JPH0598086A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0598086A
JPH0598086A JP28201691A JP28201691A JPH0598086A JP H0598086 A JPH0598086 A JP H0598086A JP 28201691 A JP28201691 A JP 28201691A JP 28201691 A JP28201691 A JP 28201691A JP H0598086 A JPH0598086 A JP H0598086A
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JP
Japan
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polymer
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styrene
component
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JP28201691A
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English (en)
Inventor
Takateru Imai
高照 今井
Minoru Maeda
稔 前田
Yoshifumi Kato
嘉文 加藤
Toshio Teramoto
俊夫 寺本
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 オレフィン系重合体およびスチレン系重合体
の混合物の相溶性を改善し、耐衝撃性に優れた熱可塑性
樹脂組成物を提供する。 【構成】 (イ)オレフィン系重合体およびスチレン系
重合体からなる重合体混合物100重量部に対し、
(ロ)ポリスチレンブロックA、ビニル結合含量が20
〜95%のポリブタジエンブロックBおよびビニル結合
含量が15%以下のポリブタジエンブロックCからなる
ブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重
合体0.1〜30重量部を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オレフィン系重合体と
スチレン系重合体を主たる成分とし、機械的強度の改良
された熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系重合体やスチレン系重合体
は安価であり、最も大量に生産され、消費されている樹
脂である。しかしながら、オレフィン系重合体では、成
形加工時の収縮が大きく、深絞り成形の不良など、加工
時の欠点が多く指摘されており、改良が望まれている。
また、スチレン系重合体は、高剛性であるが、脆く、機
械的強度が劣ること、フィルム、シート状成形物の水素
透過性や引き裂き強度が劣ることなどの問題点がある。
オレフィン系重合体とスチレン系重合体を組み合わせる
ことにより、それぞれ単独の重合体の欠点を補った組成
物が得られることが分かり、種々の検討がなされてい
る。このオレフィン系重合体とスチレン系重合体は、お
互いに非相溶性であるため、単純な混合物は相剥離を起
こす脆いものであり、実用に耐えるものではない。
【0003】そのため、特開昭56−38338号公
報、特開昭56−50943号公報では、オレフィン系
重合体とスチレン系重合体の相溶性改良剤として、スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を添加
する技術が提案されている。しかしながら、この技術で
用いられているスチレン−ブタジエンブロック共重合体
の水素添加物は、スチレン系重合体に対してはポリスチ
レンブロックセグメントを有するため良好な相溶性を示
すが、オレフィン系重合体に対しては相溶性が充分でな
く、このため相溶化剤としての性能が劣るものである。
そのため、充分な改質効果を得るためには、前記水素添
加物を高濃度で添加する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、オレフィン系重合体
とスチレン系重合体からなる重合体混合物に、相溶化改
良剤として特別に分子設計された水添ブロック共重合体
を添加し、機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物を得
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(イ)オレフ
ィン系重合体1〜99重量%およびスチレン系重合体9
9〜1重量%を含む重合体混合物100重量部に対し、
(ロ)(A)スチレン系重合体ブロックセグメント(以
下「ブロックA」ということがある)2〜98重量%、
(B)ブタジエンおよび/またはイソプレン50〜10
0重量%と他の単量体50〜0重量%からなり、ブタジ
エン部の1,2−ビニル結合含量が20〜95%である
ブタジエン(共)重合体ブロックセグメントおよび/ま
たはイソプレン部のビニル結合含量が10〜95%のイ
ソプレン(共)重合体ブロックセグメント2〜98重量
%(以下「ブロックB」ということがある)、ならびに
(C)1,2−ビニル結合含量が15%以下であるポリ
ブタジエンブロックセグメント(以下「ブロックC」と
いうことがある)0〜98重量%〔ただし、(A)+
(B)+(C)=100重量%〕からなり、かつブロッ
ク構造が直鎖状あるいは分岐状であるブロック共重合体
の不飽和二重結合を90%以上水素添加してなる水添ブ
ロック共重合体0.1〜30重量部を含有してなる熱可
塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0006】本発明において、(イ)成分を構成するオ
レフィン系重合体としては、炭素数2〜8のα−モノオ
レフィンを主たる単量体成分とする重合体である。この
オレフィン系重合体の具体例としては、低密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合
体、エチレン−プロピレンブロック重合体、ポリメチル
ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられ、これらは1
種単独であるいは2種以上混合して使用される。特に好
ましいオレフィン系重合体は、エチレンあるいはプロピ
レンを主たる単量体成分とする重合体であり、具体的に
は各種ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニルランダム共重合体、エチレン−(メタ)アクリル
酸ランダム共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレ
ートランダム共重合体などのエチレン系ランダム共重合
体、プロピレン系ランダムもしくはプロピレン系ブロッ
ク共重合体、さらにはこれらの混合物である。
【0007】また、(イ)成分を構成するスチレン系重
合体は、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルス
チレンなどを主たる単量体成分とする(共)重合体であ
る。このスチレン系重合体の具体例としては、ポリスチ
レン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、アクリロニトリル−(ポリブタジエ
ンゴム)−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロ
ニトリル−(エチレン−プロピレンゴム)−スチレン共
重合体(AES樹脂)、スチレン−α−メチルスチレン
共重合体、スチレン−p−メチルスチレン共重合体など
の一般にスチレン系重合体と称される重合体からなる群
から選ばれる少なくとも1種の(共)重合体である。ス
チレン系重合体としては、これらのほか、例えば該重合
体と相溶する他の樹脂が適当量混合したもの、例えばポ
リスチレンにポリフェニレンエーテルを適当量配合した
ものであってもよい。好ましいスチレン系重合体は、少
なくとも50重量%のスチレン含量を持つものであり、
ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレンなどが特に好まし
い。
【0008】(イ)成分を構成するオレフィン系重合体
とスチレン系重合体の混合比率は、オレフィン系重合体
1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに
好ましくは15〜85重量%、スチレン系重合体99〜
1重量%、好ましくは90〜10重量%、さらに好まし
くは85〜15重量%である。オレフィン系重合体が1
重量%未満、スチレン系重合体が1重量%未満の場合に
は、異なる重合体を混合することによって期待される性
能の発現が認められない。
【0009】次に、(ロ)水添ブロック共重合体は、前
記(イ)成分を構成するオレフィン系重合体とスチレン
系重合体の相溶化剤として作用する重要な成分である。
この(ロ)成分の構造上の特徴は、オレフィン系重合体
とスチレン系重合体の双方に相溶するブロックセグメン
トを有することである。すなわち、(ロ)水添ブロック
共重合体中のブロックAは、スチレン系重合体ブロック
セグメントであり、前記スチレン系重合体との相溶性を
確保する。また、(ロ)水添ブロック共重合体中のブロ
ックBおよびCは、前記オレフィン系重合体との相溶性
を確保する成分であり、これらのブロックBおよびCの
好ましい構造は、(イ)成分中のオレフィン系重合体の
構造によって変化する。ブロックBおよびCの好ましい
具体的設計方針は、以下のようにまとめられる。
【0010】ケース1(オレフィン系重合体が、エチレ
ンを主たる単量体成分とするものの場合); (ロ)成分中のブロックCは、水素添加により結晶性の
ポリエチレン類似の構造となり、エチレンを主たる成分
とするオレフィン系重合体(例;ポリエチレン)との相
溶性に優れる。従って、エチレンを主たる単量体成分と
するオレフィン系重合体を成分とする(イ)成分の相溶
化剤としては、ブロックCを有するものが特に好まし
い。この場合、ブロックBとしては、ゴム的性質に優れ
たセグメントとして設計することにより、耐衝撃性を飛
躍的に向上させることができ好ましい。ブロックBをゴ
ム的性質に優れたセグメントとして設計する場合には、
ブロックB中のジエン部分のビニル結合含量を特許請求
の範囲に記載された範囲で適当な値とすることが好まし
い。例えば、ブロック成分B中のジエン部分のビニル結
合含量は、ブタジエンの場合30〜55%、好ましくは
35〜50%、イソプレンの場合40%以下、好ましく
は30%以下である。このようなビニル結合含量の範囲
内では、ブロックBは、優れたゴム的性能を示す。
【0011】ケース2(オレフィン系重合体がエチレン
以外の単量体を主たる単量体成分とする場合); (イ)成分を構成するオレフィン系重合体がエチレン以
外の単量体を主たる単量体成分とする場合には、(ロ)
成分を構成するブロック成分Bがオレフィン系重合体と
優れた相溶性を有するように分子設計することが好まし
い。この場合、ブロックB中のジエン部分(ブタジエン
部および/またはイソプレン部)のビニル結合含量を特
許請求の範囲に記載された範囲内で適当な値とすること
が好ましい。ブロックBがオレフィン系重合体と特に優
れた相溶性を有するためには、該ブロックB中のビニル
結合含量をできるだけ高含率にすることが特に好まし
い。すなわち、ブロックB中のジエン部分のビニル結合
含量は、ブタジエンの場合、好ましくは65〜95%、
特に好ましくは70〜90%、イソプレンの場合、好ま
しくは50〜95%、特に好ましくは55〜90%の範
囲内である。このケース2の場合には、(ロ)成分のブ
ロックCは、存在してもよいし、存在しなくてもよい
が、高ビニル結合含量で設計したブロックBはベタツキ
やすく、取り扱い性が不便となる傾向がある。少量のブ
ロックCをつけることによりベタツキが改良され、取り
扱い性が良好となり好ましい。
【0012】次に、(ロ)成分を構成する各ブロックA
〜Cの各構造を説明する。 (A)スチレン系重合体ブロックセグメントに用いられ
るスチレン系単量体は、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレンなどが挙げられ、これらは単独
であるいは混合して使用される。ブロックAの重量平均
分子量は、通常、0.5〜20万、好ましくは1〜15
万、さらに好ましくは1.5〜10万であり、0.5万
未満では(イ)成分を構成するスチレン系重合体との相
溶性が劣るために好ましくなく、一方20万を超える場
合には流動性が劣り、加工性が悪化するために好ましく
ない。ブロックAの(ロ)成分中の割合は、2〜98重
量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは
15〜70重量%であり、2重量%未満の場合、あるい
は98重量%を超えると、相溶化剤としての能力が劣
る。
【0013】ブロックBは、ブタジエンおよび/または
イソプレン50〜100重量%と他の単量体50〜0重
量%からなり、ブタジエン部の1,2−ビニル結合含量
が20〜95%であるブタジエン(共)重合体ブロック
セグメントおよび/またはイソプレン部のビニル結合含
量が10〜95%のイソプレン(共)重合体ブロックセ
グメントである。ブロックBは、(ロ)成分全体の構造
と使用目的によって果たすべき役割が大きく変化するブ
ロックセグメントであることは、前述したとおりであ
る。なお、本発明において、ブタジエン部の1,2−ビ
ニル結合含量とは、ブタジエンブロックにおける1,2
−結合を有するブタジエンの量を表し、イソプレン部の
ビニル結合含量とは、イソプレンブロックにおける1,
2−結合を有するイソプレンと3,4−結合を有するイ
ソプレンとの合計量を表すものである。
【0014】ここで、ブロックBに使用される他の単量
体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸アル
キルエステル、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペン
タジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−
1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジ
エン、クロロプレンなどの共役ジエンが挙げられるが、
特にスチレンが好ましい。これらの他の単量体の使用量
は、ブロックBを構成する全単量体の0〜50重量%、
好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは0〜30
重量%である。他の単量体としてスチレンなどの剛直な
単独重合体を与える単量体を使用する場合、50重量%
を超えて使用すると、水添後のブロックBのガラス転移
温度が上昇し、エラストマーとしての性能が低下したり
(中〜低ビニル含量の場合)、あるいはブロックB中の
共役ジエン成分量の低下により(イ)成分を構成するオ
レフィン系重合体との相溶性が低下するので(高ビニル
含量の場合)、いずれも好ましくない。
【0015】ブロックBのビニル結合含量は、該セグメ
ントBが、ブタジエン(共)重合体である場合には20
〜95%、好ましくは20〜90%、イソプレン(共)
重合体である場合には10〜95%、好ましくは15〜
90%である。ブロックBのビニル結合含量が下限を下
回るか、あるいは上限を超える場合には、水素添加後、
それぞれポリエチレン連鎖、ポリブテン−1連鎖に由来
する結晶構造を示し、(ロ)成分のエラストマーとして
の性能が劣るために好ましくない。なお、ブロックBの
重量平均分子量は、通常、0.5〜25万、好ましくは
1〜20万、さらに好ましくは1.5〜15万である。
0.5万未満では耐衝撃性改良効果が劣り、また(イ)
成分を構成するオレフィン系重合体との相溶性がともに
劣るため好ましくなく、一方25万を超える場合には、
流動性が劣り、加工性、成形性が悪化するため好ましく
ない。ブロックBの割合は、(ロ)成分中に2〜98重
量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは
15〜70重量%であり、2重量%未満あるいは98重
量%を超える場合には、(ロ)成分の相溶化剤としての
性能が低下するので好ましくない。
【0016】さらに、(ロ)成分を構成する(C)ポリ
ブタジエンブロックセグメントは、水素添加により結晶
性のポリエチレン類似構造のブロックセグメントとな
り、特にエチレンを主たる成分とするオレフィン系重合
体との相溶性に優れる。ブロックCの1,2−ビニル結
合含量は、水素添加後のブロックCの結晶性を支配する
主たる因子であり、15%以下、好ましくは14%以
下、さらに好ましくは13%以下である。この1,2−
ビニル結合含量が15%を超える場合には、エチレン連
鎖の結晶性が低下するため、エチレンを主たる成分とす
るオレフィン系重合体との相溶性が低下する。
【0017】なお、ブロックCの重量平均分子量は、通
常、0.5万〜20万、好ましくは1〜15万、さらに
好ましくは1.5〜10万である。0.5万未満ではエ
チレンを主たる成分とするオレフィン系重合体との相溶
性が劣るため好ましくなく、一方20万を超えると流動
性が劣り、加工性が悪化するため好ましくない。ブロッ
クCの(ロ)成分中における割合は、前述のように使用
目的によって変化する。ブロックCがエチレンを主たる
成分とするオレフィン系重合体との相溶性を確保するた
めに必須の成分である場合(ケース1)には、(ロ)成
分中に、2〜98重量%、好ましくは10〜80重量
%、さらに好ましくは15〜70重量%である。この場
合、2重量%未満あるいは98重量%を超えると、
(ロ)成分の相溶化剤としての性能が劣る。
【0018】一方、オレフィン系重合体との相溶性がブ
ロックBによって確保されている場合(ケース2)、
(ロ)成分中にブロックCはなくてもよい。しかしなが
ら、ブロックAと高ビニル含量のブロックBのみからな
る(ロ)成分は、該ブロックAとBの比率にも依存する
が、表面にベタツキ性があり、付着性を有する場合があ
る。そのため、取り扱い性の問題が生じやすい。ブロッ
クCを適量結合させることにより、付着性が減少し、取
り扱い性が向上する。従って、ケース2の場合、ブロッ
クCの(ロ)成分中の割合は、0〜98重量%、好まし
くは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜30重量%
であり、98重量%を超えると、(ロ)成分の相溶化剤
としての性能が劣るものとなる。
【0019】以上のブロックA〜Cからなる(ロ)成分
の水添率は、90%以上、好ましくは94%以上、さら
に好ましくは96%以上である。水添率が90%未満で
は、残留不飽和二重結合による耐熱性と耐候性の低下が
顕著である。本発明に使用される(ロ)水添ブロック共
重合体は、例えば特開平2−133406号公報に開示
されている方法によって得ることができる。なお、本発
明に使用される(ロ)水添ブロック共重合体は、前記
(イ)オレフィン系重合体およびスチレン系重合体を含
む重合体混合物の相溶化剤として有用なほか、近年、問
題となっているプラスチックスクラップ材の再生利用時
の改質材としても有効である。
【0020】(ロ)水添ブロック共重合体の配合量は、
オレフィン系重合体およびスチレン系重合体を含む重合
体混合物100重量部に対し、0.1〜30重量部、好
ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1.0
〜20重量部である。0.1重量部未満では、(イ)成
分を構成するオレフィン系重合体とスチレン系重合体が
充分に相溶化されず、物性が向上しない。一方、30重
量部を超えた場合には、経済的でないばかりか、それ以
上の相溶化効果も期待できない。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上の
(イ)成分と(ロ)成分を主成分とするが、このほか
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−
(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェ
ノールなどの酸化防止剤;ステアロアミドプロピルジメ
チル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムニトレートな
どの帯電防止剤;4−アセトキシ−2,2,6−テトラ
メチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジンなどの耐候剤;p−t
−ブチルフェニルサリシレート、2,2′−ジヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;
パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、高級脂肪
酸類またはこれらの金属塩などの滑剤;酸化チタン、カ
ーボンブラックなどの着色剤;ガラス繊維、炭素繊維、
金属繊維、アラミド繊維、ガラスビーズ、アスベスト、
マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカ
ー、タルク、硫酸バリウム、ガラスフレーク、フッ素樹
脂などの充填剤;あるいは他のゴム質重合体、熱可塑性
樹脂などを適宜配合することができる。本発明の組成物
は、押し出し機、ニーダー、バンバリーミキサーなどに
より溶融混練りすることによって得ることができる。本
発明の組成物を製造するには、各成分を一括で混合して
もよく、任意の成分をあらかじめ予備混合したのち、残
りの成分を添加して混合してもよい。最も好ましい製造
装置は、一軸あるいは二軸押し出し機であり、これによ
り連続的に効率よく混練りし、ペレット化することがで
きる。得られたペレットを用い、押し出し成形を行い、
成形品に加工することができる。本発明の組成物を用い
て得られる押し出し成形品としては、シート、フィル
ム、チューブなどを挙げることができ、種々の用途に使
用することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定される
ものではない。なお、実施例中、部および%は特に断ら
ない限り重量基準である。また、実施例中における各種
の測定は、下記の方法に拠った。 結合ビニル芳香族化合物含量 679cm-1のフェニル基の吸収を基に、赤外分析法によ
り測定した。 共役ジエンのビニル結合含量 赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。 水添率 四塩化エチレンを溶媒に用い、10MHz、 1H−NM
Rスペクトルから算出した。 重量平均分子量 トリクロルベンゼンを溶媒に用い、135℃におけるゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用
いてポリスチレン換算で求めた。 メルトフローレート(MFR) JIS K7210に従い、230℃、荷重2.16kg
で測定した。 アイゾット衝撃強度 JIS K7110に従って測定した。 引張特性 JIS K7113に従って測定した。
【0023】実施例1〜7、比較例1〜7(ロ)成分の製造(ロ−1〜5の製造 ) 内容積5リットルのオートクレーブに、シクロヘキサン
2.5kg、1,3−ブタジエン500g、n−ブチル
リチウム0.4gを加えて、50℃で重合転化率が18
%になったのち、テトラヒドロフラン9.8gを添加し
て昇温し、重合転化率が100%になるまで重合を行っ
た。次に、スチレン90gを添加し、重合を続行した。
重合完結後、反応液を70℃にし、n−ブチルリチウム
0.8g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
0.8gとビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ
クロライド0.25gおよびジエチルアルミニウムクロ
ライド1gを加え、水素圧力10kg/cm2 で1時間
反応させた。この反応液を、大量のメチルアルコールの
中に混合して析出する固形物を回収、乾燥して水添ブロ
ック共重合体ロ−1を得た。得られた水添ブロック共重
合体ロ−1の水添率は99%、第1段目の1,2−ビニ
ル結合含量は12%、第2段目の1,2−ビニル結合含
量は40%であった。また、表1に示すような水添ブロ
ック共重合体になるように、単量体種類、単量体量、触
媒量、重合温度、重合時間などを変化させて、水添ブロ
ック共重合体ロ−1に準じて、水添ブロック共重合体ロ
−2〜5を得た。
【0024】組成物の製造 表2〜3に示す配合に従って、樹脂混合物を調合し、池
貝鉄工(株)製、二軸押し出し機PCM45を用いてペ
レット化した。得られたペレットを用いて、射出成形に
よって試験片を得た。結果を表2〜3に示す。なお、表
2〜3中で用いた樹脂類を以下に示す。 ポリスチレン;三井東圧化学製、トーポレックス500 低密度ポリエチレン;東ソー(株)製、ペトロセン19
0 ポリプロピレン;三菱油化(株)製、MA−2A G1650;シェル(株)製、SEBS。スチレン−ブ
タジエン−スチレンブロック共重合体を水素添加して得
られる水添ブロック共重合体。そのミクロ構造は、1,
2−ビニル結合を有するブタジエンブロックが約40重
量%である。 A1100;日本油脂(株)製、モディパーA1100
(ポリエチレン鎖にポリスチレンをグラフトしたグラフ
ト共重合体)
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表2から明らかなように、本発明の組成物
は、特に良好なアイゾット衝撃強度を示しており、
(ロ)成分の特異な性能が反映されている。一方、表3
から明らかなように、比較例1〜3、比較例6は、
(ロ)成分、すなわち相溶化剤を全く用いない例であ
り、いずれもアイゾット衝撃強度、引張強度、引張伸び
が劣っている。なお、これらの比較例では、成形品表面
もつやがなく、外観不良であった。比較例4および比較
例7は、相溶化剤としてスチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体の水添物を用いた例である。比較例
4および比較例7で用いられる相溶化剤は、本発明の
(ロ)成分と類似の構造を有するポリマーであるが、
ポリエチレン構造を持たないこと、エチレン−ブテン
部のビニル結合含量が低〜中含量(約40%)であるこ
とから、相溶化能力は本発明の(ロ)成分を用いたもの
に較べて相当に劣る。さらに、比較例5は、ポリエチレ
ン鎖にポリスチレンをグラフトした相溶化剤を用いた例
である。G1650と同様、顕著な改良効果は認められ
なかった。
【0029】
【発明の効果】本発明で使用される(ロ)成分は、ごく
少量でオレフィン系重合体およびスチレン系重合体から
なるブレンド物を相溶化し、優れた性能のポリマーアロ
イを提供することができる。そのため、本発明の熱可塑
性樹脂組成物は、オレフィン系重合体およびスチレン系
重合体の欠点を補い、耐衝撃性、機械的強度に優れ、広
範な用途に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25/04 LDR 9166−4J LDS 9166−4J 53/02 LLY 7142−4J (72)発明者 寺本 俊夫 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)オレフィン系重合体1〜99重量
    %およびスチレン系重合体99〜1重量%を含む重合体
    混合物100重量部に対し、 (ロ)(A)スチレン系重合体ブロックセグメント2〜
    98重量%、 (B)ブタジエンおよび/またはイソプレン50〜10
    0重量%と他の単量体50〜0重量%からなり、ブタジ
    エン部の1,2−ビニル結合含量が20〜95%である
    ブタジエン(共)重合体ブロックセグメントおよび/ま
    たはイソプレン部のビニル結合含量が10〜95%のイ
    ソプレン(共)重合体ブロックセグメント2〜98重量
    %、ならびに (C)1,2−ビニル結合含量が15%以下であるポリ
    ブタジエンブロックセグメント0〜98重量%〔ただ
    し、(A)+(B)+(C)=100重量%〕からな
    り、かつブロック構造が直鎖状あるいは分岐状であるブ
    ロック共重合体の不飽和二重結合を90%以上水素添加
    してなる水添ブロック共重合体0.1〜30重量部を含
    有してなる熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001207001A (ja) * 1999-11-16 2001-07-31 Jsr Corp 熱可塑性樹脂組成物
JP2001240713A (ja) * 1999-12-21 2001-09-04 Asahi Kasei Corp 樹脂組成物
JP2001310968A (ja) * 2000-04-28 2001-11-06 Asahi Kasei Corp ポリエチレン−ポリスチレン系混合樹脂押出発泡体及びその製造方法
US10829632B2 (en) 2016-04-25 2020-11-10 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Hydrogenated block copolymer, polypropylene resin composition, and molded body

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