JP5688389B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体に関し、さらに詳しくは、耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)に優れる上、成形流動性、及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、物性、成形性及び経済性などに優れた材料としてその使用分野が年々拡大し、中でもバンパー、インストルメントパネル、ピラーなどの自動車部品、テレビ、掃除機などの電気機器部品の分野などでは、ポリプロピレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂にタルクなどのフィラーやエラストマー(ゴム)を複合強化した複合ポリプロピレン系樹脂などのポリプロピレン系樹脂組成物が、弾性率と衝撃強度のバランスなどの物性バランス、成形性、リサイクル性や経済性などに優れるため、その成形体を含め広く用いられている。
これらの分野においては、成形体の高機能化、大型化、薄肉化、形状の多様化・複雑化などの進化に対応するため、ポリプロピレン系樹脂組成物やその成形体の成形外観、物性バランス、成形性などのほか、前記組成物や成形体の質感の向上、生産工程の自動化・高効率化や溶剤規制などによる無塗装化の促進などに伴い、成形体の耐傷付性の一層の向上が成形外観の向上とともに、求められている。
なお、本明細書で述べるトラシマ外観(成形外観)とは、樹脂の流れなどに伴って成形体表面に生じるトラシマ(虎縞)模様の発生度合を意味する。該模様が発生し難い(発生するまでの距離が長い、あるいは目立たない)程、成形外観は良好であるといえる。
一方、自動車部品とりわけ自動車内装部品などの成形体の着色は、各種の着色成分(着色剤)を用いておこなわれている。この中でその色合いとしては、質感の向上や光反射性の抑制(防眩性の向上)などの理由から、黒色、漆黒色、濃紺色、濃灰色などの濃色系が比較的好まれるが、グレー色、ベージュ色などの薄色系も含めて、着色成分の少なくとも一種として、さらに濃色系においては、主成分の一つとしてカーボンブラックが用いられる場合が多い。
上記の着色成分としてのカーボンブラックは、隠蔽力、着色力が大きいなどのため着色効果に優れ、しかも該着色成形体の耐久性や経済性にも優れるなどのため広く用いられている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂組成物において、高い弾性率をはじめとして良好な性能バランスを付与し易いなどの理由で広く用いられる無機充填剤であるタルクを含有した場合、前記カーボンブラックを用いて着色した該ポリプロピレン系樹脂組成物は、その成形体表面に擦過力などを受けた場合、擦過力の大きさなどによっては、成形体の該部分が白っぽくみえるいわゆる白化傷が認められる(白化傷が付く)場合がある。
この現象は、前記タルクと、その周囲のポリプロピレン系樹脂などとの界面が、該界面の親和力不足などの理由で剥離するなどして、微細なクラックが入ったり、タルクの表面が剥離域に露呈したりして、該部分が光線乱反射するなどのため、生ずるものと考えられる。
本明細書においては、この様な白化傷が付き易いことを耐傷付性が不良と称するが、この現象や成形外観の改良、向上に関しては、様々な手法が提案されている(例えば特許文献1〜8参照。)。
例えばタルク自体に着目した耐傷付性の向上手法として、特許文献1に、タルクが配合されたオレフィン系重合体組成物でありながら、成形物表面傷は目立たず意匠性、美観、質感等が損なわれるのを防止できるオレフィン系重合体組成物を提供することを課題として、オレフィン系重合体に着色剤被覆タルクが充填材として配合されてなることを特徴とするオレフィン系重合体組成物が記載されている。
該組成物は、傷部分の色が濃く、傷が目立たないことが記載されているが、用いる着色剤被覆タルクの製造に際し、例えば原料タルクの存在下、アルコキシシランをゾル−ゲル反応させるなど、その製造工程が多岐にわたる場合が多いなど組成物の製造コストが高くなり易い傾向がある外、そのトラシマ外観(成形外観)の水準については、記載が無い。
また、変性ポリプロピレンに着目した耐傷付性の向上手法が試みられている。すなわち、特許文献2には、機械的強度及び耐傷付性に優れたポリプロピレン樹脂組成物ならびにその成形体を提供することを課題として、下記(A)〜(C)成分の合計100重量部に対し、(メタ)アクリル酸金属塩がグラフトされた変性ポリプロピレン樹脂(D)を0.1〜20重量部配合して得られ、(A)〜(D)成分の合計量に対し、(メタ)アクリル酸金属塩由来の構成単位を0.001〜2重量%含有することを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物が記載されている。(A)ポリプロピレン樹脂30〜100重量部、(B)熱可塑性エラストマー0〜30重量部、(C)無機フィラー0〜40重量部(ただし、(A)、(B)、(C)の合計は100重量部)。
さらに、特許文献3には、射出成形に好適で、機械的特性に優れ、フローマークやウェルドマークを生じにくく、しかも、低光沢性や耐傷付性に優れた成形品を製造しうるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを課題として、(A)MFR20〜300g/10分のポリプロピレン、(B−1)MFRが0.4g/10分未満のエチレン・α−オレフィン共重合体またはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、(B−2)MFRが0.5g/10分以上、20g/10分未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体、及び(C)無機充填剤からなる(F)樹脂組成物100重量部に対して、(D)変性ポリプロピレン0.1〜5.0重量部、及び(E)表面改質剤0.1〜1.0重量部を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物が記載されている。
これらの組成物は、物性バランスや低光沢性とともに、耐傷付性が良好であることが記載され、(メタ)アクリル酸金属塩がグラフトされた変性ポリプロピレン樹脂の配合や、変性ポリプロピレンと表面改質剤との併用配合が、耐傷付性改良に効果的であることが記載されているが、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性の水準や、そのトラシマ外観(成形外観)の水準については、記載が無い。
また、脂肪酸アミドやアミド化合物に着目した手法が試みられている。すなわち特許文献4には、剛性と耐衝撃性のバランス、及び、耐傷付性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体を提供することを課題として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)50〜90重量%、密度が0.85〜0.885g/cmであるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体ゴム(B)5〜25重量%、及び、無機充填剤(C)5〜25重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド(D)0.1〜1重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物及びそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体が記載されている。
また、特許文献5には、剛性及び衝撃強度に優れ、さらに塗装性及び耐傷付性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる射出成形体を提供することを課題として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、タルク(B)と、オレフィン系エラストマー及びビニル芳香族化合物含有エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー(C)と、アルキルジアルカノールアミド及びアルケニルジアルカノールアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミド化合物(D)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)との合計を100重量%として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が55〜92重量%であり、タルク(B)が5〜25重量%であり、エラストマー(C)が3〜20重量%であり、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とタルク(B)とエラストマー(C)の合計100重量部に対して、アミド化合物(D)0.1〜0.5重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる射出成形体が記載されている。
これらの組成物及びそれからなる射出成形体は、物性バランスや塗装性とともに耐傷付性も良好であり、脂肪酸アミドやアミド化合物の含有が耐傷付性改良に効果的であることが記載されているが、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性の水準や、そのトラシマ外観(成形外観)の水準については、記載が無い。
一方、ポリプロピレン系樹脂組成物の着色における、着色剤などの着色成分自体の酸性、アルカリ性の観点からの成形外観改良などのための着色成分の適性化などに関する方法が種々提案されている(例えば特許文献6〜8参照。)。
例えば特許文献6には、色分れ及び色すじが発生せず、外観均一性に優れた外観良好な成形品を得ることができるポリオレフィン組成物を提供することを課題として、ポリオレフィン(A)及び顔料(B)を含むポリオレフィン組成物であって、顔料(B)がpH5以下のカーボンブラック(B−1)であるポリオレフィン組成物が記載されている。
該組成物は、色分れ及び色すじが発生せず、外観均一性も優れることが記載されているが、耐傷付性の水準、トラシマ外観(成形外観)の水準、成形流動性及び物性バランスについては、記載が無い。
また、特許文献7には、黒色顔料を用いて、無機体質材を5〜40重量%含有するエチレン・プロピレン−ブロック共重合体型ポリプロピレンを着色するに際して、上記色分かれの発生を防止するとともに、発色ブレの極めて少ない黒色顔料及び着色方法を提供することを課題として、着色するに際して、前記黒色顔料として、pH2〜4で、かつ、平均粒径30〜100nmのファーネスタイプカーボンブラックを配合する発色安定性に優れたポリプロピレン着色組成物が記載されている。
該組成物は、色分かれを発生せず、発色ブレが極めて少なく、着色度が大きいことが記載されているが、耐傷付性の水準、トラシマ外観(成形外観)の水準、成形流動性及び物性バランスについては、記載が無い。
さらに、特許文献8には、剛性、衝撃強度、流動性に優れ、かつ、成形体にした場合に成形体に色むらがなく、外観が良好なポリプロピレン系樹脂組成物、及びそれからなる射出成形体を提供することを課題として、ポリプロピレン系樹脂(A)と、エラストマー(B)と、無機充填剤(C)とを含有し(但し、(A)と(B)と(C)の重量合計を100重量部とする)、(A)と(B)と(C)の合計100重量に対して、pHが3以下であるカーボンブラック(D)0.0001〜1重量部と、ステアリン酸亜鉛(E)0.2〜1重量部とを、含有するポリプロピレン系樹脂組成物、及びそれからなる射出成形体が記載されている。
該組成物及びそれからなる射出成形体は、色むらがなく、フローマーク(成形外観)が良好で、流動性(成形性)及び物性バランスにも優れることが記載されているが、耐傷付性の水準については、記載が無い。
上記の様に、ポリプロピレン系樹脂組成物とその成形体においては、その耐傷付性や成形外観などの性能向上のために、様々な手法が試みられているが、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性や、トラシマ外観(成形外観)が、とりわけ自動車内装部品などの工業部品用途などにおいて、不十分であったり、さらに、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスが不十分であった。
こうした状況下に、従来技術における問題点を解消し、耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)に優れる上、成形流動性、及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体が求められていた。
特開2010−202682号公報 特開2010−53332号公報 特表2010−537039号公報 特開2003−286383号公報 特開2006−83251号公報 特開平10−60184号公報 特開2000−169664号公報 特開2006−225418号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、各種成形体とりわけ自動車内装部品用などの成形体を得る際に好適である、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性やトラシマ外観(成形外観)に優れる上、成形流動性、及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリプロピレン系樹脂;55〜73重量%、タルク;15〜25重量%、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR);12〜20重量%、酸変性量が無水マレイン酸換算で0.5〜1.5重量%の変性ポリプロピレン;1〜5重量部(前記ポリプロピレン系樹脂、タルク及びエチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)の合計100重量部当たり)、pHが2〜4.5のカーボンブラック;0.01〜5重量部(前記ポリプロピレン系樹脂、タルク及びエチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)の合計100重量部当たり)、及びエルカ酸アミド;0.1〜5重量部(前記ポリプロピレン系樹脂、タルク及びエチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)の合計100重量部当たり)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体が、耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)に優れる上、成形流動性、及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の成分A〜Fを含有してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分A:下記特性(A1−1)〜(A1−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1を、成分A全体に対し、50〜99重量%と、下記特性(A2−1)〜(A2−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A2を、成分A全体に対し、1〜50重量%とを含有し、かつ、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が22〜75g/10分であるポリプロピレン系樹脂;55〜73重量%
成分B:タルク;15〜25重量%
成分C:エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR);12〜20重量%
成分D:酸変性量が無水マレイン酸換算で0.5〜1.5重量%の変性ポリプロピレン;1〜5重量部
成分E:pHが2〜4.5のカーボンブラック;0.01〜5重量部
成分F:エルカ酸アミド;0.1〜5重量部
(但し、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量は、100重量%であり、成分D、成分E及び成分Fの各々の含有量は、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量100重量部当たりの値である。)
特性(A1−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が200〜300g/10分である。
特性(A1−2):エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対し、10〜20重量%である。
特性(A1−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが6.5〜10dl/gである。
特性(A1−4):成分A1全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が50〜75g/10分である。
特性(A1−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
特性(A2−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が80〜170g/10分である。
特性(A2−2):エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A2全体に対し、20〜40重量%である。
特性(A2−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが2〜6dl/gである。
特性(A2−4):成分A2全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が10〜75g/10分である。
特性(A2−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
また、発明の第2の発明によれば、第1の発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、自動車部品であることを特徴とする成形体が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体は、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性やトラシマ外観(成形外観)に優れ、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れる。
そのため、インストルメントパネル、グローブボックス、ピラー、トリム類などの自動車内装部品をはじめとした各種工業部品などの用途に、好適に用いることができる。
以下、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体について、項目毎に詳細に説明する。
I.ポリプロピレン系樹脂組成物の各構成成分
1.ポリプロピレン系樹脂(成分A)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)に用いられる、ポリプロピレン系樹脂成分A(以下、単に「成分A」ともいう。)は、以下に記述する特性(A1−1)〜(A1−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1を、成分A全体に対し、50〜99重量%と、下記特性(A2−1)〜(A2−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A2を、成分A全体に対し、1〜50重量%とを含有し、かつ、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が22〜75g/10分であるポリプロピレン系樹脂である。
特性(A1−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が200〜300g/10分である。
特性(A1−2):エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対し、10〜20重量%である。
特性(A1−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが6.5〜10dl/gである。
特性(A1−4):成分A1全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が50〜75g/10分である。
特性(A1−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
特性(A2−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が80〜170g/10分である。
特性(A2−2):エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A2全体に対し、20〜40重量%である。
特性(A2−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが2〜6dl/gである。
特性(A2−4):成分A2全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が10〜75g/10分である。
特性(A2−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
成分Aは、本発明の樹脂組成物とその成形体において、成形外観(トラシマ外観)、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスなどを維持、向上することに寄与する特徴を有する。
成分AのMFR(230℃、2.16kg荷重)が22g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体(以下、単に成形体ともいう。)のトラシマ外観(成形外観)や成形流動性が低下するおそれがある。一方、MFRが75g/10分を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
なお、該成分AのMFR値は、前記した様に成分Aが成分A1と成分A2とからなるため、当然ながら成分A1と成分A2とを併用した成分A全体の値である。
なお、本明細書においての全てのMFR値を含めて、該MFR値は、JIS K7210に準拠し、測定温度:230℃、荷重:2.16kgで測定する値である。
1−1.成分A1の特性
本発明に用いられる成分A1は、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、プロピレン重合体部分と、エチレン−プロピレン共重合体部分とからなり、以下に記述する特性(A1−1)〜(A1−5)を満たす。
(1)特性(A1−1):
本発明に用いられる成分A1中のプロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)は、200〜300g/10分であり、好ましくは220〜280g/10分である。該MFRが200g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体のトラシマ外観(成形外観)や成形流動性が低下するおそれがある。一方、該MFRが300g/10分を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
該MFRは、プロピレン重合体部分の重合を終えた時のMFRであり、該重合(プロピレン重合体部分)を多段重合にて行う場合には、最終の重合槽から取り出されるプロピレン重合体部分のMFRである。
(2)特性(A1−2):
本発明に用いられる成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分の割合は、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対し、10〜20重量%であり、好ましくは12〜18重量%である。すなわち、プロピレン重合体部分の成分A1全体に対する割合は、80〜90重量%、好ましくは82〜88重量%である。エチレン−プロピレン共重合体部分が10重量%未満である(すなわち、プロピレン重合体部分が90重量%を超える)と、本発明の樹脂組成物とその成形体の弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
一方、エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が20重量%を超える(すなわち、プロピレン重合体部分が80重量%未満である)と、耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)や、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分の割合は、後述の方法にて測定する値である。
(3)特性(A1−3):
本発明に用いられる成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、6.5〜10dl/gであり、好ましくは6.5〜9dl/gである。固有粘度[η]copolyが6.5dl/g未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体のトラシマ外観(成形外観)や弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
一方、固有粘度[η]copolyが10dl/gを超えると、成形外観(ブツ発生)及び弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、後述の方法にて測定する値である。
(4)特性(A1−4):
本発明に用いられる成分A1全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)は、50〜75g/10分である必要があり、好ましくは52〜72g/10分である。
該MFRが50g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体のトラシマ外観(成形外観)や成形流動性が低下するおそれがある。一方、該MFRが75g/10分を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
(5)特性(A1−5):
本発明に用いられる成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量は、15〜80重量%であり、好ましくは20〜60重量%である。
該エチレン含量が前記範囲外であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、成分A1中のエチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量は、後述の方法にて測定する値である。
1−2.成分A2の特性
本発明に用いられる成分A1は、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、プロピレン重合体部分と、エチレン−プロピレン共重合体部分とからなり、以下に記述する特性(A2−1)〜(A2−5)を満たす。
(1)特性(A2−1):
本発明に用いられる成分A2中のプロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)は、80〜170g/10分であり、好ましくは100〜150g/10分である。該MFRが80g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体のトラシマ外観(成形外観)や成形流動性が低下するおそれがある。一方、該MFRが170g/10分を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
該MFRは、プロピレン重合体部分の重合を終えた時のMFRであり、該重合(プロピレン重合体部分)を多段重合にて行う場合には、最終の重合槽から取り出されるプロピレン重合体部分のMFRである。
(2)特性(A2−2):
本発明に用いられる成分A2中のエチレン−プロピレン共重合体部分の割合は、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A2全体に対し、20〜40重量%であり、好ましくは22〜30重量%である。
すなわち、プロピレン重合体部分の成分A2全体に対する割合は、60〜80重量%、好ましくは70〜78重量%である。エチレン−プロピレン共重合体部分が20重量%未満である(すなわち、プロピレン重合体部分が80重量%を超える)と、本発明の樹脂組成物とその成形体の弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
一方、エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が40重量%を超える(すなわち、プロピレン重合体部分が60重量%未満である)と、耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)や、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、成分A2中のエチレン−プロピレン共重合体部分の割合は、後述の方法にて測定する値である。
(3)特性(A2−3):
本発明に用いられる成分A2中のエチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、2〜6dl/gであり、好ましくは2.5〜4dl/gである。固有粘度[η]copolyが2dl/g未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体のトラシマ外観(成形外観)や弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。一方、固有粘度[η]copolyが6dl/gを超えると、成形外観(ブツ発生)及び弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、成分A2中のエチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、後述の方法にて測定する値である。
(4)特性(A2−4):
本発明に用いられる成分A2全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)は、10〜75g/10分であり、好ましくは20〜50g/10分である。該MFRが10g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体のトラシマ外観(成形外観)や成形流動性が低下するおそれがある。一方、該MFRが75g/10分を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
(5)特性(A2−5):
本発明に用いられる成分A2のエチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量は、15〜80重量%であり、好ましくは20〜60重量%である。該エチレン含量が前記範囲外であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
なお、本明細書において、成分A2中のエチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量は、後述の方法にて測定する値である。
1−3.成分Aの製造
成分Aすなわち成分A1及び成分A2の製造法は、夫々前記特性(A1−1)〜(A1−5)及び特性(A2−1)〜(A2−5)を有している限り、特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられ、例えば、チーグラー系触媒やメタロセン系触媒などを例示することができる。
成分Aは、前記触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法などの製造プロセスを適用することにより得られる。
なお、成分A1の製造法と成分A2の製造法は、同様でもよく、異なっていてもよい。
1−4.配合量比
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物全体に対する成分Aの配合量比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物全体に対する成分A(すなわち成分A1と成分A2の合計量)の配合量は、該成分Aと後記成分Bと後記成分Cとの合計量100重量%に対して、55〜73重量%、好ましくは60〜70重量%である。成分Aの配合量が55重量%未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)及び成形流動性が低下するおそれがある。また、配合量が73重量%を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
(2)成分A全体に対する成分A1と成分A2の各配合量比
前記の様に本発明における成分Aは、前記成分A1と前記成分A2からなることが必要であるが、成分A全体に対する成分A1の配合量は、成分A全体100重量%に対し、50〜99重量%、好ましくは55〜85重量%であり、また、成分A2の配合量は、成分A全体100重量%に対し、1〜50重量%、好ましくは15〜45重量%である。成分A1が50重量%未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体のトラシマ外観(成形外観)及び成形流動性の一層の向上が図れないおそれがある。なお、成分A1及び成分A2は夫々2種以上併用してもよい。
2.タルク(成分B)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる、タルク成分B(以下、単に「成分B」ともいう。)は、板状の形状を有する無機系フィラーである。成分Bは、本発明の樹脂組成物とその成形体の弾性率(剛性)、寸法安定性、環境適応性の各向上などに寄与する特徴を有する。なお、成分Bは2種以上併用してもよい。
2−1.形態、寸法など
成分Bの形態については、一般的な粉末状の外に、取り扱いの利便性などを高めた、圧縮魂状、ペレット(造粒)状、顆粒状などが挙げられるがいずれも使用することができる。
成分Bの平均粒径は、15μm以下のものが好ましく、1〜8μmのものがより好ましい。平均粒径が前記範囲の成分Bは、耐傷付性、弾性率と衝撃強度との物性バランス、及び経済性が特に優れた本発明の樹脂組成物とその成形体が得られ易いなどの点で好ましい。
この平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計などを用いて測定した値であり、測定装置としては、例えば、堀場製作所製LA−920型が挙げられる。また、成分Bは、平均アスペクト比が4以上、特に5以上のものがより好ましい。成分Bのアスペクト比の測定は、顕微鏡などにより測定された値より求められる。
また、成分Bは、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、またはその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどによって表面などを処理したものを用いてもよく、また、2種以上併用して表面などを処理してもよい。
2−2.製造
成分Bの製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法などにて製造される。例えば、天然に産出された原料石を機械的に微粉砕化することにより得られたものを、さらに精密に1回または複数回分級することによって得られる。粉砕機としては、例えば、ジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミルなどを用いることができる。
これらの粉砕された成分Bは、本発明で示される平均粒径に調節するために、例えば、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、サイクロンエアセパレーター、シャープカットセパレターなどの装置で1回または繰り返し湿式または乾式分級する。特定の粒径に粉砕した後、シャープカットセパレターにて、分級操作を行うことが好ましい。
2−3.配合量比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物全体に対する成分Bの配合量は、前記成分Aと該成分Bと後記成分Cとの合計量100重量%に対して、15〜25重量%、好ましくは18〜24重量%である。該成分Bの配合量が15重量%未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。また、配合量が25重量%を超えると、耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
3.エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)(成分C)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)成分C(以下、単に「成分C」ともいう。)は、エチレン系の熱可塑性エラストマー(ゴム)成分である。成分Cは、本発明の樹脂組成物とその成形体の衝撃強度や寸法安定性の向上などに寄与する特徴を有する。なお、成分Cは2種以上併用してもよい。
3−1.物性
成分Cのメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)は、1〜10g/10分が好ましく、2〜6g/10分がより好ましい。該MFRが1g/10分未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の成形流動性が低下するおそれがある。一方、該MFRが10g/10分を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。また、成分C全体中のブテン含量は20〜40重量%が、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の弾性率と衝撃強度との物性バランスをより高度に発現し易いなどの点から、好ましい。
3−2.製造
成分Cの製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法などにてエチレンとブテンの各モノマーを触媒の存在下、共重合することなどにより製造される。触媒としては、例えばハロゲン化チタンの様なチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体の様な有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、またはアルキルアルミニウムクロリドなどのいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号パンフレットなどに記載のメタロセン化合物触媒などを使用することができる。重合法としては、例えば気相流動床法、溶液法、スラリー法などの製造プロセスを適用して重合することができる。
3−3.配合量比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物全体に対する成分Cの配合量は、前記成分Aと前記成分Bと該成分Cとの合計量100重量%に対して、12〜20重量%、好ましくは14〜18重量%である。該成分Cの配合量が12重量%未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。また、配合量が20重量%を超えると、耐傷付性、トラシマ外観(成形外観)、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
4.変性ポリプロピレン(成分D)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる変性ポリプロピレン成分D(以下、単に「成分D」ともいう。)は、酸変性量が無水マレイン酸換算で0.5〜1.5重量%の変性ポリプロピレンであって、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性や、弾性率と衝撃強度との物性バランスの向上などに寄与する特徴を有する。なお、成分Dは2種以上併用してもよい。
4−1.種類、製造
成分Dは、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。該変性ポリプロピレン成分Dは、例えばプロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体などのポリプロピレンを、例えば、マレイン酸または無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合などして変性したものである。このグラフト共重合は、例えば前記プロピレン単独重合体を適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体の成分は、ポリプロピレン用モノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基及び必要に応じてヒドロキシル基やアミノ基などの官能基が導入された重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などがあり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。好ましくは無水マレイン酸である。
グラフト反応条件としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3などのパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサンなどのヒドロパーオキシド類などの有機過酸化物を、前記プロピレン単独重合体100重量部に対して、0.001〜10重量部程度用いて、80〜300℃程度の温度で、溶融状態または溶液状態で反応させる方法が挙げられる。
該変性ポリプロピレンの酸変性量(グラフト率という場合がある。)は、無水マレイン酸換算で、0.5〜1.5重量%、好ましくは0.7〜1重量%である。
該酸変性量が、無水マレイン酸換算で0.5重量%未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性が低下するおそれがある。
一方、同じく1.5重量%を超えるとトラシマ外観(成形外観)や、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
好ましい変性ポリプロピレンとしては、本発明の効果の大きさなどの点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
4−2.配合量比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物全体に対する成分Dの配合量は、前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cとの合計量100重量部に対して、1〜5重量部、好ましくは1.5〜3重量部である。該成分Cの配合量が1重量部未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性が低下するおそれがある。
一方、同じく5重量部を超えるとトラシマ外観(成形外観)や、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
5.カーボンブラック(成分E)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる、カーボンブラック成分E(以下、単に「成分E」ともいう。)は、pHが2〜4.5の酸性のカーボンブラックであり、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性の向上に、さらには着色外観、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上に寄与する特徴を有する。なお、この成分Eは2種以上併用してもよい。
5−1.種類、特性、製造
成分Eは、そのpHが2〜4.5であれば、その種類は特に限定されず、公知の方法などで製造されたカーボンブラックを用いることができる。該カーボンブラックとしては、例えばスルホン酸基、カルボキシル基や水酸基などの酸性官能基を含有するカーボンブラック、カーボンブラックの表面を酸化処理してスルホン酸基、カルボキシル基や水酸基などの酸性官能基を導入したカーボンブラックなどを挙げることができる。成分EのpHは、前記した様に2〜4.5であることが必要であるが、該pHが2.5〜4であることが好ましい。該pHが2未満であったり、4.5を超えると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性や、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。
該カーボンブラックの種類の例としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック、ミディアムサーマルブラック、ランプブラック(油煙)、アセチレンブラックなどが挙げられ、このうち、ファーネスカーボンブラックまたはチャンネルカーボンブラックが、酸性度が比較的高く、調製し易いなどの点で、好ましい。
本発明において、成分EのpHが2〜4.5であることは重要である。成分EのpHが2〜4.5であることは、前記の様に成分Eの表面などに酸性官能基などが十分な量、存在していることを意味していると考えられる。このことによって、成分Eは無機フィラーであるタルク(成分B)の表面などに存在する塩基性部分などと強く相互作用するものと、推察される。
本発明における傷付性向上のメカニズムの詳細は定かではないが、前記作用が該成形Eとタルクとの間の親和力(結合力、接着力、耐界面剥離力など)を向上させるなどして耐傷付性を向上させているものと考えられ、該作用は着色力の向上にも寄与しているものと推察される。
さらに、前記作用は、加えて変性ポリプロピレン(成分D)が存在すると、成分Dが介在することなどにより、該成分Eと、成分B及び/または成分Dとの間で、より一層強まり、前記耐傷付性向上効果などを促進しているものと推察される。
以上より、本発明の樹脂組成物とその成形体は、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスを良好に保ったまま、トラシマ外観(成形外観)も良好であるだけでなく、従来技術とは異なって、成分Bを含有するために発生し易い白化傷を低減させ、耐傷付性も良好となるものと考えられ、さらに成分Dをも含有した場合、白化傷をより低減させ、耐傷付性がさらにも増して、より良好となるものと考えられる。
成分EのpHの調製方法については、特に限定されないが、例えば、ファーネスカーボンブラックなどの表面などを酸化処理するなどして、−OH、−CO、−COOHなどの官能基を導入して調製する方法などが挙げられる。
ここで、pH値の測定方法は、カーボンブラックと、蒸留水の混合液をガラス電極pHメーターで測定するなどの方法であり、種々のpH値のカーボンブラックを各メーカーから入手することができる。
これらの成分Eは、必要に応じ、湿潤剤や分散剤などを調合してもよく、使用時に2種以上混合・併用してもよい。
また、必要に応じ、本発明効果を著しく損なわない範囲内で、前記成分Eに該当しない各種の着色成分を、1種以上成分Eと併用することもできる。
成分Eの平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは5〜120nm、より好ましくは15〜80nmである。平均粒子径が5nm未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体において、該成分Eの分散不良などによる成形外観不良(例えばブツの発生など)が生じたり、弾性率と衝撃強度との物性バランスが低下するおそれがある。一方、120nmを超えると、耐傷付性及び着色力が低下するおそれがある。
平均粒子径の測定方法は、カーボンブラック粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径を粒子径とする方法であり、種々の値の商品を各メーカーから入手することができる。
成分EのDBP(ジブチルフタレート)吸着量は、特に限定されないが、好ましくは40〜150cm/100g、より好ましくは50〜120cm/100gである。ここで、DBP吸着量の測定方法は、JIS K6221に準拠する方法である。
このDBP吸着量は、主にストラクチャーの発達度合を表す指標であり、この値が40cm/100g未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性及び着色力が低下するおそれがあり、一方、150cm/100gを超えると、該成分Eの分散不良などによる成形外観不良(例えばブツの発生など)が生じるおそれがある。
成分Eの窒素吸着比表面積は、特に限定されないが、好ましくは20〜400m/g、より好ましくは30〜200m/gである。ここで、窒素吸着比表面積の測定方法は、JIS K6217に準拠する方法である。
この窒素吸着比表面積は、カーボンブラックの細孔や粒子径などを表す指標であり、この値が20m/g未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性及び着色力が低下するおそれがあり、一方、400m/gを超えると、該成分Eの分散不良などによる成形外観不良(例えばブツの発生など)が生じるおそれがある。
成分Eの製造法は、特に限定されないが、ファーネス法(オイルファーネス法及びガスファーネス法)、チャンネル法、アセチレン法などが挙げられ、いずれの製造法により製造されたものを用いることができる。
前記ファーネス法は、高温ガス中に原料として石油系や石炭系のオイルを吹き込み、不完全燃焼させてカーボンブラックを得る方法である。また、チャンネル法は、主に天然ガスを原料として、不完全燃焼する炎とチャンネル鋼を接触させてカーボンブラックを析出させ、これを掻きとり集める方法である。また、アセチレン法は、アセチレンガスの熱分解によってカーボンブラックを得る方法である。
ここで、ファーネス法及びチャンネル法にて製造された成分Eを用いた本発明の樹脂組成物とその成形体は、耐傷付性、着色力、弾性率と衝撃強度との物性バランス、色調などが他の方法にて製造されたものを用いた場合より、良好である傾向にあることから、本発明においては、前記のいずれかの方法にて製造された成分Eを用いることが好ましい。
成分Eは、通常、単体で用いられるが、予めポリプロピレン樹脂などとのマスターバッチなどの形で用いることもできる。
また、成分Eは、通常、前記成分A、前記成分B、前記成分C、前記成分D、後記成分Fと、同時に混合・混練するなどして用いられるが、例えば、耐傷付性をより向上させるなどの目的で、予め該成分Eと前記成分Bとを混合して、その後、残りの成分と混合、または混合・混練するのが該成分Eと成分Bとの間の親和力を向上させる点などのため、好ましい。
さらに、予め該成分Eと前記成分Bと成分Dとを、混合、または混合・混練して、その後残りの成分と混合、または混合・混練するのが、該成分Eと成分Bと成分Dとの間の親和力を向上させる点などのため、より好ましい。
5−2.配合量比
成分Eの配合量は、前記成分Aと、前記成分Bと、前記成分Cとの合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。成分Eの配合量が0.01重量部未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性及び着色力が低下するおそれがある。また、配合量が5重量部を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランス、成形流動性及び経済性が低下するおそれがある。
なお、この場合の配合量は、成分EすなわちpHが2〜4.5のカーボンブラックの実質濃度であり、例えば、成分Eとポリプロピレン樹脂とのマスターバッチを用いる場合は、該マスターバッチ中に含有する成分Eの濃度に基づき算出される。
6.エルカ酸アミド(成分F)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる、エルカ酸アミド成分F(以下、単に「成分F」ともいう。)は、不飽和脂肪酸アミドの1種であり、一般に滑剤として用いられるものである。
成分Fは、本発明の樹脂組成物とその成形体において、表面の摩擦を低減するなどして耐傷付性を向上させることに寄与する特徴を有する。なお、この成分Fは使用グレードなどが異なる2種以上を併用してもよい。
6−1.機能
成分Fは、溶融性、離型性、耐摩耗性、アンチブロッキング性、平滑性などの滑剤としての機能に加え、前記成分Bを含有する本発明の樹脂組成物を成形する際に、優れた成形加工性及び表面特性をも発現する。さらに、本発明の成形体においても、その成形段階、流通段階、及び使用段階においての外部との接触、衝突などにより、前記成分Bを含有するなどのために発生し易い白化傷跡を低減する性能も発現する。
6−2.配合量比
成分Fの配合量は、前記成分Aと、前記成分Bと、前記成分Cとの合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1重量部である。成分Fの配合量が0.1重量部未満であると、本発明の樹脂組成物とその成形体の耐傷付性が低下するおそれがある。また、配合量が5重量部を超えると、弾性率と衝撃強度との物性バランス及び経済性が低下するおそれがある。
7.任意添加成分
本発明においては、前記成分A〜成分F以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、例えば、発明効果を一層向上させたり、他の効果を付与するなどのため、任意添加成分を配合することができる。
具体的には、前記成分Eに該当しない着色成分、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、前記成分Aに該当しない熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
これらの任意添加成分は、2種以上を併用してもよく、組成物に添加してもよいし、前記成分A〜成分Fの各成分に添加されていてもよく、さらに、夫々の成分においても2種以上併用することもできる。
II.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、成形体の製造方法及び用途
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記成分A〜成分Fを、または、必要に応じ、これらと任意添加成分とを、前記配合量比で、従来公知の方法で配合・混合・溶融混練することにより、製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなどの混練機器を用いて溶融混練し、造粒する。
また、溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練してもよく、さらに、性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、前記
5−1項に述べた様に、予め前記成分Eと前記成分Bとを混合して、その後、残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
本発明の成形体は、前記方法で製造されたポリプロピレン系樹脂組成物を、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、シート成形及び中空成形などの周知の成形方法にて、成形することにより得ることができる。このうち、射出成形または射出圧縮成形にて得ることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体は、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性やトラシマ外観(成形外観)に優れ、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れる。
そのため、各種工業部品などの用途に好適に用いることができ、特に、自動車部品に好適であり、なかでも、インストルメントパネル、グローブボックス、ピラー、トリム類などの自動車内装部品に好適である。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
1.評価方法、分析方法
1−1.耐傷付性:
下記要領にて評価した。
試験片:下記の成形機及び成形条件にて射出成形して得られた、縦150×横150×厚さ3(mm)の射出成形シート。
成形機:東芝機械社製、射出成形機IS170FII。
成形条件:成形温度=220℃、金型温度=40℃、射出圧力=60MPa。
耐傷付性試験機:東洋精機製作所社製、テーバー式スクラッチテスター。
試験方法:上記試験機に上記試験片を固定し、タングステンカーバイド製で刃先半径12.7mmの引掻き刃を用い、荷重0.98N、回転速度0.5rpmで引掻き、試験片に付いた傷の目立ち程度を目視判定した。傷付き白化や光沢変化が無い、ないしは有っても著しくないものを○とし、著しい白化や光沢変化が認められるものを×とした。
試験温度:23℃。
1−2.トラシマ外観(成形外観):
下記の成形機及び成形条件にて射出成形して得られた、縦350×横100×厚さ2(mm)で、短辺中央部にファンゲートを備えた射出成形シートを用い、トラシマ状の縞模様の発生状態を目視観察し、ゲートからトラシマの縞模様が発生した部分までの距離を測定した。該距離が長い程(とりわけ160mm以上であれば)成形外観は良好と判断される。
成形機:住友重機械工業社製、電動射出成形機SE220HD。
成形条件:成形温度=220℃、金型温度=40℃、射出圧力=80MPa。
1−3.成形流動性(MFR):
JIS K7210に準拠し、測定温度:230℃、荷重:2.16kgで測定した。
該MFR値は、成形流動性を表す指標であり、数値が大きい程成形流動性が良好であり、中でも15g/10分以上である場合、成形流動性がとりわけ良好であるといえる。
1−4.引張弾性率:
JIS K7161に準拠し、下記条件で測定した。
試験片:JIS K7162で規定された1A型多目的試験片。
試験片金型:AXXICON社製ISO AIM金型。
成形機:東芝機械社製、電動射出成形機EC75SX。
成形条件:成形温度=200℃、金型温度=40℃、射出圧力=40MPa。
試験速度:50mm/分。
試験温度:23℃
該引張弾性率値は、剛性の高低を表し、数値が大きい程高剛性であり、中でも2000MPa以上であれば、より高剛性が要求される自動車内装部品向けなどに好適に用いることができると判断される。
1−5.シャルピー衝撃強度(ノッチ付):
JIS K7111に準拠し、下記条件で測定した。
試験片:物性評価用平板状試験片(10×80×4(mm))。
成形機:東芝機械社製、電動射出成形機EC20P。
成形条件:成形温度=220℃、金型温度=40℃、射出圧力=50MPa。
試験温度:23℃
該シャルピー衝撃強度値は、耐衝撃強度の強弱を表し、数値が大きい程高強度であり、該値が15kJ/m以上、とりわけ20kJ/m以上であれば、高い衝撃強度が要求される自動車内装部品向けなどに好適に用いることができると判断される。
1−6.成分A1中、及び成分A2中の各々のエチレン−プロピレン共重合体部分の含有量及びエチレン含量:
クロス分別装置やFT−IRなどを用いて測定した。その定義、測定条件などは、例えば、特許文献:特開2008−189893号公報に記載されている。
主な具体的測定条件は、下記の通りである。
・使用した分析装置
(i)クロス分別装置:
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(以下、CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析:
FT−IR・パーキンエルマー社製 1760X
CFC検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用した。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持した。FT―IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm・光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持した。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC):
CFCの後段に、GPCカラム(昭和電工社製 AD806MS)を3本直列に接続して使用した。
・CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温した。
(v)分別方法:昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別した。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義した。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、後段のGPCを経由して、FT―IR分析装置へ自動輸送された。
(vi)溶出時溶媒流速:1ml/分
・FT―IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取した。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定あたりの積算回数:15回
1−7.成分A1中、及び成分A2中の各々のエチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copoly
プロピレン重合体部分の重合終了後、一部を重合槽よりサンプリングし、該部分の固有粘度[η]homoを測定した。次に、プロピレン重合体部分を重合した後、エチレン−プロピレン共重合体部分を重合して得られた最終重合物(F)の固有粘度[η]Fを測定した。この測定は、ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として温度135℃で行った。[η]copolyは、以下の関係から求めた。
[η]F=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
ここでWcは、上記1−6項で求められるエチレン−プロピレン共重合体部分の含有量(重量%)である。
2.材料
2−1.成分A(成分A1、成分A2)(ポリプロピレン系樹脂):
(以下、いずれも酸化防止剤、中和剤を添加済のペレットである。)
(1)成分A1
A1−1:日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテック)の下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ系触媒で重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が248g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分の該プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂全体に対する割合が15重量%、エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが7dl/g、該共重合体樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が55g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が35重量%であるもの。
A1−2:日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテック)の下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ系触媒で重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が232g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分の該プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂全体に対する割合が12重量%、エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが7dl/g、該共重合体樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が70g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が35重量%であるもの。
A1−3:日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテック)の下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ系触媒で重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が193g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分の該プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂全体に対する割合が20重量%、エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが3.5dl/g、該共重合体樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が50g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が35重量%であるもの。
(2)成分A2
A2−1:日本ポリプロ社製ポリプロピレン(商品名:ノバテック)の下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ系触媒で重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂であって、プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が123g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分の該プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂全体に対する割合が25重量%、エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが3dl/g、該共重合体樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が30g/10分、エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が35重量%であるもの。
2−2.成分B(タルク):
B−1:平均粒径=5.1μm、平均アスペクト比=6のタルク(日本タルク社製)。
2−3.成分C(エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)):
C−1:ブテン含量=33重量%、MFR(230、2.16kg荷重)=2g/10分のエチレン・ブテン共重合体エラストマー(三井化学社製タフマーA1050S)。
2−4.成分D(変性ポリプロピレン):
D−1:酸変性量(グラフト率)=0.8重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(アルケマ社製OREVAC CA100)。
2−5.成分E(カーボンブラック):
E−1:pH=3.5、平均粒径=18nm、DBP吸着量=56cm/100g、窒素吸着比表面積=180m/gのカーボンブラック(三菱化学社製三菱カーボンブラック#1000)。
E−2:pH=7.5、平均粒径=16nm、DBP吸着量=56cm/100g、窒素吸着比表面積=250m/gであるカーボンブラック(三菱化学社製三菱カーボンブラック#900)。
2−6.成分F(エルカ酸アミド):
F−1:エルカ酸アミド(日本精化社製ニュートロン−S)。
3.実施例及び比較例
[実施例1〜3及び比較例1〜6]
3−1.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
前記の成分A〜成分Fを、下記の添加剤とともに、表1に示す割合で配合し、下記の条件で混練、造粒し、製造した。
この際、各例において、予め成分Bと成分Dと成分Eとを混合した後、その混合物と残りの成分とを混合してから、混練、造粒に供した。
また、成分Aと成分Bと成分Cとの合計100重量部当たり、BASF社製IRGANOX1010を0.1重量部及びBASF社製IRGAFOS168を0.05重量部配合した。なお、成分A1と成分A2とを併用した成分A全体のMFR値は該表1に示した通りである。
混練装置:神戸製鋼所社製KCM50型二軸押出機。
混練条件:温度=200℃、スクリュー回転数=800rpm。
Figure 0005688389
3−2.ポリプロピレン系樹脂組成物の成形
前記の造粒したペレットを用い、前記評価方法に示した要領で、夫々の評価用試験片を成形した。
3−3.評価
前記の成形したものについて、性能評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005688389
表1及び2に示す結果から、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の構成要件を満たしている実施例1〜3は、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性やトラシマ外観(成形外観)に優れ、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れていることが明らかである。
そのため、各種工業部品などの用途に好適に用いることができ、特に、自動車部品に好適であり、なかでも、インストルメントパネル、グローブボックス、ピラー、トリム類などの自動車内装部品の用途に、好適に用い得ることが明白になっている。
一方、前記本発明の特定事項を満たさない比較例において、比較例1〜6に示す組成を持ったポリプロピレン系樹脂組成物とその成形体は、これらの諸性能のバランスが不良で、実施例1〜3のものに対して、見劣りしている。
例えば、(1)成分Aにおける成分A1の配合量が少量である比較例1は、トラシマ外観(成形外観)において、実施例1と著しい差異が生じた。これは、成分Aが本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(2)成分Aにおける成分A2を全く配合しなかった比較例2は、衝撃強度において、実施例1と著しい差異が生じた。これは、成分Aが本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(3)成分Aにおける成分A1としてA1−3を配合した比較例3は、トラシマ外観(成形外観)において、実施例1と著しい差異が生じた。これは、成分Aが本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(4)成分Dを全く配合しなかった比較例4は、耐傷付性において、実施例1と著しい差異が生じた。これは、成分Dが本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(5)成分EとしてE−2を配合した比較例5は、耐傷付性において、実施例1と著しい差異が生じた。これは、成分Eが本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(6)成分Fを全く配合しなかった比較例6は、耐傷付性において、実施例1と著しい差異が生じた。これは、成分Fが本発明の要件を満たさないためと考えられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体は、カーボンブラックを含有した場合の耐傷付性やトラシマ外観(成形外観)に優れ、成形流動性及び弾性率と衝撃強度との物性バランスにも優れる。
そのため、各種工業部品などの用途に好適に用いることができ、特に、自動車部品に好適であり、なかでも、インストルメントパネル、グローブボックス、ピラー、トリム類などの自動車内装部品の用途に、好適に用いることができる。
これらの点などから、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の工業的価値は大きい。

Claims (3)

  1. 下記の成分A〜Fを含有してなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    成分A:下記特性(A1−1)〜(A1−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1を、成分A全体に対し、50〜99重量%と、下記特性(A2−1)〜(A2−5)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A2を、成分A全体に対し、1〜50重量%とを含有し、かつ、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が22〜75g/10分であるポリプロピレン系樹脂;55〜73重量%
    成分B:タルク;15〜25重量%
    成分C:エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR);12〜20重量%
    成分D:酸変性量が無水マレイン酸換算で0.5〜1.5重量%の変性ポリプロピレン;1〜5重量部
    成分E:pHが2〜4.5のカーボンブラック;0.01〜5重量部
    成分F:エルカ酸アミド;0.1〜5重量部
    (但し、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量は、100重量%であり、成分D、成分E及び成分Fの各々の含有量は、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量100重量部当たりの値である。)
    特性(A1−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が200〜300g/10分である。
    特性(A1−2):エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A1全体に対し、10〜20重量%である。
    特性(A1−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが6.5〜10dl/gである。
    特性(A1−4):成分A1全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が50〜75g/10分である。
    特性(A1−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
    特性(A2−1):プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が80〜170g/10分である。
    特性(A2−2):エチレン−プロピレン共重合体部分の割合が、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂成分A2全体に対し、20〜40重量%である。
    特性(A2−3):エチレン−プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが2〜6dl/gである。
    特性(A2−4):成分A2全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が10〜75g/10分である。
    特性(A2−5):エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が15〜80重量%である。
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  3. 自動車部品であることを特徴とする請求項2に記載の成形体。
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