JP4911608B2 - 成形用樹脂組成物、成形品および部品 - Google Patents

成形用樹脂組成物、成形品および部品 Download PDF

Info

Publication number
JP4911608B2
JP4911608B2 JP2007078522A JP2007078522A JP4911608B2 JP 4911608 B2 JP4911608 B2 JP 4911608B2 JP 2007078522 A JP2007078522 A JP 2007078522A JP 2007078522 A JP2007078522 A JP 2007078522A JP 4911608 B2 JP4911608 B2 JP 4911608B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
component
resin
molding
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007078522A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008239667A (ja
Inventor
健二 野田
博賀 垣内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Techno Polymer Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Techno Polymer Co Ltd filed Critical Techno Polymer Co Ltd
Priority to JP2007078522A priority Critical patent/JP4911608B2/ja
Publication of JP2008239667A publication Critical patent/JP2008239667A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4911608B2 publication Critical patent/JP4911608B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、成形用樹脂組成物、該樹脂組成物からなる成形品、さらにはその成形品の少なくとも一面に、本革が貼付された部品に関する。
従来から、PP(ポリプロピレン樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PC/ABS(ゴム強化スチレン系樹脂)などの樹脂は、その経済性と同時に、耐衝撃性などの機械的強度、電気的特性、耐熱性、熱安定性などに優れていることから、自動車、家電、事務機器、電気・電子機器分野などに幅広く利用されている。例えば、特許文献1〜3参照。
一方、これら分野では、近年の高級化指向に伴い、これら機器、部品の表面に本革を貼付した製品が上市されるようになっている。しかしながら、本発明者らの検討によると本革の接着性、耐薬品性、成形性、該部品の熱変動にともなう本革の追従性などにおいて問題が生じることがあった。例えば、PPからなる成形品に貼付する場合、その接着性および耐衝撃性が不十分な場合がある。PCを用いた場合、接着性、成形性に劣り、また割れた際にシャープエッジになり人体への安全性に劣ることがあった。PC/ABSでは、いくぶん接着性は改良されるものの、耐熱劣化性および高温下における本革貼付成形品の外観性が劣ることがあった。
また、収縮が大きいなどの本革の有する特性に起因し、従来、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステルエラストマーなどの合成皮革では生じなかった積層体形成後の本革の剥がれや、基材の変形などの問題が生じる場合があった。
特開平9−100406号公報 特開2000−026713号公報 特開2000−204236号公報
本発明は、剛性、耐熱変形性、耐薬品性と接着性のバランスおよび寸法安定性に優れ、その結果、貼付された本革の接着強度、接着耐久性に優れ、さらに貼付された本革にシワなどが発生し難く、本革表面外観が美麗な、本革が貼付された部品を提供することが可能な樹脂組成物、さらにはその成形品、該成形品の表面に貼付された部品を提供することを目的とする。
本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有する、本革が貼付される成形品の成形用樹脂組成物に関する。
(A)成分:ポリカーボネート樹脂40〜80質量%
(B)成分:エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、または、該(A1)と該ビニル系単量体成分を重合して得られる共重合体との混合物(A2)10〜50質量%
(C)成分:繊維状充填材1〜20質量%
[ただし、(A)+(B)+(C)=100質量%]
ここで、上記(B)成分は、ゴム強化ビニル系樹脂(B1)と共重合体(B2)との混合物からなり、該(B2)が芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/他のビニル系単量体=60〜79/21〜40/0〜30(質量%)からなる共重合体であって、かつメチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.31〜0.8dl/gであることが好ましい。
また、(C)成分の平均繊維径は5〜25μm、平均長さが1〜10mmであることが好ましい。
さらに、上記成形品の収縮率は、好ましくは0.8%以下である。
次に、本発明は、上記成形用樹脂組成物を成形してなる、本革が貼付される成形品(ただし、自動車の内装に使用される成形品を除く)に関する。
ここで、上記成形品の収縮率は、好ましくは0.8%以下である。
次に、本発明は、上記成形品の少なくとも一面に、本革が貼付された部品(ただし、自動車内装部品を除く)に関する。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、この成形品の少なくとも一面に本革を貼付することにより、剛性、耐熱変形性、耐薬品性と接着性のバランス、および寸法安定性に優れ、その結果、貼付された本革の接着強度、接着耐久性に優れ、さらに貼付された本革にシワなどが発生し難く、本革表面外観が美麗な、本革が貼付された部品(ただし、自動車内装部品を除く)が得られる。
(A)ポリカーボネート樹脂:
本発明に用いられる(A)ポリカーボネート樹脂は、得られる成形品の剛性、耐熱変形性、耐衝撃性に優れた本発明の樹脂組成物が得られる。
本発明に用いられる(A)ポリカーボネート樹脂としては、種々のジヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの反応によって得られるもの(ホスゲン法)、あるいはジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応によって得られるもの(エステル交換法)が挙げられる。好ましいポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂である。代表的な芳香族ポリカーボネート樹脂としては、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAとホスゲンとの反応によって得られるポリカーボネート樹脂である。
ここで、ポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロペンタン、ヒドロキノン、レゾルシンなどが挙げられ、これらは、1種または2種以上で用いられる。特に好ましいものは、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAである。
上記(A)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは15,000〜40,000、さらに好ましくは17,000〜30,000、特に好ましくは18,000〜28,000である。分子量が高い方が高いノッチ付き耐衝撃性が得られるが、流動性が劣る。また、分子量の異なる2種以上のポリカーボネートを用いることもできる。
本発明の樹脂組成物中の(A)ポリカーボネート樹脂の割合は、40〜80質量%、好ましくは45〜75質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。40質量%未満では、耐衝撃性、耐薬品性、耐熱劣化性、本革接着性、および高温下での本革貼付成形品の外観性が劣り、一方、80質量%を超えると、成形加工性、本革接着性および高温下での本革貼付成形品の外観性が劣り好ましくない。
(B)成分:
本発明に用いられる(B)成分は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(B1)(AES樹脂)、または、該(B1)と該ビニル系単量体成分を重合して得られる共重合体(B2)との混合物である。
本発明に用いられるゴム強化ビニル系樹脂(B1)(AES樹脂)の使用効果は、ABS樹脂に比べて、耐熱劣化性に優れる点にある。しかも、本発明で用いられる樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂や(C)繊維状充填材を使用することから、成形加工性が充分ではなく、例えば大型の家具、事務機器やテレビの外枠を成形するために成形温度を高くすることが求められる。この点において、ゴム強化ビニル系樹脂(B1)は、耐熱劣化性に優れ、かつ成形加工性に優れる、という要求を満たすことができる。そのほか、ゴム強化ビニル系樹脂(B1)は、ABS樹脂の使用に比べて、本革接着性および高温下での本革貼付成形品の外観性に優れている。
ここで、ゴム強化ビニル系樹脂(B1)のベースゴムとなるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体としては、エチレン/炭素数3〜20のα−オレフィン/非共役ジエン=5〜95/95〜5/0〜30質量%の混合比からなる単量体を共重合して得られる共重合ゴムが好ましい。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−オクテン、さらに好ましくはプロピレンである。これらのα−オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。α−オレフィンの炭素数は、3〜20であるが、好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜8である。炭素数が20を超えると、共重合性が極端に低下するため好ましくない。エチレンとα−オレフィンの質量比は、好ましくは5〜95/95〜5、さらに好ましくは60〜88/40〜12、特に好ましくは70〜85/30〜15である。
また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体に用いられることのある非共役ジエンとしては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類などが挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。これらの非共役ジエンは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体中の非共役ジエンの含有量は、0〜30質量%、好ましくは0〜15質量%である。なお、このゴム質重合体の不飽和基量は、ヨウ素価に換算して、0〜40の範囲が好ましい。
本発明の上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体を製造するには、不均一系、均一系いずれの触媒を用いてもよい。不均一系触媒としては、例えばバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とを組み合わせたバナジウム系触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、例えばメタロセン系触媒を挙げることができる。特に、炭素数6〜20のα−オレフィンを用いた上記ゴムを製造するには、メタロセン系触媒が有効である。
なお、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、好ましくは40以下、さらに好ましくは25〜35である。ムーニー粘度は、分子量調節剤の種類・量や、モノマー濃度および反応温度などを変更することにより、調整することができる。
また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体は、ポリスチレン換算の質量平均分子量100万以上の成分の含有率が好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。このようなゴム質重合体は、分子量調節剤の種類・量、触媒の種類・量を変更することにより、製造することができる。
さらに、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−110〜−40℃、さらに好ましくは−70〜−50℃、融点(Tm)は、好ましくは30〜110℃、さらに好ましくは40〜70℃である。
なお、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の割合は、通常、(B1)成分中に3〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは7〜40質量%である。3質量%未満では耐衝撃性が発現しない場合があり、一方、50質量%超過では成形性、外観が低下する場合がある。
一方、ゴム強化ビニル系樹脂(B1)に用いられる単量体成分のうち、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、これらは1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。好ましい芳香族ビニル化合物は、スチレン、または芳香族ビニル化合物中にスチレンを50質量%以上含むものである。単量体成分中における上記芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/他のビニル系単量体の使用割合は、好ましくは50〜90/10〜40/0〜30、さらに好ましくは60〜79/21〜40/0〜30、特に好ましくは62〜78/22〜38/0〜30(質量%)である。
また、上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
さらに、上記単量体成分には、共重合可能な他のビニル系単量体を用いることができる。上記共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレートなどのアクリル酸エステルや、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;不飽和酸無水物、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸など;不飽和酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸など;マレイミド系単量体、例えば、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物などが挙げられ、好ましくはメチルメタクリレート、N−フェニルマレイミド、およびN−シクロヘキシルマレイミドである。これらの他のビニル系単量体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。単量体成分中における上記他のビニル系単量体の使用割合は、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
本発明に用いられるゴム強化ビニル系樹脂(B1)は、公知の乳化重合、溶液重合、懸濁重合などにより製造することができるが、乳化重合により製造した場合、通常、凝固剤により凝固し、得られる粉末を水洗後、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩を使用するのが一般的であるが、この際、得られるゴム強化ビニル系樹脂(B1)を(A)ポリカーボネート樹脂に配合すると、(B)成分中に残存する塩または乳化剤などにより、(A)ポリカーボネート樹脂の分子量低下を招く問題がある。したがって、凝固剤として、硫酸などの酸を使用することが望ましい。
なお、グラフト重合時のラジカル開始剤としては、一般的なものが使用できる。具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネートなどが挙げられる。ラジカル開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。
本発明の効果を発現するためには、グラフト重合する際に、均一にグラフト反応が進むような有機過酸化物や溶媒の選択、およびゴム質重合体を乳化重合で合成し、乳化重合でグラフト重合させたり、ゴム質重合体を均一に溶解し重合を開始したり、あらかじめ溶融混練りしたものを溶液に溶解し溶液重合または塊状重合することや、再乳化したものを乳化重合または懸濁重合することなどの重合方法を工夫することで、目的の効果を得ることがきる。
このようにして得られる上記ゴム強化ビニル系樹脂(B1)のグラフト率は、10〜150%、好ましくは30〜100%である。グラフト率が10%未満であると、樹脂とゴムとの界面接着強度が劣り、優れた耐衝撃強度が得られない。一方、150%を超えると、界面層が厚くなり、またゴム内部にグラフトした樹脂層が発達し、ゴム弾性が低下し、結果として優れた耐衝撃強度が得られなくなる。上記グラフト率は、上記ゴム質重合体、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変えることにより容易に調整することができる。
ここで、グラフト率(%)は、(B1)成分中のゴム成分をx、(B1)成分中のメチルエチルケトン不溶分をyとすると、下記の計算式により求められた値である。
グラフト率(%)=〔(y−x)/x〕×100
また、本発明のゴム強化ビニル系樹脂(B1)のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.2〜0.8dl/g、好ましくは0.31〜0.7dl/gである。固有粘度〔η〕がこの範囲であると、耐衝撃性、成形加工性(流動性)に優れた本発明の樹脂組成物が得られる。
上記固有粘度〔η〕は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に制御することができる。
一方、本発明に用いられる(B)成分中の共重合体(B2)は、芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/他のビニル系単量体の質量比が、好ましくは50〜90/10〜40/0〜30、さらに好ましくは60〜79/21〜40/0〜30、特に好ましくは62〜78/22〜38/0〜30(質量%)である。シアン化ビニル化合物量が、上記の範囲において、21質量%以上であると、得られる成形品の耐薬品性、本革接着性および高温下での本革貼付成形品の外観性が一段と優れる場合がある。また、芳香族ビニル化合物の使用量が50質量%未満では、(A)ポリカーボネート樹脂との相溶性が低下し、耐衝撃性や耐熱劣化性が劣り、一方、90質量%を超えると、これもまた、(A)ポリカーボネート樹脂との相溶性が低下し、耐衝撃強度や耐薬品性が劣る。さらに、シアン化ビニル化合物の使用量が10質量%未満では、(A)ポリカーボネート樹脂との相溶性が著しく低下し、耐衝撃性の低下や表層剥離などの問題を生じ、一方、40質量%を超えると、耐熱劣化性が低下する。さらに、他のビニル系単量体の使用量が30質量%を超えると、(A)ポリカーボネート樹脂との相溶性が低下し、耐衝撃性が劣る。
なお、上記芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物や他のビニル系単量体は、ゴム強化ビニル系樹脂(B1)に用いられる単量体成分と同様である。
本発明の共重合体(B2)のメチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.31〜0.8dl/g、好ましくは0.32〜0.8dl/g0.32〜0.7dl/g、さらに好ましくは0.36〜0.7dl/gである。上記の範囲において、固有粘度〔η〕が0.31dl/g以上であると、得られる成形品の耐薬品性、ならびに本革と成形品との接着強度について一段と優れる。0.31dl/g未満では、耐衝撃性に劣り、一方、0.8dl/gを超えると、成形加工性が著しく低下する。
本発明に用いられる共重合体(B2)は、公知の乳化重合、溶液重合、懸濁重合などにより製造することができるが、乳化重合によって製造した場合、通常、凝固剤により凝固し得られる粉末を水洗後、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩を使用するのが一般的であるが、この際、得られる共重合体(B2)を(A)ポリカーボネート樹脂に配合すると、(B2)成分中に残存する塩または乳化剤などにより、(A)ポリカーボネート樹脂の分子量の低下を招く問題がある。したがって、凝固剤として、硫酸などの酸を使用することが望ましい。
(B)成分中におけるゴム強化ビニル系樹脂(B1)と共重合体(B2)の配合割合は、(B1)成分が20〜100質量%、好ましくは30〜85質量%、さらに好ましくは35〜80質量%、(B2)成分が0〜80質量%、好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは20〜65質量%(ただし、(B1)+(B2)=100質量%)である。ゴム強化ビニル系樹脂(B1)の割合が、20質量%未満では樹脂組成物の耐衝撃性が劣る場合があり、好ましくない。
本発明の樹脂組成物中における(B)成分の配合割合は、10〜50質量%である。好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは20〜45質量%である。10質量%未満では樹脂組成物の成形性、耐熱劣化性、本革の接着強度が低下し、一方、50質量%超過では耐衝撃性、耐薬品性、高温下での本革貼付成形品の外観性が低下する。
(C)繊維状充填材
本発明に用いられる(C)繊維状充填材は、得られる成形品(ただし、自動車の内装に使用される成形品を除く)に適度の寸法安定性を与えるものである。その結果、成形品に貼付された本革の接着強度、接着耐久性、剛性に優れ、貼付された本革にシワなどが発生し難く、本革表面外観を美麗にすることができる。
本発明の樹脂組成物中における(C)成分の配合割合は、1〜20質量%、好ましくは2〜18質量%、さらに好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。(C)成分が1質量%未満では、高温下での本革貼付成形品の外観性が劣り、一方、20質量%を超えると、成形加工性、耐衝撃性が劣る。
上記(C)繊維状充填材としては、ガラス繊維、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属の無機系繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト、さらにはポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの有機系繊維状充填材などが挙げられる。なかでもガラス繊維、炭素繊維が好ましく、特にガラス繊維が好ましい。
これらはいずれも、細い直径の長繊維を複数本撚り、収束剤によって収束させて切断したチョップドストランドの形態のものが好ましい。好ましい切断平均長は、1〜10mm、さらに好ましくは2〜6mmである。この範囲内であると、成形する際に射出成形機のホッパー内での偏析が少なくなり、実用的に使用できる。
ガラス繊維は、一般的なCガラスまたはEガラスを紡糸したものである。好ましいガラス繊維の平均径は、5〜25μmの範囲であり、さらに好ましくは8〜20μm、特に好ましくは10〜15μmである。得られる樹脂成形品の物性の点から、上記ガラス繊維の繊維径は小さい方が特に好ましい。ただし、繊維平均径が5μm未満になるとコンパウンド時にガラス繊維が折れやすくなり、寸法安定性、剛性の向上効果が小さくなる。
なお、ガラス繊維用の集束剤の種類としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)系樹脂などが挙げられる。上記集束剤の塗布量は、ガラス繊維に対して、固形分換算で、0.5〜10質量%、好ましくは0.1〜6質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。エポキシ系集束剤およびアクリル系集束剤の場合は、2〜5質量%が特に好ましい。収束剤量が0.5質量%未満であると解繊しやすくコンパウンド時のハンドリングが困難である。一方、収束剤量が10質量%を超えると、耐熱性の低下やシルバーなどの成形不良を起こす。
また、ガラス繊維とこれらの集束剤を効率よく密着させるために、シランカップリング剤を併用してもよい。このシランカップリング剤は、ガラス繊維を集束させる働きもある。シランカップリング剤としては、一般的なものが使用できる。シランカップリング剤の使用量は、集束剤に対し、0.01〜20質量%程度である。
PAN系炭素繊維は、ポリアクリロニトリルを原料として焼成して得られるPAN系の炭素繊維である。好ましい炭素繊維径は5〜15μm、さらに好ましくは6〜10μmである。好ましい引っ張り弾性率は100〜700GPa、さらに好ましくは200〜500GPaである。ピッチ系炭素繊維はピッチを原料として紡糸し、熱処理して得られるピッチ系炭素繊維である。好ましい炭素繊維径は5〜15μm、さらに好ましくは8〜12μmである。好ましい引っ張り弾性率は10〜900GPa、さらに好ましくは30〜600GPaである。
繊維径が細いと、寸法宛性、剛性の改良効果が大きく好ましい。ただし、繊維径が5μm未満になるとコンパウンド時に炭素繊維が折れやすくなり、該効果が小さくなる。本発明に用いる炭素繊維は、通常収束剤により収束されて用いられる。この収束剤の使用量は、0.5〜10質量%が好ましい。収束剤量が0.5質量%以下であると解繊しやすくコンパウンド時のハンドリングが困難である。また、収束剤量が10質量%を超えると、耐熱性の低下やシルバーなどの成形不良を起こすことがある。
本発明に用いる金属繊維としては、ステンレス、銅、黄銅、アルミニウム、ニッケルなどの繊維が用いられる。この中では特にステンレスの繊維が強度と耐成形収縮性のバランスに優れており付与効果が最も高い。金属繊維の平均径は、5〜20μmが好ましく、さらに好ましくは6〜15μmである。金属繊維径が大きすぎると成形収縮率、剛性の改良効果が劣る。金属繊維径が小さすぎると樹脂への分散性が悪化し、該効果の改良効果が低下する。金属繊維をコンパウンドする際に、強い練りをかけると繊維が大きな固まりになり分散しないことがある。そのような場合には、樹脂で金属繊維をコーティングしマスターバッチにしたもの、あるいは前述の集束剤で収束させた金属繊維と樹脂を、ベース樹脂とブレンドし、直接射出成形などにより成形することが好ましい。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂中に残存する繊維状充填材の平均繊維長は好ましくは0.05〜0.70mmであり、さらに好ましくは0.10〜0.70mm、特に好ましくは0.15〜0.70mmである。残存平均繊維長が短すぎる時は成形収縮、剛性の改良効果が小さく、長すぎると流動性、成形品表面外観が劣る。
ここで示す残存平均繊維長は、本発明の樹脂組成物を成形した成形品の一部を切り出して測定した。方法は、切り出した成形品を、800℃で樹脂成分を分解し、残ったガラス繊維を画像分析することにより、繊維長を測定したものである。
例えば、上記炭素繊維の残存平均繊維長を長くするには、二軸押出機での加工温度を高くすることが最も効果的である。好ましい加工温度は220〜280℃、より好ましくは230〜270℃である。また、二軸押出機のスクリューディメンジョンは練りパーツが少ないものが好ましい。さらに、炭素繊維をフィードする位置は二軸押出機の先端(ダイス側)に近い方が好ましい。
本発明の樹脂組成物において、上記(B)成分から由来のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の含有量は、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。上記の範囲にあると、本発明の目的とする樹脂組成物が得られやすい。
なお、本発明の樹脂組成物には、熱老化防止剤を配合することができる。
熱老化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系などが挙げられ、好ましくはフェノール系、リン系および硫黄系の3種混合系である。熱老化防止剤として、この3種混合系を用いると、長時間、高温下にさらされた時の、引張り伸び率を保持するという効果が得られる。
熱老化防止剤のうち、フェノール系としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、2−メチル−6−t−ブチルフェノール誘導体、オクタデシル3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4′−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ペンタエリスリチル・テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2〔1−(2ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)−エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートなどが挙げられる。
リン系としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、リン酸2水素ナトリウム、リン酸1水素2ナトリウムなどが挙げられる。
硫黄系としては、3,3′−チオビスプロピオン酸ジドデシルエステル、3,3′−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステル、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルプロピオネート)、ジラウリル3,3′−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物中の熱老化防止剤の割合は、0〜2質量%、好ましくは0〜1質量%である。本発明の樹脂組成物において、(A)ポリカーボネート樹脂以外の樹脂〔(B)成分〕は、熱老化防止剤を添加することで、熱老化特性が改良されるが、ポリカーボネート樹脂は、熱老化防止剤が加水分解を促進する触媒として働くことがあり、熱老化防止剤を入れない方が劣化を抑制する傾向もある。これらの相反する効果を鑑みて、2質量%を上限として上記熱老化防止剤を添加すれば、最適な熱老化防止効果が得られる。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、ガラスビーズロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウムなどの充填材を、1種単独でまたは2種以上併用することができる。これらの充填材を配合することで、本発明の樹脂組成物に、さらに剛性、高熱変形温度などを付与することができる。また、上記のタルク、炭酸カルシウムなどを配合することで、本発明の樹脂組成物に艶消し性を付与することができる。
また、本発明の樹脂組成物には、公知の耐候剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、シリコーンオイルなどの添加剤を配合することができる。
このうち、耐候剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などが好ましい。滑剤としては、エチレンビスステアリルアミド、硬化ヒマシ油などが好ましい。着色剤としては、カーボンブラック、ベンガラなどが挙げられる。帯電防止剤としては、ポリエーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用い混練することができる。例えば、先ず(A)、(B)成分、必要に応じてその他の添加剤を混練し、次いで(C)成分を混練することにより樹脂組成物のペレットを得ることができる。具体的には、2軸押出機によって(A)、(B)(B)を溶融させ、押出機のシリンダーの先端(ダイス側)に近い位置で(C)成分をフィード(途中フィード)する方法などが挙げられる。タンブラーで混合する場合の条件は、回転数1〜20回転/分で、混合時間は1〜3分間前後とするのが好ましい。回転数が速すぎても、ブレンド時間が長すぎても、(C)成分の解繊が生じ好ましくない。なお、繊維状充填材のみをタンブラーで混合する際にポリエチレンワックス、硬化ひまし油などの滑剤を配合すると、混合時および2軸押出機でフィードする際の繊維状充填材の解繊を防止できる場合があり好ましい。
以上の樹脂組成物を用いて、本発明の成形品を成形するには、例えばテレビなどの電気製品の外枠の形状を形成した金型で構成されるキャビティ内に、上記樹脂組成物を射出する成形方法が適用できる。
本発明の樹脂組成物を用いて成形される成形品(ただし、自動車の内装に使用される成形品を除く)としては、例えば、カバン、箱、机、家の内装、家具、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、などの電化製品、玩具、インテリア一般、船舶、ヨット、家庭用電話機、携帯電話、ゲーム機、ステーショナリー全般、各種アクセサリーなどの小物などが挙げられる。
ここで、本発明の部品(ただし、自動車内装部品は除く)は、かかる成形品の少なくとも一面、例えば表面に、本革が貼付されているものである。
ここで、上記成形品は、後述の測定方法による収縮率が、好ましくは0.8%以下である。さらに好ましくは0.2〜0.7%、特に好ましくは0.3〜0.6%である。0.8%超過では、貼付された本革が剥がれる、或いは部品が変形する場合があり好ましくない。
上記収縮率は、樹脂組成物中における(C)成分の種類、配合量によって調整することができ、(C)成分の配合量が増加するに従って収縮率は低下する傾向になる。
また、上記成形品の曲げモジュラス(剛性)は、2,000〜5,000MPaが好ましく、さらに好ましくは2,200〜4,000MPaである。線膨張係数は好ましくは、3×10−5〜7×10−5(1/℃)、さらに好ましくは4×10−5〜6×10−5(1/℃)である。
本発明の自動車内装部品は、(A)〜(C)成分を特定の割合で含有する成形品を用いることにより、さらに好ましくは物性値が上記の値を有する成形品を用いることにより得られる。それによって、従来、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステルエラストマーなどの合成皮革では発生しなかったにもかかわらず、本革を貼付した場合に発生することのあった積層体からの本革の剥がれや、基材の変形などの問題を解決することができる。
本発明で用いられる本革は、動物の種類や部位について特に限定されない。動物としては、例えば、牛、馬、羊、鹿などが挙げられる。部位についても特に限定されず、例えば、背、尻、腹など、本革として使用可能な部位の皮革を用いることができる。本革は、革の耐久性や風合いを向上させるための各種処理が施されていてもよい。例えば、通常は、表面側に耐光性や耐摩耗性を向上させるための塗膜が形成されている。また、本革の伸び性などを改良したり、クッション性や補強のために、裏面側に布地を貼り合わせられていてもよいし、透湿性などを改良するためにプラスチック製フィルムを積層されていてもよい。
さらに成形品と本革の接着は、通常、接着剤を介して行われる。ここで接着剤としては、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などが用いられ、常法に従って接着することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、実施例および比較例中、部および%は特に断らない限り質量基準である。また、実施例および比較例中の各種評価方法および使用成分は、次のとおりである。
1.評価方法
(1)成形加工性
ASTM
D1238に準拠し、流動性(メルトフローレート)を測定、成形加工性の指標とした。測定温度は240℃、荷重は10kg、単位はg/10分である。
(2)曲げモジュラス
ASTMD790に準拠して測定した。単位はMPaである。
(3)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準じて、下記試験片をノッチ付きで測定した。単位は、J/mである。試験片;2.5×1/2×1/4インチ、ノッチ付き。
(4)耐薬品性
1/4楕円支持具を用い、長さ145mm、巾40mm、厚さ2mmの試験片に1%の歪みをかけてセットした。試験片表面にガーゼをおき、その上からトルエン5ccをまんべんなく塗布した。72時間後に試験片を取り外して、割れ方を下記の基準で目視にて判定した。
○:変化なし
△:一部クラックが入っている。
×:試験片が割れた。
(5)耐熱劣化性
上記(3)の試験片を110℃の高温環境下に、2,400時間放置した後、アイゾット衝撃強度を測定し、放置前の値の保持率を求めた。
(6)本革接着強度
長さ145mm、巾40mm、厚さ2mmの試験片に、「ニッポラン3116」(日本ポリウレタン工業社製、ウレタン樹脂系1液型接着剤)1gを均一に塗布した後、150mm、巾50mm、厚さ2mmの牛革を載せ、同じ試験片ではさみ1kgのおもりを置いて、室温にて1日置いた。その後、引きはがし試験を行い下記の基準で評価した。
○:剥がれない。
△:一部剥がれた。
×:革が全部剥がれた。
(7)成形収縮率
射出成形して得られた長さ150mm、巾150mm、厚さ3mmの成形品を23℃にて24時間放置した後、流動方向(MD)の長さと流動方向に対し直角方向(TD)の長さを測定し、金型の長さと比較し、成形品の成形収縮率を求めた。
(8)本革貼付外観
上記(6)で貼付した積層体を、110℃の環境下に1200時間放置した後の外観を下記の基準で評価した。
○:変化なし
△:一部変形、または一部剥がれ
×:成形体が変形、あるいは割れ、本革が剥がれた。
2.使用成分
(1)(A)成分
ポリカーボネート樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス 7022PJ」を用いた。
(2)(B1)成分
AES樹脂の調製;リボン型攪拌翼を備えた内容積10リットルのステンレス製オートクレーブに、EPDM〔JSR(株)製、EP−82〕20部、スチレン55部、アクリロニトリル25部およびトルエン100部を仕込み、攪拌後、昇温し、ゴム質重合体を完全溶解し均一溶液を得た。次いで、t−ドデシルメルカプタン0.1部とベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、95℃に一定に制御しながら攪拌回転数200rpmで重合反応を行った。反応開始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、さらに2時間反応を行って終了した。重合転化率は、97%であった。100℃まで冷却後、2,2−メチレン−ビス−4−メチル−6−ブチルフェノール0.2部を添加したのち、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し細かく砕いたのち、40mmφベント付き押し出し機(220℃、700mmHg)にて、実質的に揮発分を留去するとともに、重合体をペレット化した。グラフト率は70%、固有粘度は0.42dl/gであった。
(3)(B2)成分
テクノポリマー社製の下記のAS樹脂を使用した。
スチレン/アクリロニトリル=76/24(%)の共重合体。固有粘度〔η〕=0.43dl/g
(4)ABS樹脂
攪拌装置を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、不均化ロジン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエン〔JSR(株)製、#0700〕40部(固形分換算)、スチレン15部およびアクリロニトリル5部を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート・2水和物0.2部およびイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、ならびにジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。その後、イオン交換水50部、不均化ロジン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルヒドロパーオキサイド0.2部、スチレン30部およびアクリロニトリル10部からなるインクレメント重合成分を3時間にわたって連続的に添加し重合反応を続けた。添加終了後、さらに攪拌を1時間続けたのち、2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフラスコより取り出した。反応生成物のラテックスを硫酸2部で凝固し、反応生成物をよく水洗したのち、75℃で24時間乾燥し、白色粉末を得た。重合転化率は97.2%、グラフト率は75%、固有粘度は0.44dl/gであった。
(5)PP樹脂
日本ポリプロ社製「ノバテックBC6C」を用いた。
(6)(C)成分
C−1:ガラス繊維として、旭ファイバーグラス社製「GS03MA419」を用いた。
C−2:カーボン繊維として、東邦テナックス社製「HTA−C6−UE」を用いた。
実施例1
表1に記載の(A)成分と(B)成分をブレンダーにてブレンド後、日本製鋼所製の二軸押出機TEX44を用い、250℃にて押し出した。途中(C)成分をサイドフィードし、(C)成分が5質量%の樹脂ペレットを得た。このペレットを用い、評価項目に応じて必要な成形品を成形し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
実施例2〜7、比較例1〜7
実施例1と同様に、表1に記載の成分、および配合量で混練、成形し、評価した。
Figure 0004911608
実施例1〜7は、本発明の樹脂組成物であり、成形加工性、耐熱性、本革との接着性、本革を貼付した成形品の外観に優れ、成形品の収縮率も小さい。
一方、比較例1は、(C)成分の配合されていない系であり、本革貼付成形品の耐熱劣化試験後の外観が劣る。
比較例2は、(C)成分の配合量が多い系であり、成形加工性、アイゾット衝撃強度が劣る。
比較例3は、(B)成分を用いずABS樹脂を用いた例であり、耐熱劣化性、本革接着強度、本革貼付成形品の耐熱劣化試験後の外観が劣る。
比較例4は、(A)成分が少ない例であり、アイゾット衝撃強度、耐薬品性、耐熱劣化性、本革貼付成形品の耐熱劣化試験後の外観が劣る。
比較例5は、(A)成分が多い例であり、成形加工性、耐熱劣化性、本革貼付成形品の耐熱劣化試験後の外観が劣る。
比較例6は、PPに(C)成分を配合した系であり、アイゾット衝撃強度、耐熱劣化性、本革接着強度が劣る。
比較例7は、ASに(C)成分を配合した系であり、アイゾット衝撃強度、耐薬品性、耐熱劣化性、本革接着強度、本革貼付成形品の耐熱劣化試験後の外観が劣る。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品の少なくとも一面に本革が貼付された部品(ただし、自動車内装部品を除く)は、該成形品の表面に本革が美麗に貼付されており、高級部品、例えばカバン、箱、机、家の内装、家具、テレビ、冷蔵庫、電子レンジなどの電化製品、玩具、インテリア一般、船舶、ヨット、家庭用電話機、携帯電話、ゲーム機、ステーショナリー全般、各種アクセサリーなどの小物として有用である。

Claims (7)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含有する、本革が貼付される成形品の成形用樹脂組成物。
    (A)成分:ポリカーボネート樹脂40〜80質量%
    (B)成分:エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(B1)、または、該(B1)と該ビニル系単量体成分を重合して得られる共重合体(B2)との混合物10〜50質量%
    (C)成分:繊維状充填材1〜20質量%
    [ただし、(A)+(B)+(C)=100質量%]
  2. 上記(B)成分が、ゴム強化ビニル系樹脂(B1)と共重合体(B2)との混合物からなり、該(B2)が芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/他のビニル系単量体=60〜79/21〜40/0〜30(質量%)からなる共重合体であって、かつメチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)が0.31〜0.8dl/gである請求項1記載の成形品の成形用樹脂組成物。
  3. (C)成分の平均繊維径が5〜25μm、平均長さが1〜10mmである請求項1または2記載の成形用樹脂組成物。
  4. 成形品の収縮率が0.8%以下である請求項1〜3いずれかに記載の成形用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の成形用樹脂組成物を成形してなる、本革が貼付される成形品(ただし、自動車の内装に使用される成形品を除く)。
  6. 収縮率が0.8%以下である請求項5記載の成形品。
  7. 請求項5または6記載の成形品の少なくとも一面に、本革が貼付された部品(ただし、自動車内装部品を除く)。
JP2007078522A 2007-03-26 2007-03-26 成形用樹脂組成物、成形品および部品 Active JP4911608B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007078522A JP4911608B2 (ja) 2007-03-26 2007-03-26 成形用樹脂組成物、成形品および部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007078522A JP4911608B2 (ja) 2007-03-26 2007-03-26 成形用樹脂組成物、成形品および部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008239667A JP2008239667A (ja) 2008-10-09
JP4911608B2 true JP4911608B2 (ja) 2012-04-04

Family

ID=39911402

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007078522A Active JP4911608B2 (ja) 2007-03-26 2007-03-26 成形用樹脂組成物、成形品および部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4911608B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4978964B2 (ja) * 2007-03-26 2012-07-18 テクノポリマー株式会社 自動車内装部品
JP6146890B2 (ja) 2010-08-27 2017-06-14 テクノポリマー株式会社 軋み音を低減した熱可塑性樹脂組成物製接触用部品
JP6230792B2 (ja) * 2013-01-24 2017-11-15 日新製鋼株式会社 塗装金属素形材、複合体およびそれらの製造方法
JP6087330B2 (ja) * 2014-09-24 2017-03-01 テクノポリマー株式会社 軋み音を低減した熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP6010170B2 (ja) * 2015-04-02 2016-10-19 テクノポリマー株式会社 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP2015120939A (ja) * 2015-04-02 2015-07-02 テクノポリマー株式会社 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP6251323B2 (ja) * 2016-06-20 2017-12-20 テクノポリマー株式会社 熱可塑性樹脂組成物成形品の製造方法
JP6444364B2 (ja) * 2016-12-19 2018-12-26 テクノUmg株式会社 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP6344749B2 (ja) * 2017-03-01 2018-06-20 テクノUmg株式会社 熱可塑性樹脂組成物製接触用部品

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19951776A1 (de) * 1999-10-27 2001-05-03 Basf Ag Hinterspritzung von Leder mit Thermoplasten
JP4028326B2 (ja) * 2002-08-21 2007-12-26 テクノポリマー株式会社 熱可塑性樹脂組成物
JP2005307180A (ja) * 2004-03-23 2005-11-04 Techno Polymer Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP4689365B2 (ja) * 2005-06-22 2011-05-25 株式会社クラレ 積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008239667A (ja) 2008-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4911608B2 (ja) 成形用樹脂組成物、成形品および部品
JP3398595B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物およびそれを用いた機器ハウジング
JP5937716B2 (ja) 軋み音を低減した接触用部品
JP4978964B2 (ja) 自動車内装部品
JP2000026713A (ja) 長期熱老化特性に優れた熱可塑性樹脂組成物
WO2010117020A1 (ja) 軋み音を低減した自動車内装部品
CN101367990A (zh) 具有优异的抗冲击强度及流动性的玻璃纤维增强的聚碳酸酯树脂组合物及其制造方法
KR20100055335A (ko) 천연섬유 강화 폴리유산 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품
KR20080045798A (ko) 내광성이 우수한 저광택 폴리카보네이트 수지 조성물
JP5528142B2 (ja) 軋み音を低減した自動車内装部品
KR101134016B1 (ko) 고내열 내스크래치 난연성 열가소성 수지 조성물
CN104955897B (zh) 聚碳酸酯类热塑性树脂组合物及模制品
KR100876200B1 (ko) 폴리카보네이트계 열가소성 수지 조성물
JP2009256551A (ja) 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形体
KR100949377B1 (ko) 폴리유산 수지 조성물
JP2019218564A (ja) グラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物
JP3327652B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP5848867B2 (ja) 軋み音を低減した自動車内装部品
JP2015157950A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP3474251B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂組成物
JP7406936B2 (ja) 樹脂組成物及びその成形品
JP5455335B2 (ja) 樹脂発泡成形体の製造方法
JP7406935B2 (ja) 樹脂組成物及びその成形品
JP2001348473A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
KR102646946B1 (ko) 기계적 강도 및 내화학성이 우수한 유리섬유 강화 폴리카보네이트 수지 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120111

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4911608

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150127

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250