JP5975788B2 - 積層シートの製造方法および熱可塑性エラストマーシートの製造方法 - Google Patents

積層シートの製造方法および熱可塑性エラストマーシートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融押出成形法による厚膜の熱可塑性エラストマー層を含む積層シートの製造方法および熱可塑性エラストマーシートの製造方法に関する。
厚膜の熱可塑性樹脂シートを得るには、溶融した熱可塑性樹脂をロール間に通して順次引き伸ばし薄くするカレンダー成形法が広く使われている。カレンダー成形法は、フラットダイを用いた押出成形法に比べ生産能力が大きく、安価なシートを大量に生産できるという特徴がある。しかしながら、熱可塑性エラストマーは、カレンダー成形において、成形時に熱ロールへの粘着がおこり、得られたシートは平滑性が悪く厚みムラを生じるという問題があった。
一方、熱可塑性エラストマーは、フラットダイを装着した押出成形機を用いてシートを得ようとすると、カレンダー成形の場合と同様に、シートが冷却ロールへ引っ付き、得られたシートは平滑性が悪く厚みムラを生じるという問題があるが、押出ラミネート法を応用することにより外観の良好な熱可塑性エラストマーシートを得ることができる。具体的には、フラットダイから押出された溶融状態の熱可塑性エラストマーの片面または両面に離型性を有するセパレータを添わせて冷却ロールを通過させることにより熱可塑性エラストマーが冷却ロールに粘着することなく熱可塑性エラストマー層とセパレータよりなる積層シートを得、該積層シートよりセパレータを剥離することにより外観の良好な熱可塑性エラストマーシートを得ることができる。
しかしながら、セパレータの表面に溶融した熱可塑性エラストマーを押出すと、得られる熱可塑性エラストマーの厚み精度は、一度に押出す熱可塑性エラストマー層の厚みが厚くなるほど悪くなり、厚み精度の良好な厚膜の熱可塑性エラストマーシートを得ることができない。さらに、一度に押出す熱可塑性エラストマー層の厚みが厚くなるほど、熱可塑性樹脂製のセパレータは、熱により変形して部分的な剥離や凹凸を生じ、外観の悪い熱可塑性エラストマーシートしか得られず、セパレータが離型性を付与した紙の場合、得られる熱可塑性エラストマーシートの表面に紙の凹凸模様が転写されるという問題がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、押出ラミネート法を応用することにより、厚さ500μm以上で厚み精度に優れた熱可塑性エラストマー層を含む積層シートの製造方法および熱可塑性エラストマーシートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、厚さが500μm以上の熱可塑性エラストマーシートを得るために、セパレータの表面に溶融状態の熱可塑性エラストマーを複数回フラットダイから押出ラミネートする方法について検討した結果、この製造方法で得られた熱可塑性エラストマーシートは厚みが厚いだけでなく、厚み精度にも優れることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、
(1)フラットダイから押出された溶融状態の熱可塑性エラストマーの片面に離型性を有するセパレータを添わせて30℃以下の冷媒を通した冷却ロールと30℃以下の冷媒を通したプレッシャーロールとの間を通過させ、厚みが500μm以下である熱可塑性エラストマー層とセパレータよりなる第1積層シートを得、前記第1積層シートの熱可塑性エラストマー層表面へ、再度、熱可塑性エラストマーを押出ラミネートした積層シートから前記セパレータを剥離することにより、厚みが500μm〜2000μmであり、かつ厚みの振れ幅が±5.0%以下である熱可塑性エラストマーシートを得ることを特徴とする熱可塑性エラストマーシートの製造方法が提供され、
(2)フラットダイから押出された溶融状態の熱可塑性エラストマーの両面に離型性を有するセパレータを添わせて30℃以下の冷媒を通した冷却ロールと30℃以下の冷媒を通したプレッシャーロールとの間を通過させ、厚みが500μm以下である熱可塑性エラストマー層とセパレータよりなる第1積層シートを得、前記第1積層シートの片面のセパレータを剥離した後、熱可塑性エラストマー層表面へ、再度、熱可塑性エラストマーを押出ラミネートした積層シートからセパレータを剥離することにより、厚みが500μm〜2000μmであり、厚みの振れ幅が±5.0%以下である熱可塑性エラストマーシートを得ることを特徴とする熱可塑性エラストマーシートの製造方法が提供され、
(3)前記第1積層シートの熱可塑性エラストマー層とセパレータとの剥離強度が0.3N/25mm〜5N/25mmの範囲となるようき積層して得られることが特徴である(1)乃至(2)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーシートの製造方法が提供され、
(4)前記熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーシートの製造方法
(5)前記セパレータがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーシートの製造方法
が提供される。
本発明の熱可塑性エラストマー層を含む積層シートの製造方法および熱可塑性エラストマーシートの製造方法によれば、厚み精度に優れた厚膜の熱可塑性エラストマー層を含む積層シートおよび熱可塑性エラストマーシートを得ることができるという効果が得られる。
本願発明の第1積層シート(2層)の製造方法の一例を示す概略断面図である。 本願発明の積層シート(3層)の製造方法の一例を示す概略断面図である。 本願発明の第1積層シート(3層)の製造方法の一例を示す概略断面図である。 本願発明の積層シート(4層)の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリジエン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、同一分子中にハードセグメントとソフトセグメントとを有しており、ハードセグメントが室温で物理的な架橋点として作用し、エラストマーとしての特性を示す。また、前記架橋点は加熱によって消失し熱可塑性を示す。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマーの具体例は前記の通りであるが、熱可塑性エラストマーの種類は、その用途によって適宜選択することができる。本発明の熱可塑性エラストマーシートをアパレル系のワッペン用ケースや電化製品のスイッチカバーとして用いる場合、接着剤を用いることなく他の樹脂へ融着させることができれば、二次加工工程が簡略化できて有利である。前記熱可塑性エラストマーの中で、他の樹脂や金属への熱融着が可能なものとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーおよびポリウレタン系エラストマーが挙げられ、その中でもポリウレタン系エラストマーは硬度の低いものから硬度の高いものまで任意に選択することができるため、特に好適に用いることができる。
本発明に用いられるポリウレタン系エラストマーは、ジオール成分である短鎖ジオールおよび長鎖ジオールと、ジイソシアネートとを主原料とし、必要に応じて鎖延長剤であるジアミンを重付加反応させることにより得られる分子構造中にウレタン結合を有するゴム状弾性高分子のうち熱可塑性を有するもの(以下、熱可塑性ポリウレタンと称することがある)である。
短鎖ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。
長鎖ジオールとしては、1分子中に2個の水酸基を有する分子量200〜10000の化合物で、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。具体的には、ポリエーテルジオールとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステルジオールとしては、二塩基酸とグリコールとの脱水縮合反応によって製造される縮合系ポリエステルジオール、ε−カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルジオールなどが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが挙げられ、これらの中で、脂肪族ジイソシアネートは黄変しない熱可塑性ポリウレタンが要望される場合に好適に用いることができる。
尚、熱可塑性ポリウレタンはその物性を阻害しない範囲で公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。上記添加剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明に用いることができる熱可塑性エラストマーのMFRは、押出適性の観点から0.5g/10min〜50g/10minが好ましく、さらには1g/10min〜40g/10minが好ましい。MFRが0.5g/10min未満の場合は、押出機に負荷が掛り過ぎるので好ましくなく、50g/10minを超えるとダイリップより押出された熱可塑性エラストマーが自重で垂れやすくなるので好ましくない。
また、熱可塑性エラストマーのショア硬度は、ショアA硬度40以上、ショアD硬度65以下が好ましい。熱可塑性エラストマーのショアA硬度が40未満の場合は、熱可塑性エラストマー自身が常温でも粘着性を示すために単独で巻き取るのが難しいので好ましくなく、一方、ショアD硬度が65を越える熱可塑性エラストマーは、硬すぎるので好ましくない。
本発明に用いられるセパレータとしては、熱可塑性樹脂フィルムや紙を用いることができる。熱可塑性樹脂フィルムまたは紙のセパレータと熱可塑性エラストマーとを押出ラミネートして得られた積層シートからセパレータを容易に剥離できない場合は、熱可塑性樹脂フィルムまたは紙の表面を離型処理したものを用いるのが好ましい。前記離型処理方法としては、その表面にシリコーン系またはフッ素系材料をコーティングする方法、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムをラミネートする方法が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性エラストマーの加工温度よりも高い融点を持つもの、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリナフタレンテレフタレートフィルムなどが好ましく、厚さは50μm〜150μmが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの厚さが50μm未満の場合は、熱可塑性樹脂フィルム上に溶融した熱可塑性エラストマーを押出ラミネートした際、熱可塑性樹脂フィルムが熱負けにより変形しやすくなるので好ましくなく、150μmを超えると熱可塑性樹脂フィルムが厚くなりすぎて取り扱い難くなるので好ましくない。
セパレータとして紙を用いる場合は、目付け量50g/m〜300g/mの紙の表面にポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィンをラミネートしたものを用いることができ、特に、ポリプロピレンをラミネートしたものが好適に用いられる。紙の目付け量が50g/m未満の場合は、紙の引張強度が弱いため切断しやすく、300g/mを超えると、紙が厚くなりすぎて取り扱い難くなる。
前記セパレータと熱可塑性エラストマー層との剥離強度は、0.3N/25mm〜5N/25mmの範囲が好ましい。セパレータと熱可塑性エラストマー層との剥離強度がこの範囲より大きい場合は、セパレータ表面を前記方法で離型処理し、その剥離強度がこの範囲となるようにするのが好ましい。剥離強度が0.3N/25mm未満の場合は、セパレータと熱可塑性エラストマー層よりなる積層シートの取扱い中に、セパレータと熱可塑性エラストマー層とが剥れる恐れがあるので好ましくなく、5N/25mmを超えると、セパレータから熱可塑性エラストマー層を剥す際、セパレータを剥し難く、熱可塑性エラストマー層が大きく伸びる恐れがあるので好ましくない。
次に、図1および図2を用いて、本発明の積層シートの製造方法について説明する。図1は、セパレータ14が第1冷却ロール3の表面に供給され、一方、ホッパー(図示せず)に供給された熱可塑性エラストマーは押出機1からフラットダイ2へ送られ、フラットダイ2から溶融状態でセパレータ14表面に押出される。セパレータ14表面に押出された溶融状態の熱可塑性エラストマー11は、第1冷却ロール3で冷却されながら第1冷却ロール3とプレッシャーロール5との間を通過し、セパレータ14と貼り合わされる(押出ラミネート)。セパレータ14と貼り合わされた熱可塑性エラストマー11は、第2冷却ロール4でさらに冷却されながらピンチロール6で引き取られ、第1積層シート(2層)12となって巻き取られる。
第1積層シート(2層)12における熱可塑性エラストマー層の厚さは500μm以下が好ましく、さらには400μm以下が好ましい。熱可塑性エラストマー層の厚さが500μmを超えると、セパレータが熱可塑性樹脂フィルムの場合は押出しラミネート時に熱可塑性樹脂フィルムが変形しセパレータの浮きが発生しやすくなるので好ましくない。また、熱可塑性エラストマーシートの厚み精度は、一度に押出す熱可塑性エラストマー層の厚さが厚くなるに従って悪くなるので、一度に押出す熱可塑性エラストマー層の厚さは薄い方が好ましい。
次いで、図2に示すように、第1積層シート(2層)12の熱可塑性エラストマー表面に、2回目の押出ラミネートによって溶融した熱可塑性エラストマー11を積層して、積層シート13を得る。先ず、第1積層シート(2層)12を第1冷却ロール3表面へ供給しつつ、一方、フラットダイ2から溶融した熱可塑性エラストマー11が押出され、第1積層シート(2層)12の熱可塑性エラストマー層表面に積層され、それが第1冷却ロール3で冷却されながら第1冷却ロール3とプレッシャーロール5との間を通過し、第1積層シート(2層)12と貼り合わされ、次いで第2冷却ロール4で冷却されながらピンチロール6で引き取られ、本発明の積層シート(3層)13を得ることができる。なお、第1積層シート(2層)12上へ押出される熱可塑性エラストマー層の厚さは、一度に押出される熱可塑性エラストマーの厚さが厚くなるに従って厚み精度が悪くなるので、500μm以下が、さらには400μm以下が好ましい。この場合、第1積層シート(2層)12の熱可塑性エラストマーの種類と2回目の押出ラミネートによって押出される熱可塑性エラストマーの種類とは、その層間の剥離強度が大きければ、同一でも、異なっていても良い。
次に、図3および図4を用いて、溶融状態の熱可塑性エラストマー11の両面にセパレータを貼合する押出ラミネート法を応用した本発明の積層シートの製造方法について説明する。この方法では、最初に、溶融状態の熱可塑性エラストマー11の両面へセパレータ14を供給し、セパレータ/熱可塑性エラストマー層/セパレータの構成よりなる第1積層シート(3層)15を製造する(図3)。次いで、第1積層シート(3層)15から片側のセパレータ14を剥離された熱可塑性エラストマー層/セパレータよりなる積層シートを第1冷却ロール3表面へ供給しつつ、その熱可塑性エラストマー層表面へフラットダイ2から溶融状態の熱可塑性エラストマー11を押出し、さらにプレッシャーロール側からセパレータ14を供給して熱可塑性エラストマー層の両面をセパレータで挟んだ状態で第1冷却ロール3とプレッシャーロール5との間を通過させ、次いで第2冷却ロール4で冷却されながらピンチロール6で引き取られ、本発明の積層シート(4層)16を得ることができる。
この場合も、一度に押出される熱可塑性エラストマー層の厚さは、500μm以下、さらには400μm以下が好ましい。熱可塑性エラストマー層の厚さが500μmを超えると、セパレータが熱可塑性樹脂フィルムの場合、押出ラミネート時に熱可塑性樹脂フィルムが変形しセパレータの浮きが発生しやすいので好ましくない。また、熱可塑性エラストマーシートの厚み精度は、一度に押出す熱可塑性エラストマー層の厚さが厚くなるに従って悪くなるので、一度に押出す熱可塑性エラストマー層の厚さは薄い方が好ましい。なお、第1積層シート(3層)15の熱可塑性エラストマーの種類と2回目の押出ラミネートによって押出される熱可塑性エラストマーの種類とは、その層間の剥離強度が大きければ、同一でも、異なっていても良い。
さらに厚い熱可塑性エラストマー層を有する積層シートは、前記工程を複数回繰返し、熱可塑性エラストマー層の厚さが所望の厚さになるまで、熱可塑性エラストマー層表面へ熱可塑性エラストマーを押出ラミネートすることにより得ることができる。最終の積層シート中の熱可塑性エラストマー層の厚さは、500μm〜2000μmが好ましく、その厚さが500μm未満の場合は、厚み精度の向上効果が小さく、2000μmを超える場合は、射出成形法など他の成型法の方が好ましい。
このようにして、セパレータ上に厚膜の熱可塑性エラストマー層を形成した積層シートが得られるのであるが、本発明の厚膜の熱可塑性エラストマーシートは、該積層シートからセパレータを剥離することにより得ることができる。
前記のように、積層シートを得るには、溶融した熱可塑性エラストマーの片側のみにセパレータを積層して押出ラミネートする方法(図1および図2)と、溶融した熱可塑性エラストマーの両面にセパレータを積層して押出ラミネートする方法(図3および図4)があるが、熱可塑性エラストマーシートの両面を鏡面にしたい場合は、溶融した熱可塑性エラストマーの両面にセパレータとして表面粗さが小さい熱可塑性樹脂フィルムを供給し、熱可塑性エラストマーとの積層シートとするのが好ましい。また、表面をナシ地状にしたい場合は、第1積層シート(2層)と熱可塑性エラストマーとの積層シートを第1冷却ロール3とプレッシャーロール(ゴムロール)5とで挟んで製造するか、表面がナシ地のセパレータを用いて製造することにより得ることができる。
前記押出ラミネートにおいては、溶融した熱可塑性エラストマーによるセパレータの熱負け(変形)を防ぐために、冷却ロールで効率良く積層シートを冷却する必要があるが、第1冷却ロール3は、その中へ30℃以下、好ましくは20℃以下の冷媒を通し、空気中の水分によって第1冷却ロールが結露しない範囲で可能な限り低い温度に冷却するのが好ましい。また、他の冷却ロールも同様に冷却するのが好ましい。これらの冷却ロールは、冷却効率を高めるために、金属製が好ましい。また、プレッシャーロールはゴムロールが好ましく、プレッシャーロールも冷却ロールと同様にその中に冷媒を通して冷却するのが好ましい。なお、図1〜図4には、それぞれ2本の冷却ロールを有する装置の概略断面図を図示しているが、得られる積層シートを充分に冷却することができれば、冷却ロールは何本でも良い。
実施例、比較例における剥離強度、厚さの測定、MFRの測定は次の方法で求めた。
(1)剥離強度の測定
島津製作所製オートグラフ(AGS−100)を用いて幅25mm×長さ150mmの短冊状試料を速度300mm/min、剥離角度180°で剥離させ、その時の最大荷重を測定し剥離強度とした。尚、その単位を(N/25mm)として表した。
(2)厚さの測定
熱可塑性エラストマー層の厚さは、(株)ミツトヨ製デジタルインジケータを用いて幅方向に20mmピッチで測定し、平均値で示した。厚さの振れ幅は、測定した厚さの最大値と最小値から求めた中央値((tmax+tmin)/2)からの振れで評価した。
但し、tmax:厚さの最大値(μm)、tmin:厚さの最小値(μm)
(3)MFRの測定
熱可塑性エラストマーのMFRは、JIS K7210に準拠して190℃で測定した。
実施例、比較例および参考例に記載の熱可塑性エラストマーおよびセパレータは次のものを用いた。
<熱可塑性エラストマー>
・熱可塑性ポリウレタン(TPUと略記する):BASF社製、エステル系熱可塑性ポリウレタンET598、MFR:1.5g/10min(190℃)、硬度:ショアA98
<セパレータ>
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルムと略記する):表面未処理、厚さ75μm、東レ製)
<実施例1>
図1に示すフラットダイを装着した押出機および引取機よりなる製膜装置を用い、第1冷却ロール表面へセパレータを供給しつつ熱可塑性ポリウレタンをフラットダイから押出し、熱可塑性ポリウレタン層の設定厚さが400μmの第1積層シートを得た。なお、第1冷却ロール(金属ロール)は内部へ20℃の冷却水を循環させ、プレッシャーロール(ゴムロール)は内部へ20℃の冷却水を循環した。得られた第1積層シートは、セパレータと熱可塑性ポリウレタンとが均一に貼合されており、外観は良好であった。
次いで、図2のように、前記第1積層シートを第1冷却ロール表面へ供給(熱可塑性ポリウレタン層がフラットダイ側となるように供給)し、当該熱可塑性ポリウレタン層の上へ新たに設定厚さ200μmの熱可塑性ポリウレタンを積層し、熱可塑性ポリウレタン層の設定厚さの合計が600μmの積層シートを得た。
得られた積層シートからセパレータを剥離することにより、設定厚さ600μmの熱可塑性ポリウレタンシートを得た。この時のセパレータと熱可塑性ポリウレタンとの剥離強度は1.1N/25mmであった。得られた熱可塑性ポリウレタンシートの厚さの振れ幅を表1に併せて示す。
<実施例2>
第1積層シートの熱可塑性ポリウレタン層の上へ新たに設定厚さ400μmの熱可塑性ポリウレタン層を積層した以外は実施例1と同様にし、熱可塑性ポリウレタン層の設定厚さの合計が800μmの積層シートを得た。
得られた積層シートからセパレータを剥離することにより、設定厚さ800μmの熱可塑性ポリウレタンシートを得た。この時のセパレータと熱可塑性ポリウレタンとの剥離強度は1.3N/25mmであった。得られた熱可塑性ポリウレタンシートの厚さの振れ幅を表1に併せて示す。
<比較例1>
図1に示すフラットダイを装着した押出機および引取機よりなる製膜装置を用い、第1冷却ロール表面へセパレータを供給しつつ熱可塑性ポリウレタンをフラットダイから押出し、熱可塑性ポリウレタン層の設定厚さが600μmの第1積層シートを得た。なお、第1冷却ロール(金属ロール)はその内部へ20℃の冷却水を循環させ、プレッシャーロール(ゴムロール)はその内部へ20℃の冷却水を循環した。得られた第1積層シートのセパレータであるポリエチレンテレフタレートフィルムは、熱可塑性ポリウレタン層の厚さが厚いため熱により変形し、セパレータの浮きが発生した。また、第1積層シートからセパレータを剥離して得た熱可塑性エラストマーシートの厚みの平均厚さは588μm、厚さの振れ幅は±8.3%であった。
<比較例2>
熱可塑性エラストマー層の設定厚さを800μmとした以外は比較例1と同様にして、第1積層シートを得た。得られた第1積層シートからセパレータを剥離することにより、平均厚さ776μmの熱可塑性ポリウレタンシートを得た。得られた熱可塑性ポリウレタンシートの厚さの振れ幅は±10.2%であった。
<参考例1>
熱可塑性エラストマー層の設定厚さを200μmとした以外は比較例1と同様にして、第1積層シートを得た。得られた第1積層シートからセパレータを剥離することにより、平均厚さ202μmの熱可塑性ポリウレタンシートを得た。得られた熱可塑性ポリウレタンシートの厚さの振れ幅は±2.4%であった。
Figure 0005975788
表1の比較例および参考例から明らかなように、一度の押出ラミネートで押出した場合、熱可塑性ポリウレタンシートの厚みの振れ幅は、その厚さが厚くなるほど大きくなり、設定厚さ600μmおよび800μmの熱可塑性ポリウレタンシートの厚みの振れ幅は±8%以上であった。それに対し、本発明の製造方法(実施例1および実施例2)で得られた熱可塑性ポリウレタンシートの厚みの振れ幅は±5.0%以下であり、本発明の製造方法は、厚み精度の良好な熱可塑性エラストマーシートを製造するのに有効であることを示している。
本発明で得られた厚膜の熱可塑性エラストマーシートは、厚み精度が良好なため、アパレル用途のワッペン用ケースや電化製品のスイッチカバーなどとしてこれらの分野に広く用いることができる。
1.押出機
2.フラットダイ
3.第1冷却ロール
4.第2冷却ロール
5.プレッシャーロール
6.ピンチロール
11.溶融状態の熱可塑性エラストマー
12.第1積層シート(2層)
13.積層シート(3層)
14.セパレータ
15.第1積層シート(3層)
16.積層シート(4層)

Claims (5)

  1. フラットダイから押出された溶融状態の熱可塑性エラストマーの片面に離型性を有するセパレータを添わせて30℃以下の冷媒を通した冷却ロールと30℃以下の冷媒を通したプレッシャーロールとの間を通過させ、厚みが500μm以下である熱可塑性エラストマー層とセパレータよりなる第1積層シートを得、前記第1積層シートの熱可塑性エラストマー層表面へ、再度、熱可塑性エラストマーを押出ラミネートした積層シートから前記セパレータを剥離することにより、厚みが500μm〜2000μmであり、かつ厚みの振れ幅が±5.0%以下である熱可塑性エラストマーシートを得ることを特徴とする熱可塑性エラストマーシートの製造方法。
  2. フラットダイから押出された溶融状態の熱可塑性エラストマーの両面に離型性を有するセパレータを添わせて30℃以下の冷媒を通した冷却ロールと30℃以下の冷媒を通したプレッシャーロールとの間を通過させ、厚みが500μm以下である熱可塑性エラストマー層とセパレータよりなる第1積層シートを得、前記第1積層シートの片面のセパレータを剥離した後、熱可塑性エラストマー層表面へ、再度、熱可塑性エラストマーを押出ラミネートした積層シートからセパレータを剥離することにより、厚みが500μm〜2000μmであり、厚みの振れ幅が±5.0%以下である熱可塑性エラストマーシートを得ることを特徴とする熱可塑性エラストマーシートの製造方法。
  3. 前記第1積層シートの熱可塑性エラストマー層とセパレータとの剥離強度が0.3N/25mm〜5N/25mmの範囲となるようき積層して得られることが特徴である請求項1乃至2のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーシートの製造方法
  4. 前記熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーシートの製造方法。
  5. 前記セパレータがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーシートの製造方法。
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