JP3990664B2 - ポリウレタン発泡体およびポリウレタン発泡体層を有する積層体 - Google Patents
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(1) ポリウレタン原料に水を添加し、原料中のイソシアネート成分と水との反応により炭酸ガスを発生させて、ポリウレタンの形成および発泡を行ってポリウレタン発泡体を製造する方法;
(2) ポリウレタン用原料にフロンガスのようなフッ素系膨張剤を添加して、ポリウレタンの形成および発泡を行ってポリウレタン発泡体を製造する方法;
(3) 熱可塑性ポリウレタンに熱分解型発泡剤を添加し、ポリウレタンを加熱溶融すると共に発泡剤を分解させてガスを発生させて発泡体を製造する方法;
(4) ポリウレタンの有機溶剤溶液を支持体上に塗布し、ポリウレタンの非溶剤中で湿式凝固して、ポリウレタン多孔質体を形成する方法;
(5) ポリウレタンの有機溶剤溶液を支持体上に塗布し、溶剤を乾燥除去(乾式凝固)してポリウレタン多孔質体を形成する方法;
などが一般に採用されている。
一方、上記(3)の従来法において、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度の低下を防止して発泡剤の分解ガスを保持し易くすることを目的として溶融成形温度を低く設定すると、気泡の巨大化や破裂は抑制されるものの、発泡体の密度が高くなって目的とする発泡倍率のものが得られなくなる。すなわち、上記(3)の従来法による場合は、発泡に適した溶融粘度を得るための溶融温度範囲が極めて狭いため、溶融発泡時の温度制御が極めて難しく、しかも均一で微細な気泡を発泡体内部に形成させることが困難であり、厚さが0.5mm以下の薄い発泡体フイルムの製造が特に難しいという問題があった。
(イ) 離型紙上にポリウレタンの有機溶剤溶液を塗布し、乾燥して、ポリウレタンフイルムを形成した後、そのポリウレタンフイルムを編織布または不織布からなる繊維質基材の表面に接着剤で貼り合わせてから離型紙を剥離する方法(いわゆる乾式法);
(ロ) 編織布または不織布からなる繊維質基材の表面にポリウレタンの有機溶剤溶液を塗布した後、湿式凝固法または乾式凝固法により多孔質のポリウレタン層を形成し、その上に着色剤を含む重合体溶液を塗布・乾燥して着色層を形成した後、エンボスローラで凹凸模様を形成する方法;
などが広く知られている。
(ハ) 基材上に設けた合成樹脂層の表面に、合成樹脂を膜状に溶融押出してスキン層を積層すると共に、そのスキン層表面をエンボス加工して天然皮革様のスキン層とする方法(特許文献1を参照);
(ニ) 基材上に形成した金属蒸着層上にTダイから押出した熱可塑性ポリウレタン溶融体を積層して皮革様シートを製造する方法(特許文献2を参照);
(ホ) 合成繊維布帛の表面にシランカップリング剤を予め付与しておき、その上に熱可塑性樹脂を溶融押出して圧着し、布帛と熱可塑性樹脂層との接着強度を向上させた積層体を製造する方法(特許文献3を参照);
などが提案されている。
更に、上記(ハ)〜(ホ)の従来法による場合は、得られた積層体製品を引っ張ったり、折り曲げたりした際に、表面に低品位のシワなどの凹凸が出現したり、基材と表面層との剥離が生じ易いなどの欠点がある。
そして、本発明の目的は、上記した優れた特性を有する熱可塑性ポリウレタン発泡体の層を有し、しかも基材や表面層とポリウレタン発泡体層との間の層間剥離がなく、且つ良好な耐摩耗性を有していて耐久性に優れ、その上高級感に富む、熱可塑性ポリウレタン発泡体層と基材層を有する積層体を提供することである。
さらに、本発明の目的は、繊維質基材、熱可塑性ポリウレタン発泡体層および熱可塑性エラストマー無孔質層を有する、天然皮革に極めて近似した良好な特性を有する多層積層体を提供することである。
また、本発明者らは、上記した積層体は、熱可塑性ポリウレタンに数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を特定の割合で配合し且つ熱分解型発泡剤を含有する上記した発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融押出し法を行うことによって、良好な工程性で、生産性よく製造できることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
そして、繊維質基材層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/熱可塑性エラストマー無孔質層よりなる本発明の3層構造積層体では、それぞれの層の特性が充分に活かされた、柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械的強度などの諸特性に優れ、層間剥離がなく、引っ張ったり、折り曲げたりしたときに低品位の皺や凹凸の生じない、天然皮革に近似した、高級感のある外観、風合、触感など有している。
さらに、本発明の熱可塑性ポリウレタン発泡体および積層体は、環境上や安全性などの点で大きな問題になっている有機溶剤やフロンガス発泡剤などを使用せずに、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性熱可塑性ポリウレタン組成物を用いて、安全に且つ高い生産性で製造することができる。
本発明の発泡体および本発明の積層体における発泡体層では、熱可塑性ポリウレタンとして、加熱溶融し得る熱可塑性ポリウレタンであればいずれも使用可能である。そのうちでも、本発明では、熱可塑性ポリウレタンとして、数平均分子量800〜8000の高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンが好ましく用いられる。
そのような鎖伸長剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジン、イソフタル酸ジヒドラジンなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールがそれから得られる発泡体の力学的物性が優れる点から好ましく用いられ、特に1,4−ブタンジオールがより好ましく用いられる。
0.99≦e/(d+f)≦1.08 (1)
(式中、dは高分子ジオールのモル数、eは有機ジイソシアネートのモル数、fは鎖伸長剤のモル数を示す。)
を満足する割合で反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンを用いるのがより好ましい。
ここで、本願明細書でいう熱可塑性ポリウレタンの対数粘度は、n−ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有するN,N−ジメチルホルミアミド溶液に、熱可塑性ポリウレタンを濃度0.05g/dlになるように溶解し、30℃で測定したときの値である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の数平均分子量の上限値は特に制限されないが、発泡体における気泡の均一性、熱可塑性ポリウレタンとの相溶性などの点から5,000,000以下であるのが好ましい。
そのうちでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は、メタクリル酸メチル系重合体、アクリル酸ブチル系重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルから主として共重合体であるのが好ましい。
本発明の発泡体および積層体の製造に用いられる前記した発泡性ポリウレタン組成物において、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の含有割合が1重量部未満であると、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度(溶融弾性)が低くなって、発泡剤の分解により発生したガスを良好に保持できなくなり、気泡の巨大化や破れを生じ、発泡体内部の気泡構造が不良になる。しかも、得られる発泡体の表面に粗大な凹凸や荒れが生じて平滑な表面状態にならず、さらに発泡体の機械的特性の低下、発泡体層とその上に積層する別の層(例えば無孔質層)との接着不良などを生ずる。そして、そのような物性や品質の低下は、発泡フイルムのような薄物の発泡体や発泡体層の厚さの薄い積層体において特に顕著に現れる。また、場合によっては、溶融粘度の低下によって気泡を充分に保持できず、発生した気泡が外部に逃げてしまって発泡倍率の低下を招くこともある。
本発明で用い得る熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロジニトリル、アゾジアミノベンゼン、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、t−ブチルアミノニトリル、p−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾンなどの有機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機系発泡剤などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
また、上記した発泡剤のうちで、例えば、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウムなどはポリウレタンの分子量低下を引き起こす作用があり、一方、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどはポリウレタンの架橋を促進する作用を有する。そのため、ポリウレタンの分子量低下を引き起こす発泡剤と、架橋を促進する発泡剤を併用した場合には、ポリウレタンに適度な架橋をもたらしながら、溶融粘度の低下の抑制が可能になり、機械的特性、物理的特性、化学的特性、発泡状態の良好な発泡体を形成させることができる。
例えば、アゾジカルボンアミドなどのアゾ系発泡剤、重炭酸ナトリウム、ヒドラジド系発泡剤に対してはカルボン酸金属塩、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、シリカやアルミナなどの金属酸化物、タルク等の鉱物などの発泡助剤を用いることができ、また例えばN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに対しては尿素系化合物や有機酸などの発泡助剤を用いることができる。
限定されるものではないが、発泡性ポリウレタン組成物の調製に当たっては、例えば、
(1)熱可塑性ポリウレタンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の混合物を予め調製しておき、それに発泡剤および場合により発泡助剤やその他の成分を添加・混合して発泡性ポリウレタン組成物を調製する方法;
(2)熱可塑性ポリウレタン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体、発泡剤および場合により発泡助剤、他の成分を同時に混合して発泡性ポリウレタン組成物を調製する方法;
(3)発泡剤および場合により発泡助剤を熱可塑性ポリウレタンおよび/または(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の一部と予め混合して発泡剤および場合により発泡助剤を含有するマスターバッチをつくり、そのマスターバッチに残りの熱可塑性ポリウレタンおよび/または(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体並びに場合により他の成分を混合して発泡性ポリウレタン組成物を調製する方法;
などを採用することができる。
上記により得られる発泡性ポリウレタン組成物は、常法にしたがってチップ、ペレット、シート、塊などの任意の形態にして発泡体の製造に用いることができる。
そのうちでも、発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融発泡成形を行うと、大きさが揃っていて微細な気泡が全体に斑なく分布していて、しかも機械的特性、物理的特性、外観などの優れる発泡体を円滑に得ることができる。その際に、特に溶融押出発泡成形法を採用すると、前記した優れた特性を備える発泡フイルム、発泡シート、発泡板、積層体、その他の発泡押出物を、有機溶剤やフロンガスなどのような環境汚染物資を使用することなく、良好な作業性で、生産性よく製造することができるので好ましい。
さらに、本発明の発泡体や積層体などの製造に当たっては、発泡性ポリウレタン組成物を予め調製しておかずに、熱可塑性ポリウレタン、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体、熱分解型発泡剤および必要に応じて他の成分を、例えば溶融押出発泡装置やその他の溶融発泡成形装置などに直接供給して発泡体を製造してもよい。
限定されるものではないが、発泡体と組み合わせて用い得る基材としては、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、無機繊維などからなる織布、編布、不織布などの繊維質基材;紙;プラスチックやゴムからなるフイルム、シート、板、その他の形状物;金属からなる箔、シート、板、その他の形状物;木材;セラミックなどを挙げることができる。
発泡体または発泡性ポリウレタン組成物と基材との複合一体化に当たっては、それらの間の親和性、接着性などに応じて、例えば、発泡体または発泡性ポリウレタン組成物が溶融状態にある間に基材と接合する方法、接着剤による接着法、溶剤を用いる溶着法、発泡体の製造後に発泡体の接合面を溶融して基材と接合する方法などを採用することができる。
(A)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融発泡成形を行うと同時に基材と積層する方法;
(B)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融発泡成形を行った後に溶融状態で基材と積層する方法;および、
(C)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を用いて未発泡状態で溶融成形を行い溶融状態で基材との積層体を製造した後に発泡させる方法;
のうちのいずれかの方法を採用して積層体を製造すると、接着剤を用いなくても、また発泡体の製造後に接着のための再加熱などを行わなくても、発泡体層と基材とからなる本発明の積層体を円滑に製造できるので好ましい。
本発明の3層構造積層体では、その繊維質基材は、適度な厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合を有するシート状の繊維質基材であればいずれも使用でき、従来から皮革様の積層体の製造に用いられている各種の繊維質基材を使用することができる。限定されるものではないが、繊維質基材としては、例えば極細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、通常の合成繊維、半合成繊維、天然繊維、無機繊維などを用いて形成された絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質シート;前記した繊維質シートにポリウレタンなどのような高分子材料を含浸またはその他の方法で含有させた繊維質シート;前記したいずれかの繊維質シートの表面にさらに高分子材料の多孔質被覆層を形成した繊維質シートなどを用いることができる。
そのうちでも、ポリウレタン系重合体を含浸やその他の方法で含有させた繊維質シートを繊維質基材として用いると、繊維質基材上に積層する発泡体層(すなわち上記した発泡性ポリウレタン組成物から形成された発泡体層)との親和性が高く、繊維質基材層と発泡体層との間の接着が強固になるので、特に好ましい。そして、高分子材料を含有させた繊維質シートからなる繊維質基材を用いる場合は、該繊維質基材における高分子材料の含有量は、高分子材料を含有させる前の繊維質シートの重量に基づいて、約10〜70重量%程度であることが好ましい。
また、発泡体層の発泡倍率[(発泡させる前の発泡性ポリウレタン組成物の比重)÷(発泡体の見掛け比重)]は約1.5〜4倍であるのが好ましい。発泡体層の発泡倍率が前記した範囲であると、柔軟性および適度な弾力性があり、積層体を引っ張ったり、折り曲げたりしたときに表面に低品位の皺や凹凸状態などが生じず高級感のある皮革様の積層体となり、しかも繊維質基材層と発泡体層との接合強度が大きくなり、層間剥離などが生じない。
無孔質層を熱可塑性ポリウレタン、または熱可塑性ポリウレタンと他の熱可塑性エラストマーとの混合物から形成するに当たっては、無孔質層を形成する熱可塑性ポリウレタンとして、発泡性ポリウレタン組成物の調製に用いるのと同様の、上記した種々の熱可塑性ポリウレタンを使用することができる。その場合に、3層構造積層体の発泡体層を構成する熱可塑性ポリウレタンと無孔質層を構成する熱可塑性ポリウレタンとは同じものであっても、または異なるものであってもよい。一般的には、無孔質層を構成する熱可塑性ポリウレタンとして、発泡体層の形成に用いた熱可塑性ポリウレタンに比べて多少硬度の高いものを使用すると、3層構造積層体の耐摩耗性を一層向上させることができる。
一方、無孔質層の表面に鏡面加工を施した場合には、エナメル調の光沢のある表面が3層構造積層体に付与される。
また、本発明の3層構造積層体では、無孔質層の表面に凹凸加工および鏡面加工の両方を施してもよく、その場合には光沢のあるエナメル調の表面中に更に凹凸模様が施された状態になる。
そのうちでも、3層構造積層体の製造を下記の方法、すなわち、
(1)(a)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融押出発泡を行うと同時にポリウレタン発泡体を繊維質基材と積層する方法;
(b)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融押出発泡した後に溶融状態で繊維質基材と積層する方法;並びに、
(c)熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を用いて未発泡状態で溶融押出を行い溶融状態で繊維質基材と積層した後に発泡させる方法;
のいずれかの方法によってポリウレタン発泡体層と繊維質基材とからなる積層体を製造する工程;並びに、
(2) 上記(1)の積層体の製造前、製造と同時、または製造後に、発泡性ポリウレタン組成物層またはポリウレタン発泡体層上に、熱可塑性エラストマーの溶融押出物を膜状に積層させる工程;
を有する方法によって製造すると、層間の剥離がなく、しかもそれぞれの層の特性を充分に活かした高品質の3層構造積層体を、有機溶剤やフロンガス膨張剤などのような有害成分を使用することなく、生産性よく、円滑に製造することができるので、好ましい。
(i) 繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体の発泡体層上に、または繊維質基材層と未発泡状態の発泡性ポリウレタン組成物層とからなる積層体の発泡性ポリウレタン組成物層上に、熱可塑性エラストマーを直接溶融押し出して積層し、その積層体をロールおよびそれと対向するバックロールとの間を通して押圧する方法;
(ii) 熱可塑性エラストマーをロール上に溶融押し出しした後、そのロールとそれと対向するバックロールとの間に、繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体、または繊維質基材層と未発泡状態の発泡性ポリウレタン組成物層とからなる積層体を供給し、前記積層体の発泡体層上または未発泡状態の発泡性ポリウレタン組成物上に熱可塑性エラストマー層を転写積層して押圧する方法;
(iii) 繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体、または繊維質基材層と未発泡状態の発泡性ポリウレタン組成物層とからなる積層体における発泡体層側にロールを配置しておき、その発泡体層とロールとの間隙に熱可塑性エラストマーを直接溶融押出し、さらに繊維質基材と発泡体層からなる積層体、または繊維質基材と未発泡状態の発泡性ポリウレタン組成物層からなる積層体の背面側(繊維質基材側)にバックロールを配置しておいて、押圧しながら積層させる方法;
などを採用することができる。
その場合に、無孔質層を積層した積層体における中間層が未だ発泡しておらず発泡性ポリウレタン組成物層の状態になっている場合は、その中間の発泡性ポリウレタン組成物層中に含有されている熱分解型発泡剤の分解温度以上で且つ該ポリウレタン組成物の溶融温度以上に加熱して発泡させるとよい。
そして、熱可塑性エラストマーが流動性を有している限りは、上記した(i)〜(iii)のうちのいずれの方法を採用しても、目的とする3層構造積層体を円滑に得ることができる。
(1)上記した工程(2)の(i)〜(iii)のいずれか方法を行うに当たって、発泡体層側に配置する上記のロール表面に凹凸加工および/または鏡面加工を施しておいて、熱可塑性エラストマーからなる溶融状態にある無孔質層を発泡体層上に押圧積層するのと同時に熱可塑性エラストマーからなる無孔質層の表面に凹凸加工および/または鏡面加工を行う方法;
(2) 熱可塑性エラストマーからなる無孔質層を発泡体層上に形成した後に、該無孔質層が未だ賦形が可能な可塑化状態にある間に、凹凸加工および/または鏡面加工用の上記ロールを用いて無孔質層表面に凹凸加工および/または鏡面加工を施す方法;
などにより行うことができる。
そのうちでも、上記(1)の方法が、工程数が少なくてすみ、生産性が高い点から好ましい。
そして、上記(1)の方法を採用する場合には、上記したロールおよびバックロールによってもたらされる押圧力を、490〜1470kPa(5〜15kg/cm2)のゲージ圧としておくと、発泡体層と無孔質層の接着および無孔質層表面への凹凸加工および/または鏡面加工を円滑に行うことができる。
そして、離型性の加工シートを用いる後者の方法を採用した場合には、該加工シートを取り替えるだけで、無孔質層の表面に任意の凹凸パターンおよび/または鏡面状態を形成することができ、便利である。
無孔質層表面に凹凸および/または鏡面を形成させるための表面加工ロールや離型性の加工シートの背部に配置する押圧ロールとして内部に冷却液を循環するようにした形式のものを採用したり、該凹凸加工および/または鏡面加工を施す近辺に冷風を強制的に送って表面加工ロールや離型性の加工シートの無孔質層からの剥離点付近を積極的に冷却する方法などを採用すると、凹凸加工および/または鏡面加工された無孔質層が速やかに冷却されて、表面加工ロールや離型性の加工シートの剥離を早期に行うことができるので好ましい。
なお、図1において、1は繊維質基材、2は鏡面加工を施した金属製ロール、3は弾性体バックローラ、4は押出機、5は発泡体層、6は繊維質基材層と発泡体層からなる積層体、7は金属製エンボスロール、8は弾性体バックローラ、9は押出機、10は無孔質層および11は3層構造積層体をそれぞれ示す。
n−ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有するN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、熱可塑性ポリウレタンを濃度0.5g/dlになるように溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて、その熱可塑性ポリウレタン溶液の温度30℃における流下時間を測定し、下記の数式により対数粘度を求めた。
[式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間(秒)、t0は溶媒の流下時間(秒)、そしてcは熱可塑性ポリウレタン溶液の濃度(g/dl)を示す。]
熱可塑性ポリウレタンを射出成形(シリンダー温度180〜200℃、金型温度30℃)して直径120mm、厚さ2mmの円板状試験片を製造し、それを2枚重ね合わせたものを用いて、JIS K 6301に準拠してショアー硬度Aを測定した。
JIS K 6767に準拠して、以下の実施例または比較例で得られた発泡フイルムの見掛比重を測定した。
JIS K 6767に準拠して、以下の実施例または比較例で得られた発泡フイルムの長さ方向(押出方向:MD)の引張強度を測定した。
以下の実施例または比較例で得られた発泡フイルムの表面状態を目視により観察して、発泡フイルムの表面に気泡の破れや気泡径の斑などに伴う凹凸や荒れなどが生じておらず表面が発泡体の薄いスキン層で覆われていて平滑なものを良好(○)とし、発泡フイルムの表面に気泡の破れ気泡径の斑などに伴う凹凸や荒れが生じているものを不良(×)として評価した。
テーパー式ロータリーアブレッサー装置(吸塵ユニット付)(東洋精機株式会社製「ロータリーアブレイションテスター」)を用いて、JIS L 1096 6.17.3に準拠して、3層構造積層体の無孔質層の表面の摩耗減少量を測定した。
3層構造積層体の無孔質層を、2液型ウレタン系接着剤を用いて支持体に接着し、25℃、65%RHで24時間放置した後、JIS K 6301に準拠して180度剥離強度を測定した。
(1) 高分子ジオールとして3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸の縮合反応により得られたポリエステルジオール(PMPA)(数平均分子量1500)を用い、これに1,4−ブタンジオール(BD)、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PMPA:BD:MDI=1:1.4:2.4のモル比でさらに用いて、且つそれらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に押し出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを80℃で5時間除湿乾燥することにより、下記の表2に示す対数粘度および硬度を有する熱可塑性ポリウレタンを製造した。
(3) 上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成物ペレットを、単軸押出機(25mmφ)に仕込み、溶融帯温度180〜210℃、ダイ部温度180℃で、Tダイ(リップ幅0.2mm、ダイ幅350mm)より膜状に溶融押出発泡成形を行って、厚さ255μm、幅300mmの発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度および外観を、上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(1) 実施例1で使用したのと同じポリエステルジオールを用い、これに1,4−ブタンジオール、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、下記の表2に示すモル比で混合して、実施例1の(1)と同様にして連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造し、それを実施例1の(1)と同様にして、ペレット化および除湿乾燥して、熱可塑性ポリウレタンのペレットを製造した。その結果得られた熱可塑性ポリウレタンペレットの対数粘度および硬度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、下記の表2に示す(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を5重量部または10重量部、実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤を1重量部または2重量部の割合で混合し、実施例1の(2)と同様にして、発泡性ポリウレタン組成物のペレットを製造した。
(3) 上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成物ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(1) 高分子ジオールとしてポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000))を用い、これに1,4−ブタンジオール、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、下記の表2に示すモル比で混合して、実施例1の(1)と同様にして連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造し、それを実施例1の(1)と同様にして、ペレット化および除湿乾燥して、熱可塑性ポリウレタンを製造した。その結果得られた熱可塑性ポリウレタンの対数粘度および硬度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、下記の表2に示す(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を5重量部、実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤を1重量部の割合で混合し、実施例1の(2)と同様にして、発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造した。
(3) 上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成物ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
実施例1の(1)で得られたのと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤を1重量部の割合で混合して実施例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造し、このペレットを用いて実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
実施例1の(1)で得られたのと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、下記の表2に示す(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体35重量部、実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤を2重量部の割合で混合して実施例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造し、このペレットを用いて実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
実施例5の(1)で得られたのと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤を1重量部の割合で混合して実施例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造し、このペレットを用いて実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
実施例5の(1)で得られたのと同じ熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、下記の表2に示す(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体35重量部、実施例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレットを5重量部、および実施例1の(2)で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤を3重量部の割合で混合して実施例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物ペレットを製造し、このペレットを用いて実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有する発泡フイルムを製造した。得られた発泡フイルムの見掛比重、引張強度および外観を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
それに対して、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有しない発泡性ポリウレタン組成物を用いた比較例1および比較例3の場合は、溶融粘度が低すぎて発泡に適したものとならず、溶融押出発泡成形により得られる発泡シートは気泡の破れや気泡径の斑などによる凹凸や荒れなどが表面に生じていて外観が不良であること、しかも引張強度も低く、機械的特性にも劣っていることがわかる。
また、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して30重量部を超える(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を配合した発泡性ポリウレタン組成物を用いた比較例2および比較例4の場合は、溶融粘度が高くなり過ぎて、アゾジカルボンアミド系発泡剤の分解によって発生したガスによって充分に膨らまず、発泡シートの見掛比重が高くなってしまうこと、しかも外観も不良になることがわかる。
(1) 単繊維繊度2.5デニールのポリエステル繊維を用いて製造した絡合不織布(目付360g/m2)にポリウレタン弾性体(株式会社クラレ製「クラミロンU2195」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度95)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸させ、乾燥して、厚さ1.3mm、目付455g/m2の繊維質基材を準備した(繊維質基材におけるポリエステル繊維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=8:2)。
(6) 上記(5)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−2)100重量部に対して、実施例1で使用したのと同じ黒色顔料ペレット5重量部を混合し、2軸押出機を用いて180〜200℃で溶融混練した後、水中に押し出し、ペレタイザーで切断して無孔質層用のポリウレタン組成物のペレットを製造した。
(8) 上記(7)で得られた3層構造積層体11は、その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸やシワなどが生じず、外観、風合、触感などにおいて極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であった。また、その3層構造積層体11の剥離強度を上記した方法で測定したところ15kg/25mmと高い値であり、一方摩耗減少量は7mgと小さく、耐摩耗性に優れるものであった。
(1) 単繊維繊度0.007デニールの極細ナイロン繊維を約300本収束した極細繊維束を用いて製造した極細ナイロン繊維絡合不織布(目付300g/m2)にポリウレタン弾性体(株式会社クラレ製「クラミロンU9198」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度98)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸させ、乾燥して、厚さ1.3mm、目付442g/m2の繊維質基材を準備した(繊維質基材における極細ナイロン繊維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=6:4)。
(3) 上記(2)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−3)100重量部に対して、実施例3で使用したのと同じ(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(三菱レイヨン株式会社製「メタブレンL1000」)5重量部、実施例1で使用したのと同じ黒色顔料ペレット5重量部、および実施例1で使用したのと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤1重量部を混合し、2軸押出機を用いて150〜160℃で溶融混練した後、水中に押し出し、ペレタイザーで切断して発泡性ポリウレタン組成物のペレットを製造した。
(6) 上記(5)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−4)100重量部に対して、実施例1で使用したのと同じ黒色顔料ペレット5重量部を混合し、2軸押出機を用いて180〜200℃で溶融混練した後、水中に押し出し、ペレタイザーで切断して無孔質層用のポリウレタン組成物ペレットを製造した。
(8) 上記(7)で得られた3層構造積層体11は、その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸シワなどが生じず、外観、風合、触感などにおいて極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であった。また、その3層構造積層体11の剥離強度を上記した方法で測定したところ13kg/25mmと高い値であり、一方摩耗減少量は9mgと小さく、耐摩耗性に優れるものであった。
実施例7の(3)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体として「メタブレンP530」の代わりに、「メタブレンL1000」を用いて発泡性ポリウレタン組成物を製造した以外は、実施例7と全く同様にして、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よりなる3層構造積層体を製造した。その結果得られた3層構造積層体は、その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸シワなどが生じず、外観、風合、触感などにおいて極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であった。また、その3層構造積層体の剥離強度を上記した方法で測定したところ14kg/25mmと高い値であり、一方摩耗減少量は7mgと小さく、耐摩耗性に優れるものであった。
実施例7の(3)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(「メタブレンP530」)を用いなかった以外は、実施例7と全く同様にして、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よりなる3層構造積層体をラインスピード30m/分で製造した。
その結果、繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体を製造する際に、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が低いことにより、押し出し直後から気泡の巨大化、潰れ、破裂などが生じ、発泡体層の表面は凹凸の大きい粗悪なものであった。また、最終的に得られた3層構造積層体においても、無孔質層の下の発泡体層の粗悪な表面状態の影響を受けて、無孔質層の表面にエンボスロールによる毛穴状のシボ模様が充分に形成されず、凸部の角が流れて(崩れて)不鮮明になりシボ流れが生じていた。その上、積層体の一体感も乏しく、柔軟性に欠ける硬い風合であった。また、その3層構造積層体の剥離強度を上記した方法で測定したところ5kg/25mmと低い値であり、一方摩耗減少量は20mgと大きく、耐摩耗性に劣っていた。
実施例8の(3)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(「メタブレンL1000」)を用いなかった以外は、実施例8と全く同様にして、繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よりなる3層構造積層体をラインスピード30m/分で製造した。
その結果、繊維質基材層と発泡体層とからなる積層体を製造する際に、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が低いことにより、押し出し直後から気泡の巨大化、潰れ、破裂などが生じ、発泡体層の表面は凹凸の大きい粗悪なものであった。また、最終的に得られた3層構造積層体においても、無孔質層の下の発泡体層の粗悪な表面状態の影響を受けて、無孔質層の表面にエンボスロールによる毛穴状のシボ模様が充分に形成されず、凸部の角が流れて(崩れて)不鮮明になりシボ流れが生じていた。その上、積層体の一体感も乏しく、柔軟性に欠ける硬い風合であった。また、その3層構造積層体の剥離強度を上記した方法で測定したところ5kg/25mmと低い値であり、一方摩耗減少量は20mgと大きく、耐摩耗性に劣っていた。
2 鏡面加工を施した金属製ロール
3 弾性体バックローラ
4 押出機
5 発泡体層
6 繊維質基材層と発泡体層からなる積層体
7 金属製エンボスロール
8 弾性体バックローラ
9 押出機
10 無孔質層
11 3層構造積層体
Claims (7)
- 熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を加熱発泡させて形成した発泡体。
- フイルム、シートまたは板である請求項1の発泡体。
- 熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を加熱発泡させて形成した発泡体よりなる発泡体層および基材層を有することを特徴とする積層体。
- 繊維質基材上に、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有し且つ熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を加熱発泡させて形成した発泡体よりなる発泡体層を有し、更に前記発泡体層上に熱可塑性エラストマーよりなる無孔質層を有していることを特徴とする積層体。
- 無孔質層を構成する熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーである請求項4の積層体。
- 無孔質層表面に凹凸加工および/または鏡面加工を施してある請求項4または5の積層体。
- 請求項1または2の発泡体と他の材料よりなる複合材料。
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