JP2008222805A - 耐傷付き性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

耐傷付き性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】タルクを含有してなる複合材が抱える傷付き時に白化を起こして傷が目立つ現象を解決しつつ、剛性や耐衝撃性に優れるポリプロピレン系の複合材料、即ちポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体を提供する。
【解決手段】100重量部のポリプロピレン系樹脂(A)に対して、0.5〜100重量部のケイ酸アルミニウム鉱物(B)及び0.1〜20重量部の極性基含有ポリマー(C)を含有してなるポリプロピレン系樹脂組成物、およびその成形体などを提供した。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐傷付き性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体に関し、さらに詳しくは、耐傷付き性に優れ、しかも、剛性や耐衝撃性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体に関する。
ポリプロピレン樹脂に、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等のエチレン系エラストマー成分や、スチレン・エチレンブテン・スチレン(SEBS)、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン(SEPS)といったスチレン系エラストマー成分と、タルク等の無機充填剤を配合したポリプロピレン樹脂組成物を、高度な機械的物性が要求される自動車用部品に応用することは、従来から広く知られている技術である。
ここで、ポリプロピレン樹脂に、エラストマー成分を配合すると、衝撃強度は向上するが、剛性や表面硬度が低下する。さらに、無機充填剤を配合すると、剛性は向上し、衝撃強度と剛性のバランスは、ベースとなるポリプロピレン樹脂を凌駕することが可能となっている。
しかしながら、無機充填剤を配合しても、表面硬度の向上はそれほどでもなく、例えばロックウエル硬度は、ベースとなるポリプロピレン樹脂よりも低くなってしまう問題があった。さらに、タルクを配合させると、成形品表面が、擦れや傷により白化現象を起こしやすく、また、傷が目立ちやすいという問題があった。
このような問題を解決するために、様々な検討が実施され、種々の解決手法が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
例えば、特許文献1においては、ポリプロピレン樹脂、タルクに、高密度ポリエチレン樹脂を併用することによって、耐傷付き性を向上させた組成物が提案されている。特許文献2においては、特定のポリプロピレン樹脂に、メタロセン触媒によって重合されたエラストマー、高密度ポリエチレン、タルクからなる組成物が提案されている。特許文献3においては、ポリプロピレン系樹脂に、特定のエチレン系エラストマー、タルク、滑剤を併用する組成物が提案されている。
しかしながら、これらは、効果があるものの、更なる性能向上が要求されているのが現状である。
また、フィラー自体に着目し、提案されている例としては、特許文献4、特許文献5において、タルクと特定の微粒子炭酸カルシウムを併用する手法が提案されている。また、特許文献6においては、タルクと先端部の尖りのない繊維状炭酸カルシウムとの併用が提案されている。
しかしながら、これらの手法は、いずれもタルクを主たる補強フィラーとして使用するものであり、効果があるものの、更なる性能向上が要求されているのが現状である。
一方、イオン交換性の層状ケイ酸塩粘土鉱物の中心をイオン交換し、有機化処理したクレーを用いてマレイン化ポリプロピレンでインターカレートする手法も提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
ところが、このような膨潤型クレーは、分散不良が起き易いだけでなく、耐衝撃性が劣り、流れ性も低下して、成形性が悪化するといった欠点がある。
これらの欠点を鑑み、タルクメーカーによりタルク自体を変性し、耐傷付き性、耐白化特性に優れたタルクを作成し、使用する試みがなされつつある(但し、特許文献は確認されていない。)。
しかしながら、これらのタルクを使用した場合、確かに傷付き特性は高度に改善されるものの、フィラー本来の役割である曲げ弾性率等の剛性の補強効果が低下するといった欠点を有しており、未だ克服すべき課題は、多いのが現状である。
特開昭59−108049号公報 特開平10−7851号公報 特開2002−60560号公報 特開昭57−16042号公報 特開昭61−233033号公報 特開平5−51500号公報 特開2002−167484号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、タルクを含有してなる複合材が抱える傷付き時に白化を起こして傷が目立つ現象を解決しつつ、剛性や耐衝撃性に優れるポリプロピレン系の複合材料、すなわちポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、従来の技術に拘泥されることなく、当業者がこれまで目を向けなかったタルク以外の鉱物にも目を向け、様々な検討を行った結果、ケイ酸アルミニウム鉱物がポリプロピレン樹脂組成物の傷付き性に対して他の無機充填材とは著しく異なる挙動を示すことを見出した。そこで、より詳細な検討を加え、ついに、ポリプロピレン樹脂に、ケイ酸アルミニウム鉱物と極性基含有ポリマーを特定量含有させることによって、耐傷付き性、曲げ剛性、耐衝撃性に優れた材料を提供できることを見出し、これらの知見に基き、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、100重量部のポリプロピレン系樹脂(A)に対して、0.5〜100重量部のケイ酸アルミニウム鉱物(B)及び0.1〜20重量部の極性基含有ポリマー(C)を含有してなるポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ケイ酸アルミニウム鉱物(B)は、レーザー法で測定した平均粒径(D50L)と沈降法で測定した平均粒径(D50S)との比(D50L/D50S)が3以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ケイ酸アルミニウム鉱物(B)は、レーザー法で測定した平均粒径(D50L)が10μm以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、ケイ酸アルミニウム鉱物(B)は、カオリナイトであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、極性基含有ポリマー(C)は、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物を熱成形してなり、曲げ弾性率が1500MPa以上、かつ5FINGERテストにおける傷付き荷重が15N以上であることを特徴とする成形体が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、さらに、連続加重式引っ掻き試験機による摩擦係数が0.20以下であることを特徴とする成形体が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、従来のタルクなどを配合した際に、傷付き時に白化を起こして傷が目立つ現象を解決し、耐傷付き性及び表面外観にも優れ、また、剛性や耐衝撃性に優れる。したがって、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、広範な用途に利用することができる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、成形性に優れ、また、その成形体は、従来の成形品表面が擦れや傷により白化現象を起こしやすく、また、傷が目立ちやすいという問題があった課題を解決し、従来のポリプロピレン成形体が持ち合わせていた物性(剛性、耐衝撃性に優れること)に加え、耐傷付き性及び表面外観にも優れる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、100重量部のポリプロピレン系樹脂(A)に対して、0.5〜100重量部のケイ酸アルミニウム鉱物(B)及び0.1〜20重量部の極性基含有ポリマー(C)を含有してなることを特徴としている。
以下に、本発明について、項目毎に詳細に説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂(A)
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、例えば、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体などから選ばれる樹脂である。
共重合体に用いるα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィン、具体的にはエチレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらは、併用してもよい。なかでも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成するポリプロピレン系樹脂(A)成分は、特に限定されないが、エチレン含量が25重量%以下のプロピレン・エチレンブロック共重合体またはプロピレン単独重合体が好ましい。プロピレン・エチレンブロック共重合体において、エチレン含量が25重量%を超える場合は、剛性が低くなる。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)として、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が3〜300g/10分、好ましくは8〜250g/10分、特に好ましくは、10〜200g/10分、最も好ましくは、20〜100g/10分のものが好ましい。MFRが前記範囲未満であると、流動性が低下し、薄肉成形品を成形する際に大きな型締め力のある成形機を必要とするか、或いは、成形温度を高くする必要性が生じるので、生産性に影響を及ぼす。逆に、プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRが前記範囲を超える場合、耐衝撃性が低下傾向となる。
さらに、ポリプロピレン系樹脂(A)がプロピレン単独重合体部分とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分から構成されるプロピレン・エチレンブロック共重合体である場合には、プロピレン単独重合体部分のMFRは、5〜1000g/10分が好ましく、より好ましくは10〜800g/10分であり、特に好ましくは30〜500g/10分である。上記プロピレン・エチレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分のMFRが前記範囲未満であると、流動性が不十分となり、一方、MFRが前記範囲を超えると、耐衝撃性が劣る。
上記のMFRは、重合時に調整したもの、或いは重合時にジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド等の有機過酸化物で調整したものであってもよい。ここで、MFRは、ASTM D1238に準拠して、測定する値である。
また、ポリプロピレン系樹脂のアイソタクチックペンタッド分率は、0.98以上が好ましく、より好ましくは0.985以上のものである。プロピレンブロック共重合体においては、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率を指すものとする。プロピレン・エチレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率(P)は、上記範囲未満では曲げ弾性率が低下傾向となる。
なお、ここでアイソタクチックペンタッド分率(P)とは、13C−NMRを用いて測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(A)のプロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されないが、メタロセン系触媒、チーグラー系触媒などにより製造されたものを使用することができる。
上記メタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒である。
また、チーグラーナッタ触媒としては、高立体規則性触媒が用いられ、チーグラーナッタ触媒の製造例としては、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせる方法(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させる担持型触媒の方法(特開昭57−63310号、特開昭63−43915号、特開昭63−83116号の各公報参照)等の方法を例示することができる。
また、重合方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記触媒の存在下、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して、プロピレンと必要に応じて用いられるコモノマーとを用いて重合することにより得られる。
ポリプロピレン系樹脂(A)の形態は、特に限定されないが、ブレンド及び溶融混練プロセスが、ポリプロピレン重合工程から一貫した工程で製造するためには、ペレットもしくはパウダー形状であることが好ましい。
また、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)は、上記のように、好ましい性状、性能、形態があるものの、立体規則性の違い(アイソタクチック、シンジオタクチックなど)、立体規則性パラメータ(アイソタクチシティー分率など)、重合段数(例えば1段重合、2段重合など)、融点、MFR、密度等のその他のパラメータにおいて、特に制限はない。
2.ケイ酸アルミニウム鉱物(B)
本発明において、B成分は、ケイ酸アルミニウム鉱物である。ポリプロピレン系樹脂組成物の機械的物性を向上させると同時に、耐傷付き白化性にも優れる。
ケイ酸アルミニウム鉱物(B)は、ケイ酸アルミニウムの組成をもつ鉱脈から、坑道を通して発掘する、もしくは露天状態で発掘し、粉砕、分級して形状を整えたものであることが好ましい。
具体的には、カオリナイト、パイロフィライト、ハロイサイト等が例示できるが、本発明に用いる場合、そのアスペクト比が大きなものが好ましく、とりわけ、性能、供給面から好ましいのは、カオリナイトである。カオリナイトは、化学組成がAlSi(OH)であって、アルミニウムの含水珪酸塩鉱物で粘土鉱物の一種であり、カオリンと呼ばれる。
本発明に用いるケイ酸アルミニウム鉱物の形状(B)は、レーザー法で測定した平均粒径(D50L)と沈降法で測定した平均粒径(D50S)との比(D50L/D50S)が3以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは、7以上15未満である。この比が3未満である場合は、曲げ弾性率が低下するので好ましくない。
また、平均粒径は、レーザー法で測定される平均粒子径が10μm以下、好ましくは1〜8μm、さらに好ましくは2〜5μmの範囲のものである。平均粒子径が10μmを超えると、耐白化特性が悪化するばかりでなく、曲げ剛性の向上効果も劣るので好ましくない。
該平均粒径は、レーザー回折法(例えば堀場製作所製LA920W)や、液層沈降方式光透過法(例えば、島津製作所製CP型等)によって測定した粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値より求めることができる。本発明の値は、前者の方法にて測定を行った平均粒径値である。
ケイ酸アルミニウム鉱物は、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを、更に精密に分級することによって得られる。また、一度粗分級したものを、更に分級してもかまわない。
機械的に粉砕する方法としては、ジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー等の粉砕機で粗粉砕際した後、チューブミル等のミルを用いながら粉砕分級する方法があげられる。
これらカオリン(カオリナイト)の具体例としては、イメリスミネラル社製カオリンを例示できる。例えば、コンツアー1500、コンツアーEXTREAM、カピムNP、カピムCC、アストラプラス、アストラプレート等を例示できるが、アスペクト比が高いため、コンツアーシリーズが特に好ましい。
本発明では、ケイ酸アルミニウム鉱物(B)の配合量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは7〜60重量部、より好ましくは8〜50重量部、さらに好ましくは10〜40重量部である。ケイ酸アルミニウム鉱物の配合量が上記範囲未満では、曲げ剛性が不足し、上記範囲を超える場合は、比重が重くなるばかりでなく、耐傷付き白化性が低下する傾向にある。
3.極性基含有ポリマー(C)
本発明において、C成分は、極性基含有ポリマーである。この極性基含有ポリマー(C)は、ポリプロピレン系樹脂(A)成分中に、ケイ酸アルミニウム(B)成分を、凝集塊を発生させずに、効率よく分散させて、機械的物性を向上させるだけでなく、耐傷付き白化性を向上させる役割を果たすと考えられる。
極性基含有ポリマー(C)の極性基の種類としては、水酸基、カルボキシル基、無水マレイン酸基、カルボニル基等の含酸素含有基、アミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシアミノ基等の含窒素含有基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコシキ基、クロル基、ブロム基等のハロゲン基を例示できる。
ポリマーへの極性基の導入は、対応する極性基を有するモノマーを(共)重合させる方法、極性基を有するモノマーでグラフト変性させる方法、極性基が有する原子の存在化で熱処理等する方法等により行われる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いる極性基含有ポリマー(C)として、最もよく用いられるものは、ポリオレフィン成分に、エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体、有機過酸化物を加えて、溶融混練することによって得られるグラフト反応変性品を例示できる。
上記ポリオレフィン成分の例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数が2〜8のα−オレフィンの単独重合体、これら2種類以上のα−オレフィンのランダムまたはブロック共重合体、若しくは、炭素数2以上のα−オレフィンを主成分とし、これと他のビニル単量体とのランダム又はブロック、グラフト等の重合体、或いは、これらの混合物である。
具体的には、プロピレン単独共重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体等のプロピレンを主成分として含有するプロピレン系重合体;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレンを主成分として含有するエチレン共重合体;ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリブテン−1等が例示される。これらの中でも好ましいポリオレフィンは、プロピレン又はエチレン系重合体であり、特に前者のプロピレン系重合体が好ましい。
かかるポリオレフィン成分のASTM D1238に準拠したメルトフローレート(MFR)は、エチレンを主成分とするエチレン系重合体では、190℃で2.16kg荷重の条件下で、好ましくは0.01〜200g/10分、特に好ましくは0.1〜100g/10分であり、一方、プロピレンを主成分とするプロピレン系重合体では、230℃で2.16kg荷重の条件下で、好ましくは0.1〜200g/10分、特に好ましくは0.2〜100g/10分である。
上記エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体の例としては、炭素数3〜10のカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等が、また、それらの不飽和カルボン酸の誘導体として、酸無水物、エステル(エステルのアルコールは、たとえば、炭素数1〜10の、非置換または置換(置換基はヒドロキシまたは1,2‐エポキシエチル)のアルカノール)、アミド、イミド、無機塩(特に、アルカリ金属塩)がある。
具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2‐ヒドロキシエチル、メタクリル酸アリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等を挙げることができる。これらの中でも、無水マレイン酸が好適に使用される。
この不飽和カルボン酸またはその誘導体は、上記ポリオレフィン成分100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の範囲で使用される。
また、上記有機過酸化物の例としては、半減期1分となる温度(T1M)が120〜230℃、好ましくは125〜200℃、特に好ましくは130〜190℃、の範囲にある化合物が適当である。
例えば、アセチルパーオキシド(T1M:123℃)、サクシニックアシッドパーオキシド(T1M:132℃)、ベンゾイルパーオキシド(T1M:130℃)、m−トルオイルパーオキシド(T1M:131℃)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(T1M:134℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(T1M:136℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(T1M:149℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート(T1M:159℃)、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン(T1M:159℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(T1M:160℃)、2,5−ジメチル−2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(T1M:158℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(T1M:159℃)、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート(T1M:167℃)、t−ブチルパーオキシベンゼン(T1M:167℃)、ジクミルパーオキシド(T1M:173℃)、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(T1M:175℃)、t−ブチルクミルパーオキシド(T1M:173℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(T1M:180℃)、ジ−t−ブチルパーオキシド(T1M:186℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(T1M:194℃)等を挙げることができる。これらの有機過酸化物は、単独で、または2種類以上を併用して用いられる。
この有機過酸化物は、上記ポリオレフィン成分100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部の範囲で配合するのが適当である。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いる極性基含有ポリマー(C)の製造例として、最もよく用いられるものは、前記したように、上記の各成分を溶融混練することによるグラフト反応変性品であるが、そのグラフト反応変性品である変性ポリオレフィンは、上記ポリオレフィン及び不飽和カルボン酸またはその誘導体及び有機過酸化物の混合物を溶融混練してグラフト反応条件に付することによって製造することができる。
この溶融混練によってグラフト反応させる際に用いる装置としては、通常の溶融混練機、例えば、一軸または二軸の押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロール、ブラベンダープラストグラフ等が使用できる。
好適な混練温度は、160〜260℃の範囲である。混練温度が低すぎると、有機過酸化物が十分に分解しにくい傾向にあり、一方、混練温度が高すぎると、ポリオレフィンの熱分解反応あるいは架橋反応が優先する傾向にあり、いずれも期待する変性が十分でない傾向にある。
なお、溶融混練グラフト用の溶融混練機は、溶融混練中に生じるかも知れない低沸点物を排出させるための手段、たとえばベント口を設けたものでありうる。
上記のグラフト変性により得られる変性ポリオレフィンの不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト量(測定法:赤外分光光度計)は、好ましくは0.01〜10重量%、特に0.05〜7重量%、殊更0.1〜5重量%、が好ましい。
グラフト量が0.01重量%未満では、接着性が低下し、一方、10重量%を超えると、グラフト反応時に一部架橋を起こして成形性が低下し、同時にフィッシュアイやブツ等による成形品外観が悪化し、かつ接着性も低下する傾向となる。
本発明では、極性基含有ポリマー(C)の含有量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは1.5〜10重量部の範囲である。含有量が上記範囲より少なすぎると、フィラー成分、すなわちケイ酸アルミニウム鉱物(B)の分散性が悪くなり、凝集塊を生じ、機械的物性が低下する。逆に多すぎると、耐衝撃性が劣るので、好ましくない。
4.エチレン系又はスチレン系エラストマー(D)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記のポリプロピレン系樹脂(A)、ケイ酸アルミニウム鉱物(B)及び極性基含有ポリマー(C)に加えて、必要に応じて、D成分として、エチレン系又はスチレン系エラストマーを配合することができる。
エチレン系又はスチレン系エラストマー(D)の具体例としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合エラストマー(EOR)等のエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体エラストマー等のエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマー(EPDM);スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)等のスチレン系エラストマー等が使用できる。
なお、前記したスチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物は、ポリマー主鎖をモノマー単位で見ると、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンとなるので、通常、SEBSと略称されるものである。
また、これらのエチレン系又はスチレン系エラストマー(D)は、2種類以上を混合して使用することができる。
上記エチレン・α―オレフィン共重合体エラストマーは、各モノマーを触媒の存在下で重合することにより製造される。
触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒を使用することができる。
重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。
上記エチレン・α―オレフィン共重合体エラストマーの市販品を例示すれば、ジェイエスアール社製EPシリーズ、三井化学社製タフマーPシリーズ及びタフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズ、旭化成社製タフテックHシリーズなどを挙げることができ、これらは、いずれも本発明において使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で用いるエチレン系又はスチレン系エラストマー(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重で測定)は、0.5〜150g/10分が好ましく、より好ましくは0.7〜150g/10分、特に好ましくは0.7〜80g/10分である。本発明の成形外観に優れたポリプロピレン系樹脂組成物の主要用途である自動車外装材を考慮した場合、MFRが上記の範囲であるものが特に好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、エチレン系又はスチレン系エラストマー(D)の含有量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲である。その含有量が多すぎると、曲げ剛性が低下するので好ましくない。
5.その他の付加的成分(任意成分)(E)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、上記(A)〜(D)成分以外に、さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的成分(任意成分)(E)を添加することができる。この様な付加的成分(任意成分)としては、フェノール系及びリン系、ヒドロキシアミン系、ラクトン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤、ステアリン酸の金属塩に代表される分散剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質、を例示できる。
6.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造については、特に制限されるものではなく、例えば、上記の各構成成分を、上記の割合で、混合、又は一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて、設定温度180℃〜250℃にて、混練することにより製造できる。これらの混練機の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
7.ポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、所望の成型品に加工される。
成形加工法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形できる。例えば、射出成形法、押出成形法などの熱成形を適用できるが、ドアパネル、インストルパネル等の大型射出成形法に適用した場合、射出成形法及び射出圧縮成形法が好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体の機械的物性は、特に限定されないが、好ましくは曲げ弾性率が1500MPa以上、特に好ましくは曲げ弾性率が2000MPa以上、更に好ましくは曲げ弾性率が2200MPa以上である。曲げ弾性率がこの範囲(1500MPa以上)であれば、自動車部材等の射出成形品に好適である。また、5FINGERテストにおける傷付き荷重については、好ましくは15N以上、特に好ましくは17N以上である。5FINGERテストにおける傷付き荷重がこの範囲(15N以上)であれば、耐傷付き性や耐白化特性が良好であるといえるので、自動車部材等の射出成形品に好適である。さらに、連続加重式引っ掻き試験機による摩擦係数については、好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.15以下である。摩擦係数がこの範囲(0.2以下)であれば、耐傷付き性が良好であるといえるので、自動車部材等の射出成形品に好適である。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
尚、以下の実施例及び比較例で用いた物性測定法及び構成成分は、次の通りである。
1.物性測定法
(1)メルトフローレート(MFR):
ASTM D1238に準拠し、2.16kg荷重にて230℃の温度で測定した。
(2)曲げ弾性率:
JIS K7203の「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠し、23℃において曲げ速度2mm/minで測定した。
(3)Izod衝撃強度:
JIS K7110の「プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法」に準拠して、23℃の温度下にて、ノッチ付で測定した。
(4)耐傷付き性評価:5FINGERテスト
縦120×横120×厚さ3mmの大きさのシートを射出成形して試験片とし、ROCKWOOD SYSTEMS AND EQUIPMENT社製の「SCRATCH & MAR TESTER」を用いて、荷重:5N、7N、10N、15N、20N、及び5N、7N、10N、13N、17.3Nの2通りの荷重の組み合わせにて、形状(曲率半径0.5mm、ボール状)加工を施した引っ掻き先端にて、引っ掻き速度:100mm/minで、測定温度23℃において引っ掻き、傷の形態を目視判定し、傷の白化が目立ち始める荷重を測定した。
(5)摩擦係数:
縦120×横120×厚さ3mmの大きさのシートを射出成形して試験片とし、摩擦係数の測定は、引っ掻き試験機(HEIDON社のトライボギア TYPE:18L)を用いて、先端にR加工(先端R:0.25(mm))を施した円錐型のサファイア製引き掻き針に、平板状の試験片を積載した移動台の動きと共にアーム上を転がる分銅で、垂直荷重として連続加重(0〜200(gf))を与え、測定温度23℃において、引き掻き針を直線状に滑らせ、サンプルと引き掻き針間に発生する抵抗力と連続加重の関係を記録計に記録し、連続加重が10gfから50gfの間の抵抗力を最小二乗法によって連続加重の一次関数で近似し、得られる連続加重の係数を摩擦係数とした。
(6)フィラー分散状態:
縦120×横120×厚さ3mmの大きさのシートを射出成形し、目視でフィラーの分散状態を観察した。その評価基準は、次のとおりである。
○:目視でフィラーの凝集塊が観測できない。
×:目視でフィラーの凝集塊がはっきり確認できる。
(7)フィラー平均粒子径:
レーザー式粒度分布測定機(堀場製作所製LA920)を用いて測定した。また、液層沈降方式光透過法沈降法測定機を用いて測定し、D50の値を示した。
2.使用構成成分
(1)ポリプロピレン樹脂:
PP−1:日本ポリプロ社製のポリプロピレン樹脂「BC03B」(プロピレン・エチレンブロック共重合体、MFR=29g/10分)
PP−2:日本ポリプロ社製のポリプロピレン樹脂「BC3G」(プロピレン・エチレンブロック共重合体、MFR=10g/10分)
(2)ケイ酸アルミニウム鉱物(B)
フィラー成分として用いたケイ酸アルミニウム鉱物(B)の詳細を表1に示す。
Figure 2008222805
(3)タルク
フィラー成分として用いたタルクの詳細を表2に示す。
Figure 2008222805
(4)極性基含有ポリマー(C)
極性基含有ポリマー(C)として用いたマレイン化ポリプロピレンを次に示す。
E43:イーストマンケミカル社製「Epolene E43」(マレイン酸量が3.4重量%)
CMPP2:三菱化学社製「CMPP2」(マレイン酸量が0.8重量%)
(5)エラストマー(D)
エチレン系エラストマー(D)として、デュポンダウ社製「エンゲージ(登録商標)EG8100」を用いた。
[実施例1]
ベース材(A)として、日本ポリプロ社製のポリプロピレン樹脂「BC03BQ」80重量部と、フィラー成分(B)として、「コンツアー1500」(イメリス社製カオリン)20重量部との混合物100重量部に対して、極性基含有ポリマー(C)として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(イーストマンケミカル社製「Epolene E43」)2.8重量部(即ち、ポリプロピレン樹脂(A)100重量部に対して、(B)25重量部、(C)3.5重量部)を配合し、さらに、酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1010)0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:イルガホス168)0.05重量部、スリップ材としてエルカ酸アミド0.4重量部、分散剤としてステアリン酸マグネシウム0.4重量部、着色用成分としてカーボンマスターバッチ(東洋インキ社製カーボンMB、PPM01143)1部を配合して、ヘンシェルミキサーで5分間混合した後、二軸混練機(日本製鋼社製:TEX30α)にて210℃の設定温度で混練造粒することにより、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形機:東芝機械(株)製IS170FII−10Aを用いて成形し、物性評価(MFR、曲げ弾性率、23℃におけるIzod衝撃強度、フィラー分散性、摩擦係数、耐傷付き性)を行った。評価結果を表3に示す。
[実施例2]
二軸混練機を神戸製鋼社製KCMに変更した以外は、実施例1と全く同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形機:東芝機械(株)製IS170FII−10Aを用いて成形し、物性評価(MFR、曲げ弾性率、23℃におけるIzod衝撃強度、フィラー分散性、耐傷付き性)を行った。評価結果を表3に示す。
[実施例3〜13及び比較例1〜6]
ベース材(A)、フィラー成分(B)及び極性基含有ポリマー(C)などを表3、4に示す組成で配合し、実施例1と同様にして、酸化防止剤、スリップ材、着色MBを配合して、混練造粒することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物について、実施例1と同様にして、物性評価(MFR、曲げ弾性率、23℃におけるIzod衝撃強度、フィラー分散性、耐傷付き性、摩擦係数)を行った。評価結果を表3、4に示す。
Figure 2008222805
Figure 2008222805
表3、4から明らかなように、実施例1〜13のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対して、特定量のケイ酸アルミニウム鉱物(B)と極性基含有ポリマー(C)を配合しているため、耐傷付き性(5FINGERテスト)、曲げ剛性(曲げ弾性率)、耐衝撃性(Izod衝撃強度)などの物性評価が良好である。
一方、比較例1、2、6のポリプロピレン系樹脂組成物では、ケイ酸アルミニウム鉱物(B)を配合せずに、その替わりにタルクやモンモリロナイトを配合しているため、曲げ弾性率、摩擦係数又は耐傷付き性などのいずれかの物性評価が悪い。また、比較例3では、極性基含有ポリマー(C)を配合していないため、フィラー分散性評価が悪い。さらに、比較例4、5は、ケイ酸アルミニウム鉱物(B)と極性基含有ポリマー(C)を配合しているものの、比較例4ではケイ酸アルミニウム鉱物(B)の配合量が少なすぎるため、曲げ弾性率が低く、また、比較例5では極性基含有ポリマー(C)の配合量が多すぎるため、Izod衝撃強度が低い。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、100重量部のポリプロピレン系樹脂(A)に対して、5〜100重量部のケイ酸アルミニウム鉱物(B)及び0.1〜20重量部の極性基含有ポリマー(C)を含有してなることを特徴としており、これらの評価結果から、特定の3成分を特定の割合で含有することにより、耐傷付き性、曲げ剛性、耐衝撃性などに優れていることがわかる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を使用することにより、タルクを含有した複合材に見られる傷付き時の白化現象をおさえつつ、剛性の向上を両立することができる。
また、該ポリプロピレン系樹脂組成物を成形した成形品は、インストルパネル、ドアパネル、コンソールボックスをはじめとする自動車内装用部品等に好適である。とりわけ、塗装を施すことが少ない軽自動車用インストルパルや、RV車のインストルパネルに、好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 100重量部のポリプロピレン系樹脂(A)に対して、5〜100重量部のケイ酸アルミニウム鉱物(B)及び0.1〜20重量部の極性基含有ポリマー(C)を含有してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. ケイ酸アルミニウム鉱物(B)は、レーザー法で測定した平均粒径(D50L)と沈降法で測定した平均粒径(D50S)との比(D50L/D50S)が3以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. ケイ酸アルミニウム鉱物(B)は、レーザー法で測定した平均粒径(D50L)が10μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. ケイ酸アルミニウム鉱物(B)は、カオリナイトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 極性基含有ポリマー(C)は、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を熱成形してなり、曲げ弾性率が1500MPa以上、かつ5FINGERテストにおける傷付き荷重が15N以上であることを特徴とする成形体。
  7. さらに、連続加重式引っ掻き試験機による摩擦係数が0.20以下であることを特徴とする請求項6に記載の成形体。
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