JP3523353B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3523353B2 JP01882195A JP1882195A JP3523353B2 JP 3523353 B2 JP3523353 B2 JP 3523353B2 JP 01882195 A JP01882195 A JP 01882195A JP 1882195 A JP1882195 A JP 1882195A JP 3523353 B2 JP3523353 B2 JP 3523353B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、特定の水添ブロック共
重合体を混合することにより得られる有機溶媒に対する
耐溶剤性に優れ、柔軟性、力学強度、経済性の良好であ
る耐油性熱可塑性樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、熱可塑性樹脂による成形品は、各
種の自動車部品、家電製品部品、玩具、スポーツ用品、
日用品などに広く使用されている。なかでもポリプロピ
レンに代表されるポリオレフィンは、その物性が良好で
あり、かつ廉価に供給されることから、広範囲の成形品
として利用されている。 【0003】一方、熱可塑性樹脂と同等の作業性を有す
るゴムとして、熱可塑性エラストマーが知られており、
スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル
系などの熱可塑性エラストマーが開発されており、さら
にユーザーの多様なニーズに応えるために、熱可塑性樹
脂と熱可塑性エラストマーとを組み合わせた熱可塑性樹
脂組成物も多く開発されている。 【0004】特に、ポリオレフィンとスチレン系熱可塑
性エラストマーとの熱可塑性樹脂組成物の検討も盛んに
行われており、上記のような各種用途において、熱可塑
性樹脂の耐衝撃性の改善、柔軟性、低温特性の改善、ま
た種々の熱可塑性樹脂、鉱物油系軟化剤と混合され、例
えば加硫ゴムの代替として使用されている。 【0005】しかしながら、これら熱可塑性樹脂組成物
は上記の様な各種用途に用いるにあたり、鉱物油、有機
溶媒あるいはアスファルトのような精製石油生成物の留
分と接触、またはそれらの蒸気と接する部位に使用され
る場合、それらの成分によりスチレン系熱可塑性エラス
トマーが溶解あるいは膨潤してしまうという欠点を有し
ているため用途はより限定されているのが現状である。 【0006】この有機溶媒に対する耐溶剤性を改良する
ためにブロック共重合体の分子の両末端に1,4−結合
が75%以上であるブタジエンブロックを導入したブロ
ック共重合体を少なくとも80%以上水添することが有
効であると提案されている(米国特許第3670054
号明細書参照)。しかしここで示されているブロック共
重合体の水添物には、ゴム弾性を発現させるために分子
中央のブロックとしてイソプレンまたはブタジエンの重
合体が用いられているが、イソプレンを用いた場合、有
機溶媒に対する耐溶剤性は充分示すが力学強度が低いと
いう欠点がある。また、ブタジエンを用いた場合、ブタ
ジエンブロックのミクロ構造に柔軟性、低温特性が大き
く影響され、例えば、ブタジエンブロックの1,2−結
合量が少ない場合ゴム弾性が発現されず、これを多くす
るとゴム弾性は示すものの低温特性が劣るという欠点が
ある。 【0007】その結果、有機溶媒に対する耐溶剤性、力
学強度、柔軟性を同時に満たすブロック共重合体が得ら
れず、したがって有機溶媒に対する耐溶剤性、力学強
度、柔軟性を同時に満たす熱可塑性樹脂組成物が得られ
ていないのが現状である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の水添ブロック共重合体を使用することにより有機溶媒
に対する耐溶剤性に優れ、耐溶剤性、力学強度、柔軟性
の良好である熱可塑性樹脂組成物を提供することにあ
る。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、(イ)水添ブロック共重合体100重量部 (ロ)オレフィン系重合体5〜400重量部 (ハ)可塑剤5〜500重量部 (ニ)充填剤0〜300重量部 からなり、かつ上記(イ)成分が、分子中にビニル芳香
族化合物の重合体ブロックAを少なくとも2個以上有
し、かつ水添前の1,4−結合量が80%以上であるポ
リブタジエンブロックBおよび水添前の1,4−結合量
が80%以上であり、イソプレン/ブタジエン=80/
20〜20/80(重量比)の範囲であるイソプレン−
ブタジエンランダム共重合体ブロックCを1個以上有す
るブロック共重合体の該ポリブタジエンブロックBおよ
び該イソプレン−ブタジエンランダム共重合体ブロック
Cを85%以上水素添加することにより得られた、該ポ
リブタジエンブロックBの結晶融点が85℃以上でかつ
該イソプレン−ブタジエンランダム共重合体ブロックC
の結晶融解熱が35mJ/mg以下の水添ブロック共重
合体である熱可塑性樹脂組成物により、上記目的が達成
ることが判明した。 【0010】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物につい
て、詳細に説明する。 【0011】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の
(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の成分よりなるものである
が、まず(イ)成分は、その分子中にビニル芳香族化合
物の重合体ブロックAを少なくとも2個以上有し、かつ
水添前の1,4−結合量が80%以上であるポリブタジ
エンブロックBおよび水添前の1,4−結合量が80%
以上であり、イソプレン/ブタジエン=80/20〜2
0/80(重量比)の範囲であるイソプレン−ブタジエ
ンランダム共重合体ブロックCを1個以上有するブロッ
ク共重合体の該ポリブタジエンブロックBおよび該イソ
プレン−ブタジエンランダム共重合体ブロックCを85
%以上水素添加することにより得られた、該ポリブタジ
エンブロックBの結晶融点が85℃以上でかつ該イソプ
レン−ブタジエンランダム共重合体ブロックCの結晶融
解熱が35mJ/mg以下の水添ブロック共重合体であ
る。 【0012】(イ)成分の重合体ブロックAのビニル芳
香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、o−,m−またはp−メチルスチレン、1,3−
ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラ
セン等が挙げられ、そのうちスチレンおよびα−メチル
スチレンが好ましく用いられる。これらの化合物は単独
でもしくは二種類以上を併用することができる。 【0013】また、ポリブタジエンブロックBは、その
平均分子量には特に制限はないが、1500以上である
ことが好ましい。平均分子量が1500未満の場合は得
られる水添ブロック共重合体を用いて得られる熱可塑性
樹脂組成物の耐溶剤性の改良効果が劣るという欠点があ
る。 【0014】ポリブタジエンブロックBは、水添前の
1,4−結合量が80%以上である必要がある。1,4
−結合量が80%未満では、得られる水添ブロック共重
合体の耐溶剤性の改良効果が発現されず、目的とする熱
可塑性樹脂組成物が得られない。 【0015】ポリブタジエンブロックBは、鎖中の不飽
和結合の85%以上が水添されている必要がある。水添
率85%未満では、得られる水添ブロック共重合体の耐
溶剤性の改良効果が発現されず、また耐候性、耐熱性が
得られないために、この水添ブロック共重合体を用いた
熱可塑性樹脂組成物の耐溶剤性の改良効果が発現されな
かったり、また耐候性、耐熱性が得られなかったりし、
好ましくない。 【0016】ポリブタジエンブロックBは、不飽和結合
部分が水添されることに由来する結晶性を有することに
なるが、結晶化に由来する結晶融点が85℃以上である
必要がある。結晶融点がこの値より小さい場合は、得ら
れる水添ブロック共重合体の耐溶剤性の改良効果が得ら
れず、したがって目的とする熱可塑性樹脂組成物が得ら
れない。この結晶融点は、示差走査型熱測定法(dif
ferential scanning calori
metry,DSCと略す)により求められ、その測定
は例えば『高分子分析ハンドブック』(日本分析化学会
編)に従って行うことができる。さらに、イソプレン−
ブタジエンランダム共重合体ブロックCの組成はイソプ
レン/ブタジエン=80/20〜20/80(重量比)
の範囲であり、より好ましくは70/30〜30/70
(重量比)の範囲である。 【0017】該ランダム共重合体ブロックCは水添前の
1,4−結合量が80%以上であることが必要である。
水添前の1,4−結合量が80%未満では、得られる水
添ブロック共重合体のガラス転移温度が高くなって、低
温特性が損なわれ、この水添ブロック共重合体を用いて
得られる熱可塑性樹脂組成物の低温特性が劣り好ましく
はない。 【0018】該ランダム共重合体ブロックCは、また鎖
中の不飽和結合の85%以上が水添される必要がある。
水添率85%未満では、得られる水添ブロック共重合体
の耐熱性、耐候性に劣り、熱可塑性樹脂組成物を溶融混
練により作製する際に劣化を起こしたり、得られた樹脂
組成物の耐熱性、耐候性が劣り好ましくない。 【0019】該ランダム共重合体ブロックCは不飽和結
合部分が水添されていることに由来する結晶性を有する
ことになるが、結晶化度の程度は結晶融解熱が35mJ
/mg以下になるように制御する必要がある。結晶融解
熱がこの値より大きい場合、得られる水添ブロック共重
合体の柔軟性、低温特性が損なわれ、目的とする熱可塑
性樹脂組成物が得られない。この結晶融解熱は、前記D
SCにより求めることができる。 【0020】このランダム共重合体ブロックCの結晶融
解熱は、ブタジエンの共重合量、イソプレンとブタジエ
ン連鎖のランダム性、水添率などによって影響を受け
る。イソプレンとブタジエンを完全にブロック共重合し
た場合、あるいは、テーパードブロックで共重合した場
合、得られるブロック共重合体のブタジエン連鎖が長く
なり、水添された場合、その結晶性により柔軟性、低温
特性を損なうことになる。したがって、該重合体ブロッ
クCのイソプレンとブタジエンの共重合体の形態はラン
ダム共重合体であることが好ましい。 【0021】このように重合体ブロックA、ポリブタジ
エンブロックBおよびイソプレン−ブタジエンランダム
共重合体ブロックCとよりなる水添ブロック共重合体の
結合形態は、B−A−C−A−B、B−C−A−C−
B、A−B−C−B−A、A−B−C−A−B、B−A
−C−A、A−B−C−A等があるが、中でもB−A−
C−A−BおよびB−A−C−Aが強度、耐溶剤性の面
で好ましい。また、水添ブロック共重合体の平均分子量
に特に制限はないが、20,000以上が好ましい。平
均分子量が2万未満の場合、水添ブロック共重合体の機
械的強度が低く、目的とする熱可塑性樹脂組成物の力学
的性能が低下する問題が生じる。水添ブロック共重合体
の平均分子量について厳密な意味での上限は存在しない
が製法上、加工性の観点から好ましい上限を定めるなら
ば40万である。 【0022】本発明で用いる水添ブロック共重合体は分
子鎖中に、また分子末端にカルボキシル基、水酸基、酸
無水物、アミノ基、エポキシ基などの官能基を含有して
もよい。 【0023】これらの水添ブロック共重合体の製造方法
としては、上記した構造を有するものであればどのよう
な製造方法で得られるものであってもよい。例えば、公
知のアニオン重合法により容易に得られる。アルキルリ
チウム化合物等を開始剤として不活性有機溶媒中で、ブ
タジエン、ビニル芳香族化合物、イソプレン−ブタジエ
ンを逐次重合させブロック共重合体を重合し、次いで、
得られたブロック共重合体を、公知の方法にしたがって
不活性有機溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加し
て、本発明に供する水添ブロック共重合体を合成するこ
とが出来る。 【0024】上記したように、本発明の熱可塑性樹脂組
成物は(イ)成分の他、(ロ)(ハ)(ニ)成分よりな
るものである。 【0025】(ロ)成分であるオレフィン系重合体とし
ては、炭素数2〜8のα−モノオレフィンを主たる単量
体成分とする重合体である。このオレフィン系重合体の
具体例としては、ポリプロピレン、エチレン−プロピレ
ンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共
重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線
状低密度ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリブテ
ン−1等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは
2種以上混合して使用される。特に好ましいオレフィン
系重合体は、エチレンあるいはプロピレンを主たる単量
体成分とする重合体であり、具体的には各種ポリプロピ
レン、各種ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルランダ
ム共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ランダム共
重合体、エチレン−グリシジルメタアクリレートランダ
ム共重合体などのエチレン系ランダム共重合体、プロピ
レン系ランダム共重合体もしくはプロピレン系ブロック
共重合体、さらにはこれらの混合物である。 【0026】(ロ)成分であるオレフィン系重合体の使
用量は、(イ)成分100重量部に対して5〜400重
量部であることが必要である。(イ)成分100重量部
に対して(ロ)成分の使用量が5重量部より少ない場合
には、得られる熱可塑性樹脂組成物による成形品の表面
粘着性が大きくなる、成型加工性に劣る、力学強度が不
足するなどの問題が生ずる。また(イ)成分100重量
部に対して(ロ)成分の使用量が400重量部を越える
場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物による成形品の
柔軟性が不十分になり好ましくない。 【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合される
(ハ)成分としての可塑剤は、(イ)成分100重量部
当り、5〜500重量部であることが必要である。
(ハ)成分としての可塑剤が、(イ)成分100重量部
に対して5重量部未満の場合、熱可塑性樹脂組成物の成
形性に劣り、また、(イ)成分100重量部に対して5
00重量部を越えると、熱可塑性樹脂組成物による成形
品の本発明の目的とする耐油性に劣り、また可塑剤のブ
リードアウトや、力学物性の低下等の問題が生ずる。 【0028】可塑剤としては、例えばパラフィン系、ナ
フテン系、芳香族系、流動パラフィン等の炭化水素系
油、落花生油、ロジンなどの植物油、リン酸エステル、
塩素化パラフィン、シリコンオイルのほか、液状ポリイ
ソプレンまたはその水添物、液状ポリブタジエン、液状
ポリイソブチレン等の可塑化能を有する液状ポリマーお
よびこれらの変性物等が挙げられる。 【0029】さらに、(ニ)成分としての充填剤は、
(イ)成分100重量部当り0〜300重量部であるこ
とが必要である。(イ)成分100重量部に対して
(ニ)成分の充填剤が300重量部を越えると、熱可塑
性樹脂組成物より得られる成形品の力学物性の低下が顕
著で好ましくない。 【0030】(ニ)成分としての充填剤は、例えば炭酸
カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、
シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、ガ
ラス繊維、カーボン繊維等が挙げられる。 【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明
の趣旨を損なわない範囲内で、必要に応じ、ポリスチレ
ン、ハイインパクトポリスチレン、ABS等のスチレン
系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、
ナイロン−66、ナイロン−12などのポリアミド系樹
脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等の熱可塑性樹脂、
熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、粘着付与
剤、帯電防止剤、発泡剤等の添加も可能である。 【0032】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方
法としては、従来技術で知られているいかなる方法を使
用してもよい。最も均質なブレンド物を得るためには、
一軸押出し機、二軸押出し機、バンバリーミキサー、ブ
ラベンダー、オープンロール、ニーダー等の混練機を用
いて原料を加熱溶融状態で混練することが好ましい。 【0033】溶融混練する前に、これらの配合物をヘン
シルミキサー、タンブラーのような混合機を用いてあら
かじめドライブレンドし、該混合物を溶融混練すること
により均質な熱可塑性樹脂組成物が得られる。 【0034】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は通常
の樹脂と同様の方法で成型加工することができる。この
場合の成形加工には、従来より公知の方法、例えば押出
成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、カレンダー成形
などにより、実用上有用な成形品に加工することができ
る。またその使用用途としてはシート、フィルム状に成
形あるいは他のシート、フィルムとの複層成形し日用雑
貨包装、工業資材包装、食品包装等のシート、フィルム
用途、ホース、チューブ、ベルト等の用途、スポーツシ
ューズ、ファッションサンダル等の履物用途、テレビ、
ステレオ、掃除機等の家庭用品用途、バンパー部品、ボ
ディーパネル等の自動車用内外装部品用途など日用品、
医療用シリンジのガスケット、カテーテルチューブ、輸
液バッグ等の医療用品、レジャー用品、文房具、玩具、
工業用品など幅広い用途に用いられる。 【0035】本発明の熱可塑性樹脂組成物は有機溶媒に
対する耐溶剤性に優れ有機溶媒に接触あるいはその成分
の蒸気に接触する部位に好適に使用される。さらにま
た、他の有機溶媒に対する耐溶剤性に劣る基材にシート
あるいはフィルムとして複層することにより有機溶媒に
対する耐溶剤性を付与するという方法も好適に使用され
る。 【0036】 【実施例】本発明をより具体的かつ詳細に説明するため
に以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実
施例により限定されるものではない。 【0037】なお、本発明に供するブロック共重合体の
性状および水添ブロック共重合体の性能評価、熱可塑性
樹脂組成物の性能評価は以下に示す方法によった。 a)分子量 ブロック共重合体の数平均分子量は低角度レーザー光散
乱検出器つきゲルパーミエーションクロマトグフィ
(LALLS−GPC)を用いて測定した。 b)ミクロ構造 水添前のブロック共重合体を重水素化したトルエンに溶
解し、500メガヘルツの核磁気共鳴装置(NMR)を
用いHの化学シフトを測定することにより、共役ジエ
ンからなる重合体ブロックBおよびCの1,4−結合量
を算出した。 c)水添率 水添後のブロック共重合体を重水素化したトルエンに溶
解し、500メガヘルツの核磁気共鳴装置(NMR)を
用いHの化学シフトを測定することにより、共役ジエ
ンからなる重合体ブロックBおよびCの水添率を算出し
た。 d)結晶融点、結晶融解熱、ガラス転移温度 示差走査熱測定法(differential sca
nning calorimetry,DSCと略す)
により重合体ブロックBの結晶融点、重合体ブロックC
の結晶融解熱およびガラス転移温度(Tg)を測定し
た。 e)メルトフローレート(MFR) JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.16
kgで測定した。 f)引張り特性 JIS K6301に準拠し、測定した。 g)耐油性 得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成型機により厚さ2
mmのシートを作製した後、2cm×4cmの試験片を
切り取り、重量を正確に測定した。その後、試験片をJ
IS−3号膨潤油100mlに室温で24時間浸漬した
のち取り出し、表面のオイルをり除くために数回アセ
トンで洗浄した後、重量を測定した。浸漬後の重量変化
率(膨潤度)を耐油性の指標とした。 h)成型品の表面状態 得られた熱可塑性樹脂組成物の射出成形シートの表面の
状態を目視により観察した。 【0038】水添ブロック共重合体の合成(No.(1
−1)〜(1−6)の合成) 撹拌装置付耐圧容器中にシクロヘキサン2000g、ブ
タジエン30gおよびn−ブチルリチウム0.9gを加
え、50℃で60分間重合し、次いでスチレンを65g
加えて60分間、次いでイソプレン175gとブタジエ
ン115gの混合モノマーを加えて60分間、次いでス
チレンを65g加えて60分間、次いでブタジエン30
gを加えて60分間重合することにより、ポリブタジエ
ン〜ポリスチレン〜ポリ共役ジエン〜ポリスチレン〜ポ
リブタジエン型ブロック共重合体を得た。得られたブロ
ック共重合体の分析値を表1に示した。このポリマー溶
液のポリマー濃度が15重量%となるようにシクロヘキ
サンを加え、減圧脱気後水素置換し、さらに0.5重量
%/ポリマーのパラジウム触媒を加え10kg/cm2
の水素雰囲気下で水添反応を行い、水添率96%の水添
ブロック共重合体No.1−1を得た。この水添ブロッ
ク共重合体を上記の方法により物性評価を行い、得られ
た結果を表2に示した。 【0039】また、表1および表2に示すような水添ブ
ロック共重合体になるように、単量体の種類、単量体の
量、開始剤の量、重合温度、重合時間、水添温度、水添
時間などを変化させて、水添ブロック共重合体No.1
−1に準じて、水添ブロック共重合体1−2〜1−4お
よび1−6を得た。No.1−5は、重合開始前にジエ
チルエーテルを添加する以外は、上記合成法に準じて表
1および表2に示すような水添ブロック共重合体になる
ように合成を行った。 【0040】 【表1】 【0041】 【表2】【0042】実施例1〜3および比較例1〜7 表3に示す配合に従って、混合物を調整し、東芝機械
(株)製二軸押出し機TEM−35Bを用いて、ペレッ
ト化した。得られたペレットを用いて、射出成型によっ
て試験片を得た。各評価結果を表3に示す。なお、表3
中でポリプロピレン(PP)は、MA−3(ホモP
P、MFR=11g/10分;三菱化学(株)製)、軽
質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製)を用い
た。 【0043】 【表3】【0044】表3から明らかなように、得られた熱可塑
性樹脂組成物(実施例1〜3)は、耐油性に優れ、力学
強度、流動性のバランスの取れた熱可塑性樹脂組成物で
あることがわかる。 【0045】これに対し、比較例1は、流動性、力学強
度に優れてはいるものの、耐油性の改良効果がなく、ま
た用いた水添ブロック共重合体の水添率が低く得られた
熱可塑性樹脂組成物の耐候性、耐熱性に劣り好ましくな
い。比較例2では、熱可塑性樹脂組成物の耐油性、力学
強度は優れているものの、用いた水添ブロック共重合体
におけるイソプレン−ブタジエンランダム共重合体ブロ
ックCのガラス転移点が高く低温特性に劣り、また、オ
イルのブリードが確認され好ましくない。比較例3,5
および7では、耐油性に劣り目的とする熱可塑性樹脂組
成物が得られていない。比較例4は、耐油性、力学強度
に劣り好ましくない。比較例6は、耐油性、力学強度に
優れているものの柔軟性に劣り好ましくない。 【0046】 【発明の効果】従来の共役ジエンとビニル芳香族からな
るブロック共重合体の水添物と熱可塑性樹脂の熱可塑性
樹脂組成物は力学強度、柔軟性、低温特性は有するもの
の有機溶媒に対する耐溶剤性が劣りその用途を限定され
てきた。 【0047】しかし本発明によれば、特定の水添ブロッ
ク共重合体を混合すること有機溶媒に対する耐溶剤性
に優れ、かつ、力学強度、柔軟性、低温特性を有し、溶
融流動性に富みかつ耐熱性に優れている熱可塑性樹脂組
成物が提供され、この熱可塑性樹脂組成物はその特性を
活かして、日用品、工業用品、食品容器、包装材料等種
々の分野で使用することができ、特に有機溶媒に直接、
あるいはその成分の蒸気に接触するような部位に好適に
使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 - 53/02 C08F 297/00 - 297/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (イ)水添ブロック共重合体100重量
    部 (ロ)オレフィン系重合体5〜400重量部 (ハ)可塑剤5〜500重量部 (ニ)充填剤0〜300重量部 からなり、かつ上記(イ)成分が、分子中にビニル芳香
    族化合物の重合体ブロックAを少なくとも2個以上有
    し、かつ水添前の1,4−結合量が80%以上であるポ
    リブタジエンブロックBおよび水添前の1,4−結合量
    が80%以上であり、イソプレン/ブタジエン=80/
    20〜20/80(重量比)の範囲であるイソプレン−
    ブタジエンランダム共重合体ブロックCを1個以上有す
    るブロック共重合体の該ポリブタジエンブロックBおよ
    び該イソプレン−ブタジエンランダム共重合体ブロック
    Cを85%以上水素添加することにより得られた、該ポ
    リブタジエンブロックBの結晶融点が85℃以上でかつ
    該イソプレン−ブタジエンランダム共重合体ブロックC
    の結晶融解熱が35mJ/mg以下の水添ブロック共重
    合体である熱可塑性樹脂組成物。
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