリンターに
接続されている画像展開ユニットのコンピューター上で
描画しようとする画像を選択、変更、調整するだけで、
皮革様シート上に所望の画像を極めて簡単に、自由自在
に、短時間で生産性よくプリントすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 糟谷 剛司 奈良県御所市大字城山台166番地17 サン プラス株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質基体(A)上に、隠蔽層(B)お
    よび易染層(C)を順次有し、前記の易染層(C)上に
    インクジェット方式により描画された解像度が4ドット
    /mm以上である画像(D)を有し、且つ前記の画像
    (D)上に透明または半透明の保護層(E)を有するこ
    とを特徴とする皮革様シート。
  2. 【請求項2】 インクに含まれる染料に対する易染層
    (C)の平衡染着量が60mg/g以上である請求項1
    に記載の皮革様シート。
  3. 【請求項3】 繊維質基体(A)が、弾性重合体を含浸
    してあるかまたは含浸していない布帛からなっている請
    求項1または2に記載の描画皮革様シート。
  4. 【請求項4】 繊維質基体(A)が、弾性重合体を含浸
    してあるかまたは含浸していない単繊維繊度0.5デニ
    ール以下の極細繊維製絡合不織布からなっている請求項
    1〜3のいずれかに記載の皮革様シート。
  5. 【請求項5】 易染層(C)が、下記の弾性ポリウレタ
    ンおよび弾性ポリウレタンの少なくとも1種; ・弾性ポリウレタン:ポリエチレングリコールに由来
    するソフトセグメントを、弾性ポリウレタン中のソフト
    セグメントの全重量に基づいて30重量%以上の割合で
    有する弾性ポリウレタンであって、且つ該弾性ポリウレ
    タンの製造に用いたイソシアネート化合物のイソシアネ
    ート基に由来する窒素の含有量が、弾性ポリウレタンの
    重量に基づいて3〜7重量%である弾性ポリウレタン; ・弾性ポリウレタン:第3級アミノ基含有2官能性化
    合物に由来する構造単位を、弾性ポリウレタン1g当た
    り1.0×10-4モル以上の割合で有する弾性ポリウレ
    タンであって、且つ該弾性ポリウレタンの製造に用いた
    イソシアネート化合物のイソシアネート基に由来する窒
    素の含有量が、弾性ポリウレタンの重量に基づいて3〜
    7重量%である弾性ポリウレタン;から形成されている
    請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート。
  6. 【請求項6】 画像(D)が酸性染料を含有するインク
    により描かれている請求項1〜5のいずれかに記載の皮
    革様シート。
  7. 【請求項7】 保護層(E)が、架橋した弾性ポリウレ
    タンから形成されている請求項1〜6のいずれかに記載
    の皮革様シート。
  8. 【請求項8】 繊維質基体(A)上に、隠蔽層(B)を
    形成し、更にその上に易染層(C)を形成した後、該易
    染層(C)上にインクジェット方式によって描画して解
    像度が4ドット/mm以上である画像(D)を形成し、
    次いで前記の画像(D)上に透明または半透明の保護層
    (E)を形成することを特徴とする皮革様シートの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 易染層(C)を、インクジェット方式に
    用いるインクに含まれる染料に対する平衡染着量が60
    mg/g以上である重合体または重合体組成物を用いて
    形成する請求項8に記載の皮革様シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 易染層(C)を、下記の弾性ポリウレ
    タンおよび弾性ポリウレタンの少なくとも1種; ・弾性ポリウレタン:ポリエチレングリコールに由来
    するソフトセグメントを、弾性ポリウレタン中のソフト
    セグメントの全重量に基づいて30重量%以上の割合で
    有する弾性ポリウレタンであって、且つ該弾性ポリウレ
    タンの製造に用いたイソシアネート化合物のイソシアネ
    ート基に由来する窒素の含有量が、弾性ポリウレタンの
    重量に基づいて3〜7重量%である弾性ポリウレタン; ・弾性ポリウレタン:第3級アミノ基含有2官能性化
    合物に由来する構造単位を、弾性ポリウレタン1g当た
    り1.0×10-4モル以上の割合で有する弾性ポリウレ
    タンであって、且つ該弾性ポリウレタンの製造に用いた
    イソシアネート化合物のイソシアネート基に由来する窒
    素の含有量が、弾性ポリウレタンの重量に基づいて3〜
    7重量%である弾性ポリウレタン;を用いて形成する請
    求項8または9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 画像(D)を、酸性染料を含有するイ
    ンクを用いてインクジェット方式によって描く請求項8
    〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 保護層(E)を、架橋した弾性ポリウ
    レタンを生成する被覆材料を用いて形成する請求項8〜
    11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記被覆材料が架橋した弾性ポリウレ
    タンを生成する反応性ポリウレタンの溶液であり、該反
    応性ポリウレタンの溶液を離型シートに塗布した後、溶
    媒の一部または全部を乾燥除去し、次いでそれを画像
    (D)を形成した面に重ね合わせて反応性ポリウレタン
    を反応させて架橋した弾性ポリウレタンよりなる保護層
    (E)を画像(D)上に形成させ、次に前記離型シート
    を剥離することからなる請求項12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 繊維質基体(A)上に、隠蔽層(B)
    および易染層(C)を順次有し、且つ前記易染層(C)
    のインクに含まれる染料に対する平衡染着量が60mg
    /g以上であることを特徴するインクジェット方式によ
    る描画用皮革様シート。
  15. 【請求項15】 易染層(C)が、下記の弾性ポリウレ
    タンおよび弾性ポリウレタンの少なくとも1種; ・弾性ポリウレタン:ポリエチレングリコールに由来
    するソフトセグメントを、弾性ポリウレタン中のソフト
    セグメントの全重量に基づいて30重量%以上の割合で
    有する弾性ポリウレタンであって、且つ該弾性ポリウレ
    タンの製造に用いたイソシアネート化合物のイソシアネ
    ート基に由来する窒素の含有量が、弾性ポリウレタンの
    重量に基づいて3〜7重量%である弾性ポリウレタン; ・弾性ポリウレタン:第3級アミノ基含有2官能性化
    合物に由来する構造単位を、弾性ポリウレタン1g当た
    り1.0×10-4モル以上の割合で有する弾性ポリウレ
    タンであって、且つ該弾性ポリウレタンの製造に用いた
    イソシアネート化合物のイソシアネート基に由来する窒
    素の含有量が、弾性ポリウレタンの重量に基づいて3〜
    7重量%である弾性ポリウレタン;から形成されている
    請求項13に記載の描画用皮革様シート。
  16. 【請求項16】 請求項1〜7のいずれかに記載の皮革
    様シートを手の甲側用材料として用い、立毛人工皮革を
    手の掌側用材料として用いて形成したゴルフ手袋。
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