JPH10316830A - 芳香を有する重合体組成物 - Google Patents

芳香を有する重合体組成物

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JPH10316830A
JPH10316830A JP14345297A JP14345297A JPH10316830A JP H10316830 A JPH10316830 A JP H10316830A JP 14345297 A JP14345297 A JP 14345297A JP 14345297 A JP14345297 A JP 14345297A JP H10316830 A JPH10316830 A JP H10316830A
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JP
Japan
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polymer
block
block copolymer
polymer composition
compound
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JP14345297A
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English (en)
Inventor
Takashi Onaga
崇 大永
Katsushige Takahashi
活栄 高橋
Shigeki Kikuyama
茂樹 菊山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 成形加工時に悪臭や異臭をマスキングして芳
香を発して作業環境を良好に保つことができ、しかも成
形品やその他の製品に製造した後は、長期間に亙って芳
香が持続している芳香性の重合体組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 オレフィン重合体ブロックと他の重合体
ブロックを有するブロック共重合体(A)、或いは前記
ブロック共重合体(A)および他の重合体と共に、一般
式;(R1)(R2)C=CH(R3)(式中、R1、R2
およびR3は、それぞれ独立して、置換されているか又
は置換されていない1価の炭化水素基を示す)で表され
る化学構造を有し且つ1気圧での沸点が180℃以上で
ある芳香を有する化合物のうちの1種または2種以上を
含有する本発明の重合体組成物によって上記の課題が解
決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香を有する重合体
組成物に関する。より詳細には、本発明は、成形時や加
工時に悪臭や異臭などの臭気がせず、芳香を有し、しか
も成形品などの製品にした後も芳香が長期に亙って持続
されている、オレフィン重合体ブロックを有するブロッ
ク共重合体の組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系樹脂は、熱安定性、耐候性
などに優れ、しかも熱可塑性であって成形加工が容易で
あることから、それらの特性を活かして、単独で、また
は他の熱可塑性重合体とブレンドして、射出成形、押出
成形、ブロー成形、圧縮成形、その他の溶融成形や加熱
加工を行って、例えば車両部品、日用雑貨品、文具、包
装材料、容器類、シート、フイルム、管などの種々の製
品の製造に用いられている。
【0003】オレフィン系樹脂の成形加工は、使用する
オレフィン系樹脂の種類や得られる成形加工品の用途な
どによって様々な条件下で行われるが、その際にしばし
ば悪臭や異臭を発生し、成形加工時に発生する悪臭や異
臭は、作業環境の悪化を招き問題となる場合がある。し
かも、作業環境の悪化のみならず、悪臭や異臭が、製品
中に残留したり、製品に付着して、商品価値を著しく低
下させることがある。特に、密封包装される製品の場合
には、製品から徐々に放出された悪臭や異臭がパッケー
ジ中に蓄積され、パッケージを開いたときに蓄積されて
いた悪臭や異臭が一度に大量に放散されることがあり、
消費者に著しい悪印象を与える原因となる。
【0004】悪臭や異臭の一因としては、オレフィン系
樹脂に含まれる残留化合物や低分子量重合体が加熱下で
成形加工したときに、揮発したり分解することが挙げら
れる。このような残留化合物や低分子量重合体に起因す
る悪臭や異臭をなくするために、残留化合物や低分子量
化合物の含有量の低減されたオレフィン系樹脂を製造す
るための努力がなされている。例えば、残留化合物や低
分子量重合体の含有量の少ないオレフィン系樹脂が得ら
れるようにするための重合触媒の開発がなされており、
そのような重合触媒の例としてメタロセン系触媒を用い
るオレフィン系樹脂の製造が挙げられる。しかしなが
ら、残留化合物や低分子量重合体を低減させるための特
定の重合触媒の使用が、得られるオレフィン系樹脂の物
性、生産性、コストなどの点で、目的とするオレフィン
系樹脂の製造において必ずしも有利であるとは限らな
い。しかも、該特定の触媒以外の触媒を用いて従来の方
法に従って製造されているオレフィン系樹脂に対して
は、悪臭や異臭の低減技術として共通して利用すること
ができない。
【0005】そこで、オレフィン系樹脂の製造法やそれ
に用いる重合触媒の種類などの如何に拘わらず、オレフ
ィン系樹脂一般に対して共通して利用できる悪臭や異臭
の低減技術が提案されておいる。そのような従来技術と
しては、オレフィン系樹脂中に芳香を有する化合物を添
加して、悪臭や異臭を打ち消す(マスキング)する方法
があり、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどに
香料を添加することが既に知られている。 しかしながら、香料を添加したポリエチレンやポリプロ
ピレンなどのような従来のオレフィン系樹脂組成物で
は、悪臭や異臭などの臭気のマスキング効果が十分では
なかったり、また時間が経過するとそのマスキング効果
が失われて持続性が無いなどの欠点がある。その理由と
しては、ポリエチレンやポリプロピレンは高結晶性で香
料を十分に保持できないこと、香料の選定が不適当であ
りその沸点や分解温度がオレフィン系樹脂に適していな
いこと、香料とオレフィン系樹脂との親和性が十分でな
いことなどが考えられる。
【0006】また、オレフィン系樹脂では、その物性の
改良や、用途の拡大などを目的として他の重合体をブレ
ンドすることが広く行われており、特に、オレフィン系
樹脂に不足している極性、表面硬度、靭性、剛性などを
改良するために、様々な樹脂がブレンドされている。そ
してその場合には、オレフィン系樹脂に基づく臭気だけ
ではなく、ブレンドされる他の重合体に由来する臭気も
発生するために、オレフィン系樹脂と他の重合体との組
成物を加熱下で成形加工する際に発生する悪臭や異臭、
および成形加工により得られる製品から発生する悪臭や
異臭は、一層複雑で、著しいものとなる。
【0007】例えば、オレフィン系樹脂の物性改良の目
的に加えられる重合体の1つとして、透明性、耐候性、
極性、剛性、表面硬度などに優れるアクリル樹脂がある
が、オレフィン系樹脂とアクリル樹脂とからなる樹脂組
成物では、オレフィン系樹脂に起因する臭気と、アクリ
ル樹脂に起因する臭気が複合して、悪臭や異臭が一層大
きなものとなり易い。通常のアクリル樹脂では、高温で
の分解を抑制して悪臭や異臭の発生を防ぐために、メタ
クリル酸エステルにアクリル酸エステルを共重合した
り、末端を連鎖移動剤によって封鎖することが行われて
おり、オレフィン系樹脂とのブレンドに当たってもその
ようにして改質されたアクリル樹脂が用いられている
が、臭気の防止効果が十分ではない。しかも、ポリエチ
レンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂と、アク
リル樹脂とは極性が大きく異なるために、両者をブレン
ドして得られる樹脂組成物では樹脂同士の混和性が低
く、相間剥離の発生、失透、力学的特性の低下などの問
題があり、臭気の点だけではなく、物性面の点において
も十分に満足のゆく材料が得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、成形
時や加工時に悪臭や異臭がせず芳香を発生し、作業環境
を良好に保つことができ、しかも成形品やその他の製品
にした後も芳香が長期に亙って維持されるオレフィン系
重合体組成物を提供することである。さらに、本発明の
目的は、臭気の点で改良されているだけではなく、力学
的特性、柔軟性、成形加工性、耐候性などの他の点でも
優れる、物性の改良されたオレフィン系重合体組成物を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、オ
レフィン系重合体として、オレフィン重合体ブロックを
構成ブロックとして有するブロック共重合体を特に選ん
で使用し、これに特定の香料を添加すると、成形加工時
に悪臭や異臭をマスキングして芳香を発生し、しかも成
形品やその他の製品にした後も芳香が長期に亙って維持
されること、さらに前記したブロック共重合体は、アク
リル系重合体やその他の重合体との相容性にも優れてい
るために、該ブロック共重合体に前記した香料および他
の重合体を添加すると、臭気の点で改良されると共に力
学的特性やその他の物性にも優れたものとなることを見
出して本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、(i)オレフィン重
合体ブロックを構成ブロックとして有するブロック共重
合体(A);および、(ii)下記の一般式(I);
【0011】
【化4】 (R1)(R2)C=CH(R3) (I) (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、置
換されているか又は置換されていない1価の炭化水素基
を示す)で表される化学構造を有し且つ1気圧での沸点
が180℃以上である芳香を有する化合物のうちの1種
または2種以上;を含有することを特徴とする芳香を有
する重合体組成物である。
【0012】そして、本発明は、(i)オレフィン重合
体ブロックを構成ブロックとして有するブロック共重合
体(A); (ii)ブロック共重合体(A)以外の熱可塑性重合体
(B);および、 (iii)下記の一般式(I);
【0013】
【化5】 (R1)(R2)C=CH(R3) (I) (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、置
換されているか又は置換されていない1価の炭化水素基
を示す)で表される化学構造を有し且つ1気圧での沸点
が180℃以上である芳香を有する化合物のうちの1種
または2種以上;を含有することを特徴とする芳香を有
する重合体組成物である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明で用いるブロック共重合体(A)は、オ
レフィン重合体ブロック[以下「オレフィン重合体ブロ
ック(X)」という]を少なくとも1個および他の重合
体からなる重合体ブロック[以下「重合体ブロック
(Y)」という]を少なくとも1個する有するブロック
共重合体である。
【0015】ブロック共重合体(A)におけるオレフィ
ン重合体ブロック(X)は、エチレン、プロピレン、イ
ソブチレン、ペンテンなどのオレフィン系単量体の1種
または2種以上よりなる構造単位から主としてなる重合
体ブロックであっても;ブタジエン、イソプレン、ペン
タジエン、ヘキサジエンなどのような共役ジエン系化合
物の1種または2種以上から形成された重合体を水素添
加して得られる重合体ブロックであっても;或いは前記
したオレフィン系単量体の1種以上と前記した共役ジエ
ン系化合物の1種以上との共重合体を水素添加して得ら
れる重合体ブロックであってもよい。すなわち、ブロッ
ク共重合体(A)におけるオレフィン重合体ブロック
(X)は、その製法の如何に拘わらず、オレフィン系単
量体を重合したのと同じ構造単位から主としてなる構造
を有する重合体ブロックであればよい。
【0016】そのうちでも、本発明では、オレフィン重
合体ブロック(X)が、1,2−結合量が30モル%
未満(好ましくは25モル%以下)のポリブタジエンを
水素添加した水添ポリブタジエンブロック;イソプレ
ンよりなる構造単位から主としてなるポリイソプレンを
水素添加した水添ポリイソプレンブロック;およびイ
ソプレンとブタジエンよりなる構造単位から主としてな
るイソプレン/ブタジエン共重合体を水素添加した水添
イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック;およびイ
ソブチレンよりなる構造単位から主としてなるポリイソ
プレン系重合体ブロックから選ばれる1種または2種以
上の重合体ブロックであることが入手の容易性などの点
から好ましい。
【0017】オレフィン重合体ブロック(X)が上記し
たの水添ポリブタジエンブロックである場合は、水素
添加前の状態で、ブタジエンからなる構造単位の70モ
ル%以上(好ましくは75〜100モル%)が2−ブテ
ン−1,4−イジル基(−CH2−CH=CH−CH
2−;1,4−結合のブタジエン単位)であり、30モ
ル%以下(好ましくは25〜0モル%)がビニルエチレ
ン基[−CH(CH=CH2)−CH2;1,2−結合ブ
タジエン単位]であることが好ましい。
【0018】また、オレフィン重合体ブロック(X)が
上記したの水添ポリイソプレンブロックである場合
は、水素添加前の状態で、そのイソプレンからなる構造
単位が、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基
[−CH2−C(CH3)=CH−CH2−;1,4−結
合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−
CH[C(CH3)=CH2]−CH2−;3,4−結合
のイソプレン単位、および1−メチル−1−ビニルエチ
レン基[−C(CH3)(CH=CH2)−CH2−;
1,2−結合のイソプレン単位]から選ばれる1種また
は2種以上の基であることができる。
【0019】また、オレフィン重合体ブロック(X)が
上記したの水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロ
ックである場合は、水素添加前の状態で、イソプレンか
らなる構造単位が、2−メチル−2−ブテン−1,4−
ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル
−1−ビニルエチレン基−から選ばれる1種または2種
以上の基であり、ブタジエンからなる構造単位が2−ブ
テン−1,4−ジイル基および/またはビニルエチレン
基であることができる。水添イソプレン/ブタジエン共
重合体ブロックにおけるブタジエンからなる構造単位と
イソプレンからなる構造単位の配置は、ランダム状、ブ
ロック状、テーパー状、またはそれらの2種以上の混在
するもののいずれの形態であってもよい。
【0020】オレフィン重合体ブロック(X)が、上記
した〜のような、水素添加してなる重合体ブロック
である場合は、その水素添加の状態は完全水添であって
もまたは部分水添であってもよい。そのうちでも、オレ
フィン重合体ブロック(X)、ひいてはブロック共重合
体(A)、および本発明の重合体組成物の耐熱劣化性、
耐候性などの性質を良好なものとするためには、ブタジ
エンからなる構造単位および/またはイソプレンからな
る構造単位における炭素−炭素間の二重結合の50%以
上、特に80%以上が水素添加されている[すなわち水
素添加後のオレフィン重合体ブロック(X)において、
その不飽和度が50モル%以下、特に20モル%以下と
なっている]ことが好ましい。
【0021】また、ブロック共重合体(A)における他
の重合体ブロック(Y)としては、オレフィン重合体ブ
ロック(X)と熱力学的に非相容性であり、オレフィン
重合体ブロック(X)および他の重合体ブロック(Y)
からなるブロック共重合体(A)が、ミクロ相分離構造
を形成するものであれば、いずれの単量体単位から構成
されている重合体ブロックであってもよい。ブロック共
重合体(A)を構成する重合体ブロック(Y)は、1種
類の単量体に由来する重合体ブロックであっても又は2
種以上の単量体に由来する重合体ブロックであってもよ
い。さらに、ブロック共重合体(A)は、分子中に2種
類以上の重合体ブロック(Y)を有していてもよい。
【0022】重合体ブロック(Y)を構成する単量体と
しては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−
メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、
ビニルアントラセンなどのビニル芳香族化合物;アクリ
ル酸、アクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸、メタクリル酸金属塩、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸酸エチル、メタクリル酸n−ブ
チル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グ
リシジル、メタクリル酸シクロゲキシルなどのアクリル
酸、メタクリル酸、それらの塩またはエステル類などを
挙げることができる。そのうちでも、重合体ブロック
(Y)がビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックで
あることが、本発明の重合体組成物の芳香の持続性、透
明性、加工性、耐候性、柔軟性、他の重合体との相容性
などが一層良好になる点から好ましく、重合体ブロック
(Y)がスチレン重合体ブロックであることがより好ま
しい。
【0023】ブロック共重合体(A)の構造に特に制限
はなく、オレフィン重合体ブロック(X)と重合体ブロ
ック(Y)とはどのような形式で結合していてもよい
が、下記の一般式(i)〜(iii);
【0024】
【化6】 X−Y (i) Y−(X−Y)m (ii) X−(Y−X)n (iii) [式中、Xはオレフィン重合体ブロック(X)、Yは他
の重合体ブロック(Y)、mおよびnは例えば1〜5の
整数を示す)で表されるブロック共重合体(A)が好ま
しく用いられる。
【0025】そのうちでも、ブロック共重合体(A)と
しては、上記の一般式(i)で表されるブロック共重合
体、並びに上記の一般式(ii)および(iii)において
mおよびnが1であるブロック共重合体が、ブロック共
重合体の製造の容易性、入手の容易性、成形性などの点
から好ましく用いられ、特に上記の一般式(ii)におい
てmが1であるブロック共重合体が、製造の容易性、入
手の容易性、他のアクリル系樹脂やその他の重合体との
分散性などの点からより好ましく用いられる。
【0026】ブロック共重合体(A)では、オレフィン
重合体ブロック(X)の含有量が20〜95重量%で、
重合体ブロック(Y)の含有量が80〜5重量%である
ことが、上記の一般式(I)で表される化合物からなる
香料の保持性および強度の点から好ましく、オレフィン
重合体ブロック(X)の含有量が30〜90重量%で重
合体ブロック(Y)の含有量が70〜10重量%であるこ
とがより好ましい。また、ブロック共重合体(A)は、
全体の数平均分子量が10,000〜100,000で
あることが、成形加工性、強度などの点から好ましい。
【0027】本発明の重合体組成物は、1種類のブロッ
ク共重合体(A)のみを含有していても、または2種以
上のブロック共重合体(A)を含有していてもよい。ま
た、ブロック共重合体(A)は、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、その分子内部および/または末端に、水酸
基、カルボキシル基、アミノ基、無水カルボン酸基、エ
ポキシ基などの官能基の1種または2種以上を有してい
てもよい。
【0028】ブロック共重合体(A)の製法や入手法な
どは特に制限されない。何ら限定されるものではない
が、ブロック共重合体(A)におけるオレフィン重合体
ブロック(X)が、上記の水添ポリイソプレンブロッ
ク、上記の水添ポリブタジエンブロック、および上記
の水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロックであ
るブロック共重合体(A)は、例えば、(1)アルキルリ
チウム化合物を開始剤として用いて他の単量体の重合、
次いで共役ジエン化合物から主としてなる単量体の重
合、場合により更に他の単量体から主としてなる単量体
の重合を逐次行った後に水添する方法、(2)他の単量体
から主としてなる重合体と共役ジエン化合物から主とし
てなる重合体を別々に製造して両方の重合体をカップリ
ングした後に水添する方法;(3)ジリチウム化合物を開
始剤として用いて共役ジエン化合物から主としてなる単
量体の重合、次いで他の単量体から主としてなる単量体
の重合、および場合によりさらに共役ジエン化合物から
主としてなる単量体の重合を逐次行った後に水添する方
法などによって製造することができる。
【0029】上記(1)の方法で用いるアルキルリチウ
ム化合物の好ましい例としては、メチルリチウム、エチ
ルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウムなどを
挙げることができる。また、上記(2)の方法で用いる
カップリング剤としては、例えばジクロロエタン、ジブ
ロモエタン、ジブロモベンゼンなどを挙げることができ
る。さらに、上記(3)の方法で用いるジリチウム化合
物としては、例えばナフタレンジリチウム、ジリチオヘ
キシルベンゼンなどを挙げることができる。それらの化
合物の使用量は、求めるブロック共重合体(A)の分子
量などに応じて調節できるが、一般には、重合に用いる
全単量体100重量部に体して、アルキルリチウムまた
はジリチウム化合物開始剤の場合は0.01〜0.2重
量部、そしてカップリング剤の場合は0.04〜0.8
重量部程度の割合で用いるとよい。
【0030】また、ブロック共重合体(A)におけるオ
レフィン重合体ブロック(X)がポリイソプレンブロッ
クまたはイソプレン/ブタジエン共重合体ブロックであ
るときに、そのビニル結合量を制御してオレフィン重合
体ブロック(X)のミクロ構造の変化・調節を行いたい
ときは、イソプレンの重合またはイソプレンとブタジエ
ンの重合に際して、共触媒としてルイス塩基を用いると
よい。その場合のルイス塩基としては、例えば、ジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランな
どのエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリ
コールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N',
N'−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモル
フォリンなどのアミン系化合物などを用いることができ
る。ルイス塩基は、一般に重合触媒のモル数に対して、
約1〜1000倍の範囲で用いることが好ましい。
【0031】また、ブロック共重合体(A)を製造する
ための上記の重合反応は、重合の制御を容易にするため
に溶媒を使用して行うことが好ましく、その際の溶媒と
しては、重合触媒に対して不活性な有機溶媒であればい
ずれも使用でき、特に炭素数が6〜12の脂肪族、脂環
族および/または芳香族炭化水素が好ましく用いられ
る。その例としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなど
の脂肪族炭化素などを挙げることができる。また、上記
した重合反応は、いずれも通常、−20〜80℃の温度
範囲で0.5〜5時間の重合時間を採用して行うことが
できる。
【0032】上記の重合により得られるブロック共重合
体中の不飽和基への水素添加(水添)は、従来既知の方
法にしたがって行えばよく特に制限されないが、水添前
のブロック共重合体を水添触媒に対して不活性な溶媒に
溶解した状態で、従来既知の水添触媒の存在下に分子状
水素を反応させる方法が好ましく採用される。その場合
の水添触媒としては、例えば、ラネーニッケルや、P
t、Pd、Ru、Rh、Niなどをカーボン、アルミ
ナ、珪藻土などの担体に担持させたものなどからなる不
均一触媒;遷移金属とアルキルアルミニウム化合物、ア
ルキルリチウム化合物などの組み合わせからなるチーグ
ラー触媒系などを用いることができる。水添反応に当た
っては、例えば、水素圧が常圧〜200kg/cm2
反応温度が常温〜250℃の範囲、反応時間が0.1〜
100時間の範囲を採用することができる。水素添加反
応により得られるブロック共重合体(A)の回収に当た
っては、例えば、反応液をメタノールなどで凝固させた
後に加熱または減圧乾燥する方法、反応液を沸騰水中に
注いで溶媒を共沸させて除去した後に加熱または減圧乾
燥する方法などを採用することができる。
【0033】また、ブロック共重合体(A)におけるオ
レフィン重合体ブロック(X)が上記したのポリイソ
ブチレンブロックであるブロック共重合体(A)の製法
も特に制限されず、公知の方法を採用することができ
る。例えば、(a)ルイス酸、およびルイス酸とカチオ
ン重合活性種を形成する有機化合物からなる開始剤系の
存在下に、必要に応じてピリジン誘導体、アミド類など
の添加剤を併用して、ヘキサン、塩化メチレンなどの不
活性溶媒中で、他の単量体とイソブチレンを段階的に重
合させて他の重合体ブロック(Y)−ポリイソブチレン
ブロックからなるジブロック共重合体を製造する方法;
(b)1個の官能基を有する有機化合物とルイス酸とを
開始剤系として用いて、まず主として他の単量体を重合
系内に添加して重合させ、重合反応が実質的に終了した
後にイソブチレンを重合系内に添加して重合させ、重合
反応が実質的に終了した後に、再度、他の単量体を重合
系内に添加して重合を行って他の重合体ブロック(Y)
−ポリイソブチレンブロック−他の重合体ブロック
(Y)からなるトリブロック共重合体を製造する方法;
(c)2官能性単量体を用いてイソブチレンをまず重合
させた後に、他の単量体を重合系内に添加して他の重合
体ブロック(Y)−ポリイソブチレンブロック−他の重
合体ブロック(Y)からなるトリブロック共重合体を製
造する方法などを採用して製造することができる。
【0034】オレフィン重合体ブロック(X)がポリイ
ソブチレンであるブロック共重合体(A)の上記した製
造法で用いられるルイス酸としては、四塩化チタン、三
塩化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズなどを挙げ
ることができる。また、ルイス酸とカチオン重合種を形
成する上記の有機化合物としては、アルコキシ基、アシ
ロキシ基、ハロゲン原子などの官能基を有する有機化合
物を挙げることができ、より具体的には、例えば、ビス
(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2−
アセトキシ−2−プロピル)ベンゼン、ビス(2クロロ
−2−プロピル)ベンゼンなどを挙げることができる。
また、上記のアミド類としてはジメチルアセトアミド、
ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
【0035】そして、本発明の重合体組成物は、上記し
たブロック共重合体(A)中に、下記の一般式(I);
【0036】
【化7】 (R1)(R2)C=CH(R3) (I) (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、置
換されているか又は置換されていない1価の炭化水素基
を示す)で表される化学構造を有し且つ1気圧での沸点
が180℃以上である芳香を有する化合物[以下これを
単に「芳香性化合物」ということがある]のうちの1種
または2種以上を含有している。
【0037】芳香性化合物は、上記の一般式(I)で表
される化学構造を有していることにより、ブロック共重
合体(A)との親和性が大きく、芳香性化合物が重合体
組成物中に強固に保持され、しかも1気圧での沸点が1
80℃以上であることによってブロック共重合体(A)
の成形加工時に揮発したり分解することが少なくなり、
本発明の重合体組成物およびそれから得られる製品に長
期持続性の芳香を付与する。上記の一般式(I)で表さ
れる化合物を有する芳香性化合物であっても、1気圧で
の沸点が180℃未満の場合は、それを含む重合体組成
物の成形加工時に揮発や分解が生じて、成形加工時に悪
臭や異臭をマスキングできなくなり、持続性のある芳香
を製品に付与することが困難になる。重合体組成物が高
融点であったり、高ガラス転移点を有していて、成形加
工に高温を要する場合は、1気圧での沸点が200℃以
上である上記の一般式(I)で表される芳香性化合物を
用いることが好ましい。
【0038】本発明の重合体組成物では、上記した一般
式(I)で表される芳香性化合物のうちでも、下記の一
般式(Ia);
【0039】
【化8】 (CH32C=CH(R4) (Ia) (式中、R4は、水酸基および/またはアルデヒド基で
置換されているか又は置換されていない1価の飽和また
は不飽和の炭化水素基を示す)で表される化学構造を有
し且つ1気圧での沸点が180℃以上である芳香性化合
物が好ましく用いられる。そして、上記の一般式(I
a)で表される芳香性化合物の例としては、シトラー
ル、シトロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、
ネロール、リネロール、ビサボロール、ビサボレン、フ
ァルネセンなどを挙げることができる。本発明の重合体
組成物はそれらの芳香性化合物の1種類のみを含有して
いても、2種以上を含有していても、或いは前記した芳
香性化合物の1種類または2種類以上を含有する、個々
の化合物にまで単離する前の香料(例えばシトロネラー
ル、ゲラニオール、シトロネロールなどの複数の上記芳
香性化合物を含有するシトロネラ油など)の形態で含有
していてもよい。
【0040】重合体組成物における芳香性化合物の含有
量[上記一般式(I)で表される芳香性化合物を複数含
む場合はその合計含有量]は、重合体組成物を構成する
全重合体100重量部に対して、0.001〜1重量部
であることが、重合体組成物を構成するブロック共重合
体(A)や他の熱可塑性重合体に起因する悪臭や異臭の
マスキング、重合体組成物およびそれから得られる製品
における芳香の持続性、重合体組成物の力学的特性やそ
の他の物性などの点から好ましく、0.01〜0.5重
量部であることがより好ましい。また、本発明の重合体
組成物は、上記した芳香性化合物と共に、通常の調香で
行われるように、芳香性化合物の効果を高めるために、
少量の調香材料を含有していてもよい。
【0041】また、本発明の重合体組成物は、上記した
ブロック共重合体(A)および芳香性化合物と共に、場
合により他の熱可塑性重合体[以下「熱可塑性重合体
(B)」ということがある]を含有していてもよく、重
合体組成物が重合体成分としてブロック共重合体(A)
と共に他の熱可塑性重合体(B)を含有する場合は、ブ
ロック共重合体(A)および熱可塑性重合体(B)の両
方の特性を兼備する重合体組成物を得ることができる。
本発明の重合体組成物がブロック共重合体(A)と共に
他の熱可塑性重合体(B)を含有する場合は、重合体組
成物における芳香性化合物の保持能および芳香の持続性
を良好なものとするために、他の熱可塑性重合体(B)
の含有量が、ブロック共重合体(A)と熱可塑性重合体
(B)の合計重量に基づいて、95重量%以下であるこ
とが好ましく、90重量%以下であることがより好まし
く、80重量%以下であることが更に好ましい。
【0042】ブロック共重合体(A)と共に用い得る他
の熱可塑性重合体(B)の例としては、アクリル系樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル系重
合体、ポリカーボネート系重合体、ポリアミド系重合
体、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂(AS樹
脂)、スチレン系重合体、塩化ビニル系重合体などを挙
げることができ、本発明の重合体組成物は前記した他の
熱可塑性重合体の1種または2種以上を含有することが
できる。
【0043】そのうちでも、本発明では熱可塑性重合体
(B)として、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。
本発明の熱可塑性重合体組成物が、ブロック共重合体
(A)、アクリル系樹脂および上記した芳香性化合物を
含有するものである場合は、悪臭や異臭のマスキング
性、芳香の持続性、成形加工性、機械的強度やその他の
力学的特性、透明性、耐候性、柔軟性、発色性、着色性
などに優れる重合体組成物を得ることができる。
【0044】熱可塑性重合体(B)として好ましく用い
られるアクリル系樹脂は、重合体組成物の成形加工性、
重合体組成物から得られる製品の強度などの点から、そ
の分子量が200,000以下であることが好ましく、
さらに重合体組成物中での分散性をも考慮すると、1
0,000〜100,000であることがより好ましい。
また、アクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチル単
独重合体、メタクリル酸メチルと他の単量体とからなる
メタクリル酸メチル共重合体、またはそれらの混合物が
好ましく用いられ、それらの製法は特に制限されない。
メタクリル酸メチル単独重合体および/またはメタクリ
ル酸メチル共重合体を用いる場合は、高剛性、高表面硬
度、耐候性などに優れるアクリル系樹脂が得られ、ひい
ては本発明の重合体組成物にもそれらの特性が付与され
る点から、メタクリル酸メチルの共重合割合が100〜
50重量%のものが好ましく用いられ、99.5〜60
重量%のものがより好ましく用いられる。
【0045】メタクリル酸メチル共重合体における他の
単量体の種類は特に制限されず、メタクリル酸メチルと
共重合可能な不飽和単量体であればいずれでもよく、例
えば、アクリル酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸、
メタクリル酸金属塩などの(メタ)アクリル酸またはそ
れらの金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリ
ル酸t−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸シクログリシルなどの(メタ)アクリル酸エス
テル類;酢酸ビニルなどの酢酸エステル類;スチレン、
α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、ビニルナフタレンなどのビニル芳香族化合物;無
水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレ
イン酸ジアルキルエステルなどのマレイン酸誘導体;N
−フェニルマレイミドなどのマレイミド類などを挙げる
ことができる。その際に、メタクリル酸メチル系共重合
体は前記した他の共重合性単量体の1種または2種以上
からなる構造単位を有していることができる。
【0046】本発明の重合体組成物は、本発明の効果を
阻害しない範囲において、必要に応じて、補強剤、充填
剤、顔料、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、離型剤等の他の添加剤の1種または2
種以上を含有していてもよい。
【0047】本発明の重合体組成物の製造法は特に限定
されず、熱可塑性重合体組成物の製造に従来使用されて
いる既知の方法のいずれもが採用できる。例えば、単軸
押出機、二軸押出機、バンバリーミキサーやその他の一
般に用いられる溶融混練機を使用して溶融混練し、必要
に応じてそれを更にペレットやその他の形態にして本発
明の重合体組成物を製造することができる。芳香性化合
物の混合法も特に制限されないが、例えば、重合体組成
物の調製時に重合体やその他の成分と同時に混合する方
法;重合体やその他の成分を予め混合してペレットなど
を製造した後にエタノールやその他の溶媒で希釈した芳
香性化合物を添加して混合し乾燥して溶媒を除去する方
法などを採用することができる。
【0048】本発明の重合体組成物は、熱可塑性であ
り、フイルム、シートおよびその他各種成形品、各種複
合製品などの用途に用いることができる。そして、本発
明の重合体組成物を用いて前記した成形品や製品を製造
する場合は、熱可塑性重合体組成物に対して一般に採用
されている成形加工方法および装置を用いることがで
き、例えば射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成
形、流延成形、積層成形などを行うことによって任意の
形状や寸法を有する種々の成形品や製品を製造すること
ができる。特に、本発明の重合体組成物は、その優れた
悪臭や異臭のマスキング性、芳香性、成形加工性、耐候
性、耐熱老化性などの特性を活かして、車両部品、電気
・電子部品、建材、日用雑貨品、文房具、包装材料、容
器、その他の広範な用途に有効に用いることができる。
【0049】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例
において、成形時および成形後の芳香効果と臭気のマス
キング効果の評価は次のようにして行った。
【0050】[成形時および成形後の芳香効果と臭気異
臭のマスキング効果の評価] (1)成形時:通常の換気下に以下の例に示す成形操作
を行い、成形機の運転中に成形機から3m離れた位置に
10名のパネラーを配置し、その位置での芳香または臭
気の有無を、(a)芳香が感じられる;(b)とりたて
て匂いはない;(c)悪臭または異臭が感じられる;の
3つの中から選択してもらい、10名全員が(a)を選
択した場合を極めて良好(◎)、5名以上が(a)を選
択した場合を良好(○)、(b)を選択した者が5名以
上であるか又は(a)〜(c)を選択した者がいずれも
5名未満である場合をやや不良(△)、(c)を選択し
た者が5名以上の場合を不良(×)として評価した。 (2)成形後:成形により得られた試験片(80mm×
80mm×3mm)を、20℃に保たれた室内に置き、
成形から1日後、1カ月後、および3カ月後に試験片を
室外に取り出して、10名のパネラーによってその匂い
をかいでもらい、上記(1)に記載したのと同じ方法お
よび基準にしたがって評価を行った(なお、この試験で
は1日後または1カ月後に室外に取り出した試験片は評
価試験後に直ちに室内に戻して所定期間に亙って放置し
た)。
【0051】また、以下の例において使用したそれぞれ
の重合体の内容、略号および/またはメーカーは下記の
とおりである。
【0052】○ブロック共重合体(A):ポリスチレン
−ポリイソプレン−ポリスチレンの構造を持つトリブロ
ック共重合体の水添物(水添前のブロック共重合体にお
けるスチレン含量30重量%;水添前のポリイソプレン
ブロックの1,4−結合量92%および3,4−結合量
8%;ポリスチレン換算の数平均分子量35,100;
ヨウ素価により測定したポリイソプレンブロックの水添
率97.2%;数平均分子量35,100)
【0053】○アクリル樹脂:メタクリル酸メチル/ア
クリル酸メチル=87/13(重量比)の組成を有する
メタクリル酸メチル共重合体(ポリスチレン換算の数平
均分子量=18,400、分子量分布=2.1)
【0054】○AS樹脂:アクリロニトリル・スチレン
共重合体樹脂(三井東圧化学株式会社製「ライタックA
930PC])
【0055】○PE:ポリエチレン(ダウケミカル社製
「PL1845」)
【0056】○PP:ポリプロピレン(グランドポリマ
ー社製「J120G])
【0057】《実施例1》 (1) シトラール(沸点226℃)0.1重量部をエ
タノール約1重量部で予め希釈しておき、これをブロッ
ク共重合体(A)のペレット100重量部にタンブラー
中で混合した後、70℃で4時間熱風乾燥してエタノー
ルを除去して、シトラールを含有するブロック共重合体
(A)組成物のペレットを得た。 (2) 上記(1)で得られたシトラールを含有するブ
ロック共重合体(A)組成物のペレットを用いて、射出
成形機(東芝製作所製「IS−80」)を使用して、シ
リンダー温度220℃、金型温度40℃の条件下に射出
成形を行って、試験片(80mm×80mm×3mm)
を製造した。 (3) 上記(2)の射出成形時での、および射出成形
により得られた試験片の芳香効果および臭気のマスキン
グ効果の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表
1に示すとおりであった。
【0058】《実施例2》 (1) ブロック共重合体(A)のペレットとアクリル
樹脂のペレットを50:50の重量比で2軸押出機(プ
ラスチック工学研究所製「BT−30」)に供給し、シ
リンダー温度220℃、スクリュー回転数150rpm
の条件下に混練した後、押出し、切断して、ブロック共
重合体(A)とアクリル樹脂を含む重合体組成物のペレ
ットを製造した。 (2) シトラール0.1重量部をエタノール約1重量
部で予め希釈しておき、これを上記(1)で得られた重
合体組成物のペレット100重量部にタンブラーで混合
した後、70℃で4時間熱風乾燥してエタノールを除去
して、シトラール、ブロック共重合体(A)およびアク
リル樹脂を含有する重合体組成物のペレットを得た。 (3) 上記(2)で得られたシトラールを含有する重
合体組成物のペレットを用いて、実施例1の(2)と同
様に行って試験片を製造し、実施例1の(3)と同様に
して試験片の芳香効果および臭気のマスキング効果の評
価を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すと
おりであった。
【0059】《実施例3》 (1) ブロック共重合体(A)のペレット、アクリル
樹脂のペレットおよびAS樹脂のペレットを50:4
1.5:8.5の重量比で2軸押出機(プラスチック工
学研究所製「BT−30」)に供給し、シリンダー温度
220℃、スクリュー回転数150rpmの条件下に混
練した後、押出し、切断して、ブロック共重合体
(A)、アクリル樹脂およびAS樹脂を含む重合体組成
物のペレットを製造した。 (2) 上記(1)で得られた重合体組成物のペレット
を用いた以外は、実施例2の(2)〜(3)と全く同様
に行って、シトラールを含有する重合体組成物のペレッ
トの製造、それを用いての試験片の製造、および得られ
た試験片の芳香効果および臭気のマスキング効果の評価
を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0060】《実施例4〜11》芳香性化合物として、
シトラール(沸点226℃)の代わりに、シトロネラー
ル(沸点206℃)(実施例4)、シトロネロール(沸
点224℃)(実施例5)、ゲラニオオール(沸点23
0℃)(実施例6)、ネロール(沸点225℃)(実施
例7)、リナロール(沸点198℃)(実施例8)、ビ
サボロール(沸点265℃)(実施例9)、ビサボレン
(沸点262℃)(実施例10)およびファルネセン
(沸点268℃)(実施例11)をそれぞれ用いた以外
は、実施例1の(1)〜(3)と全く同様に行って、芳
香性化合物を含有する重合体組成物のペレットの製造、
それを用いての試験片の製造、および得られた試験片の
芳香効果および臭気のマスキング効果の評価を行ったと
ころ、下記の表1に示すとおりであった。
【0061】《実施例12〜13》実施例1の(2)に
おいて、試験片を製造する際の射出成形機のシリンダー
温度をそれぞれ240℃(実施例12)および260℃
(実施例13)にした以外は、実施例1の(1)〜
(3)と全く同様に行って、芳香性化合物を含有する重
合体組成物のペレットの製造、それを用いての試験片の
製造、および得られた試験片の芳香効果および臭気のマ
スキング効果の評価を行ったところ、下記の表1に示す
とおりであった。
【0062】《比較例1》芳香性化合物を用いなかった
以外は、実施例1の(2)および(3)と全く同様に行
って、試験片の製造、および得られた試験片の芳香効果
および臭気のマスキング効果の評価を行ったところ、下
記の表2に示すとおりであった。
【0063】《比較例2》実施例2の(1)で得られた
ブロック共重合体(A)とアクリル樹脂を50:50の
重量比で含むペレットを用いて、芳香性化合物を使用し
ないで、実施例1の(2)および(3)と同様に行っ
て、試験片の製造、および得られた試験片の芳香効果お
よび臭気のマスキング効果の評価を行ったところ、下記
の表2に示すとおりであった。
【0064】《比較例3》実施例3の(1)で得られ
た、ブロック共重合体(A)、アクリル樹脂およびAS
樹脂を50:41.5:8.5の重量比で含むペレット
を用いて、芳香性化合物を使用しないで、実施例1の
(2)および(3)と同様に行って、試験片の製造、お
よび得られた試験片の芳香効果および臭気のマスキング
効果の評価を行ったところ、下記の表2に示すとおりで
あった。
【0065】《比較例4〜6》PE(比較例4)、PP
(比較例5)およびアクリル樹脂(比較例6)を用い
て、芳香性化合物を使用しないで、実施例1の(2)お
よび(3)と同様に行って、試験片の製造、および得ら
れた試験片の芳香効果および臭気のマスキング効果の評
価を行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0066】《比較例7〜8》ブロック共重合体(A)
の代わりに、PE(比較例7)およびPP(比較例8)
をそれぞれ用いた以外は実施例1の(1)〜(3)と同
様に行って、芳香性化合物を含有する重合体組成物の製
造、それを用いての試験片の製造、および得られた試験
片の芳香効果および臭気のマスキング効果の評価を行っ
たところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】上記の表1の結果から、オレフィン重合体
ブロックを構成ブロックとして有するブロック共重合体
(A)に、または該ブロック共重合体(A)に他の熱可
塑性重合体(B)をブレンドしたものに、上記の一般式
(I)で表され且つ1気圧での沸点が180℃以上であ
る芳香性化合物を含有させてなる実施例1〜13の重合
体組成物では、成形時に芳香性化合物の芳香が放散さ
れ、それによって重合体などに由来する悪臭や異臭がマ
スキングされて、作業環境が極めて良好に保たれるこ
と、しかも実施例1〜13の重合体組成物から得られる
成形品(試験片)は、その製造後に長い時間が経過して
も芳香が持続して保持されていて異臭がせず、高い商品
価値を有することがわかる。
【0070】それに対して、上記の表2における比較例
1〜6の結果から、芳香性化合物を含有しない比較例1
〜6の重合体または重合体組成物を用いる場合は、成形
時に悪臭や異臭がして作業環境が不良になること、しか
も得られた成形品は悪臭や異臭がし、商品価値が著しく
低いものとなることがわかる。さらに、上記の表2の結
果から、本発明で用いているのと同じ芳香性化合物を用
いる場合であっても、それをポリエチレンまたはポリプ
ロピレンに添加する場合は、成形時には臭気がせず、ま
た成形直後の製品では臭気が防止されて芳香が付与され
ているが、成形品の製造後に時間が経過するにつれて、
その芳香が失われることがわかる。
【0071】
【発明の効果】本発明の重合体組成物を用いて成形加工
を行うと、成形加工時に悪臭や異臭をマスキングして芳
香を発するようになるために、作業環境を良好に保つこ
とができる。しかも、本発明の重合体組成物を用いて得
られる成形品やその他の製品では、それらの製造後に長
い時間が経っても芳香が良好の保持されている。そし
て、本発明の重合体組成物が上記したブロック共重合体
(A)および芳香性化合物と共に、他の熱可塑性重合体
(B)を含有するものである場合は、臭気をマスキング
して作業環境を良好に保つという効果、および得られる
成形品や製品における芳香の持続性が良好であるという
効果と共に、ブロック共重合体(A)および熱可塑性重
合体(B)の両方の優れた特性を兼備している。特に、
他の熱可塑性重合体(B)がアクリル系樹脂である場合
は、臭気のマスキング、芳香の持続という優れた効果と
共に、成形加工性、機械的強度やその他の力学的特性、
透明性、耐候性、柔軟性、発色性、着色性などの点にお
いても優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 33/08 C08L 33/08 67/00 67/00 69/00 69/00 77/00 77/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)オレフィン重合体ブロックを構成
    ブロックとして有するブロック共重合体(A);およ
    び、(ii)下記の一般式(I); 【化1】 (R1)(R2)C=CH(R3) (I) (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、置
    換されているか又は置換されていない1価の炭化水素基
    を示す)で表される化学構造を有し且つ1気圧での沸点
    が180℃以上である芳香を有する化合物のうちの1種
    または2種以上;を含有することを特徴とする重合体組
    成物。
  2. 【請求項2】 (i)オレフィン重合体ブロックを構成
    ブロックとして有するブロック共重合体(A); (ii)ブロック共重合体(A)以外の熱可塑性重合体
    (B);および、 (iii)下記の一般式(I); 【化2】 (R1)(R2)C=CH(R3) (I) (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、置
    換されているか又は置換されていない1価の炭化水素基
    を示す)で表される化学構造を有し且つ1気圧での沸点
    が180℃以上である芳香を有する化合物のうちの1種
    または2種以上;を含有することを特徴とする重合体組
    成物。
  3. 【請求項3】 芳香を有する化合物が、下記の一般式
    (Ia); 【化3】 (CH32C=CH(R4) (Ia) (式中、R4は、水酸基および/またはアルデヒド基で
    置換されているか又は置換されていない1価の飽和また
    は不飽和の炭化水素基を示す)で表される化学構造を有
    し且つ1気圧での沸点が180℃以上である芳香性化合
    物である請求項1または2の重合体組成物。
  4. 【請求項4】 芳香を有する化合物が、シトラール、シ
    トロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロー
    ル、リネロール、ビサボロール、ビサボレンおよびファ
    ルネセンから選ばれる1種または2種以上である請求項
    1〜3のいずれか1項の重合体組成物。
  5. 【請求項5】 他の熱可塑性重合体がアクリル系樹脂、
    ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル系重合
    体、ポリカーボネート系重合体、ポリアミド系重合体、
    アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂、スチレン系
    重合体および塩化ビニル系重合体から選ばれる1種また
    は2種以上である請求項2〜4のいずれか1項の重合体
    組成物。
  6. 【請求項6】 他の熱可塑性重合体として少なくともア
    クリル系樹脂を含有する請求項5の重合体組成物。
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JP14345297A Pending JPH10316830A (ja) 1997-05-17 1997-05-17 芳香を有する重合体組成物

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JP (1) JPH10316830A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001139761A (ja) * 1999-11-12 2001-05-22 Kuraray Co Ltd 熱可塑性重合体組成物
JP2002256132A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Kitagawa Ind Co Ltd 熱可塑性ゲル材料
JP2018511665A (ja) * 2015-02-20 2018-04-26 アルケマ フランス 臭気活性化合物を吸収し、含み且つ放出するポリマー組成物、それを調製するための方法及びその使用
CN110305423A (zh) * 2019-07-17 2019-10-08 常熟瑞华工程塑料有限公司 一种香味搪塑粉及其应用

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