JP6914672B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物及び自動車外装用部品 - Google Patents
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エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンとを共重合して得られ、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20(g/10分)であり、密度が850〜892kg/m3であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)10〜30質量部、及び
無機充填材(C)0〜25質量部
(成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とする。)
を含有するポリプロピレン系樹脂組成物において、
平均粒径が5〜55μmであるアルミフレーク(I)1.0〜3.5質量部及び平均粒径が45〜90μmであるアルミフレーク(II)0.1〜1.5質量部(ただしアルミフレーク(I)の平均粒径はアルミフレーク(II)の平均粒径よりも小さい)を合計1.5〜4.0質量部、及び、
カーボンブラック(D)0.005〜0.06質量部
をさらに含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(A)は、23℃n−デカン不溶部(Dinsol)80〜95質量%(好ましくは85〜95質量%)と、23℃n−デカン可溶部(Dsol)5〜20質量%(好ましくは5〜15質量%)とから構成される。ここで、DinsolとDsolの合計は100質量%とする。Dsolの含有割合が前記範囲よりも少ないと十分な耐衝撃性が得られない場合がある。一方、Dsolの含有割合が前記範囲よりも多いと剛性が低下する場合がある。
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンとを共重合して得られる。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン等が好ましい。α−オレフィンは1種で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)としては、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。
本発明で用いられる無機充填材(C)としては、特に限定されることなく公知の無機材を用いることができる。例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、石膏、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。中でも、特にタルクが好ましい。
本発明で用いるアルミフレークは、公知の方法によって製造できる。具体的には、例えば、アトマイズ紛、アルミニウム箔、蒸着アルミニウム箔等をボールミル、アトライター、スタンプミル等によって粉砕あるいは摩砕処理することによって製造できる。特に、アトマイズ法によって得られるアルミニウムパウダーをボールミルによって摩砕処理して得られたアルミフレークが好ましい。アルミニウムの純度は、特に限定されることはなく、展延性を有すれば他の金属との合金であってもよく、合金金属としては、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Zn等が挙げられる。
本発明で用いられるカーボンブラック(D)としては、各種の市販品を特に制限なく用いることができる。平均粒径も制限はないが、好ましくは10〜40nmである。驚くべきことに、このカーボンブラック(D)を適量添加することにより、正反射方向と水平方向との明度差がより大きく、すなわちフリップフロップ性メタリック感が向上する。
本発明においては、カーボンブラック以外の有彩色の無機顔料及び/又は有機顔料(E)を配合することも好ましい。その無機顔料や有機顔料としては、公知のものを使用できる。無機顔料としては、例えば金属の酸化物、硫化物、硫酸塩が挙げられる。有機顔料としては、例えばフタロシアニン系、キナクリドン系、ベンジジン系の顔料が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、酸変性ポリプロピレン(F)を含有してもよい。酸変性ポリプロピレン(F)は、ポリプロピレンを酸変性することにより得られる。ポリプロピレンの変性方法としては、グラフト変性や共重合化がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、滑剤(G)を含有してもよい。滑剤(G)としては、脂肪酸アミドが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数15〜30程度の飽和、不飽和脂肪酸が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、脂肪酸金属塩、分散剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物全体のMFR(230℃、2.16kg荷重下)は、好ましくは8〜40g/10分、より好ましくは20〜40g/10分である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述した成分(A)〜(C)、アルミフレーク(I)、(II)及びカーボンブラック並びに必要に応じて(D)、(E)及び各種添加剤を、公知の方法にて混合することにより製造することができる。例えば、各成分を各種ミキサーやタンブラー等により混合してもよく、また、混合したものを押出機等により溶融混練してもよい。さらに、成形の操作性を向上するために、本発明の組成物をペレット等に加工してもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の加工法、例えば、射出成形や押出成形等により、各種成形品に加工できる。得られた成形品は、衝撃強度や硬度に優れるばかりでなく、塗装調のフリップフロップ性メタリック感と輝度感を発現しているため、塗装や表皮等の後工程を設けなくても製品として使用することが出来る。したがって、例えば自動車外装部品の材料として好適に使用することができる。
ISO 1133に準拠し、試験荷重2.16kg、試験温度230℃の条件で測定した。
ガラス製の測定容器にプロピレン系ブロック共重合体約3g(10-4gの単位まで測定した。また、この重量を、下式においてb(g)と表した。)、デカン500ml、及びデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン系ブロック共重合体を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間かけて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン系ブロック共重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G−4規格のグラスフィルターで減圧ろ過した。ろ液の100mlを採取し、これを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得て、この重量を10-4gの単位まで測定した(この重量を、下式においてa(g)と表した)。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
室温n−デカン可溶成分(Dsol)含有率=100×(500×a)/(100×b)
室温n−デカン不溶成分(Dinsol)含有率=100−100×(500×a)/(100×b)
13C−NMRの測定に基づき下記のようにして測定・算出し決定した。サンプルは、前記の23℃n−デカン可溶成分量を求めた際に得られたデカン可溶成分を用いた。この可溶成分を試料として、下記条件にて13C−NMRの測定を行った。
測定装置:日本電子製LA400型核磁気共鳴装置
測定モード:BCM(Bilevel Complete decoupling)
観測周波数:100.4MHz
観測範囲:17006.8Hz
パルス幅:C核45°(7.8μ秒)
パルス繰り返し時間:5秒
試料管:5mmφ
試料管回転数:12Hz
積算回数:20000回
測定温度:125℃
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン:0.35ml/重ベンゼン:0.2ml
試料量:約40mg
デカリン中135℃で測定した極限粘度[η](dl/g)は次のようにして測定した。まず、サンプル約25mgをデカリン25mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求め、この値を試料の、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η](dl/g)とした。
以下の条件で50mm×90m×2mm厚みの角板を射出成形し、これをフリップフロップ性メタリック感評価用の試験片として用いた。
東芝機械社製 :EC−40NII
シリンダー温度:190℃
スクリュ回転数:110rpm
計量時間 :7.5sec
保圧 :40MPa
背圧 :5MPa
射出速度 :40mm/s
型締圧力 :40t
金型設定温度 :45℃
冷却時間 :10sec
◎:試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度差が非常に大きい。
〇:試験片の面に対して垂直で見た明度と水平で見た明度差が大きい。
輝度感評価用の試験片としては、上記のフリップフロップ性メタリック感評価用の試験片と同じ50mm×90m×2mm厚みの角板を用いた。この試験片の表面を目視により確認し、以下の基準で輝度感を評価した。
◎:鮮やかなキラキラ感がある。
〇:キラキラ感がある。
以下の条件でIZOD衝撃強度測定用の試験片を射出成形し、ASTM D256に準拠して測定温度−30℃の条件で測定を行った。
東芝機械社製 :EC−160
樹脂温度 :200℃
保圧 :44MPa
充填時間 :6sec
金型設定温度 :40℃
冷却時間 :15s
以下の条件でSHORE−D硬度測定用の試験片を射出成形し、ASTM D 2240のデュロメータ試験方法に準拠して、タイプDで測定を行った。
東芝機械社製 :EC−100NII
樹脂温度 :190℃
保圧 :40MPa
充填時間 :3sec
金型設定温度 :40℃
冷却時間 :22sec
国際公開第2016/093266号の製造例10と同じ方法により製造したプロピレン・エチレン共重合体(Dinsol=91質量%、DinsolのMFR=270g/分、Dsol=9質量%、Dsolの[η]=7.5dl/g、Dsolのエチレン含量=40mol%、MFR=85g/分)のパウダーを用いて以下の条件でプロピレン・エチレン共重合体ペレット(A)を得た。
エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー(登録商標)A0550(MFR=0.9g/10分、密度=861kg/m3)
タルク(浅田製粉社製JM209、平均粒径3.9μm)
「アルミフレーク1」:東洋アルミ社製 アルミマスターバッチ(平均粒径20μm、アルミ濃度70%)
「アルミフレーク2」:東洋アルミ社製 アルミマスターバッチ(平均粒径60μm、アルミ濃度70%)
CABOT社製、商品名「BLACK PERLS 4840」、平均一次粒子径=18nm
HOLLIDAY PIGMENTS社製、商品名「Ultramarine Blue NO.57」
上記の各原材料を用いて、成分(A)、(B)、(C)はそれぞれ70質量部、20質量部、10質量部(合計を100質量部とし、(I)と表記する)とし、表1に示す割合で各々配合し(アルミフレークはマスターバッチ中のアルミフレーク量を表1に記載している)、更に上記配合物100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「IRGANOX1010FP」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.10質量部、リン系酸化防止剤(商品名「IRGA FOS168」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05質量部、ステアリン酸カルシウム(商品名「カルシウム・ステアレート」、日東化成工業社製)0.05質量部をそれぞれ配合し、ヘンシェルミキサーにて予備混合した。次いで、二軸押出機を用いて樹 脂温度210℃で溶融混練を行い、溶融ストランドを水槽で冷却し、ストランドカッターにてポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを得た。
成分(A)を70質量部、成分(B)を20質量部,成分(C)を10質量部、((A)、(B),(C)の合計を100質量部とし、(I)と記す)からなるポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを製造した。そのペレットを用いて所定の試験片を成形して、光輝材を含有するメタリック合成樹脂エナメル塗料の塗装を施した。その試験片を用いて外観評価を行った。結果を表1に示す。
成分(A)を70質量部、成分(B)を20質量部,成分(C)を10質量部、((A)、(B),(C)の合計を100質量部とし、(I)と記す)からなるポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを製造した。そのペレットを用いて所定の試験片を成形し、物性評価を行った。結果を表1に示す。
成分(A)を70質量部、成分(B)を20質量部,成分(C)を10質量部((A)、(B),(C)の合計を100質量部とし、(I)と記す)、ならびに表1に示す各成分を含むポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを製造した(表中の組成比の単位は質量部である)。そのペレットを用いて所定の試験片を成形して外観・物性評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 23℃n−デカン不溶部(Dinsol)80〜95質量%と、23℃n−デカン可溶部(Dsol)5〜20質量%(DinsolとDsolの合計を100質量%とする)とから構成され、23℃n−デカン不溶部(Dinsol)の極限粘度([η]dl/g)が0.5〜3.0dl/gであり、23℃n−デカン可溶部(Dsol)の極限粘度([η]dl/g)が4.0〜9.0dl/gである、少なくとも一種以上のポリプロピレン系樹脂(A)45〜90質量部、
エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンとを共重合して得られ、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20(g/10分)であり、密度が850〜892kg/m3であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)10〜30質量部、及び
無機充填材(C)0〜25質量部
(成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とする。)
を含有するポリプロピレン系樹脂組成物において、
平均粒径が5〜55μmであるアルミフレーク(I)1.0〜3.5質量部及び平均粒径が45〜90μmであるアルミフレーク(II)0.1〜1.5質量部(ただしアルミフレーク(I)の平均粒径はアルミフレーク(II)の平均粒径よりも小さい)を合計1.5〜4.0質量部、及び、
カーボンブラック(D)0.005〜0.06質量部
をさらに含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。 - 有彩色の無機顔料及び/又は有機顔料(E)(ただしカーボンブラックは除く)0.01〜0.70質量部をさらに含有する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 酸変性ポリプロピレン(F)0.05〜0.4質量部及び/又は滑剤(G)0.1〜3.0質量部をさらに含有する請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる自動車外装用部品。
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