JP4689365B2 - 積層体 - Google Patents

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本発明は、熱可塑性重合体組成物層上に表面層が設けられた積層体に関する。
基材となる樹脂などの材料にさらなる機能を付与する目的で、複数の材料を多層に積層することが行われており、これらの積層体は自動車部品、家電製品部品、建材、家具、玩具、スポーツ用品、日用品などの幅広い分野で使用されている。これらの積層体に使用される材料として、安価で良好な耐傷付き性や耐摩耗性などの表面特性、柔軟性を有する軟質塩化ビニル樹脂が挙げられる。しかしながら、軟質塩化ビニル樹脂は、含有されている可塑剤が表面に染み出すこと、かかる可塑剤に内分泌撹乱化学物質としての疑いがあること、焼却時に塩化水素などの腐食性ガスや毒性のきわめて高いダイオキシンを発生しやすいなどの問題があり、安全性、環境汚染の点で問題がある。そのため、近年、軟質塩化ビニル樹脂の代替材料として、ハロゲンや可塑剤を含まず、柔軟性に優れるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーが使用されるようになってきている。しかしながら、これらの熱可塑性エラストマーは、軟質塩化ビニルに比べて、耐傷つき性、耐摩耗性に劣る。
そこで、耐傷つき性や耐摩耗性を向上させる目的で、ウレタン系樹脂塗料やアクリル系樹脂塗料を前記熱可塑性エラストマーの表面にコーティングすることが行われている。しかしながら、極性の低いポリオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーに、極性の高いウレタン系樹脂塗料やアクリル系樹脂塗料をコーティングしても十分な接着強度が得られず、コーティング層の剥離などが生じやすい。そのため、従来から、前記した熱可塑性エラストマー表面に、塩素化ポリオレフィンや酸変性ポリオレフィンなどのプライマーを下塗りした後に、ウレタン系樹脂塗料やアクリル系樹脂塗料をコーティングして表面処理する方法が提案されている(特許文献1〜2)。
一方、耐傷つき性および耐摩耗性に優れる熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーが挙げられ、ポリウレタン系熱可塑性エラストマ−を成分としてなる重合体組成物層とウレタン系樹脂塗料表面層からなる積層体を製造する方法が開示されている(例えば特許文献3)。
特開昭63−272547号号公報 特開2004−136602号公報 特開2003−136647号公報
しかし、上記特許文献1〜2に記載されている積層体は、プライマーを塗布する工程が必要で製造工程が繁雑となる。また特許文献3に記載されている積層体は、オレフィン系材料を積層体の基材層に用いた場合、プライマーを用いてポリウレタン系熱可塑性エラストマーと接着させることが必要であり、製造工程が繁雑である。また、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの耐加水分解性や耐候性の不足により、変色など性能低下が起こりやすく、また柔軟性にも劣るなどの問題点もある。
しかして、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決し、耐傷つき、耐摩耗、柔軟性などに優れる層を含有し、さらにプライマーを塗布するなど繁雑な工程を必要とせず容易に製造することができる積層体を提供することにある。
本発明によれば、上記の目的は、
[1] 表面層(a)/重合体組成物層(b)の順序で積層されている積層体であって;
表面層(a)が、重合体から主としてなる層であり;且つ、
重合体組成物層(b)が、
(I)主としてα−メチルスチレン単位からなる重合体ブロックAと主として共役ジエン単位からなる重合体ブロックBを有するα−メチルスチレン系ブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体(I)100質量部に対して、
(II)非芳香族系ゴム用軟化剤(II)を200質量部以下、
(III)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリアミド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(III)を10〜200質量部の割合で含有する熱可塑性重合体組成物からなる層である積層体;
[2] 表面層(a)が、ポリウレタン系またはアクリル系の重合体からなるコーティング層である[1]の積層体;
[3] ブロック共重合体(I)における重合体ブロックAが、主としてα−メチルスチレン単位からなる数平均分子量1000〜50000の重合体ブロックであり、重合体ブロックBが下記の重合体ブロックb1およびb2からなり、かつブロック共重合体(I)が式:
A−b1−b2
(式中、Aは重合体ブロックA、
b1は主として共役ジエン単位からなり、共役ジエン単位の1,4−結合量が30%未満である数平均分子量1000〜30000の重合体ブロック、
b2は主として共役ジエン単位からなり、共役ジエン単位の1,4−結合量が30%以上である数平均分子量10000〜400000の重合体ブロックを表す)
で示される構造を含むことを特徴とする[1]または[2]の積層体;
[4] さらに熱可塑性重合体発泡体層(c)が、表面層(a)/重合体組成物層(b)/熱可塑性重合体発泡体層(c)の順序で積層されている[1]〜[3]のいずれかの積層体であって、
該熱可塑性重合体発泡体層(c)が、オレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよびポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いて形成されている積層体;
[5] さらに、熱可塑性樹脂、金属、布帛、皮革、ガラスおよび木材からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層(d)が、表面層(a)/重合体組成物層(b)/材料層(d)または表面層(a)/重合体組成物層(b)/熱可塑性重合体発泡体層(c)/材料層(d)の順序で積層されている[1]〜[4]のいずれかの積層体;
を提供することにより達成される。
本発明によれば、耐傷つき性、耐摩耗性、柔軟性などに優れる層を含有し、プライマーを塗布するなど繁雑な工程を必要とせず容易に製造することができる積層体が提供される。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の積層体は、表面層(a)/重合体組成物層(b)の順序で積層されている積層体である。本発明の積層体の表面側に位置する表面層(a)に用いる材料は、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フタル酸樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、合成ゴム系樹脂などの重合体から主としてなる。これらの中でも表面層(a)は、ポリウレタン系重合体、アクリル系重合体またはこれらの混合物から形成されたコーティング層であることが、耐加水分解性、耐変色性、耐摩耗性、耐傷つき性、強靭性などの特性に優れ、しかも表面層(a)と重合体組成物層(b)との接着性が良好であることから好ましい。表面層(a)を形成するポリウレタン系またはアクリル系のコーティング剤としては、一液型コーティング剤、二液型コーティング剤など従来既知のいずれのものも使用することができる。
表面層(a)の形成に好ましく用いられるポリウレタン系コーティング剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの高・中分子量ポリオール;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートおよび/または水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族または脂環族ジイソシアネート;1,4−ブタンジアミン、ヒドラジン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、低分子量ジオールなどの鎖伸長剤を用いてなるポリウレタン系コーティング剤を挙げることができる。そのうちでも、ポリカーボネートポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール、脂肪族ジイソシアネート並びに脂肪族ジアミン系鎖伸長剤を用いてなるポリウレタン系コーティング剤が、耐加水分解性、耐変色性に優れていることから好ましく用いられる。
またアクリル系コーティング剤としては、メタクリル酸メチルの単独重合体、またはメタクリル酸メチルを主成分として他の共重合性を有する単量体を共重合させた共重合体からなるコーティング剤が挙げられる。他の共重合性を有する単量体としては、例えばアクリル酸またはその金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸またはその金属塩;メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸;N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系化合物などが挙げられる。これらをメタクリル酸メチルと共重合させる場合は、1種類を単独で使用しても、2種以上の化合物を併用して共重合させてもよい。
本発明の積層体を構成する重合体組成物層(b)の構成成分であるブロック共重合体(I)は、主としてα−メチルスチレン単位からなる重合体ブロックAと主として共役ジエン単位からなる重合体ブロックBを有するα−メチルスチレン系ブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体である。
ブロック共重合体(I)の重合体ブロックAは、得られる熱可塑性重合体組成物の柔軟性および力学的特性の観点から、その90質量%以上がα−メチルスチレンに由来する構造単位で構成されているのが好ましく、α−メチルスチレンに由来する構造単位のみで構成されているのがより好ましい。重合体ブロックAは、本発明の目的および効果の妨げにならない限り、α−メチルスチレン以外の不飽和単量体、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、イソブチレン、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、メタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、β−ピネン、8,9−p−メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネン、2−メチレンテトラヒドロフランなどに由来する構造単位の1種または2種以上を少量、好ましくは重合体ブロックAに対する割合として10質量%以下の範囲で有していてもよい。重合体ブロックAがα−メチルスチレン以外の他の構造単位を含有する場合の形態は、ランダム、ブロック、テーパード状のいずれでもよい
ブロック共重合体(I)の重合体ブロックAの数平均分子量は、1000〜50000の範囲内であるのが好ましく、2000〜40000の範囲内であるのがより好ましい。重合体ブロックAの数平均分子量が1000未満の場合は、得られる熱可塑性重合体組成物の耐傷つき性、耐摩耗、力学的性能が低下する傾向があり、数平均分子量が50000を越える場合は、得られる熱可塑性重合体組成物の成形加工性、耐傷つき性、耐摩耗性が低下する傾向がある。なお、本明細書でいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
ブロック共重合体(I)における重合体ブロックAの含有量は10〜50質量%の範囲内であるのが好ましい。重合体ブロックAの含有量が10質量%未満の場合には得られる熱可塑性重合体組成物の耐傷つき性、耐摩耗、力学的性能が低下する傾向があり、一方50質量%を越える場合には得られる熱可塑性重合体組成物の柔軟性が乏しくなる傾向がある。なお、ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAの含有量は、例えばH−NMRスペクトルなどにより求めることができる。
ブロック共重合体(I)の重合体ブロックBを構成する共役ジエン単位としては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどに由来する構造単位が挙げられる。これらの共役ジエンは、1種類を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合体ブロックBは、ブタジエン単位、イソプレン単位、またはブタジエン単位とイソプレン単位の両方で構成されているのが好ましい。
重合体ブロックBは、本発明の趣旨を損なわない限り、少量、好ましくは重合体ブロックBに対する割合として10質量%以下の範囲内で、共役ジエン以外の他のアニオン重合可能な単量体、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、メタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、β−ピネン、8,9−p−メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネン、2−メチレンテトラヒドロフランなどに由来する構造単位を含有していてもよい。重合体ブロックBがこれらの構造単位を含有する場合の形態は、ランダム、ブロック、テーパード状のいずれでもよい
重合体ブロックBの数平均分子量は10000〜500000の範囲内が好ましく、20000〜400000の範囲内がより好ましい。重合体ブロックBの数平均分子量が10000未満の場合、得られる熱可塑性重合体組成物の耐傷つき性、耐摩耗、力学的性能が低下する傾向があり、分子量が500000を越える場合、得られる熱可塑性重合体組成物の成形加工性が低下する傾向がある。
ブロック共重合体(I)における重合体ブロックBは、耐熱性、耐候性の観点から、共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の50モル%以上が水素添加(水添)されているのが好ましく、70モル%以上が水添されているのがより好ましく、90モル%以上が水添されているのがさらに好ましい。なお、上記の水素添加率は、重合体ブロックB中の共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の含有量を、水素添加の前後において、ヨウ素価測定、赤外分光光度計、H−NMRなどによって測定し、その測定値から求めることができる。
ブロック共重合体(I)において、重合体ブロックAと重合体ブロックBは、それらが結合している限りは、その結合様式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状またはそれらの2つ以上が組み合わさった結合形式のいずれでもよい。それらのうちでも、重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合形式は直鎖状であるのが好ましく、その例としては重合体ブロックAをAと、重合体ブロックBをBで表したとき、A−B−Aで示されるトリブロック共重合体、A−B−A−Bで示されるテトラブロック共重合体、A−B−A−B−Aで示されるペンタブロック共重合体、(A−B)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表し、nは2以上の整数を表す)などが挙げられる。これらのブロック共重合体は、1種類を単独で用いても、2種類以上の混合物を用いてもよい。中でも、ブロック共重合体(I)の製造の容易性、柔軟性などの点から、トリブロック共重合体(A−B−A)が好ましく用いられる。
ブロック共重合体(I)は、本発明の趣旨を損なわない限り、分子鎖中または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基(式:−CO−O−CO−で示される基)、アミノ基、エポキシ基などの官能基を1種または2種以上含有してもよい。また、ブロック共重合体(I)として、前記した官能基を有するブロック共重合体(I)と官能基を有しないブロック共重合体(I)を混合して使用してもよい。
ブロック共重合体(I)は、アニオン重合法によって製造することができ、例えば次のような製造方法が例示される。
(1)テトラヒドロフラン溶媒中で1,4−ジリチオ−1,1,4,4−テトラフェニルブタンなどのジアニオン系開始剤を用いて共役ジエンを重合後に、−78℃の条件下でα−メチルスチレンを逐次重合させ、A−B−Aで示されるトリブロック共重合体を得る方法(マクロモレキュールズ(Macromolecules),2巻,453−458頁(1969年)参照)、
(2)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でα−メチルスチレンをsec−ブチルリチウムなどのアニオン重合系開始剤で重合させた後、共役ジエンを重合させ、その後テトラクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのカップリング剤(α,α’−ジクロロ−p−キシレン、安息香酸フェニルなどを用いることもできる)を添加してりカップリング反応を行い、(A−B)nX型ブロック共重合体を得る方法(カウチュック グミ クンストストッフェ(Kautsch.Gummi,Kunstst.),37巻,377−379頁(1984年);ポリマー ブリティン(Polym.Bull.),12巻,71−77頁(1984年)参照)、
(3)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、カップリング剤を添加して、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法、
(4)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させ、得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーにα−メチルスチレン以外のアニオン重合性モノマーを重合させA−B−C型ブロック共重合体を得る方法。
上記の製造方法の中でも、重合条件(温度、溶液粘度等)の温和さ、共役ジエン部のミクロ構造(1,4−結合量)の制御の観点から、(3)および(4)の方法が好ましく、(3)の方法がより好ましく採用される。以下、上記(3)の方法についてさらに詳細に説明する。
上記(3)の方法において重合開始剤として用いられる有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどのモノリチウム化合物、およびテトラエチレンジリチウムなどのジリチウム化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
α−メチルスチレンの重合時に使用される溶媒は非極性溶媒であり、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
α−メチルスチレンの重合時に使用される極性化合物とは、アニオン種と反応する官能基(水酸基、カルボニル基など)を有さず、分子内に酸素原子、窒素原子などの複素原子を有する化合物であり、例えばジエチルエーテル、モノグライム、テトラメチルエチレンジアミン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
反応系中における極性化合物の濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、この後の共役ジエンを重合させる際に、共役ジエン重合体ブロック部の1,4−結合量を制御する観点から、0.1〜10質量%の範囲内にあるのが好ましく、0.5〜3質量%の範囲内がより好ましい。
反応系中におけるα−メチルスチレン濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、また重合後期における反応溶液の粘度の点から、5〜50質量%の範囲内にあるのが好ましく、25〜40質量%の範囲内がより好ましい。
なお、上記の転化率とは、未重合のα−メチルスチレンが重合により重合体へと転化された割合を意味し、本発明においてその程度は70%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
α−メチルスチレンの重合時の温度条件は、α−メチルスチレンの天井温度(重合反応が平衡状態に達して実質的に進行しなくなるときの温度)、α−メチルスチレンの重合速度、リビング性などの点から−30〜30℃の範囲内であるのが好ましく、より好ましくは−20〜10℃、さらに好ましくは−15〜0℃である。重合温度を30℃以下とすることにより、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させることができ、さらに生成するリビングポリマーが失活する割合も小さく、得られるブロック共重合体中にホモポリα−メチルスチレンが混入するのが抑制され、物性が損なわれにくくなる。また、重合温度を−30℃以上とすることにより、α−メチルスチレンの重合後期において反応溶液が高粘度化することなく撹拌でき、低温状態を維持するのに必要な費用がかさむこともないため、経済的にも好ましい
上記の方法においては、α−メチルスチレン重合体ブロック(重合体ブロックA)の特性が損なわれない限り、α−メチルスチレンの重合時に、重合体ブロックAが有していてもよい他の構造単位を与える先に例示した不飽和単量体を共存させ、これをα−メチルスチレンと共重合させてもよい。該不飽和単量体は単独で用いても、2種以上を使用してもよい。
これまでに説明した有機リチウム化合物を開始剤とするα−メチルスチレンの重合により、リビングポリα−メチルスチリルリチウムが生成する。次いでこのものに共役ジエンを重合させる。共役ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でもブタジエンまたはイソプレンが好ましく、これらは混合して用いてもよい。
共役ジエンは反応系に添加することにより重合に供される。共役ジエンを反応系に添加する方法としては、特に制限はなく、リビングポリα−メチルスチリルリチウム溶液に直接添加しても、溶媒で希釈して添加してもよい。共役ジエンを溶媒に希釈して添加する方法としては、共役ジエンを加えた後、溶媒で希釈するか、または共役ジエンと溶媒を同時に投入するか、あるいは溶媒で希釈した後に共役ジエンを加えてもよい。好適には、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量、好ましくは5〜50モル当量に相当する量の共役ジエンを添加して共役ジエンブロック(以下、これを重合体ブロックb1と称することがある)を形成してリビング活性末端を変種した後、溶媒で希釈し、続いて残りの共役ジエンを投入し、30℃を超える温度、好ましくは40〜80℃の温度範囲で重合反応を行い、共役ジエンブロックをさらに形成(以下、これを重合体ブロックb2と称することがある)させる方法が推奨される。リビングポリα−メチルスチリルリチウムの活性末端を変種するに際し、共役ジエンの代りにスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどのビニル芳香族化合物を用いてもよい。
ここで希釈に用いることができる溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエンを共重合させて得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに、例えば、多官能性カップリング剤を反応させることにより、トリブロックまたはラジアルテレブロック型のブロック共重合体(I)を製造することができる。この場合のブロック共重合体は、多官能性カップリング剤の使用量を調整することにより得られる、ジブロック、トリブロック、ラジアルテレブロック型のブロック共重合体を任意の割合で含む混合物であってもよい。多官能性カップリング剤としては、安息香酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸フェニル、ピバリン酸エチル、α,α’−ジクロロ−o−キシレン、α,α’−ジクロロ−m−キシレン、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、ビス(クロロメチル)エーテル、ジブロモメタン、ジヨードメタン、フタル酸ジメチル、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。なお、多官能性カップリング剤の使用量は、ブロック共重合体(I)の数平均分子量に応じて適宜調整すればよく、厳密な意味での制限はない。
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られるトリブロックまたはラジアルテレブロック型のブロック共重合体(I)を水素添加(水添)する場合には、必要に応じてアルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加してカップリング反応を停止させた後、後述する公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添することにより、水添されたブロック共重合体(I)を製造することができる。
また、水添されたブロック共重合体(I)は、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエンを重合させた後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合反応を停止させ、後述する公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添することにより製造することもできる。
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる未水添のブロック共重合体、またはα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られる未水添のトリブロックまたはラジアルテレブロック型ブロック共重合体(いずれも本発明で使用するブロック共重合体(I)に包含される)は、その製造に使用された溶媒を置換することなく、そのまま水素添加に供することができる。
水添反応は、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Niなどの金属をカーボン、アルミナ、珪藻土などの担体に担持させた不均一触媒;遷移金属化合物(オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、コバルトアセチルアセトナートなど)とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物または有機リチウム化合物などとの組み合わせからなるチーグラー系触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどからなる有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒などの水添触媒の存在下に、反応温度20〜100℃、水素圧力0.1〜10MPaの条件下で行うことができる。未水添のブロック共重合体(I)は共役ジエン重合体ブロック中の炭素−炭素二重結合の50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上が飽和されるまで水添されることが望ましく、これによりブロック共重合体(I)の耐候性を高めることができる。
本発明に用いるブロック共重合体(I)は、上記方法で得られたものが好ましく用いられ、特に、非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、次いで共役ジエンの重合に際して、まずリビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量の共役ジエンを重合させて重合体ブロックb1を形成し、次いで反応系を30℃を超える温度として、共役ジエンを追加して重合させて重合体ブロックb2を形成せしめて得られたものであることが、熱可塑性重合体組成物としての特性が広い温度範囲において優れる点から望ましい。すなわち、この場合、重合体ブロックBは、重合体ブロックb1および重合体ブロックb2より成る。
ブロック共重合体(I)の構造は、直鎖状、分岐状などに限定されないが、ブロック共重合体(I)としては、式:A−b1−b2で示される構造を含むブロック共重合体が好ましい。そのようなブロック共重合体としては、A−b1−b2−b2−b1−A型共重合体、A−b1−b2−b2−b1−A型共重合体とA−b1−b2型共重合体の混合物、(A−b1−b2)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表す、nは2以上の整数である)などが挙げられる。
上記ブロック共重合体(I)中の重合体ブロックb1の数平均分子量は1000〜30000の範囲内が好ましく、より好ましくは2000〜25000の範囲内であり、かつ重合体ブロックb1を構成する共役ジエン単位の1,4−結合量は30%未満であるのが好ましい。また、重合体ブロックb2の数平均分子量は10000〜400000の範囲内が好ましく、より好ましくは20000〜400000の範囲内であり、かつ重合体ブロックb2を構成する共役ジエン単位の1,4−結合量は30%以上であるのが好ましく、より好ましくは35%〜95%、さらに好ましくは40%〜80%である。
本発明の積層体における重合体組成物層(b)を形成する熱可塑性重合体組成物に含有されることがある非芳香族系ゴム用軟化剤(II)としては、パラフィン系、ナフテン系のプロセスオイル等の石油系軟化剤;パラフィン;落花生油、ロジン等の植物油系軟化剤;エチレン−α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン等の合成軟化剤などが挙げられる。非芳香族系ゴム用軟化剤(II)としては、40℃における動粘度が20〜800mm/sである軟化剤、中でもパラフィン系オイルが好ましい。これらの非芳香族系軟化剤(II)は、1種を単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。本発明に好適に用いることができる非芳香族系ゴム用軟化剤(II)として、例えば「ダイアナプロセスオイル」(商品名;出光興産(株))シリーズにおけるパラフィン系プロセスオイルなどが挙げられる。
非芳香族系ゴム用軟化剤(II)の含有量は、ブロック共重合体(I)100質量部に対して200質量部以下であり、150質量部以下であるのが好ましい。非芳香族系ゴム用軟化剤(II)の含有量がブロック共重合体(I)100質量部に対して200質量部を超えると、得られる熱可塑性重合体の力学的性能が低下し、また成形体から非芳香族系ゴム用軟化剤(II)がブリードアウトする傾向がある。
本発明の積層体における重合体組成物層(b)を形成する熱可塑性重合体組成物に含有される熱可塑性樹脂(III)は、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリアミド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
アクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルの単独重合体、メタクリル酸メチルを主成分として他の共重合性を有する単量体を共重合させた共重合体が挙げられる。他の共重合性を有する単量体としては、例えばアクリル酸またはその金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸またはその金属塩;メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸;N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系化合物などが挙げられる。これらをメタクリル酸メチルと共重合させる場合は、1種類を単独で使用しても、2種以上の化合物を併用してもよい。
ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−メチルスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、無水マレイン酸−スチレン樹脂などが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、オキシフェニレン基を主たる構造単位とする樹脂であり、各構造単位は、ハロゲン原子やアルキル基等の置換基を有していてもよい。ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルなどが挙げられる。また、これらにポリスチレン等をブレンドしたものやポリスチレンをグラフト化したものなどをポリフェニレンエーテル系樹脂として用いることもできる。
ポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネート等が挙げられ、中でも、芳香族ポリカーボネートが好ましく用いられる。芳香族ポリカーボネートは、従来から知られているホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等により、芳香族ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって製造することができる。溶融法で製造された芳香族ポリカーボネートは、末端の水酸基量を調整したものであってもよい。原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。芳香族ポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート系樹脂、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルを主成分として他の共重合性を有する単量体を共重合させた共重合体が挙げられる。他の共重合性を有する単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、マレイミドなどが挙げられる。これらを塩化ビニルと共重合させる場合は、1種類を単独で使用しても、2種以上の化合物を併用してもよい。
ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体、酢酸ビニルを主成分として他の共重合性を有する単量体を共重合させた共重合体が挙げられる。他の共重合性を有する単量体としては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、マレイミドなどが挙げられる。これらを塩化ビニルと共重合させる場合は、1種類を単独で使用しても、2種以上の化合物を併用してもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドなどが挙げられる。
本発明の積層体における重合体組成物層(b)を形成する熱可塑性重合体組成物において熱可塑性樹脂(III)の含有量は、ブロック共重合体(I)100質量部に対して10〜200質量部の範囲内であり、10〜150質量部の範囲内であるのが好ましい。熱可塑性樹脂(III)成分の含有量が、ブロック共重合体(I)100質量部に対して10質量部を下回ると、得られる熱可塑性重合体組成物の耐傷つき性、耐摩耗性、表面処理層との接着性が低下し、また200質量部を超えると、得られる熱可塑性重合体組成物の耐傷つき性、耐摩耗性、柔軟性などが低下する。
本発明の積層体における重合体組成物層(b)を形成する熱可塑性重合体組成物において熱可塑性樹脂(III)成分としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂を用いるのが、これらの樹脂がブロック共重合体(I)との相容性に優れ、混練条件によらず良好な耐傷つき性、耐摩耗性、柔軟性を発現する熱可塑性重合体組成物を得やすい点で好ましい。
本発明の積層体における重合体組成物層(b)を形成する熱可塑性重合体組成物は、本発明の主旨を損なわない範囲であれば、必要に応じて、上記のブロック共重合体(I)以外の他の熱可塑性エラストマー、ゴム用補強剤、充填剤をさらに含有してもよい。他の熱可塑性エラストマーとしては、ブロック共重合体(I)とは異なる、スチレンからなるブロックをハードセグメントとするスチレン系熱可塑性エラストマーなどを挙げることができ、その含有量は熱可塑性重合体組成物の全量に対して10質量%以下にするのが好ましい。
上記のゴム用補強剤、充填剤としては、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ藻土などの無機充填剤;ゴム粉末、木粉などの有機充填剤などを挙げることができる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。ゴム補強剤または充填剤を含有させる場合、その含有量は好ましくは熱可塑性重合体組成物の全量に対して30質量%以下である。
本発明の積層体における重合体組成物層(b)を形成する熱可塑性重合体組成物は、本発明の主旨を損なわない範囲であれば、必要に応じて、α−メチルスチレン樹脂などの補強樹脂、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤などを含有していてもよい。
重合体組成物層(b)を形成するための熱可塑性重合体組成物は、通常の樹脂組成物またはエラストマー組成物の製造に際して用いられる方法により製造することができる。すなわち、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、各種ニーダーなどの溶融混練機を用いて、ブロック共重合体(I)、熱可塑性樹脂(III)、および必要に応じて非芳香族系ゴム用軟化剤(II)などの他の成分を混合した混合物を溶融混練することにより製造することができる。溶融混練温度は150〜280℃の範囲内であるのが好ましい。
本発明は、熱可塑性重合体発泡体層(c)が、表面層(a)/重合体組成物層(b)/熱可塑性重合体発泡体層(c)の順序で積層されている積層体を包含する。熱可塑性重合体発泡体層(c)[以下これを単に「発泡体層(c)」ということがある]は、熱可塑性重合体から形成された可撓性および/または弾性を有する発泡体からなる層であればいずれでもよい。そのうちでも、発泡体層(c)は、オレフィン系樹脂および熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも1種を用いて形成した発泡体からなる層であることが好ましく、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよびポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いて形成された発泡体からなる層であることが、重合体組成物層(b)との良好な接着性、柔軟性などの点からより好ましい。発泡体層(c)を構成する発泡体は、発泡剤を用いる化学的発泡法で得られた発泡体であっても、または撹拌気泡などの物理的発泡法で得られた発泡体のいずれであってもよい。発泡体層(c)を構成する発泡体としては、市販のものを購入してそのまま使用しても、または本発明の実施のために製造してもよい。発泡体層(c)を構成する発泡体の比重は、本発明の積層体の用途などに応じて調節し得るが、一般的には、0.02〜0.80程度、特に0.09〜0.60程度であることが、得られる積層体の柔軟性、軽量性、力学的特性などの点から好ましい。
本発明の積層体における表面層(a)、重合体組成物層(b)および発泡体層(c)の厚さは、各層を形成する材料の種類、積層体の用途などに応じて調整し得るが、一般的には、表面層(a)の厚さが3〜80μm、特に5〜40μm、重合体組成物層(b)の厚さが50μm〜3mm、特に100μm〜2.5mm、発泡体層(c)の厚さが150μm〜5mm、特に300μm〜3mmであることが、積層体の柔軟性、軽量性、力学的特性、取り扱い性などの点から好ましい。本発明の積層体の全体の厚さは、各層を形成する材料の種類、積層体の用途などに応じて調整し得るが、柔軟性、軽量性、力学的特性、取り扱い性などの点から、一般的には250μm〜9mmであることが好ましく、500μm〜5mmであることがより好ましい。
本発明の積層体では、表面層(a)と重合体組成物層(b)とは接着剤を用いて接着されていてもよいが、重合体組成物層(b)上に表面層(a)が接着剤やプライマーなどを用いることなく融着によって直接積層接着されていることが、得られる積層体の柔軟性、軽量性、積層体製造工程の簡略化、コストなどの点から好ましい。また、本発明の積層体では、重合体組成物層(b)と発泡体層(c)とは接着剤によって接着されていてもよいが、接着剤を用いることなく重合体組成物層(b)が発泡体層(c)上に融着によって直接積層接着されていることが、得られる積層体の柔軟性、軽量性、積層体製造工程の簡略化などの点から好ましい。
本発明の積層体の製造方法は特に制限されず、表面層(a)/重合体組成物層(b)の順序または表面層(a)/重合体組成物層(b)/発泡体層(c)の順序で2つまたは3つの層が接着・一体化されている積層体を製造し得る方法であれば、いずれも採用することができる。そのうちでも、発泡体層(c)上に重合体組成物層(b)が接着剤を使用することなく融着により直接積層接着され、且つ重合体組成物層(b)上に表面層(a)が接着剤を使用することなく直接積層接着されている3層積層体を得るには、例えば、熱可塑性重合体を用いて形成した発泡体上に、重合体組成物層(b)を形成するための上記した熱可塑性重合体組成物を適当な方法(例えば溶融押出法、カレンダー法、流延法、注型法、インサート成形法、二色成形法など)で溶融被覆(溶融接着)して、重合体組成物層(b)/発泡体層(c)よりなる2層構造積層体を製造し、次いで該2層構造積層体の重合体組成物層(b)の表面に表面層(a)を形成するための重合体から主としてなるコーティング材料をコーティングする方法が、生産性が高く、しかも一般的である点から好ましく採用される。
表面層(a)/重合体組成物層(b)よりなるか、または表面層(a)/重合体組成物層(b)/発泡体層(c)よりなる本発明の積層体は、耐傷つき性、耐摩耗性、柔軟性、加工性などの特性に優れており、各種製品を製造する際の表皮材として広範な用途に極めて有用である。特に、本発明の積層体をその重合体組成物層(b)の下面側または発泡体層(c)の下面側で、熱可塑性樹脂、金属、布帛、皮革、ガラスおよび木材から選ばれる少なくとも1種からなる材料層(d)に接着・積層することによって、柔軟性、耐傷つき性、耐摩耗性などの特性に優れる本発明の積層体を表皮とする各種積層構造体(積層製品)を製造することができる。
ここで、上記の「重合体組成物層(b)の下面側または発泡体層(c)の下面側」とは、表面層(a)/重合体組成物層(b)よりなる積層体における重合体組成物層(b)の表面層(a)と接着していない面側、または表面層(a)/重合体組成物層(b)/発泡体層(c)よりなる積層体における発泡体層(c)の重合体組成物層(b)と接着していない面側をいう。
本発明の積層体の重合体組成物層(b)または発泡体層(c)の下面側に積層される材料としては、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましく、該熱可塑性樹脂としてはポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシエチレンコポリマーなどのポリオキシメチレン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ノネン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体またはこれらを無水マレイン酸などで変性した樹脂などのポリオレフィン系樹脂、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM);スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体またはそれらの水素添加物などのスチレン系熱可塑性エラストマー;オレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;スチレン系熱可塑性エラストマ-を含有する樹脂組成物、例えばスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂および軟化剤などを含有する樹脂組成物などが挙げられる。これらの中でも、オレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはスチレン系熱可塑性エラストマ-を含有する樹脂組成物を用いるのが、発泡体層(c)との接着性、リサイクル性などの点から好ましい。
本発明の積層体の重合体組成物層(b)または発泡体層(c)の下面側に材料層(d)として熱可塑性樹脂層が積層された積層構造体を製造するに当たっては、重合体組成物層(b)または発泡体層(c)と熱可塑性樹脂層を接着剤によって接着・積層してもよいが、接着剤を用いずに重合体組成物層(b)または発泡体層(c)の下面側に熱可塑性樹脂層を直接接着・積層することが好ましい。そのような積層構造体の製法としては、例えば、積層体の重合体組成物層(b)または発泡体層(c)の下面側に熱可塑性樹脂を押出被覆、カレンダー被覆などにより直接被覆する方法、本発明の積層体を重合体組成物層(b)または発泡体層(c)の下面側を内側に向けて型内に配置しておき(インサートしておき)そこに熱可塑性樹脂を充填、注入または射出して成形体などを製造する方法などを挙げることができる。発泡体層(c)の下面側に熱可塑性樹脂が積層した積層構造体を製造する場合は、発泡体層(c)を形成している熱可塑性重合体の種類と、発泡体層(c)の下面側に積層する熱可塑性樹脂の種類を同じか近似したものにすると、接着剤を用いなくても、発泡体層(c)と熱可塑性樹脂との接着を良好に行うことができる。また、積層体の重合体組成物層(b)または発泡体層(c)の下面側に積層する材料が、金属、布帛、皮革、ガラス、木材などの場合は、接着剤などを用いて両者を接着・積層すればよい。また、本発明の積層体は、材料層(d)を積層せずに、そのまま単独で、自動車などの車両用内装材、ソファー、各種椅子用の表皮材などの用途に用いることもできる。
表面層(a)/重合体組成物層(b)よりなるか、または表面層(a)/重合体組成物層(b)/発泡体層(c)よりなる本発明の積層体は、耐摩耗性、耐傷つき性、柔軟性、力学的性能などの諸特性に優れており、それに伴って該積層体を表皮材としその裏側[重合体組成物層(b)または発泡体層(c)の下面側]に更に熱可塑性樹脂、金属、木材、布帛などの他の材料からなる層(d)を積層した積層体も耐摩耗性、耐傷つき性、柔軟性、力学的性能などの諸特性に優れる表皮を有しているので、これらの積層体は、前記した特性を活かして、例えば日用雑貨包装、工業資材包装、床材、家具、建材などのフィルムやシート用途、電線被覆、ホースやチューブ、ベルトや家電などのグロメット用品、コピー機などの紙送りローラーや巻き取りローラーなどの事務機部品、各種パッキン付き工業部品、扉や窓枠のシーリング用パッキンなどの建築用資材、インストルメントパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、モール、座席シートなどの自動車用内外装部品、ラック&ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品、各種製品(例えば、はさみ、ドライバー、歯ブラシ、スキーストック、ペンなど)用のグリップ材、履物(例えば、紳士・婦人・学童靴、スポーツシューズ、安全靴、スキー靴、サンダルなど)、水中眼鏡、スノーケルなどのスポーツ用品、レジャー用品、文房具、玩具など幅広い用途に有効に使用することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において、積層体における重合体組成物層(b)の硬度、並びに積層体の耐傷つき性、耐摩耗性、表面層の密着性の評価は、以下の方法によって行った。
(1)積層体における重合体組成物層(b)の硬度:
実施例1〜8および比較例1〜5において、表面層(コーティング層)を形成する前の重合体組成物層から、長さ×幅×厚み=110mm×110mm×2mmのシート状試験片を切り取り、該試験片を用いてJIS K−6253に準じて、タイプA硬度を測定し、柔軟性の指標とした。
(2)積層体の耐傷つき性:
実施例1〜8および比較例1〜5において、得られた積層体から、長さ×幅×厚み=150mm×50mm×2mmサイズの試験片を切り取り、該試験片の表面層(a)上を、200g荷重を加えたクロスカット試験用針状治具(ASTM D2197)で1cm/秒の速度で引っ掻き、傷の深さを表面粗さ計で測定し、傷の深さが浅いほど耐傷つき性が優れるとした。
(3)積層体の耐摩耗性:
実施例1〜8および比較例1〜5において、得られた積層体から直径110mmの円板状試験片を打ち抜き、該試験片を用いて、表面層(a)の側で、JIS K−6264に準じて、H−22摩耗輪を用い、1kg荷重、1000回転の条件下でテーバー摩耗量を測定した。摩耗量が少ないほど耐摩耗性に優れている。
(4)積層体の表面層の塗装性:
実施例1〜8および比較例1〜5において、得られた積層体から、長さ×幅×厚み=150mm×50mm×2mmサイズの試験片を切り取り、該試験片の表面層(a)側に、ステンレスカッターにより2mm間隔に10×10個の碁盤目を作成し、その上からセロハンテープ(ニチバン製)を1kgローラーで圧着させ、勢いよく剥離させて、残留した碁盤目の数を数えた。塗装性を残留碁盤目の数/100で表し、残留量が多いほどが塗装性に優れている。
また、実施例および比較例で用いた各成分は次のとおりである。
ブロック共重合体(I)
参考例1(ブロック共重合体(I)−1の製造)
窒素置換した攪拌装置付き耐圧容器に、α−メチルスチレン90.9g、シクロヘキサン138g、メチルシクロヘキサン15.2gおよびテトラヒドロフラン3.1gを仕込んだ。この混合液にsec−ブチルリチウム(1.3Mシクロヘキサン溶液)9.4mlを添加し、−10℃で3時間重合させた。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレン(ブロックA)の数平均分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で6600であり、α−メチルスチレンの重合転化率は89%であった。次いで、この反応混合液にブタジエン23gを添加し、−10℃で30分間攪拌して、ブロックb1の重合を行った後、シクロヘキサン930gを加えた。この時点でのα−メチルスチレンの重合転化率は89%であり、ポリブタジエンブロック(b1)の数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は3700であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は19%であった。
次に、この反応液にさらにブタジエン141.3gを加え、50℃で2時間重合反応を行った。この時点のサンプリングで得られたブロック共重合体(構造:A−b1−b2)のポリブタジエンブロック(b2)の数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は29800であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は60%であった。
続いて、この重合反応溶液に、ジクロロジメチルシラン(0.5Mトルエン溶液)12.2mlを加え、50℃にて1時間攪拌し、α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレントリブロック共重合体を得た。この時のカップリング効率を、カップリング体(α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレントリブロック共重合体:A−b1−b2−X−b2−b1−A;式中Xはカップリング剤残基(−Si(Me)−)を表す)と未反応ブロック共重合体(α−メチルスチレン−ブタジエンブロック共重合体:A−b1−b2)のGPCにおけるUV吸収の面積比から算出すると94%であった。また、H-NMR解析の結果、α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレントリブロック共重合体中のα−メチルスチレン重合体ブロック含有量は33%であり、ブタジエン重合体ブロックB全体(すなわち、ブロックb1およびブロックb2)の1,4−結合量は56%であった。
上記で得られた重合反応溶液中に、オクチル酸ニッケルおよびトリエチルアルミニウムから形成されるZiegler系水素添加触媒を水素雰囲気下に添加し、水素圧力0.8MPa、80℃で5時間の水素添加反応を行ない、α−メチルスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体(I)−1と略称する)を得た。得られたブロック共重合体(I)−1をGPC測定した結果、主成分はMt(平均分子量のピークトップ)=81,000、Mn(数平均分子量)=78,700、Mw(重量平均分子量)=79,500、Mw/Mn=1.01であるα−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレントリブロック共重合体の水添物(カップリング体)であり、GPCにおけるUV(254nm)吸収の面積比から、カップリング体は94%含まれることが判明した。また、H-NMR測定により、ブロックb1およびブロックb2から構成されるブタジエンブロックBの水素添加率は99%であった。これらの分子性状を表1にまとめて示す。
参考例2(ブロック共重合体(I)−2の製造)
参考例1において、sec−ブチルリチウム(1.3Mシクロヘキサン溶液)の使用量を9.4mlから5.7mlに、ジクロロジメチルシラン(0.5Mトルエン溶液)の使用量を12.2mlから7.4mlに変え、他の操作は参考例1と同様にして反応を行い、ブロック共重合体(以下、これをブロック共重合体(I)−2と略称する)を得た。分子性状を表1にまとめて示す。なお、α−メチルスチレンの重合転化率は89%であった。また、得られたポリα−メチルスチレンブロック(ブロックA)の数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は10600、ポリブタジエンブロックb1の数平均分子量は1500、H-NMR測定から求めた1,4−結合量は17%、ポリブタジエンブロックb2の数平均分子量は48000、1,4−結合量は56%であった。
参考例3(スチレン系ブロック共重合体(i)−1の製造)
窒素置換した攪拌装置付き耐圧容器に、スチレン81gおよびシクロヘキサン1100g、テトラヒドロフラン3.1gを仕込んだ。この溶液に、sec−ブチルリチウム(1.3M、シクロヘキサン溶液)9.4mlを加え、50℃で1時間重合させた。次いで、この反応混合物にブタジエン164.3gを加え、50℃で1時間重合を行った。その後、この反応混合物にさらにジクロロジメチルシラン(0.5M、トルエン溶液)12.2mlを加えて50℃で1時間攪拌することにより、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。この反応混合物にオクチル酸ニッケル/トリエチルアルミニウムからなる水素添加触媒を添加して、水素圧力0.8MPaで、80℃で5時間の水素添加反応を行い、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体(i)−1と略称する)を得た。分子性状を表1にまとめて示す。
Figure 0004689365
非芳香族系ゴム用軟化剤(II)
パラフィン系プロセスオイル(商品名、ダイアナプロセスPW−380、出光興産(株)製、動粘度:381.6mm/s(40℃))
アクリル系樹脂(III)
還流冷却管を備えた容量1000mlの三口フラスコに純水500gを入れ、十分に窒素置換した後、メタクリル酸メチル425g、アクリル酸メチル55g、ラウリルパーオキサイド2.5gおよびラウリルメルカプタン4gの混合溶液を仕込み、80℃で4時間重合を行い、アクリル系樹脂(以下、これをアクリル系樹脂(III)と略称する)を得た。なお、得られたアクリル系樹脂の20℃、クロロホルム中での固有粘度は0.301dl/gであった。
ポリカーボネート系樹脂(III)
ポリカーボネート(商品名、パンライトL−1225L、帝人化成株式会社製)
ポリスチレン系樹脂(III)
ポリスチレン(商品名、GPPS679、PSジャパン株式会社製)
ポリフェニレンエーテル系樹脂(III)
ポリフェニレンエーテル(商品名、ノニルPPO534、株式会社日本GEP社製)
オレフィン系樹脂(IV)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(商品名、ノバテックLL UJ480、日本ポリケム社製)
実施例1〜8、比較例1〜4
(1)参考例1〜3で得られたブロック共重合体(I)−1〜2またはブロック共重合体(i)−1、上記した非芳香族系ゴム用軟化剤(II)、アクリル系樹脂(III)、ポリカーボネート系樹脂(III)、ポリスチレン系樹脂(III)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(III)、オレフィン系樹脂(IV)を表2〜4に示す配合(質量部)に従って二軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM−35B」)に供給して230℃、スクリュー回転200rpmの条件で一括混練した後、ストランド状に押し出し、次いでペレタイザーでストランドをカットすることにより、重合体組成物層用のペレット状の熱可塑性重合体組成物を調製した。
(2)ポリエチレン発泡体シート(三和化工株式会社製、商品名「サンペルカL−2500」、厚さ1.0mm、比重0.4)の一方の表面に、上記(1)で調製した熱可塑性重合体組成物を、2本ロールを使用して165℃で溶融被覆して、発泡体層(c)(発泡体シート層)上に厚さ1.0mmの重合体組成物層を有する2層構造積層体を製造した。
この2層構造積層体における重合体組成物層の硬度を上記した方法で測定したところ、下記の表2〜4に示すとおりであった。
(3)上記(2)で得られた積層体の熱可塑性重合体組成物層上に、ウレタン系表面処理剤(特殊色料工業株式会社製「ハイコープU AD402」をドクターブレードを使用して厚さ20μmにコーティングした後、温度40℃で熱風にて乾燥して、表面層(a)(コーティング層)/重合体組成物層/発泡体層(c)からなる積層体を製造した。
(4)上記(3)で得られた積層体の耐傷つき性、耐摩耗性評価を上記した方法で行ったところ、下記の表2〜4に示すとおりであった。
比較例5
上記(1)〜(2)と同様にして、重合体組成物層を有するが、表面層(a)(コーティング層)を有しない2層構造の積層体を製造した。この積層体の硬度、耐傷つき性、耐摩耗性評価を上記した方法で行ったところ、下記の表4に示すとおりであった。
Figure 0004689365
Figure 0004689365
Figure 0004689365
上記の表2〜4の結果から明らかなように、実施例1〜8の積層体は、耐傷つき性、耐摩耗性、表面層との密着性に優れ、しかも柔軟性に優れる材料であることが分かる。これに対して、比較例1の積層体は、重合体組成物層中の、アクリル系樹脂の含有量が本発明の範囲を超えており、耐傷つき性、耐摩耗性に劣る。また比較例2の積層体は、重合体組成物層中に熱可塑性樹脂(III)を含まず、耐傷つき性、耐摩耗性、および表面層との密着性に劣る。また比較例3の積層体は、α−メチルスチレン重合体ブロックを有しないため、耐傷つき性、耐摩耗性に劣る。比較例4の積層体は、重合体組成物層中に熱可塑性樹脂(III)の代わりにオレフィン系樹脂を含んでいるため、耐傷つき性、耐摩耗性、および表面層との密着性に劣る。また比較例5の積層体は、表面層を含んでいないため、耐傷つき性、耐摩耗性が充分ではない。
本発明の積層体は、耐傷つき、耐摩耗、柔軟性などに優れる層を含有し、プライマーを塗布するなど繁雑な工程を必要とせず容易に製造することができる。本発明の積層体を表皮材とし、その裏側[重合体組成物層(b)の下面側または発泡体層(c)の下面側]に熱可塑性樹脂、金属、木材、布帛などの材料よりなる層を積層することにより、自動車部品、家電製品部品、建材、家具、玩具、スポーツ用品、日用品など幅広い用途に有効に使用することができる。

Claims (5)

  1. 表面層(a)/重合体組成物層(b)の順序で積層されている積層体であって;
    表面層(a)が、重合体から主としてなる層であり;且つ、
    重合体組成物層(b)が、
    (I)主としてα−メチルスチレン単位からなる重合体ブロックAと主として共役ジエン単位からなる重合体ブロックBを有するα−メチルスチレン系ブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体(I)100質量部に対して、
    (II)非芳香族系ゴム用軟化剤(II)を200質量部以下、
    (III)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリアミド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(III)を10〜200質量部の割合で含有する熱可塑性重合体組成物からなる層である積層体。
  2. 表面層(a)が、ポリウレタン系またはアクリル系の重合体からなるコーティング層である請求項1に記載の積層体。
  3. ブロック共重合体(I)における重合体ブロックAが、主としてα−メチルスチレン単位からなる数平均分子量1000〜50000の重合体ブロックであり、重合体ブロックBが下記の重合体ブロックb1およびb2からなり、かつブロック共重合体(I)が式:
    A−b1−b2
    (式中、Aは重合体ブロックA、
    b1は主として共役ジエン単位からなり、共役ジエン単位の1,4−結合量が30%未満である数平均分子量1000〜30000の重合体ブロック、
    b2は主として共役ジエン単位からなり、共役ジエン単位の1,4−結合量が30%以上である数平均分子量10000〜400000の重合体ブロックを表す)
    で示される構造を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. さらに熱可塑性重合体発泡体層(c)が、表面層(a)/重合体組成物層(b)/熱可塑性重合体発泡体層(c)の順序で積層されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体であって、
    該熱可塑性重合体発泡体層(c)が、オレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよびポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いて形成されている積層体。
  5. さらに、熱可塑性樹脂、金属、布帛、皮革、ガラスおよび木材からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層(d)が、表面層(a)/重合体組成物層(b)/材料層(d)または表面層(a)/重合体組成物層(b)/熱可塑性重合体発泡体層(c)/材料層(d)の順序で積層されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
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