JP3068268B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP3068268B2
JP3068268B2 JP3239884A JP23988491A JP3068268B2 JP 3068268 B2 JP3068268 B2 JP 3068268B2 JP 3239884 A JP3239884 A JP 3239884A JP 23988491 A JP23988491 A JP 23988491A JP 3068268 B2 JP3068268 B2 JP 3068268B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂組成物に関する。
さらに詳しくは、表面に塗装、接着および印刷等を施す
のに適したオレフィン系樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂成形体の表面を塗装する際に
は、塗装前に、成形体表面に付着した手垢や機械油等を
洗浄除去するために、ハロゲン系有機溶剤を用いた蒸気
洗浄が行われている。また、オレフィン系樹脂は、その
構造中に極性基が存在せず、しかも結晶性が高いことか
ら塗料、接着剤、および印刷インク等の付着性が極めて
悪く、塗装性、接着性および印刷性等が劣っていること
から、その表面に予めプライマーを塗布したり、プラズ
マ処理すること等によって表面を改質し、付着性を改良
してから塗料、接着剤の塗布または印刷インクの印刷を
施していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法においては、従来から以下に示すような問題点
があった。即ち、樹脂成形体への塗装や接着において、
ハロゲン系有機溶剤による蒸気洗浄法においては、ハロ
ゲン系有機溶剤が大気中に拡散し、オゾン層を破壊する
という可能性が問題とされており、地球環境を保護する
ためにも、早々に代替方法への移行が求められている。
また、プライマー塗布法においては、高価なプライマー
を使用しなければならないことや、工程数が多くなるこ
となどからコストが高くなるといった欠点があり、更に
プライマーの溶媒を揮発させる必要があることなどから
作業環境が悪くなると共に、火災の危険性を伴い安全性
にも問題があった。
【0004】一方、プラズマ処理法においては、高度の
真空状態が必要であるために、高価な装置を設置しなけ
ればならず、しかも、バッチ式のためコストの上昇を避
けることができなかった。更に、プラズマ処理後の表面
は不安定で、異物に接触すると塗料や接着剤および印刷
インクの付着性が低下するため、付着性能にバラつきが
生じることもあり、取り扱いが非常に不便であった。
【0005】従って、このようなプライマー塗布や、プ
ラズマ処理する工程を省略することができれば、工程の
簡略化、作業環境の改善、コストの低減化等を図ること
が可能となることから、これまでにもこれらの問題点を
改善しようと多くの研究がなされてきた。しかしなが
ら、結局、未だこの目的を充分に達成するには至ってお
らず、オレフィン系樹脂素材ではこのようなプライマー
塗布やプラズマ処理等を省くことが出来ず、このような
処理の後に塗装、接着および印刷等が施されている場合
が多い。
【0006】オレフィン系樹脂に、非共役ジエン類を含
む共重合体樹脂を配合し、特殊な表面処理を施して、塗
料、接着剤および印刷インキ等の付着性を向上させる報
告がある。例えば、ハロゲン陽イオン性化合物で表面処
理を行う方法(特公昭63−64460号公報)、硫酸
酸性過マンガン酸カリウム飽和水溶液と硫酸酸性亜硫酸
水素ナトリウム3%水溶液で表面処理を行う方法(特開
昭57−44639号公報)、酸化剤で表面処理を行う
方法(特開昭57−59934号公報)、オゾンで表面
処理を行う方法(特開昭61−197640号公報)な
どである。
【0007】また、ある特定の塗料または被覆組成物等
を用いる方法、例えばラジカル重合硬化型塗料を用いて
オレフィン系樹脂成形体を塗装する方法(特開昭57−
38825号公報、特開昭57−59933号公報)、
ヒドラジン基を有する樹脂被覆組成物を用いる方法(特
公平3−22896号公報)などが知られている。しか
しながら、これらの方法では、特殊な試薬を用いたり、
硫酸酸性という毒性に対する環境対策が不可欠であった
り、処理方法自体が複雑であったり、取り扱いが非常に
不便なことや、塗料や被覆組成物等を限定しているため
にその利用分野が非常に狭いといった欠点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(発明の概要)本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意研究
を重ねた結果、特定の樹脂組成物を用いることによっ
て、上記課題を解決し得ることができるとの見知を得
て、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち本発明は、下記の成分(a)、成分
(b)、および成分(c)、場合によりさらに成分
(d)及び/又は成分(e)を含む樹脂組成物であっ
て、成分(a)100重量部に対し、成分(b)を0.
1〜900重量部、成分(c)を0.01〜400から
900重量部、成分(d)を1〜900重量部及び/又
は成分(e)を0.1〜300重量部含有するものであ
る。成分(a) :オレフィン系樹脂成分(b) :炭素数2〜12のα−オレフィン類から選
ばれた少なくとも一種と、下記一般式(I)で表される
非共役ジエン類の少なくとも一種とのブロック及び/又
はランダム共重合体樹脂
【0010】
【化5】
【0011】(式中、R1、R2、R3、R4およびR
5は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8の
アルキル基を表し、nは1〜10の整数を表す。)成分(c) :水酸基を有するポリマー成分(d) :エラストマー成分(e) :フィラー
【0012】 (発明の具体的説明) 〔I〕樹脂組成物 (1)構成成分 本発明の樹脂組成物は、下記に示す構成成分から基本的
に形成されるものである。
【0013】成分(a):オレフィン系樹脂 本発明において使用されるオレフィン系樹脂としては、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−
ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−ペンテン等で代表されるα−オレフィンの単独重合
体、或はこれらα−オレフィン相互の共重合体、または
上記α−オレフィン類と有機ケイ素化合物等との共重合
体、或は該オレフィン系樹脂への有機ケイ化合物等のグ
ラフト重合体を挙げることができる。
【0014】これら重合体は、JIS−K7203に準
拠して測定した曲げ弾性率が1,000〜30,000kg
/cm2、好ましくは2,000〜20,000kg/cm2、特
に好ましくは3,000〜15,000kg/cm2のものが
好ましい。また、該重合体のメルトフローレート(MF
R)については特別に制限されないが、ASTM−D1
238に準拠して測定した値が通常0.01〜200g/
10分、好ましくは0.1〜100g/10分の範囲内で
あるのが最適である。
【0015】前記オレフィン系樹脂としては、例えば、
いわゆる低圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、高
圧法ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエ
チレン系樹脂、立体規則性ポリプロピレン、立体規則性
ポリ−1−ブテン、立体規則性ポリ−3−メチル−1−
ブテン、立体規則性ポリ−4−メチル−1−ペンテン等
の立体規則性ポリ−α−オレフィン系樹脂などを挙げる
ことができる。これらオレフィン系樹脂の中では、立体
規則性ポリプロピレン(以下単に「プロピレン系樹脂」
と略記する。)が好ましい。
【0016】このプロピレン系樹脂の中では、プロピレ
ンと他のオレフィンとの共重合体が好ましく、特にエチ
レンとの共重合体が好ましい。該共重合体はランダム共
重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい
が、ブロック共重合体の方が特に好ましい。これらのオ
レフィン系樹脂は上記樹脂を単独で或いは複数種混合し
た混合物として使用することもでき、通常、市販の樹脂
の中から適宜選んで使用することができる。
【0017】成分(b):非共役ジエン類を含む共重合
体樹脂 本発明において用いられる非共役ジエン類を含む共重合
体樹脂は、炭素数2〜12のα−オレフィン類から選ば
れた少なくとも1種と、下記一般式(I)で表される非共
役ジエン類の少なくとも1種とを、
【0018】
【化6】
【0019】(式中R1、R2、R3、R4およびR5は、
それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル
基を表し、nは1〜10の整数をそれぞれ表す。)例え
ば、公知のチーグラー触媒等を用いてα−オレフィン類
の重合と同様の公知の方法・装置を用いて、ブロック及
び/又はランダム共重合することによって製造すること
ができる。
【0020】本発明に使用しうる前記一般式(I)で表さ
れる非共役ジエン類の例としては、1,4−ヘキサジエ
ン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−
1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジ
エンなどの1,4−ジエン類;1,5−ヘプタジエン、
5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,
5−ヘプタジエン、1,5−オクタジエン、5−メチル
−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタ
ジエンなどの1,5−ジエン類;1,6−オクタジエ
ン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−
1,6−オクタジエン、7−エチル−1,6−オクタジ
エン、1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナ
ジエン、4−メチル−1,6−ノナジエンなどの1,6
−ジエン類;1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7
−ノナジエンなどの1,7−ジエン類;1,11−ドデ
カジエン、1,13−テトラデカジエンなどの各種非共
役ジエン類;等を挙げることができる。
【0021】これらの中でも、4−メチル−1,4−ヘ
キサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−
メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−
オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7
−メチル−1,6−オクタジエン、7−エチル−1,6
−オクタジエン、8−メチル−1,7−ノナジエンなど
の分岐非共役ジエンが、共重合体の製造技術面から好ま
しく、特に7−メチル−1,6−オクタジエンが好まし
い。勿論、これらの非共役ジエン類は二種以上の混合物
で使用することもできる。
【0022】非共役ジエン類を含む共重合体樹脂のもう
一方の原料である上記炭素数2〜12のα−オレフィン
類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−
1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−
1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4,4
−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1
−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、アリルシクロ
ペンタン、アリルシクロヘキサン、スチレン、アリルベ
ンゼン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、ビニルシク
ロプロパン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキ
サン、2−ビニルビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、
などを挙げることができる。これらのうち好ましい例
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−
1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、スチレンなど
であり、中でも特に好ましい例はエチレン、プロピレン
である。これらのα−オレフィンは二種以上用いてもさ
しつかえない。
【0023】本発明に用いる非共役ジエン類を含む共重
合体樹脂は、非共役ジエン類の含量が0.1〜30重量
%、好ましくは0.5〜25重量%、特に好ましくは1
〜20重量%のものである。非共役ジエン類の含量が上
記範囲未満のときは、塗料、接着剤および印刷インク等
の付着性に再現性が乏しかったり、それらの付着強度が
弱かったりして好ましくない。一方上記範囲を越える
と、樹脂製造の生産性が悪く好ましくない。また、本発
明に使用される非共役ジエン類を含む共重合体樹脂のメ
ルトフローレート(MFR)が0.01〜1,000g/
10分、好ましくは0.05〜500g/10分、特に好
ましくは0.1〜200g/10分のものが本発明に適す
る。
【0024】更に、本発明の非共役ジエン類を含む共重
合体樹脂は、JIS K−7203による曲げ弾性率が
1,000〜30,000kg/cm2、好ましくは1,000
〜20,000kg/cm2、特に好ましくは、1,500〜
15,000kg/cm2である。1,000kg/cm2未満で
は、樹脂のもつ耐熱性を発揮しない。該共重合体樹脂の
例としては、前記非共役ジエン類と、前記α−オレフィ
ン類から選ばれるさまざまな組合せのブロック共重合
体、およびランダム共重合体が挙げられるが、これらの
中でも好ましいものとしては以下のものが挙げられる。
[ここでメチル−1,4−ヘキサジエンとは、4−メチ
ル−1,4−ヘキサジエンと、5−メチル−1,4−ヘ
キサジエンの混合物を表し、その混合比は、95:5〜
5:95の範囲のものである。]
【0025】エチレン・メチル−1,4−ヘキサジエン
ランダム共重合体、エチレン・7−メチル−1,6−オ
クタジエンランダム共重合体、プロピレン・メチル−
1,4−ヘキサジエンランダム共重合体、プロピレン・
7−メチル−1,6−オクタジエンランダム共重合体、
プロピレン・エチレン・メチル−1,4−ヘキサジエン
ランダム共重合体、プロピレン・エチレン・7−メチル
−1,6−オクタジエンランダム共重合体、プロピレン
・エチレン・メチル−1,4−ヘキサジエンブロック共
重合体、プロピレン・エチレン・7−メチル−1,6−
オクタジエンブロック共重合体、等である。
【0026】該共重合体樹脂を製造する方法としては、
例えば特公昭64−2127号公報、特公昭64−21
28号公報、特公昭64−9326号公報、特開昭59
−155416号公報、特開昭62−115008号公
報、特開平2−311507号公報に記載の方法等を挙
げることができる。
【0027】成分(c):水酸基を有するポリマー 本発明において使用される水酸基を有するポリマーとし
ては、水酸基含有不飽和化合物又は、重合後に何らかの
化学的改質により水酸基を導入又は生成することができ
る極性基を含有する不飽和化合物等の単独重合体、他の
重合性モノマーとの共重合体、および他のポリマーへの
グラフト重合体であり、結果として、構造的に、分岐状
あるいは、線状の分子鎖に水酸基が不規則あるいは、規
則的にペンダントしていたり、水酸基を有する側鎖が、
グラフトしている構造を有するもの全般を指す。
【0028】該ポリマーは、周知の方法で製造すること
ができる。例えば、水酸基含有不飽和化合物の重合法、
水酸基含有不飽和化合物と他の重合性モノマーとの共重
合法、水酸基含有不飽和化合物をポリマーへグラフトす
る方法、ポリマー中の極性基に、ジオール化合物、ポリ
オール化合物、エポキシ含有化合物、あるいは二官能以
上で少なくとも一つは水酸基を有する化合物を反応する
方法、およびポリマー中の極性基を酸化あるいは、加水
分解等そして水酸基を生成する方法等を挙げることがで
きる。上記製造法等から製造される該ポリマーのなかで
も、α−オレフィンと水酸基含有不飽和化合物との共重
合体、あるいは、前記(a)成分:オレフィン系樹脂、
前記(b)成分:非共役ジエン類を含む共重合体樹脂、
および後記(d)成分:エラストマーへの水酸基含有不
飽和化合物のグラフト重合体、および、ビニルエステル
類含有ポリマーの加水分解物が好ましい。
【0029】具体的説明を以下に記す。 α−オレフィンと水酸基含有不飽和化合物との共重
合体 該共重合体とは、構造的な見地から、分岐状あるいは線
状の炭素鎖中に、不規則あるいは規則的に水酸基含有不
飽和化合物が、α−オレフィンと共重合としている構造
を有するもの全般を指す。具体的には、水酸基含有不飽
和化合物の含有量が0.1〜50重量%、好ましくは
0.5〜45重量%、特に好ましくは1〜40重量%を
示すものであり、ASTM−D1238に準拠して測定
したメルトフローレート(MFR)が、0.1〜1,0
00g/10分、好ましくは0.5〜700g/10
分、特に好ましくは1〜500g/10分のもので、常
温で液体、半固体、固体のポリマーが含まれる。
【0030】このようなα−オレフィンと水酸基含有不
飽和化合物との共重合体は、α−オレフィンと水酸基含
有不飽和化合物を原料として周知の方法、例えば高圧ラ
ジカル重合法、スラリー重合法などによって製造するこ
とができる。該高圧ラジカル重合法による製造の場合、
エチレン、水酸基含有不飽和化合物、およびラジカル重
合開始剤を、例えば圧力1,000〜3,000気圧、
温度90〜300℃に保たれた反応帯域中に、エチレ
ン:水酸基含有不飽和化合物の比が1:0.0001〜
1:0.1となるように連続的に供給して、転化率3〜
20%にてエチレン共重合体とし、反応帯域から該共重
合体を連続的に取り出すことによって製造される。また
スラリー重合法による製造の場合、プロピレンと、水酸
基含有不飽和化合物を有機アルミ化合物等で錯体化した
もの等を、公知のチグラー触媒等を用い、例えばヘプタ
ン浴媒中、圧力、常圧〜20気圧、温度30〜150℃
で重合することで製造される。
【0031】このような水酸基含有不飽和化合物として
は、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチル
メタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、
ジエチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(エチ
レングリコール)モノメタクリレート等のメタクリレー
トまたはアクリレート類;アリルアルコール、9−デセ
ン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール等の不
飽和アルコール類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、ジエチルレングリコールモノビニルエーテル等のビ
ニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル
等のアリルエーテル類等が挙げられる。これらの中で
は、メタクリレート・アクリレート類、不飽和アルコー
ル類が好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、10−ウンデ
セン−1−オール等が特に好ましい。
【0032】もう一方の共重合成分であるα−オレフィ
ンとしては、炭素数が2〜12のものであり、具体的に
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブ
テン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4,4−ジメ
チル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−
メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセ
ン、5−メチル−1−ヘキセン、アリルシクロペンタ
ン、アリルシクロヘキサン、スチレン、アリルベンゼ
ン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、ビニルシクロプ
ロパン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサ
ン、2−ビニルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、な
どを挙げることができる。これらのうち好ましい例は、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−
ブテン、4−メチル−1−ペンテン、スチレンなどであ
り、中でも特に好ましい例はエチレン、プロピレンであ
る。これらのα−オレフィンは二種以上用いてもさしつ
かえない。
【0033】また、上記α−オレフィンおよび水酸基含
有不飽和化合物成分以外に第三の共重合モノマー成分と
して、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、メチルメタアクリレート等の不飽和カ
ルボン酸エステル:α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン等のビニル芳香族化合物:アクリロニトリル、メタク
リニトリル等のニトリル化合物:2−ビニルピリジン、
4−ビニルピリジン、等のビニルピリジン:メチルビニ
ルエーテル、2−クロルエチルビニルエーテル等のビニ
ルエーテル:塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビ
ニル:酢酸ビニル等のビニルエステル:アクリルアルミ
ド等を挙げることができ、三元系、多元系共重合体とし
て用いることも可能である。そして、これら共重合体
は、それぞれ単独でも、複数種混合した混合物としても
使用することができる。
【0034】 水酸基含有不飽和化合物のグラフト重
合体 該グラフト重合体とは、構造的な見地から、分岐状ある
いは線状の分子鎖中に、不規則あるいは規則的に水酸基
含有不飽和化合物が、グラフト重合している構造を有す
るもの全般を指す。具体的には、水酸基含有不飽和化合
物の含有量が0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
45重量%、特に好ましくは1〜40重量%を示すもの
であり、ASTM−D1238に準拠して測定したメル
トフローレート(MFR)が、0.1〜1,000g/
10分、好ましくは0.5〜700g/10分、特に好
ましくは1〜500g/10分のもので、常温で液体、
半固体、固体のポリマーが含まれる。
【0035】この水酸基含有不飽和化合物グラフト重合
体は、幹ポリマー成分として前記(a)成分のオレフィ
ン系樹脂、前記(b)成分の非共役ジエン類を含む共重
合体樹脂および後記(d)成分のエラストマーと、グラ
フト成分として水酸基含有不飽和化合物とを原料に用い
て、周知の方法、例えば、混練グラフト法、溶液グラフ
ト法などによって製造することができる。例えば、混練
グラフト法による製造の場合、前記幹ポリマー成分と、
水酸基含有不飽和化合物および、要すれば反応開始剤と
して有機過酸化物を温度80〜250℃に設定した押出
機中で溶融混練することで製造される。
【0036】また、溶液グラフト法による製造の場合、
例えば、キシレン溶媒中、非共役ジエン類を含む共重合
体、水酸基含有不飽和化合物、および、要すれば反応開
始剤として有機過酸化物を溶解し、温度を80〜150
℃に設定したオートクレープ中で反応することで製造さ
れる。ここで用いられるグラフト成分の水酸基含有不飽
和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒ
ドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチル
アクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレー
ト、ポリ(エチレングリコール)モノメタクリレート等
のメタクリレートまたはアクリレート類;アリルアルコ
ール、9−デセン−1−オール、10−ウンデセン−1
−オール等の不飽和アルコール類;2−ヒドロキシエチ
ルビニルエーテル、ジエチルレングリコールモノビニル
エーテル等のビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチル
アリルエーテル等のアリルエーテル類等が挙げられる。
これらの中では、メタクリレート・アクリレート類、が
好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート等が特に好ましい。
【0037】また、該グラフト重合体のもう1つの成分
である幹ポリマー成分としては、前記(a)成分のオレ
フィン系樹脂、前記(b)成分の非共役ジエン類を含む
共重合体樹脂、および後記(d)成分のエラストマーが
挙げられるが、これらの中でも好ましくは、エチレン系
樹脂、プロピレン系樹脂、オレフィン系エラストマー、
スチレン系エラストマー、エチレン・非共役ジエン類共
重合体樹脂、プロピレン・非共役ジエン類共重合体樹
脂、エチレン・プロピレン・非共役ジエン類共重合体樹
脂等が挙げられる。また特に好ましくは、プロピレン系
樹脂、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エ
チレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPD
M)、および、スチレン・共役ジエンブロック共重合体
水素添加物、プロピレン・7−メチル−1,6−オクタ
ジエン共重合体樹脂、プロピレン・エチレン・7−メチ
ル−1,6−オクタジエン共重合体樹脂、プロピレン・
メチル−1,4−ヘキサジエン共重合体樹脂等が挙げら
れる。
【0038】また、上記水酸基含有不飽和化合物成分の
ほかに第二の共重合グラフトモノマー成分として、メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、メチルメタアクリレート等の不飽和カルボン酸エ
ステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のニトリル化合物;2−ビニルピリジ
ン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン;メチルビ
ニルエーテル、2−クロルエチルビニルエーテル等のビ
ニルエーテル:塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化
ビニル:酢酸ビニル等のビニルエステル:アクリルアミ
ド等を挙げることができ、二元系、多元系グラフト共重
合体として用いることも可能である。そしてこれらのグ
ラフト重合体は、それぞれ単独でも、複数種混合した混
合物としても使用することができる。
【0039】 ビニルエステル類含有ポリマーの加水
分解物 ビニルエステル類含有ポリマーとは、ビニルエステル類
を、単独重合、または他の重合性モノマーとの共重合体
および、他の幹ポリマーへのグラフト重合体等を指す。
具体的には、ビニルエステル類化合物の含量が0.01
〜100重量%、好ましくは0.05〜70重量%、特
に好ましくは、0.1〜40重量%の範囲であり、AS
TM−D1238に準拠して測定したメルトフローレー
ト(MFR)が、0.01〜1,000g/10分、好
ましくは0.05〜700g/10分、特に好ましくは
0.1〜500g/10分のもので、常温で液体、半固
体、固体のポリマーが含まれる。
【0040】このビニルエステル類含有ポリマーは、公
知の方法で製造することができる。例えば、高圧ラジカ
ル重合法、溶液重合法、エマルジョン重合法、溶液グラ
フト重合法、混練グラフト重合法を挙げることができ
る。高圧ラジカル重合法による製造の場合、例えば、ビ
ニルエステル化合物、エチレンおよびラジカル重合開始
剤を、圧力1,000〜3,000気圧、温度90〜3
00℃に保たれた反応帯域中に、ビニルエステル化合物
とエチレンを連続的に供給し、転化率が3〜20%とな
るような条件にて、共重合体とし、反応帯域から、該共
重合体を連続的に取り出すことによって製造される。該
ポリマーに用いられるビニルエステル類化合物として
は、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、クロ
トン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、
クロル酢酸ビニル、オレイン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル等が挙げられ、これらの中では、酢酸ビニルが好ま
しい。また該ポリマーが他の重合性モノマーとの共重合
体である場合、その共重合モノマーとしては、炭素数が
2〜12のα−オレフィンが好ましい。
【0041】具体的には、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、
3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、
4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブ
テン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−
1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジ
メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ア
リルシクロペンタン、アリルシクロヘキサン、スチレ
ン、アリルベンゼン、3−シクロヘキシル−1−ブテ
ン、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロペンタン、ビ
ニルシクロヘキサン、2−ビニルビシクロ〔2,2,
1〕−ヘプタン、などを挙げることができる。これらの
うち好ましい例は、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、スチレンなどであり、中でも特に好ましい例はエチ
レン、プロピレンである。これらのα−オレフィンは二
種以上用いてもさしつかえない。
【0042】また該ポリマーがグラフト重合体である場
合、その幹ポリマーとしては、前記(a)成分のオレフ
ィン系樹脂、前記(b)成分の非共役ジエン類を含む共
重合体樹脂、および後記(d)成分のエラストマーが挙
げられるが、これらの中でも好ましくは、エチレン系樹
脂、プロピレン系樹脂、オレフィン系エラストマー、ス
チレン系エラストマー、エチレン・非共役ジエン類共重
合体樹脂、プロピレン・非共役ジエン類共重合体樹脂、
エチレン・プロピレン・非共役ジエン類共重合体樹脂等
が挙げられる。また特に好ましくは、プロピレン系樹
脂、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチ
レン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPD
M)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体水素添加
物、プロピレン・7−メチル−1,6−オクタジエン共
重合体樹脂、プロピレン・エチレン・7−メチル−1,
6−オクタジエン共重合体樹脂、プロピレン・メチル−
1,4−ヘキサジエン共重合体樹脂等が挙げられる。
【0043】また該ポリマーが、共重合体およびグラフ
ト重合体であっても、上記モノマー成分以外で、さらに
共重合可能なモノマー成分として、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチル
メタアクリレート等の不飽和カルボン酸エステル;スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル
芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル
等のニトリル化合物;2−ビニルビリジン、4−ビニル
ビリジン等のビニルビリジン;メチルビニルエーテル、
2−クロルエチルビニルエーテル等のビニルエーテル:
塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル:酢酸ビ
ニル等のビニルエステル:アクリルアミド等を挙げるこ
とができ、二元系、多元系共重合体およびグラフト共重
合体とすることも可能である。これら(共)重合体、グ
ラフト(共)重合体は、それぞれ単独でも、複数種混合
した混合物としてもさしつかえない。
【0044】ビニルエステル類含有ポリマーの加水分解
物とは、上記ビニルエステル類含有ポリマーを加水分解
して生成される。上記ビニルエステル類含有ポリマーの
加水分解法としては、アルカリ、酸等の触媒と、アルコ
ールを加える方法が挙げられる。また上記ビニルエステ
ル類含有ポリマーの加水分解度は、100〜1%、好ま
しくは、100〜10%、特に好ましくは、100〜3
0%であり、完全に加水分解されたものでも、部分的に
加水分解されたものであってもかまわない。該ビニルエ
ステル類含有ポリマーの加水分解物としては、ビニルエ
ステル化合物とα−オレフィンの共重合体の加水分解物
が好ましく、酢酸ビニルとエチレンの共重合体加水分解
物が、特に好ましい。こうした水酸基を有するポリマー
のなかでも、α−オレフィンと水酸基含有不飽和化合物
との共重合体、および水酸基含有不飽和化合物のグラフ
ト重合体が好ましく、特にエチレンと水酸基含有不飽和
化合物との共重合体および、非共役ジエン類を含む共重
合体樹脂への水酸基含有不飽和化合物のグラフト重合体
が好ましい。
【0045】成分(d):エラストマー 本発明の好適な樹脂組成物において使用されるエラスト
マー成分としては、常温でゴム弾性を示す高分子であ
り、天然ゴムおよび合成ゴム等から選ばれるものであ
る。合成ゴムの具体例としては、スチレン系エラストマ
ー、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、オレフィン系エ
ラストマー、アクリルニトリル−ブタジエン共重合ゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタン系エラス
トマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラスト
マーおよびアクリル系エラストマー等が挙げられる。こ
れらの中でも、スチレン系エラストマーおよびオレフィ
ン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコー
ン系エラストマー、アクリル系エラストマーが好まし
く、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラス
トマーが特に好ましく、具体例を以下に記す。
【0046】スチレン系エラストマー 上記スチレン系エラストマーとしては、スチレン、α−
メチルスチレン等のスチレン系化合物と、1,3−ブタ
ジエン、イソプレン等の共役ジエンとのエラストマー状
ランダム又はブロック共重合体およびこれら共重合体の
水素添加物である。これらスチレン系エラストマーの中
では、スチレン系化合物と共役ジエンとのブロック共重
合体が好ましく、これらブロック共重合体は直鎖状およ
び放射状とがあり、たとえば一般式が次式で表される。
【0047】一般式: (A−B)n+1;A−(B−A)n;B−(A−
B)n+1、または A’−[(B−A)nm (上記式中、Aはスチレン系化合物よりなる重合体ブロ
ック、A’はm個の(B−A)nブロックと結合してい
る化学種、Bは共役ジエン重合体ブロックであり、nは
1〜20の整数、mは2以上の整数、Aブロックおよび
A’の全体の分子に占める割合は1〜50重量%であ
る。)これら共重合体の平均分子量は10,000〜1,
000,000、好ましくは50,000〜250,00
0である。
【0048】これらスチレン系エラストマーの具体例と
しては、スチレン・ブタジエンランダム共重合体、スチ
レン・イソプレンランダム共重合体、スチレン・ブタジ
エン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・イソ
プレン・スチレントリブロック共重合体、ポリスチレン
ブロックが末端であるスチレン・ブタジエンラジアルブ
ロック共重合体、ポリスチレンブロックが末端であるス
チレン・イソプレンラジアルブロック共重合体、スチレ
ン・ブタジエンマルチブロック共重合体、スチレン・イ
ソプレンマルチブロック共重合体等のスチレン・共役ジ
エンブロック共重合体、およびこれらを水素添加した生
成物等を挙げることができる。これらのスチレン系エラ
ストマーの中で好ましいものは水素添加されたスチレン
・共役ジエンブロック共重合体である。
【0049】オレフィン系エラストマー オレフィン系エラストマーとしては、エチレン、プロピ
レン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン相
互の共重合体、あるいはこれらと非共役ジエンとの共重
合体、あるいは1−ヘキセン等の高級α−オレフィンの
単独重合体であって、エラストマー状の重合体であり、
100℃で測定したムーニー粘度ML1+4が、通常1〜
200、好ましくは5〜150、特に好ましくは7〜1
00の範囲のものである。
【0050】これらオレフィン系エラストマーの中で
は、エチレン系エラストマーが品質および安定性の点で
特に好ましい。具体的にはエチレン・プロピレン共重合
ゴム(EPM)、エチレン・1−ブテン共重合ゴム、エ
チレン・プロピレン・1−ブテン共重合ゴム、エチレン
・プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、
エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム、エチ
レン・プロピレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴ
ム等がある。
【0051】なお、上記非共役ジエンの具体例として
は、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シ
クロオクタジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノ
ルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−
ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボ
ルネン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチ
ル−1,6−オクタジエン等を挙げることができる。こ
うしたエラストマー成分の中でも、特にオレフィン系エ
ラストマーが、成形体の表面荒れが起こり難いために好
んで使用される。
【0052】成分(e):フィラー 本発明の好適な樹脂組成物において使用されるフィラー
としては、無機系又は有機系フィラーのいずれも使用す
ることができ、その形状は、板状、球状、繊維状のも
の、あるいは不定形のものでもよい。
【0053】具体的には、石英等の天然シリカ、湿式法
または乾式法で製造した合成シリカ;カオリン、マイ
カ、タルク、石綿等の天然珪酸塩;珪酸カルシウム、珪
酸アルミニウム等の合成珪酸塩;水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;アルミナ、チタ
ニア等の金属酸化合物;炭酸カルシウム;アルミニウ
ム、ブロンズ等の金属粉;木粉;カーボンブラック;ガ
ラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等の
繊維状物質;高分子液晶物質;チタン酸カリウムウィス
カー、硫酸マグネシウムウィスカー、ほう酸アルミニウ
ムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ほう酸マグ
ネシウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭化ケイ素
ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、サファイアウィス
カー、ベリリヤウィスカー等のウィスカー類等が挙げら
れる。
【0054】これらの中で好ましいものとしては、マイ
カ、タルク、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、チ
タン酸カリウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカ
ー、ほう酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウ
ィスカー、およびガラス繊維であり、特に好ましいもの
は、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィス
カー、硫酸マグネシウムウィスカーおよびガラス繊維で
ある。これらのフィラー成分は、界面活性剤、カップリ
ング剤等で表面処理を施したものでも良い。またフィラ
ー成分は、単独でも、複数種併用してもかまわない。各
種フィラーは、市販の中から適宜選んで用いることが出
来る。
【0055】なお、本発明の樹脂組成物を構成する各成
分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)につい
て、好ましいものとして上記した成分同士の組み合わせ
が最適のものであることは言うまでもない。
【0056】成分(f):付加的成分 本発明の樹脂組成物の中には、上記成分(a)〜成分
(e)の外に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で
以下に示すような付加的成分を含有させることができ
る。該付加的成分としては、例えば添加剤類、具体的に
は、パラフィンオイル等の可塑剤類ないしは流動性改良
剤類;オレフィン系液状ゴム、共役ジエン系液状ゴム等
の軟化剤類;着色剤類;酸化防止剤類;中和剤類;光安
定剤類;紫外線吸収剤類;帯電防止剤類;滑剤類;分散
助剤類;分子量調整剤類;架橋剤類;核剤類;難燃剤類
等を挙げることができる。
【0057】(2)量比 本発明の樹脂組成物を構成する上記各成分の配合の量比
は次の通りである。 成分(a)、成分(b)、および成分(c)を含有す
る樹脂組成物の場合:成分(a)のオレフィン系樹脂1
00重量部に対して、成分(b)の非共役ジエン類を含
む共重合体樹脂は、0.1〜900重量部、好ましくは
0.5〜600重量部、特に好ましくは1〜300重量
部、成分(c)の水酸基を有するポリマーは、0.01
〜400重量部、好ましくは0.05〜250重量部、
特に好ましくは0.1〜120重量部である。
【0058】 成分(a)、成分(b)、成分
(c)、および成分(d)を含有する樹脂組成物の場
合:成分(a)のオレフィン系樹脂100重量部に対し
て、成分(b)の非共役ジエン類を含む共重合体樹脂
は、0.1〜900重量部、好ましくは0.5〜600
重量部、特に好ましくは1〜300重量部、成分(c)
の水酸基を有するポリマーは、0.01〜750重量
部、好ましくは0.05〜350重量部、特に好ましく
は0.1〜180重量部、成分(d)のエラストマー
は、1〜900重量部、好ましくは5〜300重量部、
特に好ましくは10〜200重量部である。
【0059】 成分(a)、成分(b)、成分
(c)、および成分(e)を含有する樹脂組成物の場
合:成分(a)のオレフィン系樹脂100重量部に対し
て、成分(b)の非共役ジエン類を含む共重合体樹脂
は、0.1〜900重量部、好ましくは0.5〜600
重量部、特に好ましくは1〜300重量部、成分(c)
の水酸基を有するポリマーは、0.01〜500重量
部、好ましくは0.05〜350重量部、特に好ましく
は0.1〜180重量部、成分(e)のフィラーは、
0.1〜300重量部、好ましくは0.5〜250重量
部、特に好ましくは1〜200重量部である。
【0060】 成分(a)、成分(b)、成分
(c)、成分(d)、および成分(e)を含有する樹脂
組成物の場合:成分(a)のオレフィン系樹脂100重
量部に対して、成分(b)の非共役ジエン類を含む共重
合体樹脂は、0.1〜900重量部、好ましくは0.5
〜600重量部、特に好ましくは1〜300重量部、成
分(c)の水酸基を有するポリマーは、0.01〜90
0重量部、好ましくは0.05〜450重量部、特に好
ましくは0.1〜240重量部、成分(d)のエラスト
マーは、1〜900重量部、好ましくは5〜300重量
部、特に好ましくは10〜200重量部、および成分
(e)のフィラーは、0.1〜300重量部、好ましく
は0.5〜250重量部、特に好ましくは1〜200重
量部である。
【0061】成分(b)の非共役ジエン類を含む共重合
体樹脂が上記範囲未満のときは、塗料、接着剤および印
刷インク等の付着性に再現性が乏しかったり、付着強度
が弱かったりして好ましくない。一方、上記範囲を越え
ると高価な該共重合体樹脂の添加量が多いために、樹脂
組成物としてのコストが高くなるばかりでなく、該共重
合体樹脂添加量に比例した効果が得られるものではな
い。
【0062】成分(c)の水酸基を有するポリマーの配
合量が上記範囲未満のときは、塗料、接着剤および印刷
インク等の付着性に再現性が乏しかったり、付着強度が
弱かったりして好ましくない。一方、上記範囲を越える
と高価な該ポリマーの添加量が多いために、樹脂組成物
としてのコストが高くなるばかりでなく、該ポリマーが
デラミネーションやブリードアウトするために、塗料、
接着剤および印刷インク等の付着性が低下し、好ましく
ない。
【0063】成分(d)のエラストマー成分及び/又は
成分(e)のフィラーを配合することにより、剛性や耐
衝撃性などの調整を行うことができるばかりでなく、そ
れらの配合により、さらに強固な塗料、接着剤および印
刷インク等の付着性等を得ることできるので好都合であ
る。しかし、これらが上記範囲を越えると、樹脂組成物
としての成形性が悪化するなどして、あまり好ましくな
い。
【0064】(3)配合 上記の各構成成分を混合することによって、本発明の樹
脂組成物が製造される。これらの各構成成分の混合順序
も特に制限はなく、上記構成成分を同時に混合する方
法、任意の2成分を予め混合しておき、次いで残りの成
分を混合する方法などいずれの方法を採用してもよい。
混合方法としては、ブラベンダープラストグラフ、一軸
あるいは二軸押出機、強力スクリュー型混練機、バンバ
リーミキサー、ニーダー、ロール等の従来知られている
いかなる混練機でも使用することができる。
【0065】上記した本発明の樹脂組成物は、これを各
種成形方法によって成形して樹脂成形体とすることがで
きる。本発明の樹脂組成物から形成された成形体は、そ
のまま直接、即ち、環境破壊の恐れのあるハロゲン系有
機溶剤による蒸気洗浄等を施すことなく、また、プライ
マー塗布やプラズマ処理等の表面改質処理を行うことな
く、塗料、接着剤および印刷インキを施すことが可能で
あり、良好な塗料付着性、接着性および印刷性等が得ら
れる特徴を有する。
【0066】また、さらに該樹脂組成物から形成された
成形体の表面を、ハロゲン系有機溶剤を含まない洗浄液
での表面処理または温熱気体による表面処理等の比較的
簡単な表面処理だけを施すことにより、より強固な塗料
付着性等が得らればかりでなく、より広範な塗料種等に
対しても良好な塗料付着性等が得られる。以下に、本発
明の樹脂組成物の特徴をより具体的に説明するため、一
応用例として該樹脂組成物からなる成形体、およびその
表面処理並びに塗装法について詳述する。
【0067】〔II〕成形体 本発明の樹脂組成物を用いて成形体を製造するには、射
出成形、圧縮成形、押出し成形(シート成形、ブロー成
形、フィルム成形)等のいずれの成形方法であっても構
わない。特に、複雑な形状に射出成形された成形体にお
いて有効である。
【0068】〔III〕成形体の表面処理 本発明の樹脂組成物より形成された成形体は、上記した
ように、そのまま直接塗料等を施すことができるが、以
下に示すような比較的簡単な表面処理を施すことによ
り、広範な塗料種等において強固な付着性が得られる。 ハロゲン系有機溶剤を含まない洗浄液による表面処
理 ハロゲン系有機溶剤を含まない洗浄液とは、現在洗浄溶
剤として広く用いられている、各種フロン類、1,1,
1−トリクロロエタン、パークロルエチレン、およびト
リクレン等のハロゲン系有機溶剤を除く洗浄液全般を指
す。このような洗浄液の例としては、溶剤型洗浄液、エ
マルジョン型洗浄液、水系洗浄液等を挙げることができ
る。
【0069】具体的には、溶剤型洗浄液としては、ケロ
シン、d−リモネン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられ
る。エマルジョン型洗浄液として、ケロシン、d−リモ
ネン、シリコン、トルエン等の溶剤を界面活性剤で水に
乳化、分散したものが挙げられる。水系洗浄液として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリ
ウムおよび炭酸ナトリウム等のアルカリ成分と、界面活
性剤を併用したアルカリ性洗浄液、リン酸等の酸成分と
界面活性剤等を併用した酸性洗浄液、非イオン型界面活
性剤等を用いた中性洗浄液、純水、温水等の水などが挙
げられる。これらの洗浄液の中では好ましくは、水系洗
浄液、エマルジョン型洗浄液であり、特に好ましくは、
水系洗浄液である。
【0070】これらの洗浄液を用いた洗浄方法がここで
言う表面処理法であり、浸漬洗浄法、シャワー洗浄法、
パワーウォッシュ法、超音波浸漬洗浄法、ワイピング法
等のいずれの洗浄法の選択も可能である。これらの中で
は、浸漬洗浄法、シャワー洗浄法、パワーウォッシュ法
が好ましい。洗浄液の温度は、室温から150℃まで使
用可能であるが、好ましくは30〜120℃、特に好ま
しくは40〜100℃の範囲である。また処理時間とし
ては、5秒〜60分、好ましくは、15秒〜30分、特
に好ましくは30秒〜20分の範囲である。
【0071】これらの洗浄液による表面処理は、一般に
は樹脂組成物の成形から塗装までの工程で不可避的に成
形体の表面に付着した手垢や機械油等を洗浄除去する脱
脂処理を目的とするものである。しかし、本発明の樹脂
組成物から形成された成形体においては、これらの洗浄
液による表面処理だけで、プライマー塗布やプラズマ処
理等の表面改質を行なわなくても、より広範な塗料種に
おいて、より強固な塗料付着性が得られる。
【0072】 温熱気体による表面処理 温熱気体による表面処理とは、成形体を加熱された気体
中に置く操作をいう。この処理において気体は流動して
いても静止していたもよく、また成形体も温熱気体中に
移動していても、静置していてもよい。用いられる気体
としては、環境汚染を起こさない気体でよく、例えば窒
素やアルゴン等の不活性ガス、空気および二酸化炭素が
挙げられる。これらの中では空気、窒素が好ましい。
【0073】加熱される気体の温度としては、40〜2
00℃好ましくは50〜160℃、特に好ましくは60
〜140℃の範囲である。成形体が加熱された気体中に
置かれる時間(処理時間)としては5秒〜120分、好
ましくは30秒〜90分、特に好ましくは、1〜60分
の範囲である。この操作を行える操置としては、オーブ
ン、乾燥器、スーパードライヤー、および電気炉等が挙
げられる。
【0074】本発明の樹脂組成物から形成された成形体
においては、これらの温熱気体による表面処理を施すだ
けで、プライマー塗付や、プラズマ処理等の表面改質を
行わなくても、より広範な塗料種等において、より強固
な塗料付着性が得られ、非常に驚くべきことである。
【0075】〔IV〕塗装 本発明の樹脂組成物から形成された成形体をの塗装する
際には、従来の塗装工程からプライマー塗布やプラズマ
処理等の表面改質工程を省略することができる。すなわ
ち、上記樹脂組成物を成形加工して得られた成形体に、
そのまま直接に、あるいはハロゲン系有機溶剤を含まな
い洗浄液で表面処理あるいは温熱気体による表面処理を
施した後に、塗料を塗布するものである。塗料の塗布手
段としては、スプレーによる吹き付け塗布、はけ塗り、
ローラーによる塗布等があるが、いずれの方法をも採用
することができる。
【0076】塗装工程にて使用することができる塗料と
しては、一般に広く用いられている有機溶剤系塗料およ
び水溶性樹脂塗料、水分散性樹脂塗料、水性エマルジョ
ン塗料等の水系塗料等を使用することができる。具体的
には、これら塗料の樹脂成分または架橋成分が、アクリ
ル系、エポキシ系、ポリエステル系、アルキッド系、ウ
レタン系およびメラミン系等の成分からなる塗料を挙げ
ることができる。これらの中でも、好ましいものは、ア
クリル系塗料、エポキシ系塗料、ウレタン系塗料および
メラミン系塗料であり、特に好ましいのは、アクリル系
塗料、ウレタン系塗料およびメラミン系塗料である。
【0077】〔V〕用途例 本発明の樹脂組成物から形成された成形体は、上述した
ように塗装、接着、印刷への適性が良好であることか
ら、自動車のバンパー、マッドガード、サイドモール、
ホイールキャップ、スポイラー類等の自動車外装部品;
インスツルメントパネル、レバー、ノブ、内張り等の自
動車内装部品;ポット、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、照明
器具、オーディオ機器等の電気製品;包装用フィルム、
合成紙、ラミネートフィルム等の包装材;被印刷基材等
の各種工業用部品、またはカラーボックス、収納ケース
等の各種日用雑貨品等として利用することができる。
【0078】
【実施例】以下に実施例および比較例を掲げ、本発明を
更に具体的に説明する。各実験例において製造された樹
脂組成物から試験試料を得るための成形条件および試験
方法は以下に示す通りである。これら実験例では、本発
明の樹脂組成物の特徴を成形体の塗装性能で示した。な
お、実験例中の「部」は重量部である。
【0079】<成形条件>成形機 :名機製作所製の射出成形機 M40A−SJ成形温度 :230℃成形品 :平板(65mm×65mm×2mm) 三点曲げ弾性率試験片(90mm×10mm×4mm)曲げ弾性率 :JIS K−7203に準拠して測定し
た。MFR :ASTM D−1238に準拠して測定した。
【0080】<表面処理>無処理 :成形された試験片を何も施さずに、直接塗装し
た。アルカリ処理 :試験片を60℃の温水に30秒間浸漬し
た後、第一工業製薬社製アルカリ洗浄剤(CL551
3)の5%水溶液を60℃に加熱した槽に120秒間浸
漬し、その後再び60℃の温水中に30秒間浸漬した。
水道水で試験片表面を30秒間洗い流し、次いで純水で
30秒間洗い流した。エアブローで試験片表面の水分を
とばし、オーブン中で、80℃、10分間乾燥した。
【0081】酸処理:試験片を60℃の温水に30秒間
浸漬した後、DUBOIS社製酸性洗浄剤(ISW3
2)の5%水溶液を60℃に加熱した槽に120秒間浸
漬し、その後再び60℃の温水中に30秒間浸漬した。
水道水で試験片表面を30秒間洗い流し、次いで純水で
30秒間洗い流した。エアブローで試験片表面の水分を
とばし、オーブン中で80℃、10分間乾燥した。温熱気体処理 :成形された試験片をオーブン中で窒素を
流しながら、80℃で30分間処理した。
【0082】<塗装>一液型有機溶剤系ウレタン系塗料
および二液型有機溶剤系ウレタン系塗料を用いて、塗装
を行った。塗装法 :各塗料それぞれを調合し、エアースプレーガン
を用いて、塗膜厚さが100μmとなるように、スプレ
ー塗布した。その後、一液型有機溶剤系ウレタン系塗料
では120℃で60分、二液型有機溶剤系ウレタン系塗
料では80℃で60分の条件で、焼き付け乾燥した。
【0083】<塗料付着性評価>剥離強度 :試験片の上半分に塗料が付着しないような処
理を施した後、各塗料を塗膜厚さが100μmになるよ
うに塗布し、焼き付け乾燥した。試験片にセロハン粘着
テープ(例:ニチバン製幅24mm)を全面に密着させ、
幅1cmで、上下方向に素地にまで達する切り傷を付け
る。塗膜付着のない側を手で剥がし、引張試験機に取付
け180度方向に50mm/分の速度で引き剥したときの
負荷を記録した。なお、塗膜が破断した場合は破断と記
した。
【0084】実施例1〜34および比較例1〜9 (1) 樹脂成形体の製造 下記の表1および表2に示した各成分を配合して、二軸
押出機により200℃で溶融混練してペレットとした。
このペレットを用いて平板および三点曲げ弾性率測定用
試験片を射出成形した。なお、表1および表2中の配合
成分は次の通りである。
【0085】<オレフィン系樹脂:(a)成分>ブロックPP(1) :エチレン含量が4重量%、JIS−
K7203に準拠して測定した曲げ弾性率が14,00
0kg/cm2、かつASTM−D1238に準拠して測定
したMFRが60g/10分のプロピレン・エチレンブ
ロック共重合体。
【0086】ブロックPP(2):エチレン含量が13重
量%、JIS−K7203に準拠して測定した曲げ弾性
率が6,000kg/cm2、かつASTM−D1238に準
拠して測定したMFRが30g/10分のプロピレン・
エチレンブロック共重合体。
【0087】ランダムPP:エチレン含量3.4重量
%、JIS−K7203に準拠して測定した曲げ弾性率
が10,500kg/cm2、かつASTM−D1238に準
拠して測定したMFRが15g/10分のプロピレン・
エチレンランダム共重合体。
【0088】単独PP:JIS−K7203に準拠して
測定した曲げ弾性率が13,000kg/cm2、かつAST
M−D1238に準拠して測定したMFRが25g/1
0分のポリプロピレン。
【0089】HDPE:ASTM−D747に準拠して
測定した曲げ弾性率が10,500kg/cm2、かつJIS
−K6760に準拠して測定したMFRが、20g/1
0分の低圧法ポリエチレン(高密度ポリエチレン)。
【0090】<非共役ジエン類を含む共重合体樹脂:
(b)成分>共重合体(1) 7−メチル−1,6−オクタジエン含量7.3重量%、
曲げ弾性率6,250kg/cm2、かつMFRが3.5g/1
0分のプロピレン・7−メチル−1,6−オクタジエン
ランダム共重合体。
【0091】共重合体(2) 4−メチル−1,4−ヘキサジエン含量13.6重量
%、5−メチル−1、4−ヘキサジエン含量3.4重量
%、曲げ弾性率9,000kg/cm2、かつMFRが17.
5g/10分のプロピレン・4−メチル−1、4−ヘキ
サジエン−5−メチル−1,4−ヘキサジエンランダム
共重合体。
【0092】共重合体(3) 7−メチル−1,6−オクタジエン含量6.8重量%、
エチレン含量1.2重量%、曲げ弾性率4,700kg/cm
2、かつMFRが2.8g/10分のプロピレン・エチレ
ン・7−メチル−1,6−オクタジエンランダム共重合
体。
【0093】共重合体(4) 4−メチル−1,4−ヘキサジエン含量5.3重量%、
5−メチル−1,4−ヘキサジエン含量1.3重量%、
エチレン含量16重量%、曲げ弾性率6,400kg/cm2
かつMFRが1.5g/10分のプロピレン・(エチレン
・4−メチル−1,4−ヘキサジエン・5−メチル−
1,4−ヘキサジエン)ブロック共重合体。
【0094】<水酸基を有するポリマー:(c)成分>EHM(1) 高圧ラジカル重合法で得た、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート含有率が10重量%、メチルアクリレート含
有率が10重量%、MFRが100g/10分のエチレ
ン・2−ヒドロキシエチルメタクリレート・メチルアク
リレート三元共重合体。EHM(2) 高圧ラジカル重合法で得た、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート含有率が10重量%、メチルアクリレート含
有率が10重量%、MFRが13g/10分のエチレン
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート・メチルアクリ
レート三元共重合体。EHM(3) 高圧ラジカル重合法で得た、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート含有率が10重量%、MFRが7g/10分
のエチレン・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重
合体。
【0095】HMEPM 下記のようにして製造した2−ヒドロキシエチルメタク
リレートグラフト・プロピレン・エチレン・7−メチル
−1,6−オクタジエン共重合体樹脂: (製造法)容量3lのオートクレーブに、プロピレン・
エチレン・7−メチル−1,6−オクタジエン共重合体
(前記共重合体(3))50g、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート40gとクロロベンゼン1000mlを
加え、130℃に加熱撹拌して溶解した。この溶液に、
クロロベンゼン200mlに溶解したベンゾイルパーオ
キサイド1.5gを2時間かけて滴下し、130℃で3
時間反応を行った。反応終了後、生成物をアセトン中で
析出させ、濾別、乾燥して目的物を得た。得られたポリ
マーの2−ヒドロキシエチルメタクリレート含有率は、
1.7重量%であった。
【0096】<エラストマー成分:(d)成分>EPM(1) :ムーニー粘度ML1+4(100℃)が70、
比重が0.86であるエチレン・プロピレン・共重合ゴ
ム。EPM(2) :ムーニー粘度ML1+4(100℃)が24、
比重が0.86であるエチレン・プロピレン共重合ゴ
ム。EPDM :ムーニー粘度ML1+4(100℃)が47、
比重が0.86であるエチレン・プロピレン・エチリデ
ンノルボルネン共重合ゴム。SEBS :数平均分子量が70,000、比重が0.91
であるスチレン・ブタジエンブロック共重合ゴムの水素
添加物。
【0097】<フィラー成分:(e)成分>タルク :比表面積が39,000cm2/g、および平均粒
径が1.8〜2.2μmのタルク。チタン酸カリウムウィスカー :平均直径が0.2〜0.5
μm、かつ平均アスペクト比が20以上のチタン酸カリ
ウムウィスカー[K2O・6TiO2]。マイカ :平均フレーク径が90μmのマイカ。炭酸カルシウム :比表面積が33,000〜39,00
0cm2/g、平均粒径が0.1〜0.5μmの炭酸カルシ
ウム。硫酸バリウム :平均粒径が0.5〜0.8μmの硫酸バ
リウム。ガラス繊維 :平均直径が12〜14μmかつ裁断長さが
6mmのガラス繊維。
【0098】(2)樹脂成形体の塗装 上記樹脂成形体の製造によって成形した平板に、前記表
面処理をそれぞれ施し、エアーガンを用いて塗料を塗布
した。焼き付け乾燥終了後、48時間室温放置して、剥
離強度試験を行なった。得られた樹脂組成物の曲げ弾性
率を表1および表2に、成形体の塗料付着性の結果を表
3および表4に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】
【表8】
【0107】上記表に示した塗装付着性データによれ
ば、非共役ジエン類を含む共重合体樹脂((b)成分)
および水酸基を有するポリマー((c)成分)の双方、
または(b)成分が含まれていない組成物では、塗料付
着性を全く示していない(比較例1〜9参照)。また、
本発明の樹脂組成物は、一液型ウレタン系塗料を用いた
場合の塗料付着性を見ると、その試験片の表面を無処理
で塗装したものも良好な塗料付着性を示しているが、さ
らにアルカリ洗浄液で表面処理をしたのち塗装したもの
は、より強固な塗料付着性を示していることがわかる
(表3参照)。
【0108】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は上記した特定の成
分から構成されているので、該樹脂組成物から形成され
た成形体は、環境破壊の恐れのあるハロゲン系有機溶剤
による蒸気洗浄等を施すことなく、また、プライマー塗
布やプラズマ処理等の表面改質処理を行うことなく、直
接塗料、接着剤等を塗布および印刷インク等の印刷を施
すことが可能であり、良好な塗料付着性、接着性および
印刷性等が得られる。また、さらに該樹脂組成物から形
成された成形体の表面を、ハロゲン系有機溶剤を含まな
い洗浄液での表面処理または温熱気体による表面処理等
の比較的簡単な表面処理を施すだけで、より強固な塗料
付着性等が得らればかりでなく、より広範な塗料種等に
対しても良好な塗料付着性等が得られる。従って、オレ
フィン系樹脂へ直接塗装することは不可能である、との
従来の常識を覆して、本発明の組成物から形成された成
形体は、プライマー塗装、プラズマ処理等の表面改質処
理をあらかじめ施すことなく、塗料を塗布しても良好な
塗料付着性を示し、工業的に極めて有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 101/06 C08L 101/06 (56)参考文献 特開 平3−162437(JP,A) 特開 平4−145164(JP,A) 特開 昭62−174242(JP,A) 特開 昭57−115441(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(a)、成分(b)および成
    分(c)を含み、成分(a)100重量部に対し、成分
    (b)を0.1〜900重量部、成分(c)を0.01
    〜400重量部含有する樹脂組成物。成分(a) :オレフィン系樹脂成分(b) :炭素数2〜12のα−オレフィン類から選
    ばれた少なくとも一種と、下記一般式(I)で表される
    非共役ジエン類の少なくとも一種とのブロック及び/又
    はランダム共重合体樹脂 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独
    立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表
    し、nは1〜10の整数を表す。)成分(c) :水酸基を有するポリマー
  2. 【請求項2】 下記の成分(a)、成分(b)、成分
    (c)、および成分(d)成分を含み、成分(a)10
    0重量部に対し、成分(b)を0.1〜900重量部、
    成分(c)を0.01〜750重量部、成分(d)を1
    〜900重量部含有する樹脂組成物。成分(a) :オレフィン系樹脂成分(b) :炭素数2〜12のα−オレフィン類から選
    ばれた少なくとも一種と、下記一般式(I)で表される
    非共役ジエン類の少なくとも一種とのブロック及び/又
    はランダム共重合体樹脂 【化2】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独
    立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表
    し、nは1〜10の整数を表す。)成分(c) :水酸基を有するポリマー成分(d) :エラストマー
  3. 【請求項3】 下記の成分(a)、成分(b)、成分
    (c)、および成分(e)を含み、成分(a)100重
    量部に対し、成分(b)を0.1〜900重量部、成分
    (c)を0.01〜500重量部、および成分(e)を
    0.1〜300重量部含有する樹脂組成物。成分(a) :オレフィン系樹脂成分(b) :炭素数2〜12のα−オレフィン類から選
    ばれた少なくとも一種と、下記一般式(I)で表される
    非共役ジエン類の少なくとも一種とのブロック及び/又
    はランダム共重合体樹脂 【化3】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独
    立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表
    し、nは1〜10の整数を表す。)成分(c) :水酸基を有するポリマー成分(e) :フィラー
  4. 【請求項4】 下記の成分(a)、成分(b)、成分
    (c)、成分(d)及び成分(e)を含み、成分(a)
    100重量部に対し、成分(b)を0.1〜900重量
    部、成分(c)を0.01〜900重量部、成分(d)
    を1〜900重量部および成分(e)を0.1〜300
    重量部含有する樹脂組成物。成分(a) :オレフィン系樹脂成分(b) :炭素数2〜12のα−オレフィン類から選
    ばれた少なくとも一種と、下記一般式(I)で表される
    非共役ジエン類の少なくとも一種とのブロック及び/又
    はランダム共重合体樹脂 【化4】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独
    立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表
    し、nは1〜10の整数を表す。)成分(c) :水酸基を有するポリマー成分(d) :エラストマー成分(e) :フィラー
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