JP2001139761A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物

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JP2001139761A
JP2001139761A JP32235399A JP32235399A JP2001139761A JP 2001139761 A JP2001139761 A JP 2001139761A JP 32235399 A JP32235399 A JP 32235399A JP 32235399 A JP32235399 A JP 32235399A JP 2001139761 A JP2001139761 A JP 2001139761A
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Eiji Nakamura
英慈 中村
Katsushige Takahashi
活栄 高橋
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極性樹脂に対する接着性、透明性、および力
学性能に優れた熱可塑性重合体組成物を提供すること。 【解決手段】 トリブロック共重合体(I)100重量部
に対してポリウレタンエラストマー(II)を50〜20
0重量部ポリアクリレート(III)を20〜45重量部
アクリロニトリル・スチレン共重合体(IV)を3〜10
重量部からなる熱可塑性重合体組成物であって;ヘイズ
が25%以下である;ことを特徴とする熱可塑性エラス
トマー組成物によって上記の課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融接着性および
透明性に優れる熱可塑性重合体組成物、該熱可塑性重合
体組成物の層と他の材料からなる層を有する積層構造体
およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明
は、透明性、柔軟性、弾性、力学特性および成形性に優
れ、しかも各種の材料に強固に溶融接着し、熱可塑性重
合体組成物の層と材料からなる層を有する種種の積層構
造体や複合体を溶融接着によって簡単に且つ円滑に製造
することのできる熱可塑性重合体組成物、該熱可塑性重
合体組成物の層と他の材料の層を有する積層構造体及び
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系重合体ブロックとジエン系重
合体ブロックを有するブロック共重合体(以下、スチレ
ン・ジエンブロック共重合体ということがある)および
その水素添加物は、常温でゴム弾性を有し且つ加熱によ
り可塑化・溶融して成形加工を容易に行うことができ、
しかも柔軟性と力学物性のバランスに優れていることか
ら、いわゆる熱可塑性弾性体(熱可塑性エラストマー)
の1種として近年種々の分野で広く用いられている。
【0003】その代表的な用途の一つとしては、スチレ
ン・ジエンブロック共重合体及び/又はその水素添加物
の層と、プラスチックおよび/または金属の層を有する
積層構造体(複合体)を挙げることができる。そして積
層構造体におけるプラスチック層には、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチ
レン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレ
ン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ナイロ
ン、ポリカーボネートなどの合成樹脂が用いられてい
る。また、前記した複層構造体における金属層として
は、ステンレス、鉄、アルミニウム、銅、ブリキ、トタ
ンなどの各種金属の使用が試みられている。
【0004】上記した積層構造体は、スチレン・ジエン
ブロック共重合体および/またはその水素添加物の層が
柔らかで、良好な手触り、弾力性、防振性、防音性、緩
衝作用、破損防止機能などの特性を有し、一方上記した
合成樹脂や金属の層が形状保持機能、補強作用、固定機
能などを有する。そのため、前記積層構造体は高付加価
値製品として近年注目されており、シート、フィルム、
複雑な形状を有する各種成形品などの形態にして、例え
ば、自動車や車両用のインストルメントパネル、センタ
ーコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシスト
グリップなどの各種部材、ドア、窓枠材などの建築用資
材、電気製品の各種スイッチやつまみ、医療用ギブスな
どの各種製品への使用が試みられている。
【0005】しかしながら、スチレン・ジエンブロック
共重合体およびその水素添加物は極性が低く、そのため
極性の低い同種のプラスチック等との溶融接着や溶融一
体成形は可能であるが、極性の高いプラスチックスや金
属との溶融接着が困難である。そのため、極性の高い材
料と積層して複合化する場合は凹凸等の係止部をスチレ
ン・ジエンブロック共重合体やその水素添加物からなる
部材およびプラスチックや金属からなる部材に設けて、
両者を係合させて結合する方法や別の結合手段を用いる
などの機械的接合法、或いは接着剤を用いる接合方法が
採用されている。しかし、凹凸などの係合部を設ける方
法は、各々の部材を形成するための金型の構造が複雑に
なるため、金型の作製に時間や手間がかかったりコスト
の上昇を招き、しかも両者の部材を係合するという繁雑
な作業が必要である。また、接着剤を用いる方法は、両
者の部材を製造時や製造してから接着剤を用いて両者を
接着させるという点で工程が複雑になる。しかも、使用
される接着剤が必ずしも両方の材料に対して高い接着力
を有するとは限らず、そのために接着不良、接着強度の
持続性、耐水性等の点で問題がある。その上、接着剤に
用いられる有機溶剤による作業環境や地球環境の悪化の
問題がある。
【0006】そこで、スチレン・ジエンブロック共重合
体やその水素添加物などの熱可塑性弾性体の熱融着性を
向上させるための技術が従来からいろいろ提案されてお
り、そのような従来技術として、スチレン・ジエンブロ
ック共重合体またはその水素添加物に熱可塑性ポリウレ
タンエラストマーを配合した熱融着性組成物が知られて
いる(特開平6−107898号公報、特開平8−22
04号公報)。
【0007】スチレン・ジエンブロック共重合体やその
水素添加物などの熱可塑性弾性体を含有する熱可塑性重
合体組成物では、それを用いて得られる成形品や積層体
などの色調、外観などを良好なものにするために、透明
性に優れていることを求められる場合が多いが、スチレ
ン・ジブロック共重合体やその水素添加物などの熱可塑
性弾性体を主体とする従来の熱可塑性重合体組成物では
透明度の低いものが多く、透明性の熱可塑性重合体組成
物を得たいとする要望を十分に満たしていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スチ
レン・ジエンブロック共重合体またはその水素添加物な
どのような、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合
体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体
ブロックを有するブロック共重合体および/またはその
水素添加物に基づく熱可塑性重合体組成物であって、該
ブロック共重合体が本来有する良好な弾力性、柔軟性、
力学特性、成形加工性などの諸特性を損なうことなく、
種々の材料に対して強固に且つ容易に溶融接着すること
ができるうえに、透明性に優れる熱可塑性重合体組成物
を提供することである。そして、本発明の目的は、上記
した、熱可塑性重合体組成物の層と他の材料の層とが溶
融接着した積層構造体(複合体)およびその製造方法を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、芳香族
ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重
合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素
添加物からなる付加重合系ブロックとポリウレタンエラ
ストマー、ポリアクリレートおよびアクリロニトリル・
スチレン共重合体を含有する熱可塑性重合体組成物が、
弾力性、柔軟性、力学特性、成形加工性、種々の材料に
対する良好な溶融接着性という諸特性に加えて、透明性
にも優れていることを見出して本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明は、(1)下記の一般式
(i)
【0011】
【化2】 (式中、A1およびA2はそれぞれ独立して芳香族化合
物から主としてなる重合体ブロックを示し、B1は共役
ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックを示す)
で表されるトリブロック共重合体およびその水素添加物
から選ばれる少なくとも1種のトリブロック共重合体
(I) ; (2)ポリウレタンエラストマー(II); (3)ポリアクリレート(III);および (4)アクリロニトリル・スチレン共重合体(IV); を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物であ
る。
【0012】さらに、本発明は、上記した熱可塑性重合
体組成物からなる層と、他の材料からなる層を有するこ
とを特徴とする積層構造体である。そして、本発明は、
熱可塑性重合体組成物を他の材料に対して溶融積層成形
して上記の積層構造体を製造する方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記したトリ
ブロック共重合体(I)、ポリウレタンエラストマー(I
I)、ポリアクリレート(III)およびアクリロニトリル
・スチレン共重合体(IV)の4つの成分を含有している
ことが必要である。
【0014】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる上
記の一般式(i)で表されるトリブロック共重合体(I)
は、共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック
であるB1{以下「共役ジエン重合体ブロック(B
1)」という}の両側に、芳香族ビニル化合物から主と
してなる重合体ブロックであるA1とA2{以下「芳香
族ビニル重合体ブロック(A1)」および「芳香族ビニ
ル重合体ブロック(A2)」という}がそれぞれ結合し
たトリブロック共重合体およびその水素添加物から選ば
れる少なくとも1種からなっている。
【0015】トリブロック共重合体(I)における芳香
族ビニル重合体ブロック(A1)と芳香族ビニル重合体
ブロック(A2)を構成する芳香族ビニル化合物として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、b−メチ
ルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、t−ブ
チルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6
−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフル
オロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレ
ン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアン
トラセンなどのビニル芳香族化合物を挙げることができ
る。そのうちでも、芳香族ビニル重合体ブロック(A
1)、(A2)はスチレンに由来する構造単位から主と
してなっていることが好ましい。芳香族ビニル重合体ブ
ロック(A1)、(A2)は、前記した芳香族ビニル化
合物の1種のみからなる構造単位を有していても、また
は2種以上からなる構造単位を有していてもよい。
【0016】またトリブロック共重合体(I)における
共役ジエン重合体ブロック(B1)を構成する共役ジエ
ン化合物としては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジ
エン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3
−ペンタジエンなどを挙げることができる。共役ジエン
重合体ブロック(B1)は、これらの共役ジエン化合物
の1種から構成されていてもまたは2種以上から構成さ
れていてもよい。共役ジエン重合体ブロック(B1)が
2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有し
ている場合は、それらの結合形態はランダム、テーパ
ー、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組合せ
からなっていることができる。
【0017】そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック
(B1)は、ゴム物性の改善効果の点から、イソプレン
単位を主体とするモノマー単位からなるポリイソプレン
ブロックまたはその不飽和結合の一部または全部が水素
添加された水添ポリイソプレンブロック;ブタジエン単
位を主体とするモノマー単位からなるポリブタジエンブ
ロックまたはその不飽和結合の一部または全部が水素添
加された水添ポリブタジエンブロック;或いはイソプレ
ン単位とブタジエン単位を主体とするモノマー単位から
なるイソプレン/ブタジエン共重合ブロックまたはその
不飽和結合の一部または全部が水素添加されたイソプレ
ン/ブタジエン共重合ブロックであることが好ましい。
特に、共役ジエン重合体ブロック(B1)は、前記した
ポリイソプレンブロック、イソプレン/ブタジエン共重
合ブロックまたはそれらの水素添加されたブロックであ
ることがより好ましい。
【0018】共役ジエン重合体ブロック(B1)の構成
ブロックとなり得る上記したポリイソプレンブロックで
は、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位
は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−C
2−C(CH3)=CH−CH 2−;1,4−結合のイ
ソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH
(C(CH3)=CH2)−CH2−;3,4−結合のイ
ソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン
基[−C(CH3)(CH=CH2)−CH2−;1,2
−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少な
くとも1種の基からなっており、各単位の割合は特に限
定されない。
【0019】共役ジエン重合体ブロック(B1)の構成
ブロックとなり得る上記したポリブタジエンブロックで
は、その水素添加前には、そのブタジエン単位の70〜
20モル%、特に65〜40モル%が2−ブテン−1,
4−ジイル基(−CH2−CH=CH−CH2−;1,4
−結合ブタジエン単位)であり、30〜80モル%、特
に35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH
=CH)−CH2−;1,2−結合ブタジエン単位]で
あることが好ましい。ポリブタジエンブロックにおける
1,4−結合量が上記した70〜20モル%の範囲から
外れると、そのゴム物性が不良になることがある。
【0020】共役ジエン重合体ブロック(B1)の構成
ブロックとなり得る上記したイソプレン/ブタジエン共
重合ブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに
由来する単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイ
ル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1
−ビニルエチレン基からなる群から選ばれる少なくとも
1種の基からなっており、またブタジエンに由来する単
位は2−ブテン−1,4−ジイル基および/またはビニ
ルエチレン基からなっており、各単位の割合は特に制限
されない。イソプレン/ブタジエン共重合ブロックで
は、イソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダ
ム状、ブロック状、テーパーブロック状のいずれの形態
になっていてもよい。そして、イソプレン/ブタジエン
共重合ブロックでは、ゴム物性の改善効果の点から、イ
ソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が1:9〜9:
1であることが好ましく、3:7〜7:3であることが
より好ましい。
【0021】トリブロック共重合体(I)は、熱可塑性
重合体組成物の耐熱性および耐候性が良好なものとなる
点から、その共役ジエン重合体ブロック(B1)におけ
る不飽和二重結合の一部または全部が水素添加(以下
「水添」ということがある)されていることが好まし
い。その際の共役ジエン重合体ブロック(B1)の水添
率は50モル%以上であることが好ましく、60モル%
以上であることがより好ましく、80モル%以上である
ことがさらに好ましい。また、トリブロック共重合体
(I)では、芳香族ビニル重合体ブロック(A1)と芳
香族ビニル重合体ブロック(A2)は互いに同じ内容の
重合体ブロックであってもまたは異なる内容の重合体ブ
ロックであってもよい。
【0022】トリブロック共重合体(I)では、芳香族
ビニル重合体ブロック(A1)および(A2)の分子量
並びに共役ジエン重合体ブロック(B1)の分子量は特
に制限されないが、水素添加前の状態で、芳香族ビニル
重合体ブロック(A1)および(A2)の数平均分子量
が2,500〜75,000の範囲内にあり、共役ジエ
ン重合体ブロック(B1)の数平均分子量が10,00
0〜150,000の範囲内にあることが、熱可塑性重
合体組成物のゴム物性等が優れたものとなる点から好ま
しい。また、トリブロック共重合体(I)の全体の数平
均分子量が水添前の状態で15,000〜300,00
0の範囲内にあることが、熱可塑性重合体組成物の力学
的特性、成形加工性などの点から好ましい。なお、本明
細書でいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン
検量線から求めた値をいう。
【0023】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるト
リブロック共重合体(I)は、場合により分子末端に水
酸基などの官能基を有していてもよい。
【0024】トリブロック共重合体(I)の製造法は特
に制限されず、上記した構造を有するブロック共重合体
を製造し得る方法であればいずれの方法で製造してもよ
く、また既に市販されているものを用いてもよい。
【0025】何ら限定されるものではないが、トリブロ
ック共重合体(I)は、例えば、アニオン重合やカチオ
ン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラ
ジカル重合法などにより製造することができる。アニオ
ン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウム化合
物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシク
ロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化
合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構
造および分子量を有するジブロック共重合体またはトリ
ブロック共重合体を製造した後、アルコール類、カルボ
ン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合を停止
させることにより製造することができる。そして、前記
により製造されるトリブロック共重合体を好ましくは公
知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存
在下に水添して、水添されたトリブロック共重合体
(I)を得ることができる。
【0026】また、本発明の熱可塑性重合体組成物で用
いるポリウレタンエラストマー(II)は、高分子ジオー
ル、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により
得られるポリウレタンである。ポリウレタンエラストマ
ー(II)の形成に用いられる高分子ジオールは、その数
平均分子量が1,000〜6,000であることが、ポ
リウレタンエラストマー(II)を含有する本発明の熱可
塑性重合体組成物の力学的特性、耐熱性、耐寒性、弾性
回復性などが良好になる点から好ましい。ここで、本明
細書でいう高分子ジオールの数平均分子量は、JIS
K1557に準拠してSITE測定した水酸基価に基づ
いて算出した数平均分子量である。
【0027】ポリウレタンエラストマー(II)の製造に
用い得る高分子ジオールの例としては、ポリエステルジ
オール、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテル
ジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポ
リカーボネートジオールなどを挙げることができ、ポリ
ウレタンエラストマー(II)はこれらの高分子ジオール
の1種または2種以上を用いて形成されることができ
る。
【0028】ポリウレタンエラストマー(II)の製造に
用い得る上記ポリエステルジオールとしては、脂肪族ジ
カルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびそれらのエステ
ル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種のジカルボ
ン酸成分と低分子ジオールとの反応により得られるポリ
エステルジオール、ラクトンの開環重合により得られる
ポリエステルジオールなどを挙げることができる。より
具体的には、前記ポリエステルジオールとしては、例え
ば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭
素数6〜10の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
およびそれらのエステル形成性誘導体の1種または2種
以上と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メ
チル−1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール
の炭素数2〜10の脂肪族ジオールの1種または2種以
上とを重縮合反応させて得られるポリエステルジオー
ル、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトン
ジオールを挙げることができる。
【0029】ポリウレタンエラストマー(II)の製造に
用い得る上記ポリエーテルジオールとしては、例えば、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができ
る。また、ポリウレタンエラストマー(II)の製造に用
い得る上記ポリカーボネートジオールとしては、例えば
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール
などの脂肪族ジオールの1種または2種以上と、炭酸ジ
フェニル、炭酸アルキルなどの炭酸エステルまたはホス
ゲンとを反応させて得られるポリカーボネートジオール
を挙げることができる。
【0030】ポリウレタンエラストマー(II)の製造に
用いられる有機ジイソシアネートの種類は特に限定され
ないが、分子量500以下の芳香族ジイソシアネート、
脂環式ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシアネート
の1種または2種以上が好ましく用いられる。そのよう
な有機ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水
素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネートなどを挙げることができ、これらの有機
ジイソシアネートのうちでも4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0031】ポリウレタンエラストマー(II)の製造に
用い得る鎖伸長剤としては、ポリウレタンエラストマー
の製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが
使用でき、その種類は特に限定されない。そのうちで
も、鎖伸長剤としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオー
ルおよび芳香族ジオールのうちの1種または2種以上が
好ましく用いられる。好ましく用いられる鎖伸長剤の具
体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9
−ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4−
ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどのジオー
ルを挙げることができる。前記したうちでも、炭素数2
〜6の脂肪族ジオールが鎖伸長剤としてより好ましく用
いられ、1,4−ブタンジオールがさらに好ましく用い
られる。
【0032】本発明の熱可塑性重合体組成物では、ポリ
ウレタンエラストマー(II)として、高分子ジオール、
鎖伸長剤および有機ジイソシアネートを、高分子ジオー
ル:鎖伸長剤=1:0.2〜8.0(モル比)の範囲で
あり且つ[高分子ジオールと鎖伸長剤の合計モル数]:
[有機ジイソシアネートのモル数]=1:0.98〜
1.04の範囲であるようにして反応させて得られるポ
リウレタンエラストマーが好ましく用いられる。そのよ
うなポリウレタンエラストマー(II)を含有する本発明
の熱可塑性重合体組成物は、射出成形などの溶融成形時
に溶融粘度の急激な上昇がなく、目的とする成形品や積
層構造体などの製品を円滑に製造することができ、しか
もそれにより得られる製品の耐熱性が良好なものとな
る。
【0033】また、ポリウレタンエラストマー(II)
は、硬度(JIS A硬度;25℃で測定)が55〜9
0であることが、熱可塑性重合体組成物から得られる成
形品や積層構造体などの製品の力学的特性が良好になり
且つ適度な硬さを有するようになる点から好ましい。ポ
リウレタンエラストマー(II)の硬度が55未満である
と、熱可塑性重合体組成物から得られる成形品や積層構
造体などの製品の力学的特性が低いものとなり易く、一
方ポリウレタンエラストマー(II)の硬度が90を超え
ると熱可塑性重合体組成物から得られる成形品や積層構
造体などの製品の柔軟性が低いものとなり易い。
【0034】本発明の熱可塑性重合体組成物において、
ポリウレタンエラストマー(II)として、数平均分子量
が2000以上のポリ(3−メチル−1,5−ペンタン
アジペート)ジオールをソフトセグメントとするポリウ
レタンを用いると、すなわちアジピン酸と3−メチル−
1,5−ペンタンジオールとの重縮合により得られる数
平均分子量が2000以上のポリエステルジオールと、
上記した有機ジイソシアネートおよび有機ジイソシアネ
ートを反応させて得られるポリウレタンエラストマーを
用いると、柔軟性、弾性、力学的特性、耐油性、成形加
工性、溶融接着性という上記した特性に優れ、特に耐圧
縮永久歪み性および成形性に一層優れる熱可塑性重合体
組成物を得ることができる。
【0035】ポリウレタンエラストマー(II)の製造方
法は特に限定されず、上記した高分子ジオール、有機ジ
イソシアネートおよび鎖伸長剤を使用して、公知のウレ
タン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット
法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に
溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多
軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造
することが好ましい。
【0036】本発明に用いられるポリアクリレート(II
I)は、メタクリル酸メチルの単独のポリマー、あるい
はメタクリル酸メチルに他の共重合性を有する単量体を
共重合させたコポリマーであり、その製造方法には特に
制限はない。用い得る共重合成分としては、アクリル
酸、アクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メタ
クリル酸金属塩、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n
−ブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−
ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリ
ル酸グリシジル、メタクリル酸シクロゲキシルなどのメ
タクリル酸エステル類;酢酸ビニルなどの酢酸エステル
類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル
化合物;無水マレイン酸、マレイン酸モノ、およびジア
ルキルエステル類;N−フェニルマレイミドなどのマレ
イミド類などが挙げられ、これらは1種以上を任意の組
合せで且つ任意の比率で使用することができる。
【0037】ポリアクリレート(III)におけるメタク
リル酸メチルの割合は、アクリル樹脂としての物性を保
持する観点から100〜50%の範囲内であることが好
ましく、さらに耐候性等に優れているためには100〜
80%の範囲内であることが好ましい。
【0038】ポリアクリレート(III)の分子量は、ア
クリル樹脂としての物性を保持することと、本発明の熱
可塑性重合体組成物に良好な成形性を付与する観点から
100,000以下であるのがよい。
【0039】本発明において用いられるアクリロニトリ
ル・スチレン共重合体(IV)はアクリロニトリル15〜
35重量%、スチレン85〜65重量%からなる共重合
体である。アクリロニトリル・スチレン共重合体(IV)
は、スチレン共重合体ポリアクリレート(III)と相溶
しトリブロック共重合体(I)とは相溶しないという性
質を有しており、また、ポリアクリレート(III)と
1:1の重量比で溶融混合したブレンド物から得られる
厚さ3mmの試験片を20℃で測定したときの全光線透
過率は85%以上であり、ヘーズは10%以下であると
いう特徴を有する。
【0040】本発明の熱可塑性重合体組成物は厚さ3m
mの試験片を20℃で測定したときのヘーズが25%以
下であるという特徴を有する。
【0041】本発明の熱可塑性重合体組成物は、トリブ
ロック共重合体(I)100重量部に対してポリウレタ
ンエラストマー(II)を50〜200重量部、ポリアク
リレート(III)を20〜45重量部、およびアクリロ
ニトリル・スチレン共重合体(IV)を3〜10重量部の
割合で含有するのが好ましい。ポリウレタンエラストマ
ー(II)の含有量が50重量部未満の場合には、得られ
る熱可塑性重合体組成物の極性樹脂に対する接着性が低
下する傾向があり、一方200重量部を超えると耐候性
が低下する傾向がみられる。ポリアクリレート(III)
の含有量が20重量部未満の場合には、得られる熱可塑
性重合体組成物の耐候性が低下することがあり、一方4
5重量部を超えると柔軟性が低下する傾向がある。ま
た、アクリロニトリル・スチレン共重合体(IV)の含有
量が3重量部未満であるか、または10重量部を超える
場合、熱可塑性重合体組成物の透明性が低下する傾向が
ある。
【0042】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物
は、前記した成分以外に、必要に応じて滑剤、光安定
剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、シリコンオイル、ブロ
ッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の他の成
分の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0043】本発明の熱可塑性重合体組成物は、極性樹
脂、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフ
ェニレンスルフィド系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、
ポリメタクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アク
リロニトリル/スチレン系樹脂、アクリロニトリル/ス
チレン/ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビ
ニリデン系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの
ほか、金属に対して接着性を有しているうえに、透明性
に優れ且つ成形加工性、耐油性、力学物性、耐熱性等が
良好であるため、他の材料との積層構造体の製造に幅広
く使用することができる。
【0044】本発明の熱可塑性重合体組成物を用いた積
層構造体の製造方法としては、 ブロー成形法、インサ
ート射出成形法、二色射出成形法、サンドイッチ射出成
形法、インジェクションプレス成形、コアバック射出成
形法等の各種成形法を採用することができる。上記成形
法のうち、インサート射出成形法とは、予め芯材(極性
樹脂)を射出成形し、賦形された成形品を金型にインサ
ートした後、該成形品と金型との間の空隙に表層材(熱
可塑性重合体組成物)を射出成形する成形方法である。
また、二色射出成形法とは、二台以上の射出成形機を用
いて、芯材を射出成形した後に、金型が回転または移動
することにより、金型キャビティーが交換され、該成形
品と金型との間に空隙ができ、そこに表層材を射出成形
する成形方法である。さらに、コアバック射出成形法と
は、1台の射出成形機と1個の金型を用いて、芯材を射
出成形した後に、金型キャビティー容積を拡大させ、該
成形品と金型との間の空隙に表層材を射出成形する成形
方法である。芯材の成形は、通常の射出成形法を用いた
ものでよく、ガスインジェクション成形をしたものでも
良い。
【0045】このような成形法で得られた積層構造体
は、各種工業部品として使用することができる。具体的
には、インストルメンタル、センターパネル、センター
コンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグ
リップ、ハンドル、エアバックカバー等の自動車内装部
品、モール等の自動車外装部品、掃除機のバンパー、リ
モコンスイッチ、OA機器の各種キートップ等の家電部
品、水中眼鏡、水中カメラカバー等の水中使用製品、各
種カバー部品、密閉性、防水性、防音性、防振性を目的
とする各種パッキン付き工業部品、ラック&ピニオンブ
ーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツ等
の自動車機能部品、カールコード電線被覆、ベルト、ホ
ース、チューブ、消音ギヤ等の電気、電子部品、スポー
ツ用品、雑貨品、文房具等に使用することができる。
【0046】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の実施例および比較例において、試験片の作
製、接着性(剥離強度)、透明性(ヘイズ)および各物
性の測定、並びに成形品の品質の評価は次のようにして
行った。
【0047】(1)接着性(剥離強度)の測定:アクリ
ロニトリル/スチレン/ブタジエン系樹脂[宇部サイコ
ン(株)製「サイコラックT」;以下これをABSと略
する]、ポリカーボネート系樹脂[帝人化成(株)製
「L−1250」;以下これをPCと略する]、および
ポリアミド66系樹脂[旭化成工業(株)製「レオナ1
300S」;以下これをPA66と略する]を、100
トン射出成形機[日精樹脂工業(株)製「SG−10
0」]を用いて100mm×50mm×1mmの平板を成
形した。得られたABS、PCおよびPA66の各平板
を、100mm×50mm×2mmの平板用金型内に固
定しておき、実施例または比較例で得られた熱可塑性重
合体組成物をシリンダー温度220℃、金型温度40℃
の条件下で成形し、複層の平板成形品を得た。得られた
平板成形品より150mm×25mm×2mmの試験片
を切り出し、接着性(剥離強度)測定用の試験片とし
た。接着性の試験をJIS−K6854に準じて実施し
た。
【0048】(2)透明性(ヘイズ)の測定:実施例ま
たは比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を、15ト
ン射出成形機[FANUC(株)製「ROBOSHOT
-α15」]を用いて、シリンダー温度220℃、金型
温度40℃の条件下で成形し、50mm×50mm×3
mmの平板を得た。この平板を用いて、ヘイズメーター
[(株)村上色彩技術研究所製「反射透過率計HR10
0」]を使用してヘイズを測定した。
【0049】(3)硬度(JIS−A)の測定:実施例
で得られた熱可塑性重合体組成物を、15トン射出成形
機[FANUC(株)製「 ROBOSHOT -a1
5」]を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度4
0℃の条件下で成形し、50mm×50mm×3mmの
平板を得た。この平板を用いて、JIS−K6301に
準じてA硬度を測定した。
【0050】(4)引張破断強さ、引張破断伸び、およ
び100%モジュラスの測定:実施例で得られた熱可塑
性重合体組成物を、80トン射出成形機[日精樹脂工業
(株)製「IS-80」]を用いて、シリンダー温度2
20℃、金型温度40℃の条件下で成形し、3号ダンベ
ルを得た。この3号ダンベルを用いて、オートグラフ
[(株)島津製作所製]を使用して、JIS−K630
1に準じて500mm/minの条件で引張破断強さ、
引張破断伸び、および100%モジュラスの測定を行っ
た。
【0051】(5)引張永久伸びの測定:実施例で得ら
れた熱可塑性重合体組成物を、80トン射出成形機[日
精樹脂工業(株)製「IS-80」]を用いて、シリン
ダー温度220℃、金型温度40℃の条件下で成形し、
3号ダンベルを得た。この3号ダンベルを用いて、オー
トグラフ[(株)島津製作所製]を使用して、100m
m/minの条件で伸張した。引張伸びが100%に到
達した時点で伸張を止め、その状態のまま10分間保持
した。その後、試験片を解放し、さらに10分間放置し
た後、引張永久伸びを測定した。
【0052】また、以下の実施例および比較例で用いた
トリブロック共重合体(I)、ポリウレタンエラストマ
ー(II)、ポリアクリレート(III)およびアクリロニ
トリルスチレン共重合体(IV)の略号および内容は次の
とおりである。
【0053】[トリブロック共重合体(I)] ・トリブロック共重合体(I):ポリスチレンブロック
−水添ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック
からなるトリブロック共重合体(数平均分子量50,0
00、スチレン含量=30重量%)
【0054】[ポリウレタンエラストマー(II)] ・ポリウレタンエラストマー(II):(株)クラレ製
「クラミロンU 8165」[ポリ(3−メチル−1,
5−ペンタンアジペート)をソフトセグメントとするポ
リエステル系ポリウレタンエラストマー]
【0055】[ポリアクリレート(III)] ・ポリアクリレート(III):還流冷却器付き重合容器
に純水500部を仕込み、次いでメタクリル酸メチル4
25部、アクリル酸メチル55部、ラウリルパーオキサ
イド2.5部、ラウリルメルカプタン4部の混合溶液を
仕込み、撹拌しながら窒素で雰囲気を置換した後、80
℃まで昇温し2時間、次いで95℃で1時間重合して、
水洗、乾燥し、ビーズ状の重合物を得た。このビーズ状
重合物をGPCで測定したところ、ポリスチレン換算の
数平均分子量および分子量分布はそれぞれ18,400
および2.1であった。
【0056】[アクリロニトリル・スチレン共重合体
(IV)] ・アクリロニトリル・スチレン共重合体(IV):三井化
学(株)製「LITAC930」
【0057】《実施例1、2》 (1) 上記したトリブロック共重合体(I)、ポリウ
レタンエラストマー(II)、ポリアクリレート(III)
及びアクリロニトリル・スチレン共重合体(IV)を、下
記の表1に示す割合で予備混合した後、二軸押出機(プ
ラスチック工業研究所製「BT−30」)に供給して、
シリンダー温度220℃およびスクリュー回転数150
rpmの条件下に溶融混練し、押出し、切断して熱可塑
性重合体組成物のペレットをそれぞれ製造した。 (2)上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物のペ
レットを用いて、上記した方法で成形品(試験片)およ
び積層構造体を製造し、その透明性(ヘイズ値)、硬
度、引張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラ
ス、引張永久伸びおよび圧縮永久歪み、並びに積層構造
体の剥離強度を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0058】
【表1】
【0059】《比較例1》 (1)上記したトリブロック共重合体(I)、ポリウレ
タンエラストマー(II)、ポリアクリレート(III)お
よびアクリロニトリル・スチレン共重合体(IV)を、下
記の表2に示す割合で予備混合した後、二軸押出機(プ
ラスチック工業研究所製「BT−30」)に供給して、
シリンダー温度220℃およびスクリュー回転数150
rpmの条件下に溶融混練し、押出し、切断して熱可塑
性重合体組成物のペレットをそれぞれ製造した。 (2)上記(1)で得られた熱可塑性重合体組成物のペ
レットを用いて、上記した方法で成形品(試験片)およ
び積層構造体を製造し、その透明性(ヘイズ値)、硬
度、引張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラ
ス、引張永久伸びおよび圧縮永久歪み、並びに積層構造
体の剥離強度を上記した方法で測定したところ、下記の
表2に示すとおりであった。
【0060】
【表2】
【0061】上記の表1の結果から、トリブロック共重
合体(I)、ポリウレタンエラストマー(II)、ポリア
クリレート(III)及びアクリロニトリル・スチレン共
重合体(IV)を含有する実施例1、2の熱可塑性重合体
組成物を用いると、ヘイズ値が低く、しかも硬度、引張
破断強度、引張破断伸び、100%モジュラス、引張永
久伸びなどの特性をバランス良く備える、透明性、外
観、力学的特性、柔軟性、弾性などの各種物性に優れる
高品質の成形品が円滑に得られることがわかる。
【0062】さらに、上記の表1の結果から、実施例
1、2の熱可塑性重合体組成物は、種々の合成樹脂に対
して共通して高い溶融接着性を有しており、例えばイン
サート射出成形などのような溶融成形によって、各種の
材料からなる層と本発明の熱可塑性重合体組成物からな
る積層構造体を接着剤などを用いることなく、簡単に且
つ円滑に製造し得ること、しかもそれにより得られる積
層構造体は高い剥離強度を有しており、層間剥離などを
生じないことがわかる。
【0063】一方、上記の表2の結果から、トリブロッ
ク共重合体(I)およびポリアクリレート(III)から
なる比較例1の熱可塑性重合体組成物では、合成樹脂に
対して低い溶融接着性しか示さないことがわかる。
【0064】
【発明の効果】本発明の熱可塑性重合体組成物は、良好
な弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成形加工性を
有し、しかも溶融接着性に優れていて各種材料に対して
共通して溶融下に強固に接着するので、本発明の熱可塑
性重合体組成物の層と他の材料からなる層を有する積層
構造体や複合体を溶融成形やその他の溶融接着技術によ
って簡単に且つ円滑に製造することができる。そして、
本発明の熱可塑性重合体組成物は弾力性、柔軟性に優れ
ているので、本発明の熱可塑性重合体組成物からなる層
を表面の少なくとも一部に有する積層構造体(複合体)
は、柔軟で弾力性のある良好な感触を有し、しかもその
衝撃吸収能やクッション作用によって安全面でも優れて
いる。さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は、その
優れた弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、良好な成
形加工性などの特性を活かして、熱可塑性重合体組成物
単独でも各種の成形品の製造にも有効に使用することが
できる。しかも、本発明の熱可塑性重合体組成物は、ヘ
イズ値が低く、透明性に優れている。そのため、その高
い透明性を活かして、透明性に優れる成形品や積層体を
製造することができ、本発明の熱可塑性重合体組成物と
積層する他の材料の色調を製品に発現させることがで
き、また顔料や染料などの着色剤を用いて本発明の熱可
塑性重合体組成物を着色する場合は鮮明な色調を有する
外観に優れる製品を得ることができる。
【0065】本発明の熱可塑性重合体組成物からなる成
形品、本発明の熱可塑性重合体組成物の層と他の材料か
らなる層を有する本発明の積層構造体は、上記した優れ
た特性を活かして、例えば、インストルメントパネル、
センターパネル、センターコンソールボックス、ドアト
リム、ピラー、アシストグリップなどの自動車や車両用
の各種内装部材;モール等の自動車外装部品;掃除機の
バンパー、リモコンスイッチやツマミ、OA機器の各種
キートップなどの家電部品;水中メガネ、水中カメラカ
バーなどの水中使用製品;各種カバー部品;密閉性、防
水性、防音性、防振性を目的する各種パッキン付き工業
部品;ラック&ピニオンブーツ、サスペンションブー
ツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;カー
ルコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギ
アなどの電気・電子部品;スポーツ用品;ドア、窓枠材
などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用ギプ
ス等々の広範な用途に極めて有効に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 75:04 C08L 75:04 33:06 33:06 25:12) 25:12) Fターム(参考) 4F100 AB00B AK05A AK11A AK25A AK27A AK28A AK51A AL01A AL05A AL09A AT00B BA02 EC03 EH23 EH36 GB32 GB48 GB81 JL01 JL05 JL11 4J002 BC064 BG043 BP01W CK02X GF00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)下記の一般式(i) 【化1】 (式中、A1およびA2はそれぞれ独立して芳香族化合
    物から主としてなる重合体ブロックを示し、B1は共役
    ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックを示す)
    で表されるトリブロック共重合体およびその水素添加物
    から選ばれる少なくとも1種のトリブロック共重合体
    (I); (2)ポリウレタンエラストマー(II); (3)ポリアクリレート(III);および (4)アクリロニトリル・スチレン共重合体(IV); を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物。
  2. 【請求項2】 トリブロック共重合体(I)100重量
    部に対してポリウレタンエラストマー(II)を50〜2
    00重量部、ポリアクリレート(III)を20〜45重
    量部およびアクリロニトリル・スチレン共重合体(IV)
    を3〜10重量部の割合で含有する請求項1の熱可塑性
    重合体組成物。
  3. 【請求項3】 ポリウレタンエラストマー(II)が、分
    子量2000以上のポリ(3−メチルー1,5−ペンタ
    ンアジペート)ジオールを構成成分として含有し、且つ
    JIS硬度が55〜90である請求項1〜2のいずれか
    1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
  4. 【請求項4】 ヘイズが25%以下である請求項1の熱
    可塑性重合体組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1、2のいずれか1項の熱可塑性
    重合体組成物からなる層および他の材料からなる層を有
    することを特徴とする積層構造体。
  6. 【請求項6】 他の材料が合成樹脂および金属から選ば
    れる少なくとも1種である請求項5の積層構造体。
  7. 【請求項7】 請求項1、2のいずれか1項の熱可塑性
    重合体組成物を他の材料に対して溶融積層成形して請求
    項5または6の積層構造体を製造する方法。
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