JP4615232B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な塗装密着性を有しかつ、優れた加工性と機械的強度をバランスよく有するポリプロピレンを主体とした樹脂組成物に関するものである。
ポリプロピレン樹脂は、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、自動車部品、機械部品、電気部品など種々の分野でその成形材料として利用されており、各商品に要求される性能に応じて種々の配合剤や添加剤が加えられた組成物へと変えて実際に使用されている。例えば、自動車外装部品などの機械的強度が要求される分野においては、エラストマー、タルクなどを配合したポリプロピレン樹脂組成物が利用されている。
一方、自動車外装部品には、ボデー部との意匠性の一体感が重要視されており、ボデー部と同色の塗装を成形品に施して対応してきた。しかしながらポリプロピレンは塗装性に劣り、プライマー塗布および乾燥工程が必要であった。近年のVOC低減、エネルギー削減の見地からもプライマー工程を削減することが出来るポリプロピレン樹脂組成物が求められて来ている。
ポリプロピレン樹脂にプライマーを塗布しなくとも良好な塗膜密着性を付与する方法として特公平5−64660号公報に水酸基を有する有機化合物で変性されたポリプロピレンを混合する方法が記載されている。しかしながら良好な塗膜密着性を保持しようとすると、本来持つポリプロピレン樹脂の強度が低下する傾向にあった。
このような問題点を改善する方法として、例えば特開平8−41276号公報には優れた塗装性を有し、高度な機械的強度バランス(剛性、耐衝撃性)と良好な成形加工性を保持できる塗装用プロピレン系樹脂組成物として、プロピレンエチレンブロック共重合体とスチレン系エラストマー又はエチレン・ブテン−1二元共重合ゴム、無水マレイン酸又は特定の構造を有する水酸基含有無水マレイン酸誘導体がグラフトした変性プロピレン系重合体及びフイラーからなる組成物であって、具体的には数平均分子量が7,000、エチレン含量が3重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体を熱酸化し、アゾ系ラジカル開始剤によって全体の10重量%の割合で無水マレイン酸をグラフとしたのちエタノールアミンで2次変性した変性プロピレン重合体を配合してなる組成物が記載されている。しかしながら、とりわけ高い剛性衝撃物性バランスと塗膜密着性を得る場合には実質、成形加工性に改善の余地があった。
また、特開平10−101891号公報には耐衝撃性、塗装性が高く、塗装後の衝撃強度が低下しない樹脂組成物として、特定のプロピレンエチレンブロック共重合体とエチレン・オクテン系ゴムとトリブロック共重合体、及び水酸基を有する変性ポリオレフィン重合体とタルクからなり、水酸基を有する変性ポリオレフィン重合体は水酸基を有する不飽和化合物を0.5〜7重量%含有し、組成物全体の0.5〜20重量部添加される樹脂組成物が記載されており、比較的少量の変性ポリオレフィンの添加で高衝撃を得る方法が提案されている。しかしながら、とりわけ高い衝撃と塗膜密着性を得る場合には、実質、プライマー塗布が必要であった。
特公平5−64660号公報 特開平8−41276号公報 特開平10−101891号公報
本発明は、機械的強度物性および流動性に優れ、かつ塗膜密着性が改良されており、良好な塗膜密着性を示す成形品を製造し得るポリプロピレン系樹脂組成物の提供を目的にする。
本発明は、
(a)(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体または、前記の(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体とからなる重合体混合物(a−3) 5〜56重量%、
(b)水酸基含有ポリプロピレン10〜45%、(c−1)エチレンとα−オレフィンとの共重合ゴム18〜25重量%、(c−2)モノビニル置換芳香族炭化水素化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物1〜10重量%、および(d)無機充填剤15〜25重量%とを含んでいる組成物
(ここで成分(a)、成分(b)、成分(c−1)、成分(c−2)、成分(d)の各成分の重量の合計量を100重量%とする)であって、
(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体はプロピレン単独重合体部とプロピレン・エチレンランダム共重合体部とからなり、そのメルトフローレート(ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が70〜130g/10分であり、またプロピレン単独重合体部における13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が97%以上であり、さらにプロピレン・エチレンランダム共重合体部の含有量が5〜20重量%であり、
(a−2)結晶性プロピレン単独重合体は、そのアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が97%以上、かつメルトフローレート(ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が100〜300g/10分であり、(b)水酸基含有ポリプロピレンの135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が0.8〜2.0dl/gであり、かつ、示差走査熱量計により検出される融点が150〜168℃であり、
(a−3)(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体とからなる重合体混合物は、結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体(a−1)50〜99重量%と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体1〜50重量%(ここで成分(a−1)の重量と、成分(a−2)の重量の合計を100重量%とする)とからなり、
(c−1)エチレンとα−オレフィンとの共重合ゴムは、メルトフローレート(ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が0.5〜15g/10分であり、なおかつ当該ポリプロピレン系樹脂組成物の合計100重量%において、(b)水酸基含有ポリプロピレンに由来する水酸基含有モノマー単位が1.3〜4.0重量%含まれることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
前記の(b)水酸基含有ポリプロピレンが示差走査熱量計で測定される融点が150〜168℃、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が5〜15dl/gである超高分子量結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、水酸基含有モノマー0.3〜10重量部及び有機過酸化物0.001〜10重量部を含む混合物を溶融混練して得られる水酸基含有ポリプロピレンであることが好ましい。
前記の(c−1)エチレンとα−オレフィンとの共重合ゴムがエチレンと炭素数6以上のα−オレフィンとの共重合ゴムであることが好ましい。
前記の水酸基含有ポリプロピレンが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート変性ポリプロピレンであることが好ましい。
前記の(c−2)ブロック共重合体の水素添加物が、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、またはスチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体であることが好ましい。
前記の(d)無機充填剤が、タルクであることが好ましい。
前記のポリプロピレン樹脂組成物は、そのメルトフローレート(ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が10〜70g/10分、曲げ弾性率(ASTM D−790)が1400〜2800MPa、および脆化温度(ASTM D−746)が−10〜−40℃であることが好ましい。
本発明によると、水酸基がポリプロピレン樹脂組成物中に分散することによって、最終の樹脂組成物から製造した成形品の表面は、良好な塗膜密着性を示す。また、本発明の樹脂組成物は、曲げ弾性率やアイゾット衝撃強度にみられる、優れた機械的強度物性を有し、またスパイラルフロー長にみられる高い流動性をもつので薄肉成形による部品重量の低減や,射出成形における成形サイクルの短縮を図ることができる。それ故に、この樹脂組成物は、自動車部品、特に外装成形品の製造に好適である。
次に、本発明に係わる自動車部品用樹脂組成物およびそれを構成する各成分の最良の形態について、具体的に説明する。
ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明で使用可能なポリプロピレン樹脂組成物は、
(1)(a)(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体または、前記の(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体とからなる重合体混合物(a−3) 5〜56重量%、好ましくは10〜50重量%、
(2)(b)水酸基変性ポリプロピレン10〜45重量%、好ましくは15〜45重量%、
(3)(c−1)エチレンとα−オレフィンとの共重合ゴム18〜25重量%、好ましくは19〜23重量%、(c−2)モノビニル置換芳香族炭化水素化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物1〜10重量%、好ましくは3〜7重量%、および
(4)(d)無機充填剤15〜25重量%、好ましくは18〜23重量%の割合で構成されている。ここで、前記4成分の合計量が100重量%になる。なおかつ当該ポリプロピレン系樹脂組成物の合計100重量%において、(b)水酸基含有ポリプロピレンに由来する水酸基含有モノマー単位が1.3〜4.0重量%含まれる。
このような組成を有するポリプロピレン樹脂組成物は、成形時の流動性に優れ、しかも曲げ弾性率、耐衝撃性、硬度および脆化温度などの諸物性に優れ、かつそれらの物性間で良好にバランスがとれているので、射出成形用の原料樹脂として好適に利用することができ、射出成形時に良好な成形性を示し、寸法安定性に優れた射出成形品を容易に製造することができる。
前記したポリプロピレン系樹脂組成物の中でも、次の物性を満足する組成物が自動車部品用樹脂組成物を構成する原料成分として好適である。
(1)メルトフローレート(MFR:ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が、好ましくは10〜70g/10分、より好ましくは12〜70g/10分、
(2)曲げ弾性率(ASTM D−790)が、好ましくは1400〜2800MPa、より好ましくは1450〜2600MPa、および
(3)脆化温度(ASTM D−746)が、好ましくは−10〜−40℃、より好ましくは−20〜−38℃。
(a)成分
本発明に用いられる(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体を単独で使用するか、
または、前記の(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体とからなる重合体混合物(a−3)のいずれかで使用する。
(a−1)プロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部と、プロピレン・エチレンランダム共重合体部とから構成されており、プロピレン単独重合体部の含有量が、80〜95重量%、好ましくは87〜92重量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体部の含有量が5〜20重量%、好ましくは8〜13重量%である。ここで両者の合計量が100重量%になる。
前記した両者の含有量は、ブロック共重合体サンプルについてp−キシレン溶剤を用いて室温で分別し、その分別結果から測定することができる。その測定方法の一例として、まずブロック共重合体サンプル5gを沸騰p−キシレンに完全に溶解させ、その後20℃に降温して一昼夜静置してから濾別によって不溶部を分離する。次いで、濾液にメタノール1500mlを加えて撹拌すると、可溶部が析出物として分離し、それを濾別、乾燥することによってp−キシレン可溶部が得られる。可溶部は、プロピレン・エチレンランダム共重合体部に相当しそれを秤量することによってプロピレン・エチレンランダム共重合体部の含有量を求めることができる。
プロピレン単独重合体部は、13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が97%以上、好ましくは97.5%以上である。ここにアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、13C−NMRを使用して測定される結晶性ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の割合を示している。具体的には、プロピレンモノマー単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の13C−NMRスペクトルの吸収ピークを、メチル炭素領域の全吸収ピークに対する割合として求められる。また、プロピレン単独重合体部のMFR(230℃、荷重2160g)は、100〜300g/10分、好ましくは120〜250g/10分である。
プロピレン・エチレンランダム共重合体部は、135℃、デカリン中で測定した固有粘度[η]が、好ましくは6〜9dl/gであって、その中のエチレン含有量が、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは24〜32重量%である。
(a−1)ブロック共重合体中において、エチレン単位の含有量は、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%の範囲が望ましい。ブロック共重合体中のエチレン単位の含有量は、(a−1)ブロック共重合体サンプルのプレスフィルムを赤外線吸収スペクトル分析にかけることによって求めることができる。すなわち、メチル基に基づく1155cm−1の吸光度とメチレン基に基づく吸光度を測定し、Gardnerの検量線を用いて測定する(I. J. Gardner et al, Rubber Chem. And Tech., 44, 1015, 1971)。
さらに(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体としては、ASTM D−1238に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR:230℃、荷重2160g)が、70〜130g/10分、好ましくは80〜120g/10分のものが使用される。MFRが前記範囲より小さいブロック共重合体を使用すると、最終的に得られるポリプロピレン系樹脂組成物からの成形品表面にフローマークやウエルドマークが発生し易くなり、また成形品の加熱収縮率が大きくなるので好ましくない。ここに(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組合せて使用することもできる。
本発明においては(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体を単独で使用する代りに、(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体とからなる重合体混合物(a−3)を使用することができる。
重合体混合物(a−3)は結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体(a−1)50〜99重量%と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体1〜50重量%とからなり、好ましくは結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体(a−1)60〜90重量%と(a−2)結晶性プロピレン単独重合体10〜40重量%からなる。
そして、(a−2)結晶性プロピレン単独重合体はアイソタクチックペンタッド分率が好ましくは97%以上、より好ましくは97.5%以上、メルトフローレート(MFR:230℃、荷重2160g)が100〜300g/10分、好ましくは120〜250g/10分である。
(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体は種々の方法により製造することができるが、例えばチーグラー・ナッタ系触媒あるいはメタロセン系触媒などの公知のオレフィン立体規則性触媒を用いて製造することができる。
チーグラー・ナッタ系触媒を使用する(a−1)ブロック共重合体の製造例として、例えば固体状チタン触媒成分、有機金属化合物触媒成分、さらに必要に応じて電子供与体とから形成された触媒の存在下に、プロピレンを重合させた後、引続きプロピレンとエチレンとを共重合させる方法を挙げることができる。(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体とともに使用することができる(a−2)結晶性プロピレン単独重合体も、同様のオレフィン立体規則性触媒を用いて製造することができる。
(b)成分
本発明に用いられる(b)水酸基含有ポリプロピレンは135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が0.8〜2.0dl/g、好ましくは0.8〜1.8dl/gであり、さらに好ましくは0.9〜1.5dl/gである。かつ、示差走査熱量計により検出される融点が150〜168℃、好ましくは152〜167℃である。135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が0.8dl/g未満の場合、耐衝撃性が不十分なことがあり、2.0dl/gを超えた場合、良好な流動性が得られず、成形加工性が不十分なことがある。また、示差走査熱量計により検出される融点が150℃未満の場合、剛性や耐熱剛性が不十分なことがある。
(b)水酸基含有ポリプロピレンの製造方法は特に限定されるものでないが、好ましい製造方法としては、ポリプロピレン樹脂と水酸基含有モノマー及び有機化酸化物を含む混合物を溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練法で用いるポリプロピレン樹脂としては示差走査熱量計で測定される融点が150〜168℃、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が好ましくは5〜15dl/g、より好ましくは5.5〜12dl/gである超高分子量結晶性ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。水酸基含有モノマーと有機過酸化物は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、水酸基含有モノマー0.3〜10重量部及び有機過酸化物0.001〜10重量部の範囲が好ましい。
水酸基含有ポリプロピレンに含まれる水酸基含有モノマーとしては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることが出来る。 「(メタ)アクリ」は「アクリ」および/または「メタクリ」を意味する。
前記水酸基含有モノマーの中では2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
水酸基含有モノマーは1種単独で使用出来るし、2種以上を組み合わせて使用することも出来る。
前記有機過酸化物の例としては公知の有機過酸化物が制限なく使用できる。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バラレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン等のペルオキシケタール類;ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルペルオキシド類;アセチルペルオキシド、イソブチルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,5−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トリオイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;t−ブチルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウリレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシマレイックアシッド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クミルペルオキシオクテート等のペルオキシエステル類;ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類;t−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロペルオキシド等のハイドロペルオキシド類などをあげることができる。これらの中ではベンゾイルペルオキシド、m−トリオイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどが好ましい。これらは1種単独で、あるいは二種以上組み合わせて用いることができる。
前記の水酸基含有ポリプロピレンの製造法としては、樹脂同士あるいは樹脂と固体もしくは液体の添加物を混合するための公知の各種方法が採用可能である。好ましい例としては、各成分の全部もしくはいくつかを組み合わせて別々にヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等により混合して均一な混合物とした後、該混合物を混練する等の方法を挙げることができる。混練の手段としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸の押出機等の従来公知の混練手段が広く採用可能である。混練機の混練を行う場合の温度は(例えば、押出機ならシリンダー温度)、100〜300℃、好ましくは160〜250℃である。温度が低すぎるとグラフト量が向上しない場合があり、また、温度が高すぎると樹脂の分解が起こる場合がある。混練時間は、0.1〜30分間、好ましくは0.5〜5分間である。混練時間が短すぎると十分なグラフト量は得られない場合があり、また、混練時間が長すぎると樹脂の分解が起こる場合がある。
前記の水酸基含有ポリプロピレン樹脂は、各種添加剤としてたとえばフェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、難燃剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤などを含有していてもよい。
(c)成分
本発明に用いられる(c−1)エチレン・α−オレフィン共重合ゴムは、その種類は特に限定されないが、好ましい態様として次の重合体を挙げることができる。すなわち、エチレン含有量20〜95モル%、炭素数3〜20のα−オレフィン含有量80〜5モル%、好ましくはエチレン含有量30〜90モル%、炭素数3〜20のα−オレフィン含有量10〜50モル%のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムがあげられる。(c−1)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムは、MFRが好ましくは0.5〜15g/10分、好ましくは1〜15g/10分である。
上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどがあげられる。これらのα−オレフィンは単独でまたは組み合せて用いることができる。これらの中ではプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数3〜12のα−オレフィンが好ましく、1-オクテン等炭素数6〜12のα−オレフィンがより好ましい。
(c−1)エチレンと炭素数6以上のα−オレフィンとの共重合ゴムの具体的なものとしては、エチレン・1−オクテン共重合ゴムなどがあげられる。
本発明の目的を損なわない範囲において、必要に応じてエチレン含有量20〜95モル%、炭素数3〜20のα−オレフィン含有量3〜70モル%、非共役ポリエンの含有量2〜20モル%、好ましくはエチレン含有量40〜90モル%、炭素数3〜20のα−オレフィン含有量10〜60モル%、非共役ポリエンの含有量3〜15モル%のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴムを添加することができる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴムはMFRが好ましくは0.01〜20g/10分、より好ましくは0.05〜20g/10分である。
上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、エチレン・α−オレフィン共重合ゴム(c−1)のα−オレフィンと同じものがあげられる。また非共役ポリエンとしては5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの非環状ジエン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状の非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネンなどのトリエン等があげられる。これらの非共役ポリエン単独でまたは組み合せて用いることができる。これらの中では、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体として、MFR(ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が、好ましくは1g/10分以下、より好ましくは0.1〜0.5g/10分である。MFRがこの範囲にあるものを使用すると、最終的に得られる樹脂組成物から製造した成形品表面にフローマークやウエルドマークの発生を避けることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体としては、エチレンとα−オレフィンとの共重合割合が、モル比(エチレン/α−オレフィン)で表して、好ましくは90/10〜40/60、より好ましくは85/15〜50/50の範囲が望ましい。また非共役ポリエン成分の割合は、ランダム共重合体)のヨウ素価で表して、好ましくは1〜40、より好ましくは2〜35が望ましい。 エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体の代表例として、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン・1−ブテン・ジエン三元共重合体を挙げることができる。
このような(c−1)エチレン・α−オレフィン共重合ゴムは、オレフィン立体規則性重合触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを共重合させて製造することができる。特に、シングルサイト触媒を用いて製造したエチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布および組成分布が狭いことから、低温での衝撃強度向上効果に優れている。そのようなシングルサイト触媒の例として、シクロペンタジエン骨格を有する化合物がジルコニウム金属等の遷移金属に配位したメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物等とを含むメタロセン系触媒を挙げることができる。
(c−2)モノビニル置換芳香族炭化水素化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物は、下記に示す式(1)または式(2)で表されるブロック共重合体のY部を水素添加して得られた水素添加物である。
X−Y ・・・・・(1)
X(−Y−X) ・・・・・(2)
式中、Xはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Yは共役ジエン重合体ブロック、nは1〜5の整数、好ましくは1または2である。
前記式(1)または(2)のXで示される重合体ブロックを構成するモノビニル置換芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、低級アルキル置換スチレン、ビニルナフタレン等のスチレンまたはその誘導体などを挙げることができる。これらモノビニル置換芳香族炭化水素は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。とくに好ましいのはスチレンである。
前記式(1)または(2)のYで示される重合体ブロックを構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどを挙げることができる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。とくに好ましいのはブタジエンまたはイソプレンである。共役ジエンとしてブタジエンが用いられる場合、ポリブタジエンブロックにおける1,2−結合の割合は、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜60重量%である。
この(c−2)ブロック共重合体の水素添加物において、共役ジエン重合体ブロック(Y部)の水素添加率は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であって、X部の含有量が、好ましくは10〜25重量%、MFR(ASTM D−1238、190℃、2160g荷重)が、好ましくは15g/10分以下、より好ましくは1〜10g/10分である。X部の含有量が上記範囲内のブロック共重合体を使用した場合には、最終的に得られる樹脂組成物からの成形品の加熱収縮率は小さく、また脆化温度も低い。
(c−2)ブロック共重合体の水素添加物の具体例としては、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、およびスチレン・イソプレンジブロック共重合体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)等のスチレン系ブロック共重合体を挙げることができる。
水素添加前のブロック共重合体は、例えば不活性溶媒中で、リチウム触媒またはチーグラー触媒の存在下に、各モノマーのブロック共重合を行わせる方法により製造することができる。詳細な製造方法は、例えば特公昭40−23798号公報などに記載されている。共役ジエン重合体ブロックの水素添加処理は、前記のブロック共重合体を不活性溶媒中で公知の水素添加触媒の存在下に行うことができる。詳細な方法は、例えば特公昭42−8704号、同43−6636号、同46−20814号公報などに記載されている。
前記の(c−2)水素添加ブロック共重合体は、クレイトンG1657(クレイトンポリマーズジャパン(株)製品、商標)、セプトン2004(クラレ(株)製品、商標)、タフテックH1052、タフテックH1062(旭化成ケミカルズ(株)製品、商標)などの商品名で市販されており、その市販品を使用することもできる。
(d)成分
(d)無機充填剤の例としては、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、けい酸塩類、炭酸塩類、ガラス繊維などがあげられる。これらの中で特にタルクが好ましい。タルクとしてはまた、レーザー解析法で測定した平均粒径が1〜10μm、好ましくは2〜6μmのものが望ましい。無機充填剤は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(b)水酸基含有ポリプロピレンに由来する水酸基含有モノマー単位がポリプロピレン系樹脂組成物の合計100重量%に対して、1.3〜4.0重量%含まれる。好ましくは1.4〜3.0重量%である。水酸基含有モノマー単位が1.3重量%未満の場合、塗膜密着性が不十分となることがあり、4.0重量%を超えると剛性、耐熱剛性が不十分となることがある。
このような樹脂組成物の製造は、ポリプロピレン樹脂組成物が予めその成分である(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b)、(c−1)、(c−2)、および(d)を混合したペレットの形で入手できる場合には、そのポリプロピレン樹脂組成物ペレット、必要に応じて加えられる添加剤とをバンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機等の混合装置を用いて混合または溶融混練する方法によって製造することができる。この際、(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b)、(c−1)、(c−2)、および(d)の各成分および必要により配合する添加剤などの混合順序は任意であり、同時に混合してもよいし、一成分を混合した後他の成分を混合する様な多段階の混合方法を採用することが出来る。
本発明の樹脂組成物には、カーボンブラックや酸化チタン等の着色剤を併合使用することができる。その他、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、軟化剤、分散剤、滑剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
このような樹脂組成物は、自動車部品、特に自動車外装部品、例えばバンパー、オーバーフェンダー、サイドモール、ロッカーモールなどの部品成形に好適に使用することができ、優れた塗装密着を得ることが出来る。
実施例
次に実施例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、実施例、比較例で用いたポリプロピレン樹脂組成物の諸特性は次のようにして測定した
(1)メルトフローレート
ASTM D−1238に準拠し、230℃、荷重2160gで測定した。
(2)引張破断伸び
ASTM D−638に準拠し、ASTM−1号試験片を用いて測定した。
(3)曲げ弾性率
ASTM D−790に準拠し、1/4インチ厚みの試験片を使用して測定した。
(4)アイゾット衝撃強さ
ASTM D−256に準拠し、1/4インチ厚みの試験片にノッチ加工して測定に供
した。
(5)荷重撓み温度
ASTM D−648に準拠し、0.45MPaの荷重で測定した。
(6)脆化温度
ASTM D−746に準拠して測定した。
(7)塗装密着試験
日本製鋼社製J100−EP型射出成形機を用いて140mm×70mm×3mmの
角板を作成した。この角板を純水を含浸させた紙ウエスにて清拭し、次の塗料を塗布
した。
日本ビーケミカル社製R333タイプウレタン樹脂系塗料を乾燥膜厚が15μmにな
るようにエアガンにて塗布した。その上に日本ビーケミカル社製R298−1クリア
塗料を乾燥膜厚が25μmになるようにエアガンにて塗布した。その後焼き付けを
100℃、20分間行った。
JIS K5400に準拠し、カッター刃にて碁盤目に切れ目を入れた試験片を作成
し、ニチバン社製セロテープを試験片に貼り付けた後これを速やかに引張って剥離さ
せ、塗膜が残っている碁盤目の数を数え以下の分類にて密着性の指標とした。
○ 剥離なし
△ 一部剥離
× 全面剥離
実施例および比較例で用いた各種の原料について説明する。
(a)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体:
(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体
・MFR(230℃、2160g):100g/10分
・プロピレン単独重合体部:90重量%
アイソタクチックペンダット分率(mmmm分率);98%
・プロピレン・エチレンランダム共重合体部:10重量%
固有粘度[η];7.5dl/g
(135℃、デカリン溶媒中での測定値)
エチレン含有量;26重量%
(a−2)結晶性プロピレン単独重合体
・MFR(230℃、2160g):220g/10分
・アイソタクチックペンダット分率(mmmm分率);98%
(b)水酸基含有ポリプロピレン樹脂
MPP[1]:135℃デカリン溶媒中で測定される固有粘度[η]が7.5で、示差走査熱量計で検出される融点が164℃であるポリプロピレン単独重合体樹脂に2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びT−ブチルペルオキシベンゾエートを配合し予めヘンシェルミキサーで混合し、得られた混合物をベント付2軸混練機を用いてシリンダー温度180℃で溶融混練によるグラフト共重合変性を行なった。得られた水酸基含有ポリプロピレン樹脂の物性を表1に示す。変性後の135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]は1.0dl/g、示差走査熱量計で検出される融点が162℃、赤外吸光分析にて算出した水酸基含有モノマー単位が3.6wt%であった。
MPP[2]:2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びT−ブチルペルオキシベンゾエートの配合量を調整した以外はMPP[1]と同様な方法でグラフト共重合変性を行なった。得られた水酸基含有ポリプロピレン樹脂の物性を表1に示す。変性後の135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]は0.8dl/g、示差走査熱量計で検出される融点が152℃、赤外吸光分析にて算出した水酸基含有モノマー単位が3.8wt%であった。
MPP[3]:水酸基含有低分子量ポリプロピレン[商標名 ユーメックス1210、三洋化成工業(株)製、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が0.3dl/g、示差走査熱量計で検出される融点が137℃、赤外吸光分析にて算出した水酸基含有モノマー単位が12wt%であるポリプロピレン樹脂。]
Figure 0004615232
(c−1)エチレン・α-オレフィン重合ゴム:
EOR−1
・メタロセン触媒を用いて製造した重合体
・1−オクテン含有量:45重量%
・MFR(230℃、荷重2160g):2.5g/10分、
EOR−2
・メタロセン触媒を用いて製造した重合体
・1−オクテン含有量:38重量%
・MFR(230℃、荷重2160g):10g/10分、
(c−2)スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体
(SEBS)
・MFR(230℃、荷重2160g):4g/10分
・スチレン含有量:20重量%
(d)無機充填剤:タルク
・平均粒径:4μm
なお、実施例、比較例で用いたポリプロピレン系樹脂組成物は、下記の各成分を表2に示した割合で混合し、神戸製鋼所社製2軸押出機KTX−46にてバレル温度200℃、回転数450rpmで溶融混練した後、アンダーウォーターカットによりペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られた組成物を新潟製作所社製NN−220型射出成形機にてバレル温度220℃で成形し、試験片を作製した。
表2に実施例、比較例で測定した物性および塗膜密着性の結果を示す。
Figure 0004615232
実施例1〜2は、良好な塗膜密着性を示し、かつ機械物性バランスに優れていることが分る。これに対して比較例1と比較例4はポリプロピレン系樹脂組成物の合計100重量%に対する水酸基含有ポリプロピレンに由来する水酸基含有モノマー単位が本発明の要件を満足していないため、塗装密着性が不十分であることが分る。
また、比較例2と比較例3は水酸基含有ポリプロピレンの135℃デカリン溶媒中で測定される固有粘度[η]と示差走査熱量計で検出される融点が本発明の要件を満足していないため、機械物性バランスが不十分であることが分る。
本発明で得られたポリプロピレン樹脂組成物は物性、塗膜密着性が良好であることから、プライマー工程を経ずに自動車外装塗装部品に使用することが出来る。

Claims (7)

  1. (a)(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体または、前記の(a−
    1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体と(a−2)結晶性プロピレ
    ン単独重合体とからなる重合体混合物(a−3) 5〜56重量%、
    (b)水酸基含有ポリプロピレン10〜45重量%、
    (c−1)エチレンとα−オレフィンとの共重合ゴム18〜25重量%、
    (c−2)モノビニル置換芳香族炭化水素化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の
    重合体ブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物1〜10重量%、
    および
    (d)無機充填剤15〜25重量%とを含んでいる組成物(ここで成分(a)、成分
    (b)、成分(c−1)、成分(c−2)、成分(d)の各成分の重量の合計量を
    100重量%とする)であって、
    (a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体はプロピレン単独重合体部とプ
    ロピレン・エチレンランダム共重合体部とからなり、そのメルトフローレート
    (ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が70〜130g/
    10分であり、またプロピレン単独重合体部における13C−NMRで測定さ
    れるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が97%以上であり、
    さらにプロピレン・エチレンランダム共重合体部の含有量が5〜20重量%で
    あり、
    (a−2)結晶性プロピレン単独重合体は、そのアイソタクチックペンタッド分率(mm
    mm分率)が97%以上、かつメルトフローレート(ASTM D−
    1238、230℃、荷重2160g)が100〜300g/10分であり、
    (a−3)(a−1)結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体と(a−
    2)結晶性プロピレン単独重合体とからなる重合体混合物は、結晶性プロピレ
    ン・エチレンブロック共重合体(a−1)50〜99重量%と(a−2)結晶
    性プロピレン単独重合体1〜50重量%(ここで成分(a−1)の重量と、成
    分(a−2)の重量の合計を100重量%とする)とからなり、
    (b)水酸基含有ポリプロピレンの135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が
    0.8〜2.0dl/gであり、示差走査熱量計により検出される融点が150℃
    〜168℃であり、かつ、
    (c−1)エチレンとα−オレフィンとの共重合ゴムは、メルトフローレート(ASTM
    D−1238、230℃、荷重2160g)が0.5〜15g/10分であ
    り、なおかつ当該ポリプロピレン樹脂組成物の合計100重量%において、水
    酸基含有ポリプロピレン(b)に由来する水酸基含有モノマー単位が1.3〜
    4.0重量%含まれることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記の(b)水酸基含有ポリプロピレンが示差走査熱量計で測定される融点が150〜168℃、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が5〜15dl/gである超高分子量結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、水酸基含有モノマー0.3〜10重量部及び有機過酸化物0.001〜10重量部を含む混合物を溶融混練して得られる水酸基含有ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記の(c−1)エチレンとα−オレフィンとの共重合ゴムがエチレンと炭素数6以上のα−オレフィンとの共重合ゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記の水酸基含有ポリプロピレンが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート変性ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記の(c−2)ブロック共重合体の水素添加物が、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、またはスチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 前記の(d)無機充填剤が、タルクであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 前記のポリプロピレン樹脂組成物は、そのメルトフローレート(ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)が10〜70g/10分、曲げ弾性率(ASTM D−790)が1400〜2800MPa、および脆化温度(ASTM D−746)が−10〜−40℃であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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