JPH11256031A - 発泡性ポリウレタン組成物および発泡体 - Google Patents

発泡性ポリウレタン組成物および発泡体

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JPH11256031A
JPH11256031A JP5946998A JP5946998A JPH11256031A JP H11256031 A JPH11256031 A JP H11256031A JP 5946998 A JP5946998 A JP 5946998A JP 5946998 A JP5946998 A JP 5946998A JP H11256031 A JPH11256031 A JP H11256031A
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layer
foam
laminate
thermoplastic polyurethane
polyurethane
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JP5946998A
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English (en)
Inventor
Shunji Kaneda
俊二 金田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 大きさの揃った微細な気泡が発泡体内部に均
一に分布し、表面に荒れや凹凸模様がなく、外観に優
れ、柔軟性、機械的特性、耐摩耗性にも優れる熱可塑性
ポリウレタン系発泡体、該発泡体層を有する積層体を、
安全に生産性良く製造する。 【解決手段】 熱可塑性ポリウレタン(I)、芳香族ビ
ニル化合物共役ジエンブロック共重合体及び/又はその
水素添加物(II)からなり、(I)/(II)の重量比が
70/30〜100/0である組成物100重量部に対
して、Mnが100,000以上の(メタ)アクリル酸
アルキルエステル系重合体(III)を1〜30重量部、
並びに熱分解性発泡剤(IV)を含有する発泡性ポリウレ
タン組成物を使用。(I)が、Mnが800〜800
0、水酸基が2.005〜2.06(個/分子)である
高分子ポリオール(aモル)、有機ジイソシアネート
(bモル)及び鎖伸長剤(cモル)を、0.99≦b/
(a+c)≦1.05を満足する割合で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡性ポリウレタ
ン組成物、該発泡性ポリウレタン組成物から得られる発
泡体、並びに前記の発泡体層を有する積層体およびその
製造方法に関する。本発明によれば、大きさの揃った微
細な気泡が発泡体内部にムラなく均一に分布しており、
表面状態が良好で外観に優れ、しかも柔軟性、力学的特
性などにも優れる高品位の熱可塑性ポリウレタン発泡体
を、環境や安全性などの点で大きな問題になっているフ
ロンガスや有機溶剤などを使用することなく、円滑に、
且つ高い生産性で提供することができる。さらに、本発
明によれば、前記した優れた特性を有する発泡体層を有
し、且つ層間の剥離強度や耐摩耗性などの点においても
優れる高級感のある積層体を提供することができる。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン発泡体またはポリウレタン
多孔質体の製法としては、従来、(1)ポリウレタン原
料に水を添加し、原料中のイソシアネート成分と水との
反応により炭酸ガスを発生させながら、ポリウレタンの
形成および発泡を行ってポリウレタン発泡体を製造する
方法;(2)ポリウレタン用原料にフロンガスのような
フッ素系膨張剤を添加して、ポリウレタンの形成および
発泡を行ってポリウレタン発泡体を製造する方法;
(3)熱可塑性ポリウレタンに熱分解型発泡剤を添加
し、ポリウレタンを加熱溶融すると共に発泡剤を熱分解
させガスを発生させて発泡体を製造する方法;(4)ポ
リウレタンを有機溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布
し、ポリウレタンの非溶剤中で湿式凝固して、ポリウレ
タン多孔質体を製造する方法;(5)ポリウレタンを有
機溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、溶剤を乾燥
除去してポリウレタン多孔質層を形成する方法;などが
一般に採用されている。
【0003】しかしながら、上記(1)の従来法では、
発泡度が大きくなり、その結果、発泡体の気泡膜が薄く
なるため、小さな圧縮応力で気泡膜が崩壊し、変形が生
じ易いという欠点がある。そして、気泡膜の崩壊を防止
しようとして水の添加量を少なくして発泡度を小さくす
ると、気泡の大きさが不均一になり、品質の良好な発泡
体が得られにくい。上記(2)の従来法では、地球環境
の破壊などの点から近年その使用が規制されているフロ
ンガスなどのフッ素系膨張剤が使用されている。 上記
(3)の従来法では、熱分解型発泡剤を分解させるのに
適した温度では、ポリウレタンの溶融粘度が著しく低い
ため、熱分解型発泡剤の分解によって発生したガスを充
分に保持できず、気泡サイズの巨大化や不均一化、気泡
膜の破裂などが生じ易い。その結果、得られるポリウレ
タン発泡体は、その表面に凹凸模様が多く発生して粗悪
なものになり易く、発泡体の内部構造も粗大で不揃いな
気泡が不均一に分布した状態となり、力学的特性にも劣
ったものとなる。特に、溶融押出発泡成形で発泡フィル
ムや発泡シートなどの薄物を製造する場合には、押出機
のダイ付近でフィルムやシートの破れが発生することが
多く、押出発泡成形を円滑に行うことができない。上記
(4)の湿式凝固法または上記(5)の乾式凝固法によ
る場合は、多孔質体層の厚さが厚いもの(例えば1mm
以上のもの)の場合に、ポリウレタンの凝固に長い時間
を要し、そのために生産性が低く、工業的規模で製造す
るにはコスト高となる。さらに、上記(4)および
(5)の従来法では、いずれもポリウレタンを有機溶剤
に溶解した溶液を用いるために、有機溶剤の使用に伴う
作業環境の悪化を生じ、安全面や衛生面で問題がある。
しかも使用した有機溶剤の回収や処理のための工程や施
設などが必要であり、製造工程が複雑になり、コスト高
となる。
【0004】ところで、熱可塑性ポリウレタンは、その
柔軟性、弾性、耐摩耗性などの特性を活かして種々の分
野で汎用されており、例えば、ポリウレタン層を特定の
基材上に積層してなる積層体として多く用いられてい
る。ポリウレタン層を有する積層体のうちでも、繊維質
基材上に熱可塑性ポリウレタン層を積層してなる積層体
は、天然皮革様の外観、触感、風合いなどを有している
ことから、合成皮革または人造皮革として、履物、衣料
分野、袋物や鞄などの用途で汎用されている。
【0005】従来、合成皮革様の熱可塑性ポリウレタン
積層体の製造方法としては、(イ)離型紙上に熱可塑性
ポリウレタンを有機溶剤に溶解した溶液を塗布し、乾燥
して、ポリウレタンフイルムを形成した後、該フイルム
を編織布または不織布からなる繊維質基材の表面に接着
剤で貼り合わせてから離型紙を剥離する方法(乾式
法);(ロ)編織布または不織布からなる繊維質基材の
表面に、熱可塑性ポリウレタン溶液を塗布した後、湿式
凝固法または乾式凝固法により多孔質の熱可塑性ポリウ
レタン層を形成し、その上に着色剤を含む樹脂溶液を塗
布・乾燥して着色層を形成した後、エンボスロールで凹
凸模様を形成する方法;などが広く知られている。さら
に、上記(イ)および(ロ)に挙げた従来法以外にも、
合成皮革様の積層体の製造方法として、例えば、(ハ)
基材上に設けた合成樹脂層の表面に、合成樹脂を膜状に
溶融押出してスキン層を積層すると共に、そのスキン層
表面をエンボス加工して天然皮革様のスキン層とする方
法(特開昭53−62803号公報参照);(ニ)基材
上に形成した金属蒸着層にT−ダイから押出した熱可塑
性ポリウレタン溶融体を積層して皮革様シートを製造す
る方法(特開昭62−282078号公報参照);
(ホ)合成繊維布帛の表面にシランカップリング剤を予
め付与しておき、その上に熱可塑性樹脂を溶融押出して
圧着し、布帛と熱可塑性樹脂層との接着強度を向上させ
た積層体を製造する方法(特開平2−307986号公
報参照);などが提案されている。
【0006】しかしながら、上記(イ)および(ロ)の
従来法による場合は、上記した(4)および(5)の従
来の多孔質体の製造法による場合と同様に、ポリウレタ
ンの有機溶剤に溶解した溶液を用いるために、有機溶剤
の使用に伴う作業環境の悪化を伴い、安全性および衛生
性などの点で問題がある。さらに、使用した有機溶媒の
回収や処理のための工程や設備が必要となり、製造工程
が複雑になってコスト高となる。その上、上記(ロ)の
従来法による場合は、ポリウレタン表面層の凝固に長い
時間を要するため、製造速度を高めることができず、結
果的に製造コストが高くならざるを得ないという点で問
題がある。上記(ハ)〜(ホ)の従来法による場合は、
得られた積層体を引っ張ったり、折り曲げたりした際
に、表面に低品位のシワなどの凹凸模様が出現したり、
スキン層の剥離や基材と表面層との剥離が生じ易いなど
の欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大き
さの揃った微細な気泡が発泡体内部にムラなく均一に分
布しており、表面状態が良好で外観に優れ、しかも柔軟
性、力学的特性などにも優れる熱可塑性ポリウレタン発
泡体を、環境上や安全面などの点で問題になっているフ
ロンガスや有機溶剤などを使用せずに、円滑に、且つ生
産性よく製造することのできる発泡性ポリウレタン組成
物を提供することである。そして、本発明の目的は、上
記した高品位のポリウレタン発泡体を提供することであ
る。さらに、本発明の目的は、繊維質基材層、上記した
優れた特性を有するポリウレタン発泡体層および熱可塑
性エラストマー無孔質層を有し、しかも繊維質基材層や
無孔質層とポリウレタン発泡体層との層間剥離がなく、
且つ良好な耐摩耗性を有していて耐久性に優れ、その
上、特に柔軟性に富む高級感のある銀面層付きの積層体
およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者は研究を行い、熱分解型発泡剤を用いる上記
(3)の従来法が、有機溶剤やフロンガスなどの環境悪
化成分を使用しないですみ、生産性が高いなどの点で優
れていることに着目して、この(3)の従来法の上記し
た種々の問題点を解決すべく、素材面、成形面などから
更に種々検討を重ねた。その結果、熱可塑性ポリウレタ
ンに熱分解型発泡剤を添加し、加熱溶融下に発泡剤を分
解させて発泡体を製造するに当たって、1分子当たりの
水酸基の数が2.005〜2.06個である高分子ポリ
オール、有機ジイソシアネート、および鎖伸長剤からな
る熱可塑性ポリウレタン(I)、芳香族ビニル化合物重
合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとからなるブ
ロック共重合体およびその水素添加物からなる群から選
ばれる少なくとも1種(II)並びに数平均分子量が10
0,000以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
系重合体(III)を特定の割合で配合し、得られた組成
物に熱分解型発泡剤(IV)を配合した発泡性ポリウレタ
ン組成物を用いると、その溶融弾性、溶融伸度が発泡に
極めて適したものとなり、発泡剤によって発生したガス
が溶融物中に充分に、且つ均一に斑なく保持されて、微
細で且つ大きさの揃った気泡が発泡体全体に均一に分布
しており、発泡体内部および発泡体表面において気泡膜
の破裂や気泡サイズ斑による凹凸模様の発生などのな
い、高品位のポリウレタン発泡体が得られることを見出
した。そして、得られるポリウレタン発泡体は、良好な
発泡構造によって力学的特性や外観にも優れており、更
に柔軟性などの点でも極めて優れており、それらの諸特
性を活かして広範囲な分野に有効に使用できることを見
出した。
【0009】さらに、本発明者は、上記の発泡性ポリウ
レタン組成物を用いて溶融押出発泡成形を行うと、押出
機のダイ付近での押出物の破壊などを生ずることなく、
用途などに応じて、厚い発泡体から薄い発泡体まで適宜
円滑に製造でき、発泡フィルムや発泡シートなどの発泡
製品を、良好な工程性で生産性よく製造できることを見
出した。
【0010】さらに、本発明者は、上記の発泡性ポリウ
レタン組成物より得られる発泡体層を繊維質基材層の表
面に設け、更にその発泡体層の上に熱可塑性エラストマ
ーよりなる無孔質層を設けた積層体は、耐摩耗性、柔軟
性、触感、風合いなどの特性に優れており、天然皮革に
極めて近似した性質を有しており、合成皮革または人造
皮革などとして種々の用途に有効に使用し得ることを見
出した。
【0011】さらに、本発明者は、上記の発泡性ポリウ
レタン組成物を溶融押出発泡成形することによって、上
記の積層体を、良好な工程性で生産性よく製造できるこ
とを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完
成させた。
【0012】すなわち、本発明は、熱可塑性ポリウレタ
ン(I)、芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジ
エン重合体ブロックとからなるブロック共重合体および
その水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも1種
(II)、数平均分子量が100,000以上の(メタ)
アクリル酸アルキルエステル系重合体(III)、並びに
熱分解型発泡剤(IV)からなる発泡性ポリウレタン組成
物であって;成分(I)/成分(II)の重量比が70/
30〜100/0であり;成分(I)と成分(II)の合
計の重量/成分(III)の重量の比が100/1〜10
0/30であり;熱可塑性ポリウレタン(I)が、数平
均分子量が800〜8,000で1分子当たりの水酸基
の数が2.005〜2.06個である高分子ポリオー
ル、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を、下記の数
式(1): 0.99≦b/(a+c)≦1.05 (1) (式中、aは高分子ポリオールのモル数、bは有機ジイ
ソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を示
す。)を満足する割合で反応させて得られるものであ
る;ことを特徴とする発泡性ポリウレタン組成物に関す
る。
【0013】次に本発明は、上記の発泡性ポリウレタン
組成物を用いて、溶融押出発泡成形を行うことにより得
られるポリウレタン発泡体に関する。
【0014】また本発明は、繊維質基材層(A)の表面
に、熱可塑性ポリウレタン組成物からなる発泡体層
(B)を有し、その上に熱可塑性エラストマーからなる
無孔質層(C)を有し、且つ該無孔質層(B)の表面に
凹凸模様および/または鏡面模様が存在している積層体
であって、該発泡体層(B)が上記の発泡体から形成さ
れていることを特徴とする積層体に関する。
【0015】さらに、本発明は、上記の発泡性ポリウレ
タン組成物を膜状に溶融押出発泡成形し、流動性を有し
ている内に繊維質基材層(A)の表面に押し付けて接着
することにより、繊維質基材層(A)の表面に発泡体層
(B)を形成し、次に、熱可塑性エラストマーを膜状に
溶融押出成形し、流動性を有している内に発泡体層
(B)の表面に押し付けて接着することにより、発泡体
層(B)の表面に無孔質層(C)を形成するとともに、
無孔質層(C)が流動性を有している内に、無孔質層
(C)の表面を型押しして凹凸模様および/または鏡面
模様を形成することを特徴とする積層体の製造方法に関
する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる熱可塑性ポリ
ウレタン(I)は、加熱溶融し得るポリウレタンであっ
て、数平均分子量が800〜8,000であり1分子当
たりの水酸基の数が2.005〜2.06個である高分
子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を
特定の割合で反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン
である。
【0017】熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い
られる高分子ポリオールは、数平均分子量が800〜
8,000である必要があり、さらに900〜6,00
0のものが好ましい。このような数平均分子量の高分子
ポリオールを用いると、得られる熱可塑性ポリウレタン
の機械的強度や成形性が良好になり、ひいては本発明の
発泡体、およびその発泡体層を有する積層体の機械的強
度や成形性がより良好となる。なお、本明細書でいう高
分子ポリオールの数平均分子量は、いずれもJIS K
1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出
した数平均分子量を意味する。
【0018】熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い
られる高分子ポリオールは、1分子当たりの水酸基の数
が2.005〜2.06の範囲内であることが必要であ
り、2.01〜2.04の範囲内であることが好まし
い。高分子ポリオールの1分子当たりの水酸基の数が
2.005個未満の場合には、発泡性ポリウレタン組成
物の溶融粘度(溶融弾性)が気泡の保持に適当なものに
ならず、気泡の粗大化や破裂などが生じて、大きさの揃
った微細な気泡が斑なく分布している発泡体を形成する
ことができなくなり、しかも発泡体や発泡体層の表面に
凹凸模様や荒れが発生して、外観が不良になる傾向にあ
る。特に、厚さの薄い発泡フィルムや発泡層では、その
ような表面の凹凸模様や荒れの発生が著しくなる傾向に
ある。一方、1分子当たりの水酸基の数が2.06個よ
り大きいと、得られるポリウレタンの溶融粘度が高くな
るため、他の配合樹脂との混練性が劣ったものになる。
【0019】熱可塑性ポリウレタン(I)を構成する高
分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオ
ール、ポリエーテルポリオールを用いるのが好ましい。
【0020】ポリエステルポリオールとしては、ジカル
ボン酸、そのエステル、無水物などのエステル形成性誘
導体からなるジカルボン酸成分と低分子ポリオール成分
とを直接エステル化反応またはエステル交換反応させる
ことにより製造することができる。
【0021】ポリエステルポリオールの製造に用いられ
るジカルボン酸成分としては、例えば、グルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ドデカンジカルボン酸、2−メチルコハク
酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3
−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,
8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸
などの炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸;テレフタ
ル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸;またはそれらのエステル形成性誘導体などを
挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を
用いることができる。そのうちでも、ジカルボン酸成分
としては、炭素数5〜12の脂肪族ジカルボン酸が、得
られる発泡体やその発泡体層を有する積層体の柔軟性、
力学的物性が優れる点から好ましく用いられ、特に、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸がより好ましく用
いられる。
【0022】ポリエステルポリオールの製造に用いられ
る低分子ポリオール成分としては、例えば、エチレング
リコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル
−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオー
ル、1,10−デカンジオールなどの1分子中に1級水
酸基を2個含有する低分子脂肪族ジオール;グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペ
ンタエリスリトール、ジグリセリン、メチルグリコキシ
ドなどの1分子中に水酸基を3個以上含有する低分子ポ
リオールなどを挙げることができ、これらのうちの1種
または2種以上を含ませることができる。そのうちで
も、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの含有割合
が50モル%以上である低分子ジオール成分が、得られ
る発泡体やその発泡体層を有する積層体の柔軟性、反発
弾性が良好なことから好ましい。更に低分子ポリオール
として3官能のトリメチロールプロパンを併用すると、
発泡に適した溶融弾性、溶融伸度が得られることから好
ましい。ポリエステルポリオールの1分子当たりの水酸
基の数を2.005〜2.06個とする方法としては、
例えば、(1)ポリエステルポリオールを構成する低分
子ポリオール成分として、1分子中に1級水酸基を2個
有する低分子ジオール成分と、1分子中に水酸基を3個
以上有する低分子ポリオール成分とを、ポリエステルポ
リオールの1分子当たりの水酸基の数が上記の範囲内に
なるように任意の割合で併用する方法;あるいは、
(2)1分子当たり水酸基を2個有する高分子ジオール
と、1分子当たりの水酸基を2個より多く有するポリエ
ステルポリオールとを、ポリエステルポリオールの1分
子当たりの水酸基の数が上記の範囲内になるように任意
の割合で併用する方法などを挙げることができる。
【0023】また、高分子ポリオールとして用いること
のできるポリエーテルポリオールの例としては、好まし
くは少量の3官能以上の低分子ポリオールの存在下に、
低分子ジオール成分を重合して得られるポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコールなどを挙げることができ、これらのうち
1種または2種以上を用いることができる。そのうちで
も、1分子当たりの水酸基が2個よりも僅かに多いポリ
テトラメチレングリコールが、得られる発泡体や発泡体
層を有する積層体の柔軟性、耐加水分解性が良好な点か
ら好ましい。
【0024】熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い
られる有機ジイソシアネートの種類は特に制限されず、
熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている
有機ジイソシアネートのいずれもが使用できる。そのう
ちでも、数平均分子量が500以下の芳香族ジイソシア
ネート、脂環式ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシ
アネートのうちの1種または2種以上が好ましく用いら
れる。有機ジイソシアネートの例としては、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジ
イソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネートなどを挙げることができ、これらのうち
1種または2種以上を用いることができる。そのうちで
も、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが、
得られる発泡体および発泡体層を有する積層体の力学的
特性が良好な点から好ましく用いられる。
【0025】熱可塑性ポリウレタン(I)の製造に用い
られる鎖伸長剤の種類は特に制限されず、熱可塑性ポリ
ウレタンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のい
ずれもが使用できる。そのうちでも、鎖伸長剤として
は、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子
中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物が
好ましく用いられる。そのような鎖伸長剤の例として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4
−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジ
オール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、
ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、ト
リレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒド
ラジン、イソフタル酸ジヒドラジンなどのジアミン類;
アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールな
どのアミノアルコール類などが挙げられ、これらの1種
または2種以上を用いることができる。そのうちでも、
炭素数2〜10の脂肪族ジオールが、発泡体および発泡
体層を有する積層体の力学的特性が良好な点から好まし
く用いられ、特に1,4−ブタンジオールがより好まし
く用いられる。
【0026】そして、本発明では、熱可塑性ポリウレタ
ン(I)として、上記した高分子ポリオール、有機ジイ
ソシアネートおよび鎖伸長剤を、下記の数式(1)を満
足する割合で反応させて得られる熱可塑性ポリウレタン
を用いる必要がある。
【0027】 0.99≦b/(a+c)≦1.05 (1) (式中、aは高分子ポリオールのモル数、bは有機ジイ
ソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を示
す。)
【0028】上記の数式(1)を満足するようにして製
造された熱可塑性ポリウレタンは、溶融発泡性、特に溶
融押出発泡性、力学的特性、耐摩耗性などの点で優れて
おり、その結果、発泡状態、力学的特性などが良好な発
泡体および発泡体層を有する積層体を与える。
【0029】熱可塑性ポリウレタン(I)の製造法は特
に制限されず、上記した高分子ポリオール、有機ジイソ
シアネート、鎖伸長剤および必要に応じて他の成分を使
用し、公知のウレタン化反応技術を利用して、プレポリ
マー法またはワンショット法により製造することができ
る。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合
する方法、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶
融重合する方法が好ましく用いられる。
【0030】熱可塑性ポリウレタン(I)としては、そ
の硬度(JIS−A硬度)が55〜80のものを用いる
のが好ましく、60〜75のものを用いるのがより好ま
しい。このような硬度の熱可塑性ポリウレタンを用いる
と、機械的強度や柔軟性に優れる発泡体および発泡体層
を有する積層体が得られるので好ましい。
【0031】熱可塑性ポリウレタン(I)としては、そ
の対数粘度が0.5〜2.0dl/gのものを用いるの
が好ましく、0.8〜1.8dl/gのものを用いるの
がより好ましい。このような対数粘度の熱可塑性ポリウ
レタンを用いると、発泡に適した熱可塑性ポリウレタン
組成物を得ることができ、力学的特性、耐摩耗性などの
特性が一層良好な発泡体、および発泡体層を有する積層
体が得られるので好ましい。なお、本明細書でいう熱可
塑性ポリウレタンの対数粘度は、n−ブチルアミンを
0.05モル/リットルの割合で含有するN,N−ジメ
チルホルムアミド溶液に、熱可塑性ポリウレタンを濃度
0.5g/dlになるように溶解し、30℃で測定した
ときに得られる値である。
【0032】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物重
合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとからなるブ
ロック共重合体およびその水素添加物からなる群から選
ばれる少なくとも1種(II)としては、芳香族ビニル化
合物単位からなる重合体ブロックを少なくとも1個、好
ましくは2個以上有し、且つ共役ジエン化合物単位から
なる重合体ブロックを1個以上有するブロック共重合
体、および該ブロック共重合体中の不飽和結合が水素添
加されているものの少なくとも1種が用いられる。その
場合の水素添加率は、0〜100モル%、好ましくは0
〜95モル%の範囲内から選ぶことができる。
【0033】芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役
ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体およ
び/またはその水素添加物(II)を構成する芳香族ビニ
ル化合物単位としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、2,4−ジ
メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセ
ン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレ
ン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジル
スチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどからな
る単位を挙げることができ、このうちの1種または2種
以上を用いることができる。これらのなかでもスチレン
からなる単位が特に好ましい。
【0034】さらに、上記ブロック共重合体(II)を構
成する共役ジエン化合物単位としては、1,3−ブタジ
エン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジ
エン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−ク
ロロ−1,3−ブタジエンなどからなる単位を挙げるこ
とができ、このうちの1種または2種以上を用いること
ができる。これらのなかでも1,3−ブタジエン、イソ
プレンからなる単位が特に好ましい。
【0035】芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役
ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体およ
び/またはその水素添加物(II)の分子構造は、直鎖
状、分岐状、放射状またはそれらの任意の組み合わせの
いずれであってもよい。そのうちでも、1個の芳香族ビ
ニル化合物重合体ブロックと1個の共役ジエン重合体ブ
ロックとが直鎖状に結合したジブロック共重合体、芳香
族ビニル化合物重合体ブロック−共役ジエン重合体ブロ
ック−芳香族ビニル化合物重合体ブロックの順に3つの
重合体ブロックが直鎖状に結合しているトリブロック共
重合体、およびそれらの水素添加物が、製造の容易性、
入手の容易性、熱可塑性ポリウレタンとの相溶性、力学
特性などの点から好ましく用いられる。
【0036】芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役
ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体およ
び/またはその水素添加物(II)では、芳香族ビニル化
合物重合体ブロックの数平均分子量が2,500〜5,
000であり、水素添加する前の共役ジエン重合体ブロ
ックの数平均分子量が10,000〜100,000で
あり、ブロック共重合体の全体の数平均分子量が15,
000〜150,000であることが好ましい。
【0037】芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役
ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体およ
び/またはその水素添加物(II)は、芳香族ビニル化合
物に由来する構造単位の含有率が、ブロック共重合体の
全重量に基づいて3〜30重量%であるのが好ましい。
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有率が5重
量%未満であると、発泡体の低比重化、柔軟性、表面平
滑性が劣る傾向がある。一方、芳香族ビニル化合物に由
来する構造単位の含有率が30重量%を超える場合に
は、熱可塑性ポリウレタンとの相溶性が低下する傾向が
あるため、得られる発泡体は、その外観が不良になりや
すく、さらに柔軟性にも劣る傾向がある。
【0038】芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役
ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体およ
び/またはその水素添加物(II)は、その硬度(JIS
−A硬度)が30〜45であるのが、得られる発泡体の
柔軟性や表面平滑性などの点から好ましい。
【0039】熱可塑性ポリウレタン(I)に芳香族ビニ
ル化合物重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックと
からなるブロック共重合体および/またはその水素添加
物(II)を配合する割合は、成分(I)/成分(II)の
重量比で70/30〜100/0である必要があり、8
0/20〜95/5であるのが好ましい。成分(II)が
30重量%を超える場合には、各成分の相溶性が低下
し、発泡体の柔軟性が悪くなる。
【0040】また、本発明では、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル系重合体(III)として、その数平均分
子量が100,000以上のものを使用する必要があ
る。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(II
I)の数平均分子量が100,000未満であると、発
泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度(溶融弾性)が気泡
の保持に適当なものにならず、発泡の粗大化や破裂など
が生じて、大きさの揃った微細な気泡が斑なく分布して
いる発泡体を形成することができなくなり、しかも発泡
体や発泡体層の表面に凹凸模様や荒れが発生して、外観
が不良になる傾向にある。特に、厚さの薄い発泡フィル
ムや発泡層では、そのような表面の凹凸模様や荒れの発
生が著しくなる傾向にある。(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル系重合体の数平均分子量の上限値は特に制限
されないが、発泡体における気泡の均一性、熱可塑性ポ
リウレタンとの相溶性などの点から5,000,000
以下であるのが好ましい。
【0041】本発明では、数平均分子量が100,00
0以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重
合体(III)であればいずれも好適に使用できるが、数
平均分子量が好ましくは150,000以上、より好ま
しくは200,000以上、さらに好ましくは300,
000以上であって、且つ(メタ)アクリル酸アルキル
エステル系重合体(III)の、エステルを形成している
アルキル基の炭素数が1〜10であるアクリル酸アルキ
ルエステル単位およびメタクリル酸アルキルエステル単
位から主としてなるものが最も好ましく用いられる。
【0042】本発明で用いる(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル系重合体(III)を構成する(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル単位の好ましい例としては、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロ
ピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシルなど
のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタ
クリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどの
メタクリル酸アルキルエステルなどからなる単位を挙げ
ることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系
重合体(III)は、前記した(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルの1種または2種以上から構成されているこ
とができる。そのうちでも、メタクリル酸メチルとアク
リル酸ブチルとを主とする共重合体を用いるのが好まし
い。
【0043】また、本発明で用いられる(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル系重合体(III)は、上記した
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位と共に、必要
に応じて少量(一般に25モル%以下)の他の重合性不
飽和モノマーから誘導される単位を有していてもよく、
そのような重合性不飽和モノマーとしては、例えばエチ
レン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α−メチル
スチレン、アクリロニトリルなどが挙げることができ、
これらの重合性不飽和モノマーの1種または2種以上か
ら誘導される単位を有していることができる。
【0044】本発明の発泡性ポリウレタン組成物は、熱
可塑性ポリウレタン(I)および芳香族ビニル化合物重
合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとからなるブ
ロック共重合体および/またはその水素添加物(II)か
らなる組成物100重量部に対して、数平均分子量が1
00,000以上である(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル系重合体(III)を1〜30重量部含有している
ことが必要であり、2〜20重量部含有していることが
好ましい。成分(I)および成分(II)からなる組成物
100重量部に対して、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル系重合体(III)の使用割合が1重量部未満であ
ると、熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融弾性(溶融粘
度)が低くなって、熱分解型発泡剤の分解により発生し
たガスを良好に保持できなくなり、気泡の粗大化や破れ
が生じ、発泡体内部の気泡構造が不良になり、しかも発
泡体表面に粗大な凹凸模様や荒れが生じて平滑な表面状
態にならず、さらに発泡体の機械的特性の低下、発泡体
層とその上に積層する無孔質層との接着不良などを生ず
る。そして、そのような物性や品質の低下は、発泡フィ
ルムのような薄物の発泡体や発泡体層の厚さの薄い積層
体において特に顕著に現れる。また、場合によっては、
溶融粘度の低下によって気泡を充分に保持できず、発生
した気泡が外部に逃げてしまって、発泡倍率の低下を招
くこともある。一方、成分(I)および成分(II)から
なる組成物100重量部に対して、(メタ)アクリル酸
アルキルエステル系重合体(III)の使用割合が30重
量%を超えると、熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融粘
度が高くなり過ぎて、膨脹が抑制されて発泡倍率が小さ
くなり、所望の発泡倍率の発泡体を得ることができなく
なり、しかも熱可塑性ポリウレタン中への(メタ)アク
リル酸アルキルエステル系重合体の分散が不良になって
発泡体や発泡体層の表面などに未溶融のブツなどが発生
し易くなる。
【0045】さらに、本発明で含有させることのでき
る、高級脂肪酸と脂肪族ポリオールの縮合物、または該
縮合物と高級脂肪酸金属塩の混合物の、「高級脂肪酸」
とは、炭素数11以上の脂肪族一塩基酸であり、ポリウ
レタン中への分散性が良好となる観点から、炭素数20
〜35の直鎖飽和脂肪酸が好ましい。好ましい例として
は、モンタン酸が挙げられる。また「脂肪族ポリオー
ル」とは、分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族多
価アルコールであり、好ましい例としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、グリセリンなどの分子中に2〜3個の水酸基を有
する炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールが挙げられ
る。本発明における「高級脂肪酸と脂肪族ポリオールの
縮合物」とは、脂肪族ポリオールの水酸基の実質的に全
てがそれぞれ高級脂肪酸によりエステル化された形の化
合物である。本発明で使用する該縮合物は単一の化合物
である必要はなく、一種以上の脂肪族ポリオールが、一
種以上の高級脂肪酸でエステル化された形の一種以上の
化合物であればよい。「該縮合物と高級脂肪酸金属塩の
混合物」とは、高級脂肪酸を0.90当量以下、特に
0.5〜0.8当量の脂肪族ポリオールで部分的にエス
テル化し、ついで周期律表I〜III族の金属、例えばリ
チウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、アルミニウムなどの少なくとも1種の
酸化物または水酸化物で中和することによって得られる
ものであって、好ましい例としては、モンタン酸を1,
4−ブタンジオールで部分的にエステル化し、残った酸
を水酸化カルシウムで中和して得られたものが挙げられ
る。
【0046】これらの縮合物等の使用量は、熱可塑性ポ
リウレタン(I)、並びに芳香族ビニル化合物重合体ブ
ロックと共役ジエン重合体ブロックとからなるブロック
共重合体および/またはその水素添加物(II)からなる
組成物100重量部に対して、0.3〜5重量部の範囲
内であることが好ましい。縮合物等の使用量がこの範囲
内にある場合には、発泡性ポリウレタン組成物の溶融弾
性(溶融粘度)がさらに向上し、熱分解型発泡剤の分解
により発生したガスが良好に保持される。このため、気
泡の粗大化や破れが防止され、発泡体内部の気泡構造や
発泡倍率が好適になり、発泡体表面に粗大な凹凸模様や
荒れが生じなくなって、平滑な表面状態の発泡体が得ら
れる。また、発泡体の機械的特性がさらに向上し、発泡
体層とその上に積層する無孔質層との接着が強固になる
上、押出機運転中の押出安定性が一層良好になる。この
ような品質上や物性上の効果は、発泡フィルムのような
薄物の発泡体や厚さの薄い発泡体層を有する積層体にお
いて特に顕著に発揮される。
【0047】本発明では、熱可塑性ポリウレタン
(I)、芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエ
ン重合体ブロックとからなるブロック共重合体および/
またはその水素添加物(II)、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系重合体(III)、および熱分解型発泡剤
(IV)を混合して発泡性ポリウレタン組成物を製造し、
そしてその発泡性ポリウレタン組成物を溶融押出発泡成
形させることにより発泡体を形成する。その場合の熱分
解型発泡剤(IV)としては、従来から知られている熱分
解型発泡剤のいずれもが使用でき、特に限定されない。
本発明で用い得る熱分解型発泡剤としては、例えば、ア
ゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼン
スルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒド
ラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジアミノベ
ンゼン、アゾヘキサヒドロベンゾジニトリル、バリウム
アゾジカルボキシレート、N,N’−ジニトロソペンタ
メチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’
−ジメチルテレフタルアミド、t−ブチルアミノニトリ
ル、p−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾンなどの
有機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモ
ニウムなどの無機系熱分解型発泡剤などを挙げることが
でき、これらの1種または2種以上を使用することがで
きる。このうちでも、本発明では、アゾジカルボンアミ
ド系の発泡剤が、熱可塑性ポリウレタン(I),芳香族
ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロッ
クとからなるブロック共重合体および/またはその水素
添加物(II)並びに数平均分子量が100,000以上
である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体
(III)からなる熱可塑性ポリウレタン組成物の溶融温
度以上の分解温度を有していて、取扱い性に優れてお
り、ガス発生量が多く、しかもその分解挙動がポリウレ
タン組成物の溶融成形に適しているなどの点から好まし
く用いられる。また、上記の熱分解型発泡剤のうちで、
例えば、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス
(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスル
ホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウムなどはポリウレタ
ンの分子量低下を引き起こす作用があり、一方、N,
N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどはポリ
ウレタンの架橋を促進する作用を有する。そのため、ポ
リウレタンの分子量低下を引き起こす発泡剤と、架橋を
促進する発泡剤を併用した場合には、ポリウレタンに適
度な架橋をもたらし、溶融粘度の低下の抑制が可能にな
り、機械的特性、物理的特性、化学的特性に優れ、発泡
状態の良好な発泡体を形成させることができる。
【0048】熱分解型発泡剤(IV)の添加量は、目的と
する発泡体や発泡体層の発泡倍率(比重)、発泡体や積
層体の用途、発泡剤のガス発生量などに応じて調節が可
能であるが、一般に、熱可塑性ポリウレタン(I)並び
に芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエン重合
体ブロックとからなるブロック共重合体および/または
その水素添加物(II)の合計重量100重量部に対し
て、0.05〜10重量部程度であるのが好ましく、
0.1〜5重量部程度であるのがより好ましく、0.3
〜3重量部であるのが更に好ましい。
【0049】また、本発明では、上記した熱分解型発泡
剤(IV)を用いて発泡体を製造するに当たって、発泡を
円滑に行わせて、より均一で微細な気泡を有する発泡体
を得るために、発泡助剤を併用してもよい。その場合の
発泡助剤としては、それぞれの熱分解型発泡剤に対して
従来から用いられている発泡助剤を用いることができ
る。例えば、アゾ系発泡剤、重炭酸ナトリウム、ヒドラ
ジン系発泡剤に対してはカルボン酸金属塩、炭酸カルシ
ウムなどの金属炭酸塩、シリカ、アルミナなど金属酸化
物、タルクなどの鉱物などを発泡助剤として用いること
ができ、また例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチ
レンテトラミンに対しては尿素系化合物や有機酸などを
発泡助剤として用いることができる。
【0050】発泡助剤を使用する場合は、その使用量を
目的とする発泡体や発泡体層の発泡倍率(比重)、発泡
体や積層体の用途、発泡剤のガス発生量などに応じて適
宜調節することができるが、通常、熱可塑性ポリウレタ
ン(I)並びに芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共
役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体お
よび/またはその水素添加物(II)の合計重量100重
量部に対して、0.005〜10重量部であることが好
ましく、0.01〜5重量部であることがより好まし
く、0.1〜2重量部であることが更に好ましい。ま
た、熱分解型発泡剤に対する使用割合としては、熱分解
型発泡剤1重量部に対して、発泡助剤を0.1〜1重量
部とすることが好ましい。
【0051】さらに、本発明の発泡性ポリウレタン組成
物、発泡体、積層体における発泡体層は、他の添加剤、
例えば、均一で微細な気泡を形成するための気泡調節剤
(無機微粉末など)、充填剤、補強材、顔料、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、加水分解防止
剤、難燃剤などの添加剤の1種または2種以上を必要に
応じて含有していてもよい。
【0052】本発明の発泡性ポリウレタン組成物を調製
するに当たっては、その調製方法は特に制限されない
が、熱可塑性ポリウレタンが吸湿すると発泡状態や力学
的特性などが影響を受けるため、熱可塑性ポリウレタン
組成物の調製時に出来るだけ吸湿をさける方法、さら
に、発泡助剤を使用する場合には、その発泡助剤の機能
が失われないような方法であればいずれも採用される。
限定されるものではないが、本発明の発泡性ポリウレタ
ン組成物の調製に当たっては、例えば、熱可塑性ポリウ
レタン(I)、芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共
役ジエン重合体ブロックとからなるブロック共重合体お
よび/またはその水素添加物(II)、(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系重合体(III)、並びに熱分解型
発泡剤(IV)、さらに必要に応じて、高級脂肪酸と脂肪
族ポリオールとの縮合物または該縮合物と金属塩の混合
物、発泡助剤およびその他の成分を、樹脂材料の混合に
通常用いられているような縦型、または水平型の混合機
を用いて所定の割合で予備混合した後、一軸または二軸
の押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなど
を用いて、回分式または連続式で加熱下に溶融混練する
ことにより製造することができる。
【0053】本発明の発泡性ポリウレタン組成物は熱可
塑性であり、使用する熱可塑性ポリウレタン(I)、芳
香族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエン重合体ブ
ロックとからなるブロック共重合体および/またはその
水素添加物(II)、並びに(メタ)アクリル酸アルキル
エステル系重合体(III)の種類、あるいはこれらの配
合割合などにもよるが、一般に約150〜250℃の温
度に加熱することにより溶融する。そのため、本発明の
発泡性ポリウレタン組成物を用いて溶融押出発泡成形を
行うと、大きさが揃った微細な気泡が全体に斑なく分布
していて、しかも機械的特性、物理的特性、外観などの
優れる発泡体を円滑に製造することができ、本発明の発
泡性ポリウレタン組成物を用いる効果を好適に発現でき
る。その際に、溶融押出発泡成形を採用すると、前記し
た優れた特性を備える、発泡フィルム、発泡シート、発
泡板、発泡体層を有する積層体、その他の発泡押出物
を、有機溶剤やフロンガスなどのような環境汚染物質を
使用することなく、良好な作業性で、生産性よく製造す
ることができるので好ましい。
【0054】発泡性ポリウレタン組成物を用いて成形、
加工と同時に発泡を行わせる場合は、成形、加工の少な
くともある段階で熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度
を採用して、成形、加工を行えばよい。そして、熱分解
型発泡剤の種類や併用する発泡助剤の種類などによって
その温度は異なるが、上記したような熱分解型発泡剤は
一般に約100〜250℃の範囲で分解するので、熱分
解型発泡剤を分解させて発泡体を製造するには、使用す
る熱分解型発泡剤や発泡助剤の種類などに応じて、10
0〜250℃の温度を採用して加熱発泡するとよい。
【0055】また、本発明の発泡体や積層体などの製造
に当たっては、発泡性ポリウレタン組成物を予めペレッ
ト化しておかずに、熱可塑性ポリウレタン(I)、芳香
族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロ
ックとからなるブロック共重合体および/またはその水
素添加物(II)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
系重合体(III)、熱分解型発泡剤(IV)、並びに必要
に応じて、高級脂肪酸と脂肪族ポリオールとの縮合物ま
たは該縮合物と金属塩の混合物、および他の成分を、例
えば、溶融押出発泡装置やその他の溶融発泡成形装置な
どに直接供給して発泡体を製造することもできる。
【0056】上記のようにして得られる発泡体は、その
まま使用してもよいし、繊維質基材層(A)の上に上記
した発泡体層(B)を形成し、更に発泡体層(B)の上
に熱可塑性エラストマーよりなる無孔質層(C)を形成
した積層体として使用してもよい。この積層体は、繊維
質基材層(A)の強靱性、発泡体層(B)の柔軟性や適
度な弾力性、無孔質層(C)のしなやかな風合いや触感
などの、3層の性質が複合的に発揮されて、天然皮革に
極めて近似した良好な風合い、外観、触感など有してい
るので、合成皮革または人造皮革として有用である。
【0057】以下に、繊維質基材層(A)、発泡体層
(B)および無孔質層(C)を有する本発明の積層体
(以下,これを「3層構造積層体」と称することがあ
る)について説明する。
【0058】繊維質基材層(A)として用いられる繊維
質基材は、適度な厚みと充実感を有し、且つ柔軟な風合
いを有するシート状の繊維質基材であればいずれも使用
でき、従来から皮革様の積層体の製造に用いられている
各種の繊維質基材を使用することができる。限定される
ものではないが、繊維質基材としては、例えば極細繊維
またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、通常の合成繊
維、半合成繊維、天然繊維、無機繊維などを用いて形成
された絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質シー
ト;前記した繊維質シートにポリウレタンなどのような
高分子材料を含有させた繊維質シート;前記したいずれ
かの繊維質シートの表面にさらに高分子材料の多孔質被
覆層を形成した繊維質シートなどを用いることができ
る。
【0059】上記したうちでも、繊維質基材としては、
極細繊維または極細繊維束を用いて形成されている繊維
質シートが好ましく用いられ、その場合に得られる3層
構造積層体の風合いなどの点から、極細繊維の単繊維繊
度が0.5デニール以下であるのが好ましく、0.1デ
ニール以下であるのがより好ましい。また、繊維質基材
を極細繊維束から形成する場合は、極細繊維束のトータ
ルデニールが0.5〜10デニールであるのが、得られ
る3層構造積層体の風合いなどの点から好ましい。ま
た、繊維質基材を構成する極細繊維は、ポリエステル系
繊維および/またはナイロン系繊維から形成されている
のが、得られる積層体の強度、感触、コストなどの点か
ら好ましい。
【0060】特に、繊維質基材として、上記したような
極細繊維束の不織布から形成されていて、且つ不織布中
に高分子材料を含有させてある繊維質シートを使用する
と、天然皮革に一層近似した良好な風合いや触感などを
有する3層構造積層体を得ることができるので好まし
い。その場合に不織布中に含有させる高分子材料として
は、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、塩化
ビニル系重合体、ポリビニルブチラール系重合体、アク
リル系重合体、ポリアミノ酸系重合体、シリコン系重合
体などを挙げることができ、これらの重合体は単独で使
用しても、または2種以上を併用してもよい。そのうち
でも、ポリウレタン系重合体を含有させた繊維質シート
を繊維質基材として用いると、繊維質基材層(A)上に
積層する発泡体層(すなわち前記した発泡性ポリウレタ
ン組成物から形成された発泡体層)(B)との親和性が
高く、繊維質基材層(A)と発泡体層(B)との間の接
着が強固になるので、特に好ましい。そして、高分子材
料を含浸させた繊維質シートからなる繊維質基材を用い
る割合は、該繊維質基材における高分子材料の含有量
は、高分子材料を含浸させる前の繊維質シートの重量に
基づいて、約10〜70重量%程度であるのが好まし
い。
【0061】また、繊維質基材層(A)と発泡体層
(B)との接着を向上させるために、繊維質基材層
(A)の表面に、発泡体層(B)と親和性の高い重合体
を含む表面処理剤の被覆層を形成しておいてもよく、そ
の場合の被覆層の厚さは5μm以下とするのが好まし
い。前期被覆層の厚さが厚くなると、柔軟で一体感のあ
る風合いを有する、3層構造積層体が得られにくくな
る。
【0062】3層構造積層体における繊維質基材層
(A)の厚さは、得られる積層体の用途などに応じて決
めることができるが、繊維質基材層(A)上の積層され
る発泡体層(B)、さらには無孔質層(C)の厚さとの
バランスの点から、繊維質基材層(A)の厚さが0.3
mm〜3mm程度であるのが好ましく、0.5mm〜2
mm程度であるのがより好ましい。
【0063】また、柔軟な風合いを有し、且つ適度な反
発性および腰感のある3層構造積層体を得るためには、
繊維質基材の見掛け比重が0.25〜0.5g/cm3
であるのが好ましく、0.3〜0.35g/cm3であ
るのがより好ましい。繊維質基材の見掛け比重が大きす
ぎるとゴム様の風合いとなり易く、一方,繊維質基材の
見掛け比重が小さ過ぎると反発性および腰のない風合い
となり、やはり天然皮革に近似した風合いが得られにく
くなる。
【0064】繊維質基材層(A)上に積層する発泡体層
(B)は、前記した本発明の発泡性ポリウレタン組成物
を用いて発泡させることによって形成させる。3層構造
積層体における発泡体層(B)の厚さは、用途などに応
じて選択することができるが、一般的には、100〜1
000μm程度であるのが好ましく、200〜600μ
m程度であるのがより好ましい。また、発泡体層(B)
の発泡倍率[(発泡させる前の発泡性ポリウレタン組成
物の比重)÷(発泡体の見掛け比重)]は約1.5〜4
倍であるのが好ましい。発泡体層(B)の発泡倍率が、
前記した範囲内であると、柔軟性および適度な弾力性が
あり、積層体を引っ張ったり、折り曲げたりしたときに
表面に低品位の皺や凹凸状態などが生じず、高級感のあ
る皮革様の積層体となり、しかも繊維質基材層(A)と
発泡体層(B)との接合強度が大きくなり、層間剥離な
どが生じない。
【0065】また、発泡体層(B)上の無孔質層(C)
を形成する熱可塑性エラストマーとしては、柔軟性、弾
力性、耐摩耗性、機械的強度、耐候性、耐加水分解性な
どに優れていて、且つ発泡体層(B)と親和性のある熱
可塑性エラストマーであればいずれも使用できる。無孔
質層(C)を形成する熱可塑性エラストマーとしては、
例えば、熱可塑性ポリウレタン;ポリエチレンテレフタ
レート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレートなどの結晶性の芳香族ポリエステルをハ
ードセグメントとし、ガラス転移温度の低い脂肪族ポリ
エーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネー
ト、脂肪族ポリエステルポリカーボネートなどをソフト
セグメントとするポリエステルエラストマー;6−ナイ
ロン、6,6−ナイロン、12−ナイロンなどのポリア
ミドをハードセグメントとし、脂肪族ポリエーテル、脂
肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステルエーテルなどを
ソフトセグメントとするポリアミドエラストマー;スチ
レン系重合体をハードセグメントとし、ポリイソプレ
ン、ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレン、水素添
加ポリブタジエンなどをソフトセグメントとするスチレ
ン系エラストマー;シリコーン系エラストマー;塩素化
ポリマー系エラストマー;ポリプロピレンをハードセグ
メントとし、エチレンプロピレンゴムや部分架橋エチレ
ンプロピレンゴムなどをソフトセグメントとするポリオ
レフィン系エラストマー;フッ素系樹脂をハードセグメ
ントとし、フッ素系ゴムをソフトセグメントとするフッ
素系重合体エラストマー;1,2−ポリブタジエン系エ
ラストマー;ウレタン/塩ビ系エラストマー;エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート
共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウ
ム三元共重合体などのエチレン系共重合体;などを挙げ
ることができ、これらの1種または2種以上を用いて無
孔質層(C)を形成することができる。
【0066】そして、本発明の3層構造積層体では、そ
の無孔質層(C)を、上記した熱可塑性エラストマーの
うちでも、熱可塑性ポリウレタンまたは熱可塑性ポリウ
レタンと他の熱可塑性エラストマーとの混合物から成形
するのが好ましい。そしてその場合には、無孔質層
(C)を形成するポリマーの材質と、上記した発泡性ポ
リウレタン組成物から形成された発泡体層(B)の材質
が近似したものとなり、発泡体層(B)と無孔質層
(C)との間の接着強度が大きくなって両層間の剥離な
どが生じなくなり、物性に極めて優れる3層構造積層体
を得ることができる。無孔質層(C)を熱可塑性ポリウ
レタンまたは熱可塑性ポリウレタンと他の熱可塑性エラ
ストマーとの混合物から成形するに当たっては、無孔質
層(C)を形成する熱可塑性ポリウレタンとして、発泡
性ポリウレタン組成物に用いることができる前記した種
々の熱可塑性ポリウレタンを使用することができる。そ
の場合に、3層構造積層体の発泡体層(B)を構成する
熱可塑性ポリウレタンと無孔質層(C)を構成する熱可
塑性ポリウレタンとは同じものであっても、または異な
るものであってもよい。一般的には、無孔質層(C)を
構成する熱可塑性ポリウレタンとして、発泡体層(B)
の形成に用いた熱可塑性ポリウレタンに比べて多少硬度
の高いものを使用すると、3層構造積層体の耐摩耗性を
一層向上させることができる。
【0067】また、無孔質層(C)の厚さは、無孔質層
(C)を形成する熱可塑性エラストマーの種類、3層構
造積層体の用途などによって調節し得るが、天然皮革様
の風合いを3層構造積層体に付与し、しかも表面強度、
発泡体層(B)との接着強度、屈曲に対する耐久性など
を付与できる点から、無孔質層(C)の厚さが10〜2
00μm程度であるのが好ましく、30〜100μm程
度であるのがより好ましい。無孔質層(C)が薄すぎる
と、得られる3層構造積層体の表面の耐磨耗性が低下し
易くなる。一方、無孔質層(C)が厚すぎると、3層構
造積層体の屈曲性が低下し、ゴム様の劣った風合いとな
り、天然皮革様の風合いが失われる傾向がある。無孔質
層(C)は、気泡を含有していないことが必要である。
気泡があると、3層構造積層体表面の耐摩耗性、強度、
平滑性が低下し、色斑などが発生しやすくなる。
【0068】さらに、本発明の3層構造積層体では、無
孔質層(C)の表面に、エンボス模様、シボ模様などの
凹凸加工および/または鏡面加工などを施しておいても
よい。そして、無孔質層(C)の表面に凹凸加工を施し
た場合には、天然皮革に一層近似したエンボス模様やシ
ボ模様などの3層構造積層体表面に出現させることがで
きる。一方、無孔質層(C)の表面に鏡面加工を施した
場合には、エナメル調の光沢のある表面が3層構造積層
体に付与される。また、本発明の3層構造積層体では、
無孔質層(C)の表面に凹凸加工および鏡面加工の両方
を施してもよく、その場合には光沢のあるエナメル調の
表面に更に凹凸模様が施された状態になる。
【0069】3層構造積層体の製造方法は特に制限され
ず、繊維質基材層(A)/発泡体層(B)/無孔質層
(C)からなる積層構造体を、それらの層間の剥離など
を生じることなく円滑に製造し得る方法であれば、いず
れの方法で製造してもよい。例えば、(1)本発明の発
泡性ポリウレタン組成物を用いて、溶融押出発泡成形
し、T−ダイから溶融発泡状態で膜状に押出して、流動
性を有している内に繊維質基材層(A)の表面に発泡体
層(B)を積層する方法、いわゆる溶融製膜法によって
繊維質基材層(A)および発泡体層(B)からなる積層
体を製造する工程;並びに、(2)上記した積層体を製
造した後に、熱可塑性エラストマーを溶融押出成形し、
T−ダイから溶融状態で膜状に押出して、流動性を有す
る内に発泡体層(B)の上に積層させる方法、いわゆる
溶融製膜法によって繊維質基材層(A)/発泡体層
(B)/無孔質層(C)からなる3層構造積層体を製造
する工程を有する方法によって製造すると、層間剥離が
なく、しかもそれぞれの層の特性を充分に活用した高品
位の3層構造積層体を、有機溶剤やフロンガスなどのよ
うな有害成分を使用することなく、生産性よく、円滑に
製造することができるので好ましい。
【0070】そして、3層構造積層体を製造する際の上
記(1)の工程では、溶融押出発泡時の発泡温度などの
成形条件は、発泡体の製造について前記で説明したのと
同様の条件を採用して行うことができる。
【0071】また、上記(2)の熱可塑性エラストマー
の積層工程を行うに当たっては、例えば、(i)繊維質
基材層(A)と発泡体層(B)とからなる積層体の発泡
体層(B)上に、熱可塑性エラストマーを直接溶融押出
して積層し、その積層体をロールおよびそれと対向する
バックロールとの間を通して押圧する方法;(ii)熱可
塑性エラストマーをロール上に溶融押出した後、そのロ
ールとそれと対向するバックロールとの間に、繊維質基
材層(A)と発泡体層(B)とからなる積層体を供給
し、前記積層体の発泡体層(B)上に熱可塑性エラスト
マー層を転写積層して押圧する方法;(iii)繊維質基
材層(A)と発泡体層(B)とからなる積層体における
発泡体層側にロールを配置しておき、その発泡体層
(B)とロールとの間隙に熱可塑性エラストマーを直接
溶融押出し、さらに繊維質基材層(A)と発泡体層
(B)からなる積層体の背面側(繊維質基材側)にバッ
クロールを配置しておいて、押圧しながら積層させる方
法;などを採用することができる。そして、熱可塑性エ
ラストマーが流動性を有している限り、上記(i)〜
(iii)のいずれの方法を採用しても、目的の3層構造
積層体を円滑に得ることができる。
【0072】3層構造積層体の無孔質層(C)表面に、
凹凸加工および/または鏡面加工を施す方法は特に制限
されないが、例えば、(1)上記工程(i)〜(iii)
の熱可塑性エラストマーの積層工程のいずれかを行うに
当たって、繊維質基材層(A)と発泡体層(B)からな
る積層体の発泡体層(B)側に配置する上記のロール表
面に凹凸加工および/または鏡面加工を施しておいて、
熱可塑性エラストマーからなる溶融状態にある無孔質層
(C)を発泡体層(B)上に押圧積層すると同時に該無
孔質層(C)の表面に凹凸加工および/または銀面加工
を行う方法;(2)熱可塑性エラストマーからなる無孔
質層(C)を発泡体層(B)上に形成した後に、該無孔
質層(C)が未だ賦型が可能な可塑化状態にある間に、
凹凸加工および/または鏡面加工用の上記ロールを用い
て無孔質層(C)表面に凹凸加工および/または鏡面加
工を施す方法などにより行うことができる。そのうちで
も、上記(1)の方法が、工程数が少なくてすみ、生産
性が高い点から好ましい。そして、上記(1)の方法を
採用する場合には、上記したロールおよびバックロール
によってもたされる押圧力を、5〜15kg/cm2
ゲージ圧としておくと、無孔質層(C)表面への凹凸加
工および/または鏡面加工を円滑に行うことができる。
【0073】無孔質層(C)の表面に凹凸加工および/
または鏡面加工を行うに当たっては、例えば、凹凸加工
および/または鏡面加工を施したロールを無孔質層
(C)の表面に直接当接させて無孔質層(C)表面に凹
凸模様および/または鏡面模様を形成する方法;凹凸加
工および/または鏡面加工を施してある離型性の加工シ
ートを無孔質層(C)の表面に当接させ該加工シートの
背部からロールなどによって押圧して無孔質層(C)の
表面に凹凸模様および/または鏡面模様を形成させる方
法などを採用することができる。そして、離型性の加工
シートを用いる後者の方法を採用した場合には、該加工
シートを取り替えるだけで、無孔質層(C)の表面に任
意の凹凸模様および/または鏡面模様を形成することが
でき、便利である。
【0074】そして、上記したいずれの方法による場合
にも、無孔質層(C)表面に凹凸模様および/または鏡
面模様を形成するための表面加工ロールや離型性の加工
シートを、無孔質層(C)がもはや流動しなくなってか
ら無孔質層(C)から剥離させるようにすることが好ま
しい。もし,無孔質層(C)が未だ流動性を有している
うちに表面加工ロールや離型性の加工シートを無孔質層
(C)表面から剥離すると、無孔質層(C)表面に形成
された凹凸模様および/または鏡面模様が無孔質層
(C)の流動性によって崩れたり、消失したりして、鮮
明な凹凸模様や、光沢に優れる鏡面模様が得られなくな
る恐れがある。無孔質層(C)表面に凹凸模様および/
または鏡面模様を形成させるための表面加工ロールや離
型性の加工シートの背部に配置する押圧ロールとして、
内部に冷却液を循環するようにした形式のものを採用し
たり、該凹凸加工および/または鏡面加工を施す近辺に
冷風を強制的に送って、表面加工ロールや離型性の加工
シートの無孔質層(C)からの剥離する付近を積極的に
冷却する方法などを採用すると、凹凸加工および/また
は鏡面加工された無孔質層(C)が速やかに冷却され
て、表面加工ロールや離型性の加工シートの剥離を早期
に行うことができるので好ましい。
【0075】発泡体層(B)上に無孔質層(C)を形成
する際のロールおよび/または無孔質層(C)の表面に
凹凸加工および/または鏡面加工を行う際のロールとし
ては、無孔質層(C)に直接接触させて用いられるロー
ルの場合は、一般に、金属製のロールが好ましく用いら
れる。また、無孔質層(C)に直接接触させないで用い
るバックロールや、上記した離型性の表面加工シートの
背部に用いられるロールとしては、金属製ロール、弾性
体ロールなどのいずれでもが使用可能であり、そのうち
でも弾性体ロールを用いると押圧を安定して行うことが
できるので望ましい。
【0076】何ら限定されるものではないが、無孔質層
(C)表面に凹凸模様および/または鏡面模様が施され
た3層構造積層体を製造する場合は、例えば、図1に示
すような工程によって、3層構造積層体を製造すること
ができる。なお、図1において、1は繊維質基材、2は
鏡面加工を施した金属製ロール、3は弾性体バックロー
ル、4は押出機、5は発泡体層、6は繊維質基材層と発
泡体層からなる積層体、7は凹凸模様が施された金属製
エンボスロール、8は弾性体バックロール、9は押出
機、10は無孔質層、および11は3層構造積層体をそ
れぞれ示す。
【0077】本発明の発泡体、繊維質基材層(A)/発
泡体層(B)/無孔質層(C)を有する3層構造積層体
などは、その優れた柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械的
特性、クッション性、緩衝性、感触などを活かして、人
工皮革、壁材や床材などの建築材、椅子などの家具類や
車両のシート、車両などの内装材、履物、鞄類、袋物、
衣類、衣料雑貨、手袋、クッション材、断熱材、緩衝
材、軽量ベルトなどとして、広範囲な用途に有効に使用
することができる。特に、繊維質基材層(A)/発泡体
層(B)/無孔質層(C)からなる上記した3層構造積
層体は、天然皮革の代替素材として、例えば、コート、
ブレザー、スカートなどの衣類、靴やブーツなどの履
物、バック、カメラケース、財布などのカバン類や袋
物、ベルトなどの衣料関連品、バスケットボール、バレ
ーボールなどのスポーツ分野などに有効に用いることが
できる。
【0078】
【実施例】以下に、本発明を実施例などにより具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以
下の例において、各種物性値の測定、および得られた発
泡体または3層構造積層体の物性の評価は次のようにし
て行った。
【0079】[熱可塑性ポリウレタンの対数粘度]n−
ブチルアミンを0.05モル/リットルの割合で含有す
るN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、熱可塑性ポリ
ウレタンを濃度0.5g/dlになるように溶解し、ウ
ベローデ型粘度計を用いて、その熱可塑性ポリウレタン
溶液の温度30℃における流下時間を測定し、下式の数
式により対数粘度を測定した。
【0080】熱可塑性ポリウレタンの対数粘度={ln
(t/t0)}/c [式中、tは熱可塑性ポリウレタン溶液の流下時間
(秒)、t0は溶媒の流下時間(秒)、そしてcは熱可
塑性ポリウレタン溶液の濃度(g/dl)を示す。]
【0081】[熱可塑性ポリウレタンの硬度]熱可塑性
ポリウレタンを射出成形(シリンダー温度180〜20
0℃、金型温度30℃)して直径120mm、厚さ2m
mの円板状試験片を成形し、それを2枚重ね合わせたも
のを用いて、JIS K 6301に準拠してショアー
硬度Aを測定した。
【0082】[発泡体層の見掛比重]JIS K 67
67に準拠して、発泡フィルムの見掛比重を測定した。
【0083】[発泡フィルムの引張強度]JIS K
7311に準拠して、発泡フィルムの長さ方向(押出方
向)の引張強度を測定した。
【0084】[発泡フィルムの外観]発泡フィルムの表
面状態を目視により観察して、発泡フィルムの表面に気
泡の破れや気泡径の斑などに伴う凹凸模様や荒れなどが
生じておらず、表面が薄いスキン層で覆われていて平滑
なものを良好(○)とし、発泡フィルムの表面に気泡の
破れや気泡径の斑などに伴う凹凸模様や荒れなどが生じ
ているものを不良(×)として評価した。
【0085】[3層構造積層体の表面の耐摩耗性]ペー
パー式ロータリーアブレッサー装置(吸塵ユニット付)
(東洋精機社製「ロータリーアブレーションテスタ
ー」)を用いて、JIS L1096 6.17.3に
準拠して、3層構造積層体を構成する無孔質層の表面の
摩耗減少量を測定した。
【0086】[3層構造積層体の剥離強度]3層構造積
層体の無孔質層を2液型ウレタン系接着剤を用いて支持
体に接着し、25℃、65%RHで24時間放置した
後、JIS K 6301に準拠して180度剥離強度
を測定した。
【0087】以下の実施例および比較例では、高分子ポ
リオールの数平均分子量は、JISK 1577に準拠
して測定した水酸基価に基づいて算出し、用いたトリメ
チロールプロパンのモル比から高分子ポリオール1分子
当たりの水酸基の数を求めた。また、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体として、日本合成ゴム
社製「JSR−5000P」〔スチレン含量:15重量
%、硬度:37A〕、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル系共重合体として、三菱レイヨン社製「メタプレン
P530A」〔メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル
の重量比=75/25、数平均分子量300,00
0)〕、高級脂肪酸(モンタン酸)の1,4−ブタンジ
オールとの縮合物とカルシウム塩の混合物として、ヘキ
スト社製「ヘキストワックスOP」、およびアゾジカル
ボンアミド系発泡剤として、永和化成社製「ビニホール
AC#3」を使用した。下記の表2および3で用いた略
号の内容を下記の表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】《実施例1》 (1) 1分子当たりの水酸基数が2.02である数平
均分子量3,500の高分子ポリオール(略号:PMP
A−2)、1,4−ブタンジオール(BD)および50
℃で加熱溶融した4,4′−ジフェニルメタンジイソシ
アネート(MDI)を、PMPA:BD:MDIのモル
比が1:2.0:3.00となるような割合で用い、且
つそれらの合計供給量が300g/分になるようにし
て、定量ポンプにより同方向に回転する2軸押出機(3
0mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜26
0℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可
塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリウ
レタンの溶融物をストランド状に水中へ連続的に押出し
た後、ペレタイザーでペレット状に細断し、このペレッ
トを80℃で20時間除湿乾燥することにより、下記の
表2に示す対数粘度および硬度を有する熱可塑性ポリウ
レタンを製造した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン1
00重量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共
重合体5重量部およびアゾジカルボンアミド系発泡剤1
重量部をドライブレンドし、発泡性ポリウレタン組成物
とした。 (3) 上記(2)で製造した発泡性ポリウレタン組成
物を、単軸押出機(25mmφ)に仕込み、溶融帯温度
170〜220℃、ダイス部温度180℃、T−ダイ
(リップ幅0.2mm、ダイ幅350mm)より膜状に
溶融押出発泡成形を行って、厚さ450μm、幅300
mmの発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見
掛比重、引張強度および外観を、上記した方法で測定ま
たは評価したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。
【0090】《実施例2〜5》 (1) 実施例1で使用したのと同じ高分子ポリオール
を用い、これに1,4−ブタンジオール、および50℃
で加熱溶融した4,4′−ジフェニルメタンジイソシア
ネートを、下記の表2に示すモル比で用いる以外は、実
施例1の(1)と同様にして熱可塑性ポリウレタンを製
造した。得られた熱可塑性ポリウレタンの対数粘度およ
び硬度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に
示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン、
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体、ヘキ
ストワックスOP、およびアゾジカルボンアミド系発泡
剤を下記の表3に示す割合で用いる以外は、実施例1の
(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物を製造し
た。 (3) 上記(2)で製造した発泡性ポリウレタン組成
物を用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶
融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有す
る発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見掛比
重、引張強度および外観を、上記した方法で測定または
評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0091】《実施例6》 (1) 1分子当たりの水酸基数が2.0である数平均
分子量3,500の高分子ポリオール(略号:PMPA
−1)および1分子当たりの水酸基数が3.0である数
平均分子量3,500の高分子ポリオール(略号:PM
PA−3)、1,4−ブタンジオール(BD)および5
0℃で加熱溶融した4,4′−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(MDI)を、(PMPA−1:PMPA−
3):BD:MDIのモル比が(0.97:0.0
3):2.0:3.09のモル比となるような割合で用
いる以外は実施例1の(1)と同様にして熱可塑性ポリ
ウレタンを製造した。得られた熱可塑性ポリウレタンの
対数粘度および硬度を上記した方法で測定したところ、
下記の表2に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン、
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体、ヘキ
ストワックスOP、およびアゾジカルボンアミド系発泡
剤を、下記の表3に示す割合で用いる以外は、実施例1
の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物を製造
した。 (3) 上記(2)で製造した発泡性ポリウレタン組成
物を用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶
融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有す
る発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見掛比
重、引張強度および外観を、上記した方法で測定または
評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0092】《実施例7》 (1) 数平均分子量1,000のポリテトラメチレン
グリコール(PTG)および1分子当たりの水酸基数が
3.0である数平均分子量3,500の高分子ポリオー
ル(略号:PMPA−3)、1,4−ブタンジオール
(BD)および50℃で加熱溶融した4,4′−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(MDI)を、(PTG:
PMPA−3):BD:MDIのモル比が(0.97:
0.03):0.6:1.65のモル比となるような割
合で用いる以外は実施例1の(1)と同様にして熱可塑
性ポリウレタンを製造した。得られた熱可塑性ポリウレ
タンの対数粘度および硬度を上記した方法で測定したと
ころ、下記の表2に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性ポリウレタン、
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体、ヘキ
ストワックスOP、およびアゾジカルボンアミド系発泡
剤を、下記の表3に示す割合で用いる以外は、実施例1
の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成物を製造
した。 (3) 上記(2)で製造した発泡性ポリウレタン組成
物を用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状に溶
融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有す
る発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見掛比
重、引張強度および外観を、上記した方法で測定または
評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0093】《比較例1〜3》実施例1の(1)で得ら
れた熱可塑性ポリウレタン、スチレン−イソプレン−ス
チレンブロック共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル
エステル系共重合体、ヘキストワックスOP、およびア
ゾジカルボンアミド系発泡剤を、下記の表3に示す割合
で用いる以外は、実施例1の(2)と同様にして発泡性
ポリウレタン組成物を製造し、この発泡性ポリウレタン
組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状
に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを
有する発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見
掛比重、引張強度および外観を、上記した方法で測定ま
たは評価したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。
【0094】《比較例4》実施例6の(1)で得られた
熱可塑性ポリウレタン、スチレン−イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体、ヘキストワックスOP、およびア
ゾジカルボンアミド系発泡剤を、下記の表3に示す割合
で用いる以外は、実施例1の(2)と同様にして発泡性
ポリウレタン組成物を製造し、この発泡性ポリウレタン
組成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状
に溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを
有する発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見
掛比重、引張強度および外観を、上記した方法で測定ま
たは評価したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。
【0095】《比較例5》実施例7の(1)で得られた
熱可塑性ポリウレタン、スチレン−イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体、ヘキストワックスOP、およびアゾ
ジカルボンアミド系発泡剤を、下記の表3に示す割合で
用いる以外は、実施例1の(2)と同様にして発泡性ポ
リウレタン組成物を製造し、この発泡性ポリウレタン組
成物を用いて、実施例1の(3)と同様にして、膜状に
溶融押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有
する発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見掛
比重、引張強度および外観を、上記した方法で測定また
は評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0096】《比較例6》実施例6の(1)で、1分子
当たりの水酸基数が2.0であるPMPA−1と1分子
当たりの水酸基数が3.0であるPMPA−3の混合比
を、0.90:0.10に変更し、高分子ポリオール全
体の1分子当たりの水酸基数を2.10とした以外は、
実施例6の(2)と同様にして発泡性ポリウレタン組成
物を製造し、この発泡性ポリウレタン組成物を用いて、
実施例6の(3)と同様にして、膜状に溶融押出発泡成
形を行ったが、未溶融物が多く、分散性が劣り、発泡シ
ートが得られなかった。
【0097】《比較例7》実施例3で、使用した高分子
ポリオールを1分子当たりの水酸基数が2.0であるP
MPA−1に代えた以外は、実施例3と同様にして発泡
性ポリウレタン組成物を製造し、この発泡性ポリウレタ
ン組成物を用いて、実施例3と同様にして、膜状に溶融
押出発泡成形を行って、下記の表3に示す厚さを有する
発泡フィルムを製造した。得られたフィルムの見掛比
重、引張強度および外観を、上記した方法で測定または
評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】上記の表3の結果から明らかなように、実
施例1〜7の発泡性ポリウレタン組成物を用いた場合に
は、引張強度に優れ、しかも平滑な外観を有する発泡フ
ィルムが得られた。それに対して、熱可塑性ポリウレタ
ン(I)とブロック共重合体(II)との重量比が70/
30〜100/0の範囲外の比較例2の場合は、発生し
たガスの保持性が悪いことから発泡シートの表面に大き
な穴が多数発生したためシート強度がなく破れてしま
い、シートが得られなかった。また、(メタ)アクリル
酸エステル系重合体(III)を含有しない比較例1、4
および5の場合は、溶融粘度が低すぎて発泡に適したも
のとならず、溶融押出発泡成形により得られる発泡フィ
ルムは,気泡の破れや,気泡径のムラなどによる凹凸模
様や荒れなどが表面に生じていて外観が不良である上
に、しかも引張強度も低く、機械的特性にも劣ってい
た。さらに、熱可塑性ポリウレタン(I)とブロック共
重合体(II)の合計量100重量部に対して、(メタ)
アクリル酸エステル系重合体(III)を1〜30重量部
の範囲外の比較例3の場合、溶融粘度が高くなりすぎ
て、発生したガスによって充分に膨らまず、発泡フィル
ムの見掛比重が高くなってしまい、しかも外観も不良で
あった。1分子当たりの水酸基数が2.10の高分子ポ
リオールから得られた熱可塑性ポリウレタンを使用した
比較例6は溶融粘度が高すぎて未溶融物が多いことと分
散性が悪く発泡シートが得られず、1分子当たりの水酸
基数が2.00の高分子ポリオールから得られた熱可塑
性ポリウレタンを使用した比較例7では、溶融粘度が低
すぎて発泡に適したものとならず、溶融押出発泡成形に
より得られる発泡フィルムは,気泡の破れや,気泡径の
ムラなどによる凹凸模様や荒れなどが表面に生じていて
外観が不良である上に、しかも引張強度も低く、機械的
特性にも劣っていた。
【0101】《実施例8》 (1) 単繊維繊度2.5デニールのポリエステル繊維
を用いて製造した絡合不織布(目付360g/m2)に
ポリウレタン弾性体(クラレ社製「クラミロンU219
5」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度9
5)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸させ、
乾燥して、厚さ1.3mm、目付455g/m2の繊維
質基材を準備した(繊維質基材におけるポリエステル絡
合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=8:2)。 (2) 図1に示すようにして、上記(1)で準備した
繊維質基材1を、鏡面加工を施した金属製ロール2と弾
性体バックロール3との間に通して供給すると共に、前
記金属製ロール2と繊維質基材1との間に、上記実施例
5の(2)で得られた発泡性ポリウレタン組成物を単軸
押出機(65mmφ)4に仕込み、溶融帯温度180〜
220℃、ダイ部温度180℃で、T−ダイ(リップ間
隔0.2mm、ダイ幅350mm)より膜状に溶融押出
発泡させたものを流動状態で供給し、ゲージ圧8kg/
cm2でコールドプレスして、上記(1)で得られた繊
維質基材層1の表面に厚さ500μmの発泡体層5が形
成された積層体6を製造した。この積層体6における発
泡体層5の発泡倍率は2.2倍であった。
【0102】(3) 上記とは別に、数平均分子量1,
500の3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位と
アジピン酸単位とからなるポリエステルジオール(PM
PA)、1,4−ブタンジオール(BD)および50℃
で加熱溶融した4,4′−ジフェニルメタンジイソシア
ネート(MDI)を、PMPA:BD:MDIのモル比
が1:2.6:3.6となるような割合で用いて、対数
粘度1.02dl/gおよびショアー硬度Aが90の熱
可塑性ポリウレタンを製造した。 (4) 上記(3)で得られた熱可塑性ポリウレタン1
00重量部に対して、黒色顔料ペレット(顔料濃度20
重量%のポリエチレンペレット)5重量部を混合し、無
孔質層用の熱可塑性ポリウレタンのペレットブレンド物
を調整した。 (5) 上記(2)で得られた繊維質基材層1と発泡体
層5とからなる積層体6を毛穴シボ状の凹凸加工を施し
てある金属製エンボスロール7と弾性体バックロール8
との間に通して供給すると共に、前記金属製エンボスロ
ール7と前記積層体6の発泡体層5の表面との間に、上
記(4)で得られた無孔質層用に調整した熱可塑性ポリ
ウレタンのペレットブレンド物を、単軸押出機(65m
mφ)9に仕込み、溶融帯温度180〜230℃、ダイ
部温度220℃で、T−ダイ(リップ間隔0.5mm、
ダイ幅350mm)より膜状に溶融押出させたものを流
動状態で供給し、ゲージ圧8kg/cm2でコールドプ
レスして、発泡体層5の表面に厚さ35μmの無孔質層
10を有する繊維質基材層/発泡体層/無孔質層よりな
る3層構造積層体11を製造した。この3層構造積層体
11は10m/分のライン速度で安定して製造すること
ができた。 (6) 上記(5)で得られた3層構造積層体11は、
その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革
の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有し
ており、引っ張ったり、折れ曲げたときに表面に低品位
の凹凸シワなどが生じず、外観、風合い、触感などにお
いて極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であ
った。また、その3層構造積層体11の剥離強度を上記
した方法で測定したところ16kg/25mmと高い値
であり、一方磨耗減少量は8mgと小さく、耐摩耗性に
優れるものであった。
【0103】《実施例9》 (1) 単繊維繊度0.007デニールの極細ナイロン
繊維を約300本収束した極細繊維束を用いて製造した
極細ナイロン繊維絡合不織布(目付300g/m2)に
ポリウレタン弾性体(クラレ社製「クラミロンU919
8」、対数粘度1.05dl/g、ショアーA硬度9
8)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を含浸させ、
乾燥して、厚さ1.3mm、目付442g/m2の繊維
質基材を準備した(繊維質基材における極細ナイロン繊
維絡合不織布:ポリウレタン弾性体の重量比=6:
4)。 (2) 図1に示すようにして、上記(1)で準備した
繊維質基材1を、鏡面加工を施した金属製ロール2と弾
性体バックロール3との間に通して供給すると共に、前
記金属製ロール2と上記(1)で得られた繊維質基材1
との間に、上記実施例6の(2)で得られた発泡性ポリ
ウレタン組成物を単軸押出機(65mmφ)4に仕込
み、溶融帯温度180〜220℃、ダイ部温度180℃
で、T−ダイ(リップ間隔0.2mm、ダイ幅350m
m)より膜状に溶融押出発泡させたものを流動状態で供
給し、ゲージ圧8kg/cm2でコールドプレスして、
繊維質基材層1の表面に厚さ550μmの発泡体層5が
形成された積層体6を製造した。この積層体6における
発泡体層5の発泡倍率は2.2倍であった。 (3) 上記とは別に、数平均分子量1,000のポリ
テトラメチレングリコール(PTG)、1,4−ブタン
ジオール(BD)および50℃で加熱溶融した4,4′
−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、P
TG:BD:MDIのモル比が1:1.7:2.7とな
るような割合で用いて、対数粘度1.03dl/gおよ
びショアー硬度Aが90の熱可塑性ポリウレタンを製造
した。 (4) 上記(3)で得られた熱可塑性ポリウレタン1
00重量部に対して、黒色顔料ペレット(顔料濃度20
重量%のポリエチレンペレット)5重量部を混合し、無
孔質層用の熱可塑性ポリウレタンのペレットブレンド物
を調整した。
【0104】(5) 上記(2)で得られた繊維質基材
層1と発泡体層5とからなる積層体6を、毛穴シボ状の
凹凸加工を施してある金属製エンボスロール7と弾性体
バックロール8との間に通して供給すると共に、前記金
属製エンボスロール7と前記積層体6の発泡体層5の表
面との間に、上記(4)で得られた無孔質層用に調整し
た熱可塑性ポリウレタンのペレットブレンド物を、単軸
押出機(65mmφ)9に仕込み、溶融帯温度180〜
230℃、ダイ部温度220℃で、T−ダイ(リップ間
隔0.5mm、ダイ幅350mm)より膜状に溶融押出
させたものを流動状態で供給し、ゲージ圧10kg/c
2でコールドプレスして、発泡体層5の表面に厚さ3
5μmの無孔質層10を有する繊維質基材層/発泡体層
/無孔質層よりなる3層構造積層体11を製造した。こ
の3層構造積層体11は10m/分のライン速度で安定
して製造することができた。 (6) 上記(5)で得られた3層構造積層体11は、
その表面強力が大きく、柔軟性に優れ、外観も天然皮革
の毛穴シボ品に極めて近い良好な毛穴状シボ模様を有し
ており、引っ張ったり、折れ曲げたときに表面に低品位
の凹凸シワなどが生じず、外観、風合い、触感などにお
いて極めて優れており、高級感のある皮革様積層体であ
った。また、その3層構造積層体11の剥離強度を上記
した方法で測定したところ15kg/25mmと高い値
であった。一方、磨耗減少量は7mgと小さく、耐摩耗
性に優れるものであった。
【0105】《比較例8》実施例8の(2)で用いた発
泡性ポリウレタン組成物[実施例5の(2)参照]にお
いて(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を使
用しないこと以外は同様の発泡性ポリウレタン組成物を
用いて、実施例8と全く同様にして、繊維質基材層/発
泡体層/無孔質層よりなる3層構造積層体をラインスピ
ード10m/分で製造した。その結果、繊維質基材層と
発泡体層とからなる積層体を製造する際に、発泡性ポリ
ウレタン組成物の溶融粘度が低いことにより、押出し直
後から気泡の巨大化、潰れ、破壊などを生じ、発泡体層
の表面は凹凸の大きい粗悪なものであった。また、最終
的に得られた3層構造積層体においても、無孔質層の下
の発泡体層の粗悪な表面形状の影響を受けて、無孔質層
の表面にエンボスロールによる毛穴状のシボ模様が充分
に成形されず、凸部の角が流れて(崩れて)不鮮明にな
り、シボ流れが生じていた。その上、積層体の一体感も
乏しく、柔軟性に欠ける硬い風合いであった。また、そ
の3層構造積層体の剥離強度を上記した方法で測定した
ところ5kg/25mmと低い値であり、一方耐摩耗量
は15mgと大きく、耐摩耗性に劣っていた。
【0106】《比較例9》実施例9の(2)で用いた発
泡性ポリウレタン組成物[実施例6の(2)参照]にお
いて、熱可塑性ポリウレタンとスチレン−イソプレン−
スチレンブロック共重合体の配合重量比を85/15か
ら50/50に変更した以外は同様の発泡性ポリウレタ
ン組成物を用いて、実施例9と全く同様にして、繊維質
基材層/発泡体層/無孔質層よりなる3層構造積層体を
ラインスピード10m/分で製造した。その結果、繊維
質基材層と発泡体層とからなる積層体を製造する際に、
発泡性ポリウレタン組成物の溶融粘度が低く、発泡シー
トが部分的に破れたり、押出し直後から気泡の巨大化、
潰れ、破壊などを生じたりし、発泡体層の表面は凹凸の
大きい粗悪なものであった。また、最終的に得られた3
層構造積層体においても、無孔質層の下の発泡体層の粗
悪な表面形状の影響を受けて、無孔質層の表面にエンボ
スロールによる毛穴状のシボ模様が充分に成形されず、
凸部の角が流れて(崩れて)不鮮明になりシボ流れが生
じていた。その上、積層体の一体感も乏しく、柔軟性に
欠ける硬い風合いであった。また、その3層構造積層体
の剥離強度を上記した方法で測定したところ3kg/2
5mmと低い値であり、一方耐摩耗量は20mgと大き
く、耐摩耗性に劣っていた。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、大きさの揃った微細な
気泡が発泡体内部にムラなく均一に分布しており、表面
に気泡の破れや気泡径の斑などに起因する荒れや凹凸模
様がなくて表面状態が良好であり、しかも柔軟性、機械
的特性、耐摩耗性などにも優れる高品質の熱可塑性ポリ
ウレタン発泡体、ポリウレタン発泡体と基材とからなる
積層体が提供される。そして、繊維質基材層(A)/発
泡体層(B)/無孔質層(C)よりなる本発明の3層構
造積層体は、柔軟性、弾力性、耐摩耗性、機械的強度な
どの諸特性に優れ、層間剥離がなく、引っ張ったり、折
り曲げたりしたときに表面に低品位の皺や凹凸模様の生
じない、天然皮革に近似した、高級感のある外観、風合
い、触感などを有している。さらに、本発明の発泡性ポ
リウレタン組成物を用いて、本発明の方法によってポリ
ウレタン発泡体あるいは3層構造積層体を製造した場合
には、環境上や安全面などの点で大きな問題になってい
るフロンガスや有機溶剤などを使用することなく、上記
した高品質の製品を円滑に且つ高い生産性で製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維質基材層(A)/発泡体層(B)/無孔質
層(C)からなる本発明の3層構造積層体の製造に好ま
しく採用される製造工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 繊維質基体 2 鏡面加工を施した金属製ロール 3 弾性体バックロール 4 押出機 5 発泡体層 6 繊維質基材剤層と発泡体層からなる積層体 7 凹凸模様を施した金属製エンボスロール 8 弾性体バックロール 9 押出機 10 無孔質層 11 3層構造積層体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリウレタン(I)、芳香族ビ
    ニル化合物重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロック
    とからなるブロック共重合体およびその水素添加物から
    なる群から選ばれる少なくとも1種(II)、数平均分子
    量が100,000以上の(メタ)アクリル酸アルキル
    エステル系重合体(III)、並びに熱分解型発泡剤(I
    V)からなる発泡性ポリウレタン組成物であって;成分
    (I)/成分(II)の重量比が70/30〜100/0
    であり;成分(I)と成分(II)の合計の重量/成分
    (III)の重量の比が100/1〜100/30であ
    り;熱可塑性ポリウレタン(I)が、数平均分子量が8
    00〜8,000で1分子当たりの水酸基の数が2.0
    05〜2.06個である高分子ポリオール、有機ジイソ
    シアネートおよび鎖伸長剤を、下記の数式(1): 0.99≦b/(a+c)≦1.05 (1) (式中、aは高分子ポリオールのモル数、bは有機ジイ
    ソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル数を示
    す。)を満足する割合で反応させて得られるものであ
    る;ことを特徴とする発泡性ポリウレタン組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発泡性ポリウレタン組
    成物に、更に高級脂肪酸と脂肪族ポリオールの縮合物ま
    たは該縮合物と高級脂肪酸金属塩の混合物を含有するこ
    とを特徴とする発泡性ポリウレタン組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の発泡性ポリウ
    レタン組成物を用いて溶融押出発泡成形してなる発泡
    体。
  4. 【請求項4】 繊維質基材層(A)の表面に、熱可塑性
    ポリウレタン組成物からなる発泡体層(B)を有し、そ
    の上に熱可塑性エラストマーからなる無孔質層(C)を
    有し、且つ該無孔質層(C)の表面に凹凸模様および/
    または鏡面模様が存在している積層体であって、該発泡
    体層(B)が請求項3に記載のポリウレタン発泡体から
    形成されていることを特徴とする積層体。
  5. 【請求項5】 請求項1および2に記載の発泡性ポリウ
    レタン組成物を膜状に溶融押出発泡成形し、流動性を有
    している内に繊維質基材層(A)の表面に押し付けて接
    着することにより、繊維質基材層(A)の表面に発泡体
    層(B)を形成し、次に、熱可塑性エラストマーを膜状
    に溶融押出成形し、流動性を有している内に発泡体層
    (B)の表面に押し付けて接着することにより、発泡体
    層(B)の表面に無孔質層(C)を形成するとともに、
    無孔質層(C)が流動性を有している内に、無孔質層
    (C)の表面を型押しして凹凸模様および/または鏡面
    模様を形成させることを特徴とする請求項4に記載の積
    層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001139761A (ja) * 1999-11-12 2001-05-22 Kuraray Co Ltd 熱可塑性重合体組成物
WO2002040265A1 (de) * 2000-11-14 2002-05-23 Basf Aktiengesellschaft Verbundelemente enthaltend polyisocyanat-polyadditionsprodukte
CN113322683A (zh) * 2021-04-25 2021-08-31 佛山市高明尚昂科技有限公司 一种可压纹硬质复合型人造革及其制备方法

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