JP3645679B2 - 積層体を製造する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも3つの層が積層している積層体を製造する方法に関する。本発明による場合は、大きさの揃った微細な気泡が斑なく均一に分布している熱可塑性ポリウレタン発泡体層を熱可塑性エラストマー無孔質層と繊維質基材層との中間に有し、各層間の接着強度が高くて層間剥離がなく、しかも柔軟性、耐摩耗性、力学的特性、弾力性、クッション性、緩衝性などに優れ、良好な外観、風合、感触を有する高級感のある熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の層構造を少なくとも有する高品質の積層体を、環境上や安全性などの点で大きな問題になっている有機溶剤やフロンガス発泡剤などを使用することなく、高い生産性で円滑に製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリウレタンは、その柔軟性、弾性、耐摩耗性などの特性を活かして種々の分野で汎用されており、熱可塑性ポリウレタンの大きな用途の一つとして、特定の基材上に熱可塑性ポリウレタンの層を設けた積層体が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタンの層を有する積層体のうちでも、繊維質基材上に熱可塑性ポリウレタン層を積層してなる積層体は、天然皮革様の外観、触感、風合などを有していることから、合成皮革または人造皮革として、履物、衣料分野、袋物や鞄などの用途で汎用されている。
【0003】
皮革様のポリウレタン積層体の製造方法としては、従来、
(1) 離型紙上にポリウレタンの有機溶剤溶液を塗布し、乾燥して、ポリウレタンフイルムを形成した後、そのポリウレタンフイルムを編織布または不織布からなる繊維質基材の表面に接着剤で貼り合わせてから離型紙を剥離する方法(いわゆる乾式法);
(2) 編織布または不織布からなる繊維質基材の表面にポリウレタンの有機溶剤溶液を塗布した後、湿式凝固法または乾式凝固法により多孔質のポリウレタン層を形成し、その上に着色剤を含む重合体溶液を塗布・乾燥して着色層を形成した後、エンボスローラで凹凸模様を形成する方法;
などが広く知られている。
【0004】
さらに、上記(1)および(2)に挙げた従来法以外にも、皮革様の積層体の製造方法として、例えば、
(3) 基材上に設けた合成樹脂層の表面に、合成樹脂を膜状に溶融押出してスキン層を積層すると共に、そのスキン層表面をエンボス加工して天然皮革様のスキン層とする方法(特開昭53−62803号公報);
(4) 基材上に形成した金属蒸着層上にTダイから押出した熱可塑性ポリウレタン溶融体を積層して皮革様シートを製造する方法(特開昭62−282078号公報);
(5) 合成繊維布帛の表面にシランカップリング剤を予め付与しておき、その上に熱可塑性樹脂を溶融押出して圧着し、布帛と熱可塑性樹脂層との接着強度を向上させた積層体を製造する方法(特開平2−307986号公報);
などが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記(1)および(2)の従来法による場合は、ポリウレタンの有機溶剤溶液を用いるために、有機溶剤の使用に伴う作業環境や自然環境の悪化を伴い、安全性および衛生性などの点で問題がある。しかも、有機溶剤の回収や処理のための工程や設備が必要であり、そのため製造工程が複雑になり、且つコスト高になる。その上、上記(2)の従来法による場合は、ポリウレタン表面層の凝固に長い時間を要するため、製造速度を高めることができず、結果的に製造コストが高くならざるを得ないという点でも問題がある。
また、上記(3)〜(5)の従来法による場合は、得られた積層体製品を引っ張ったり、折り曲げたりした際に、表面に低品位のシワなどの凹凸が出現したり、基材と表面層との剥離が生じ易いなどの欠点がある。
【0006】
一方、ポリウレタン発泡体やポリウレタン多孔質体の製法としては、従来、
▲1▼ ポリウレタン原料に水を添加し、原料中のイソシアネート成分と水との反応により炭酸ガスを発生させて、ポリウレタンの形成および発泡を行ってポリウレタン発泡体を製造する方法;
▲2▼ ポリウレタン用原料にフロンガスのようなフッ素系膨張剤を添加して、ポリウレタンの形成および発泡を行ってポリウレタン発泡体を製造する方法;
▲3▼ 熱可塑性ポリウレタンに熱分解型発泡剤を添加し、ポリウレタンを加熱溶融すると共に発泡剤を分解させてガスを発生させて発泡体を製造する方法;
▲4▼ ポリウレタンの有機溶剤溶液を支持体上に塗布し、ポリウレタンの非溶剤中で湿式凝固して、ポリウレタン多孔質体を形成する方法;
▲5▼ ポリウレタンの有機溶剤溶液を支持体上に塗布し、溶剤を乾燥除去(乾式凝固)してポリウレタン多孔質体を形成する方法;
などが一般に採用されている。
【0007】
しかしながら、上記▲1▼の従来法による場合は、発泡度が大きくなり、それに伴って発泡体の気泡膜が薄くなるため、小さな圧縮応力で気泡膜の崩壊による変形が生じ易いという欠点がある。そして、気泡膜の崩壊を防止しようとして水の添加量を少なくして発泡度を小さくすると、気泡の大きさが不均一になり、品質の良好な発泡体が得られにくい。また、上記▲2▼の従来法による場合は、地球環境の破壊などの点で近年その使用が規制されているフロンガスなどのフッ素系膨張剤を使用しているため、近年、規制が強くなっている。
【0008】
また、上記▲3▼の従来法による場合は、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度の温度依存性が大きく、発泡剤を分解させるのに適した温度ではポリウレタンの溶融粘度が著しく低くなって、発泡剤の分解によって発生したガスを充分に保持できず、気泡サイズの巨大化や不均一化、気泡膜の破裂などが生じ易い。その結果、得られるポリウレタン発泡体は、その表面に凹凸が多く発生して粗悪なものになり易く、発泡体の内部構造も粗大で不揃いな気泡が不均一に分布した状態となり、力学的特性にも劣ったものとなる。しかも、熱分解型発泡剤を用いるこの▲3▼の従来法によって溶融押出発泡法を採用して発泡フイルムや発泡シートなどの薄物を製造する場合は、押出機のダイ付近でフイルムやシートの破れが発生することが多く、押出発泡成形を円滑に行うことができない。
また、この▲3▼の従来法において、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度の低下を防止して発泡剤の分解ガスを保持し易くすることを目的として溶融成形温度を低く設定すると、気泡の巨大化や破裂は抑制されるものの、発泡体の密度が高くなって目的とする発泡倍率のものが得られなくなる。すなわち、この▲3▼の従来法による場合は、発泡に適した溶融粘度を得るための溶融温度範囲が極めて狭いため、溶融発泡時の温度制御が極めて難しく、しかも均一で微細な気泡を発泡体内部に形成させることが困難であり、厚さが0.5mm以下の薄い発泡体フイルムの製造が特に難しいという問題がある。
【0009】
また、上記▲4▼の湿式凝固法または上記▲5▼の乾式凝固法などの従来法による場合は、多孔質体層の厚さが厚い場合(例えば1mm以上の場合)に、凝固に長い時間を要し、そのために生産性が低く、工業的規模で製造するにはコスト高となる。また、上記▲4▼および▲5▼の従来法による場合は、上記(1)および(2)の従来法と同様に、ポリウレタンの有機溶剤溶液を用いているために、作業環境や自然環境の悪化、安全面や衛生面での低下などの問題があり、しかも使用した有機溶剤の回収や処理のための工程や施設などが必要であり、製造工程が複雑になり、且つコスト高になるという欠点がある。
【0010】
【発明の内容】
上記のような状況下に、本発明者らは、大きさの揃った微細な気泡が発泡体内部に斑なく均一に分布しており、しかも表面が平滑で、荒れや粗悪な凹凸がなく外観に優れ、さらに柔軟性、力学的特性などにも優れる、高品質の熱可塑性ポリウレタン発泡体を、環境上や安全面などの点で大きな問題になっている有機溶剤やフロンガス発泡剤などを使用せずに、円滑に且つ生産性よく得ることを目的として研究を行ってきた。さらに、本発明者らは、前記したような優れた特性を有する熱可塑性ポリウレタン発泡体の層を有する層間剥離のない積層体、しかも柔軟性、耐摩耗性、耐久性などの点でも優れる、天然皮革に近似した良好な特性を有する積層体を得ることを目的として研究を行ってきた。そして、熱分解型発泡剤を用いて発泡体を製造する上記した▲3▼の従来法が、有機溶剤やフロンガスなどの環境悪化成分を使用しないために安全性や衛生性の点で優れていること、しかも生産性が高いことなどの点に着目して更に種々検討を重ねてきた。
その結果、本発明者らは、熱可塑性ポリウレタンに熱分解型発泡剤を添加し加熱溶融下に発泡剤を分解させて発泡体を製造するに当たって、熱可塑性ポリウレタンに数平均分子量が200,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を特定の割合で配合した発泡性ポリウレタン組成物を用いて熱可塑性ポリウレタン発泡体を製造すると、また該熱可塑性ポリウレタン発泡体の層と他の層からなる積層体を製造すると、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が発泡に適したものとなって、発泡剤の熱分解によって発生したガスが溶融物中に充分に且つ均一に斑なく保持されて、微細で且つ大きさの揃った気泡が全体に均一に分布し、しかも表面状態の良好な熱可塑性ポリウレタン発泡体や、該熱可塑性ポリウレタン発泡体の層を有する積層体が得られることを見出して、先に出願した(特願平8−177181号)。
【0011】
そして、本発明者らは、上記した特願平8−177181号の発明などを踏まえて、その後、熱可塑性ポリウレタン発泡体の層を有する積層体の製造技術についてさらに検討を重ねてきた。
その結果、熱可塑性ポリウレタン発泡体の層を有する積層体を製造するに当たって、熱可塑性ポリウレタン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体および熱分解型発泡剤を含有する上記した特願平8−177181号の発明による発泡性ポリウレタン組成物と、熱可塑性エラストマーとを、溶融下に共押出して2層構造体をつくり、その2層構造体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層の固化前に熱可塑性ポリウレタン発泡体層側に繊維質基材を積層することからなる特定の方法を採用して、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の層構造を少なくとも有する積層体を製造すると、それにより得られる積層体では、熱可塑性ポリウレタン発泡体層内部並びに熱可塑性エラストマー無孔質層および繊維質基材層の各層と熱可塑性ポリウレタン発泡体層との接合付近の両方において、気泡の巨大化や破泡が生じず、大きさの揃った微細な気泡が斑なく均一に分布している積層体が得られること、そのためその積層体は、層間の接着強度が高くて層間剥離がなく、しかも柔軟性、耐摩耗性、力学的特性、弾力性、クッション性、緩衝性、感触、風合などの点でも極めて優れていて、天然皮革に極めて近似した良好な性質を有しており、合成皮革または人造皮革などとして種々の用途に有効に使用し得ることを見出した。
【0012】
それと共に、本発明者らは、熱分解型発泡剤を含有する熱可塑性ポリウレタンから主としてなる発泡性ポリウレタン組成物と、熱可塑性エラストマーとを、溶融下に共押出して2層構造体をつくり、その2層構造体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層の固化前に熱可塑性ポリウレタン発泡体層側に繊維質基材を積層する共押出法によって熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の層構造を少なくとも有する積層体を製造する場合は、熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物として、熱可塑性ポリウレタン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体および熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を用いずに、熱分解型発泡剤と熱可塑性ポリウレタンを含有する発泡性ポリウレタン組成物[すなわち(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有しない発泡性ポリウレタン組成物]を用いても、上記と同様に、種々の優れた特性を有する高品質の積層体が得られることを見出した。また、本発明者らは、そのような積層体の製造に当たって、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で積層している積層体の熱可塑性エラストマー無孔質層が固化する前に、該熱可塑性エラストマー無孔質層に凹凸加工および/または鏡面加工を施すと、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工および/または鏡面加工が施された、天然皮革などに一層近い積層体および/または装飾効果の一層高い積層体が得られることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、熱分解型発泡剤を含有し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有しない熱可塑性ポリウレタンから主としてなる発泡性ポリウレタン組成物と、熱可塑性エラストマーを、溶融下に共押出して、熱可塑性ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体をつくり、該2層構造体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層が固化する前に熱可塑性ポリウレタン発泡体層側に繊維質基材を積層させて、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体を製造する方法である。
【0014】
そして、本発明は、上記した方法により製造される、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体における熱可塑性エラストマー無孔質層が固化する前に、その熱可塑性エラストマー無孔質層に凹凸加工および/または鏡面加工を施すことからなる積層体の製造方法を包含する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の方法において、熱可塑性ポリウレタン発泡体層(以下「ポリウレタン発泡体層」ということがある)を形成させるのに用いる発泡性ポリウレタン組成物は、熱分解型発泡剤を含有する熱可塑性ポリウレタンから主としてなる発泡性ポリウレタン組成物である。
その場合の熱可塑性ポリウレタンとしては、加熱溶融し得る熱可塑性ポリウレタンであればいずれも使用可能であり、一般には、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンが用いられる。そのうちでも、数平均分子量が800〜8000、好ましくは数平均分子量が900〜6000の高分子ジオールを有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤と反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンは機械的強度や成形性の点で優れており、ひいては本発明の積層体の製造工程が円滑に行われ且つそれにより得られる積層体の機械的強度が良好となるので、好ましく用いられる。
なお、本明細書でいう高分子ジオールの数平均分子量は、いずれもJIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量を意味する。
【0016】
熱可塑性ポリウレタンの製造に好ましく用いられる高分子ジオールとしては、例えばポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオール、ポリエステルポリエーテルジオールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、高分子ジオールとしてポリエステルジオールおよび/またはポリエーテルジオールを用いるのが好ましい。
【0017】
熱可塑性ポリウレタンの製造に好ましく用いられる上記したポリエステルジオールの製法は特に制限されず、例えば、常法にしたがって、ジカルボン酸、そのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体からなるジカルボン酸成分と低分子ジオール成分とを直接エステル化反応またはエステル交換反応させることにより製造することができる。
【0018】
ポリエステルジオールの製造に用いられるジカルボン酸成分としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;またはそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ジカルボン酸成分としては、炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体が、それから得られるポリウレタン発泡体層、ひいては積層体の柔軟性、耐摩耗性および力学的物性が良好なことから好ましく用いられ、特にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸および/またはそれらのエステル形成性誘導体がより好ましく用いられる。
【0019】
ポリエステルジオールの製造に用いられる低分子ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオールなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの含有量割合が50モル%以上である低分子ジオール成分が、それから得られるポリウレタン発泡体層、ひいては積層体の柔軟性および反発弾性が良好なことから好ましく用いられる。
【0020】
また、熱可塑性ポリウレタンの形成に用い得る上記したポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリテトラメチレングリコールがそれから得られる熱可塑性ポリウレタン発泡体層、ひいては積層体の柔軟性、耐加水分解性が良好な点から好ましく用いられる。
【0021】
さらに、熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる上記したポリカーボネートジオールとしては、例えば、低分子ジオール成分と、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られるポリカーボネートジオールを挙げることができる。その際の低分子ジオール成分としては、ポリエステルジオールの製造に用いられる低分子ジオール成分として上記で挙げたものを用いることができる。また、上記したジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートを、そしてジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
【0022】
また、熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる上記したポリエステルポリカーボネートジオールとしては、例えば、上記した低分子ジオール成分、ジカルボン酸成分およびカーボネート化合物を同時に反応させることにより得られるポリエステルポリカーボネートジオール;予め合成しておいたポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールを、カーボネート化合物、ジオール成分および/またはジカルボン酸成分と反応させて得られるポリエステルポリカーボネートジオールなどを使用することができる。
【0023】
また、熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる有機ジイソシアネートの種類は特に制限されず、ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ジイソシアネートのいずれもが使用できる。そのうちでも、有機ジイソシアネートとしては、分子量が500以下の芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシアネートのうちの1種または2種以上が好ましく用いられる。そのような有機ジイソシアネートの例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートがそれから得られるポリウレタン発泡体層、ひいては積層体の力学的特性が良好な点から好ましく用いられる。また、必要に応じて、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネートを少量用いてもよい。
【0024】
また、熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられる鎖伸長剤の種類は特に制限されず、熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用できる。そのうちでも、鎖伸長剤としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物が好ましく用いられる。そのような鎖伸長剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジン、イソフタル酸ジヒドラジンなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが、それから得られるポリウレタン発泡体層、ひいては積層体の力学的特性が良好な点から好ましく用いられ、特に1,4−ブタンジオールがより好ましく用いられる。
【0025】
そして、本発明では、熱可塑性ポリウレタンとして、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を、下記の数式(1)を満足する割合で反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンがより好ましく用いられる。
【0026】
【数1】
0.99≦b/(a+c)≦1.08 (1)
(式中、aは高分子ジオールのモル数、bは有機ジイソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を示す。)
【0027】
上記の数式(1)を満足するようにして製造された熱可塑性ポリウレタンは、溶融発泡性、特に溶融押出発泡性、力学的特性、耐摩耗性などの点で優れており、その結果、その熱可塑性ポリウレタンを用いて得られるポリウレタン発泡体層における発泡状態、力学的特性、耐摩耗性などが良好になる。
【0028】
熱可塑性ポリウレタンの製造法は特に制限されず、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネート、鎖伸長剤および必要に応じて他の成分を用いて、公知のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法またはワンショット法により製造することができる。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合する方法、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合する方法が好ましく用いられる。
【0029】
また、本発明では、熱可塑性ポリウレタンとして、その硬度が、JIS−A硬度として55〜95、より好ましくは65〜90の範囲にあるものを用いると、機械的強度に優れ且つ柔軟性に優れるポリウレタン発泡体層、ひいては積層体が得られので好ましい。
【0030】
さらに、本発明では、熱可塑性ポリウレタンとして、その対数粘度が0.5〜2.0dl/g、より好ましくは0.8〜1.9dl/gであるものを用いると、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度を発泡に適したものにすることができ、しかも得られるポリウレタン発泡体層、ひいては積層体の力学的特性、耐摩耗性などの特性を一層良好にすることができる。
ここで、本願明細書でいう熱可塑性ポリウレタンの対数粘度は、n−ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有するN,N−ジメチルホルミアミド溶液に、熱可塑性ポリウレタンを濃度0.05g/dlになるように溶解し、30℃で測定したときの値である。
【0031】
本発明で用いる発泡性ポリウレタン組成物は、熱分解型発泡剤を含有し且つ上記したような熱可塑性ポリウレタンから主としてなる発泡性ポリウレタン組成物であればいずれも使用可能であり、例えば、
(イ)有機重合体として熱可塑性ポリウレタンのみを含有し、それに熱分解型発泡剤および必要に応じて他の添加剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物;
(ロ)熱可塑性ポリウレタンを主たる有機重合体とし且つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体以外の他の熱可塑性有機重合体を少量成分として含有し、それに熱分解型発泡剤および必要に応じて他の添加剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物;
のいずれもが使用できる。
そして、発泡性ポリウレタン組成物と熱可塑性エラストマーとを共押出し、それを繊維質基材と積層する本発明の方法を採用して積層を製造する場合は、上記(イ)または(ロ)のいずれの発泡性ポリウレタン組成物を用いても、ポリウレタン発泡体層では、該発泡体層の内部および熱可塑性エラストマー無孔質層や繊維質基材層と境界付近のいずれにおいても、大きさの揃った微細な気泡が斑なく均一に分布し、且つ各層の接着が強固に行われていて層間剥離がなく、しかも柔軟性、耐摩耗性、力学的特性、弾力性、クッション性、緩衝性、感触などに優れる高品質の積層体を生産性よく製造することができる。
【0032】
本発明において、発泡性ポリウレタン組成物として、上記(ロ)の発泡性ポリウレタン組成物を用いる場合は、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体以外の他の熱可塑性重合体を50重量部以下の割合で含有することが好ましい
その場合の他の熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ABS樹脂、スチレン系エラストマーなどのスチレン系重合体などを挙げることができ、発泡性ポリウレタン組成物はこれらの熱可塑性重合体の1種または2種以上を含有することができる。
【0033】
また、本発明には含まれないが、熱可塑性ポリウレタンを主たる有機重合体とし且つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を少量成分として含有し、それに熱分解型発泡剤および必要に応じて他の添加剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物では、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が発泡に適したものとなって、発泡剤の熱分解によって発生したガスが溶融物中に充分に且つより均一に斑なく保持されるようになるために気泡の粗大化や破裂などが防止されて、極めて微細で且つ大きさの揃った気泡が全体に均一に分布したポリウレタン発泡体層形成される
【0034】
そして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有する発泡性ポリウレタン組成物では、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、数平均分子量が200,000以上、好ましくは250,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有する発泡性ポリウレタン組成物一層好ましく、かかる発泡性ポリウレタン組成物を用いたものでは、ポリウレタン発泡体層の気泡状態が一層良好になり且つ機械的強度も大きくなり、物性に一層優れる積層体となる
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の数平均分子量の上限値は特に制限されないが、熱可塑性ポリウレタンとの相容性、ポリウレタン発泡体層における気泡の均一性などの点から5,000,000以下であるのが好ましい。
【0035】
前記発泡性ポリウレタン組成物で用いる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのエステルを形成しているアルキル基の炭素数が1〜10であるアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから主としてなる重合体が好まし。より具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上から形成されている(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体用いられる。そのうちでも、メタクリル酸メチル系重合体、アクリル酸ブチル系重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルから主としてなる共重合体の1種または2種以上がより好まし
【0036】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位と共に、必要に応じて少量(一般に25モル%以下)の他の共重合性不飽和モノマーから誘導される単位を有してもよく、そのような共重合性不飽和モノマーとしては、例えばエチレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリルなどを挙げることができ、これらの共重合性不飽和モノマーの1種または2種以上からなる単位を有していることができる。
【0037】
そして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有する発泡性ポリウレタン組成物では、上記した熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、数平均分子量が200,000以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を1〜30重量部の割合で含有している発泡性ポリウレタン組成物好ましく、2〜20重量部の割合で含有している発泡性ポリウレタン組成物より好ましい。
熱可塑性ポリウレタン100重量部に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の含有割合が上記した1〜30重量部の範囲であると、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度(溶融弾性)が発泡により適したものとなって、発泡剤の分解により発生したガスをより良好に保持できるようになり、気泡の巨大化や破れが生じなくなって、発泡体内部の気泡構造が微細に且つ均一になり、しかも熱可塑性エラストマー無孔質層とポリウレタン発泡体層との境界付近や、ポリウレタン発泡体層と繊維質基材層との境界付近に粗大な凹凸や荒れが生じなくなり、ポリウレタン発泡体層の機械的特性の向上、ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層および繊維質基材層の各々との接着が一層良好になる。
発泡性ポリウレタン組成物において、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の使用割合が30重量部を超えると、発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が高くなって膨張が抑制されて発泡倍率が小さくなり、所望の発泡倍率の発泡体を得ることができにくくなり、しかも熱可塑性ポリウレタン中への(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の分散が不良になってポリウレタン発泡体層の内部が他の層との境界付近などに未溶融のブツなどが発生し易くなる。
【0038】
発泡性ポリウレタン組成物に用いる熱分解型発泡剤としては、従来から知られている熱分解型発泡剤のいずれもが使用でき、特に制限されない。
本発明で用い得る熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロジニトリル、アゾジアミノベンゼン、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、t−ブチルアミノニトリル、p−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾンなどの有機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機系発泡剤などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。それらのうちでも、アゾジカルボンアミドなどの発泡剤が、熱可塑性ポリウレタンから主としてなるポリウレタン組成物の溶融温度以上の分解温度を有していて取り扱い性に優れており、ガスの発生量が多く、しかもその分解挙動が共押出による本発明の溶融積層法成形に適しているため好ましく用いられる。
【0039】
また、上記した発泡剤のうちで、例えば、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウムなどはポリウレタンの分子量低下を引き起こす作用があり、一方N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどはポリウレタンの架橋を促進する作用を有する。そのため、ポリウレタンの分子量低下を引き起こす発泡剤と、架橋を促進する発泡剤を併用した場合には、ポリウレタンに適度な架橋をもたらしながら、溶融粘度の低下の抑制が可能になり、機械的特性、物理的特性、化学的特性、発泡状態の良好なポリウレタン発泡体層を形成させることができる。
【0040】
発泡性ポリウレタン組成物における熱分解型発泡剤の添加量は、ポリウレタン発泡体層における目的とする密度(発泡倍率)、積層体の用途、発泡剤のガス発生量などに応じて調節が可能であるが、一般に、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、0.05〜10重量部程度であるのが好ましく、0.1〜5重量部程度であるのがより好ましく、0.3〜3.0重量部であるのが更に好ましい。
【0041】
また、発泡を円滑に行わせて、より均一で微細な気泡を有するポリウレタン発泡体層を形成させるために、熱分解型発泡剤に対して発泡助剤を併用してもよい。その場合の発泡助剤としては、それぞれの熱分解型発泡剤に対して従来から用いられている発泡助剤を用いることができる。
例えば、アゾジカルボンアミドなどのアゾ系発泡剤、重炭酸ナトリウム、ヒドラジド系発泡剤に対してはカルボン酸金属塩、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、シリカやアルミナなどの金属酸化物、タルク等の鉱物などの発泡助剤を用いることができ、また例えばN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに対しては尿素系化合物や有機酸などの発泡助剤を用いることができる。
【0042】
発泡助剤を併用する場合、その使用量は、ポリウレタン発泡体層における目的とする発泡倍率(比重)、積層体の用途、発泡剤のガス発生量などに応じて適宜調節することができるが、通常、熱可塑性ポリウレタン100重量部に対して、0.005〜10重量部程度であることが好ましく、0.01〜5重量部であることがより好ましく、0.1〜2重量部であることが更に好ましい。また、発泡剤に対する発泡助剤の使用割合としては、発泡剤1重量部に対して、発泡助剤を0.1〜1重量部とすることが好ましい。
【0043】
さらに、発泡性ポリウレタン組成物は、他の添加剤、例えば、発泡体中に均一で微細な気泡を形成するための気泡調節剤(無機微粉末など)、充填剤、補強材、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤などの添加剤の1種または2種以上を必要に応じて含有していてもよい。
【0044】
発泡性ポリウレタン組成物の調製方法は特に制限されず、その調製時に発泡剤の発泡能、発泡助剤を用いる場合はその発泡助剤としての機能が失われないような方法であればいずれも採用でき、発泡性ポリウレタン組成物の調製に用いる熱可塑性ポリウレタンの種類、熱分解型発泡剤の種類、発泡助剤の有無や種類、他の熱可塑性重合体の有無や種類、他の添加剤の有無や種類などに応じて適当な方法を採用して調製すればよい。
【0045】
また、ポリウレタン発泡体層上に無孔質層を形成させるための熱可塑性エラストマーとしては、柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械的強度、耐候性、耐加水分解性などに優れていて且つポリウレタン発泡体層と親和性である熱可塑性エラストマーであればいずれも使用できる。
無孔質層を形成する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、(1)熱可塑性ポリウレタン;(2)ポリエステルエラストマー(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの結晶性の芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ガラス転移温度の低い脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリエステルポリカーボネートなどをソフトセグメントとするポリエステルエラストマー);(3)ポリアミドエラストマー(例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミドをハードセグメントとし、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステルエーテルなどをソフトセグメントとするポリアミドエラストマー);(4)スチレン系エラストマー(例えばスチレン系重合体をハードセグメントとし、ポリイソプレン、ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンなどをソフトセグメントとするスチレン系エラストマー);(5)シリコーン系エラストマー;(6)塩素化ポリマー系エラストマー(例えば結晶性ポリ塩化ビニルおよび/または結晶性ポリエチレンをハードセグメントとし非晶性ポリ塩化ビニルおよび/または非晶性塩素化ポリエチレンをソフトセグメントとする塩素化ポリマー系エラストマー);(7)ポリオレフィン系エラストマー(例えばポリプロピレンをハードセグメントとしエチレンプロピレンゴムや部分架橋エチレンプロピレンゴムなどをソフトセグメントとするポリオレフィン系エラストマー);(8)フッ素系重合体エラストマー(例えばフッ素系樹脂をハードセグメントとしフッ素系ゴムをソフトセグメントとするフッ素系重合体エラストマー);(9)1,2−ブタジエン系重合体エラストマー(例えば結晶性1,2−ポリブタジエンをハードセグメントとし1,2−ポリブタジエンをソフトセグメントとする1,2−ブタジエン系重合体エラストマー);(10)ウレタン/塩化ビニル系エラストマー;(11)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム三元共重合体などのエチレン系共重合体などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いて無孔質層を形成することができる。
【0046】
本発明では、積層体における無孔質層を形成させる熱可塑性エラストマーとして、上記した熱可塑性エラストマーのうちでも、熱可塑性ポリウレタン、または熱可塑性ポリウレタンと他の熱可塑性エラストマーを含む重合体組成物を用いることが好ましい。その場合には、無孔質層を形成する熱可塑性エラストマーの材質と、発泡性ポリウレタン組成物から形成されるポリウレタン発泡体層の材質が近似していてポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層との間の親和性が大きいことにより、ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層との接着強度が一層大きくなって両層間の剥離などが生じなくなり、物性に極めて優れる積層体を得ることができる。
【0047】
無孔質層を形成させる熱可塑性エラストマーとして、熱可塑性ポリウレタン、または熱可塑性ポリウレタンと他の熱可塑性エラストマーとの混合物を用いる場合は、その熱可塑性ポリウレタンとして、発泡性ポリウレタン組成物の調製に用いるのと同様の、上記した種々の熱可塑性ポリウレタンを使用することができる。その場合に、ポリウレタン発泡体層を構成する熱可塑性ポリウレタンと熱可塑性エラストマー無孔質層を構成する熱可塑性ポリウレタンとは同じものであっても、または異なるものであってもよい。一般的には、熱可塑性エラストマー無孔質層を構成する熱可塑性ポリウレタンとして、ポリウレタン発泡体層の形成に用いる熱可塑性ポリウレタンに比べて多少硬度の高いものを使用すると、積層体の耐摩耗性を一層向上させることができる。
【0048】
また、本発明で使用する繊維質基材としては、適度な厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合を有するシート状の繊維質基材であればいずれも使用でき、そのうちでも従来から皮革様の積層体の製造に用いられている各種の繊維質基材が好ましく用いられる。
限定されるものではないが、本発明で用い得る繊維質基材の例としては、極細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、通常の合成繊維、半合成繊維、天然繊維、無機繊維などを用いて形成された絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質シート;前記した繊維質シートにポリウレタンなどのような高分子材料を含浸またはその他の方法で含有させた繊維質シート;前記したいずれかの繊維質シートの表面にさらに高分子材料からなる多孔質被覆層を形成した繊維質シートなどを挙げることができる。
【0049】
上記した繊維質基材のうちでも、極細繊維または極細繊維束を用いて形成されている繊維質シート、それに高分子材料を含有させた繊維質シート、またはそれにさらに高分子材料からなる多孔質被覆層を形成した繊維質シートが好ましく用いられる。その場合には、得られる積層体の風合などの点から、繊維質シートを構成する極細繊維の単繊維繊度が0.5デニール以下であるのが好ましく、0.1デニール以下であるのがより好ましい。
また、繊維質基材を極細繊維束から形成する場合は、極細繊維束のトータルデニールが0.5〜10デニールであるのが、得られる積層体の風合などの点から好ましい。また、繊維質基材を構成する極細繊維は、ポリエステル系繊維および/またはナイロン系繊維から形成されているのが、得られる積層体の強度、感触、コストなどの点から好ましい。
【0050】
特に、繊維質基材として、上記したような極細繊維束の不織布から形成されていて且つ不織布中に高分子材料を含有させてある繊維質シートを使用すると、天然皮革に一層近似した良好な風合や触感などを有する積層体を得ることができるので好ましい。その場合に不織布中に含有させる高分子材料としては、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリビニルブチラール系重合体、アクリル系重合体、ポリアミノ酸系重合体、シリコン系重合体などを挙げることができ、これらの重合体は単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。そのうちでも、ポリウレタン系重合体を含浸やその他の方法で含有させた繊維質シートを繊維質基材として用いると、繊維質基材上に積層させるポリウレタン発泡体層との親和性が高く、繊維質基材層とポリウレタン発泡体層との間の接着が強固になるので、特に好ましい。
そして、高分子材料を含有させた繊維質シートからなる繊維質基材を用いる場合は、該繊維質基材における高分子材料の含有量は、高分子材料を含有させる前の繊維質シートの重量に基づいて、約10〜70重量%程度であることが好ましい。
【0051】
また、繊維質基材層とポリウレタン発泡体層との接着を向上させるために、繊維質基材の表面に、ポリウレタン発泡体層と親和性の高い重合体を含む表面処理剤の被覆層を形成しておいてもよく、その場合の被覆層の厚さは5μm以下とするのが好ましい。前記被覆層の厚さが厚くなると、柔軟で一体感のある風合を有する積層体が得られにくくなる。
【0052】
さらに、柔軟な風合を有し、且つ適度な反発性および腰し感のある積層体を得るためには、繊維質基材の見掛け比重が0.25〜0.5g/cmであるのが好ましく、0.3〜0.35g/cmであるのがより好ましい。繊維質基材の見掛け比重が大きすぎると、積層体がゴム様の風合となり易く、一方繊維質基材の見掛け比重が小さ過ぎると反発性および積層体が腰のない風合となり、いずれの場合も天然皮革に近似した風合が得られにくくなる。
【0053】
また、繊維質基材の厚さは、製造される積層体の用途などに応じて決めることができるが、繊維質基材上のポリウレタン発泡体層、ポリウレタン発泡体層上の熱可塑性エラストマー無孔質層の厚みとのバランスなどの点から、0.3〜3mm程度であるのが好ましく、0.5〜2.0mm程度であるのがより好ましい。
【0054】
そして、上記した発泡性ポリウレタン組成物、熱可塑性エラストマーおよび繊維質基材を用いて、熱可塑性エラストマー層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体を製造する。
本発明では、まず、発泡性ポリウレタン組成物と、熱可塑性エラストマーを、溶融下に共押出して熱可塑性ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体をつくり、その2層構造体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層が固化する前に該熱可塑性ポリウレタン発泡体層側に繊維質基材を積層させて積層体を製造する。
かかる方法を採用することによって、揃った微細な気泡が全体に斑なく均一に分布している熱可塑性ポリウレタン発泡体層を有し、しかもポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層とが強度に接着していて両層間での層間剥離がなく、またポリウレタン発泡体層と繊維質基材層との接着強度も大きくて両層間での層間剥離のない、柔軟性、耐摩耗性、力学的特性、弾力性、クッション性、緩衝性、感触などに優れる、高級感のある積層体を、高い生産性で円滑に製造することができる。
【0055】
発泡性ポリウレタン組成物と熱可塑性エラストマーを溶融下に共押出して熱可塑性エラストマー無孔質層とポリウレタン発泡体層からなる2層構造体をまず製造し、それに繊維質基材を積層させる本発明の方法を採用せずに、例えば、熱分解型発泡剤を含有するが(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有しない発泡性ポリウレタン組成物を用いて繊維質基材層上に熱可塑性ポリウレタン発泡体層が形成された2層構造体を予め製造した後に該2層構造体の熱可塑性ポリウレタン発泡体層上に熱可塑性エラストマー無孔質層を形成させる方法を採用して積層体を製造する方法を採用した場合は、ポリウレタン発泡体層の内部や表面に気泡の巨大化、破裂、潰れなどが生じて発泡状態の良好なポリウレタン発泡体層が形成されなくなったり、ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層との接着強度が低下して層間剥離が生じ易くなり、積層体の一体感が乏しいものとなって、柔軟性、耐摩耗性、力学的特性などにおいて優れる積層体が得られない。
【0056】
本発明において、発泡性ポリウレタン組成物と熱可塑性エラストマーを溶融下に共押出して熱可塑性エラストマー無孔質層と熱可塑性ポリウレタン発泡体層からなる2層構造体をつくるに当たっては、熱分解型発泡剤を含有する発泡性ポリウレタン組成物を所定の押出機を用いて溶融混練し、一方熱可塑性エラストマーをそれとは別の押出機を用いて溶融混練し、発泡性ポリウレタン組成物の溶融物と熱可塑性エラストマーの溶融物とを溶融状態で1つのダイで合流接合させて共押出する方法が一般に採用される。
【0057】
その場合に、発泡性ポリウレタン組成物の溶融物と熱可塑性エラストマーの溶融物を合流接合させて共押出する方法としては、(1)両方の溶融物を1つのダイに入る前に合流接合させて1つのダイから共押出する方法;(2)両方の溶融物を1つのダイ内で合流接合させてダイから共押出する方法;または(3)両方の溶融物を内部に隔壁のある1つのダイに供給しダイを出た直後に合流接合させて共押出する方法を挙げることができる。
上記した(1)〜(3)の方法は、一般的に優劣をつけ難く、本発明においては、上記した(1)〜(3)のいずれの方法を採用して行ってもよい。そのうちでも、上記した(2)の方法が、2層構造体における各層の厚さの調整が容易であり、両層間の接着性が良好であるなどの点から好ましい。
【0058】
上記した共押出を行うに当たっては、ダイとしてTダイ、インフレーションダイなどを用いることができ、そのうちでもTダイが好ましく用いられる。
また、ダイから共押出することによって形成される2層構造体の形状は、一般にシート状であるのが、繊維質基材との積層の容易性、得られる積層体の用途などの点から好ましい。その場合に、2層構造体におけるポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層との接合面は、平坦であっても、また場合によっては互いに凹凸をなして噛み合った接合構造などであってもよく、一般的には平坦な接合面が好ましく採用される。
【0059】
共押出を行う際の発泡性ポリウレタン組成物の溶融混練温度は、熱可塑性ポリウレタンの種類、他の熱可塑性重合体の有無や種類、熱分解型発泡剤の種類、発泡助剤の有無や種類などに応じて異なり得るが、上記したような熱分解型発泡剤は一般に約100〜250℃の範囲で分解するので、一般には100〜250℃またはそれ以上の温度を採用して溶融混練を行うのがよい。
また、共押出を行う際の熱可塑性エラストマーの溶融混練温度は、使用する熱可塑性エラストマーの種類などに応じて決めればよく、例えば熱可塑性エラストマーとして熱可塑性ポリウレタンを用いる場合は、一般に、160〜230℃の温度が採用される。
【0060】
次に、上記で形成した熱可塑性エラストマー無孔質層とポリウレタン発泡体層からなる2層構造体に対して、その2層構造体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層が固化する前に、熱可塑性ポリウレタン発泡体層側に繊維質基材を積層させて、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体を製造する。
2層構造体への繊維質基材の積層は、2層構造体におけるポリウレタン発泡体層が固化する前であればいずれの方法を採用して行っても、またいずれの段階で行ってもよいが、2層構造体におけるポリウレタン発泡体層中に形成された気泡が積層時の押圧などによって消失、崩壊、潰れたりせず、しかもポリウレタン発泡体層が粘着性を有していて繊維質基材との接着が強固に行われ得る方法および段階を採用して行うことが好ましい。
【0061】
限定されるものではないが、熱可塑性エラストマー無孔質層とポリウレタン発泡体層からなる2層構造体への繊維質基材の積層方法、ひいては積層体の製造法としては、例えば、
(i) 共押出しによって熱可塑性エラストマー無孔質層とポリウレタン発泡体層からなる2層構造体を形成させた後、その2層構造体をポリウレタン発泡体層が固化する前に繊維質基材と重ね合わせるのと同時に熱可塑性エラストマー無孔質層側に配置したロールと繊維質基材の背面側に配置したバックロールとの間の間隙を通して押圧して積層・一体化して積層体を製造する方法;
(ii) 共押出しによって熱可塑性エラストマー無孔質層とポリウレタン発泡体層からなる2層構造体を形成させた後、その2層構造体をポリウレタン発泡体層が固化する前に繊維質基材と重ね合わせ、その後のそれを熱可塑性エラストマー無孔質層側に配置したロールと繊維質基材層側に配置したバックロールとの間の間隙を通して押圧・一体化して積層体を製造する方法;
(iii) 共押出しによって熱可塑性エラストマー無孔質層とポリウレタン発泡体層からなる2層構造体を形成させた後、その2層構造体を熱可塑性エラストマー無孔質層側に配置したロール上に導き、次いでポリウレタン発泡体層が固化する前に繊維質基材と重ね合わせて繊維質基材側に配置したバックロールとで押圧・一体化して積層体を製造する方法;
(iv) 熱可塑性エラストマーと発泡性ポリウレタン組成物を共押出して2層構造体を製造すると同時に繊維質基材と重ね合わせ、次いでポリウレタン発泡体層が固化する前に熱可塑性エラストマー無孔質層側に配置したロールと繊維質基材の背面側に配置したバックロールとの間の間隙を通して押圧して積層・一体化して積層体を製造する方法;
などを挙げることができる。
【0062】
本発明では、上記した(i)〜(iv)の方法のいずれの方法を採用してもよい。そのうちでも、ポリウレタン発泡体層と繊維質基材層との間に空気の噛む混みが少なくて両層間の接着が強固に行われること、またポリウレタン発泡体層における気泡の消失、崩壊、潰れなどが効果的に防止できることから、上記した(i)の方法が好ましく採用される。
【0063】
そして、上記した本発明の製造方法を実施することによって、熱可塑性エラストマー無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体が得られる。
積層体を製造する際の、各層の厚さ、およびポリウレタン発泡体層の発泡倍率などは、積層体の用途などに応じて各々に適したものになるように調節するとよい。一般的には、積層体におけるポリウレタン発泡体層では、その厚さが50〜500μm程度であるのが好ましく、50〜300μm程度であるのがより好ましく、また発泡倍率[(発泡させる前の発泡性ポリウレタン組成物の比重)÷(発泡体の見掛け比重)]が約1.5〜4倍であるようにして積層体を製造するのが好ましい。ポリウレタン発泡体層の厚さおよび発泡倍率が前記した範囲であると、柔軟性および適度な弾力性のあるものとなって、積層体を引っ張ったり、折り曲げたりしたときに表面に低品位の皺や凹凸状態などが生じず高級感のある皮革様の積層体となり、しかも繊維質基材層と発泡体層との接合強度が大きくなり、層間剥離などが生じなくなる。
【0064】
また、熱可塑性エラストマー無孔質層の厚さは、皮革様の風合を積層体に付与し、しかも表面強度、ポリウレタン発泡体層との接着強度、屈曲に対する耐久性などを付与できる点から、10〜400μmになるようにするのが好ましく、30〜200μmになるようにするのがより好ましい。
熱可塑性エラストマー無孔質層が薄すぎると、得られる積層体の表面の耐摩耗性が低下し易くなる。一方、熱可塑性エラストマー無孔質層が厚すぎると、積層体の屈曲性が低下し、ゴム様の劣った風合となり、皮革様の風合が失われる傾向がある。熱可塑性エラストマー無孔質層には気泡が実質的に含まれていないことが必要であり、気泡があると、積層体表面の耐摩耗性、強度、平滑性が低下し、色斑等を発生し易くなる。
また、繊維質基材層の厚さは、上記したように、0.3〜3mm程度であるのが好ましく、0.5〜2.0mm程度であるのがより好ましい。
【0065】
さらに、本発明では、上記した方法で製造される積層体の熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に、エンボス模様、シボ模様などの凹凸加工および/または鏡面加工などを施してもよい。熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工を施した場合には、天然皮革に一層近似したエンボス模様やシボ模様などを積層体表面に出現させることができる。
一方、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に鏡面加工を施した場合には、エナメル調の光沢のある表面が積層体に付与される。
また、本発明では、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工および鏡面加工の両方を施してもよく、その場合には光沢のあるエナメル調の表面中に更に凹凸模様が施された状態になる。
【0066】
本発明において、積層体の熱可塑性エラストマー無孔質層表面にさらに凹凸加工および/または鏡面加工を施す場合は、その加工方法は特に制限されないが、例えば、
(a) 共押出して得られるポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体に繊維質基材を積層させる上記した(i)〜(iv)のいずれか方法を行うに当たって、ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体を繊維質基材と押圧下に積層・一体化するのと同時に、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工および/または鏡面加工を施す方法;
(b) 熱可塑性エラストマー無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層からなる積層体を製造した後に、熱可塑性エラストマー無孔質層が未だ固化しておらず賦形が可能な可塑化状態にある間に、熱可塑性エラストマー無孔質層表面に凹凸加工および/または鏡面加工を施す方法;
などにより行うことができる。
【0067】
そのうちでも、上記(a)の方法が、工程数が少なくてすみ、生産性が高い点から好ましい。そして、上記(a)の方法を採用する場合には、ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体と繊維質基材とを積層する際の押圧力を5〜15kg/cmのゲージ圧としておくと、ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体と繊維質基材層との接着が良好に行うことができ、しかも熱可塑性エラストマー無孔質層表面への凹凸加工および/または鏡面加工も円滑に行うことができる。
【0068】
そして、上記した(a)の方法、(b)の方法またはその他の方法によって熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工および/または鏡面加工を施すに当たっては、例えば、(イ)凹凸加工および/または鏡面加工を施したロールを熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に直接当接させて熱可塑性エラストマー無孔質層表面に凹凸および/または鏡面を形成する方法、(ロ)凹凸加工および/または鏡面加工を施してある離型性の加工シートを熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に当接させ該加工シートの背部からロールなどによって押圧して熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸および/または鏡面を形成させる方法などを採用することができる。
そして、離型性の加工シートを用いる上記(ロ)の方法を採用する場合は、該加工シートを取り替えるだけで、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に任意の凹凸パターンおよび/または鏡面状態を形成することができて便利である。
【0069】
そして、上記した(イ)および(ロ)のいずれの方法による場合にも、熱可塑性エラストマー無孔質層表面に接触させた凹凸および/または鏡面を形成するための表面加工ロールや離型性の加工シートを、熱可塑性エラストマー無孔質層がもはや流動しなくなってから熱可塑性エラストマー無孔質層から剥離させるようにすることが好ましい。もしそのようにせずに、熱可塑性エラストマー無孔質層が未だ流動性を有しているうちに表面加工ロールや離型性の加工シートを熱可塑性エラストマー無孔質層表面から剥離すると、熱可塑性エラストマー無孔質層表面に形成された凹凸および/または鏡面が熱可塑性エラストマー無孔質層の流動性によって崩れたり、消失したりして、鮮明な凹凸や、光沢に優れる鏡面が得られなくなる危険がある。
熱可塑性エラストマー無孔質層表面に凹凸および/または鏡面を形成させるための表面加工ロールや離型性の加工シートの背部に配置する押圧ロールとして内部に冷却液を循環するようにした形式のものを採用したり、該凹凸加工および/または鏡面加工を施す近辺に冷風を強制的に送って表面加工ロールや離型性の加工シートの熱可塑性エラストマー無孔質層からの剥離点付近を積極的に冷却する方法などを採用すると、凹凸加工および/または鏡面加工された熱可塑性エラストマー無孔質層が速やかに冷却されて、表面加工ロールや離型性の加工シートの剥離を早期に行うことができるので好ましい。
【0070】
ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体に繊維質基材を積層させるのに用いるロールおよび/または熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工および/または鏡面加工を行う際のロールとしては、熱可塑性エラストマー無孔質層に直接接触させて用いられるロールの場合は、一般に、金属製のロールが好ましく用いられる。
また、熱可塑性エラストマー無孔質層に直接接触させないで用いるバックロールや、上記した離型性の表面加工シートの背部に用いられるロールとしては、金属ロール、弾性体ロールなどのいずれもが使用可能であり、そのうちでも弾性体ロールを用いると押圧を安定して行うことができるので好ましい。
【0071】
また、本発明では、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に、耐摩耗性の向上、汚れ防止、深みのある色調の付与などの目的で、表面仕上げ剤や着色剤などをさらに施してもよい。
また、本発明では、積層体の用途などに応じて、場合により、繊維質基材層の下に他の層、例えばエラストマー層、ゴム層および/または合成樹脂層などをさらに設けるようにしてもよい。
【0072】
何ら限定されるものではないが、本発明の方法によって熱可塑性エラストマー無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体を製造する方法および装置として、例えば、図1に示すような方法および装置を採用することができる。図1の方法および装置による場合は、熱可塑性エラストマーを押出機2で溶融混練して溶融状態で共押出用ダイ1に供給し、それと同時に発泡性ポリウレタン組成物を押出機3で溶融混練して溶融状態で共押出用ダイ1に供給し、共押出用ダイ1の内部で熱可塑性エラストマーとポリウレタン発泡体(または発泡性ポリウレタン組成物)を層状に接合させると共に共押出用ダイ1から共押し出しして、熱可塑性エラストマー無孔質層Aとポリウレタン発泡体層Bからなる2層構造体をつくり、該2層構造体が固化する前に、2層構造体の熱可塑性エラストマー無孔質層Aをロール4に当接させ、一方弾性体バックロール5側から繊維質基材Cを供給すると共に2層構造体におけるポリウレタン発泡体層Bに当接させ、ロール4とバックロール5とで押圧・一体化させることによって、熱可塑性エラストマー無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体6が製造される。
図1に示す装置において、ロール4として、凹凸加工および/または鏡面加工を施してある金属ロールなどを用いると、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工および/または鏡面加工の施された積層体を得ることができる。
【0073】
本発明の方法により得られる積層体は、柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械的特性、触感などに優れており、しかもポリウレタン発泡体層を有していることによりクッション性、緩衝性、凹凸の発現性などにも優れており、それらの特性を活かして、天然皮革の代替素材として、椅子などの家具類や車両のシート、靴やブーツなどの履物、コート、ブレザー、スカート、ベストなどの衣類、各種ベルト、バック、カメラケース、財布、鞄などの鞄類や袋物、バレーボール、サッカーボールなどのスポーツ用品などの種々の分野に有効に使用することができる。
【0074】
【実施例】
以下に、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の例において、各種物性値の測定、および得られた積層体の物性の評価は次のようにして行った。
【0075】
[熱可塑性ポリウレタンの対数粘度]
n−ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有するN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、熱可塑性ポリウレタンを濃度0.5g/dlになるように溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて、その熱可塑性ポリウレタン溶液の温度30℃における流下時間を測定し、下記の数式により対数粘度を求めた。
【0076】
【数2】
熱可塑性ポリウレタンの対数粘度={ln(t/t0)}/c
[式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間(秒)、t0は溶媒の流下時間(秒)、そしてcは熱可塑性ポリウレタン溶液の濃度(g/dl)を示す。]
【0077】
[熱可塑性ポリウレタンの硬度]
熱可塑性ポリウレタンを射出成形(シリンダー温度180〜200℃、金型温度30℃)して直径120mm、厚さ2mmの円板状試験片を製造し、それを2枚重ね合わせたものを用いて、JIS K 6301に準拠してショアー硬度Aを測定した。
【0078】
[ポリウレタン発泡体層の発泡倍率]
以下の参考例、実施例または比較例で用いたのと同じ発泡性ポリウレタン組成物を単独で用いて参考例、実施例または比較例におけるのと同じ発泡条件で発泡ポリウレタンフフイルムを製造し、それにより得られた発泡ポリウレタンフイルムの見掛比重をJIS K 6767に準拠して測定して、(発泡させる前の発泡性ポリウレタン組成物の比重)を(発泡体ポリウレタンフイルムの見掛比重)で除して、発泡倍率を求めた。
【0079】
[積層体の表面の耐摩耗性]
テーパー式摩耗機(吸塵ユニット付)(東洋精機株式会社製「ロータリーアブレイションテスター」)を用いて、JIS L 1096 6.17.3に準拠して、積層体における熱可塑性エラストマー無孔質層(熱可塑性ポリウレタン無孔質層)の表面の摩耗減少量を測定した。
【0080】
[積層体の剥離強度]
積層体における熱可塑性エラストマー無孔質層(熱可塑性ポリウレタン無孔質層)を2液型ウレタン系接着剤を用いて支持体に接着し、25℃、65%RHで24時間放置した後、JIS K 6301に準拠して180度剥離強度を測定した。
【0081】
参考例1》
(1) 高分子ジオールとして3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸の縮合反応により得られたポリエステルジオール(PMPA)(数平均分子量1500)を用い、さらに1,4−ブタンジオール(BD)および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いて、PMPA:BD:MDI=1:1.4:2.4のモル比で、且つそれらの合計供給量が300g/分になるようにして、前記3者を定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行い、生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に押し出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを80℃で5時間除湿乾燥することにより、対数粘度が1.07dl/g、およびショアーA硬度が75の熱可塑性ポリウレタン(以下「PU−1」ということがある)を製造した。
【0082】
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−1)100重量部に対して、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル(75/25重量比)系共重合体[三菱レイヨン株式会社製「メタプレンP350A」;数平均分子量3,100,000]5重量部、黒色顔料ペレット(顔料濃度20重量%のポリエチレンペレット)5重量部、およびアゾジカルボンアミド系発泡剤(永和化成株式会社製「ビニホームAC#3」)1重量部を混合し、2軸押出機を用いて150〜160℃で溶融混練した後、水中に押し出し、ペレタイザーで切断して発泡性ポリウレタン組成物のペレットを製造した。
【0083】
(3) 上記(1)および(2)とは別に、上記(1)で用いたのと同じポリエステルジオール(PMPA)(数平均分子量1500)、1,4−ブタンジオール(BD)、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PMPA:BD:MDI=1:2.1:3.1のモル比で用いて、上記(1)と同様にして連続溶融重合を行い、生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に押し出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを80℃で5時間除湿乾燥することにより、対数粘度が1.09dl/g、およびショアーA硬度が85の熱可塑性ポリウレタン(以下「PU−2」ということがある)を製造した。
(4) 上記(3)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−2)100重量部に対して、上記(2)で用いたのと同じ黒顔料ペレット5重量部を混合して、無孔質層用の熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを調製した。
【0084】
(5) また別に、単繊維繊度2.5デニールのポリエステル繊維を用いて製造したポリエステル繊維絡合不織布(目付360g/m2)にポリウレタン弾性体(株式会社クラレ製「クラミロンU2195」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度95)を含浸させた厚さ1.3mm、目付455g/m2の繊維質基材を準備した(繊維質基材におけるポリエステル繊維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=8:2)。
【0085】
(6) 図1に示す方法および装置を採用して積層体を製造した。
すなわち、上記(4)で得られた無孔質層用の熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを押出機2(単軸押出機;65mmφ)に供給して180〜220℃で溶融混練して溶融状態で共押出用ダイ1(ダイ内接合タイプ;ダイリップ開度0.2mm;ダイ幅350mm;ダイ温度180℃)に供給し、同時に上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成物を押出機3(単軸押出機;65mmφ)に供給して170〜210℃で溶融混練して溶融状態で共押出用ダイ1に供給して共押出成形にして、共押出ダイ1からポリウレタン発泡体層Bと熱可塑性ポリウレタン無孔質層Aとからなるシート状の2層構造体をつくり、一方弾性体バックロール5側から上記(5)で準備した繊維質基材Cを供給して、上記の2層構造体におけるポリウレタン発泡体層Bに当接させ、ロール(毛穴シボ状の凹凸加工を施した金属製エンボスロール)4とバックロール5とで、線圧8kg/cmでコールドプレスして押圧・一体化させて、15m/分のラインスピードで、熱可塑性ポリウレタン無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で積層した積層体を製造した。
【0086】
(7) 上記(6)で得られた積層体では、ポリウレタン発泡体層Bの厚さが250μm、発泡倍率が2.0倍であり、熱可塑性ポリウレタン無孔質層の厚さが50μmであった。
また、上記した方法で上記(6)で得られた積層体の表面の摩耗減少量および剥離強度を測定したところ、摩耗減少量は7mgと小さく、剥離強度は16kg/25mmと大きく、耐摩耗性および耐剥離性に優れていた。
さらに、上記(6)で得られた積層体の品質を調べたところ、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸やシワなどが生じず、外観、風合、感触などに極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であった。
【0087】
参考例2》
(1) 高分子ジオールとしてポリテトラメチレングリコール(PTG)(数平均分子量1000)を用い、さらに1,4−ブタンジオール(BD)および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いて、前記3者をPTG:BD:MDI=1:0.6:1.6のモル比で且つそれらの合計供給量が300g/分になるようにして、参考例1の(1)と同様にして連続溶融重合を行い、生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に押し出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを80℃で5時間除湿乾燥することにより、対数粘度が1.05dl/g、およびショアーA硬度が75の熱可塑性ポリウレタン(以下「PU−3」ということがある)を製造した。
【0088】
(2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−3)100重量部に対して、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル(50/50重量比)系共重合体[三菱レイヨン株式会社製「メタプレンL1000」;数平均分子量300,000]8重量部、参考例1の(2)で使用したのと同じ黒色顔料ペレット3重量部、および参考例1の(2)で使用のと同じアゾジカルボンアミド系発泡剤1重量部を混合し、参考例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物のペレットを製造した。
【0089】
(3) 上記(1)および(2)とは別に、上記(1)で用いたのと同じポリテトラメチレングリコール(PTG)(数平均分子量1000)、1,4−ブタンジオール(BD)、および50℃で加熱溶融した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PTG:BD:MDI=1:1.2:2.2のモル比で用いて、上記(1)と同様にして連続溶融重合を行い、生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に押し出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレットを80℃で5時間除湿乾燥することにより、対数粘度が1.07dl/g、およびショアーA硬度が85の熱可塑性ポリウレタン(以下「PU−4」ということがある)を製造した。
(4) 上記(3)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−4)100重量部に対して、上記(2)で用いたのと同じ黒顔料ペレット5重量部を混合して、無孔質層用の熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを調製した。
【0090】
(5) また別に、単繊維繊度0.007デニールの極細ナイロン繊維を約300本収束した極細繊維束を用いて製造した極細ナイロン絡合不織布(目付300g/m2)にポリウレタン弾性体(株式会社クラレ製「クラミロンU9198」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度98)を含浸させた厚さ1.3mm、目付452g/m2の繊維質基材を準備した(繊維質基材における極細ナイロン繊維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=6:4)。
【0091】
(6) 上記(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成物のペレット、上記(4)で得られた無孔質層用の熱可塑性ポリウレタン組成物のペレット、および上記(5)で準備した繊維質基材を用いて、図1の方法および装置により、参考例1の(6)と全く同様にして、熱可塑性ポリウレタン無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で積層した積層体を製造した。
【0092】
(7) 上記(6)で得られた積層体では、ポリウレタン発泡体層Bの厚さが230μm、発泡倍率が1.9倍であり、熱可塑性ポリウレタン無孔質層の厚さが55μmであった。
また、上記した方法で上記(6)で得られた積層体の表面の摩耗減少量および剥離強度を測定したところ、摩耗減少量は6mgと小さく、剥離強度は14kg/25mmと大きく、耐摩耗性、および耐剥離性に優れていた。
さらに、上記(6)で得られた積層体の品質を調べたところ、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸やシワなどが生じず、外観、風合、感触などに極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であった。
【0093】
参考例3》
(1) 参考例1の(2)において、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル(75/25重量比)系共重合体(メタプレンP350A)の代わりに、参考例2の(2)で用いたメタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル(50/50重量比)系共重合体(メタプレンL1000)を用いた以外は、参考例1と全く同様にして、熱可塑性ポリウレタン無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で積層した積層体を製造した。
(2) 上記(1)で得られた積層体では、ポリウレタン発泡体層Bの厚さが240μm、発泡倍率が1.9倍であり、そして熱可塑性ポリウレタン無孔質層の厚さが50μmであった。また、上記した方法で上記(1)で得られた積層体の表面の摩耗減少量および剥離強度を測定したところ、摩耗減少量は7mgと小さく、剥離強度は15kg/25mmと大きく、耐摩耗性および耐剥離性に優れていた。
さらに、上記(1)で得られた積層体の品質を調べたところ、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸やシワなどが生じず、外観、風合、感触などに極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であった。
【0094】
《実施例
(1) 参考例1の(2)においてメタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル(75/25重量比)系共重合体(メタプレンP350A)を用いなかった以外は、参考例1と全く同様にして、熱可塑性ポリウレタン無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で積層した積層体を製造した。
(2) 上記(1)で得られた積層体では、ポリウレタン発泡体層Bの厚さが270μm、発泡倍率が2.1倍であり、そして熱可塑性ポリウレタン無孔質層の厚さが50μmであった。また、上記した方法で上記(1)で得られた積層体の表面の摩耗減少量および剥離強度を測定したところ、摩耗減少量は8mgと小さく、剥離強度は12kg/25mmと大きく、耐摩耗性および耐剥離性に優れていた。
さらに、上記(1)で得られた積層体の品質を調べたところ、柔軟性に優れ、外観も天然皮革の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有しており、引っ張ったり、折り曲げたときに表面に低品位の凹凸やシワなどが生じず、外観、風合、感触などに極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であった。
【0095】
《比較例1》
(1) 参考例1の(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−1)100重量部に対して、参考例1の(2)で用いたのと同じ黒色顔料ペレット5重量部およびアゾジカルボンアミド系発泡剤1重量部を混合し、参考例1の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物のペレットを製造した。
(2) 参考例1の(5)で準備したのと同じ繊維質基材を、弾性体バックロールと鏡面加工を施した金属製ロールとの間に通して供給すると共に、上記(1)で得られた発泡性ポリウレタン組成物のペレットを単軸押出機(65mmφ)に供給して170〜210℃の温度で溶融混練してそのTダイ(ダイリップ開度0.2mm;ダイ幅350mm;ダイ温度180℃)からシート状に押し出し発泡させたものを溶融状態にある間に上記した弾性体バックロールと鏡面加工を施した金属製ロールとの間に供給して繊維質基材上に積層させて線圧8kg/cmでコールドプレスして、繊維質基材層上にポリウレタン発泡体層(発泡倍率2.1倍、厚さ280μm)が形成された2層構造体を製造した。
【0096】
(3) 上記(2)で得られた2層構造体を弾性体バックロールと毛穴シボ状凹凸加工を施した金属製ロールとの間に供給して、さらに参考例1の(4)で得られた無孔質層用の熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを単軸押出機(65mmφ)に供給して170〜220℃の温度で溶融混練してそのTダイ(ダイリップ開度0.2mm;ダイ幅350mm;ダイ温度180℃)からシート状に押し出して上記した弾性体バックロールと毛穴シボ状凹凸加工を施した金属製ロールとの間に供給して溶融状態にある間に上記2層構造体におけるポリウレタン発泡体層上に積層させて線圧8kg/cmでコールドプレスして、15m/分のラインスピードで、熱可塑性ポリウレタン無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で積層した積層体を製造した。
【0097】
(3) その結果、ポリウレタン発泡体を押出機のダイから押出発泡させた直後から、そしてポリウレタン発泡体を繊維質基材上に積層させる際に、ポリウレタン発泡体層の内部および表面に気泡の巨大化、潰れ、破裂などが生じて、ポリウレタン発泡体層の表面は凹凸の大きな粗悪な状態を示し、しかもポリウレタン発泡体層の内部でも気泡が粗大で不均一であった。
さらに、最終的に得られた積層体においても、その表面の熱可塑性ポリウレタン無孔質層は、その下のポリウレタン発泡体層の粗悪な表面状態の影響を受けて、エンボスロールによるシボ模様が充分に形成されず、そのシボ模様の凸部の角が崩れたシボ流れの生じた状態になっており、鮮明なシボ模様が形成されなかった。また、その積層体は一体感に乏しく柔軟性に欠ける硬い風合であった。
また、得られた積層体の表面の摩耗減少量および剥離強度を測定したところ、摩耗減少量は22mgと大きく、剥離強度は5kg/25mmと小さく、耐摩耗性および耐剥離性に劣ったものであり、熱可塑性ポリウレタン無孔質層とポリウレタン発泡体層との間に界面剥離が生じており、極めて不良な品質であった。
【0098】
《比較例2》
(1) 参考例2の(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン(PU−3)100重量部に対して、参考例2の(2)で用いたのと同じ黒色顔料ペレット5重量部およびアゾジカルボンアミド系発泡剤1重量部を混合し、参考例2の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物のペレットを製造した。
(2) 参考例2の(5)で準備したのと同じ繊維質基材を、弾性体バックロールと鏡面加工を施した金属製ロールとの間に通して供給すると共に、上記(1)で得られた発泡性ポリウレタン組成物のペレットを単軸押出機(65mmφ)に供給して170〜210℃の温度で溶融混練してそのTダイ(ダイリップ開度0.2mm;ダイ幅350mm;ダイ温度180℃)からシート状に押し出し発泡させたものを溶融状態にある間に上記した弾性体バックロールと鏡面加工を施した金属製ロールとの間に供給して繊維質基材上に積層させて線圧8kg/cmでコールドプレスして、繊維質基材層上にポリウレタン発泡体層(発泡倍率2.1倍、厚さ290μm)が形成された2層構造体を製造した。
【0099】
(3) 上記(2)で得られた2層構造体を弾性体バックロールと毛穴シボ状凹凸加工を施した金属製ロールとの間に供給して、さらに参考例2の(4)で得られた無孔質層用の熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを単軸押出機(65mmφ)に供給して170〜220℃の温度で溶融混練してそのTダイ(ダイリップ開度0.2mm;ダイ幅350mm;ダイ温度180℃)からシート状に押し出して上記した弾性体バックロールと毛穴シボ状凹凸加工を施した金属製ロールとの間に供給して溶融状態にある間に上記2層構造体におけるポリウレタン発泡体層上に積層させて線圧8kg/cmでコールドプレスして、15m/分のラインスピードで、熱可塑性ポリウレタン無孔質層/ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で積層した積層体を製造した。
【0100】
(3) その結果、ポリウレタン発泡体を押出機のダイから押出発泡させた直後から、そしてポリウレタン発泡体を繊維質基材上に積層させる際に、ポリウレタン発泡体層の内部および表面に気泡の巨大化、潰れ、破裂などが生じて、ポリウレタン発泡体層の表面は凹凸の大きな粗悪な状態を示し、しかもポリウレタン発泡体層の内部でも気泡が粗大で不均一であった。
さらに、最終的に得られた積層体においても、その表面の熱可塑性ポリウレタン無孔質層は、その下のポリウレタン発泡体層の粗悪な表面状態の影響を受けて、エンボスロールによるシボ模様が充分に形成されず、そのシボ模様の凸部の角が崩れたシボ流れの生じた状態になっており、鮮明なシボ模様が形成されなかった。また、その積層体は一体感に乏しく柔軟性に欠ける硬い風合であった。
また、得られた積層体の表面の摩耗減少量および剥離強度を測定したところ、摩耗減少量は20mgと大きく、剥離強度は7kg/25mmと小さく、耐摩耗性および耐剥離性に劣ったものであり、熱可塑性ポリウレタン無孔質層とポリウレタン発泡体層との間に界面剥離が生じており、極めて不良な品質であった。
【0101】
【発明の効果】
本発明の方法による場合は、大きさの揃った微細な気泡が斑なく均一に分布している熱可塑性ポリウレタン発泡体層を熱可塑性エラストマー無孔質層と繊維質基材層との中間に有し、耐摩耗性に優れる無孔質層を表面に有し且つ機械的強度に優れる繊維質基材層を有する、各層間の接着強度が高くて層間剥離がなく、耐摩耗性に優れ、しかも柔軟性、耐摩耗性、力学的特性、弾力性、クッション性、緩衝性などの点でも優れていて、引っ張ったり、折り曲げたりしたときに低品位の皺や凹凸の生じない、高級感のある外観、風合、感触を有する、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体を円滑に製造することができる。
【0102】
そして、本発明による場合は、発泡性ポリウレタン組成物と熱可塑性エラストマーを溶融下に共押出して2層構造体をつくり、その2層構造体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層の固化前に熱可塑性ポリウレタン発泡体層側に繊維質基材を積層するという一連の工程を行うことによって、上記した優れた特性を有する高品質の、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体を、極めて簡単な操作および装置により、生産性よく製造することができる。
さらに、本発明による場合は、環境上や安全性などの点で大きな問題になっている有機溶剤やフロンガス発泡剤などを使用することなく、良好な作業環境下に上記した特徴を有する積層体を安全に製造することができる。
そして、本発明において、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体における熱可塑性エラストマー無孔質層が固化する前に、該熱可塑性エラストマー無孔質層に凹凸加工および/または鏡面加工を施す工程をさらに行う場合には、熱可塑性エラストマー無孔質層の表面に凹凸加工および/または鏡面加工が施された、天然皮革などに一層近い積層体や、光沢があって装飾効果に優れる積層体を簡単に且つ円滑に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で好ましく採用される製造工程および製造装置の代表例を示す図である。
【符号の説明】
A 熱可塑性エラストマー無孔質層
B ポリウレタン発泡体層
C 繊維質基材
1 共押出用ダイ
2 押出機
3 押出機
4 ロール
5 弾性体バックロール
6 積層体

Claims (3)

  1. 熱分解型発泡剤を含有し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を含有しない熱可塑性ポリウレタンから主としてなる発泡性ポリウレタン組成物と、熱可塑性エラストマーを、溶融下に共押出して、熱可塑性ポリウレタン発泡体層と熱可塑性エラストマー無孔質層からなる2層構造体をつくり、該2層構造体における熱可塑性ポリウレタン発泡体層が固化する前に熱可塑性ポリウレタン発泡体層側に繊維質基材を積層させて、熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体を製造する方法。
  2. 熱可塑性エラストマー無孔質層/熱可塑性ポリウレタン発泡体層/繊維質基材層の順で少なくとも積層している積層体における熱可塑性エラストマー無孔質層が固化する前に、該熱可塑性エラストマー無孔質層に凹凸加工および/または鏡面加工を施すことからなる請求項1の方法。
  3. 無孔質層用の熱可塑性エラストマーとして、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、または熱可塑性ポリウレタンエラストマーと他の熱可塑性エラストマーとを含む重合体組成物を用いる請求項1または2の方法。
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