JP5978512B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、成形用の樹脂組成物に関する。
従来より、各種容器、キャップ、フィルムなどの部材には樹脂成形体が使用されてきた。この樹脂成形体は成形性、機械的強度、リサイクル性および経済性などの観点からポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂が使用されることが多い。近年では、これらの樹脂成形体に対して、美麗な外観、高い意匠性が求められており、消費者が商品を購入する大きな訴求点となっているため、例えば、シャンプーのボトルや飲料ボトルのキャップに、パール調光沢を付与することで高級感を演出している。
樹脂成形体にパール調光沢を付与する方法としては、チタン系パール顔料などのパール調光沢発現剤を成形体の表面に塗布、または、樹脂成形体に練りこむ方法のほかに、屈折率の異なるポリマー同士をブレンドする方法が知られている。前者の方法は、パール調光沢発現剤の表面で光が反射し、それらが干渉することでパール調光沢を発揮する。一方後者の方法は、屈折率の異なる樹脂界面で光が反射、屈折し、これらが干渉することでパール調光沢が得られる。前記後者の方法は、特許文献1おいてスチレン系樹脂とプロピレン系樹脂を配合した樹脂組成物が開示されている。
しかしこのようなパール調光沢を有するポリマーブレンドに対し、さらに着色目的で着色剤を配合し成形した場合、成形体には色ムラが発生してしまう。中でも、着色剤としてカーボンブラックのような低い明度を呈する顔料や、フタロシアニンブルーのような寒色系の色相を呈する顔料(以下、これらを低反射率顔料とする)を配合し成形した場合、成形体の色ムラはより顕著に目立ちやすくなる問題があった。一方で、着色剤として赤色や黄色などの暖色系の色相を呈する顔料を配合し成形した場合、成形体の色ムラは発生するものの、あまり目立たなく大きな問題にはならなかった。
特開平6−192501号公報
しかし、従来の樹脂組成物は、屈折率が異なる2種類の樹脂を配合し、その屈折率差によりパール調光沢を得ていたが、さらに顔料を配合して有色のパール調成形体を成形した場合、色ムラが生じてパール調光沢が低下する問題があった。
本発明は、色ムラを抑制した有色のパール調成形体を成形できる樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、スチレンモノマー70重量%を超えて反応して得たポリスチレン樹脂(B)1〜60重量部と、スチレンモノマー70重量%以下を反応して得たスチレン系共重合体(C)1〜40重量部と、顔料(D)とを含み、
前記ポリオレフィン樹脂(A)の温度220℃、せん断速度:240sec-1における溶融粘度をηA、前記ポリスチレン樹脂(B)の溶融粘度をηBとしたときに、ηA/ηBが0.25以上5以下であり、
さらに、顔料(D)は、波長380〜750nmにおける平均反射率が10%以下を示す黒色顔料、および波長380nm〜500nmにおいて最大反射率が3%以上のピークを示す有彩色顔料を少なくともいずれか含む樹脂組成物である。
上記構成の本発明によれば、ポリオレフィン樹脂(A)の特定条件における溶融粘度、およびポリスチレン樹脂(B)の特定条件における溶融粘度の比率を特定範囲に設定することにより、樹脂組成物を成形した成形体は、色ムラが著しく抑制されていた。これに加えて顔料の反射率を制御することで、前記成形体の質感(艶や深み)が向上し、一層の外観向上が図れるという特筆すべき効果が得られた。
本発明により色ムラを抑制した有色のパール調成形体を成形できる樹脂組成物を提供できた。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、スチレンモノマー70重量%を超えて反応して得たポリスチレン樹脂(B)1〜60重量部と、スチレンモノマー70重量%以下を反応して得たスチレン系共重合体(C)1〜40重量部と、顔料(D)とを含む。そして、前記ポリオレフィン樹脂(A)の温度220℃、せん断速度:240sec-1における溶融粘度をηA、前記ポリスチレン樹脂(B)の温度220℃、せん断速度:240sec-1における溶融粘度をηBとしたときに、ηA/ηBは0.25以上5以下である。その理由は、溶融粘度が異なる複数の樹脂を配合した樹脂組成物で、パール調成形体を得る場合、成形工程で各樹脂は溶融粘度が異なるため延伸挙動に違いが出るため、成形体の延伸ムラにより成形体のパール調光沢にムラが生じる。しかし、顔料(特に前記低反射率顔料)を配合し有色のパール調成形体とした場合、前記延伸挙動の違いは顕著な色ムラになり成形体の商品性を大きく低下させていた。そこでηA/ηBを0.25以上5以下に制御することで色ムラを抑制することができた。なおポリスチレン樹脂(B)は、スチレン系共重合体(C)を含まない。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
ポリオレフィン樹脂(A)は、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の単独重量体、共重合体を主成分とするものが好ましい。具体的には、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−メチルメタクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、ポリブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテン共重合体およびエチレン系アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。これらの中でもポリオレフィン樹脂としては、安価かつ加工性に優れ、各種工業部品・家電製品などに幅広く使用されているポリプロピレン系樹脂、およびポリエチレン系樹脂が好ましい。
本発明でポリプロピレン系樹脂は、例えばホモポリプロピレン、ブロックプロピレン共重合体、ランダムプロピレン共重合体、エチレンプロピレン共重合ゴム、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリプロピレンの他に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、グリシジル(メタ)アクリレート変性ポリプロピレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性ポリプロピレン等の変性ポリプロピレン樹脂が挙げられる。好ましいポリプロピレン系樹脂としては、結晶化度が低く結晶部における光散乱(白ボケ)の影響が小さいランダムプロピレン共重合体が挙げられる。
本発明でポリエチレン系樹脂(A)は、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリエチレン、環状ポリエチレンの他に無水マレイン酸変性ポリエチレン、グリシジル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン等の変性ポリエチレン樹脂が挙げられる。好ましいポリエチレン系樹脂としては、結晶化度が低く結晶部における光散乱(白ボケ)の影響が小さい低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(A)の溶融粘度は、温度:220℃、せん断速度:240sec-1において、50〜1500Pa・sであることが好ましく、100〜1000Pa・sであることがより好ましい。前記溶融粘度を50〜1500Pa・sの範囲にすることでパール調をより向上できる。溶融粘度が50Pa・s以上あることで、顔料(D)を使用した場合でも、成形体は光輝感を向上することができる。これは被分散樹脂(マトリクス樹脂)であるポリオレフィン(A)の粘度が50Pa・s以上あることで、分散樹脂(ドメイン樹脂)であるポリスチレン樹脂(B)へのせん断応力が高くなり、ポリスチレン樹脂(B)の分散性が向上する。そのため、成形体におけるポリスチレン樹脂(B)がより細かく分散し、その表面積が増加し、両樹脂の界面で干渉し合う光の量が増加する。
また、溶融粘度が1500Pa・s以下であると、成形体の色ムラを低減することができる。これは射出成形やブロー成形など金型を有する成形法では、金型との摩擦を起因とした延伸ムラが発生してしまうが、ポリオレフィン樹脂(A)が溶融粘度1500Pa・s以下であることで金型との摩擦を軽減し、延伸ムラによる色ムラの発生が抑制できたと推測している。また一方で、押出成形のような金型を使用しない成形法では、成形機の樹脂開放部であるリップ部と樹脂との摩擦により流動ムラを起因とした延伸ムラが発生してしまうが、ポリオレフィン樹脂(A)が溶融粘度1500Pa・s以下であることで金型との摩擦を軽減し、延伸ムラを抑制した結果、成形体中における色ムラが抑制できたと推測している。なお、本発明において溶融粘度とは、東洋精機製作所製キャピログラフ 1D(キャピラリー長:10mm、キャピラリー径:1mm)を用いて、ポリオレフィン樹脂(A)を温度:220℃、せん断速度:240sec-1において測定した値を示す。
また、ポリオレフィン樹脂(A)の23℃におけるD線屈折率(JIS K 7142)は、1.35〜1.65であることが好ましく、1.40〜1.60がより好ましく、1.45〜1.55が特に好ましい。D線屈折率が1.35〜1.65の範囲にあることでパール調光沢を得易くなる。
<ポリスチレン樹脂(B)>
ポリスチレン樹脂(B)は、スチレンモノマーを70重量%を超えて使用したモノマーを重合して得た樹脂である。スチレンモノマーの使用量の上限は100重量%である。スチレンモノマーを100重量%未満使用する場合、ビニル系モノマーを併用して共重合する。
前記ビニル系モノマーは、例えばα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンまたはp−メチルスチレン、2,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、o−ブチルスチレン、m−ブチルスチレンまたはp−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸化合物が挙げられ、それらはそれぞれ一種又は二種以上用いることができる。上記の中でも、透明性や加工性、物性バランスに優れるスチレンモノマーを単独重合させたポリスチレンが特に好ましい。
また、ポリスチレン樹脂(B)においてスチレンモノマーを100重量%未満使用する場合、スチレンにゴム状重合体を重合することにより得られる耐衝撃性ポリスチレンも用いることができる。ただし、ゴム状重合体の使用量は、ポリスチレン樹脂(B)100重量%あたり30重量%未満である。
前記ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリクロロプレンなどのジエン系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン(エチリデンノルボルネン、ジシクロオペンタジエン等)共重合体などのエチレン−プロピレン系ゴム、ポリブチルアクリレートなどのアクリル系ゴム等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。
また、耐衝撃性ポリスチレンの中でも、透明性に優れたグレードを好ましく使用することができる。透明性に優れた耐衝撃性ポリスチレンとして市場より入手可能なグレードとしては、例えば、旭化成ケミカルズ社製「アサフレックス」シリーズ、PSジャパン社製「SX100、SX300」、DIC社製「クリアパクトTI−300」などを挙げることができる。
ポリスチレン樹脂(B)の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、1〜60重量部が好ましく、3〜50重量部がより好ましい。1重量部未満の場合は、十分なパール調光沢が得られず、60重量部を超えて添加しても、更なるパール調光沢は得られない。
ポリスチレン樹脂(B)の溶融粘度は、温度:220℃、せん断速度:240sec-1において、50〜1500Pa・sであることが好ましく、100〜1000Pa・sであることがより好ましい。前記溶融粘度を50〜1500Pa・sの範囲にすることでパール調をより向上できる。なお、ポリスチレン樹脂(B)の溶融粘度は、ポリオレフィン樹脂(A)の溶融粘度と同様の方法、条件で測定した値を示す。
また、ポリスチレン樹脂(B)の23℃におけるD線屈折率(JIS K 7142)は、1.45〜1.75であることが好ましく、1.50〜1.70がより好ましく、1.55〜1.65が特に好ましい。D線屈折率が1.45〜1.75の範囲にあることでパール調光沢を得易くなる。
<スチレン系共重合体(C)>
本発明においてスチレン系共重合体(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)とポリスチレン樹脂(B)の相溶性を向上させる目的で使用する。具体的には、例えば70重量%以下のスチレンモノマーを含む芳香族ビニル化合物と、オレフィン系化合物または共役ジエン化合物とを共重合したランダム共重合体またはブロック共重合体またはグラフト共重合体である。
前記ブロック共重合体は、前記芳香族ビニル化合物を重合した重合体ブロックをAで、オレフィン系化合物または共役ジエン化合物を重合した重合体ブロックをBで表したときに、下記3つの式で表すことができる。式(1):A−B、式(2):(A−B)m〔式中、mは1〜10の整数を表す〕、式(3):(A−B)n−A〔式中、nは1〜10の整数を表す〕。これらのなかでもA−B−Aのトリブロック共重合体が好ましい。
また、前記グラフト共重合体は、前記芳香族ビニル化合物を重合した重合体ブロックをAで、オレフィン系化合物または共役ジエン化合物を重合した重合体ブロックをBで表したときに、Aからなる主鎖にBが1本または複数本グラフトされたタイプであっても、Bからなる主鎖にAが1本または複数本グラフトされたタイプであってもよい。前記後者のタイプが前者のタイプに比べてより好ましい。
前記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンまたはp−メチルスチレン、2,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、o−ブチルスチレン、m−ブチルスチレンまたはp−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。これらの中でもスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。
前記スチレン系共重合体(C)中の芳香族ビニル化合物単位の含有量は、スチレン系共重合体100重量%中、好ましくは5〜70重量%であり、より好ましくは15〜60重量%である。5〜70重量%を含有することで、ポリオレフィン樹脂(A)およびポリスチレン樹脂(B)との相溶性がより向上し、パール調光沢が得易くなる。
前記オレフィン系化合物は、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、シクロペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、シクロヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、シクロオクテン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘプテン、ビニルシクロオクテンなどが挙げられる。
前記共役ジエン化合物は、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。
前記重合体ブロックBは、前記オレフィン系化合物および前記共役ジエン化合物のうち少なくとも1種を使用することが好ましい。具体的にはエチレン、プロピレン、ブテンおよびイソプレンのうち1種以上を使用することが好ましい。
さらに前記重合体ブロックBは、共役ジエン化合物に由来する脂肪族炭素−炭素二重結合が水素添加されていることがより好ましい。脂肪族炭素−炭素二重結合の水素添加率は、樹脂組成物の組成、用途等によって適宜選択されるが、耐熱性、耐候性等が重視される場合には、重合体ブロックBを構成する繰り返し単位の総モル量に対し、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。なお、脂肪族炭素炭素二重結合の水素添加率は、一般に用いられている方法、例えば、ヨウ素価測定法、1H−NMR測定等によって算出することができる。
本発明のスチレン系共重合体(C)の好ましい具体例としては、ポリスチレン−ポリイソプレンジブロック共重合体またはその水素添加物、ポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体またはその水素添加物、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体またはその水素添加物、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体またはその水素添加物、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体またはその水素添加物、ポリスチレン−ポリ(エチレン/イソプレン)−ポリスチレントリブロック共重合体またはその水素添加物、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体またはその水素添加物、ポリエチレン−ポリスチレンのグラフト共重合体などが挙げられる。前記スチレン系共重合体に含まれるポリスチレンの代わりに、ポリ(α−メチルスチレン)を使用したものも好ましく挙げられる。
また、前記スチレン系エラストマー(C)は、本発明の趣旨を損なわない範囲で主鎖、側鎖、分子鎖の片末端または両末端にカルボキシル基またはその塩、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、エステル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホン酸基またはその誘導体、アミド基、メルカプト基、ハロゲン原子等の極性官能基を含有していてもよい。
前記スチレン系共重合体(C)の含有量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。1〜40重量部を含むことでポリオレフィン樹脂(A)とポリスチレン樹脂(B)の相溶性が向上し、パール調光沢が得易くなる。
前記スチレン系共重合体(C)の溶融粘度は、温度:220℃、せん断速度:240sec-1において、50〜1500Pa・sであることが好ましく、100〜1000Pa・sであることがより好ましい。前記溶融粘度を50〜1500Pa・sの範囲にすることでパール調をより向上できる。スチレン系共重合体(C)の溶融粘度は、ポリオレフィン樹脂(A)、ポリスチレン樹脂(B)の溶融粘度と同様の方法、条件で測定した値を示す。
また前記スチレン系共重合体(C)の加熱減量は290℃において20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。加熱減量が20%以下になることでスチレン系共重合体(C)の熱劣化を抑制できる。なお加熱減量は、例えばセイコーインスツル社製TG/DTA 220を用いて求めることができる。具体的には、スチレン系共重合体(C)をドライエアー雰囲気下(50ml/min.)において、30℃〜300℃まで10℃/min.で昇温し、290℃において減少した重量%を加熱減量とする。
<顔料(D)>
本発明において顔料(D)は、波長380〜750nmにおける平均反射率が10%以下を示す黒色顔料、および波長380nm〜500nmにおいて最大反射率が3%以上のピークを示す有彩色顔料を少なくともいずれか含むことが必要である。前記反射率特性を示す顔料を少なくとも1種類含むことで、樹脂組成物を成形した成形体の質感(艶や深み)が向上し、一層の外観向上を図ることができる。このことは、顔料(D)が未配合である本発明の樹脂組成物を成形した成形体から光干渉効果により発せられるパール調光沢 が、白色でありながらも若干青味を帯びていることに起因していると思われる。つまり、波長380〜750nmにおける平均反射率が10%以下を示す黒色顔料を使用することで、白色のパール調がより引き立てられる。一方、波長380nm〜500nmにおいて最大反射率が3%以上のピークを示す有彩色顔料を使用することで、パール調光沢の青味成分により、有彩色顔料の彩色効果が高まり、質感の向上に繋がったと考えられる。
なお、反射率は、顔料をポリプロピレン樹脂に練りこみ作成したシートの反射率を測定することにより求められる。測定試料は、顔料0.25重量部とポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、ランダムプロピレン共重合体、J226ED)100重量部とを混合し、これらを180℃に加熱した2本ロールを用いて5分間溶融混練を行った後、180℃に加熱したプレス成形機を用いて厚さ2mmのプレスシートを作製することで得られる。また反射率とは、波長300〜800nmの各波長において、標準白板(硫酸バリウム)の拡散反射率を100%とした時の、測定試料の拡散反射率を示す。また反射率の測定機器は島津製作所社製UV−3150を用いた。なお、本発明で言う「平均反射率が10%以下」とは、波長380〜750nmにおける各波長(1nm毎)の反射率の相加平均値と定義する。また、「最大反射率が3%以上のピーク」とは、波長300〜800nmの反射率における最も低い値(最低値はベースライン)に対して、波長380〜500nmの範囲内に現れる3%以上高い極大ピークと定義する。
さらに、前記黒色顔料および有彩色顔料の平均1次粒子径は0.01〜5μmが好ましく、0.01〜3μmがさらに好ましい。本発明では、前記溶融粘度の制御に加えて、顔料(D)の平均粒子径を制御することで良好な有色のパール調光沢が得られる。なお、顔料(D)の平均1次粒子径は、JIS Z8901−2006「試験用粉体及び試験用粒子」5.4.4粒子経分布(c)顕微鏡法に準拠し、振掛け法によって準備した試料を透過型電子顕微鏡で5万〜100万倍に拡大して観察した画像(約20〜50個程度)の粒子を観察して算出される円相当径の相加平均値である。
前記黒色顔料は、例えばアニリンブラック、アンスラキノンブラック、ペリレンブラックなどの有機黒色顔料、カーボンブラック、ランプブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、マグネタイト、鉄−チタン複合酸化物、酸化コバルト、二酸化マンガン、硫化亜鉛、銅−クロム複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、チタン−バナジウム−アンチモン複合酸化物、コバルト−ニッケル複合酸化物、マンガン−鉄複合酸化物、鉄−コバルト−クロム複合酸化物、銅−クロム複合酸化物、鉄−コバルト複合酸化物、クロム−鉄−ニッケル複合酸化物、二硫化モリブデン、低次酸化チタン、窒化チタン、酸化クロムなどの無機黒色顔料である。また具体的な茶色顔料としては、鉄−クロム複合酸化物などであり、カラーインデックス番号としては、C.I.Pigment Black 1、6、7、10、11、12、13、14、17、20、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、Pigment Brown 29などである。上記の中でも、波長380〜750nmにおいて低い反射率を示すPigment Black 7を使用することが好ましい。
前記有彩色顔料は、公知の赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料などが好ましい。顔料(D)が赤色顔料の場合の具体例は、青味の色相を示すナフトール系顔料、溶性アゾ顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ペリレン系顔料などであり、カラーインデックス番号としては、C.I.Pigment Red 31、48:2、48:4、122、177、179である。上記の中でも、強い青みの色相を示すPigment Red 122を使用することが好ましい。
前記紫色顔料は、例えばモノアゾ系顔料、各種ローダミン、メチルバイオレットレーキ、アリザリンバイオレット、アンスラキノンバイオレット、コバルトバイオレット、リン酸コバルトアンモニウム、ウルトラマリンバイオレット、マンガンバイオレット、キナクリドンバイオレット、キナクリドンパープル、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレット、ベンズイミダゾロンバイオレット、インダスレンバイオレット、クリスタルバイオレットなどであり、カラーインデックス番号は、C.I.Pigment Violet 1、1:1、1:2、2、2:2、3、3:1、3:2、3:3、5、5:1、7、13、14、15、16、17、18、19(β型)、23、25、27、29、31、32、36、37、39、42、44、47、48、49、50、55、58などである。上記の中でも、耐候性、耐熱性、色相に優れたPigment Violet 19(β型)を使用することが好ましい。
前記青色顔料は、例えばビクトリアブルー、各種フタロシアニンブルー、ブリリアントブルーレーキ、各種ナフトール、プルシアンブルー、コバルトブルー、ウルトラマリンブルー、アッシュブルー、エジプシャンブルー、スマルト、マンガンブルー、硫化銅、セルリアンブルー、コバルトアルミブルー、リフレックスブルー、インダスレンブルー、アルカリブルー、インジコカルミンレーキ、ブルージルコン、コバルトシリケートブルー、ベンズイミダゾロンジオキサジンなどであり、カラーインデックス番号は、C.I.Pigment Blue 1、1:2、9、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、15:34、16、17、24、25、27、27:1、28、29、30、31、32、33、34、35、36、36:1、60、61、61:1、62、63、66、68、71、72、73、74、75、76、79、80、81、82、84、128などである。上記の中でも、色相と耐熱性に優れ、高い透明性と着色力を有するPigment Blue 15、15:1、15:3を使用することが好ましい。
前記緑色顔料は、例えばブリリアントグリーンレーキ、ファーストグリーンレーキ、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、ニトロソグリーン、ニッケルアゾイエロー、カドミウムグリーン、クロムグリーン、ジンクグリーン、コバルトクロムグリーン、マラカイトグリーン、銅フェロシアニド、クロムシアニングリーン、コバルトチタニウムグリーン、ビクトリアグリーンガーネット、ニッケルグリーンオリバインなどであり、カラーインデックス番号は、C.I.Pigment Green 1、2、4、7、8、10、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、36、38、39、41、42、45、48、50、51、55、56などである。上記の中でも、耐熱性と色相に優れたPigment Green 7、36を使用することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、また、顔料(D)は、所望の色相に応じて単独または2種以上使用できる。例えば、緑色を再現するために上記に挙げた青色顔料と適当な黄色顔料を併用することもできる。
顔料(D)は、各種金属石鹸、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンなどを含む低分子量ワックスなどで顔料(D)を高濃度に含む中間体(マスターバッチともいう)を作製し、それを希釈して使用して成形体を成形しても良い。
本発明の樹脂組成物中では、顔料(D)を0.0001〜0.5重量%含むことが好ましい。顔料(D)が前記範囲にあることで、さらに良好な着色のパール調、およびさらに優れた艶と深みを持つ成形体が得られる。なお顔料(D)は、0.001重量%以上含むことがより好ましい。
また、顔料(D)の屈折率は、1.35〜1.75であることが好ましい。屈折率を前期範囲にすることでポリオレフィン樹脂(A)およびポリスチレン樹脂(B)の屈折率との差を減らすことが出来る。なお屈折率は、23℃におけるD線屈折率(JIS K 7142)である。
本発明の樹脂組成物には、さらに物性強化や加工性改良のため、タルク、マイカ、ガラス繊維などの無機フィラーを含んでいても構わない。また、成形体の外観、加工性に影響を及ぼさない範囲で、1種類以上の添加剤や無機充填材を適宜配合しても良い。使用される添加剤としては、特に制限は無く、例えば、一般に使用される各種レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性剤、過酸化物分解剤、加工安定剤、核剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、ゲル化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、防錆剤、蛍光性増白剤、流動性改質剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
また、無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、板状又は鱗片状のガラス、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、マイカ、タルク、クロライト、ワラストナイト、カオリナイト、焼成クレー、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)とポリスチレン樹脂(B)とスチレン系エラストマー(C)と顔料(D)とを加え、さらに必要に応じて各種フィラーや添加剤等を加え、ヘンシェルミキサー、タンブラーまたはディスパー等で混合し、さらにニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライターまたはバンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合、あるいは溶融混練分散し、ペレット状、粉体状、顆粒状またはビーズ状等の形状の樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物の製造は、ポリオレフィン樹脂(A)とポリスチレン樹脂(B)とスチレン系エラストマー(C)と顔料(D)とを混合、溶融混練する順序は特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)と顔料(D)とを混合、溶融混練後に(B)と(C)と再度混合、溶融混練してもよいし、(B)と(D)とを混合、溶融混練後に(A)と(C)と再度混合、溶融混練してもよいし、(A)と(B)と(C)とを混合、溶融混練後に(D)と再度混合、溶融混練してもよいし、(B)と(C)と(D)とを混合、溶融混練後に(A)と再度混合、溶融混練してもよいし、(A)と(C)と(D)とを混合、溶融混練後に(B)と再度混合、溶融混練してもよいし、(A)と(B)と(C)と(D)とを一度に混合、溶融混練しても良い。
また、本発明の樹脂組成物は、成形体と同濃度の原料成分を含有するコンパウンドの形態、または本発明の樹脂組成物の構成原料の一部を高濃度に含むマスターバッチを経由して得られた形態であっても良い。
本発明の成形体は、前記樹脂組成物を成形して得た成形体である。好ましい成形方法としては例えば、射出成形、フィルム成形(Tダイ成形、インフレーション成形、カレンダー成形)、シート成形、チューブ成形、パイプ成形などの押出成形、ブロー成形(ダイレクトブロー成形、二軸延伸ブロー成形)、延伸成形などが挙げられる。特に好ましい成形方法としては、射出成形、Tダイ成形、ダイレクトブロー成形が挙げられる。
本発明の成形体は、色ムラを抑制し、艶やかで深みのある有色のパール調の外観が特徴である。そのため、人間の目に触れる用途に広く使用できる。その中でも例えば一般装飾品や化粧品容器のみならず、各種家電、エレクトロニクスの内外装部品やハウジング、車両用ランプハウジングとして好ましく使用できる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例で使用した原料を示す。また、前記各成分の配合比を表1〜表5に示す。なお、配合欄の数値は、顔料(D)のみ本発明の樹脂組成物100重量%中の重量%を示し、その他成分はポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対する重量部を示す。
[ポリエチレン樹脂]
(A−1):高密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、ハイゼックス88 00B、溶融粘度:1482Pa・s)
(A−2):高密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、ハイゼックス60 08B、溶融粘度:932Pa・s)
(A−3):低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ社製、サンテックM19 20、溶融粘度:415Pa・s)
(A−4):低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ社製、サンテックM22 70、溶融粘度:247Pa・s)
(A−5):低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ社製、サンテックM65 20、溶融粘度:172Pa・s)
(A−6):低密度ポリエチレン(東ソー社製、ペトロセン353、溶融粘度 :38Pa・s)
なお、溶融粘度は温度:220℃、せん断速度:240sec-1下における値である。
[ポリプロピレン樹脂]
(A−7):ランダムプロピレン共重合体(日本ポリプロ社製、ノバテックE G7F、溶融粘度:691Pa・s)
(A−8):ランダムプロピレン共重合体(プライムポリマー社製、J229 E、溶融粘度:199Pa・s)
なお、溶融粘度は温度:220℃、せん断速度:240sec-1下における値である。
[ポリスチレン樹脂]
(B−1):汎用ポリスチレン(PSジャパン社製、SGP10、溶融粘度: 595Pa・s)
(B−2):汎用ポリスチレン(PSジャパン社製、HF77、溶融粘度:3 62Pa・s)
(B−3):汎用ポリスチレン(東洋スチレン社製、G100C、溶融粘度: 241Pa・s)
(B−4):耐衝撃性ポリスチレン(PSジャパン社製、408、溶融粘度: 429Pa・s)
なお、溶融粘度は温度:220℃、せん断速度:240sec-1下における値である。
[スチレン系共重合体]
(C−1):ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブタジエン)−ポリスチレント リブロック共重合体の水素添加物(旭化成ケミカルズ製、タフテ ックH1043、スチレン含有率:67%、溶融粘度:418P a・s)
(C−2):ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブタジエン)−ポリスチレント リブロック共重合体の水素添加物(クラレ製、セプトン8076 、スチレン含有率:30%、溶融粘度:160Pa・s)
(C−3):ポリスチレン−ポリ(ブチレン/ブタジエン)−ポリスチレント リブロック共重合体の水素添加物(旭化成ケミカルズ製、タフテ ックP2000、スチレン含有率:67%、溶融粘度:230P a・s)
(C−4):ポリスチレン−ポリイソプレンジブロック共重合体の水素添加物 (クラレ製、セプトン1020、スチレン含有率:36%、溶融 粘度:1220Pa・s)
(C−5):水酸基で変性されたポリスチレン−ポリ(エチレン/イソプレン )−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(クラレ製 、セプトンHG252、スチレン含有率:28%、溶融粘度:4 71Pa・s)
(C−6):ポリエチレン−ポリスチレンのグラフト共重合体(日油製、モデ ィパーA1100、スチレン含有率:30%、溶融粘度:554 Pa・s)
なお、溶融粘度は温度:220℃、せん断速度:240sec-1下における値である。
[黒色顔料]
(D−1):カーボンブラック(C.I.Pigment Black 7、 平均反射率:1.6%、平均一次粒子径:0.024μm)
[有彩色顔料]
(D−2):β型フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15:3、反射極大波長:450nm、最大反射率:10.5 %、平均一次粒子径:0.1μm)
(D−3):キナクリドン系レッド(C.I.Pigment Red 12 2、反射極大波長:402nm、最大反射率:5%、平均一次粒 子径:0.12μm)
(D−4):ジスアゾ系イエロー(C.I.Pigment Yellow 180、380〜500nmにおいて反射極大ピークなし、平均 一次粒子径:0.23μm)
(D−5):群青(C.I.Pigment Blue 29、反射極大波長 :424nm、最大反射率:9%、平均一次粒子径:2μm)
なお、平均反射率は波長380〜750nmにおける各波長の拡散反射率の相加平均値を示し、最大反射率は波長300〜800nmの反射率における最も低い値(ベースライン)に対して、波長380〜500nmの範囲内に現れる3%以上高い極大ピークの拡散反射率を示す。
[その他]
(E−1):ステアリン酸亜鉛/ステアリン酸カルシウム混合物(混合比率: 1/1)
(実施例1)
(1)樹脂組成物の製造
(A−2)100重量部と、(B−3)20重量部と、(C−2)10重量部と、(D−1)0.01重量部と、(E−1)0.01重量部とをドライブレンドし、攪拌羽回転速度300rpmで3分間攪拌・混合した。これを、設定温度220℃の二軸押出機(日本プラコン社製)に投入して溶融混練・造粒することにより樹脂組成物を得た。
(2)成形体の製造
得られた樹脂組成物を、シリンダー設定温度220℃、金型温度40℃の射出成形機(東芝機械社製、IS100型)に投入して成形し、表面が鏡面の板材(縦100mm×横100mm×厚さ2mm)を得た。
(3)評価
得られた成形体を以下の方法により評価を行った。評価結果を表に示す。
(3−1)光輝感(パール調光沢の強さ)
板材表面の光輝感について、目視観察により評価した。試験は調色検査に携わる専門パネル(10名)が行い、以下の基準で評価を行った。
<評価基準>
極めて良好「4」:8名以上が光輝感を感じると判断
良好「3」:5〜7名が光輝感を感じると判断
やや良好「2」:2〜4名が光輝感を感じると判断
不良「1」:1名以下が光輝感を感じると判断
(3−2)質感(艶やかさ、深み)
板材表面の質感について、目視観察により評価した。試験は調色検査に携わる専門パネル(10名)が行い、以下の基準で評価を行った。
<評価基準>
極めて良好「4」:8名以上が滑らかさ、深みを感じると判断
良好「3」:5〜7名が滑らかさ、深みを感じると判断
やや良好「2」:2〜4名が滑らかさ、深みを感じると判断
不良「1」:1名以下が滑らかさ、深みを感じると判断
(3−3)色ムラ
板材表面の任意の5点をコンピュータカラーマッチングシステム(CCM)(倉敷紡績社製、AUCOLOR VP−2)にて、ΔE値を標準光源D−65、拡散照明10°にて測定し、その平均値を以下の基準で色ムラを評価した。
[平均ΔE値] 極めて良好「4」:0.3未満
良好「3」:0.3以上0.5未満
やや良好「2」:0.5以上1未満
不良「1」:1以上
(3−4)総合評価
更に、上記評価を以下の基準で等級付けし、本発明の樹脂組成物として「極めて良好」・「良好」なものを合格とし、「不良」なものを不合格とした。
極めて良好「A」 全て4。
良好「B」 2または3を1個以上含み、1を含まない。
不良「C」 1を1個以上含む。
(実施例2〜50、比較例1〜23)
原料を表1〜5に示す種類および配合量で使用した以外は、実施例1と同様に行い樹脂組成物を得た。評価結果を表1〜5に示す。
Figure 0005978512
Figure 0005978512
Figure 0005978512
Figure 0005978512
Figure 0005978512
表1〜5の結果から明らかなように、実施例1〜50の成形体は、いずれも色ムラがなく強いパール調光沢を発揮し、その質感も艶やかで深みがあり高い意匠性を備えていた。中でも、顔料(D)として、黒色顔料であるカーボンブラック(D−1)または青味の色相を示すフタロシアニンブルー(D−2)、キナクリドン系レッド(D−3)を使用したときに、特に優れたパール調や質感を発揮していた。一方、比較例1〜5に示すポリオレフィン樹脂(A)とポリスチレン樹脂(B)の溶融粘度比が0.25未満または5を超える成形体では、色ムラが発生し、成形体から発せられるパール調光沢も弱く、その質感も艶やかさや深みが欠如しており、見劣りしていた。これはポリスチレン樹脂(B)がポリオレフィン樹脂(A)中に均一微細な分散状態を形成できず、パール調や質感が影響を受けているためである。さらに成形時に、成形体箇所毎の延伸ムラが起こりやすくなり、色ムラが発生したと考えられる。また、本発明の顔料(D)を含まない比較例18〜20の成形体は、色ムラは目立ちにくいが、パール調光沢感と質感に欠ける結果であった。これは、使用する顔料(D)の反射率特性により、パール調光沢感や質感が影響を受けることを示している。

Claims (4)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)100重量部と、スチレンモノマー70重量%を超えて反応して得たポリスチレン樹脂(B)1〜60重量部と、スチレンモノマー70重量%以下を反応して得たスチレン系共重合体(C)1〜40重量部と、顔料(D)とを含み、
    前記ポリオレフィン樹脂(A)の温度220℃、せん断速度:240sec-1における溶融粘度をηA、前記ポリスチレン樹脂(B)の溶融粘度をηBとしたときに、ηA/ηBが0.25以上5以下であり、
    さらに、顔料(D)は、波長380〜750nmにおける平均反射率が10%以下を示す黒色顔料、および波長380nm〜500nmにおいて最大反射率が3%以上のピークを示す有彩色顔料を少なくともいずれか含む樹脂組成物。
  2. 前記顔料(D)は、平均1次粒子径が0.01〜5μmである、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂(A)の溶融粘度ηAが、温度220℃、せん断速度:240sec-1において、50〜1500Pa・sであることを特徴とする、請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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