JP7443760B2 - 着色樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、着色樹脂組成物およびそれを用いた成形体に関する。
プラスチックは成形加工が容易なことから電気・電子機器部品、自動車部品、医療用部品、食品容器などの幅広い分野で使用されており、装飾性を高めるためにプラスチック成形体の着色が盛んに行われている。特に飲料キャップ分野は商品の差別化のために多色化が進んでおり市場には様々な色で着色された成形体が流通している。
また、飲料キャップ分野では近年の環境負荷低減の観点から成形体の軽量化、薄肉化が進んでいる。成形体の軽量化により従来では問題にならなかった着色による樹脂の機械物性の低下が問題になる場合がある。例えば、飲料キャップ用途で一般的に使用されているポリエチレン樹脂は酸化チタンを始めとする無機顔料で着色すると衝撃強度が低下する場合があり、粒子径の大きい群青やパール顔料で着色すると衝撃強度の低下が顕著になる。樹脂の衝撃強度が低下すると成形体運搬の際等に外部から強い衝撃が加わると成形体の肉厚が薄い箇所に亀裂が生じ問題となる場合がある。
ポリオレフィン樹脂の衝撃強度の低下を抑制する方法として、水添ジエン共重合体を添加する方法が特許文献1、2に記載されている。しかし、これらの方法では着色するポリオレフィン樹脂の物性が変わってしまい成形性に影響を与えてしまう、樹脂がポリプロピレン樹脂に制限されてしまう等の問題があった。
無機顔料によるポリオレフィン樹脂の衝撃強度低下を抑制する方法として相溶化剤の添加が挙げられる。相溶化剤により無機顔料とポリオレフィンの相溶性が向上することで顔料と樹脂の界面密着性が向上し強い衝撃を与えた際に界面剥離が起きにくくなるため衝撃強度が向上する。無機顔料と相溶化剤を配合した着色剤の例として特許文献3が挙げられる。しかし、この方法は成形方法がコンプレッション成形に限られる等の問題があった。そして、これらいずれも衝撃強度の低下を抑制することは十分ではないのが現状である。
特開2004-263161号公報 特開2005-8649号公報 特開2016-98346号公報
本発明は無機顔料で着色した際のポリオレフィン樹脂の衝撃強度の低下を抑制することが可能な着色樹脂組成物、およびそれを用いた成形品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の着色樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)と、無機顔料(B)と、相溶化剤(C)を含み、前記相溶化剤(C)は、酸価が0.5~40mgKOH/gである、酸性官能基を有するポリマーである。
本発明により、無機顔料で着色した際のポリオレフィン樹脂の衝撃強度の低下を抑制することが可能な着色樹脂組成物、およびそれを用いた成形体を提供することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
《着色樹脂組成物》
本発明の着色樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を主成分とする成形体を形成するための着色樹脂組成物であって、ポリオレフィン樹脂(A)、無機顔料(B)、および相溶化剤(C)を含み、前記相溶化剤(C)は、酸性官能基を有するポリマーであり、前記酸性官能基を有するポリマーの酸価は、0.5~40mgKOH/gである。
着色樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)が溶融する温度で無機顔料(B)と相溶化剤(C)とを混練することで得られる。着色樹脂組成物(D)の製造方法は、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)と、無機顔料(B)と、相溶化剤(C)と、更に必要に応じて各種添加剤を加え、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合や溶融混練し、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状の樹脂組成物とすることが出来る。混練力が強く、その後の成形加工が容易なことか単軸押出機または二軸押出機にてペレット状とすることが好ましい。
着色樹脂組成物は、成形時に成形樹脂で希釈して使用するマスターバッチや、ポリオレフィン樹脂(A)に無機顔料(B)と相溶化剤(C)とを必要量配合し、成形樹脂で希釈せずにそのまま成形するコンパウンド等が挙げられる。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンモノマーの重合体であり、ブロック、ランダムコポリマーまたはターポリマーであっても構わない。具体的には、ポリオレフィンエラストマー、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)のようなα-オレフィン類の重合体である。これらのポリオレフィン樹脂は一種単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても構わない。
本発明の着色樹脂組成物は、衝撃強度の低下が起こりやすい高密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を用いた場合にも、顔料凝集や衝撃強度の低下を起こすことなく着色することができる。
本発明における着色樹脂組成物がマスターバッチの場合、ポリオレフィン樹脂(A)のMFR(メルトフローレート、溶融粘度ともいう)は、5~100g/10分が好ましく、10~60g/10分が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)のMFRが5g/10分より低いとマスターバッチを希釈樹脂に添加した際にマスターバッチが十分に分配せず成形品に色むら等の外観不良が発生する場合がある。一方、MFRが100g/10分より高いと成形時に系全体の溶融粘度が下がり成形性に影響することがある。マスターバッチと希釈樹脂は同じ種類のポリオレフィン樹脂であることが好ましい。例えば、希釈樹脂がHDPEの場合、マスターバッチ中のポリオレフィン樹脂(A)はHDPEが好ましい。着色による衝撃強度の低下を起こさずに着色できることからポリオレフィン樹脂(A)はHDPEまたはPPであることが好ましい。
本発明における着色樹脂組成物がコンパウンドであり、ポリオレフィン樹脂(A)が高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)またはポリプロピレン樹脂(PP)である場合、ポリオレフィン樹脂(A)のMFRは、5g/10分以下が好ましく、0.1~5g/10分が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)のMFRが0.1g/10分よりも低いとコンパウンドの加工性が低くなり、5g/10分よりも高いと成形品とした際の衝撃強度が低くなる。着色による衝撃強度の低下を起こさずに着色できることからポリオレフィン樹脂(A)はHDPEまたはPPであることが好ましい。
尚、本発明におけるMFRはJIS(日本工業規格)K-7210に従って測定した値である。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ノバテックLL UJ580(LLDPE、MFR:20g/10分、日本ポリエチレン社製)、サンテックLD M2270(LDPE、MFR:7g/10分、旭化成社製)、サンテックHD J240(HDPE、MFR:5g/10分、旭化成社製)、サンテックHD J300(HDPE、MFR:42g/10分)、プライムポリプロJ229E(PP、MFR:50g/10分、プライムポリマー社製)等が挙げられる。
マスターバッチにおけるポリオレフィン樹脂(A)の配合量は20質量%以上であり、30~60質量%が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)の配合量が20質量%より低いとマスターバッチ生産時の加工性が悪くなる場合がある。
コンパウンドにおけるポリオレフィン樹脂(A)の配合量は60質量%以上であり、60~95質量%が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)の配合量が60質量%より低いと成形品の衝撃強度が低くなる場合がある。
<無機顔料(B)>
本発明における無機顔料(B)は、無機物からなる顔料であれば特に制限されない。
例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸カルシウム等の白色無機顔料、クロムイエロー、ニッケルチタンイエロー、ビスマスイエロー等の黄色無機顔料、酸化鉄等の赤色無機顔料、コバルトブルー、群青等の青色無機顔料、コバルトグリーン等の緑色無機顔料、クロムチタンイエロー等の褐色無機顔料、カーボンブラック、黒色酸化鉄等の黒色無機顔料、パール顔料等が挙げられる。無機顔料(B)はポリオレフィン樹脂の衝撃強度の低下を起こさずに着色できることから硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、ニッケルチタンイエロー、ビスマスイエロー、酸化鉄、群青、パール顔料が好ましい。
無機顔料(B)の平均粒子径は、0.05~200μmが好ましい。より好ましくは、0.2~100μmであり、さらに好ましくは0.3~100μmである。
無機顔料(B)の平均粒子径が0.05μmより小さくなると、顔料の凝集力が強くなり分散が難しくなる場合がある。一方、無機顔料(B)の平均粒径が200μmよりも大きくなると200μm以下の厚みの成形品の場合、成形品表面の荒れを引き起こす場合がある。
本発明の着色樹脂組成物は、従来衝撃強度の低下抑制が難しかった、無機顔料(B)の平均粒子径が0.3μm以上といった、粒径が大きい場合にも、衝撃強度に優れ、かつ成形体の外観を損ねることなくポリオレフィン樹脂を着色できる。
尚、本発明における平均粒子径はマイクロトラックを用いて測定することができ、例えば、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA-EX150」)等を用いて求めることができる。
無機顔料(B)の具体例としては、タイペークCR60(石原産業社製、平均粒子径0.21μm、酸化チタン)、炭酸カルシウムNS#100(日東粉化工業社製、平均粒子径2.1μm、炭酸カルシウム)、沈降性硫酸バリウム100(堺化学社製、平均粒子径0.6μm、硫酸バリウム)、サクトリスHD-S(サクトリスHDザハトレーベン社製、平均粒子径0.3μm、硫化亜鉛)、トマテック42-401A(東罐マテリアル・テクノロジー社製、平均粒子径1.1μm、ニッケルチタンイエロー)、シコパールイエロー1160FG(BASF社製、平均粒子径0.5μm、ビスマスイエロー)、トダカラー180ED(戸田工業社製、平均粒子径0.6μm、酸化鉄)、トマテック42-255A(東罐マテリアル・テクノロジー社製、平均粒子径0.2μm、コバルトブルー)、群青No.2000(第一化成工業社製、平均粒子径0.8μm、群青)、トマテック42-118A(東罐マテリアル・テクノロジー社製、平均粒子径0.2μm、クロムチタンイエロー)、イリオジン100(メルク社製、平均粒子径10-60μm、パール顔料)等が挙げられる。
無機顔料(B)の含有率は、着色樹脂組成物100質量%中、0.01~60質量%である。
着色樹脂組成物がマスターバッチの場合、無機顔料(B)の好ましい含有率は1~60質量%であり、5~50質量%が更に好ましい。無機顔料(B)の含有率が上記範囲であることで無機顔料(B)の分散性とマスターバッチの加工性を両立できる。
着色樹脂組成物がコンパウンドの場合、無機顔料(B)の好ましい含有率は1質量%以下であることが好ましく、0.01~1質量%が好ましい。
無機顔料(B)の含有率がそれぞれ上記範囲内であることで、衝撃強度を低下させることなく成形樹脂であるポリオレフィン樹脂を着色することができる。
<相溶化剤(C)>
本発明における相溶化剤(C)は、酸性官能基を有するポリマーであり、酸性官能基を有するポリマーの酸価は、0.5~40mgKOH/gである。なかでも、酸性官能基およびオレフィン部位を有するポリマーであることが好ましい。酸性官能基としては例えば、カルボキシル基(-COOH)、カルボン酸無水物基(O=C-O-C=O)スルホ基(-SOH)、リン酸基(-PO(OH))等が挙げられる。好ましくは、より衝撃強度低下を抑制することができることから、カルボキシル基を有する場合である。
本発明における相溶化剤(C)の酸価は、1~30mgKOH/gがより好ましく、5~26mgKOH/gが更に好ましい。相溶化剤(C)の酸価が上記範囲にあることで無機顔料(B)の凝集を起こすことなくポリオレフィン樹脂(A)と無機顔料(B)の界面密着性を向上させることができる。
尚、本発明における酸価はJIS K-0070に従って測定した値である。
相溶化剤(C)により、ポリオレフィン樹脂(A)と無機顔料(B)の界面密着性を向上することができる。相溶化剤(C)は、カルボン酸、カルボン酸無水物等を重合させた酸変性ポリマーや、空気または酸素存在化で酸化させて分子内にカルボキシ基を導入した酸化ポリマーであり、ポリオレフィン樹脂(A)との相溶性を高くできることから、ポリマー主鎖にエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン部位を有するポリマーであることが好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)と相溶化剤(C)の相溶性を高めることで、無機顔料(B)で着色した際のポリオレフィン樹脂の衝撃強度低下を抑制することができる。
具体的には、酸変性ポリオレフィンポリマー、酸化ポリオレフィンポリマー、または酸変性水添スチレン-ジエン共重合体等が挙げられる。これらの相溶化剤(C)は一種単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても構わない。
酸変性ポリオレフィンポリマーは、ポリエチレンやポリプロプレンワックス等のポリオレフィンワックスやポリオレフィンエラストマー、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)等のポリオレフィン樹脂に塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の方法でアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボン酸やそれらの酸無水物等を重合させることで得られる。ポリオレフィン樹脂との相溶性が高いことから無水マレイン酸で変性されたポリプロピレンポリマーであることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂との相溶性を高めることで無機顔料(B)で着色した際の衝撃強度の低下を抑えることができる。
酸化ポリオレフィンポリマーは空気または酸素存在化で酸化させてポリオレフィンポリマーの分子内にカルボキシ基を導入したポリオレフィンポリマーである。カルボキシ基を導入しやすいことから酸化ポリエチレンポリマーであることが好ましい。
酸変性水添スチレン-ジエン共重合体は、スチレン系ジエン型ブロック共重合体のジエンブロックを部分的に水素添加(水添)して得られた部分水添スチレン系ジエン型ブロック共重合体に、酸性化合物を反応させて得られる酸変性部分水添スチレン系ジエン型ブロック共重合体のジエンブロックを更に水添されたものである。水添前のスチレン系ジエン型ブロック共重合体は、スチレン化合物ブロックとジエンブロックを含有するブロック共重合体である。
スチレン系ジエン型ブロック共重合体のスチレンユニットを構成するスチレン系化合物としては、スチレン、α‐メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられ、これらのスチレン化合物は一種単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても構わない。
上記共重合体のジエンユニットを構成するジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、1,3-ペンタジエン等が挙げられ、共役ジエンであることが好ましく、これらのジエン化合物は一種単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても構わない。
また、上記共重合体のスチレンユニットおよびジエンユニット以外のユニットを構成してもよい化合物としては、エチレン、プロピレン等のオレフィン(アルケン)等が挙げられ、これらのオレフィン化合物は一種単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても構わない。
酸変性水添スチレン-ジエン共重合体を構成するスチレンユニットの含有率は、好ましくは5~40質量%であり、より好ましくは10~30質量%である。スチレンユニットの含有率が上記範囲にあることでポリオレフィン樹脂(A)との相溶性がより向上できる。
ポリオレフィン樹脂との相溶性を高めることで無機顔料(B)で着色した際の衝撃強度の低下を抑えることができる。
スチレン系ジエン型ブロック共重合体の変性に用いられる酸性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸等の脂肪族モノカルボン酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、マレイン酸モノクロライド等の酸ハロゲン化物、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水カルボン酸等が挙げられる。酸変性に用いる酸性化合物としては、カルボン酸が好ましく、無水カルボン酸が特に好ましい。
本発明における相溶化剤(C)が融点を有する場合、60~200℃が好ましく、80~140℃が更に好ましい。融点が上記範囲にあるとポリオレフィン樹脂(A)と融点が近いため加工性が向上する。
尚、本発明における融点は示差走査熱量計「DSC6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて温度範囲:40~200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定した値である。
無機顔料(B)と相溶化剤(C)の配合量比[(C)/(B)]は、0.05~1が好ましく、0.1~0.5がより好ましい。無機顔料(B)に対する相溶化剤(C)の配合量比が上記範囲にあることで、無機顔料(B)の凝集を起こすことなくポリオレフィン樹脂(A)と無機顔料(B)の界面密着性を向上させることができ、顔料凝集や衝撃強度の低下を起こすことなくポリオレフィン樹脂を着色することができる。
無機顔料(B)が群青の場合、相溶化剤(C)は酸変性スチレン-ジエン共重合体であることが好ましく、無機顔料(B)がパール顔料の場合、相溶化剤(C)は酸変性ポリオレフィンポリマーであることが好ましい。上記組み合わせが最も衝撃強度低下が起きにくい。
相溶化剤(C)の具体例として、ハイワックスNP50605A(三井化学社製、酸価:11、融点:132℃、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス)、ACポリエチレン316A(Honeywell社製、酸価16、融点134℃、酸化ポリエチレンワックス)、ユーメックス1001(三洋化成工業社製、酸価26、融点142℃、無水マレイン酸変性ポリプロピレン)、タフテックM1943(旭化成社製、酸化:10、無水マレイン酸変性スチレン-ジエン共重合体、スチレン化合物ユニット含有量20%)等が挙げられる。
<その他>
本発明の着色樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物等の難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤などの添加剤や好みの色相に合わせて有機顔料等を含有させることができる。
着色樹脂組成物に配合できる有機顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は一種単独で用いても二種以上を組み合わせて用いても構わない。
《成形体》
成形体は、本発明の着色樹脂組成物を用いて成形される。
成形方法は特に制限されるものではなく、押出成形、圧縮成形、射出成形、ブロー成形等によって得ることが出来る。
着色樹脂組成物がマスターバッチである場合、成形体の成形時に規定の倍率で成形樹脂であるポリオレフィン樹脂と混練し、成形体を成形することができる。
また、このときの成形樹脂は、マスターバッチを構成するポリオレフィン樹脂(A)と同じ樹脂であっても、異なる樹脂であってもよい。
例えば、本発明の着色樹脂組成物は衝撃強度に優れているため、圧縮成形であるコンプレッションや射出成形であるインジェクション成形にて成形される軽量飲料キャップ等の成形体に適している。
成形体100質量%中のポリオレフィン樹脂(A)の配合量は60質量%以上であり、95質量%以下であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)の配合量がこの範囲にあることで、成形体の衝撃強度がより優れたものとすることができる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例中、「部」および「%」は、特に断りがない場合は、それぞれ、「質量部」および「質量%」を表す。
また、表中の配合量は、質量部であり、空欄は配合していないことを表す。
なお、ポリオレフィン樹脂の溶融粘度、無機顔料の平均粒子径、および相溶化剤の酸価の測定方法は以下の通りである。
[ポリオレフィン樹脂の溶融粘度]
MFRはJIS(日本工業規格)K-7210に従って測定した。
[無機顔料の平均粒子径]
平均粒子径は日機装社製「UPA-EX150」を用いて測定した。
[相溶化剤の酸価]
酸価はJIS K-0070に従って測定した。
着色樹脂組成物に使用した材料を以下に列挙する。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
A-1:ノバテックHD HJ362N(日本ポリエチレン社製、MFR:5g/10分、HDPE)
A-2:ノバテックPP BC4ASW(日本ポリプロ社製、MFR:5g/10分、PP)
A-3:ノバテックHD HJ590N(日本ポリエチレン社製、MFR:42g/10分、HDPE)
<無機顔料(B)>
B-1:炭酸カルシウムNS#100(日東粉化工業社製、平均粒子径2.1μm、炭酸カルシウム)
B-2:群青No.2000(第一化成工業社製、平均粒子径0.8μm、群青)
B-3:イリオジン100(メルク社製、平均粒子径10-60μm、パール顔料)
B-4:タイペークCR-80(石原産業社製、平均粒子径0.2μm、酸化チタン)
<相溶化剤(C)>
C-1:ハイワックスNP50605A(三井化学社製、酸価:11mgKOH/g、融点:132℃、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス)
C-2:ユーメックス1001(三洋化成工業社製、酸価26mgKOH/g、融点142℃、無水マレイン酸変性ポリプロピレン)
C-3:タフテックM1943(旭化成社製、酸化:10mgKOH/g、無水マレイン酸変性スチレン-ジエン共重合体、スチレン化合物ユニット含有量20%)
<その他相溶化剤>
CC-1:ハイワックスNP0555A(三井化学社製、酸価:61mgKOH/g、融点:143℃、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス)
<実施例1>
ポリオレフィン樹脂(A-1)99.74部、無機顔料(B-1)0.25部、相溶化剤(C-1)0.01部を混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて200℃で押出し、造粒し、ペレット状の着色樹脂組成物を得た。
続いて、得られた着色樹脂組成物(D-1)100部を用いて射出成形機(東芝機械社製)にて200℃で成形し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
<実施例2~10、比較例1~4>
表1、2に示す材料と配合量(質量部)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でペレット状の着色樹脂組成物(D-2~10、13~16)をそれぞれ得た。続いて、得られた着色樹脂組成物100部を用いて実施例1と同様の方法で多目的試験片をそれぞれ得た。
<実施例11>
ポリオレフィン樹脂(A-3)55部、無機顔料(B-2)40部、相溶化剤(C-3)5部を混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて200℃で押出し、造粒し、ペレット状の着色樹脂組成物(D-11)を得た。
続いて、得られた着色樹脂組成物(D-11)1.25部と、ポリオレフィン樹脂(A-1)100部を混合した後、射出成形機(東芝機械社製)にて200℃で成形し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
<実施例12>
ポリオレフィン樹脂(A-3)30部、無機顔料(B-2)65部、相溶化剤(C-3)5部を混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて200℃で押出し、造粒し、ペレット状の着色樹脂組成物(D-12)を得た。
続いて、得られた着色樹脂組成物(D-12)0.78部と、ポリオレフィン樹脂(A-1)100を混合した後、射出成形機(東芝機械社製)にて200℃で成形し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
[評価項目および評価方法]
得られた多目的試験片を用いて、下記の方法にてシャルピー衝撃強度と分散性の評価を行った。結果を表3、4に示す。
<衝撃強度測定>
得られた多目的試験片を用いてJIS K7171:2016に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。また、得られた各々の測定値から、下記式(1)に従い各々の測定値に対する物性保持率を算出した。物性保持率が高いものほど良好であるが、物性保持率80%以上であれば特に良好として「◎」、保持率が75%以上80%未満であれば良好として「〇」、保持率が70%以上75%未満であれば「△」、保持率が70%未満であれば不良として「×」と判断した。物性保持率の値が高いほど、強度に優れているということがいえる。評価が「△」以上であれば成形体の破壊等が起きることなく着色することができる。

式(1) 物性保持率(%)=[着色樹脂組成物を含む多目的試験片の測定値/ポリオレフィン樹脂(A)単体の多目的試験片の物性測定値]×100
<分散性評価>
シャルピー衝撃強度の測定に使用した多目的試験片を光学顕微鏡「デジタル顕微鏡VHX-100」(キーエンス社製)を用いて倍率1000倍の視野で観察し、視野中に観察される大きさ20μm以上の顔料凝集物の数が10個以下であれば分散性良好として「〇」、11~30個であれば使用可能として「△」、31個以上であれば分散性不良として「×」とした。
Figure 0007443760000001
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表3、4に示すように、ポリオレフィン樹脂(A)、無機顔料(B)、および相溶化剤(C)を含み、前記相溶化剤(C)が、酸性官能基を有するポリマーであり、前記酸性官能基を有するポリマーの酸価が、0.5~40mgKOH/gである着色樹脂組成物により、無機顔料で着色した際のポリオレフィン樹脂の衝撃強度の低下を抑制することができ、さらに顔料凝集も抑制した成形体の形成が可能であることが確認できた。

Claims (6)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)、無機顔料(B)、および相溶化剤(C)を含み、
    前記無機顔料(B)は、群青、およびパール顔料の少なくともいずれかであり、
    前記相溶化剤(C)は、酸性官能基を有するポリマーであり、
    前記酸性官能基を有するポリマーの酸価は、0.5~40mgKOH/gであり、
    前記無機顔料(B)と前記相溶化剤(C)の配合量比[(C)/(B)]は、0.05~1であることを特徴とする飲料キャップ用着色樹脂組成物。
  2. 前記相溶化剤(C)は、酸性官能基およびオレフィン部位を有するポリマーである、請求項1記載の飲料キャップ用着色樹脂組成物。
  3. 前記無機顔料(B)の含有率は、着色樹脂組成物100質量%中0.01~60質量%である、請求項1または2記載の飲料キャップ用着色樹脂組成物。
  4. 前記無機顔料(B)の平均粒子径は、0.3~100μmである、請求項1~3いずれか1項記載の飲料キャップ用着色樹脂組成物。
  5. 請求項1~4いずれか1項記載の飲料キャップ用着色樹脂組成物を用いてなる成形体。
  6. ポリオレフィン樹脂(A)、無機顔料(B)、および相溶化剤(C)を含む着色樹脂組成物の製造方法であって、
    ポリオレフィン樹脂(A)、無機顔料(B)、および相溶化剤(C)を溶融混練する工程を備え、
    前記無機顔料(B)は、群青、およびパール顔料の少なくともいずれかであり、
    前記相溶化剤(C)は、酸性官能基を有するポリマーであり、
    前記酸性官能基を有するポリマーの酸価は、0.5~40mgKOH/gであり、
    前記無機顔料(B)と前記相溶化剤(C)の配合量比[(C)/(B)]は、0.05~1である、
    飲料キャップ用着色樹脂組成物の製造方法。

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