JP6914672B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物及び自動車外装用部品 - Google Patents

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本発明は、輝度感、フリップフロップ性メタリック感及びその他の物性(衝撃強度、硬度など)のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形することにより得られる成形品は、優れた機械物性、成形性及び経済性を有するので、自動車部品など種々の分野で利用されている。具体的には、ポリプロピレンにエチレン−プロピレン共重合体(EPR)等のゴム成分を添加して耐衝撃性を改善した材料や、タルク等の無機充填材を添加して剛性を改善した材料が自動車部品分野に使用されている。
例えば特許文献1には、分子量分布を狭くして高分子量成分を少なくしたポリプロピレンと、無機充填材とを特定の割合で配合して成形品のゴム相のモルフォロジーを制御することにより、機械物性(特に剛性と耐衝撃性のバランス)及び耐傷付き性に優れた成形品を製造できるポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。
一方、特許文献2には、アルミ箔(アルミフレーク)を含むメタリック塗料が開示されている。メタリック塗料を塗布した成形品は見る角度、すなわち塗装面で反射した光の射出光の受光角度の違いにより視覚で感じられる色調(明度)が異なるというフリップフロップ性を有している。
近年、自動車外装材等の分野では、塗装品と同等のメタリック感を有する樹脂成形品を得る為の技術が検討されている。例えば特許文献3では、小粒径のアルミフレークとパールマイカを併用することにより、フリップフロップ性メタリック感を有する熱可塑性樹脂組成物が得られると記載されている。ここで、ハイライト方向(光の入射角度に対して正反射方向)とシェード方向(非正反射方向)の明度の差が大きいほど、人はメタリック感を感じるので、このフリップフロップ性が高いことが求められている。
さらに例えば特許文献4には、光輝材として平均粒径の異なる2種以上のアルミフレークを用いることによって、射出成型品に高いフリップフロップ性と塗装に近い光輝感を付与できると記載されている。特許文献5には、メタリック調フィラーとして平均粒径の異なる2種のアルミフレークを用いることによって、樹脂成形体の光沢感と光輝感の両方を塗装品に準ずるレベルにできると記載されている。特許文献6には、プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマー、繊維状無機充填材、光輝剤(アルミフレーク)、着色剤からなる組成物が開示されている。ここでは着色剤としてカーボンブラックを0.3質量部配合している。ただし、着色剤としてカーボンブラックを0.3質量部添加した場合、受光角度にかかわらず明度が低いので、フリップフロップ性メタリック感は発現しない。
特開2015−124272号公報 特開昭62−106870号公報 特開2006−009034号公報 特開2014−076626号公報 特開2010−167649号公報 特開2009−035713号公報
メタリック外観については産業界、特に自動車業界から更なる改良が求められている。すなわち本発明の目的は、高輝度感(成形体の面がキラキラとしていること)、高フリップフロップ性メタリック感(成形体の面に対して垂直方向と水平方向の明度の差が大きいこと)及びその他の物性(衝撃強度、硬度など)のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びこの組成物からなる自動車外装用部品を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のポリプロピレン系樹脂組成物に特定の複数種のアルミフレーク及びカーボンブラックを適切な量で添加することにより、各物性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の事項により特定される。
[1]23℃n−デカン不溶部(Dinsol)80〜95質量%と、23℃n−デカン可溶部(Dsol)5〜20質量%(DinsolとDsolの合計を100質量%とする)とから構成され、23℃n−デカン不溶部(Dinsol)の極限粘度([η]dl/g)が0.5〜3.0dl/gであり、23℃n−デカン可溶部(Dsol)の極限粘度([η]dl/g)が4.0〜9.0dl/gである、少なくとも一種以上のポリプロピレン系樹脂(A)45〜90質量部、
エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンとを共重合して得られ、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20(g/10分)であり、密度が850〜892kg/mであるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)10〜30質量部、及び
無機充填材(C)0〜25質量部
(成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とする。)
を含有するポリプロピレン系樹脂組成物において、
平均粒径が5〜55μmであるアルミフレーク(I)1.0〜3.5質量部及び平均粒径が45〜90μmであるアルミフレーク(II)0.1〜1.5質量部(ただしアルミフレーク(I)の平均粒径はアルミフレーク(II)の平均粒径よりも小さい)を合計1.5〜4.0質量部、及び、
カーボンブラック(D)0.005〜0.06質量部
をさらに含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
[2]有彩色の無機顔料及び/又は有機顔料(E)(ただしカーボンブラックは除く)0.01〜0.70質量部をさらに含有する[1]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
]酸変性ポリプロピレン(F)0.05〜0.4質量部及び/又は滑剤(G)0.1〜3.0質量部をさらに含有する請求項[1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
][1]〜[]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる自動車外装用部品。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性や硬度などの物性に優れており、さらに平均粒径が異なる2種のアルミフレークとカーボンブラックを適切な量で添加することにより、驚くべきことにフリップフロップ性メタリック感と輝度感が顕著に向上し非常に良好なメタリック外観が発現する。しかも機械物性などの物性は大きく損なわれない。その結果、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物はフリップフロップ性メタリック感、輝度感及びその他の物性(耐衝撃性、硬度など)のバランスに優れている。したがって、その成形品は無塗装であっても良好なメタリック外観が発現し、その他の物性(耐衝撃性、硬度など)のバランスに優れているので、例えば自動車外装材等の分野に非常に有用である。
[ポリプロピレン系樹脂(A)]
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(A)は、23℃n−デカン不溶部(Dinsol)80〜95質量%(好ましくは85〜95質量%)と、23℃n−デカン可溶部(Dsol)5〜20質量%(好ましくは5〜15質量%)とから構成される。ここで、DinsolとDsolの合計は100質量%とする。Dsolの含有割合が前記範囲よりも少ないと十分な耐衝撃性が得られない場合がある。一方、Dsolの含有割合が前記範囲よりも多いと剛性が低下する場合がある。
Dinsolは、結晶性プロピレン系(共)重合体を主成分(通常50質量%を超え、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%)とする。結晶性プロピレン系(共)重合体は、通常、結晶性プロピレン単独重合体、又は、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィン1.5mol%以下とを含有する結晶性プロピレン系共重合体である。
Dsolは、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンとからなるプロピレン系共重合体ゴムを主成分(通常50質量%を超え、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%)とする。プロピレン系共重合体ゴムに含まれるエチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンの含有量は、通常、上述した結晶性プロピレン系共重合体に含まれるオレフィンの含有量よりも高い。
「23℃n−デカン可溶部(Dsol)」とは、後述する実施例に記載のとおり、ポリプロピレン系樹脂(A)のうち、n−デカン中150℃で2時間加熱溶解後に23℃まで降温した際にn−デカン溶液側に溶解している部分を意味する。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、必須骨格であるプロピレンに起因する骨格と、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンに起因する骨格とから構成される。炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。共重合体中のエチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンに起因する骨格を構成するオレフィンとしては、エチレン又は炭素原子数4〜10のα−オレフィンが好ましく、さらに好ましくは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンであり、1種以上用いることがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A)のDinsolの極限粘度[η]は、好ましくは0.5〜3.0dl/g、より好ましくは1.0〜2.5dl/gである。Dsolの極限粘度[η]は、好ましくは3.0〜9.0dl/g、より好ましくは4.0〜9.0dl/gである。Dinsolの極限粘度[η]の上記各範囲は、耐衝撃性や成形時の流動性の点で意義がある。またDsolの極限粘度[η]の上記各範囲は、成形品表面の外観等の点で意義がある。
ポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)は、好ましくは45〜100g/10分、より好ましくは60〜100g/10分である。MFRの上記各範囲は、流動性、成形性、耐衝撃性、引張伸び率等の点で意義がある。
ポリプロピレン系樹脂(A)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、通常45〜90質量部、好ましくは45〜70質量部、より好ましくは50〜65質量部である。成分(A)の配合量が前記範囲よりも少なくなると、引張弾性率が低下する傾向にある。一方、成分(A)の配合量が前記範囲よりも多くなると、耐衝撃性が低下する可能性がある。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、例えば、特開2012−117005号公報等に記載されている固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分とを含むオレフィン重合用触媒の存在下に、プロピレンを重合し、次いで、プロピレンとエチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンとを共重合させるか、あるいは予備重合させて得られる予備重合触媒の存在下で、プロピレンを重合し、次いで、プロピレンとエチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンとを共重合させることにより製造できる。
予備重合を経由した後、あるいは予備重合を経由することなく実施される本重合は、結晶性プロピレン系(共)重合体を製造する工程及びプロピレン系共重合体ゴムを製造する工程に分けられるが、そのいずれの工程においても使用される(すなわち、重合される)オレフィンとしては、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンとが挙げられる。炭素原子数4〜20のα−オレフィンの具体例として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの直鎖状オレフィンや、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等の分岐状オレフィンを挙げることができ、これらの中でも、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。これより、好ましいオレフィンの組み合わせとしては、プロピレン・エチレン、プロピレン・1−ブテン、プロピレン・1−ペンテン、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン、プロピレン・エチレン・1−ブテン、プロピレン・エチレン・1−ペンテン、プロピレン・エチレン・4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
これらのα−オレフィンと共に、スチレン、アリルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン等の脂環族ビニル化合物;を用いることもできる。さらに、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどの環状オレフィン;イソプレン、ブタジエンなどの共役ジエン;非共役ジエンのような多不飽和結合を有する化合物を重合原料として用いることもできる。これらの化合物を1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい(以下、上記のエチレン及び炭素原子数が4〜20のα−オレフィンと共に用いられるオレフィンを「他のオレフィン」ともいう)。他のオレフィンの中では、芳香族ビニル化合物が好ましい。また、オレフィンの総量100質量%のうち、少量、例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下の量であれば、他のオレフィンが併用されてもよい。
予備重合及び本重合は、バルク重合法、溶解重合、懸濁重合等の液相重合法又は気相重合法のいずれにおいても実施できる。プロピレン重合体成分を製造する工程として好ましいのは、バルク重合や懸濁重合等の液相重合又は気相重合法である。また、プロピレン系共重合体ゴム成分を製造する工程として好ましいのは、バルク重合や懸濁重合等の液相重合又は気相重合法であり、より好ましくは気相重合法である。
本重合がスラリー重合の反応形態を採る場合、反応溶媒としては、上述の予備重合時に用いられる不活性炭化水素を用いることもできるし、反応温度・圧力において液体であるオレフィンを用いることもできる。
本重合を水素の存在下に行えば、得られる重合体の分子量を調節する(下げる)ことができ、メルトフローレートの大きい重合体が得られる。分子量を調整するために必要な水素量は、使用する製造プロセスの種類、重合温度、圧力によって異なるため、適宜調整すればよい。
プロピレン重合体成分を製造する工程では、重合温度、水素量を調整してMFRを調整できる。また、プロピレン系共重合体ゴム成分を製造する工程においても、重合温度、圧力、水素量を調整して、極限粘度を調整することができる。
本重合において、オレフィンの重合温度は、好ましくは約0〜200℃、より好ましくは約30〜100℃、特に好ましくは50〜90℃である。圧力(ゲージ圧)は、好ましくは常圧〜100kgf/cm2(9.8MPa)、より好ましくは約2〜50kgf/cm2(0.20〜4.9MPa)に設定される。
プロピレン系ブロック共重合体の製造方法においては、重合を、回分式、半連続式、連続式の何れの方法においても行うことができる。また、反応器の形状は、管状型、槽型のいずれも使用できる。さらに重合を、反応条件を変えて二段以上に分けて行うこともできる。この場合、管状と槽型を組合せることができる。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)]
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンとを共重合して得られる。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン等が好ましい。α−オレフィンは1種で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)としては、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、通常850〜892kg/m3である。この密度の各範囲は、剛性や耐衝撃性等の点で意義がある。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下)は、0.1〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分である。このMFRの各範囲は、流動性、分散性、耐衝撃性等の点で意義がある。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、通常10〜30質量部、好ましくは12〜25質量部、より好ましくは14〜23質量部である。この配合量の各範囲は、耐衝撃性、剛性(曲げ弾性率)、硬度等の点で意義がある。
[無機充填材(C)]
本発明で用いられる無機充填材(C)としては、特に限定されることなく公知の無機材を用いることができる。例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、石膏、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。中でも、特にタルクが好ましい。
無機充填材(C)の平均粒径は、好ましくは1μm以上14μm以下、より好ましくは3μm以上7μm以下である。平均粒径が1μmより小さいと、無機充填材が凝集して分散不良が発生するため、耐衝撃性や引張伸び率等の機械物性が低下する。一方、14μmより大きい場合も、耐衝撃性や引張伸び率等の機械物性が低下する。なお、平均粒径はレーザー回折法により測定される値である。
無機充填材(C)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、通常0〜25質量部、好ましくは0〜15質量部、より好ましくは0〜10質量部の範囲である。成分(C)の配合量が前記範囲より多くなると、耐傷付き性も低下する傾向にある。
[アルミフレーク]
本発明で用いるアルミフレークは、公知の方法によって製造できる。具体的には、例えば、アトマイズ紛、アルミニウム箔、蒸着アルミニウム箔等をボールミル、アトライター、スタンプミル等によって粉砕あるいは摩砕処理することによって製造できる。特に、アトマイズ法によって得られるアルミニウムパウダーをボールミルによって摩砕処理して得られたアルミフレークが好ましい。アルミニウムの純度は、特に限定されることはなく、展延性を有すれば他の金属との合金であってもよく、合金金属としては、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Zn等が挙げられる。
本発明では、平均粒径の異なる2種類のアルミフレークを用いる。平均粒径が小さいアルミフレーク(I)を添加することによって、成形品のフリップフロップ性が向上し、平均粒径が大きいアルミフレーク(II)を添加することによって、成形品の輝度感が向上する。
アルミフレーク(I)の平均粒径は5〜55μm、好ましくは5〜40μmであり、アルミフレーク(II)の平均粒径は45〜90μm、好ましくは50〜90μmである。ただしアルミフレーク(I)の平均粒径はアルミフレーク(II)の平均粒径よりも小さいものとする。
アルミフレーク(I)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して0.5〜3.5質量部、好ましくは1.0〜3.0質量部、より好ましくは1.0〜2.0質量部であり、アルミフレーク(II)の配合量は0.1〜1.5質量部である。アルミフレーク(I)と(II)の合計の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、1.5〜4.0質量部、好ましくは1.5〜3.0質量部である。アルミフレークの配合量が少な過ぎると成形品のメタリック外観を向上させることができない。一方、アルミフレークの配合量が多過ぎると成形品の機械物性が悪化することがある。アルミフレークを含有するマスターバッチで配合する場合、マスターバッチの樹脂は配合量に含めない。平均粒径がより小さいアルミフレーク(I)はフリップフロップ性メタリック感向上により寄与し、平均粒径がより大きいアルミフレーク(II)は輝度感の向上により寄与すると推察している。
[カーボンブラック(D)]
本発明で用いられるカーボンブラック(D)としては、各種の市販品を特に制限なく用いることができる。平均粒径も制限はないが、好ましくは10〜40nmである。驚くべきことに、このカーボンブラック(D)を適量添加することにより、正反射方向と水平方向との明度差がより大きく、すなわちフリップフロップ性メタリック感が向上する。
カーボンブラック(D)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して0.005〜0.06質量部、好ましくは0.01〜0.05質量部、より好ましくは0.01〜0.03質量部、特に好ましくは0.01〜0.02質量部である。カーボンブラックの配合量が多過ぎると、カーボンブラックの隠ぺい力が働き、アルミフレークのハイライトでの明度を阻害し、フリップフロップ性メタリック感の発現自体を阻害するおそれがある。一方、少な過ぎると本発明の効果が十分に得られないおそれがある。
[顔料(E)]
本発明においては、カーボンブラック以外の有彩色の無機顔料及び/又は有機顔料(E)を配合することも好ましい。その無機顔料や有機顔料としては、公知のものを使用できる。無機顔料としては、例えば金属の酸化物、硫化物、硫酸塩が挙げられる。有機顔料としては、例えばフタロシアニン系、キナクリドン系、ベンジジン系の顔料が挙げられる。
有彩色の無機顔料及び/又は有機顔料(E)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、0.01〜0.70質量部、好ましくは0.05〜0.70質量部、より好ましくは0.10〜0.60質量部である。
[酸変性ポリプロピレン(F)]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、酸変性ポリプロピレン(F)を含有してもよい。酸変性ポリプロピレン(F)は、ポリプロピレンを酸変性することにより得られる。ポリプロピレンの変性方法としては、グラフト変性や共重合化がある。
変性に用いる不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、フタル酸等が挙げられる。また、その誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等があり、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水フタル酸、アクリル酸メチル、メタクル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸又は無水フタル酸が好適である。
溶融混練過程で酸変性する場合は、ポリプロピレンと不飽和カルボン酸又はその誘導体を、有機過酸化物を用いて押出機中で混練することにより、不飽和カルボン酸又はその誘導体をグラフト共重合し変性化する。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ビス(t−ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等を挙げることができる。
酸変性ポリプロピレン(F)としては、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体で変性された酸変性ポリプロピレンが好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレンがより好ましい。
酸変性ポリプロピレン(F)における酸含有量は、好ましくは0.5重量%〜7.0重量%、より好ましくは0.8重量%〜5.0重量%である。
酸変性ポリプロピレン(F)の極限粘度(135℃、テトラリン中)は、好ましくは0.1〜3dl/gである。
酸変性ポリプロピレン(F)の市販品としては、例えば、三井化学株式会社製のアドマー、三洋化成工業株式会社製のユーメックス、デュポン社製のMZシリーズ、Exxon社製のExxelor、東洋化成株式会社製のポリボンドシリーズ等(いずれも無水マレイン酸変性ポリプロピレン)が挙げられる。
酸変性ポリプロピレン(F)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.4質量部、より好ましくは0.08〜0.35質量部である。成分(F)の配合量が前記範囲よりも少ないと、耐傷付き性の改良効果が発現しないことがある。一方、成分(F)の配合量が前記範囲より多くなると、耐衝撃性が低下することがある。
[滑剤(G)]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、滑剤(G)を含有してもよい。滑剤(G)としては、脂肪酸アミドが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数15〜30程度の飽和、不飽和脂肪酸が挙げられる。
脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベへニン酸アミド、パルミチン酸アミド、ミリスチル酸アミド、ラウリン酸アミド、カプリル酸アミド、カプロン酸アミド、n−オレイルパルミトアミド、n−オレイルエルカアミド、及びそれらの2量体等が挙げられる。中でもオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド及びエルカ酸アミドの2量体が好ましい。これらは単独もしくは混合して使用することができる。
滑剤(G)の配合量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜3.0質量部、より好ましくは0.1〜1.0質量部である。成分(G)の配合量が前記範囲よりも少ないと、十分な耐傷付き性改良効果が発現しないことがある。一方、成分(G)の配合量が前記範囲よりも多くなると、組成物から表面改質剤がブリードし、成形時に金型に付着することで金型汚染に繋がる場合がある。
[各種添加剤]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、脂肪酸金属塩、分散剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
[組成物の物性]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物全体のMFR(230℃、2.16kg荷重下)は、好ましくは8〜40g/10分、より好ましくは20〜40g/10分である。
[組成物の製造方法]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述した成分(A)〜(C)、アルミフレーク(I)、(II)及びカーボンブラック並びに必要に応じて(D)、(E)及び各種添加剤を、公知の方法にて混合することにより製造することができる。例えば、各成分を各種ミキサーやタンブラー等により混合してもよく、また、混合したものを押出機等により溶融混練してもよい。さらに、成形の操作性を向上するために、本発明の組成物をペレット等に加工してもよい。
[成形品]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の加工法、例えば、射出成形や押出成形等により、各種成形品に加工できる。得られた成形品は、衝撃強度や硬度に優れるばかりでなく、塗装調のフリップフロップ性メタリック感と輝度感を発現しているため、塗装や表皮等の後工程を設けなくても製品として使用することが出来る。したがって、例えば自動車外装部品の材料として好適に使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する、ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。各成分の詳細及び評価法を以下に記載する。
(1)メルトフローレート(MFR)
ISO 1133に準拠し、試験荷重2.16kg、試験温度230℃の条件で測定した。
(2)23℃n−デカン可溶(不溶)成分量
ガラス製の測定容器にプロピレン系ブロック共重合体約3g(10-4gの単位まで測定した。また、この重量を、下式においてb(g)と表した。)、デカン500ml、及びデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン系ブロック共重合体を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間かけて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン系ブロック共重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G−4規格のグラスフィルターで減圧ろ過した。ろ液の100mlを採取し、これを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得て、この重量を10-4gの単位まで測定した(この重量を、下式においてa(g)と表した)。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
室温n−デカン可溶成分(Dsol)含有率=100×(500×a)/(100×b)
室温n−デカン不溶成分(Dinsol)含有率=100−100×(500×a)/(100×b)
(3)23℃デカン可溶部のエチレン量
13C−NMRの測定に基づき下記のようにして測定・算出し決定した。サンプルは、前記の23℃n−デカン可溶成分量を求めた際に得られたデカン可溶成分を用いた。この可溶成分を試料として、下記条件にて13C−NMRの測定を行った。
13C-NMR測定条件
測定装置:日本電子製LA400型核磁気共鳴装置
測定モード:BCM(Bilevel Complete decoupling)
観測周波数:100.4MHz
観測範囲:17006.8Hz
パルス幅:C核45°(7.8μ秒)
パルス繰り返し時間:5秒
試料管:5mmφ
試料管回転数:12Hz
積算回数:20000回
測定温度:125℃
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン:0.35ml/重ベンゼン:0.2ml
試料量:約40mg
測定で得られたスペクトルより、下記文献(1)に準じて、モノマー連鎖分布(トリアッド(3連子)分布)の比率を決定し、プロピレン系重合体のデカン可溶部中のエチレンに由来する構成単位のモル分率(mol%) (以下E(mol%)と記す)およびプロピレンに由来する構成単位のモル分率(mol%) (以下P(mol%)と記す)を算出した。求められたE(mol%)およびP(mol%)から下記(式1)に従い重量%に換算しプロピレン系重合体のDsol中のエチレンに由来する構成単位の重量(重量%)(以下E(wt%)と記す)を算出した。
文献(1):Kakugo,M.; Naito,Y.; Mizunuma,K.; Miyatake,T., Carbon-13 NMR determination of monomer sequence distribution in ethylene-propylene copolymers prepared with delta-titanium trichloride-diethylaluminum chloride. Macromolecules 1982, 15, (4), 1150-1152
E (wt%)=E(mol%)×28×100/[P(mol%)×42+E(mol%)×28]・・・(式1)
(4)極限粘度[η]
デカリン中135℃で測定した極限粘度[η](dl/g)は次のようにして測定した。まず、サンプル約25mgをデカリン25mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求め、この値を試料の、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η](dl/g)とした。
(5)フリップフロップ性メタリック感
以下の条件で50mm×90m×2mm厚みの角板を射出成形し、これをフリップフロップ性メタリック感評価用の試験片として用いた。
東芝機械社製 :EC−40NII
シリンダー温度:190℃
スクリュ回転数:110rpm
計量時間 :7.5sec
保圧 :40MPa
背圧 :5MPa
射出速度 :40mm/s
型締圧力 :40t
金型設定温度 :45℃
冷却時間 :10sec
この試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度を目視により確認し、以下の基準でフリップフロップ性メタリック感を評価した。
◎:試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度差が非常に大きい。
〇:試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度差が大きい。
(6)輝度感
輝度感評価用の試験片としては、上記のフリップフロップ性メタリック感評価用の試験片と同じ50mm×90m×2mm厚みの角板を用いた。この試験片の表面を目視により確認し、以下の基準で輝度感を評価した。
◎:鮮やかなキラキラ感がある。
〇:キラキラ感がある。
(7)IZOD衝撃強度
以下の条件でIZOD衝撃強度測定用の試験片を射出成形し、ASTM D256に準拠して測定温度−30℃の条件で測定を行った。
東芝機械社製 :EC−160
樹脂温度 :200℃
保圧 :44MPa
充填時間 :6sec
金型設定温度 :40℃
冷却時間 :15s
(8)SHORE−D硬度
以下の条件でSHORE−D硬度測定用の試験片を射出成形し、ASTM D 2240のデュロメータ試験方法に準拠して、タイプDで測定を行った。
東芝機械社製 :EC−100NII
樹脂温度 :190℃
保圧 :40MPa
充填時間 :3sec
金型設定温度 :40℃
冷却時間 :22sec
<ポリプロピレン系樹脂(A)>
国際公開第2016/093266号の製造例10と同じ方法により製造したプロピレン・エチレン共重合体(Dinsol=91質量%、DinsolのMFR=270g/分、Dsol=9質量%、Dsolの[η]=7.5dl/g、Dsolのエチレン含量=40mol%、MFR=85g/分)のパウダーを用いて以下の条件でプロピレン・エチレン共重合体ペレット(A)を得た。
上記プロピレン・エチレン共重合体パウダー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「IRGANOX1010FP」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.10質量部、リン系酸化防止剤(商品名「IRGA FOS168」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05質量部、ステアリン酸カルシウム(商品名「カルシウム・ステアレート」、日東化成工業社製)0.05質量部をそれぞれ配合し、ヘンシェルミキサーにて予備混合した。次いで、二軸押出機を用いて樹 脂温度210℃で溶融混練を行い、溶融ストランドを水槽で冷却し、ストランドカッターにてペレットとした。
<エチレン・α−オレフィン共重合体(B)>
エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー(登録商標)A0550(MFR=0.9g/10分、密度=861kg/m
<無機充填材(C)>
タルク(浅田製粉社製JM209、平均粒径3.9μm)
<アルミフレーク>
「アルミフレーク1」:東洋アルミ社製 アルミマスターバッチ(平均粒径20μm、アルミ濃度70%)
「アルミフレーク2」:東洋アルミ社製 アルミマスターバッチ(平均粒径60μm、アルミ濃度70%)
<カーボンブラック(D)>
CABOT社製、商品名「BLACK PERLS 4840」、平均一次粒子径=18nm
<顔料(E)>
HOLLIDAY PIGMENTS社製、商品名「Ultramarine Blue NO.57」
<原材料の配合、ポリプロピレン系樹脂組成物ペレットの製造>
上記の各原材料を用いて、成分(A)、(B)、(C)はそれぞれ70質量部、20質量部、10質量部(合計を100質量部とし、(I)と表記する)とし、表1に示す割合で各々配合し(アルミフレークはマスターバッチ中のアルミフレーク量を表1に記載している)、更に上記配合物100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「IRGANOX1010FP」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.10質量部、リン系酸化防止剤(商品名「IRGA FOS168」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05質量部、ステアリン酸カルシウム(商品名「カルシウム・ステアレート」、日東化成工業社製)0.05質量部をそれぞれ配合し、ヘンシェルミキサーにて予備混合した。次いで、二軸押出機を用いて樹 脂温度210℃で溶融混練を行い、溶融ストランドを水槽で冷却し、ストランドカッターにてポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを得た。
[参考例1]
成分(A)を70質量部、成分(B)を20質量部,成分(C)を10質量部、((A)、(B),(C)の合計を100質量部とし、(I)と記す)からなるポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを製造した。そのペレットを用いて所定の試験片を成形して、光輝材を含有するメタリック合成樹脂エナメル塗料の塗装を施した。その試験片を用いて外観評価を行った。結果を表1に示す。
[参考例2]
成分(A)を70質量部、成分(B)を20質量部,成分(C)を10質量部、((A)、(B),(C)の合計を100質量部とし、(I)と記す)からなるポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを製造した。そのペレットを用いて所定の試験片を成形し、物性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例1〜4及び比較例1〜5]
成分(A)を70質量部、成分(B)を20質量部,成分(C)を10質量部((A)、(B),(C)の合計を100質量部とし、(I)と記す)、ならびに表1に示す各成分を含むポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを製造した(表中の組成比の単位は質量部である)。そのペレットを用いて所定の試験片を成形して外観・物性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006914672
<評価>
以上の結果から、実施例において、塗装メタリック調外観(参考例1)同様、フリップフロップ性メタリック感と輝度感の優れた成形物を得ることができた。これは、適量のカーボンブラックを添加することにより、小粒径のアルミフレークのみでは発現しきれなかったシェード方向のみの明度低下による正反射方向との明度差と、平均粒径の大きなアルミフレークによるキラキラ感とのバランスにより優れた塗装基調が発揮されたためと推察している。また、それらの物性は、アルミやカーボンブラックを使用していない参考例2と比較して、低温衝撃値は若干低下するものの、硬度を維持し、自動車外装用途としてのバランスは十分保てている。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、フリップフロップ性メタリック感、輝度感及びその他の物性(機械物性)のバランスに優れている。したがって、その成形品は無塗装であっても良好なメタリック外観(フリップフロップ性メタリック感、輝度感)が発現し、その他の物性(衝撃強度、硬度など)のバランスに優れているので、例えば自動車外装材等の分野に非常に有用である。

Claims (4)

  1. 23℃n−デカン不溶部(Dinsol)80〜95質量%と、23℃n−デカン可溶部(Dsol)5〜20質量%(DinsolとDsolの合計を100質量%とする)とから構成され、23℃n−デカン不溶部(Dinsol)の極限粘度([η]dl/g)が0.5〜3.0dl/gであり、23℃n−デカン可溶部(Dsol)の極限粘度([η]dl/g)が4.0〜9.0dl/gである、少なくとも一種以上のポリプロピレン系樹脂(A)45〜90質量部、
    エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンとを共重合して得られ、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20(g/10分)であり、密度が850〜892kg/mであるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)10〜30質量部、及び
    無機充填材(C)0〜25質量部
    (成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とする。)
    を含有するポリプロピレン系樹脂組成物において、
    平均粒径が5〜55μmであるアルミフレーク(I)1.0〜3.5質量部及び平均粒径が45〜90μmであるアルミフレーク(II)0.1〜1.5質量部(ただしアルミフレーク(I)の平均粒径はアルミフレーク(II)の平均粒径よりも小さい)を合計1.5〜4.0質量部、及び、
    カーボンブラック(D)0.005〜0.06質量部
    をさらに含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 有彩色の無機顔料及び/又は有機顔料(E)(ただしカーボンブラックは除く)0.01〜0.70質量部をさらに含有する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 酸変性ポリプロピレン(F)0.05〜0.4質量部及び/又は滑剤(G)0.1〜3.0質量部をさらに含有する請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる自動車外装用部品。
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