JP2007224239A - 極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体 - Google Patents

極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】塗装密着性と、さらに機械物性、特に、剛性および靭性に優れる極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体を提供する。
【解決手段】プロピレンに由来する構造単位99.9〜0.1重量%と、特定の化学式で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)に由来する構造単位0.1〜99.9重量%とを有する極性プロピレン系重合体。
また、プロピレン系重合体(A)と、特定の化学式で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)と、有機過酸化物(C)とを加熱処理して得られる極性プロピレン系重合体であって、(A)、(B)および(C)のそれぞれの処理量が、(A)100重量部に対して、(B)が0.1〜50重量部であり、(C)が0.01〜20重量部である上記の極性プロピレン系重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体に関するものである。さらに詳細には、塗装密着性と、さらに機械物性、特に、剛性および靭性に優れる極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体に関するものである。
従来から、ポリプロピレン樹脂の塗装性を改良する手段として、極性基を有するモノマーを用いることが知られている。
例えば、特開平7−207073号公報には、オレフィン系樹脂と、α−オレフィンと水酸基を有する不飽和化合物との特定の共重合体と、フィラーを含有するオレフィン系樹脂組成物が記載されている。
また、特開平7−207079号公報には、ポリプロピレンと、プロピレンと水酸基を有する不飽和化合物との特定の共重合体を含有し、水酸基を有する不飽和化合物単位の含有量が特定の範囲にある塗装用プロピレン系樹脂組成物が記載されている。
そして、特開平8−53516号公報には、プロピレンと水酸基を有する不飽和化合物との特定の共重合体であり、水酸基を有する不飽和化合物の含有量、分子量分布および130℃でのキシレン不溶分のそれぞれが特定の範囲にある水酸基を有するプロピレン共重合体が記載されている。
特開平7−207073号公報 特開平7−207079号公報 特開平8−53516号公報
しかし、上記の公報等に記載されている樹脂組成物や共重合体、および、それらからなる成形体については、塗装密着性と、さらに機械物性、特に、剛性および靭性のさらなる改良が望まれていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、塗装密着性と、さらに機械物性、特に、剛性および靭性に優れる極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一は、
プロピレンに由来する構造単位99.9〜0.1重量%と、下記化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)に由来する構造単位0.1〜99.9重量%とを有する極性プロピレン系重合体に係るものである(但し、プロピレンに由来する構造単位の重量と前記モノマー(B)に由来する構造単位の重量の合計を100重量%とする)。
Figure 2007224239
(式(1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、R3は極性基を表わし、R2は式(1−a)と式(1−b)と式(1−c)とからなる群から選ばれる少なくとも一種の基を表す。式(1−a)のR21、R22は水素原子または炭化水素基を表し、R21およびR22は同一であっても良く、異なっていても良い。式(1−b)のR23は水素原子または炭化水素基を表す。nは5〜20の数を表す。)
また、本発明の一は、
プロピレン系重合体(A)と、上記化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)と、有機過酸化物(C)とを加熱処理して得られる極性プロピレン系重合体であって、(A)、(B)および(C)のそれぞれの処理量が、(A)100重量部に対して、(B)が0.1〜50重量部であり、(C)が0.01〜20重量部である上記の極性プロピレン系重合体。
そして、本発明の一は、
エラストマーと無機充填剤と導電性カーボンとから選ばれる少なくとも一種と、上記の極性プロピレン系重合体とを含有するオレフィン重合体組成物に係るものである。
さらに、本発明の一は、上記の極性プロピレン系重合体、または、上記のオレフィン重合体組成物からなる成形体に係るものである。
本発明によれば、塗装密着性と、さらに機械物性、特に、剛性および靭性に優れる極性プロピレン系重合体、その重合体組成物および成形体を得ることができる。
本発明の極性プロピレン系重合体(以下、重合体(a)と称する)は、プロピレンに由来する構造単位99.9〜0.1重量%と、下記化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)に由来する構造単位0.1〜99.9重量%とを有する極性プロピレン系重合体である(但し、プロピレンに由来する構造単位の重量と前記モノマー(B)に由来する構造単位の重量の合計を100重量%とする)。
Figure 2007224239
(式(1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、R3は極性基を表わし、R2は式(1−a)と式(1−b)と式(1−c)とからなる群から選ばれる少なくとも一種の基を表す。式(1−a)のR21、R22は水素原子または炭化水素基を表し、R21およびR22は同一であっても良く、異なっていても良い。式(1−b)のR23は水素原子または炭化水素基を表す。nは5〜20の数を表す。)
極性プロピレン系重合体(以下、重合体(a))に含有されるプロピレンに由来する構造単位の含有量として、好ましくは99.9〜80重量%(すなわち、前記モノマー(B)に由来する構造単位の含有量は0.1〜20重量%)であり、より好ましくは99.5〜85重量%(すなわち、前記モノマー(B)に由来する構造単位の含有量は0.5〜15重量%)である。
プロピレンに由来する構造単位の含有量が0.1重量%未満の場合(すなわち、前記モノマー(B)に由来する構造単位の含有量が99.9重量%を超えた場合)塗装密着性が不十分なことがあり、99.9重量%を超えた場合(すなわち、前記モノマー(B)に由来する構造単位の含有量が0.1重量%未満の場合)剛性が不十分なことがある。
上記式(1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表す。R1が炭化水素基である場合、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。R1として好ましくは、機械物性の観点から、水素原子、メチル基である。
3は極性基を表わし、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミダゾリル基、ピリジリル基、ピペリジリル基、シリル基、シアノ基、イソシアネート基、オキサゾリル基等が挙げられ、好ましくは塗装密着性の観点から、ヒドロキシル基である。
2は式(1−a)と式(1−b)と式(1−c)とからなる群から選ばれる少なくとも一種の基を表す。式(1−a)のR21、R22は水素原子または炭化水素基を表し、R21およびR22は同一であっても良く、異なっていても良い。式(1−b)のR23は水素原子または炭化水素基を表す。R21、R22またはR23が炭化水素基である場合、前記のR1が炭化水素基である場合と同様の炭化水素基が挙げられる。R21、R22またはR23として好ましくは、機械物性の観点から水素原子、メチル基である。
前記式(1)中、nは5〜20の数を表し、好ましくは塗装密着性の観点から、5〜15である。
また、上記化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)として好ましくは、生産性の観点から、25℃、1気圧下において、液状である化合物である。
本発明の極性プロピレン系重合体(a)として好ましくは、生産性の観点から、プロピレン系重合体(A)と、上記化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と、有機過酸化物(C)とを加熱処理して得られる極性プロピレン系重合体である。
極性プロピレン系重合体を上記のとおり加熱処理して得る場合に用いられるプロピレン系重合体(A)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられ、また、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなるモノマーを重合して得られる共重合体成分と、エチレンおよびα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとプロピレンとの共重合体成分とからなるポリプロピレン共重合体(以下、プロピレンブロック共重合体と呼ぶ。)が挙げられる。
プロピレン系重合体(A)として、好ましくは、剛性、耐熱性または硬度の観点から、プロピレン単独重合体であり、より好ましくは、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率が0.95以上であるプロピレン単独重合体、より好ましくは0.98以上であるプロピレン単独重合体である。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に記載されている方法、すなわち13C−NMRによって測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて決定される)。具体的には、13C−NMRスペクトルによって測定されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率が、アイソタクチック・ペンタッド分率である。この方法によって測定された英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率は、0.944であった。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体で用いられるα−オレフィンとしては、炭素数が4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレンブロック共重合体における主にプロピレンからなるモノマーを重合して得られる共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分等が挙げられる。
そして、エチレンおよびα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとプロピレンとの共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。
プロピレンブロック共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体等が挙げられる。
プロピレンブロック共重合体として、好ましくは、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体である。上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−エチレンランダム共重合体部分とから構成されるブロック共重合体、または、プロピレンと含有量が3重量%以下であるエチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分とプロピレン−エチレンランダム共重合体部分とから構成されるブロック共重合体である。
上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体を構成するプロピレン単独重合体部分または上記結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度([η]P)は、通常、0.7〜5dl/gであり、好ましくは0.9〜4dl/gである。
また、プロピレン単独重合体部分または上記結晶性ポリプロピレン部分のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布Q値(Mw/Mn)として、好ましくは3以上7未満である。
上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体部分に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量は25〜65重量%である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全量を100重量%とする)。
上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP)は、通常、1.5〜12dl/gであり、好ましくは2〜8dl/gである。
上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体のメルトフローレート(MFR)は、通常、5〜120g/10分であり、好ましくは5〜100g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。
上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体の製造方法としては、例えば、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。
上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体の製造方法で用いられる公知の重合触媒としては、例えば、(1)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と、(2)有機アルミニウム化合物と(3)電子供与体成分からなる触媒系が挙げられる。この触媒の製造方法としては、例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報や特開平10−212319号公報に記載されている製造方法が挙げられる。
上記の製造方法で用いられる公知の重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合、気相重合等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでも良く、また、これらの重合方法を任意に組み合わせても良い。
上記の製造方法として、好ましくは、前記の固体触媒成分(1)と、有機アルミニウム化合物(2)と電子供与体成分(3)からなる触媒系の存在下に少なくとも2槽からなる重合槽を直列に配置し、上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体のプロピレン単独重合体部分または上記結晶性ポリプロピレン部分(成分(X))を製造した後、製造された成分(X)を次の重合槽に移し、その重合槽で上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(成分(Y))を連続して製造して、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体を製造する方法である。工業的かつ経済的な観点から、より好ましくは連続式の気相重合法である。
上記の製造方法で用いられる固体触媒成分(1)、有機アルミニウム化合物(2)および電子供与体成分(3)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、適宜、決めれば良い。
重合温度は、通常、−30〜300℃であり、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、通常、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5MPaである。分子量調整剤として、例えば、水素を用いても良い。
上記(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体の製造において、本重合を実施する前に、公知の方法によって、予備重合を行っても良い。公知の予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(1)および有機アルミニウム化合物(2)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。
また、極性プロピレン系重合体を前記のとおり加熱処理して得る場合に用いられるプロピレン系重合体(A)として、好ましくは、流動性の観点から、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が5dl/g以上15dl/g以下であるプロピレン系重合体成分(A1)0.05〜90重量%と、135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が0.1dl/g以上5dl/g未満であるプロピレン系重合体成分(A2)10〜99.5重量%とを含有するプロピレン系重合体である(但し、成分(A1)の重量と成分(A2)の重量の合計を100重量%とする)。
成分(A1)としては、プロピレンを主体とする単量体を重合して得られるプロピレン系重合体であり、例えば、プロピレンを単独重合して得られるプロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
成分(A1)として、好ましくは結晶性プロピレン系重合体であり、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン含量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体、炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量が1〜20重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。成分(A1)として、より好ましくはプロピレン単独重合体、エチレン含量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体である。
成分(A1)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]A1)は、本発明の極性プロピレン系重合体の分子量分布を広くし、流動性を向上させるという観点から、5dl/g以上15dl/g以下であり、好ましくは6dl/g以上15dl/g以下であり、さらに好ましくは6dl/g以上9dl/g以下である。
成分(A1)の示差走査熱量計によって測定される昇温サーモグラムの融解ピーク温度(TmA1)は、通常130〜170℃であり、機械物性の観点から好ましくは145〜165℃である。
成分(A2)としては、プロピレンを主体とする単量体を重合して得られるプロピレン系重合体であり、具体的には、プロピレンを単独重合して得られるプロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、および、プロピレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。
成分(A2)として用いられるプロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素原子数4〜12のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、成分(A1)として用いられる重合体と同様の重合体が挙げられる。
成分(A2)に用いられる炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしても、成分(A1)に用いられるα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられる。
成分(A2)の135℃のテトラリン中で測定される極限粘度([η]A2)は、極性プロピレン系重合体の製造安定性を高めるという観点や、本発明の極性プロピレン系重合体の分子量分布を広くし、流動性を向上させるという観点から、0.1dl/g以上5dl/g未満であり、好ましくは0.3dl/g以上3dl/g以下であり、より好ましくは0.5dl/g以上1.5dl/g以下である。
成分(A2)の示差走査熱量計によって測定される昇温サーモグラムの融解ピーク温度(TmA2)は、通常130〜170℃であり、機械物性の観点から好ましくは145〜165℃である。
プロピレン系重合体(A)の全体の極限粘度([η]T)は、通常3dl/g以上15dl/g以下であり、機械物性の観点から好ましくは4dl/g以上15dl/g以下、より好ましくは5dl/g以上10dl/g以下である。
プロピレン系重合体(A)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布(Q値、Mw/Mn)は、通常3以上10未満であり、流動性の観点から好ましくは3以上8以下、さらに好ましくは3以上7以下である。
プロピレン系重合体(A)に含有される成分(A1)の含有量は、本発明の極性プロピレン系重合体の分子量分布を広くし、流動性を向上させるという観点から、0.05〜90重量%であり、好ましくは10〜85重量%であり、より好ましくは40〜75重量%であり、さらに好ましくは51〜75重量%である。(すなわち、成分(A2)の含有量は10〜99.5重量%であり、好ましくは15〜90重量%であり、より好ましくは25〜60重量%であり、さらに好ましくは25〜49重量%である。)ただし、成分(A1)の含有量と成分(A2)の含有量の合計を100重量%とする。
本発明の極性プロピレン系重合体が、前記のとおり、プロピレン系重合体(A)と、前記化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と、有機過酸化物(C)とを加熱処理して得られる極性プロピレン系重合体である場合、用いられる有機過酸化物(C)としては、従来公知の有機過酸化物が挙げられ、例えば、半減期が1分となる分解温度が120℃未満である有機過酸化物や半減期が1分となる分解温度が120℃以上である有機過酸化物が挙げることができる。
有機過酸化物(C)として好ましくは、半減期が1分となる分解温度が120℃未満である有機過酸化物であり、例えば、ジアシルパーオキサイド化合物、パーカボネート化合物(分子骨格中に下記式(2)で表される構造を有する化合物(I)やアルキルパーエステル化合物(分子骨格中に下記式(3)で表される構造を有する化合物(II))等が挙げられる。
Figure 2007224239
上記式(2)で表される構造を有する化合物(I)としては、ジ−3−メトキシブチル パーオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシル パーオキシジカルボネート、ビス(4−t−ブチル シクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジイソプロピル パーオキシジカルボネート、t−ブチル パーオキシイソプロピルカーボネート、ジミリスチル パーオキシカルボネート等があげられる。
上記式(3)で表される構造を有する化合物(II)としては、1,1,3,3−テトラメチル ブチル ネオデカノエート、α―クミル パーオキシ ネオデカノエート、t−ブチル パーオキシ ネオデカノエート等が挙げられる。
また、半減期が1分となる分解温度が120℃以上である有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ベルオキシ)バレラート、ジ−t−ブチルベルオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α−α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
本発明の極性プロピレン系重合体が、前記のとおり、プロピレン系重合体(A)と、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と、有機過酸化物(C)とを加熱処理して得られる極性プロピレン系重合体であって、用いられるエチレン性不飽和結合含有モノマー(B)が25℃、1気圧下において、液状である場合には、液状物を含浸できる有機多孔質パウダー(D)等の成分を用いることによって、本発明の極性プロピレン系重合体の製造効率を高めることができる。ただし、有機多孔質パウダー(D)は、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)および有機過酸化物(C)には溶解しないものである。
有機多孔質パウダー(D)としては、1〜7000μmの粒径、0.1〜1000m2/gの比表面積、0.05〜10μmの細孔径、5〜90%の空隙率を有する粉状または粒状のポリマーが挙げられる。
有機多孔質パウダー(D)の比表面積として、好ましくは10〜800m2/gであり、より好ましくは30〜300m2/gである。また有機多孔質パウダーの空隙率として、好ましくは30〜85%であり、より好ましくは50〜85%である。
有機多孔質パウダー(D)としては、例えば、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、炭素数4〜20のα−オレフィンの重合体(α−オレフィン系重合体と称する)、芳香族不飽和炭化水素重合体、極性基含有重合体等が挙げられる。
エチレン系重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体等が挙げられ、プロピレン系重合体としては、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられ、α−オレフィン系重合体としては、ブテン単独重合体等が挙げられる。
芳香族不飽和炭化水素重合体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。
極性基含有重合体としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。
有機多孔質パウダー(D)は、例えば、ポリマー粒子を当該ポリマー粒子に対して適度の溶解能を持つ溶媒により処理して細孔を形成させることによって製造することができる。
また、有機多孔質パウダー(D)として、市販品を用いても良く、例えば、MEMBRANA社から販売されているAccurel(商品名、日本名:アキュレル)の各種グレードを用いても良い。
本発明の極性プロピレン系重合体が、プロピレン系重合体(A)と、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と、有機過酸化物(C)と、有機多孔質パウダー(D)を加熱処理して得られる極性プロピレン系重合体である場合、加熱処理に用いられるプロピレン系重合体(A)と、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と、有機過酸化物(C)と、有機多孔質パウダー(D)のそれぞれの重量は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)0.1〜50重量部と、有機過酸化物(C)0.01〜20重量部と、有機多孔質パウダー(D)0.1〜20重量部である。
好ましくは、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)0.5〜15重量部と、有機過酸化物(C)0.3〜10重量部と、有機多孔質パウダー(D)0.1〜15重量部である。
さらに好ましくは、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)1〜15重量部と、有機過酸化物(C)0.5〜5重量部と、有機多孔質パウダー(D)0.1〜15重量部である。
本発明の極性プロピレン系重合体の製造方法としては、従来公知の方法が挙げられる。プロピレン系重合体(A)と、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と、有機過酸化物(C)と、必要に応じて用いられる有機多孔質パウダー(D)とを、例えば、有機溶媒の溶液中で加熱処理する溶液法や、押出機等の溶融混練装置を用いて加熱処理する溶融混練法等が挙げられる。
本発明の極性プロピレン系重合体の製造方法として、好ましくは、プロピレン系重合体(A)と、エチレン性不飽和結合含有モノマー(B)と、有機過酸化物(C)と、必要に応じて用いられる有機多孔質パウダー(D)とを溶融混練する方法である。溶融混練に用いられる装置としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸押出機または二軸押出機等の公知の溶融混練装置が挙げられ、好ましくは、一軸押出機または二軸押出機である。
押出機の混練を行う部分の温度(一般に、押出機の場合はシリンダー温度)は、通常、50〜300℃であり、好ましくは100〜250℃である。また、押出機の混練を行う部分を前半と後半の二段階に分け、前半の温度より後半の温度を高めに設定しても良い。
混練時間は、通常、0.1〜30分間であり、好ましくは0.5〜5分間である。
本発明のオレフィン重合体組成物の一は、本発明の極性プロピレン系重合体1〜99重量%と、オレフィン重合体(b)99〜1重量%とを含有するオレフィン重合体組成物(ただし、極性プロピレン系重合体の重量とオレフィン重合体(b)の重量の合計を100重量%とする)である。
極性プロピレン系重合体の含有量として、好ましくは、塗装密着性の観点から10〜90重量%(すなわち、オレフィン重合体(b)の含有量は90〜10重量%)であり、より好ましくは極性プロピレン系重合体の含有量が15〜90重量%(すなわち、オレフィン重合体(b)の含有量は85〜10重量%)である。
本発明で用いられるオレフィン重合体(成分(b))としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、炭素数4〜20のα−オレフィンの重合体(α−オレフィン系重合体)等が挙げられる。
エチレン系重合体としては、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン系共重合体等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン系共重合体で用いられるα−オレフィンとしては、炭素数が4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン系共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる
α−オレフィン系重合体で用いられるα−オレフィンとしては、炭素数が4〜20のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
α−オレフィン系重合体としては、例えば、1−ブテン重合体、1−ヘキセン重合体等が挙げられる。
プロピレン系重合体としては、前述の本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)として用いられる重合体と同様の重合体が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。
また、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなるモノマーを重合して得られる共重合体成分と、エチレンおよびα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとプロピレンとの共重合体成分とからなるプロピレンブロック共重合体が挙げられる。
プロピレン系重合体として用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体で用いられるα−オレフィンとしては、前述の本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)で用いられるα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられる。
本発明のオレフィン重合体組成物の一は、本発明の極性プロピレン系重合体1〜99重量%とオレフィン重合体(b)99〜1重量%とを含有するオレフィン重合体組成物と、当該組成物100重量部に対して、エラストマー(c)1〜100重量部を含んでなるオレフィン重合体組成物である。
エラストマー(c)の含有量として好ましくは、本発明の極性プロピレン系重合体とオレフィン重合体(b)とを含有するオレフィン重合体組成物100重量部に対して、剛性と耐衝撃性のバランスの観点から1〜90重量部であり、より好ましくは5〜70重量部である。
本発明で用いられるエラストマー(c)は、ゴムまたはゴム成分を含有するものであり、例えば、モノビニル置換芳香族炭化水素化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物、エチレン−プロピレンランダム共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体ゴム、または、これらの混合物からなるエラストマー等が挙げられる。
モノビニル置換芳香族炭化水素化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物としては、下記の式(4)または式(5)で表されるブロック共重合体の共役ジエン重合体ブロック(Y)を水素添加して得られた水素添加物である。
X−Y 式(4)
X(−Y−X)m 式(5)
(式中、Xはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Yは共役ジエン重合体ブロックを表し、mは1〜5の整数を表し、mとして好ましくは1または2である。)
前記式(4)または(5)のモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック(X)を構成するモノビニル置換芳香族炭化水素としては、スチレンまたはその誘導体等が挙げられ、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、低級アルキル置換スチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらモノビニル置換芳香族炭化水素は、単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。好ましくは、スチレンである。
前記式(4)または(5)の共役ジエン重合体ブロック(Y)を構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらは、単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。好ましくは、ブタジエンまたはイソプレンである。
共役ジエンとしてブタジエンが用いられる場合、ポリブタジエンブロックにおける1,2−結合の割合は、通常、20〜80重量%であり、好ましくは30〜60重量%である。
前記式(4)または(5)で表されるブロック共重合体の水素添加物において、共役ジエン重合体ブロック(Y)の水素添加率は、通常、90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上である(ただし、ブロック(Y)の全量を100モル%とする)。また、ブロック(X)の含有量は、通常、1〜30重量%であり、好ましくは10〜25重量%である(ただし、前記式(4)または(5)で表されるブロック共重合体の水素添加物の全量を100重量%とする)。
前記式(4)または(5)で表されるブロック共重合体の水素添加物のメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、230℃、2.16kg荷重)は、通常、好ましくは30g/10分以下であり、より好ましくは1〜10g/10分である。
前記式(4)または(5)で表されるブロック共重合体の水素添加物としては、水素添加によって得られるスチレン系ブロック共重合体が挙げられる。
例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・イソプレンジブロック共重合体の水素添加によって得られるスチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)等が挙げられる。
水素添加前のブロック共重合体の製造方法としては、例えば、不活性溶媒中で、リチウム触媒またはチーグラー触媒の存在下に、各モノマーのブロック共重合を行わせる方法等が挙げられる。詳細な製造方法としては、例えば、特公昭40−23798号公報等に記載されている製造方法が挙げられる。
前記式(4)または(5)で表されるブロック共重合体の水素添加処理の方法としては、例えば、前記のブロック共重合体を不活性溶媒中で公知の水素添加触媒の存在下に行う方法が挙げられる。詳細な方法としては、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭46−20814号公報等に記載されている方法が挙げられる。
前記式(4)または(5)で表されるブロック共重合体の水素添加物としては、市販品を用いても良く、例えば、クレイトンG1657(クレイトンポリマーズジャパン(株)製品、商標)、セプトン2004(クラレ(株)製品、商標)、タフテックH1052、タフテックH1062(旭化成ケミカルズ(株)製品、商標)等が挙げられる。
エラストマー(c)として用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合ゴムに含有されるエチレンとプロピレンとの重量割合は、重量比(エチレン/プロピレン)で表して、好ましくは20/80〜95/5であり、より好ましくは30/70〜70/30である。
また、エラストマー(c)として用いられるエチレン−α−オレフィンランダム共重合ゴムに含有されるエチレンとα−オレフィンとの重量割合は、重量比(エチレン/プロピレン)で表して、好ましくは20/80〜95/5であり、より好ましくは30/70〜70/30である。
前記エチレン−プロピレンランダム共重合ゴムまたは前記エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、230℃、2.16kg荷重)は、通常、0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜60g/10分である。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムに用いられるα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。α−オレフィンとして、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィンである。
前記エチレン−プロピレンランダム共重合ゴムの製造方法としては、オレフィン重合触媒を用いてエチレンとプロピレンとを共重合させる方法が挙げられ、また、前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合ゴムの製造方法としては、オレフィン重合触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。
前記エチレン−プロピレンランダム共重合ゴムの製造、または、前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合ゴムの製造に用いられるオレフィン重合触媒として、好ましくは、本発明のオレフィン重合体組成物の低温での衝撃強度を向上させるという観点から、分子量分布および組成分布が狭いエチレン−プロピレンランダム共重合ゴム、または、エチレン−α−オレフィンランダム共重合ゴムが得られるシングルサイト触媒である。
シングルサイト触媒としては、例えば、シクロペンタジエン骨格を有する化合物がジルコニウム金属等の遷移金属原子に配位したメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物等とを含むメタロセン系触媒が挙げられる。
本発明で用いられるエラストマー(c)には、必要に応じて、エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合ゴム、または、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合ゴムを含有させても良い。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合ゴムで用いられるα−オレフィンとしては、前記のエチレン−α−オレフィンランダム共重合ゴムで用いられる炭素数4〜20のα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられる。
また、非共役ポリエンとしては、例えば、非環状ジエン、鎖状の非共役ジエン、トリエン等が挙げられる。
非環状ジエンとしては、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン等が挙げられる。
鎖状の非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等が挙げられる。
トリエンとしては、例えば、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネンなどのトリエン等が挙げられる。
これらの非共役ポリエンは、単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
非共役ポリエンとして、好ましくは、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合ゴム、または、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合ゴムのメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)としては、通常、1g/10分以下であり、より好ましくは0.1〜0.5g/10分である。
エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合ゴムに含有されるエチレンとプロピレンとの含有割合は、モル比(エチレン/プロピレン)で表して、通常、90/10〜40/60であり、好ましくは85/15〜50/50である。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合ゴムに含有されるエチレンとα−オレフィンとの含有割合は、モル比(エチレン/α−オレフィン)で表して、通常、90/10〜40/60であり、好ましくは85/15〜50/50である。
また、エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合ゴム、または、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合ゴムに含有される非共役ポリエン成分の含有割合は、共重合ゴムのヨウ素価で表して、通常、1〜40であり、好ましくは2〜35である。
エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)が挙げられ、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合ゴムとしては、例えば、エチレン−1−ブテン−ジエン三元共重合体が挙げられる。
本発明のオレフィン重合体組成物の一は、本発明の極性プロピレン系重合体1〜99重量%とオレフィン重合体(b)99〜1重量%とを含有するオレフィン重合体組成物と、当該組成物100重量部に対して、無機充填剤(d)1〜70重量部を含んでなるオレフィン重合体組成物である。
無機充填剤(d)の含有量として好ましくは、剛性を向上させるという観点から、極性プロピレン系重合体とオレフィン重合体(b)とを含有するオレフィン重合体組成物100重量部に対して5〜70重量部であり、より好ましくは10〜50重量部である。
無機充填剤(d)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカー、タルク、ベントナイト、スメクタイト、セピオライト、ワラストナイト、アロフェン、イモゴライト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、硫酸バリウム、ガラスフレーク等が挙げられるが、好ましくはタルクである。
無機充填剤(d)の平均粒子径としては、通常、0.01〜50μmであり、好ましくは0.1〜30μmであり、より好ましくは0.1〜5μmである。ここで無機充填剤の平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
無機充填剤(d)は、無処理のまま使用しても良く、または、プロピレン系重合体組成物との界面接着性または分散性を向上させるために、公知の各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。
本発明のオレフィン重合体組成物の一は、本発明の極性プロピレン系重合体1〜99重量%とオレフィン重合体(b)99〜1重量%とを含有するオレフィン重合体組成物と、当該組成物100重量部に対して、導電性カーボン(e)0.1〜25重量部を含んでなるオレフィン重合体組成物である。
導電性カーボン(e)の含有量として好ましくは、導電性と経済性のバランスの観点から、本発明の極性プロピレン系重合体とオレフィン重合体(b)とを含有するオレフィン重合体組成物100重量部に対して1〜22重量部であり、より好ましくは1〜15重量部である。
導電性カーボン(e)は、表面層がグラファイト構造を有する導電性カーボンである。導電性カーボンの形状は、ストラクチャーを形成していても良く、チューブ状であっても良い。また、導電化効率を高めるという観点から、好ましくは、断面径に対する長さの比が大きく、細孔が多く非表面積が大きい導電性カーボンである。
導電性カーボン(e)として好ましくは、一次粒子径が10〜100nmであり、比表面積が100〜1500m2/gであり、細孔率を示すDBP吸油量が50〜600cm3/100gのカーボンブラックや、直径が10〜100nmであり、管長が0.1〜1000μmのカーボンナノチューブや、炭素数60〜540のフラーレン等が挙げられ、これらは単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。より好ましくはカーボンブラックである。
カーボンブラックの一次粒子径として、好ましくは10〜100nmであり、より好ましくは15〜60nmである。なお、一次粒子径は、透過型電子顕微鏡によって測定される。
カーボンブラックのDBP吸収量として、好ましくは50〜600ml/100gであり、より好ましくは100〜600ml/100gである。なお、DBP吸収量は、ジブチルフタレートアブソーブドメーターによって、JIS K6221に準拠して測定される。
カーボンブラックの比表面積として、好ましくは100〜1500m2/gであり、より好ましくは150〜1500m2/gであり、さらに好ましくは200〜1500m2/gである。なお、比表面積は、液体窒素吸着法(ASTM D3037)に準拠して測定される。
上記のカーボンブラックとしては、市販品を用いても良く、例えば、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」や「ケッチェンブラックEC600JD」等が挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
本発明のオレフィン重合体組成物の製造方法は、各成分を混練する方法が挙げられ、混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。混練の温度は、通常、170〜250℃であり、時間は、通常、1〜20分である。また、各成分の混練は同時に行なってもよく、分割して行なってもよい。
本発明のオレフィン重合体組成物には、必要に応じて、添加剤を含有させても良く、例えば、酸化防止剤、中和剤、耐候剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、分散剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、造核剤、難燃剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、着色剤、顔料等が挙げられる。
本発明の成形体は、本発明の極性プロピレン系重合体またはオレフィン重合体組成物からなる成形体であり、本発明の極性プロピレン系重合体またはオレフィン重合体組成物を成形する方法としては、射出成形法、押出成形法、回転成形法、真空成形法、発泡成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の成形体の用途としては、例えば、自動車内装部品または外装部品、二輪車部品、家具や電気製品の部品等が挙げられる。
自動車内装部品としては、例えば、インストルメンタルパネル、トリム、ドアーパネル、サイドプロテクター、コンソールボックス、コラムカバー等が挙げられ、自動車外装部品としては、例えば、バンパー、フェンダー、ホイールカバー等が挙げられ、二輪車部品としては、例えば、カウリング、マフラーカバー等が挙げられる。
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明する。
実施例または比較例では、以下に示した樹脂および添加剤を用いた。
(1)オレフィン重合体(b)
(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体(住友化学(株)製、ノーブレン AU161C)
(2)極性プロピレン系重合体
極性プロピレン系重合体は、以下の試料(A)、(B)、(C)および(D)を用いて、以下の製造例1〜4に示した方法で製造した。
(A)ポリプロピレン
プロピレン単独重合体(H−PP、極限粘度([η]):3.0dl/g)
上記H−PPは特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて気相重合法によって製造した。
(B)水酸基含有モノマー
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業社製)
(式(1)中でR1がCH3、R2がO−C24、R3がOH、nが3である。)
PE−90:ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製)
(式(1)中でR1がCH3、R2がO−C24O−C24、R3がOH、nが6である。)
PE−200:ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製)
(式(1)中でR1がCH3、R2がO−(C24O)3.5−C24、R3がOH、nが13.5である。)
PE−300:ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製)
(式(1)中でR1がCH3、R2がO−(C24O)7−C24、R3がOH、nが24である。)
(C)有機過酸化物
t−ブチルパーオキシベンゾエート(Kb−B、化薬アクゾ社製 カヤブチルB)
(D)多孔質ポリプロピレン
MEMBRANA社製 MP−1000
〔製造例1〕
極性プロピレン系重合体(a−1)の製造
H−PP1 100重量部、HEMA 10重量部、Kb−B 1.5重量部、MP−1000 4.6重量部および安定剤(チバ・スペシャルティケミカルズ社製 IRGANOX1010、チバ・スペシャルティケミカルズ社製 IRGAFOS168)を均一混合し、二軸混練押出機(商品名 KZW15−45MG、同方向回転型スクリュー15mm×45L/D、テクノベル社製)を用いて、設定温度180℃、スクリュー回転速度500rpmの条件で溶融混練して、極性プロピレン系重合体(a−1)を得た。得られた極性プロピレン系重合体(a−1)のグラフト率は2.3重量%、極限粘度[η]は0.85dl/g、Mw/Mnは2.7であった。
〔製造例2〕
極性プロピレン系重合体(a−2)の製造
PE−90 14.9重量部、Kb−B 1.5重量部、MP−1000 6.6重量部を用いた以外は、製造例1と同様に行い、極性プロピレン系重合体(a−2)を得た。得られた極性プロピレン系重合体(a−2)のグラフト率は3.1重量%、極限粘度[η]は0.81dl/g、Mw/Mnは2.8であった。
〔製造例3〕
極性プロピレン系重合体(a−3)の製造
PE−200 24.2重量部、Kb−B 1.5重量部、MP−1000 10.3重量部を用いた以外は、製造例1と同様に行い、極性プロピレン系重合体(a−3)を得た。得られた極性プロピレン系重合体(a−3)のグラフト率は6.5重量%、極限粘度[η]は0.69dl/g、Mw/Mnは2.8であった。
〔製造例4〕
極性プロピレン系重合体(a−4)の製造
PE−300 37.4重量部、Kb−B 1.5重量部、MP−1000 15.53重量部を用いた以外は、製造例1と同様に行い、極性プロピレン系重合体(a−4)を得た。得られた極性プロピレン系重合体(a−4)のグラフト率は8.5重量%、極限粘度[η]は0.63dl/g、Mw/Mnは2.7であった。
(4)エラストマー(c)
c−1:住友化学(株)製 SPO N0441
c−2:ダウ ケミカル社製 エンゲージ8842
c−3:旭化成ケミカルズ(株)製 タフテックH1062
(5)無機充填剤(d)
タルク(林化成(株)製) 商品名:MW HS−T(平均粒径:2μm)
実施例1〜2、比較例1〜2
前記の極性プロピレン系重合体(a−1)、(a−2)、(a−3)、(a−4)、オレフィン重合体(b)、エラストマー(c)、無機充填剤(d)を表1に示した通りに配合し、その後、二軸混練押出機(商品名 KZW15−45MG、同方向回転型スクリュー15mm×45L/D、テクノベル社製)を用いて、設定温度220℃、スクリュー回転速度500rpmの条件で溶融混練して、プロピレン系重合体組成物のペレットを得た。射出成形機(東洋機械金属社製 TU−15)を用いて、シリンダー設定温度220℃、金型設定温度50℃の条件で、得られたペレットを射出成形して成形体を得た。得られた射出成形体の物性評価結果を表1に示した。
実施例および比較例における評価方法を以下に示した。
(1)極性プロピレン系重合体中のグラフト量(水酸基含有モノマー単位含有量、単位:重量%)
サンプルを沸騰キシレンに溶解し、得られたサンプルの溶液を大量のメタノールに攪拌しながら滴下してサンプルを再沈殿させて回収した。回収したサンプルを真空乾燥した後(80℃、8時間)、熱プレスにより厚さ100μm程度のフィルムを作成した。この作成したフィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1730cm-1付近の吸収からグラフト量を定量した。
(2)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて測定した。プロピレン単独重合体については、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で測定した。
(3)分子量分布(Q値、Mw/Mn)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により、下記条件で測定した(Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す)。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であった。
(4)引張破断伸び(UE、単位:%)
JIS−K−7161に規定された方法に従って、測定した。射出成形によって成形された厚みが2.0mmである試験片を用いて測定した。引張速度は50mm/分で、測定温度は23℃であった。
(5)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
JIS−K−7171に規定された方法に従って、測定した。射出成形によって成形された厚みが4.0mmであり、スパン長さが64mmである試験片を用いて、荷重速度は2.0mm/分で、測定温度は23℃であった。
(6)Izod衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。試験片は、射出成形によって成形された厚みが4.0mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を用いた。測定温度は23℃であった。
(7)塗装密着試験
射出成形機(東洋機械金属社製 TU−15)を用いて、成形温度220℃で、金型温度50℃で、幅480×長さ480×厚み2mm平板を成形した。その後、平板表面を純水で、ガーゼを用いて拭いて処理した後、風乾し、中塗り(関西ペイント(株)製ソフレツクスカラーベース)を施し、中塗り層の厚みを18μmとし、トップコート(関西ペイント(株)製ソフレックスクリヤーコート)を施し、トップコート層の厚みを30μmとした。
次に、焼き付け温度140℃で20分間保持することによって、塗装成形品を得た。
密着テストは、ニチバン社製24mm幅セロテープ(登録商標)による1mm□ゴバン目テストでの残率(%)評価(90°剥離)で行った。
本発明の要件を満足する実施例1、2は、塗装密着性と剛性と靭性に優れるものであることが分かる。これに対して、本発明の要件である式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマーを用いなかった比較例1、2は、塗装密着性が不充分であることが分かる。
Figure 2007224239

Claims (8)

  1. プロピレンに由来する構造単位99.9〜0.1重量%と、下記化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)に由来する構造単位0.1〜99.9重量%とを有する極性プロピレン系重合体(但し、プロピレンに由来する構造単位の重量と前記モノマー(B)に由来する構造単位の重量の合計を100重量%とする)。

    Figure 2007224239

    (式(1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、R3は極性基を表わし、R2は式(1−a)と式(1−b)と式(1−c)とからなる群から選ばれる少なくとも一種の基を表す。式(1−a)のR21、R22は水素原子または炭化水素基を表し、R21およびR22は同一であっても良く、異なっていても良い。式(1−b)のR23は水素原子または炭化水素基を表す。nは5〜20の数を表す。)
  2. プロピレン系重合体(A)と、請求項1記載の化学式(1)で表されるエチレン性不飽和結合含有極性モノマー(B)と、有機過酸化物(C)とを加熱処理して得られる極性プロピレン系重合体であって、(A)、(B)および(C)のそれぞれの処理量が、(A)100重量部に対して、(B)が0.1〜50重量部であり、(C)が0.01〜20重量部である請求項1記載の極性プロピレン系重合体。
  3. プロピレン系重合体(A)が、下記の条件を満たすプロピレン系重合体である請求項2に記載の極性プロピレン系重合体。
    135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]A1が5dl/g以上15dl/g以下であるプロピレン系重合体成分(A1)0.05〜90重量%と、
    135℃のテトラリン中で測定される極限粘度[η]A2が0.1dl/g以上5dl/g未満であるプロピレン系重合体成分(A2)10〜99.5重量%と
    からなるプロピレン系重合体(但し、前記成分(A1)の重量と前記成分(A2)の重量の合計を100重量%とする)。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の極性プロピレン系重合体1〜99重量%と、オレフィン重合体(b)99〜1重量%とを含有するオレフィン重合体組成物(ただし、極性プロピレン系重合体の重量とオレフィン重合体(b)の重量の合計を100重量%とする)。
  5. 請求項4に記載のオレフィン重合体組成物と、当該組成物100重量部に対して、エラストマー(c)1〜100重量部を含んでなるオレフィン重合体組成物。
  6. 請求項4に記載のオレフィン重合体組成物と、当該組成物100重量部に対して、無機充填剤(d)1〜70重量部を含んでなるオレフィン重合体組成物。
  7. 請求項4に記載のオレフィン重合体組成物と、当該組成物100重量部に対して、導電性カーボン(e)0.1〜25重量部を含んでなるオレフィン重合体組成物。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の極性プロピレン系重合体、または、請求項4〜7のいずれかに記載のオレフィン重合体組成物からなる成形体。
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JP2014037149A (ja) * 2013-11-12 2014-02-27 Kyoraku Co Ltd 発泡ブロー成形品

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