JP2016182675A - 金属薄膜加飾シート状物およびその製造方法 - Google Patents
金属薄膜加飾シート状物およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
提供すること。
【解決手段】本発明の金属加飾シート状物は、ポリウレタン層中に金属膜が存在し、金属膜が投影面積の10〜90%の範囲を占め、全体の厚さが0.1〜5mmの範囲であることを特徴とする。さらには、金属膜が蒸着膜であることや、金属膜の表面側のポリウレタン層の厚さが5〜100μmであることが好ましい。また、金属膜が小面積の膜から形成され、それぞれの面積が10mm2以下の面積であることや、ポリウレタン層が繊維により補強された基材上に配置されていることが好ましい。またもう一つの本発明の金属加飾シート状物の製造方法は、第1のポリウレタン層上に、投影面積の10〜90%の範囲を占める金属膜と、投影面積全体を占める第2のポリウレタン層を順に配置することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
一方、鏡面調の金属外観を得る方法として金属蒸着を行う方法があり、基体上に、アルミニウム等の金属をスパッタリング等により形成する方法がある(例えば特許文献2)。しかしながら蒸着による金属蒸着層の強度は非常に弱いものであった。
特に靴や鞄用途等の天然皮革代替として用いられる場合は、高い強度や耐久性が期待されており、従来の方法では満足の行く結果は得られていなかったのである。
さらには、金属膜が蒸着膜であることや、金属膜の表面側のポリウレタン層の厚さが5〜100μmであることが好ましい。また、金属膜が小面積の膜から形成され、それぞれの面積が10mm2以下の面積であることや、ポリウレタン層が繊維により補強された基材上に配置されていることが好ましい。
そして本発明はこれらの金属加飾シート状物からなる皮革様シート状物や、これらの金属加飾シート状物を用いた靴を包含する。
本発明の金属加飾シート状物は、ポリウレタン層中に金属膜が存在し、金属膜が投影面積の10〜90%の範囲を占め、全体の厚さが0.1〜5mmの範囲であるものである。さらには金属膜が鏡面状であることや、蒸着膜であることが好ましい。
ここで本発明に用いられるポリウレタン層は、ポリウレタンを主体とする層であれば良く特に制限は無いが、表面が平滑であればさらに好ましい。またこのポリウレタン層は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのポリウレタン単体からなるシートであっても良いが、基材上に存在するものであることが好ましい。基材によって裏打ちされることで実用的な強度が大幅に向上するからである。基材としては、不織布などの繊維集合体にポリウレタンを含浸させた繊維補強シートであることが好ましい。全体の厚さ、すなわちポリウレタン層のみの厚さやポリウレタン層と基材層との合計の厚さとしては、0.1〜5mmであることが好ましく、さらには0.2〜2mmであることが好ましい。さらにポリウレタン層単独の厚さとしては0.05〜0.5mmであることが好ましい。
また金属膜の厚さとしては1μm以下の薄膜であることが好ましく、特には0.01〜0.1μmの厚さであることが好ましい。金属薄膜としては、アルミニウムであることが好ましい。
このような接着性を有する金属蒸着箔は、熱転写方式でペットフィルム裏面側から熱プレスを行った後にペットフィルムをはがす事によって、対象物に金属蒸着層を転写することができる。
この時この金属膜の表面側のポリウレタン層の厚さとしては、5〜100μmであることが好ましい。さらには20〜80μmの範囲であることが好ましい。またこの金属膜の表面側のポリウレタン層としては2層以上の構造を有することが好ましい。特には2ないし3層構造であることが好ましい。このように多層構造とすることで各種の外観や風合いと、耐久性などの物性のバランスをとることが容易になる。
ここで金属膜の表面側と裏面側のポリウレタンとしては、先に述べた有機ジイソシアネート、高分子ジオールおよび鎖伸長剤の重合反応で得られる従来公知の熱可塑性ポリウレタンを用いることができる。ただし表面側に用いられるポリウレタンとしては、その100%モジュラスが2〜20MPaであることが好ましい。モジュラスが低すぎると剥離強度が不足する傾向にある。逆にモジュラスが高すぎると、硬く柔軟性の無いシート状物となる傾向にあり、特に皮革代替用途とするのに適さない物となる。
金属膜の加飾部分の面積を少なくした場合には、裏側のポリウレタン層と表面側のポリウレタン層のウレタン同士が強力に接着する面積が大きくなる。すると十分に接着強度を取ることはできるが、外観的には高輝度の金属の薄膜による加飾部分が少なくなり、鏡面状の金属外観が阻害され、意匠性に乏しい外観となる傾向にある。
このような本発明の金属加飾シート状物は、例えばもう一つの本発明である第1のポリウレタン層上に、投影面積の10〜90%の範囲に金属膜と、第2のポリウレタン層とを順に配置する金属加飾シート状物の製造方法によって得ることが可能である。
転写ラミネートを用いる方法としては、転写ラミネート法により長尺シート状物を製造する方法であって、生産ライン上を流れる離型紙の上に、ポリウレタン溶液である最表皮層を塗布し、その上から裏側となるポリウレタン層の上に金属膜が存在するシートを貼り合わせ、金属加飾されたる長尺シート状物を製造する方法である。
この金属膜の裏面側に位置する第1のポリウレタン層としては、先に述べた押出法やキャスト法であることや、繊維質基材上に配置された層であることが好ましい。押出法やキャスト法では、強度に優れた充実ポリウレタン層を得やすい。繊維質基材上では湿式凝固法による多孔ポリウレタン層とすることにより、柔らかな皮革様の風合いを得ることが可能となる。
このようにして得られる本発明の金属加飾シート状物は、特に裏面を繊維補強された基材によって裏打ちすることにより、皮革様シート状物として有効に使用される。特にこの本発明の金属加飾シート状物を用いた靴や鞄は、金属外観の優れた金属光沢を有しながら剥離強力等の耐久実用性に優れたものとなる。
(1)剥離強力
JIS K6301法に準じ、引張り速度50mm/分で100mm剥離させ、20mm毎のミニマム値5点の平均値をN/cmで表し剥離強力とした。
(2)耐摩耗性
ASTM D−3886法に準じ、サンドペーパーとしてHANDY ROLL P320J(NORTON社製)を使用し、摩耗部位の下層が露出した大きさが直径10mmに到達する回数とした。
<蒸着箔転写基材−1の作成>
Tダイ法により作成された厚さ200μmのポリウレタンシートにアルミ蒸着箔(クルツジャパン株式会社製、「LUXOR/ALUFIN TX−N」アルミ金属薄膜部分の厚さ0.05μm)を重ね、金属薄膜加飾部分が1cm2単位面積あたり50%(投影面積50%)になる様に部分的に1mmピッチの格子状にマスキングをしたのち、135℃で熱プレスにより接着を行い、蒸着箔転写基材−1を得た。
転写貼り合わせラインにて、ラインスピード7m/minで152cm幅の離型紙(リンテック社製「ES160SK」)を流し、離型紙上に、ポリウレタン(大日精化社製、「レザミンLU−2109NTT」、ポリウレタン濃度25%、融点150℃、100%モジュラス10MPa)100部、ジメチルホルムアミド(DMF)15部、イソプロピルアルコール15部、を混合した溶液を、目付け120g/m2で塗布した。その後、乾燥チャンバーにて、110℃で2分間乾燥して厚さ0.01mmの高分子弾性体からなる最表皮膜(ポリウレタン層)を形成した。
その後、温度70℃の雰囲気下で2日間放置した後、離型紙を剥ぎ取り金属薄膜加飾シート−1を得た。金属薄膜の裏面に厚さ200μm、表面に厚さ50μmのポリウレタン層を有するシートであった。このできあがったシートは部分的に輝度の高い金属調の鏡面外観になっており、従来の金属粉末添加塗料の外観とは大きく異なり、光沢を有するものであった。このものの表面剥離強度を測定したところ、49.7N/cm、耐摩耗性は2100回であり、皮革様シート状物としても十分に高い物性であった。
この金属薄膜加飾シート−1をサッカーシューズの表皮材料に使用し靴を試作し、過酷な条件であるサッカーの試合での着用テストを実施した。試合後に靴を確認したところ、十分に初期の状態が保持されていた。剥離強度が弱い場合に発生する剥離形態の異常や摩耗の異常も、着用後のこのサッカーシューズには見られなかった。
<蒸着箔転写基材−2の作成>
基材用の不織布として、単位面積あたりの重さ(目付け)290g/m2、厚さ0.9mm、見掛け密度0.32g/cm3のポリエステル繊維製不織布を用意した。また含浸用のポリウレタン処理液として、10重量%濃度のポリウレタン−DMF溶液(大日本インキ化学工業株式会社製「クリスボンTF50P」、ポリウレタン濃度30%、融点180℃、100%モジュラス11MPaを、DMFにて希釈したもの)と、表皮用のポリウレタン処理液として20重量%濃度のポリウレタン−DMF溶液(大日本インキ化学工業株式会社製「クリスボンTF50P」を、DMFにて希釈し、添加剤として東レ・ダウコーニング株式会社製「SH28PA」を溶液100部に対し0.4部含有させたもの)を準備した。
このシートにアルミ蒸着箔(クルツジャパン株式会社製「LUXOR/ALUFIN TX−N」アルミ金属薄膜部分の厚さ0.05μm)を重ね、金属薄膜加飾部分が1cm2単位面積あたり50%(投影面積50%)になる様に部分的に1mmピッチの格子状にマスキングをしたのち、135℃で熱プレスにより接着を行い、蒸着箔転写基材−2を得た。
実施例1の金属薄膜加飾シート−1の作成方法において蒸着箔転写シート−1を用いる代わりに蒸着箔転写基材−2を用いる以外は実施例1と同様にして、転写貼り合わせラインにて金属薄膜加飾シート−2を得た。金属薄膜の裏面にポリウレタン含浸不織布、表面に厚さ50μmのポリウレタン層を有するシートであった。この得られたシートの外観は実施例1と同様に部分的に輝度の高い金属調の鏡面外観になっており、従来の金属粉末添加塗料の外観とは大きく異なり、光沢を有するものであった。このものの表面剥離強度を測定したところ、28.4N/cm、耐摩耗性は2300回であり、スポーツシューズ用途にも十分に使用できる強度であった。
この金属薄膜加飾シート−サッカーシューズの表皮材料に使用し靴を試作、過酷な条件であるサッカーの試合での着用テストを実施した。試合後に靴を確認したところ、剥離強度が弱い場合に発生する剥離形態の異常や摩耗の異常も発生すること無く十分に初期の状態が保持されていた。
<金属薄膜加飾シート−3の作成>
グラビア塗布用のポリウレタン溶液として、ポリウレタン(大日本インキ化学工業株式会社製「ハウラックA−3454」、ポリウレタン濃度20%、融点180℃、100%モジュラス17MPa)100部、MEK40部、DMF10部、イソプロピルアルコール50部、を混合した溶液を準備した。
実施例1で作成した蒸着箔転写基材−1の上からグラビア塗布用のポリウレタン溶液を#110メッシュのグラビアロールで塗布し、その後、乾燥チャンバーにて、110℃で1分間乾燥した。これを8回繰り返し、厚さ10μmのポリウレタンからなる最表皮膜を形成した。
この金属薄膜加飾シート−3を実施例1、実施例−2と同様に、サッカーシューズの表皮材料に使用し靴を試作、過酷な条件であるサッカーの試合での着用テストを実施した。試合後に靴を確認したところ、剥離強度が弱い場合に発生する剥離形態の異常や摩耗の異常も発生すること無く十分に初期の状態が保持されていた。
<蒸着箔転写基材−3の作成>
Tダイ法により作成された厚さ200μmのポリウレタンシートにアルミ蒸着箔(クルツジャパン株式会社製「LUXOR/ALUFIN TX−N」アルミ金属薄膜部分の厚さ0.05μm)を重ね、金属薄膜加飾部分が全面100%になる様に熱プレスにより接着を行い、蒸着箔転写基材−3を得た。
実施例1の金属薄膜加飾シート−1の作成方法において蒸着箔転写シート−1を用いる代わりに蒸着箔転写基材−3を用いる以外は実施例1と同様にして、転写貼り合わせラインにて金属薄膜加飾シート−4を得た。これは金属薄膜の裏面に厚さ200μm、表面に厚さ50μmのポリウレタン層を有するシートであった。そして得られたシートの外観は輝度の高い金属調の鏡面外観になっており、従来の金属粉末添加塗料の外観とは大きく違うものであった。
耐摩耗性を測定したところ2000回であったものの、表面剥離強度を測定したところ5.8N/cmしかなく、他の実施例と比較して大きく劣り、スポーツシューズ用途には使えないレベルであった。またこのときの剥離点はアルミ蒸着箔層内であった。
Claims (8)
- ポリウレタン層中に金属膜が存在し、金属膜が投影面積の10〜90%の範囲を占め、全体の厚さが0.1〜5mmの範囲であることを特徴とする金属加飾シート状物。
- 金属膜が蒸着膜である請求項1記載の金属加飾シート状物。
- 金属膜の表面側のポリウレタン層の厚さが5〜100μmである請求項1または2記載の金属加飾シート状物。
- 金属膜が、小面積の膜から形成され、それぞれの面積が10mm2以下の面積である請求項1〜3のいずれか1項記載の金属加飾シート状物。
- ポリウレタン層が、繊維により補強された基材上に配置されている請求項1〜4のいずれか1項記載の金属加飾シート状物。
- 第1のポリウレタン層上に、投影面積の10〜90%の範囲を占める金属膜と、投影面積全体を占める第2のポリウレタン層を順に配置することを特徴とする金属加飾シート状物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の金属加飾シート状物からなる皮革様シート状物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の金属加飾シート状物を用いた靴。
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