JP3367136B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物Info
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Description
スチレン系重合体を主たる成分とし、成形外観の改良さ
れた熱可塑性樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】オレフィン系重合体やスチレン系重合体
は安価であり、最も大量に生産されている樹脂である。
しかしながら、オレフィン系重合体では、成形加工時の
収縮が大きく、深絞り成形の不良など、加工時の欠点が
多く指摘されており、改良が望まれている。また、スチ
レン系重合体は、高剛性であるが、脆く、機械的強度が
劣ること、フィルム、シート状成形物の水素透過性や引
裂強度が劣ることなどの問題がある。オレフィン系重合
体とスチレン系重合体を組み合わせることにより、それ
ぞれ単独の重合体の欠点を補った組成物が得られること
が分かり、種々の検討がなされている。しかしながら、
このオレフィン系重合体とスチレン系重合体は、お互い
に非相溶性であるため、単純な混合物は相剥離を起こす
脆いものであり、実用に耐えるものではない。 【0003】そのため、特開昭56−38338号公
報、特開昭56−50943号公報では、オレフィン系
重合体とスチレン系重合体の相溶性改良剤として、スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を添加
する技術が提案されている。しかしながら、この技術で
用いられているスチレン−ブタジエンブロック共重合体
の水素添加物は、スチレン系重合体に対してはポリスチ
レンブロックセグメントを有するため良好な相溶性を示
すが、オレフィン系重合体に対しては相溶性が十分でな
く、このため相溶化剤としての性能が劣るものである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、オレフィン系重合体
とスチレン系重合体からなる重合体混合物に、相溶化改
良剤として特別に分子設計された水添ブロック共重合体
を添加し、耐衝撃性および成形外観に優れた熱可塑性樹
脂組成物を得ることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、(イ)オレフ
ィン系重合体2〜98重量%、およびスチレン系重合体
98〜2重量%を含む重合体混合物100重量部に対し
て、(ロ)重量平均分子量が1.5万以上のビニル芳香
族化合物重合体ブロック(A1)と、重量平均分子量が
0.9万以下のビニル芳香族化合物重合体ブロック(A
2)、およびビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物と
のランダム共重合体ブロック(B)からなり、 全ビニル芳香族化合物/全共役ジエン化合物の重量
比率は15/85〜60/40。 (B)成分中の共役ジエン化合物部分のビニル結合
含量が60%を超える。 の条件を満たす(A1)−(B)−(A2)ブロック共
重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和さ
れた、重量平均分子量が20万〜50万の水添ブロック
共重合体2〜50重量部、を含有してなる熱可塑性樹脂
組成物を提供するものである。 【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において、(イ)成分を構成するオレフィン系共重
合体としては、炭素数2〜8のα−モノオレフィンを主
たる単量体成分とする重合体である。このオレフィン系
重合体の具体例としては、低密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン
−プロピレンブロック共重合体、ポリメチルペンテン、
ポリブテン−1、オレフィンとエチレン、プロピレン以
外の他の単量体との共重合体などが挙げられ、これらは
1単独で、あるいは2種以上混合して使用される。特に
好ましいオレフィン系重合体は、エチレンあるいはプロ
ピレンを主たる単量体成分とする重合体であり、具体的
には、各種ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
酢酸ビニルランダム共重合体、エチレン−(メタ)アク
リル酸ランダム共重合体、エチレン−グリシジルメタク
リレートランダム共重合体などのエチレン系ランダム共
重合体、プロピレン系ブロック共重合体、さらにはこれ
らの混合物である。 【0007】また、(イ)成分を構成するスチレン系重
合体は、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルス
チレンなどを主たる単量体成分とする(共)重合体であ
る。このスチレン系重合体の具体例としては、ポリスチ
レン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、アクリロニトリル−(ポリブタジエ
ン)−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニト
リル−(エチレン−プロピレンゴム)−スチレン共重合
体(AES樹脂)、スチレン−α−メチルスチレン共重
合体、スチレン−p−メチルスチレン共重合体などの、
一般にスチレン系重合体と称される重合体からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の(共)重合体である。スレ
チン系重合体としては、これらのほか、例えば該重合体
と相溶する他の樹脂が適当量混合したもの、例えばポリ
スチレンにポリフェニレンエーテルを適当量配合したも
のであってもよい。好ましいスチレン系重合体は、少な
くとも50重量%のスチレン含量を持つものであり、ポ
リスチレン、ゴム変性ポリスチレンなどが好ましい。 【0008】(イ)成分を構成するオレフィン系重合体
とスチレン系重合体の混合比率は、オレフィン系重合体
2〜98重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに
好ましくは15〜85重量%、スチレン系重合体98〜
2重量%、好ましくは90〜10重量%、さらに好まし
くは85〜15重量%である。オレフィン系重合体ある
いはスチレン系重合体が2重量%未満の場合には、異な
る重合体を混合することによって期待される性能の発現
が認められない。 【0009】次に、(ロ)成分である(A1)−(B)
−(A2)ブロック共重合体を説明する。(A1)また
は(A2)のビニル芳香族化合物重合体ブロックセグメ
ントに用いられるビニル芳香族化合物は、スチレン、α
−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどが挙げら
れ、これらは単独で、あるいは混合して使用される。ブ
ロック(A1)の重量平均分子量は1.5万以上であ
り、1.5万未満では組成物の耐衝撃性が劣り好ましく
ない。上限は好ましくは15万以下である。また、ブロ
ック(A2)の重量平均分子量は0.9万以下、好まし
くは0.7万以下、さらに好ましくは0.6万以下であ
り、その下限は好ましくは0.01万以上であり、0.
9万を超えると成形外観が劣るため好ましくない。ブロ
ック(B)は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物
とのランダム共重合体ブロックであり、ビニル芳香族化
合物としては、スチレンやα−メチルスチレン、p−メ
チルスチレンなどが挙げられ、スチレンが特に好まし
く、共役ジエン化合物としては、ブタジエンやイソプレ
ンが挙げられ、ブタジエンが特に好ましい。 【0010】ブロック(B)中のビニル結合含量は、高
含率にすることが特に好ましい。すなわち、ブロック
(B)中のジエン部分のビニル結合含量は60%以上、
好ましくは65〜95%、特に好ましくは70〜90%
の範囲内である。60%未満では、組成物の耐衝撃性が
劣り好ましくない。 【0011】該ブロック共重合体を構成する全ビニル芳
香族化合物/全共役ジエン化合物の重量比率は、15/
85〜60/40、好ましくは40/60〜60/40
の範囲である。全ビニル芳香族化合物が15重量%未満
では、耐衝撃性が劣り好ましくなく、60重量%を超え
ると成形外観が劣り好ましくない。ブロック共重合体の
重量平均分子量は20万以上50万以下であるが、20
万未満では耐衝撃性が劣り好ましくなく、50万を超え
ると成形外観が劣り好ましくない。また、ブロック共重
合体の共役ジエン部分の水添率は80%以上、好ましく
は90%以上、さらに好ましくは95%以上である。水
添率が80%未満では耐衝撃性が低下し好ましくない。 【0012】本発明における組成物中の(ロ)の配合量
は、(イ)100重量部に対して2〜/50重量部、好
ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは5〜20重
量部である。2重量部未満では改良の効果は無く、50
重量部を超えると成形外観が劣り好ましくない。本発明
に使用される(ロ)水添ブロック共重合体は、例えば特
開平3−72512号公報に開示されている方法によっ
て得ることができる。 【0013】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上の
(イ)成分と(ロ)成分を主成分とするが、酸化防止
剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、滑剤、酸化チ
タン、カーボンブラックなどの着色剤、ガラス繊維、炭
素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ガラスビーズ、アス
ベスト、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウ
ィスカー、タルク、硫酸バリウム、ガラスフレーク、フ
ッ素樹脂などの充填剤、あるいは他のゴム質重合体、熱
可塑性樹脂などを適宜配合することができる。 【0014】本発明の組成物は、押出機、ニーダー、バ
ンバリーミキサーなどにより溶融混練りすることによっ
て得ることができる。本発明の組成物を製造するには、
各成分を一括で混合してもよく、任意の成分をあらかじ
め予備混合した後、残りの成分を添加して混合してもよ
い。最も好ましい混合装置は、一軸あるいは二軸押出機
であり、これにより連続的に効率よく混練りし、ペレッ
ト化することができる。得られたペレットを用い、押出
成形を行ない、成形品に加工することができる。本発明
の組成物を用いて得られる押出成形品としては、シー
ト、フィルム、チューブなどを挙げることができ、種々
の用途に使用することができる。 【0015】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中、部および%は特に断らな
い限り重量基準である。また、実施例中における各種の
測定は、下記の方法に拠った。 結合ビニル芳香族化合物含量 679cm-1のフェニル基の吸収を基に、赤外分析法に
より測定した。 共役ジエンのビニル結合含量 赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。 水添率 四塩化エチレンを溶媒に用い、100MHz、1H−N
MRスペクトルから算出した。 重量平均分子量 トリクロルベンゼンを溶媒に用い、135℃におけるゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用
いてポリスチレン換算で求めた。 アイゾット衝撃強度 JIS K7110に従って測定した。 成形外観 射出成形によって得られた成形品を目視評価した結果
を、下記基準に従って判定した。 ○ :全く問題の無い成形品である。 × :流動不良に起因するフローマークなどが見られ、
成形外観が劣る。 ××:シルバーストリークスなどが発生し、成形外観が
劣る。 【0016】実施例1〜8、比較例1〜11 表1および表2に示す組成の樹脂組成物の性能に評価
し、同表に結果を示した。表1に示す実施例1〜8の結
果から、本発明の樹脂組成物は、表2に示す比較例1〜
11に比べて耐衝撃性および成形外観のバランスに優れ
ることがわかる。比較例1〜7は水添ブロック共重合体
が本発明の範囲外であるため、耐衝撃性および成形外観
のバランスが劣る。比較例8〜10は配合比率が本発明
の範囲外であるため、耐衝撃性および成形外観のバラン
スが劣る。比較例11(ロ)成分の替りに市販SEBS
を使用しており、成形外観が劣り好ましくない。 【0017】 【表1】【0018】 【表2】【0019】 【発明の効果】従来、オレフィン系重合体およびスチレ
ン系重合体からなる組成物を改良するため種々の相溶化
剤が検討されてきたが、耐衝撃性および成形外観のバラ
ンスに優れれた組成物を得るのは困難であった。本発明
は、特定の構造を有する水添ブロック共重合体を用いる
ことにより、耐衝撃性と成形外観のバランスに優れた熱
可塑性樹脂組成物を得たものであり、各種射出成形品の
材料として好適であり、工業的価値は大きい。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (イ)オレフィン系重合体2〜98重量
%、およびスチレン系重合体98〜2重量%を含む重合
体混合物100重量部に対して、 (ロ)重量平均分子量が1.5万以上のビニル芳香族化
合物重合体ブロック(A1)と、重量平均分子量が0.
9万以下のビニル芳香族化合物重合体ブロック(A
2)、およびビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物と
のランダム共重合体ブロック(B)からなり、 全ビニル芳香族化合物/全共役ジエン化合物の重量
比率は15/85〜60/40。 (B)成分中の共役ジエン化合物部分のビニル結合
含量が60%を超える。 の条件を満たす(A1)−(B)−(A2)ブロック共
重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和さ
れた、重量平均分子量が20万〜50万の水添ブロック
共重合体2〜50重量部、を含有してなる熱可塑性樹脂
組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08673093A JP3367136B2 (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | 熱可塑性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08673093A JP3367136B2 (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | 熱可塑性樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06271717A JPH06271717A (ja) | 1994-09-27 |
JP3367136B2 true JP3367136B2 (ja) | 2003-01-14 |
Family
ID=13894971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08673093A Expired - Lifetime JP3367136B2 (ja) | 1993-03-22 | 1993-03-22 | 熱可塑性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3367136B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001046316A1 (fr) * | 1999-12-21 | 2001-06-28 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Composition de resine thermoplastique |
JP2002234974A (ja) * | 2001-02-08 | 2002-08-23 | Asahi Kasei Corp | エチレン系樹脂組成物およびそれを用いた押出成形品 |
JP2002284944A (ja) * | 2001-03-23 | 2002-10-03 | Asahi Kasei Corp | 熱可塑性軟質樹脂組成物 |
US20030181584A1 (en) | 2002-02-07 | 2003-09-25 | Kraton Polymers U.S. Llc | Elastomeric articles prepared from controlled distribution block copolymers |
US7141621B2 (en) | 2002-02-07 | 2006-11-28 | Kraton Polymers U.S. Llc | Gels from controlled distribution block copolymers |
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JP5978512B2 (ja) * | 2013-01-22 | 2016-08-24 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 樹脂組成物 |
-
1993
- 1993-03-22 JP JP08673093A patent/JP3367136B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06271717A (ja) | 1994-09-27 |
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