JP2009132765A - シームレスインストルメントパネル用樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性、耐衝撃性、外観に優れ、かつエアバックキットとの融着特性に優れるため、エアバッグシステムをシームレスに備えることのできる、エアバッグ作動時に確実に展開可能なシームレスインストルメントパネル用の樹脂組成物、およびそれから得られるシームレスインストルメントパネルを提供すること。
【解決手段】メルトフローレートが50〜130g/10分の結晶性ポリプロピレン成分50〜85重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分15〜50重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(A)、メルトフローレートが5〜45g/10分の結晶性ポリプロピレン成分70〜95重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分5〜30重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(B)、グラフト率が0.5〜2.0重量%の不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された重量平均分子量が5万〜15万の酸変性ポリプロピレン(C)、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとの共重合体ゴム(D)、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数7〜18のα−オレフィン共重合体ゴム(E)、及び無機充填剤(F)からなり、かつ、各成分の含有割合は、(A)が20〜60重量%、(B)が15〜45重量%、(C)が0.5〜4重量%、(D)が5〜15重量%、(E)が3〜10重量%、(F)が10〜25重量%(ただし(A)〜(F)の合計量は100重量%である。)であることを特徴とするシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物により提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、シームレスインストルメントパネル用樹脂組成物およびそれから得られるシームレスインストルメントパネルに関し、さらに詳しくは、剛性、耐衝撃性、外観に優れ、かつエアバックキットとの融着特性に優れるため、エアバッグシステムをシームレスに備えることのできる、エアバッグ作動時に確実に展開可能なシームレスインストルメントパネル用の樹脂組成物、およびそれから得られるシームレスインストルメントパネルに関する。
従来、自動車の助手席のエアバッグ装置は、剛性の必要なインストルメントパネルと、低温から高温までの広い温度範囲での優れた展開性が必要なエアバッグカバーとが異なる材質のため、両者は別々に成形され、インストルパネルに組み込まれていた。そのため、エアバッグカバー部とインストルメントパネル部の境界には継ぎ目が生じていた。
しかし、近年になって、意匠面及びフロントガラスへの写り込みを回避するといった安全面等から、継ぎ目をインストルメンタルパネルから見えなくするという、シームレスインストルメンタルパネルへの移行に対する要求があった。
この解決手段の一つとして、表皮材で覆う方法(特許文献1)があるが、製造工程が複雑で、コストがかかるといった問題があった。
一方、インストルメントパネルとエアバッグキットとの接続は、ネジ止め、フック止めなどが広く行われているが、様々な部品が必要であり、また、重量増加につながる問題があり、そのため、溶着で固定することが提案されている。
こうした状況下に、インストルメントパネルとエアバッグカバーとを同一素材で一体的に成形する方法が提案され、それに用いる樹脂組成物が種々開発されている(例えば、特許文献2、3、4)。
例えば、特許文献2には、曲げ初期弾性率が500〜1000MPa、−40℃におけるIzod衝撃試験が非破壊であり、ポリプロピレン樹脂40〜70重量部、ムーニー粘度が20〜70のエチレン・プロピレン(・非共役ジエン)共重合体ゴム5〜30重量部、ムーニー粘度が90〜180のエチレン・プロピレン(・非共役ジエン)共重合体ゴム5〜30重量部、MFRが1〜50g/10分のエチレン・オクテン共重合体5〜30重量部、タルク1〜15重量部からなるエアバッグカバーが一体化されたインスツルメントパネル用の熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献3には、ポリプロピレン50〜95質量%、熱可塑性エラストマー0〜20質量%及びタルク5〜30質量%からなり、該タルクのうち、平均粒径が10μmを超えるタルクが組成物基準で5質量%以上であるシームレスエアバッグカバー用樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献4には、下記の成分(A)〜(C)を含有し、ホモ成分と共重合成分と成分(C)の合計を100重量%として、ホモ成分の含有量が40〜50重量%であり、共重合体成分の含有量が30〜40重量%であり、成分(C)の含有量が10〜30重量%であるエアバッグカバー一体型インパネ用樹脂組成物が開示されている。
(A):ブロックポリプロピレン(a1)及びホモポリプロピレン(a2)からなるプロピレン系樹脂
(B):密度が870kg/m3未満であり、温度190℃及び21.18Nの条件で測定されるメルトーレートが5g/10min以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体
(C):タルク
( ただし、ホモ成分とは(a1)のホモ部と(a2)を合わせたものであり、共重合成分とは(a1)の共重合部と(B)を合わせたものを意味する。)
しかしながら、上述のような従来の一体型インパネ用樹脂組成物は、インストルメントパネルとしての剛性と、エアバッグカバーとしての展開性をあわせもつため、溶着で固定するときには、依然として溶着部に剥離が起るという問題点をもっていた。すなわち、従来のインストルメントパネル用樹脂組成物を用いたシームレスインストルメントパネルでは、エアバッグキットを振動溶着により固定をしても、溶着強度が低く、エアバック作動時にインストルメントパネルとエアバッグキットとの溶着部に剥離が起こり、エアバックカバー部が展開不能であった。また、エアバック作動時の衝撃により、インストルメントパネル自体が展開予定線以外の部位で破壊してしまう問題があった。
そのため、従来のインストルメントパネル用樹脂組成物の問題点を解消し、エアバッグシステムをシームレスに備えることのできる新たなシームレスインストルメントパネル用の樹脂組成物の研究開発が求められていた。
特開2007−176991号公報 特開2003−183459号公報 特開2004−315640号公報 特開2006−257259号公報
本発明の目的は、剛性、耐衝撃性、外観に優れ、かつエアバックキットとの融着特性に優れるため、エアバッグシステムをシームレスに備えることのできる、エアバッグ作動時に確実に展開可能なシームレスインストルメントパネル用の樹脂組成物、およびそれから得られるシームレスインストルメントパネルを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)、プロピレンエチレンブロック共重合体(B)、酸変性ポリプロピレン(C)、エチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとの共重合体ゴム(D)、エチレンと炭素数7〜18のα−オレフィン共重合体ゴム(E)及び無機充填剤(F)からなる樹脂組成物において、各成分の特定化と各成分の含有割合の最適化を同時に行なったところ、剛性、耐衝撃性、外観に優れ、更に、振動溶着強度を大幅に向上させたシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メルトフローレートが50〜130g/10分の結晶性ポリプロピレン成分50〜85重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分15〜50重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(A)、メルトフローレートが5〜45g/10分の結晶性ポリプロピレン成分70〜95重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分5〜30重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(B)、グラフト率が0.5〜2.0重量%の不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された重量平均分子量が5万〜15万の酸変性ポリプロピレン(C)、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとの共重合体ゴム(D)、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数7〜18のα−オレフィン共重合体ゴム(E)、及び無機充填剤(F)からなり、かつ、各成分の含有割合は、(A)が20〜60重量%、(B)が15〜45重量%、(C)が0.5〜4重量%、(D)が5〜15重量%、(E)が3〜10重量%、(F)が10〜25重量%(ただし(A)〜(F)の合計量は100重量%である。)であることを特徴とするシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、シームレスインストルメントパネルとエアバッグキットを振動溶着により固定したときの振動溶着強度が、46N以上であることを特徴とするシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、シームレスインストルメントパネル用樹脂組成物は、メルトフローレートが10〜25g/10分であることを特徴とするシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明に係る樹脂組成物を成形してなるシームレスインストルメントパネルが提供される。
本発明によれば、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)、プロピレンエチレンブロック共重合体(B)、酸変性ポリプロピレン(C)、エチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとの共重合体ゴム(D)、エチレンと炭素数7〜18のα−オレフィン共重合体ゴム(E)及び無機充填剤(F)からなる樹脂組成物において、各成分を特定化するとともにその含有割合を最適化することにより、各成分の分散性が著しく改善され、その結果、剛性、耐衝撃性、外観に優れ、更に、振動溶着強度を大幅に向上させたシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物が得られたものと推定される。そして、本発明の樹脂組成物は、シームレスインストルメントパネル用として有用であり、産業上の有用性は非常に高い。
本発明は、メルトフローレートが50〜130g/10分の結晶性ポリプロピレン成分50〜85重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分15〜50重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(A)を20〜60重量%、メルトフローレートが5〜45g/10分の結晶性ポリプロピレン成分70〜95重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分5〜30重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(B)を15〜45重量%、グラフト率が0.5〜2.0重量%の不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された重量平均分子量が5万〜15万の酸変性ポリプロピレン(C)を0.5〜4重量%、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとの共重合体ゴム(D)を5〜15重量%、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数7〜18のα−オレフィン共重合体ゴム(E)を3〜10重量%、及び無機充填剤(F)を10〜25重量%(ただし(A)〜(F)の合計量は100重量%である。)含むことを特徴とするシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物である。以下、本発明のシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物を構成する構成成分やその製造方法等について詳細に説明する。
1.プロピレンエチレンブロック共重合体(A)
本発明で用いるプロピレンエチレンブロック共重合体(A)は、プロピレン重合工程とプロピレンエチレンランダム共重合工程を含む重合方法によって得ることができる、結晶性ポリプロピレン成分(A−1)とプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)とを含むブロック共重合体である。
(1)結晶性ポリプロピレン成分(A−1)
結晶性ポリプロピレン成分(A−1)は、結晶性のプロピレンの単独重合体であることが好ましいが、結晶性を著しく損なわない範囲でプロピレンに少量の他のコモノマーを共重合することによって得られる結晶性の共重合体であってもよい。(A−1)成分の結晶性は、アイソタクチック指数(沸騰n−ヘプタン抽出による不溶分)として、通常90%以上、好ましくは95〜100%である。結晶性が小さいとプロピレンブロック共重合体組成物の剛性が低くなる。
上記コモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル1−ペンテンなどのプロピレン以外のα−オレフィン、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物等が挙げられる。これらは二種以上共重合されていてもよい。
プロピレンにコモノマーを共重合する際の、コモノマーの量としては、(A−1)成分の全重量を基準として3重量%以下程度である。
結晶性ポリプロピレン成分(A−1)のMFRは、50〜130g/10分であり、好ましくは55〜115g/10分であり、より好ましくは60〜100g/10分である。(A−1)成分のMFRが50g/10分未満、または、130g/10分を超えると、溶着強度が低くなり、エアバッグの展開不良が生じる。
本発明においては、(A−1)成分のMFRが上記の範囲にあることが必要であり、これにより、溶着強度の優れた成形品となる本発明のプロピレンブロック共重合体組成物を得ることができる。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されたものである。
(2)プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)
プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)は、プロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状成分である。(A−2)には、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1などの直鎖状α−オレフィン、3−メチル1−ブテン、4−メチル1−ペンテンなどの分岐状α−オレフィン等の他のモノマーから導かれる構造単位が含まれていてもよい。
プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)のエチレン含有量は、20〜70重量%、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%であることが好ましい。この範囲であると、衝撃性が良好となる。
ここで、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)中のエチレン含量は、後述する方法にて測定する値である。
プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)の固有粘度[η]は、好ましくは2.5〜7.0dl/gであり、より好ましくは3.0〜6.5dl/gである。[η]が2.5dl/g未満であると成形品にフローマークが発生し外観が劣ることがあり、また7.0dl/gを超えると、成形時の未溶融物がブツとなって、成形品の外観を損なうことがある。
ここで、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)中の[η]は、後述する昇温溶出分別における40℃以下で溶出する成分(フラクション1)の135℃、テトラリン中で測定する値である。
(3)プロピレンエチレンブロック共重合体(A)の物性
本発明のプロピレンブロック共重合体組成物で用いるプロピレンエチレンブロック共重合体(A)において、結晶性ポリプロピレン成分(A−1)及びプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)の割合は、結晶性ポリプロピレン成分(A−1)が50〜85重量%、好ましくは60〜80重量%、より好ましくは65〜75重量%で、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A−2)が15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは25〜35重量%である。結晶性ポリプロピレン成分(A−1)の割合が50重量%未満であると、流動性が劣る。一方、結晶性ポリプロピレン成分(A−1)割合が85重量%を超えると、外観が悪化する。
本発明においては、(A−1)成分と(A−2)成分の割合が、上記の範囲にあることが必要であり、これにより、流動性及び外観のバランスの優れた成形品となる本発明のプロピレンブロック共重合体組成物を得ることができる。
また、本発明のプロピレンエチレンブロック共重合体(A)全体のMFRは、好ましくは10〜40g/10分、より好ましくは15〜30g/10分である。プロピレンエチレンブロック共重合体(A)のMFRが上記の範囲にあることで、流動性及び外観のバランスの取れた材料となる。
2.プロピレンエチレンブロック共重合体(B)
本発明で用いるプロピレンエチレンブロック共重合体(B)は、プロピレン重合工程とプロピレンエチレンランダム共重合工程を含む重合方法によって得ることができる、結晶性ポリプロピレン成分(B−1)とプロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)とを含むブロック共重合体である。
(1)結晶性ポリプロピレン成分(B−1)
結晶性ポリプロピレン成分(B−1)は、結晶性のプロピレンの単独重合体であることが好ましいが、結晶性を著しく損なわない範囲でプロピレンに少量の他のコモノマーを共重合することによって得られる結晶性の共重合体であってもよい。(B−1)成分の結晶性は、アイソタクチック指数(沸騰n−ヘプタン抽出による不溶分)として、通常90%以上、好ましくは95〜100%である。結晶性が小さいとプロピレンブロック共重合体組成物の剛性が低くなる。
上記コモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル1−ペンテンなどのプロピレン以外のα−オレフィン、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物等が挙げられる。これらは二種以上共重合されていてもよい。
プロピレンにコモノマーを共重合する際の、コモノマーの量としては、(B−1)成分の全重量を基準として3重量%以下程度である。
結晶性ポリプロピレン成分(B−1)のMFRは、5〜45g/10分であり、好ましくは10〜35g/10分であり、より好ましくは15〜30g/10分である。(B−1)成分のMFRが5g/10分未満であると、射出成形した際に樹脂組成物の成形加工性が劣るという不都合が生じる。一方、45g/10分を超えると、溶着強度が低くなり、エアバッグの展開不良を生じる。
本発明においては、(B−1)成分のMFRが上記の範囲にあることが必要であり、これにより、これにより、溶着強度の優れた成形品となる本発明のプロピレンブロック共重合体組成物を得ることができる。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されたものである。
結晶性ポリプロピレン成分(B−1)のMFRB1は、結晶性ポリプロピレン成分(A−1)のMFRA1との比(MFRB1/MFRA1)が、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。この範囲であると、溶着強度、外観が良好となる。
(2)プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)
プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)は、プロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状成分である。(B−2)には、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1などの直鎖状α−オレフィン、3−メチル1−ブテン、4−メチル1−ペンテンなどの分岐状α−オレフィン等の他のモノマーから導かれる構造単位が含まれていてもよい。
プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)のエチレン含有量は、20〜70重量%、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%であることが好ましい。この範囲であると、衝撃性が良好となる。
ここで、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)中のエチレン含量は、後述する方法にて測定する値である。
プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)の固有粘度[η]は、好ましくは2.5〜7.0dl/gであり、より好ましくは3.0〜6.5dl/gである。[η]が2.5dl/g未満であると成形品にフローマークが発生し外観が劣ることがあり、また7.0dl/gを超えると、成形時の未溶融物がブツとなって、成形品の外観を損なうことがある。
ここで、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)中の[η]は、後述する昇温溶出分別における40℃以下で溶出する成分(フラクション1)の135℃、テトラリン中で測定する値である。
(3)プロピレンエチレンブロック共重合体(B)の物性
本発明のプロピレンブロック共重合体組成物で用いるプロピレンエチレンブロック共重合体(B)において、結晶性ポリプロピレン成分(B−1)及びプロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)の割合は、結晶性ポリプロピレン成分(B−1)が70〜95重量%、好ましくは75〜93重量%、より好ましくは78〜91重量%で、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B−2)が5〜30重量%、好ましくは7〜25重量%、より好ましくは9〜22重量%である。結晶性ポリプロピレン成分(B−1)の割合が70重量%未満であると、流動性が劣る。一方、結晶性ポリプロピレン成分(B−1)割合が95重量%を超えると、衝撃性が低下する。
本発明においては、(B−1)成分と(B−2)成分の割合が、上記の範囲にあることが必要であり、これにより、流動性及び外観のバランスに優れた成形品となる本発明のプロピレンブロック共重合体組成物を得ることができる。
また、本発明のプロピレンエチレンブロック共重合体(B)全体のMFRは、好ましくは10〜40g/10分、より好ましくは15〜30g/10分である。プロピレンエチレンブロック共重合体(B)のMFRが上記の範囲にあることで、振動溶着と流動性のバランスに優れる。
(4)プロピレンエチレンブロック共重合体(A)(B)の物性の分析法
プロピレンエチレンブロック共重合体(A)のプロピレンエチレンランダム共重合体部分(ゴム成分)の比率(Wc)、及びゴム成分中のエチレン含量の測定は、下記の装置、条件を用い、下記の手順で測定する。
(a)使用する分析装置
(i)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(b)CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位 重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
(c)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
(d)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレンエチレンブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
(e)プロピレンエチレンランダム共重合体成分の比率(Wc)
本発明におけるプロピレンエチレンブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体成分の比率(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100…(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるプロピレンエチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
(I)式の意味は以下の通りである。すなわち、(I)式右辺の第一項はフラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるプロピレンエチレンランダム共重合体成分の量を算出する項である。フラクション1がプロピレンエチレンランダム共重合体成分のみを含み、結晶性ポリプロピレン成分を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のプロピレンエチレンランダム共重合体成分含有量に寄与するが、フラクション1にはプロピレンエチレンランダム共重合体成分由来の成分のほかに少量の結晶性ポリプロピレン成分由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、プロピレンエチレンランダム共重合体成分由来の量を算出する。
例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるプロピレンエチレンランダム共重合体のエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はプロピレンエチレンランダム共重合体由来、1/4は結晶性ポリプロピレン成分由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からプロピレンエチレンランダム共重合体の寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、プロピレンエチレンランダム共重合体の寄与を算出して加え合わせたものがプロピレンエチレンランダム共重合体成分含有量となる。
(i)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜2に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(ii)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では実質的にB100=100と定義する。B40、B100は各フラクションに含まれるプロピレンエチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由はフラクションに混在する結晶性ポリプロピレン成分とプロピレンエチレンランダム共重合体を完全に分離・分取する手段がないからである。
種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるプロピレンエチレンランダム共重合体の量がフラクション1に含まれるプロピレンエチレンランダム共重合体の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行うこととしている。
(iii)上記の理由からプロピレンエチレンランダム共重合体成分の比率(Wc)を以
下の式に従い、求める。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100…(II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないプロピレンエチレンランダム共重合体含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は結晶性を持つプロピレンエチレンランダム共重合体成分含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1および2の平均エチレン含有量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和がフラクション1の平均エチレン含有量A40となる。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。本発明のCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えば、プロピレンエチレンランダム共重合体の大部分、もしくは結晶性ポリプロピレン成分部分の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えばプロピレンエチレンランダム共重合体中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低い結晶性ポリプロピレン成分)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば結晶性ポリプロピレン成分中特に結晶性の高い成分、およびプロピレンエチレンランダム共重合体中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。
また、W140にはプロピレンエチレンランダム共重合体成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることからプロピレンエチレンランダム共重合体の比率やプロピレンエチレンランダム共重合体のエチレン含有量の計算からは排除する。
(f)プロピレンエチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量
本発明におけるプロピレンエチレンブロック共重合体におけるプロピレンエチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量は、上述で説明した値を用い、次式から求められる。
プロピレンエチレンランダム共重合体成分のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc
(但し、Wcは先に求めたプロピレンエチレンランダム共重合体成分の比率(重量%)である。)
本発明においては、上述のように相互に相違する二種類のプロピレンエチレンブロック共重合体(A)(B)を特定の割合で用いることにより、分子量分布が広がり、低分子量成分及び高分子量成分の比率が相対的に増加する。低分子量成分は振動溶着時に早く溶ける事で溶着速度がアップし良好、一方で、高分子量成分は分子鎖の絡み合い効果が起こり、その結果、溶着強度が向上すると考えられる。
3.酸変性ポリプロピレン(C)
本発明のプロピレンブロック共重合体組成物で用いる酸変性ポリプロピレン(C)は、ポリプロピレン樹脂を不飽和カルボン酸またはその誘導体によってグラフト変性したものである。
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体のいずれも用いることができ、その形状は、粉末状であっても、あるいはペレット状であってもよい。
不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸またはこれらの無水物;アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸等が挙げられる。中でも、特に無水マレイン酸が接着強度、経済性等の観点から好ましく使用される。
グラフト変性の方法としては、例えば、ラジカル開始剤の存在下、有機溶媒等の溶液中でポリプロピレン樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト反応させる溶液法や、押出機等の溶融混練装置を用いて、ポリプロピレン樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト反応させる混練法等を挙げることが出来る。
前記ラジカル開始剤としては、例えば、有機過酸化物、ジヒドロ芳香族、ジクミル化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、ヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジアルキル(アリル)パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パーオキシ琥珀酸、パーオキシケタール、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が好適に用いられる。
ジヒドロ芳香族としては、ジヒドロキノリンまたはその誘導体、ジヒドロフラン、1,2−ジヒドロベンゼン、1,2−ジヒドロナフタレン、9,10−ジヒドロフェナントレン等が挙げられる。ジクミル化合物としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジ(p−メチルフェニル)ブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジ(p−ブロモフェニル)ブタン等が例示され、特に2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタンが好ましく用いられる。
本発明の酸変性ポリプロピレンは、重量平均分子量が5万〜15万であり、好ましくは6万〜14万、より好ましくは7万〜13万である。重量平均分子量が上限を越えたり、下限未満では振動溶着強度が低下する。
ここで、酸変性ポリプロピレンの重量平均分子量は、GPCにより測定する重量平均分子量である。具体的には、次の条件で行う。
装置:Waters社製HLC/GPC 150C
カラム温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン
流量:1.0ml/min
カラム:東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
注入量:0.15ml(濾過処理無し)
溶液濃度:5mg/3.4ml
試料調整:o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し、140℃で1〜3時間溶解させる。
検量線:ポリスチレン標準サンプルを使用する。
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
本発明の酸変性ポリプロピレンは、不飽和カルボン酸又はその誘導体単位のグラフト率が0.5〜2重量%、好ましくは0.7〜1.7重量%、より好ましくは1.0〜1.5重量%である。グラフト率が上限を越えると衝撃強度が低下し、下限未満では振動溶着強度が低下する。
ここで、グラフト率とは、ポリプロピレンにグラフトしていない未グラフト成分を溶解再沈法等により除去した後に測定したグラフト率をさす。具体的には、ペレット状の変性ポリプロピレンを、200℃の加熱プレス成形により、肉厚0.15mmのフィルム状とし、このフィルムを、ソックスレー抽出器を用いアセトン溶媒にて、85℃×1.5時間抽出処理し、70℃のオーブンで20分間乾燥する。抽出乾燥処理したフィルムを用い、IRを用いて赤外吸収ピーク強度を定量し、グラフト率を検量線から算出するものである
本発明で使用される酸変性ポリプロピレンは、不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト率と重量平均分子量の関係が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
G≧0.0002×M+1 式(1)
(ただし、G:不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト率(単位:重量%)、M:酸変性ポリプロピレンの重量平均分子量である。)
変性ポリプロピレンにおける極性官能基のグラフト率と重量平均分子量との関係は、マトリックスである樹脂成分と無機充填剤との界面の親和性に影響を与え、その結果、樹脂組成物の溶着特性に大きな影響を及ぼすと考えられる。
4.エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)
本発明のプロピレンブロック共重合体組成物で用いるエチレンと炭素数3〜6のα−オレフィン共重合体ゴム(D)は、エチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、ゴム的な性質を有する重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル1−ペンテンなどが挙げられる。これらは二種以上共重合されていてもよい。好ましくはプロピレン、1−ブテンである。
本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)全体の重量を基準として、α−オレフィン含有量を10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%とすることが、ゴム的な性質が発現しやすい点で好ましい。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)は、モノマーであるエチレンとα−オレフィンを触媒の存在下で共重合することにより製造することができる。触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒等を使用することができる。
重合法としては、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等の製造プロセスを適用して重合することができる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)の具体例としては、例えば、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、エチレンブテン共重合体(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体(EHR)等が挙げられる。本発明において、これらのエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)は、1種類に限定されるものではなく、密度、MFRなどの異なる2種類以上の混合物の使用であっても良い。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)として使用できる市販品を例示すれば、ジェイエスアール社製EDシリーズ、三井化学社製タフマーPシリーズ及びタフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズ、旭化成社製タフテックHシリーズなどを挙げることができる。
本発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)のMFRは、0.5〜10g/10分、好ましくは1〜9g/10分、より好ましくは2〜7g/10分であることが必要である。メルトフローレートが0.5g/10分未満であると流動性の低下が生じ、10g/10分を超えると外観が悪化する。MFRは、重合に際して水素など分子量調整剤、β水素引き抜きの速度制御などにより適宜調整することが可能である。
本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)のMFRが上記の範囲にあることにより、得られるプロピレンブロック共重合体組成物の外観を維持しつつ、流動性を向上させることができ、本発明のプロピレンブロック共重合体組成物を得ることができる。
5.エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)
本発明のプロピレンブロック共重合体組成物で用いるエチレンと炭素数7〜18のα−オレフィン共重合体ゴム(E)は、エチレンと炭素数7〜18のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、ゴム的な性質を有する重合体である。α−オレフィンとしては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。これらは二種以上共重合されていてもよい。好ましくは1−オクテンである。
本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)全体の重量を基準として、α−オレフィン含有量を10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%とすることが、ゴム的な性質が発現しやすい点で好ましい。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)は、モノマーであるエチレンとα−オレフィンを触媒の存在下で共重合することにより製造することができる。触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒等を使用することができる。
重合法としては、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等の製造プロセスを適用して重合することができる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)の具体例としては、例えば、エチレンオクテン共重合体(EOR)等が挙げられる。本発明において、これらのエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)は、1種類に限定されるものではなく、密度、MFRなどの異なる2種類以上の混合物の使用であっても良い。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)として使用できる市販品を例示すれば、ジェイエスアール社製EDシリーズ、三井化学社製タフマーPシリーズ及びタフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズ、旭化成社製タフテックHシリーズなどを挙げることができる。
本発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)のMFRは、0.5〜10g/10分、好ましくは1〜9g/10分、より好ましくは2〜7g/10分であることが必要である。メルトフローレートが0.5g/10分未満であると流動性不足となり、10g/10分を超えると低温衝撃が低減する。MFRは、重合に際して水素など分子量調整剤、β水素引き抜きの速度制御などにより適宜調整することが可能である。
本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)のMFRが上記の範囲にあることにより、得られるプロピレンブロック共重合体組成物の低温衝撃性を向上させることができ、本発明のプロピレンブロック共重合体組成物を得ることができる。
6.無機充填剤(F)
本発明に用いる無機充填剤は、粒状、板状、棒状、繊維状、ウィスカー状など、いずれの形状のものも使用することができる。
無機充填剤(F)としては、例えばシリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルンなどの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩又は亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイトなどのケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、マグネシウムオキシサルフェイト、各種金属繊維などを挙げることができる。
これらの無機充填剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維が好ましい。本発明においては、無機充填剤を使用することにより、プロピレンブロック共重合体組成物の曲げ弾性率を向上させ、線膨張係数を低下させ寸法安定性を向上させることができる。
これらの無機充填剤の中でも、特に、物性・コスト面のバランスより、タルクが好ましい。無機充填剤は、プロピレンブロック共重合体組成物との接着性或いは分散性を向上させる目的で、各種の有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
この無機充填剤の大きさとしては、得られる成形体の剛性、耐衝撃性、耐傷付き白化性、ウエルド外観、光沢ムラなどの物性の点から、レーザー回折法で求める平均粒径が1〜6μm、平均アスペクト比が4以上のものが好適である。特に加工粉砕法により得られたものが、物性、剛性などの点でとりわけ好ましい。
7.構成成分の配合比率
本発明においては、組成物を構成する成分(A)〜(F)の配合割合は、(A)〜(F)の合計量を基準として、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)が20〜60重量%、好ましくは25〜55重量%、より好ましくは30〜50重量%、プロピレンエチレンブロック共重合体(B)が15〜45重量%、好ましくは20〜42重量%、より好ましくは25〜40重量%、酸変性ポリプロピレン(C)が0.5〜4、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.5〜3.0、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)が5〜15重量%、好ましくは6〜13重量%、より好ましくは7〜11重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)が3〜10重量%、好ましくは3〜9重量%、より好ましくは3〜8重量%、無機充填剤(F)10〜25重量%、好ましくは13〜24重量%、より好ましくは15〜23重量%である。
上記した成分(A)〜(F)の配合割合の臨界的な意義は以下のとおりである。
(1)プロピレンエチレンブロック共重合体(A)の割合が20重量%未満であると流動性が低下し、60重量%を超えると溶着強度が低減する。
(2)プロピレンエチレンブロック共重合体(B)の割合が15重量%未満であると溶着強度が低減し、45重量%を超えると流動性が低減する。
(3)酸変性ポリプロピレン(C)の割合が0.5重量%未満であると振動溶着強度が低減し、4重量%を超えると衝撃強度が低減する。
(4)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)の割合が5重量%未満であると、外観が悪化し、15重量%を超えると流動性が低減する。
(5)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)の割合が3重量%未満であると衝撃が低下し、10重量%を超えると流動性が低下する。
(6)無機充填剤(F)の割合が10重量%未満であると剛性が低下し、25重量%を超えると振動溶着強度が低下する。
本発明者らの検討では、溶着部品の剥離試験においてマトリックスである樹脂成分(主に結晶性ポリプロピレン成分)と無機充填剤との界面から破壊が生じていることを確認した。そして、無機充填剤の量が多いと破壊の起点が多くなるため、溶着強度が低下すると推定された。しかしながら、変性ポリプロピレン成分を用いる事で、マトリックスとタルクの界面強度が強化される為、無機充填剤の量が多くても破壊の起点を低減することができる。一方で変性ポリプロピレン量が多すぎると変性ポリプロピレン成分自身の強度低下も伴う為、剛性及び耐熱性等の付与効果を発揮する為の変性ポリプロピレン量の最適化が必要となり、上記配合割合を定めた。
8.その他の添加剤
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤(フェノール系、イオウ系、燐系、ラクトン系、ビタミン系など)、耐候安定剤、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリジアミン系、アニリド系、ベンゾフェノン系など)、熱安定剤、光安定剤(ヒンダードアミン系、ベンゾエート系など)、帯電防止剤、造核剤、顔料、吸着剤(金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム等)、金属塩化物(塩化鉄、塩化カルシウム等)、ハイドロタルサイト、アルミン酸塩等)、滑材(金属石鹸、脂肪酸アミド、シリコーンオイル、シリコーンガム等)などの添加剤を配合してもよい。
9.プロピレンブロック共重合体組成物の製造
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造は、上記の各構成成分を、上記の割合で、混合又は、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて、例えば樹脂温度180℃〜250℃にて混練することにより製造できる。これらの混練機の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
各成分の混合は、同時に行なってもよく、また分割して行なってもよい。分割添加の方法として、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)及びプロピレンエチレンブロック共重合体(B)と酸変性ポリプロピレン(C)と無機充填剤(F)とを混練した後、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)(E)を添加する方法、予めプロピレンエチレンブロック共重合体(A)及びプロピレンエチレンブロック共重合体(B)と酸変性ポリプロピレン(C)と無機充填剤(F)とを、無機充填剤(F)の濃度を高濃度に混練してマスターバッチとし、それを別途プロピレンエチレンブロック共重合体(A)及びプロピレンエチレンブロック共重合体(B)やエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)(E)等で希釈しながら混練する方法や、予めプロピレンエチレンブロック共重合体(A)及びプロピレンエチレンブロック共重合体(B)と酸変性ポリプロピレン(C)と無機充填剤(F)、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)及びプロピレンエチレンブロック共重合体(B)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)(E)とをそれぞれ混練しておき、最後にすべてをあわせて混練する方法等があり、また同様の方法で成形することもできる。
10.シームレスインストルメントパネルの製造
上述の方法で得られた樹脂組成物は、成形加工性の面から、MFRが10〜25g/10分であることが好ましく、8〜18g/10分であることがより好ましい。そして、本発明の樹脂組成物は、剛性、耐衝撃性に優れ、融着強度が高いので、シームレスインストルメントパネル用に好適である。
シームレスインストルメントパネルの製造には、本発明の樹脂組成物を公知の方法、例えば射出成形法などを用いることができる。
得られたインストルメントパネル部とエアバッグカバー部とは、一体的に成形できるので、シームレスインストルメントパネルとなる。
そして、その際、シームレスインストルメントパネルとエアバッグキットを振動溶着により固定したときの振動溶着強度は、実用上の観点から、46N以上であることが好ましく、48N以上であることがより好ましく、50N以上であることがさらに好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。なお、実施例で用いた測定方法や、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)、プロピレンエチレンブロック共重合体(B)、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(C)、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)、無機充填剤(E)等の材料は以下の通りである。
1.測定方法
(1)MFR:JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(2)溶着強度:120×15×2mmの試験片と、三菱化学製サーモランを用いて別に成形した120×15×2mmの試験片とを30×15mmにわたって重ね合わせ、振動溶着をおこなった。
溶着はブランソン社製2800J−DCを使用し、溶着時間5秒、溶着厚0.5mm、溶着圧力4.8MPaの条件で行った。溶着サンプルの引張破断強度を溶着強度とした。引張試験はチャック間距離60mm、引張速度20mm/分で行った。
(3)曲げ弾性率:厚さ4mmの試験片を用いて、JIS K7203に準拠して測定した。
(4)IZOD衝撃強度:厚さ4mmの試験片を用いて、JIS K6911に準拠して測定した。試験温度は23℃とした。
(5)外観:短辺に幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて成形した350mm×100mm×2mmの成形シートにおけるフローマークの発生を目視で観察し、ゲートからフローマークが発生した部分までの距離を測定し、下記の基準で判定した。
○:フローマークがゲートから200mm以上
×:フローマークがゲートから200mm未満
2.材料類
(1)プロピレンエチレンブロック共重合体(A)、(B)
PP1:MFRh120g/10分、Cv30重量%、Gv35重量%、[η]3.2dl/g、MFR30g/10分
PP2:MFRh30g/10分、Cv30重量%、Gv33重量%、[η]3.5dl/g、MFR8g/10分
PP3:MFRh150g/10分、Cv30重量%、Gv35重量%、[η]3.0dl/g、MFR35g/10分
PP4:MFRh50g/10分、Cv30重量%、Gv35重量%、[η]3.2dl/g、MFR15g/10分
ここで、MFRhは結晶性ポリプロピレン成分のMFR、Cvはプロピレンエチレンランダム共重合体成分の割合、Gvはプロピレンエチレンランダム共重合体成分中のエチレン含有量、[η]はプロピレンエチレンランダム共重合体成分の固有粘度、MFRはプロピレンエチレンブロック共重合体のMFRを表す。
(2)酸変性ポリプロピレン(C)
C1:変性PP1(Mw10万、グラフト率1.5重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ベースのポリプロピレン樹脂は単独重合体)
C2:変性PP2(Mw8万、グラフト率1.5重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ベースのポリプロピレン樹脂は単独重合体)
C3:変性PP3(Mw3万、グラフト率1.5重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ベースのポリプロピレン樹脂は単独重合体)
(3)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)
D1:三井化学社製(MFR2g/10分のエチレン−ブテン共重合体)
D2:三井化学社製(MFR1g/10分のエチレン−ブテン共重合体)
D3:三井化学社製(MFR6g/10分のエチレン−ブテン共重合体)
D4:三井化学社製(MFR10g/10分のエチレン−ブテン共重合体)
(4)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)
E1:ダウ社製(MFR2g/10分のエチレン−オクテン共重合体)
E2:ダウ社製(MFR1g/10分のエチレン−オクテン共重合体)
E3:ダウ社製(MFR6g/10分のエチレン−オクテン共重合体)
E4:ダウ社製(MFR10g/10分のエチレン−オクテン共重合体)
(5)無機充填剤(F)
F1:富士タルク工業社製(平均粒子径5μmのタルク)
(実施例1)
表1に示す通りプロピレンエチレンブロック共重合体(A)30重量%、プロピレンエチレンブロック共重合体(B)37重量%、酸変性ポリプロピレン(C)2重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(D)8重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(E)5重量%、タルク18重量%を配合して、ヘンシェルミキサーで5分間混合した後、二軸混練機(神戸製鋼社製:2FCM)にて210℃の設定温度で混練造粒することによりプロピレンブロック共重合体組成物を得た。その後、型締め圧100トンの射出成形機にて成形温度210℃で各種試験片を作成し、この成形体について、上述した各種測定法に従って測定を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例2〜5、比較例1〜9)
前記原料を表1及び表2に示す組成の割合で配合し、実施例1と同様にして、プロピレンブロック共重合体組成物を得た。
得られたプロピレンブロック共重合体組成物について実施例1と同様の物性評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
表1、2からわかるように、実施例1〜5では、得られたプロピレンブロック共重合体組成物のすべては、成形加工性、剛性、耐衝撃性、外観に優れ、かつ融着特性に優れていた。
一方、比較例1〜12では、本発明の要件の少なくとも一部を欠如したプロピレンブロック共重合体組成物は、実施例の場合に較べて、上記した特性の一部又はほとんど全ての面で劣っていた。
以上から明らかなように、本発明によれば、剛性、耐衝撃性、外観に優れ、かつエアバックキットとの融着特性に優れるため、エアバッグシステムをシームレスに備えることのできる、エアバッグ作動時に確実に展開可能なシームレスインストルメントパネル用の樹脂組成物、およびそれから得られるシームレスインストルメントパネルを提供することができ、産業上の有用性は極めて高い。
Figure 2009132765
Figure 2009132765

Claims (4)

  1. メルトフローレートが50〜130g/10分の結晶性ポリプロピレン成分50〜85重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分15〜50重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(A)、メルトフローレートが5〜45g/10分の結晶性ポリプロピレン成分70〜95重量%とプロピレンエチレンランダム共重合体成分5〜30重量%とからなるプロピレンエチレンブロック共重合体(B)、グラフト率が0.5〜2.0重量%の不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された重量平均分子量が5万〜15万の酸変性ポリプロピレン(C)、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとの共重合体ゴム(D)、メルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレンと炭素数7〜18のα−オレフィン共重合体ゴム(E)、及び無機充填剤(F)からなり、かつ、
    各成分の含有割合は、(A)が20〜60重量%、(B)が15〜45重量%、(C)が0.5〜4重量%、(D)が5〜15重量%、(E)が3〜10重量%、(F)が10〜25重量%(ただし(A)〜(F)の合計量は100重量%である。)であることを特徴とするシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物。
  2. シームレスインストルメントパネルとエアバッグキットを振動溶着により固定したときの振動溶着強度が、46N以上であることを特徴とする請求項1に記載のシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物。
  3. シームレスインストルメントパネル用樹脂組成物は、メルトフローレートが10〜25g/10分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシームレスインストルメントパネル用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなるシームレスインストルメントパネル。
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