JPH10278182A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

積層体およびその製造方法

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JPH10278182A
JPH10278182A JP9085073A JP8507397A JPH10278182A JP H10278182 A JPH10278182 A JP H10278182A JP 9085073 A JP9085073 A JP 9085073A JP 8507397 A JP8507397 A JP 8507397A JP H10278182 A JPH10278182 A JP H10278182A
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JP
Japan
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layer
weight
thermoplastic elastomer
parts
base material
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Application number
JP9085073A
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English (en)
Inventor
Shunji Kaneda
俊二 金田
Koji Hirai
広治 平井
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性、耐表面摩耗性、層間の剥離強度など
に優れた、高級感ある銀面層付きの皮革様積層体、およ
び環境上や安全性などの点で大きな問題になっている有
機溶剤を使用する必要がなく、良好な作業環境下で、該
積層体を高速で製造する方法を提供すること。 【解決手段】 繊維質基材層(A)の表面に、脂肪酸ビス
アミドを含有する熱可塑性エラストマー組成物からなり
溶融製膜法により製造された無孔質層(B)を有し、且つ
その表面には凹凸模様または銀面模様が存在している積
層体;繊維質基材層(A)と無孔質層(B)との間に、さらに
熱可塑性ポリウレタンからなり溶融製膜法により製造さ
れた気泡を含有する発泡体層(C)を有する積層体;並び
に該積層体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,繊維質基材層
(A)および特定の熱可塑性エラストマー組成物からな
る無孔質層(B)の2層から構成される積層体;繊維質
基材層(A)、熱可塑性ポリウレタンからなる発泡体層
(C)および特定の熱可塑性エラストマー組成物からな
る無孔質層(B)の3層から構成される積層体;並びに
これらの積層体の製造方法に関する。本発明によれば、
柔軟性、耐表面摩耗性、層間の剥離強度などに優れる、
高級感ある銀面層付きの皮革様積層体、並びに該積層体
を高速で製造する方法が提供される。
【0002】
【従来の技術】従来、合成皮革様の熱可塑性ポリウレタ
ン積層体の製造方法としては、(イ)離型紙上に熱可塑
性ポリウレタンの有機溶剤溶液を塗布し、乾燥して、ポ
リウレタンフイルムを形成した後、該フイルムを編織布
または不織布からなる繊維質基材の表面に接着剤で貼り
合わせてから離型紙を剥離する方法、いわゆる乾式法;
(ロ)編織布または不織布からなる繊維質基材の表面
に、熱可塑性ポリウレタン溶液を塗布した後、湿式凝固
法または乾式凝固法により多孔質の熱可塑性ポリウレタ
ン層を形成し、その上に着色剤を含む樹脂溶液を塗布・
乾燥して着色層を形成した後、エンボスロールで凹凸模
様を形成する方法などが知られている。さらに、上記
(イ)および(ロ)に挙げた従来法以外にも、合成皮革
様の積層体の製造方法として、例えば、(ハ)基材上に
設けた合成樹脂層の表面に、合成樹脂を膜状に溶融押し
出ししてスキン層を積層すると共に、そのスキン層表面
をエンボス加工して天然皮革様のスキン層とする方法
(特開昭53−62803号公報参照);(ニ)基材上
に形成した金属蒸着層にT−ダイから押し出した熱可塑
性ポリウレタン溶融体を積層して皮革様シートを製造す
る方法(特開昭62−282078号公報参照);
(ホ)合成繊維布帛の表面にシランカップリング剤を予
め付与しておき、その上に熱可塑性樹脂を溶融押し出し
て圧着し、布帛と熱可塑性樹脂層との接着強度を向上さ
せた積層体を製造する方法(特開平2−307986号
公報参照)などが提案されている。
【0003】しかしながら、上記(イ)および(ロ)の
従来法による場合は、ポリウレタンの有機溶剤溶液を用
いるために、有機溶剤の使用に伴う作業環境の悪化を伴
い、安全性および衛生性などの点で問題がある。さら
に、使用した有機溶剤の回収や処理のための工程や設備
が必要であるため、製造工程が複雑になり、しかもコス
ト高になる。その上、上記(ロ)の従来法による場合
は、ポリウレタン表面層の凝固に長い時間を要するた
め、製造速度を高めることができず、結果的に製造コス
トが高くならざるを得ないという点で問題がある。更
に、上記(ハ)〜(ホ)の従来法による場合は、得られ
た積層体を引っ張ったり、折り曲げたりした際に、表面
に低品位のシワなどの凹凸模様が出現したり、基材と表
面層との剥離が生じ易いなどの欠点がある。その上、積
層体の表面層(無孔質層)に、エンボスロールを用いて
凹凸模様または鏡面模様を形成する場合、特に表面層
(無孔質層)として熱可塑性ポリウレタンを使用する場
合には、エンボスロールに熱可塑性ポリウレタンが粘着
しやすいため、高速でエンボス処理を行うことは困難で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、繊維
質基材層、無孔質層、発泡体層の各層間の剥離が起こり
にくく、且つ良好な耐表面摩耗性を有していて耐久性に
優れ、その上高級感のある銀面層付きの皮革様積層体を
提供することにある。さらに本発明の他の目的は、環境
上や安全面などの点で問題になっている有機溶剤やフロ
ンガス発泡剤などを使用せずに、上記の特徴を有する積
層体を円滑に且つ生産性よく製造することができる製造
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維質基材層
(A)の表面に、熱可塑性エラストマー組成物からなり
溶融製膜法により製造された無孔質層(B)を有し、且
つ無孔質層(B)の表面に凹凸模様または鏡面模様が存
在している積層体であって、前記熱可塑性エラストマー
組成物が、熱可塑性エラストマー100重量部に対して
脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有する熱可塑性
エラストマー組成物であることを特徴とする積層体(以
下、「2層構造積層体」と称することがある)に関す
る。
【0006】本発明は、繊維質基材層(A)の表面に、
熱可塑性ポリウレタンからなり溶融製膜法により製造さ
れた発泡体層(C)を有し、その上に熱可塑性エラスト
マー組成物からなり溶融製膜法により製造された無孔質
層(B)を有し、且つ無孔質層(B)の表面に凹凸模様
または鏡面模様が存在している積層体であって、前記熱
可塑性エラストマー組成物が、熱可塑性エラストマー1
00重量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量
部含有する熱可塑性エラストマー組成物であることを特
徴とする積層体(以下、「3層構造積層体」と称するこ
とがある)に関する。
【0007】本発明は、熱可塑性エラストマー100重
量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有
する熱可塑性エラストマー組成物を膜状に溶融押し出し
し、流動性を有している内に繊維質基材層(A)の表面
に押し付けて接着させることにより、繊維質基材層
(A)の表面に無孔質層(B)を形成するとともに、無
孔質層(B)が流動性を有している内に、無孔質層
(B)の表面を型押しして凹凸模様または鏡面模様を形
成することを特徴とする上記2層構造積層体の製造方法
に関する。
【0008】本発明は、熱分解型発泡剤を含有する熱可
塑性ポリウレタン組成物を膜状に溶融押し出しし、流動
性を有する内に繊維質基材層(A)の表面に押し付けて
接着させることにより、繊維質基材層(A)の表面に発
泡体層(C)を形成し、次に、熱可塑性エラストマー1
00重量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量
部含有する熱可塑性エラストマー組成物を膜状に溶融押
し出しし、流動性を有している内に発泡体層(C)の表
面に押し付けて接着させることにより、発泡体層(C)
の表面に無孔質層(B)を形成するとともに、無孔質層
(B)が流動性を有している内に、無孔質層(B)の表
面を型押しして凹凸模様または鏡面模様を形成すること
を特徴とする上記3層構造積層体の製造方法に関する。
【0009】そして、本発明は、熱可塑性エラストマー
100重量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重
量部含有する熱可塑性エラストマー組成物(i)と、熱
分解型発泡剤を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物
(ii)とを溶融下に共押し出しすることにより、該熱可
塑性エラストマー組成物(i)からなる無孔質層(B)
および該熱可塑性ポリウレタン組成物(ii)からなる発
泡体層(C)から構成される2層構造体をつくり、該2
層構造体の発泡体層(C)が流動性を有している内に、
発泡体層(C)側に繊維質基材を押し付けて接着させる
とともに、無孔質層(B)が流動性を有している内に、
無孔質層(B)の表面を型押しして凹凸模様または鏡面
模様を形成することを特徴とする上記3層構造積層体の
製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】繊維質基体層(A)として用いら
れる繊維質基材は、適度な厚みと充実感を有し、且つ柔
軟な風合を有するシート状のものであればいずれも使用
でき、従来から皮革様の積層体の製造に用いられている
各種の繊維質基材を使用することができる。繊維質基材
としては、例えば、極細繊維またはその束状繊維、特殊
多孔質繊維、通常の合成繊維、半合成繊維、天然繊維、
無機繊維などを用いて形成される絡合不織シートや編織
物シートなどの繊維質シート;前記した繊維質シートに
ポリウレタンなどのような高分子材料を含浸させた繊維
質シート;前記したいずれかの繊維質シートの表面にさ
らに高分子材料の被覆層を形成した繊維質シートなどを
用いることができる。
【0011】上記したうちでも、極細繊維または極細繊
維束を用いて形成されている繊維質シートが好ましく用
いられ、その場合に、得られる積層体の風合などの点か
ら、極細繊維の単繊維繊度が0.5デニール以下である
のが好ましく、0.1デニール以下であるのがより好ま
しい。また、繊維質基材を極細繊維束から形成する場合
は、極細繊維束のトータルデニールが0.5〜10デニ
ールであるのが、得られる積層体の風合などの点から好
ましい。また、繊維質基材を構成する極細繊維は、ポリ
エステル系繊維および/またはナイロン系繊維から形成
されているのが、得られる積層体の強度、感触、コスト
などの点から好ましい。
【0012】特に、繊維質基材として、上記したような
極細繊維束の不織布から形成されていて、且つ不織布中
に高分子材料を含有させてある繊維質シートを使用する
と、天然皮革に一層近似した良好な風合や触感などを有
する積層体を得ることができるので好ましい。その場合
に不織布中に含有させる高分子材料としては、ポリウレ
タン系重合体、ポリアミド系重合体、塩化ビニル系重合
体、ポリビニルブチラール系重合体、アクリル系重合
体、ポリアミノ酸系重合体、シリコン系重合体などを挙
げることができ、これらの重合体は単独で使用しても、
または2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、
繊維質基材層(A)の表面に積層する樹脂層〔すなわ
ち、後述する無孔質層(B)または発泡体層(C)〕と
同種の高分子材料を用いると、繊維質基材層(A)とそ
の表面に積層される樹脂層との接着性が向上するため好
ましい。高分子材料の含有量は、高分子材料を含有させ
る前の繊維質シートの重量に基づいて、約10〜70重
量%程度であるのが好ましい。
【0013】また、繊維質基材層(A)とその表面に積
層する樹脂層との接着性を向上させるために、繊維質基
材層(A)の表面に、積層する樹脂層と親和性の高い重
合体を含む表面処理剤の被覆層を形成しておいてもよ
く、その場合の被覆層の厚さは5μm以下とするのが好
ましい。被覆層の厚さが厚くなると、柔軟で一体感のあ
る風合を有する積層体が得られにくくなる。
【0014】繊維質基材層(A)の厚さは、得られる積
層体の用途などに応じて決めることができるが、繊維質
基材層(A)に積層される樹脂層の厚さとのバランスの
点から、繊維質基材層の厚さが0.3〜3mm程度であ
るのが好ましく、0.5〜2mm程度であるのがより好
ましい。
【0015】また、柔軟な風合を有し、且つ適度な反発
性および腰感のある積層体を得るためには、繊維質基材
の見掛け比重が0.25〜0.5g/cm3であるのが
好ましいく、0.3〜0.35g/cm3であるのがよ
り好ましい。繊維質基材の見掛け比重が大きすぎるとゴ
ム様の風合となり易く、一方繊維質基材の見掛け比重が
小さ過ぎると反発性および腰感のない風合となり、やは
り天然皮革に近似した風合が得られにくくなる。
【0016】無孔質層(B)を構成する熱可塑性エラス
トマーとしては、柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械的強
度、耐候性、耐加水分解性などに優れていて、繊維質基
材層(A)または発泡体層(C)と親和性のある熱可塑
性エラストマーであればいずれも使用できる。無孔質層
(B)を形成する熱可塑性エラストマーとしては、例え
ば、熱可塑性ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートなどの結晶性の芳香族ポリエステルをハード
セグメントとし、ガラス転移温度の低い脂肪族ポリエー
テル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、
脂肪族ポリエステルポリカーボネートなどをソフトセグ
メントとするポリエステルエラストマー;スチレン系重
合体をハードセグメントとし、ポリイソプレン、ポリブ
タジエン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタ
ジエンなどをソフトセグメントとするスチレン系エラス
トマー;シリコーン系エラストマー;結晶性ポリ塩化ビ
ニルおよび/または結晶性ポリエチレンをハードセグメ
ントとし、非晶性ポリ塩化ビニルおよび/または非晶性
塩素化ポリエチレンをソフトセグメントとする塩素化ポ
リマー系エラストマー;ポリプロピレンをハードセグメ
ントとし、エチレンプロピレンゴムや部分架橋エチレン
プロピレンゴムなどをソフトセグメントとするポリオレ
フィン系エラストマー;フッ素系樹脂をハードセグメン
トとし、フッ素系ゴムをソフトセグメントとするフッ素
系重合体エラストマー;1,2−ブタジエン系重合体エ
ラストマー;ウレタン/塩ビ系エラストマー;エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート
共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウ
ム三元共重合体などのエチレン系共重合体などを挙げる
ことができ、これらの1種または2種以上を用いて無孔
質層(B)を形成することができる。
【0017】そして、繊維質基材層(A)と無孔質層
(B)との間に発泡体層(C)を有している本発明の3
層構造積層体では、その無孔質層(B)を、上記した熱
可塑性エラストマーのうちでも、熱可塑性ポリウレタン
または熱可塑性ポリウレタンと他の熱可塑性エラストマ
ーとの混合物から成形するのが好ましい。その場合に
は、無孔質層(B)を形成するポリマーの材質と、発泡
体層(C)の材質が近似したものとなり、発泡体層
(C)と無孔質層(B)との接着強度が大きくなって両
層間の剥離などが生じなくなり、物性的に極めて優れる
3層構造積層体を得ることができる。無孔質層(B)を
熱可塑性ポリウレタンまたは熱可塑性ポリウレタンと他
の熱可塑性エラストマーとの混合物から成形するに当た
っては、発泡体層(C)として用いることができる後記
した種々の熱可塑性ポリウレタンを使用することができ
る。その場合に、発泡体層(C)を構成する熱可塑性ポ
リウレタンと無孔質層(B)を構成する熱可塑性ポリウ
レタンとは同じものであっても、または異なるものであ
ってもよい。一般的には、無孔質層(B)を構成する熱
可塑性ポリウレタンとして、発泡体層(C)を構成する
熱可塑性ポリウレタンに比べて多少硬度の高いものを使
用すると、積層体の耐表面摩耗性を一層向上させること
ができるので好ましい。
【0018】無孔質層(B)に用いられる熱可塑性エラ
ストマー組成物を構成する脂肪酸ビスアミドとは、脂肪
酸と脂肪族ジアミンとの縮合物、あるいは脂肪族ジカル
ボン酸と脂肪族アミンとの縮合物であり、例えば、オレ
イン酸、エルカ酸などの炭素数16〜22の不飽和脂肪
酸と、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テト
ラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8
−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,1
0−ジアミノデカンなどの炭素数が2〜10までの飽和
脂肪族ジアミンとの縮合物、あるいは、グルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ラウリン酸などの炭素数5〜12の飽和脂肪
族ジカルボン酸と、オレイルアミンなどの炭素数が16
〜22までの不飽和脂肪族アミンとの縮合物を挙げるこ
とができ、これらのうち、1種または2種以上を用いる
ことができる。脂肪酸ビスアミドとしては、N,N’−
エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ビスオレイ
ルアジピン酸アミドなどの分子内に不飽和結合を有する
脂肪酸ビスアミドを用いるのが好ましい。
【0019】無孔質層(B)に用いられる熱可塑性エラ
ストマー組成物は、前記の熱可塑性エラストマー100
重量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含
有しており、0.2〜1.5重量部含有しているのが好
ましい。含有量が0.1重量部未満の場合には、無孔質
層(B)とエンボスロールとの離型性が悪くなり、無孔
質層(B)の表面を高速で型押しすることができず、且
つ凸部の角が流れるいわゆるシボ流れが起こりやすい。
一方、含有量が5重量部を越える場合には、無孔質層
(B)と発泡体層(C)または繊維質基材層(A)との
接着性が低下したり、成形後に脂肪酸ビスアミドがブリ
ードアウトすることによる外観不良が起こりやすくな
る。
【0020】無孔質層(B)に用いられる熱可塑性エラ
ストマー組成物は、前記の熱可塑性エラストマーと脂肪
酸ビスアミドを所望の方法で混合することにより製造す
ることができる。例えば、樹脂材料の混合に通常用いら
れているような縦型または水平型の混合機を用いて予備
混合したのち、一軸または二軸の押出機、ミキシングロ
ール、バンバリーミキサーなどを用いて、回分式または
連続式で加熱下に溶融混練することにより製造すること
ができる。なお混合時に、安定剤、充填剤、顔料などの
添加剤を、本発明の効果が損なわれない範囲内で添加す
ることができる。
【0021】本発明の積層体では、無孔質層(B)の表
面に凹凸加工を施すことにより、天然皮革に一層近似し
たエンボス模様やシボ模様などを積層体表面に付与する
ことができる。一方、無孔質層(B)の表面に鏡面加工
を施した場合には、エナメル調の光沢のある表面が積層
体に付与される。また、本発明の積層体では、無孔質層
(B)の表面に凹凸加工および鏡面加工の両方を施して
もよく、その場合には光沢のあるエナメル調の表面に更
に凹凸模様が付与された状態になる。
【0022】本発明の積層体は、必要に応じて、繊維質
基材層(A)と無孔質層(B)との間に、熱可塑性ポリ
ウレタンからなり気泡を含有する発泡体層(C)を形成
してもよい。繊維質基材層(A)と無孔質層(B)との
間に発泡体層(C)を形成することにより、特に、引っ
張ったり、折り曲げたりした際に、安っぽい凹凸模様が
表面に表れず、従来方法では得られなかったような、よ
り高級感のある銀面層付きの皮革様の積層体が得られる
ので好ましい。
【0023】発泡体層(C)に用いられる熱可塑性ポリ
ウレタンとしては、実質的に、高分子ジオール、有機ジ
イソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱
可塑性ポリウレタンを挙げることができる。
【0024】熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる
高分子ジオールとしては、数平均分子量が800〜80
00のものが好ましく、900〜6000のものがより
好ましい。このような数平均分子量の高分子ジオールを
用いると、熱可塑性ポリウレタンの機械的強度や成形性
が良好になり、ひいては本発明の発泡体層(C)を有す
る積層体の機械的強度が良好になり、且つ積層体を製造
する際の成形性が良好になる。なお、本明細書でいう高
分子ジオールの数平均分子量は、いずれもJIS K
1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出し
た数平均分子量を意味する。
【0025】高分子ジオールとしては、例えば、ポリエ
ステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネ
ートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオー
ル、ポリエステルポリエーテルジオールなどを挙げるこ
とができ、これらを1種または2種以上用いることがで
きる。そのうちでも、高分子ジオールとしてポリエステ
ルジオール、ポリエーテルジオールを用いるのが好まし
い。
【0026】上記したポリエステルジオールとしては、
例えば、常法に従って、ジカルボン酸成分またはそれら
のエステル形成性誘導体と低分子ジオール成分との反応
により得られるものを使用することができる。
【0027】ポリエステルジオールの製造に用いられる
ジカルボン酸成分としては、例えば、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ドデカンジカルボン酸、2−メチルコハク酸、
2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メ
チルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−
ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸など
の炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカル
ボン酸;またはそれらのエステル形成性誘導体などを挙
げることができ、これらのうち1種または2種以上を用
いることができる。そのうちでも、炭素数5〜12の脂
肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を用
いると、柔軟性、力学的物性が優れる積層体が得られる
ので好ましく、特に、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸またはそれらのエステル形成性誘導体を用いるの
がより好ましい。
【0028】ポリエステルジオールの製造に用いられる
低分子ジオール成分としては、例えば、エチレングリコ
ール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3
−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,
8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,
10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘ
キサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂
環式ジオールなどを挙げることができ、これらのうちの
1種または2種以上を用いることができる。そのうちで
も、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの含有割合
が50モル%以上である低分子ジオール成分を用いる
と、柔軟性、反発弾性が良好な積層体が得られるので好
ましい。
【0029】上記したポリエーテルジオールとしては、
例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げるこ
とができ、これらのうちの1種または2種以上を用いる
ことができる。特に、ポリテトラメチレングリコールを
用いると、柔軟性、耐加水分解性が良好な積層体が得ら
れるので好ましい。
【0030】上記したポリカーボネートジオールとして
は、例えば、低分子ジオール成分と、ジアルキルカーボ
ネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネ
ートなどのカーボネート化合物との反応により得られる
ポリカーボネートジオールを挙げることができる。低分
子ジオール成分としては、ポリエステルジオールの製造
原料として先に例示した低分子ジオールを用いることが
できる。また、上記したジアルキルカーボネートとして
はジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど
を、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネ
ートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニ
ルカーボネートなどを挙げることができる。
【0031】上記したポリエステルポリカーボネートジ
オールとしては、例えば、上記した低分子ジオール成
分、ジカルボン酸成分およびカーボネート化合物を同時
に反応させることにより得られるポリエステルポリカー
ボネートジオール;予め合成しておいたポリエステルジ
オールおよびポリカーボネートジオールを、上記したカ
ーボネート化合物、低分子ジオール成分および/または
ジカルボン酸成分と反応させて得られるポリエステルポ
リカーボネートジオールなどを挙げることができる。
【0032】熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる
有機ジイソシアネートの種類は特に制限されず、ポリウ
レタンの製造に従来から用いられている有機ジイソシア
ネートのいずれもが使用できる。そのうちでも、有機ジ
イソシアネートとしては、数平均分子量が500以下の
芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよ
び脂肪族ジイソシアネートのうちの1種または2種以上
が好ましく用いられる。そのような有機ジイソシアネー
トの例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシア
ネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを
挙げることができ、これらの1種または2種以上を用い
ることができる。そのうちでも、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネートが、それから得られる積層体の
力学的特性が良好な点から好ましく用いられる。また、
必要に応じて、トリフェニルメタントリイソシアネート
などの3官能以上のポリイソシアネートを少量用いても
よい。
【0033】熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる
鎖伸長剤の種類は特に制限されず、ポリウレタンの製造
に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用で
きる。そのうちでも、鎖伸長剤としては、イソシアネー
ト基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有す
る数平均分子量300以下の低分子化合物が好ましく用
いられる。そのような鎖伸長剤の例としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β
−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキ
サンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフ
タレート、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒ
ドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キ
シリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンお
よびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジン、イソ
フタル酸ジヒドラジンなどのジアミン類、アミノエチル
アルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノア
ルコール類などが挙げられ、これらの1種または2種以
上を用いることができる。そのうちでも、炭素数2〜1
0の脂肪族ジオールが、それから得られる積層体の力学
的特性が良好な点から好ましく用いられ、特に1,4−
ブタンジオールがより好ましく用いられる。
【0034】本発明では、熱可塑性ポリウレタンとし
て、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネートお
よび鎖伸長剤を、下記の式(1)を満足する割合で反応
させて得られる熱可塑性ポリウレタンを用いるのが好ま
しい。下記の式(1)を満足するようにして製造された
熱可塑性ポリウレタンは、溶融発泡性、特に溶融押出発
泡性、力学的特性、耐摩耗性などの点で優れており、そ
の結果、発泡状態が良好で、力学的特性などに優れる積
層体が得られる。
【0035】 0.99≦b/(a+c)≦1.05 (1) (式中、aは高分子ジオールのモル数、bは有機ジイソ
シアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を示す。)
【0036】熱可塑性ポリウレタンの製造法は特に制限
されず、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネー
ト、鎖伸長剤および必要に応じて他の成分を使用し、公
知のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法ま
たはワンショット法により製造することができる。その
うちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合する方
法、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合
する方法が好ましく用いられる。
【0037】また、本発明では、熱可塑性ポリウレタン
として、その硬度が、JIS−A硬度として55〜9
5、より好ましくは60〜90の範囲にあるものを用い
ると、機械的強度に優れ、且つ柔軟性に優れる積層体が
得られるので好ましい。
【0038】さらに、本発明では、熱可塑性ポリウレタ
ンとして、その対数粘度が0.5〜2.0dl/g、よ
り好ましくは、0.8〜1.9dl/gであるものを用
いると、耐摩耗性などの特性が一層良好な積層体が得ら
れるので好ましい。なお、本願明細書でいう熱可塑性ポ
リウレタンの対数粘度は、n−ブチルアミンを0.05
モル/リットルの割合で含有するN,N−ジメチルホル
ムアミド溶液に、熱可塑性ポリウレタンを濃度0.5g
/dlになるように溶解し、30℃で測定したときの値
である。
【0039】また、必要に応じて、発泡体層(C)を構
成する熱可塑性ポリウレタンに、数平均分子量が20
0,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
系重合体を配合することができる。数平均分子量が20
0,000以上である(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル系重合体の配合割合は、熱可塑性ポリウレタン10
0重量部に対して1〜30重量部であるのが好ましく、
2〜20重量部であるのがより好ましい。熱可塑性ポリ
ウレタン100重量部に対して(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体の配合割合が1重量部未満である
と、熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融弾性(溶融粘
度)が低くなって、熱分解型発泡剤の分解により発生し
たガスを良好に保持できなくなり、発泡の粗大化や破れ
が生じ、発泡体内部の気泡構造が不良になり、しかも無
孔質層(B)の表面に粗大な凹凸模様や荒れが生じて平
滑な表面状態にならず、さらに発泡体層(C)の機械的
特性の低下、発泡体層(C)とその上に積層する無孔質
層(B)との接着不良などを生ずる傾向がある。そし
て、このような物性や品質の低下は、発泡体層(C)や
無孔質層(B)の厚さを薄くして接着した積層体におい
て現れ易い。また、場合によっては、溶融粘度の低下に
よって気泡を充分に保持できず、発生した気泡が外部に
逃げてしまって、発泡倍率[(発泡させる前の熱可塑性
ポリウレタン組成物の比重)÷(発泡体層の見掛け比
重)]の低下を招くこともある。一方、熱可塑性ポリウ
レタン100重量部に対して、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体の使用割合が30重量%を越える
と、熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘度が高くなり
過ぎて、膨脹が抑制されて発泡倍率が小さくなり、所望
の発泡倍率の発泡体層(C)を得ることができなくなる
傾向がある。しかも熱可塑性ポリウレタン中への(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の分散性が不
良になって発泡体層(C)の表面などに未溶融のブツな
どが発生し易くなる。
【0040】(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重
合体の数平均分子量が200,000未満であると、熱
可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘度(溶融弾性)が気
泡の保持に適当なものにならず、発泡の粗大化や破裂な
どが生じて、大きさの揃った微細な気泡がムラなく分布
している発泡体を形成することができなくなる傾向があ
り、しかも発泡体層(C)や無孔質層(B)の表面に凹
凸模様や荒れが発生して外観が不良になり易い。特に厚
さの薄い無孔質層(B)を形成する場合に、表面に凹凸
模様や荒れが発生し易くなる。(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体の数平均分子量の上限値は特に制
限されないが、発泡体における気泡の均一性、熱可塑性
ポリウレタンとの相溶性などの点から5000,000
以下であるのが好ましい。
【0041】本発明では、数平均分子量が200,00
0以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重
合体であればいずれも使用可能であるが、数平均分子量
が200,000以上、好ましくは250,000以上
であって、且つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系
重合体のエステルを形成しているアルキル基の炭素数が
1〜10であるアクリル酸アルキルエステルおよびメタ
クリル酸アルキルエステルから主としてなるものが好ま
しく用いられる。
【0042】(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重
合体を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの
好ましい例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル
酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエス
テル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メ
タクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタ
クリル酸−2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸アル
キルエステルなどを挙げることができ、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル系重合体は、前記した(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルの1種または2種以上から形
成されていることができる。そのうちでも、メタクリル
酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルとア
クリル酸ブチルとを主とする共重合体を用いるのが好ま
しい。
【0043】また、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル系重合体は、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル単位と共に、必要に応じて少量(一般に25モル
%以下)の他の共重合性不飽和モノマーから誘導される
単位を有していてもよく、そのような共重合性不飽和モ
ノマーとしては、例えばエチレン、ブタジエン、イソプ
レン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリ
ルなどを挙げることができ、これらの共重合性不飽和モ
ノマーの1種または2種から誘導される単位を有してい
ることができる。
【0044】熱可塑性ポリウレタンに配合される熱分解
型発泡剤としては、従来から知られている熱分解型発泡
剤のいずれもが使用でき、特に限定されない。本発明で
用い得る熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカル
ボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニ
ルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、
アゾビスイソブチロジニトリル、アゾジアミノベンゼ
ン、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、バリウムアゾジ
カルボキシレート、N,N’−ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメ
チルテレフタルアミド、t−ブチルアミノニトリル、p
−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾンなどの有機系
熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム
などの無機系熱分解型発泡剤などを挙げることができ、
これらの1種または2種以上を使用することができる。
このうちでも、アゾジカルボンアミドなどの熱分解型発
泡剤は、熱可塑性ポリウレタンの溶融温度以上の分解温
度を有していて取扱い性に優れており、ガス発生量が多
く、しかもその分解挙動が発泡体層(C)の溶融成形に
適しているなどの点から好ましく用いられている。ま
た、上記の熱分解型発泡剤のうちで、例えば、アゾジカ
ルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホ
ニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジ
ド、重炭酸ナトリウムなどはポリウレタンの分子量低下
を引き起こす作用があり、一方、N,N’−ジニトロソ
ペンタメチレンテトラミンなどはポリウレタンの架橋を
促進する作用を有する。そのため、ポリウレタンの分子
量低下を引き起こす熱分解型発泡剤と、架橋を促進する
熱分解型発泡剤を併用した場合には、ポリウレタンに適
度な架橋をもたらしながら、溶融粘度の低下の抑制が可
能になり、機械的特性、物理的特性、化学的特性、発泡
状態の良好な発泡体層(C)を形成させることができ
る。
【0045】熱分解型発泡剤の添加量は、目的とする発
泡体層(C)の密度(発泡倍率)、積層体の用途、発泡
剤のガス発生量などに応じて調節が可能であるが、一般
に、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して0.0
5〜10重量部程度であるのが好ましく、0.1〜5重
量部程度であるのがより好ましく、0.3〜3重量部で
あるのが更に好ましい。
【0046】また、本発明では、上記した熱分解型発泡
剤を用いて発泡体層(C)を製造するに当たって、発泡
を円滑に行わせて、より均一で微細な気泡を有する発泡
体層(C)を得るために、発泡助剤を併用してもよい。
その場合の発泡助剤としては、それぞれの熱分解型発泡
剤に対して従来から用いられている発泡助剤を用いるこ
とができる。例えば、アゾ系発泡剤、重炭酸ナトリウ
ム、ヒドラジン系発泡剤に対しては、カルボン酸金属、
炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、シリカ、アルミナな
ど金属酸化物、タルクなどの鉱物などの発泡助剤を用い
ることができ、また、例えばN,N’−ジニトロソペン
タメチレンテトラミンに対しては、尿素系化合物や有機
酸などの発泡助剤を用いることができる。
【0047】発泡助剤を使用する場合は、その使用量を
発泡体層(C)の発泡倍率(比重)、積層体の用途、発
泡剤のガス発生量などに応じて適宜調節することができ
るが、通常、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対し
て0.005〜10重量部程度であることが好ましく、
0.01〜5重量部であることがより好ましく、0.1
〜2重量部であることが更に好ましい。また、発泡剤に
対する使用割合としては、発泡剤1重量部に対して発泡
助剤を0.1〜1重量部とすることが好ましい。
【0048】発泡体層(C)を構成する熱可塑性ポリウ
レタンには、必要に応じて、本発明の目的の妨げになら
ない範囲内で、上記した成分以外にポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレ
フィン系重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル/ス
チレン共重合体、ABS樹脂、スチレン系エラストマー
などの他の熱可塑性重合体の1種または2種以上を少量
配合してもよい。
【0049】さらに、発泡体層(C)を構成する熱可塑
性ポリウレタンには、他の添加剤、例えば、均一で微細
な気泡を形成するための気泡調節剤(無機微粉末な
ど)、充填剤、補強材、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、可塑剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃
剤などの添加剤の1種または2種以上を必要に応じて配
合してもよい。
【0050】発泡体層(C)を構成する熱可塑性ポリウ
レタンに、上記した各成分を配合した熱可塑性ポリウレ
タン組成物を調製するに当たっては、その調製方法は特
に制限されないが、熱可塑性ポリウレタンが吸湿すると
発泡状態や力学的特性などが影響を受けるため、熱可塑
性ポリウレタン組成物の調製時に出来るだけ吸湿ををさ
ける方法、さらに熱分解型発泡剤の発泡助剤を使用する
に場合はその発泡助剤としての機能が失われないような
方法であればいずれも採用される。
【0051】無孔質層(B)の成形方法としては、例え
ば、上記した熱可塑性エラストマー組成物を押出機にて
加温加圧下で溶融混練した後に、T−ダイから溶融状態
で膜状に押し出して、流動性を有している内に繊維質基
材層(A)の表面〔または発泡体層(C)の表面〕に押
し付けて接着させることにより、繊維質基材層(A)の
表面〔または発泡体層(C)の表面〕に無孔質層(C)
を成形させる方法、いわゆる溶融製膜法を用いる。無孔
質層(B)の厚みは、それを構成する熱可塑性エラスト
マーの種類や性能などによっても異なるが、一般には皮
革様の風合いを有し、且つ表面強度、接着強力および屈
曲性などの物性が優れている点で、10〜300μmで
あるのが好ましく、30〜150μmであるのがより好
ましい。無孔質層(B)の厚みが薄すぎると、得られる
積層体の耐表面摩耗性などの表面物性が低下する傾向が
ある。また無孔質層(B)の厚みが厚すぎると、得られ
る積層体の屈曲性が悪くなったり、ゴムライクな風合い
となり、皮革様の風合いが損なわれる傾向にある。無孔
質層(B)は、気泡を含有していないことが必要であ
り、気泡を含有している場合には、表面の耐摩耗性、強
度、平滑性、色斑などが劣り、本発明の目的とするもの
が得られない。
【0052】膜状に溶融押し出しされた熱可塑性エラス
トマー組成物を、繊維質基材層(A)の表面〔または発
泡体層(C)の表面〕に押し付けて接着する方法として
は、例えば、あらかじめ熱可塑性エラストマー組成物
を、繊維質基材層(A)の表面〔または発泡体層(C)
の表面〕上に溶融押し出しした後、ロールと該ロールに
対向するバックロールとの間を通して押圧する方法、
熱可塑性エラストマー組成物をロール上に溶融押し出し
した後、該ロールと対向するバックロールとの間に、繊
維質基材〔または繊維質基材層(A)と発泡体層(C)
からなる積層体〕を供給して押圧する方法、繊維質基
材層(A)〔または発泡体層(C)〕とロールとの間
に、熱可塑性エラストマー組成物を直接溶融押し出しし
て、対向するバックロールで押圧する方法などを挙げる
ことができるが、押圧時に熱可塑性エラストマーが流動
性を有していれば、いずれの方法であっても特に大きな
違いはない。
【0053】発泡体層(C)の成形方法としては、例え
ば、上記した熱可塑性ポリウレタン組成物を押出機にて
加熱加圧下で溶融混練した後に、T−ダイから溶融発泡
状態で膜状に押し出して、流動性を有する内に繊維質基
材層(A)の表面に押し付けて接着させることにより繊
維質基材層(A)の表面に発泡体層(C)を形成させる
方法、いわゆる溶融製膜法が用いられる。積層体におけ
る発泡体層(C)の厚さは、用途などによって選択する
ことができるが、一般的には、50〜500μm程度で
あるのが好ましく、50〜300μm程度であるのがよ
り好ましい。また、発泡体層(C)の発泡倍率は、約
1.5〜4倍であるのが好ましい。発泡体層(C)の発
泡倍率が前記した範囲であると、柔軟性および適度な弾
力性があり、積層体を引っ張ったり、折り曲げたりした
ときに表面に低品位の皺や凹凸状態などが生じず高級感
のある皮革様の積層体となり、しかも繊維質基材層
(A)と発泡体層(C)との接合強度が大きくなり、層
間剥離などが生じない。さらには、積層体表面に凹凸模
様などのエンボス加工を施す場合、良好な凹凸模様を形
成することができる。
【0054】膜状に溶融押し出しされた熱可塑性ポリウ
レタン組成物の発泡体を、繊維質基材層(A)の表面に
押し付けて接着する方法としては、例えば、あらかじ
め熱可塑性ポリウレタン組成物を、繊維質基材層(A)
の表面上に溶融押し出しした後、ロールと該ロールに対
向するバックロールとの間を通して押圧する方法;熱
可塑性ポリウレタン組成物をロール上に溶融押し出しし
た後、該ロールと対向するバックロールとの間に、繊維
質基材を供給して押圧する方法;繊維質基材層(A)
とロールとの間に、熱可塑性ポリウレタン組成物を直接
溶融押し出しして、対向するバックロールで押圧する方
法などを挙げることができるが、押圧時に熱可塑性ポリ
ウレタン組成物が流動性を有していれば、いずれの方法
であっても特に大きな違いはない。
【0055】本発明の3層構造体は、例えば、繊維質基
材層(A)の表面に溶融製膜法により発泡体層(C)を
形成させた後、さらに発泡体層(C)の表面に溶融製膜
法により無孔質層(B)を形成させることにより製造す
ることができるが、その他に、例えば、共押し出し成形
により発泡体層(C)/無孔質層(B)からなる2層構
造積層体を製造し、該2層構造体の発泡体層(C)が流
動性を有している内に、発泡体層(C)側に繊維質基材
を押し付けて接着させることにより製造することもでき
る。発泡体層(C)/無孔質層(B)からなる2層構造
積層体を成形する方法としては、発泡体層(C)を構成
する熱可塑性ポリウレタン組成物と、無孔質層(B)を
構成する熱可塑性エラストマー組成物とを別々の押出機
で一つのT−ダイから溶融状態で膜状に押し出しする方
法、すなわち共押し出し成形法が用いられる。発泡体層
(C)と無孔質層(B)を接合するT−ダイとしては、
例えば、T−ダイに入る前に合流させるダイ前接合;
T−ダイの内部で合流させるダイ内接合;T−ダイ
を出た直後に合流させるダイ外接合の3方式がある。こ
れら3方式はそれぞれ長所、短所を有しており、一般的
な優劣はつけ難いが、厚さ調整、樹脂の粘度差、樹脂の
温度差、層間接着性などを考慮して、の方式のT−ダ
イを用いるのが好ましい。
【0056】繊維質基材層(A)と2層構造体を構成す
るの発泡体層(C)を接着する方法としては、例えば、
2層構造体を繊維質基材上へ共押し出しした後、ロー
ルと該金属ロールに対向するバックロールとの間を通し
て押圧する方法;2層構造体をロール上へ共押し出し
した後、該ロールと対向するバックロールとの間に繊維
質基材を供給して押圧する方法;2層構造体を繊維質
基材と金属ロールの間に共押し出しして対向するバック
ロールとで押圧する方法が挙げられる。押圧時に2層構
造体を構成する発泡体層(C)が流動性を有している限
りは、上記の〜のいずれの方法であっても特に大き
な違いはない。特に挙げるとすれば、エアーの噛み込み
が少なく、繊維質基材層(A)と発泡体層(C)との接
着性が良好な積層体が得られる点からの方法が好まし
い。
【0057】無孔質層(B)の表面に凹凸加工または鏡
面加工を施す方法は特に制限されないが、例えば、膜
状に溶融押し出しされた熱可塑性エラストマー組成物
を、流動性を有している内に繊維質基材層(A)の表面
〔または発泡体層(C)の表面〕に賦型ロールで押圧す
ることにより、繊維質基材層(A)の表面〔または発泡
体層(C)の表面〕に無孔質層(B)を接着すると同時
に、無孔質層(B)の表面に凹凸模様または銀面模様を
形成する方法;膜状に溶融押し出しされた熱可塑性エ
ラストマー組成物を、流動性を有している内に繊維質基
材層(A)の表面〔または発泡体層(C)の表面〕に金
属ロールで押圧することにより、繊維質基材層(A)の
表面〔または発泡体層(C)の表面〕に無孔質層(B)
を接着した後、さらに、該熱可塑性エラストマー組成物
が流動性を有している内に、賦型ロールで無孔質層
(B)の表面に凹凸模様または銀面模様を形成する方法
などを挙げることができるが、特に限定されるものでな
い。生産速度を高める点からは、賦型ロールを用いて接
着と賦型を同時に行う上記の方法が好ましい。
【0058】また、共押し出し法によって製造する3層
構造積層体の無孔質層(B)の表面に凹凸加工または鏡
面加工を施す場合は、無孔質層(B)側に表面に凹凸
加工または鏡面加工を施した賦型ロールを配置して、発
泡体層(C)と無孔質層(B)からなる2層構造体を繊
維質基材層上に押圧積層すると同時に無孔質層(B)の
表面に凹凸模様または鏡面模様を形成する方法;発泡
体層(C)と無孔質層(B)からなる2層構造体を繊維
質基材層(A)上に接着した後、該無孔質層(B)が流
動性を有している内に凹凸模様または鏡面模様を施した
賦型ロールを用いて無孔質層(B)表面に凹凸模様また
は鏡面模様を形成する方法などにより行うことができ
る。そのうちでも、上記の方法が工程数が少なくてす
み、生産性が高い点、さらに、無孔質層(B)表面が賦
型可能な可塑化状態に保ち易い点などから好ましい。
【0059】無孔質層(B)の表面に凹凸模様または鏡
面模様を形成する場合、上記した賦型ロールおよびバッ
クロールによってもたらされる押圧力(線圧)が、5〜
15kg/cmの範囲内であると、繊維質基材層(A)
と発泡体層(C)との接着、および無孔質層(B)表面
への凹凸加工または鏡面加工を円滑に行うことができ
る。
【0060】無孔質層(B)の表面に凹凸加工または鏡
面加工を行うに当たっては、上記したような凹凸加工ま
たは鏡面加工を施した賦型ロールを無孔質層(B)の表
面に直接当接させて無孔質層(B)表面に凹凸または鏡
面を形成する方法以外にも、凹凸加工または鏡面加工を
施してある離型性の加工シートを無孔質層(B)の表面
に当接させ、該加工シートの背部からロールなどによっ
て押圧して無孔質層(B)の表面に凹凸または鏡面を形
成させる方法などを採用することができる。そして、離
型性の加工シートを用いる後者の方法を採用した場合に
は、該加工シートを取り替えるだけで、無孔質層(B)
の表面に任意の凹凸パターンおよび/または鏡面状態を
形成することができ、便利である。
【0061】そして、上記したいずれの方法による場合
にも、無孔質層(B)表面に凹凸模様または鏡面模様を
形成するための賦型ロールや離型性の加工シートを、無
孔質層(B)がもはや流動しなくなってから無孔質層
(B)から剥離させるようにすることが好ましい。もし
そのようにせずに、無孔質層(B)が未だ流動性を有し
ているうちに賦型ロールや離型性の加工シートを無孔質
層(B)表面から剥離すると、無孔質層(B)表面に形
成された凹凸模様または鏡面模様が無孔質層(B)の流
動性によって崩れたり、消失したりして、鮮明な凹凸模
様や、光沢に優れる鏡面が得られなくなる場合がある。
無孔質層(B)表面に凹凸模様または鏡面模様を形成さ
せるための賦型ロールや、離型性の加工シートの背部に
配置する押圧ロールとして、内部に冷却液を循環するよ
うにした形式のものを採用したり、該凹凸加工または鏡
面加工を施す周辺に冷風を強制的に送って賦型ロールや
離型性の加工シートの無孔質層(B)からの剥離点付近
を積極的に冷却する方法などを採用すると、凹凸加工ま
たは鏡面加工された無孔質層(B)が速やかに冷却され
て、賦型ロールや離型性の加工シートの剥離を早期に行
うことができるので好ましい。
【0062】繊維質基材層(A)上に無孔質層(B)あ
るいは発泡体層(C)を形成する際に使用するロール、
発泡体層(C)上に無孔質層(B)を形成する際に使用
するロール、および無孔質層(B)の表面に凹凸加工ま
たは鏡面加工を行う際に使用する賦型ロールとしては、
無孔質層(B)や発泡体層(C)に直接接触させて用い
られるロールの場合は、一般に、金属製のロールが好ま
しく用いられるが、離型性の点から表面がテフロンコー
ティング加工されたロールを使用してもよい。また、無
孔質層(B)や発泡体層(C)に直接接触させないで用
いるバックロールや、上記した離型性の表面加工シート
の背部に用いられるロールとしては、金属ロール、弾性
体ロールなどのいずれでもが使用可能であり、そのうち
でも弾性体ロールを用いると押圧を安定して行うことが
できるので望ましい。
【0063】本発明の積層体は、無孔質層(B)の表面
に、必要に応じて、耐表面摩耗性の向上、汚れ防止、深
みのある色調の付与などの目的で、表面仕上げ剤、着色
剤などをさらに施してもよい。
【0064】何ら限定されるものではないが、本発明の
3層構造積層体を製造する場合は、例えば、図1に示す
ような工程によって製造することができる。なお、図1
において、1は繊維質基材、2は鏡面加工を施した金属
製ロール、3は弾性体バックロール、4は押出機、5は
発泡体層、6は繊維質基材層と発泡体層からなる積層
体、7は凹凸模様が施された金属製エンボスロール、8
は弾性体バックロール、9は押出機、10は無孔質層、
11は3層構造積層体をそれぞれ示す。
【0065】無孔質層と発泡体層を共押し出し法により
製造する場合には、例えば、図2に示すような工程によ
って製造することができる。なお、図2において、12
は繊維質基材、13は凹凸模様が施された金属製エンボ
スロール、14は弾性体バックロール、15と16は押
出機、17は発泡体層、18は無孔質層、19は3層構
造積層体、20は共押し出し用ダイをそれぞれ示す。
【0066】本発明の繊維質基材層(A)/無孔質層
(B)からなる2層構造積層体、および繊維質基材層
(A)/発泡体層(C)/無孔質層(B)からなる3層
構造積層体は、その優れた柔軟性、弾力性、耐表面摩耗
性、機械的特性、クッション性、緩衝性、感触、エンボ
ス加工性などに優れていることを活かして、天然皮革製
品の代替素材として、椅子などの家具類や車両のシー
ト、靴、ブーツなどの履物、ベルト、コート、ブレザ
ー、スカートなどの衣類、バック、カメラケース、財布
などのカバン類や袋物、バレーボールなどのスポーツ分
野などに有効に用いることができる。
【0067】
【実施例】以下に、本発明を実施例などにより具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら限定されるもので
はない。以下の例において、得られた積層体の物性の評
価は次のようにして行った。
【0068】[熱可塑性ポリウレタンの対数粘度]n−
ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有す
るN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、熱可塑性ポリ
ウレタンを濃度0.5g/dlになるように溶解し、ウ
ベローデ型粘度計を用いて、その熱可塑性ポリウレタン
溶液の温度30℃における流下時間を測定し、下式の数
式により対数粘度を測定した。
【0069】熱可塑性ポリウレタンの対数粘度={ln
(t/t0)}/c [式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間
(秒)、t0は溶媒の流下時間(秒)、そしてcは熱可
塑性ポリウレタン溶液の濃度(g/dl)を示す。]
【0070】[熱可塑性ポリウレタンの硬度]熱可塑性
ポリウレタンを射出成形(シリンダー温度180〜20
0℃、金型温度30℃)して直径120mm、厚さ2m
mの円板状試験片を成形し、それを2枚重ね合わせたも
のを用いて、JIS K 6301に準拠してショアー
硬度Aを測定した。
【0071】[発泡体層の見掛比重]JIS K 67
67に準拠して、それぞれ同一条件で発泡させた発泡フ
ィルムの見掛比重を測定し、発泡体層の見掛比重とし
た。
【0072】[積層体の耐表面摩耗性]テーバー式摩耗
機(吸塵ユニット付き)(東洋精機社製装「ロータリー
アブレイションテスター」を用いて、JIS L109
6 6.17.3に準拠して、積層体の無孔質層表面の
摩耗量を測定した。
【0073】[積層体の剥離強度]積層体の無孔質層を
2液型ウレタン系接着剤を用いて支持体に接着し、25
℃、65%RHで24時間放置した後、JIS K 6
301に準拠して180度剥離強度を測定した。
【0074】実施例1 (1) 単繊維繊度2.5デニールのポリエステル繊維
を用いて製造した絡合不織布(目付360g/m2)に
ポリウレタン弾性体((株)クラレ製「クラミロンU2
195」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度
95)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸さ
せ、乾燥して、厚さ1.3mm、目付455g/m2
繊維質基材を準備した(繊維質基材におけるポリエステ
ル絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=8:
2)。 (2) 3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位と
アジピン酸単位とからなる、数平均分子量1500のポ
リエステルジオール(PMPA)、1,4−ブタンジオ
ール(BD)および50℃で加熱溶融した4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PMP
A:BD:MDIのモル比が1:2.1:3.1となる
ような割合で用い、且つそれらの合計供給量が300g
/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転す
る2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー
温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融
重合を行った。生成したポリウレタンの溶融物をストラ
ンド状で水中に連続的に押し出した後、ペレタイザーで
ペレット状に細断し、このペレットを80℃で20時間
除湿乾燥することにより、ショアー硬度Aが85および
対数粘度1.07dl/gの熱可塑性ポリウレタン(以
下「PU−1」と称することがある)を製造した。 (3) 上記(2)で得られた熱可塑性ポリウレタン
(PU−1)100重量部に対して、エチレンビスオレ
イン酸アミド(日本化成(株)製「スリパックスO」)
0.3重量部および黒色顔料ペレット(顔料濃度20重
量%のポリエチレンペレット)3重量部を混合し、無孔
質層用の熱可塑性ポリウレタン組成物を製造した。 (4) 上記(3)で得た無孔質層用の熱可塑性ポリウ
レタン組成物を、65mmφ単軸押出機およびT−ダイ
(リップ幅0.5mm、ダイ幅300mm)を用いて、
溶融帯温度180〜210℃、ダイス部温度200℃の
条件で膜状に溶融押し出しした。上記(1)で準備した
繊維質基材を、表面に毛穴シボの凹凸模様を有する金属
製エンボスロールと弾性体バックロールとの間に通し、
該繊維質基材とエンボスロールとの間に流動性を有する
該溶融押し出し物を供給し、線圧8kg/cmでコール
ドプレスすることにより、繊維質基材層の表面に厚さ1
00μmの無孔質層を有し、且つ無孔質層表面に毛穴シ
ボを有する2層構造積層体をラインスピード20m/分
で安定して製造することができた。 (5) 得られた積層体は、引っ張ったり、折り曲げた
りした際に、表面に安っぽい凹凸模様が生じず、天然皮
革の毛穴シボ品なみに深いシボ感を有し、感性の良好な
ものであった。また、剥離強力は15kg/25mmと
高く、表面の摩耗減少量は6mgであった。
【0075】実施例2 (1) 3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位と
アジピン酸単位とからなる、数平均分子量1500のポ
リエステルジオール(PMPA)、1,4−ブタンジオ
ール(BD)および50℃で加熱溶融した4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PMP
A:BD:MDIのモル比が1:1.4:2.4となる
ような割合で用い、且つそれらの合計供給量が300g
/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転す
る2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー
温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融
重合を行った。生成したポリウレタンの溶融物をストラ
ンド状で水中に連続的に押し出した後、ペレタイザーで
ペレット状に細断し、このペレットを80℃で20時間
除湿乾燥することにより、ショアー硬度Aが75および
対数粘度1.07dl/gの熱可塑性ポリウレタン(以
下「PU−2」と称することがある)を製造した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン
(PU−2)100重量部に対して、(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系共重合体〔メタクリル酸メチル/
アクリル酸ブチルの重量比=75/25、三菱レイヨン
(株)製「メタブレンP350A」、数平均分子量=
3,100,000〕6重量部、黒色顔料ペレット(顔
料濃度20重量%のポリエチレンペレット)3重量部お
よびアゾジカルボンアミド系発泡剤(永和化成(株)製
「ビニホームAC#3」)1重量部を混合して、発泡体
層用の熱可塑性ポリウレタン組成物を製造した。 (3) 実施例1の(2)で得られた熱可塑性ポリウレ
タン「PU−2」100重量部に対して、N,N’−エ
チレンビスオレイン酸アミド(日本化成(株)製「スリ
パックスO」)0.4重量部および上記(2)で使用し
たと同じ黒顔料ペレット5重量部を混合し、無孔質層用
の熱可塑性ポリウレタン組成物を製造した。 (4) 図1に示すようにして、上記(2)で得られた
発泡体層用の熱可塑性ポリウレタン組成物を、65mm
φの単軸押出機4に仕込み、溶融帯温度180〜210
℃、ダイス部温度180℃、リップ幅0.2mm、ダイ
幅300mmの条件で膜状に溶融押し出しした。実施例
1の(1)で準備した繊維質基材1を、鏡面を有する金
属製ロール2と弾性体バックロール3との間に通し、繊
維質基材と金属製ロール2との間に、流動性を有する該
溶融押し出し物を供給して、線圧3kg/cmでコール
ドプレスすることにより、繊維質基材層の表面に発泡し
た厚さ250μmの発泡体層5が形成された積層体6を
得た。発泡体層の発泡倍率(多孔質層の真の比重÷多孔
質層の見掛けの比重)は2.0倍であった。 (5) 上記(3)で得られた無孔質層用の熱可塑性ポ
リウレタン組成物を、65mmφ単軸押出機9に仕込
み、溶融帯温度180〜210℃、ダイス部温度200
℃で膜状に溶融押し出しした。上記(4)で得られた繊
維質基材層と発泡体層とからなる積層体6を、表面に毛
穴シボの凹凸模様を有する金属製エンボスロール7と弾
性体バックロール8との間に通し、該積層体と金属製エ
ンボスロール7との間に、流動性を有する該溶融押し出
し物を供給して、線圧8kg/cmでコールドプレスす
ることにより、繊維質基体層の表面に厚さ240μmの
発泡体層を有し、さらにその上に、厚さ50μmの無孔
質層10を有する3層からなる積層体11を得た。この
積層体は、ラインスピード18m/分で安定して製造す
ることができた。得られた積層体の表面強力は強く、外
観も天然皮革の毛穴シボ品なみに深いシボ感を有してお
り、引っ張ったり、折れ曲げたりした際に、表面に安っ
ぽい凹凸模様が生じず、感性の極めて良好な、高級感を
有するものであった。特に、多孔質層を有しているの
で、エンボス賦型性と柔軟性に優れていた。得られた積
層体の剥離強度は15kg/25mmと高く、表面の摩
耗減少量は7mgであった。
【0076】実施例3 (1) 単繊維繊度0.007デニールの極細ナイロン
繊維を約300本収束した極細繊維束を用いて製造した
極細ナイロン繊維絡合不織布(目付300g/m2)に
ポリウレタン弾性体((株)クラレ製「クラミロンU9
198」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度
98)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸さ
せ、乾燥して、厚さ1.3mm、目付442g/m2
繊維質基材を準備した(繊維質基材における極細ナイロ
ン繊維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=6:
4)。 (2) 数平均分子量1000のポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール(PTG)、1,4−ブタンジオール
(BD)および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PTG:B
D:MDIのモル比が1:0.6:1.6となるような
割合で用い、実施例1の(2)と同様にしてショアー硬
度Aが75および対数粘度1.05dl/gの熱可塑性
ポリウレタン(以下「PU−3」と称することがある)
を製造した。 (3) 上記(2)で得られた熱可塑性ポリウレタン
(PU−3)100重量部に対して、(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系共重合体〔メタクリル酸メチル/
アクリル酸ブチルの重量比=50/50、三菱レイヨン
(株)製「メタブレンL1000」、数平均分子量=3
00,000〕8重量部、黒色顔料ペレット(顔料濃度
20重量%のポリエチレンペレット)3重量部およびア
ゾジカルボンアミド系発泡剤(永和化成(株)製「ビニ
ホームAC#3」)1重量部を混合して、発泡体層用の
熱可塑性ポリウレタン組成物を製造した。 (4) 上記(2)とは別に、数平均分子量1000の
ポリテトラメチレングリコール(PTG)、1,4−ブ
タンジオール(BD)および50℃で加熱溶融した4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
を、PTG:BD:MDIのモル比が1:1.2:2.
2となるような割合で用い、上記(2)と同様にしてシ
ョアー硬度Aが85および対数粘度1.07dl/gの
熱可塑性ポリウレタン(以下「PU−4」と称すること
がある)を製造した。 (5) 上記(4)で得られた熱可塑性ポリウレタン
(PU−4)100重量部に対して、N,N’−ビスオ
レイルアジピン酸アミド(日本化成(株)製「スリパッ
クスZOA」)0.3部、および上記(3)で使用した
のと同じ黒顔料ペレット5重量部を混合し、無孔質層用
の熱可塑性ポリウレタン組成物を製造した。 (6) 図2に示すようにして、上記(1)で準備した
繊維質基材12を、毛穴シボ状の凹凸加工を施した金属
製エンボスロール13と弾性体バックロール14との間
に通して供給すると共に、上記(5)で得られた無孔質
層用の熱可塑性ポリウレタン組成物を溶融帯温度180
〜220℃の単軸押出機16に仕込み、更に上記(3)
で得られた発泡体層用の熱可塑性ポリウレタン組成物を
溶融帯温度170〜210℃の65mmφの単軸押出機
15に仕込み、T−ダイ温度180℃で、共押し出し用
T−ダイ(ダイ内接合タイプ;リップ開度0.2mm、
ダイ幅350mm)により共押し出し成形し、発泡体層
と無孔質層の2層構造体を膜状に押出したものを、前記
金属製ロール13と繊維質基材12との間に流動状態で
供給し、線圧8kg/cmでコールドプレスして、繊維
質基材層の表面に厚さ230μmの発泡体層17、その
上に厚さ55μmの無孔質層18を有する繊維質基材層
/発泡体層/無孔質層よるなる3層構造積層体19を製
造した。この3層構造積層体19は15m/分のライン
スピードで安定して製造することができた。 (7) 上記(6)で得られた3層構造積層体19は、
その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革
の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有し
ており、引っ張ったり、折れ曲げたりしたときに表面に
低品位の凹凸やシワなど生じず、外観、風合、感触など
において極めて優れており、高級感のある皮革様積層体
であった。また、3層構造積層体19の剥離強度は15
kg/25mmと高い値であり、一方表面の摩耗減少量
は6mgと小さく、耐表面摩耗性に優れるものであっ
た。
【0077】比較例1 実施例2の(3)において、N,N’−エチレンビスオ
レイン酸アミドを用いなっかた以外は、実施例2と全同
様にして、繊維質基材層/発泡層/無孔質層よりなる3
層構造積層体をライン速度18m/分で製造した。得ら
れた積層体の発泡体層の厚みは230μm、発泡倍率は
2.0倍であり、無孔質層の厚みは55μmであった。
製造速度が速すぎて、積層体とエンボスロールとの剥離
性が不十分となり、無孔質層の表面に凹凸模様が十分に
賦型されず、凸部の角が流れるシボ流れが起きた。さら
に、積層体の一体感も乏しく、硬い風合いとなった。得
られた積層体の剥離強力は10kg/25mm、表面の
摩耗減少量は5mgであった。
【0078】比較例2 実施例3の(5)において、N,N’−ビスオレイルア
ジピン酸アミドを用いなっかた以外は、実施例3と全同
様にして、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よりなる
3層構造積層体をライン速度15m/分で製造した。得
られた積層体の発泡体層の厚みは220μm、発泡倍率
は1.9倍であり、無孔質層の厚みは60μmであっ
た。製造速度が速すぎて、積層体とエンボスロールとの
剥離性が不十分となり、無孔質層の表面に凹凸模様が十
分に賦型されず、凸部の角が流れるシボ流れが起きた。
さらに、積層体の一体感も乏しく、硬い風合いとなっ
た。得られた積層体の剥離強力は13kg/25mm、
表面の摩耗減少量は6mgであった。
【0079】
【発明の効果】本発明の積層体は、柔軟性、耐表面摩耗
性、層間の剥離強力などに優れており、さらに引っ張っ
たり、折り曲げたりした際に、表面に安っぽい凹凸模様
が現れない、高級感ある銀面層付きの皮革様積層体であ
る。また、本発明の製造方法によれば、従来技術のよう
に環境上や安全性などの点で大きな問題になっている有
機溶剤を使用する必要がなく、良好な作業環境下で、上
記の特徴を有する積層体を高速で製造することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維質基材層/発泡層/無孔質層からなる本発
明の3層構造積層体を製造することができる代表的な工
程図である。
【図2】発泡層/無孔質層からなる2層構造体を共押し
出し法により形成した後、繊維質基材層/発泡層/無孔
質層からなる本発明の3層構造積層体を製造することが
できる代表的な工程図である。
【符号の説明】
1 繊維質基材 2 鏡面加工を施した金属ロール 3 弾性体バックロール 4 押出機 5 発泡体層 6 繊維質基材層と発泡体層からなる積層体 7 金属製エンボスロール 8 弾性体バックロール 9 押出機 10 無孔質層 11 3層構造積層体 12 繊維質基材 13 金属製エンボスロール 14 弾性体バックロール 15 押出機 16 押出機 17 発泡体層 18 無孔質層 19 3層構造積層体 20 共押し出し用ダイ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 5/18 B32B 5/18 5/28 101 5/28 101 27/34 27/34 27/40 27/40 31/06 31/06 D06N 3/14 D06N 3/14 // B29K 75:00 77:00 105:04 B29L 9:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質基材層(A)の表面に、熱可塑性
    エラストマー組成物からなり溶融製膜法により製造され
    た無孔質層(B)を有し、且つ無孔質層(B)の表面に
    凹凸模様または鏡面模様が存在している積層体であっ
    て、前記熱可塑性エラストマー組成物が、熱可塑性エラ
    ストマー100重量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.
    1〜5重量部含有する熱可塑性エラストマー組成物であ
    ることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 繊維質基材層(A)の表面に、熱可塑性
    ポリウレタンからなり溶融製膜法により製造された発泡
    体層(C)を有し、その上に熱可塑性エラストマー組成
    物からなり溶融製膜法により製造された無孔質層(B)
    を有し、且つ無孔質層(B)の表面に凹凸模様または鏡
    面模様が存在している積層体であって、前記熱可塑性エ
    ラストマー組成物が、熱可塑性エラストマー100重量
    部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有す
    る熱可塑性エラストマー組成物であることを特徴とする
    積層体。
  3. 【請求項3】 発泡体層(C)が、熱可塑性ポリウレタ
    ン100重量部に対して、数平均分子量が200,00
    0以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体
    を1〜30重量部含有する熱可塑性ポリウレタン組成物
    からなる発泡体層(C)である請求項2記載の積層体。
  4. 【請求項4】 熱可塑性エラストマー100重量部に対
    して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有する熱可
    塑性エラストマー組成物を膜状に溶融押し出しし、流動
    性を有している内に繊維質基材層(A)の表面に押し付
    けて接着させることにより、繊維質基材層(A)の表面
    に無孔質層(B)を形成するとともに、無孔質層(B)
    が流動性を有している内に、無孔質層(B)の表面を型
    押しして凹凸模様または鏡面模様を形成することを特徴
    とする請求項1記載の積層体の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱分解型発泡剤を含有する熱可塑性ポリ
    ウレタン組成物を膜状に溶融押し出しし、流動性を有す
    る内に繊維質基材層(A)の表面に押し付けて接着させ
    ることにより、繊維質基材層(A)の表面に発泡体層
    (C)を形成し、次に、熱可塑性エラストマー100重
    量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有
    する熱可塑性エラストマー組成物を膜状に溶融押し出し
    し、流動性を有している内に発泡体層(C)の表面に押
    し付けて接着させることにより、発泡体層(C)の表面
    に無孔質層(B)を形成するとともに、無孔質層(B)
    が流動性を有している内に、無孔質層(B)の表面を型
    押しして凹凸模様または鏡面模様を形成することを特徴
    とする請求項2記載の積層体の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性エラストマー100重量部に対
    して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有する熱可
    塑性エラストマー組成物(i)と、熱分解型発泡剤を含
    有する熱可塑性ポリウレタン組成物(ii)とを溶融下に
    共押し出しすることにより、該熱可塑性エラストマー組
    成物(i)からなる無孔質層(B)および該熱可塑性ポ
    リウレタン組成物(ii)からなる発泡体層(C)から構
    成される2層構造体をつくり、該2層構造体の発泡体層
    (C)が流動性を有している内に、発泡体層(C)側に
    繊維質基材を押し付けて接着させるとともに、無孔質層
    (B)が流動性を有している内に、無孔質層(B)の表
    面を型押しして凹凸模様または鏡面模様を形成すること
    を特徴とする請求項2記載の積層体の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱分解型発泡剤を含有し、且つ熱可塑性
    ポリウレタン100部に対して、数平均分子量が20
    0,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
    系重合体を1〜30重量部含有する熱可塑性ポリウレタ
    ン組成物を膜状に溶融押し出しし、流動性を有している
    内に繊維質基材層(A)の表面に押し付けて接着させる
    ことにより、繊維質基材層(A)の表面に発泡体層
    (C)を形成し、次に、熱可塑性エラストマー100重
    量部に対して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有
    する熱可塑性エラストマー組成物を膜状に溶融押し出し
    し、流動性を有している内に発泡体層(C)の表面に押
    し付けて接着させることにより、発泡体層(C)の表面
    に無孔質層(B)を形成するとともに、無孔質層(B)
    が流動性を有している内に、無孔質層(B)の表面を型
    押しして凹凸模様または鏡面模様を形成することを特徴
    とする請求項3記載の積層体の製造方法。
  8. 【請求項8】 熱可塑性エラストマー100重量部に対
    して脂肪酸ビスアミドを0.1〜5重量部含有する熱可
    塑性エラストマー組成物(i)と、熱分解型発泡剤を含
    有し、且つ熱可塑性ポリウレタン100部に対して、数
    平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸
    アルキルエステル系重合体を1〜30重量部含有する熱
    可塑性ポリウレタン組成物(iii)とを溶融下に共押し
    出しすることにより、該熱可塑性エラストマー組成物
    (i)からなる無孔質層(B)および該熱可塑性ポリウ
    レタン組成物(iii)からなる発泡体層(C)から構成
    される2層構造体をつくり、該2層構造体の発泡体層
    (C)が流動性を有している内に、発泡体層(C)側に
    繊維質基材を押し付けて接着させるとともに、無孔質層
    (B)が流動性を有している内に、無孔質層(B)の表
    面を型押しして凹凸模様または鏡面模様を形成すること
    を特徴とする請求項3記載の積層体の製造方法。
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