JP5998581B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、成形用の樹脂組成物に関する。
従来から自動車分野、家電、エレクトロニクス分野等では部品等に樹脂成形体が使用されている。この樹脂成形体は成形性、機械的強度、リサイクル性および経済性などの観点からポリオレフィン系樹脂が使用されている。
近年では、これらの樹脂成形体に対して、製品デザイナーや消費者から高い意匠性を付与することが求められている。特に成形体に高級感や高い質感を付与するため青味があって、かつ黒度が高い色調、いわゆる漆黒の成形体が求められていた。そこで成形体の表面を塗料で被覆することで漆黒性を付与していたが、生産コストや環境負荷の面から問題があったため、塗装せずに成形のみで漆黒を実現する樹脂組成物が求められていた。
ここで、着色する樹脂がポリスチレンやポリカーボネートの場合、樹脂が非晶性で透明性が高いため、黒色顔料または染料を配合することで比較的高い黒度を付与することができる。しかし、ポリオレフィン樹脂を着色する場合、樹脂自体の透明性が低く、さらに樹脂への入射光の一部が樹脂中の結晶部分、あるいは互いに屈折率の異なる樹脂界面で反射することで黒度が低下(白ボケ)してしまうため漆黒性が得られなかった。また、ポリオレフィン樹脂に物性強化や隠蔽性を目的としてタルクや等を配合する場合、樹脂界面での反射に加えてタルク表面での反射光も加わるため、黒度は一層低下する傾向にあった。
樹脂を黒色に着色する場合、カーボンブラックやペリレンブラックなどの黒色顔料、アゾ系化合物、アジン系化合物などの黒色染料を用いることが一般的である。しかし、ポリオレフィン樹脂を着色する場合、染料を使用するとブリードが発生し成形体の表面を汚染する問題があるため、カーボンブラックなどの顔料を使用することが多い。
カーボンブラックを使用した成形体の色調は配合したカーボンブラックの一次粒子径により異なる傾向にある。具体的には、一次粒子径が小さなカーボンブラックを使用すると、黒度はあるが赤味の強い色調が得られる。逆に、一次粒子径の大きなカーボンブラックを使用すると、青味はあるが黒度が低下する。このように、カーボンブラックを使用した黒色の着色は黒度と青味はトレードオフの関係にあるため、青味があって、かつ黒度が高い漆黒の色調を再現することは困難であった。
一方、黒色に加えて青味をだすために、さらにフタロシアニンブルーなどの有機顔料を添加する方法もある。しかし、有機顔料の添加に伴い黒度が低下し、成形体を直射日光下で観察すると赤味が浮いて観察される、いわゆるブロンズ現象が発生する問題があった。
そこでカーボンブラックの表面に樹脂よりも屈折率の大きい物質を被覆処理していることを特徴とする黒色組成物が開示されている(特許文献1参照)。
また、一次粒子径の異なる複数のカーボンブラックを特定の割合で配合した着色剤組成物が開示されている(特許文献2参照)。
特開平6−136287号公報 特許第3321850号公報
しかし、特許文献1の樹脂組成物は、被覆処理剤としてジヨードメタンなどの液体を使用するため、被覆処理剤のブリードによる成形体の汚染が懸念される。また、黒度は向上したが青味が不足する問題があった。
また、特許文献2の樹脂組成物は、青味と黒度は従来のカーボンブラックで再現可能な色調であり、漆黒性は得られなかった。
本発明は、傷ついた箇所が目立ち難く、青味があって、かつ黒度が高い漆黒の成形体を得ることができる樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明は、ポリオレフィン樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、170℃における溶融粘度が10〜3000mPa・sであるワックス(C)とを含む構成の樹脂組成物である。
上記構成の本発明によれば、カーボンナノチューブ(B)と特定温度での溶融粘度を有するワックス(C)を配合したことで、ワックス(C)がカーボンナノチューブ(B)を適度に解きほぐし、カーボンナノチューブ(B)をポリオレフィン樹脂(A)中に均一に分散することでできた。これにより高い漆黒性および成形体の傷が目立ちにくいという驚くべき効果が得られた。
本発明により、傷ついた箇所が目立たず、青味があって、かつ黒度が高い漆黒の成形体を得ることができる樹脂組成物を提供できた。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、ワックス(C)とを含む。本発明では、樹脂を黒色に着色するための顔料として、カーボンナノチューブ(B)を使用することが重要である。一般にカーボンナノチューブはアスペクト比が高く、表面に官能基をほとんど持たないため、粒子間に強力なファンデルワールス力が働き、その分散は非常に困難である。
このカーボンナノチューブ凝集体を解きほぐすには、一般に高いエネルギーを加える分散処理工程を必要とするが、この方法では分散処理工程においてカーボンナノチューブが破断する可能性があり、カーボンナノチューブ本来の性能(黒度)が得にくい。
そこで、170℃における溶融粘度が10〜3000mPa・sであるワックス(C)を使用してカーボンナノチューブの分散を行うとカーボンナノチューブの凝集体が解きほぐされ、ポリオレフィン樹脂中にカーボンナノチューブからなる網目状のネットワーク構造が形成される。この樹脂組成物を使用した成形体への入射光は、このネットワーク構造内部に強力に閉じ込められるため、従来のカーボンブラック等の最小構成単位が粒子である顔料を使用した場合に比べて、反射光が減少することで黒度が大きく向上する。
より詳細に説明するとワックス(C)は、170℃における溶融粘度が10〜3000mPa・sという粘性によりカーボンナノチューブ(B)の表面を良好に濡らすことができるため、低いエネルギーでカーボンナノチューブ凝集体を解きほぐすことができる。すなわちカーボンナノチューブ本来の黒度を最大限に活用できる。さらにワックス(C)は、カーボンナノチューブ(B)の表面を被覆し、カーボンナノチューブ(B)は一定の大きさの網目状のネットワーク構造の単位でポリオレフィン樹脂(A)中に分散すると考えられるため、カーボンナノチューブ(B)の見かけの粒子径が大きくなる。これにより高い黒度を示しながらも青味を示す漆黒の色調が得られると推測している。
さらに成形体に外部からの衝撃力や擦れが加えられてその表面が傷付いた場合でも、単にポリオレフィン樹脂(A)とカーボンナノチューブ(B)を配合した成形体と比較して、傷ついた箇所が白く目立ちにくいという驚くべき効果が得られた。これは、ポリオレフィン樹脂とカーボンナノチューブの界面を起点とする気泡の発生を抑制できるため、その気泡に由来した乱反射光が減少し、傷が目立ち難くなると推測している。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
ポリオレフィン樹脂(A)は、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の単独重量体、共重合体を主成分とするものが好ましい。具体的には、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン-メチルアクリレート共重合体、プロピレン-メチルメタクリレート共重合体、プロピレン-エチルアクリレート共重合体、ポリブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテン共重合体およびエチレン系アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。これらの中でもポリオレフィン樹脂としては、安価かつ加工性に優れ、耐熱性、機械物性、耐薬品性、軽量性などの特徴により各種工業部品・家電製品などに幅広く使用されているポリプロピレン樹脂、およびポリエチレン樹脂が好ましい。
本発明でポリプロピレン系樹脂は、例えばホモポリプロピレン、ブロックプロピレン共重合体、ランダムプロピレン共重合体、エチレンプロピレン共重合ゴム、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリプロピレンの他に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、グリシジル(メタ)アクリレート変性ポリプロピレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性ポリプロピレン等の変性ポリプロピレン樹脂が挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂には、スーパーオレフィンポリマー(SOP)と称されるオレフィン系エラストマーも含まれる。好ましいポリプロピレン系樹脂としては、結晶化度が低く結晶部における光散乱(白ボケ)の影響が小さいランダムプロピレン共重合体や、耐衝撃性に優れ各種工業用部品に使用されているブロックプロピレン共重合体が挙げられる。
本発明でポリエチレン系樹脂は、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリエチレン、環状ポリエチレンの他に無水マレイン酸変性ポリエチレン、グリシジル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン等の変性ポリエチレン樹脂が挙げられる。好ましいポリエチレン系樹脂としては、結晶化度が低く結晶部における光散乱(白ボケ)の影響が小さい低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンが挙げられる。
<カーボンナノチューブ(B)>
カーボンナノチューブ(B)は、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブでも、これらが混在するものであっても良いが、コスト面や着色効果の面から多層カーボンナノチューブであることが好ましい。また、カーボンナノチューブの側壁がグラファイト構造ではなく、アモルファス構造をもったカーボンナノチューブを用いることもできる。
カーボンナノチューブ(B)の形状は、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状の形態などいずれの形態を有するものであってもよい。具体的には、例えばグラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。これらの形態として1種または2種以上を組み合わせた形態において使用することができる。本発明は魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状以外の形態であることが好ましい。魚骨状、トランプ状の場合は、樹脂組成物・成形体の製造時に発生するせん断応力によりカップ・トランプ状グラファイトシートの積層面(x−y面)よりカーボンナノチューブ(B)の切断が起こり、樹脂中に十分なネットワーク構造を形成できず、光閉じ込め効果が減少して黒度の低下に繋がる恐れがある。コイル状の場合も同様に、製造時にその3次元構造が破壊されやすく、着色効果が低下する可能性がある。
本発明のカーボンナノチューブ(B)は、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。特に、ゼオライトを触媒の担体としてアセチレンを原料に熱CVD法で作る方法は、特に精製することなく、多少の熱分解による不定形炭素被覆はあるものの、純度が高く、良くグラファイト化された多層カーボンナノチューブが得られる点で、本発明に使用するカーボンナノチューブとして好ましい。
カーボンナノチューブ(B)の繊維径は、1〜500nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。繊維径が1nm未満の場合、カーボンナノチューブ(B)の分散が困難になる傾向がある。また、500nmを超えると、カーボンナノチューブ(B)の光吸収効果が減少し、黒度が低下する可能性がある。なお、本発明における繊維径とは、以下の方法より求めた。カーボンナノチューブ(B)約0.5mgをエタノール約2mlに入れて、バス型超音波バスを用いて約15分間分散処理を行った。分散した試料をグリッド上に滴下して乾燥し、日本電子社製の透過型電子顕微鏡JEM−2100に設置し、加速電圧120kV、倍率5〜50万倍で観察を行い、カーボンナノチューブ(B)20本について繊維外径を測定し、それらの平均値を繊維径とした。
カーボンナノチューブ(B)の繊維長は、0.1〜150μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。繊維径が0.1μm未満の場合、樹脂中に十分なカーボンナノチューブのネットワーク構造を形成できず、光閉じ込め効果が減少して黒度の低下に繋がる恐れがある。繊維径が150μmを上回る場合、カーボンナノチューブ(B)の分散が困難になる傾向がある。なお、本発明における繊維長は、前記繊維径と同様の手法で求めることができる。
カーボンナノチューブ(B)の炭素純度は、カーボンナノチューブ(B)100重量%中、85重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。炭素純度が85重量%未満の場合、カーボンナノチューブ(B)自身の黒度が低下する傾向がある。なお、本発明における炭素純度は、以下の方法より求めた。カーボンナノチューブ(B)約10mgを採り、島津製作所社製の示差熱熱重量同時測定装置DTG−60において、乾燥空気フロー(100ml/min.)雰囲気下で、室温〜900℃まで昇温(10℃/min.)した。昇温開始時前のカーボンナノチューブ(B)を100重量%とした時の900℃における加熱重量%を読み取り、その値を100重量%より引いた値を炭素純度とした。
本発明でカーボンナノチューブ(B)は、一般的に二次粒子として存在している。この二次粒子形状は、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよく、ほぐれ易くカーボンナノチューブを直線状にしたものの集合体であっても良い。直線状のカーボンナノチューブの集合体である二次粒子は絡み合っているものと比べると分散性が良いので好ましい。
カーボンナノチューブ(B)は、表面処理を行ったものや、カルボキシル基などの官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物や金属原子、フラーレン等を内包させたカーボンナノナノチューブ等も用いることができる。
カーボンナノチューブ(B)の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜70重量部が好ましく、0.1〜50重量部がより好ましい。ここで、最終的に成形体が含むカーボンナノチューブ(B)の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して0.1〜2.5重量部が好ましく、0.3〜2重量部がより好ましく、0.5〜1.5重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満の場合は十分な着色効果が得難く、成形体が傷つきやすくなる恐れがある。また、2.5重量部を超えても着色性の更なる効果が得にくい。
一方、樹脂組成物を、カーボンナノチューブ(B)を高濃度に配合したマスターバッチとして製造する場合、カーボンナノチューブ(B)の使用量は、3〜70重量部が好ましく、3〜50重量部が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、カーボンナノチューブ(B)とカーボンブラックとを併用することができる。この併用によりコストダウンができる。
カーボンブラックの具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック並びにナフサなどの炭化水素を水素及び酸素の存在下で部分酸化して、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを製造する際に副生するカーボンブラック、あるいはこれを酸化または還元処理したカーボンブラックなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独でも2種類以上併用しても良い。また、黒度を向上する視点から、カーボンブラックは平均粒子径が20nm以下で、かつ、DBP吸油量が80ml/100g以下のものが好ましく使用される。本発明においてカーボンブラックの平均粒子径は、カーボンナノチューブ(B)の繊維径と同様の方法で求められる。また、本発明においてDBP吸油量とは、カーボンブラック粒子間の化学的ないし物理的結合による複雑な凝集形態(ストラクチャー)の尺度で、カーボンブラック100g当りに包含することのできるジブチルフタレート(DBP)の量(ml)を表す。
カーボンブラックの使用量は、カーボンナノチューブ(B)100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、1〜25重量部がさらに好ましい。1重量部未満の場合は十分なコストダウン効果が見込めない。一方、100重量部を超えるとコストダウンは図られるが、成形体の黒度と青味が低下する可能性がある。
<ワックス(C)>
ワックス(C)は、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、サゾールワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、シュラックワックス等から選ばれる1種類または2種類以上であることが好ましい。これらの中でもポリエチレン系ワックスまたはポリプロピレン系ワックスをがより好ましい。
ポリエチレン系ワックスは、例えばエチレン、エチレンとプロピレンとの共重合体(ランダムまたはブロック共重合体で、ワックス中のエチレン成分が50重量%以上のもの)の他、エチレンとα−オレフィン(エチレンもしくはプロピレンを除く)との共重合体、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリエチレンワックス等が挙げられる。または、これら共重合体を熱分解したワックスであってもよい。上記α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。れらポリエチレン系ワックスの分子鎖内には、不飽和結合を1箇所または2箇所以上含んでいても構わない。
ポリプロピレン系ワックスは、例えばプロピレン、プロピレンとエチレンとの共重合体(ランダムまたはブロック共重合体で、ワックス中のエチレン成分が50重量%未満のもの)の他、プロピレンとα−オレフィン(エチレンもしくはプロピレンを除く)との共重合体、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリプロピレンワックス等が挙げられる。または、これら共重合体を熱分解したワックスであってもよい。上記α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。中でも1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。更には、ポリプロピレン骨格を有し分子鎖の一部をカルボキシル基やヒドロキシル基などの極性基で酸化した酸化ポリプロピレンワックス、分子鎖の一部をマレイン酸基や芳香族基などで変性した変性ポリプロピレンワックスも本発明におけるポリプロピレン系ワックスに含めるものとする。これらポリプロピレン系ワックスの分子鎖内には、不飽和結合を1箇所または2箇所以上含んでいても構わない。
メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスは、従来のチーグラー系触媒を用いて得られたそれらに比べ、高度に単分散性で分子量分布が狭いことを特徴とする。さらに、密度、融点ともにチーグラー系触媒で重合された同じモノマーからなる汎用ワックスに比べて有意に低いものが設計でき、幅広い加工条件、機械の選定が可能となっている。更に、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスは希釈樹脂との相溶性が高いという特性を有し、好ましく用いられる。
本発明においてワックス(C)の170℃における溶融粘度は、10〜3000mPa・sが好ましく、50〜2000mPa・sがより好ましく、100〜1000mPa・sがさら好ましい。溶融粘度が10mPa・s未満の場合は、カーボンナノチューブ(B)との濡れは良好だが、ポリオレフィン樹脂(A)中への分散性が低下し、十分な着色効果が得にくく、さらに傷が付きやすくなる。一方、溶融粘度が3000mPa・sを超えると、カーボンナノチューブ(B)との濡れが不足し、カーボンナノチューブ(B)が十分に解きほぐされない状態でポリオレフィン樹脂(A)中に分配するため、十分な着色効果が得にくい。なお、本発明において溶融粘度とは、東亜工業社製コーンプレートレオメーター CV−1Sを用いてワックス(C)を170℃において測定した値を示す。また、前記装置で溶融粘度が100mPa・s以下を示した場合、東京計器社製B型粘度計BLを用いて170℃において測定した値を指す。
本発明において、ポリオレフィン樹脂(A)がポリエチレン系樹脂である場合は、樹脂中へのカーボンナノチューブ(B)の分散性の観点からポリエチレン系ワックスを使用することが好ましい。一方、ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂である場合は、同様の理由からポリプロピレン系ワックスを使用することが好ましいが、カーボンナノチューブ(B)に一定の凝集を引き起こして青味を向上させる視点においては、ポリエチレン系ワックスを使用することも好ましい。
ワックス(C)の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、1〜150重量部が好ましく、1〜130重量部がより好ましい。ここで、最終的に成形体が含むワックス(C)の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して1〜10重量部が好ましく、1〜7重量部がより好ましく、1〜4重量部がさらに好ましい。使用量が1重量部未満の場合、カーボンナノチューブ(B)との濡れが不足し、更にポリオレフィン樹脂(A)中への分散性も低下するため、十分な着色効果が得難い。また、10重量部を超えると、生産性の低下や、成形体が傷つきやすくなる場合がある。
一方、樹脂組成物を、カーボンナノチューブ(B)を高濃度に配合したマスターバッチとして製造する場合、ワックス(C)はカーボンナノチューブ(B)の使用量に合わせて、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して3〜150重量部が好ましく、3〜130重量部が好ましい。
ワックス(C)の酸価(JIS K 5902に準拠)は、50mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g/g以下がより好ましく、10mgKOH/g/g以下がさらに好ましい。酸価が50mgKOH/g/gを超えると、カーボンナノチューブ(B)の分散性が低下する恐れがある。
ワックス(C)の数平均分子量は、800〜10000が好ましく、800〜5000がより好ましく、800〜3000がさらに好ましい。数平均分子量が800未満の場合は、カーボンナノチューブ(B)との濡れは良好だが、ポリオレフィン樹脂(A)中への分散性が低下し、十分な着色効果が得にくく、さらに傷が付きやすくなる。一方、数平均分子量が10000を超えるとカーボンナノチューブ(B)との濡れが不足し、カーボンナノチューブ(B)が十分に解きほぐされない状態でポリオレフィン樹脂(A)中に分散するため、成形体が傷つきやすくなる場合がある。なお、本発明において数平均分子量とはゲル浸透クロマトグラム装置を用いて市販の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算方法にて求めた値とする。
・装置:ゲル浸透クロマトグラム Alliance GPC2000型(Waters社製)
・溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
・カラム:TSKgelカラム×4(東ソー社製)
・流速:1.0ml/min.
・試料:0.15mg/ml 1,2,4−ジクロロベンゼン溶液
・温度:160℃
・分子量換算:PE換算/汎用較正法 なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレンの係数:K=12.1×10-5 a=0.707
ポリエチレンの係数:K=40.6×10-5 a=0.725
ワックス(C)の融点は、ポリオレフィン樹脂(A)の融点に比べて5℃〜30℃低いことが好ましく、10℃〜30℃低いことがより好ましい。上記範囲の融点を示すワックス(C)を使用することで、カーボンナノチューブ(B)の分散性がより向上する。なお、本発明で融点は以下の方法より求めた。ワックス(C)5mgを採り、セイコーインスツル社製の示差走査熱量計 DSC220に載置し、窒素フロー(50ml/min.)雰囲気下で室温〜200℃まで昇温し、200℃から0℃まで冷却して前歴を取った後、再度10℃/minの割合で昇温させ、その時のDSC吸収熱量曲線における吸熱ピークの中で、最大高さのピーク温度を融点とした。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物には、例えば成形体の剛性、耐熱性、寸法安定性や成形異方性の更なる向上を図るため、公知の無機フィラーが配合できる。
無機フィラーは、例えばタルク、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ゼオライト、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、塩基性硫酸マグネシウム、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、金属粉、チタン酸カリウム、MOS、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維およびホウ酸亜鉛等を挙げることができる。これらは、単独でも2種類以上併用しても良い。本発明では、耐熱性や化学的安定性に優れ、硬度が低く加工が容易なタルクが好ましい。
無機フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、繊維状、棒状、針状、板状、球状、バルーン形状、紡錘形状、テトラポット形状および不定形などのフィラーを用いることができる。本発明では、例えば剛性を向上する視点から繊維状、棒状、針状および板状であることが好ましく、板状がより好ましい。
本発明では無機フィラーに無機表面処理または有機表面処理を行うこともできる。
無機表面処理としては、酸化ケイ素などの金属酸化物で被覆する方法や、例えばAl、Mn、Cu、Zn、Zr、Ag、Ce、Eu、Tb、Er等の金属をドープさせる方法などが好ましい。無機酸化物による表面処理は数種類のもので1層または何層か被覆しても構わないが、酸化亜鉛や酸化チタンのような金属酸化物では酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどで1または2層被覆される場合が多い。なお、本発明で表面処理とは、特定の化合物で表面を被覆することをいう。
有機表面処理剤としては、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサンおよびオルガノシラザンなどが好ましい。
なお、無機表面処理および有機表面処理は単独で施されても、両方とも施されていても構わない。
本発明で無機フィラーの平均粒径は、例えば、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。ここで平均粒径とは、JIS Z8820に準拠した液相沈降法で測定された粒度分布測定曲線の累積値が50%となる粒子径のことを意味する。平均粒径が0.01μm以上であれば、混練時に2次凝集を起こして機械物性が低下する恐れが減少する。また10μm以下であれば、機械物性、特に耐衝撃性が低下する恐れが減少する。
無機フィラーの使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、1〜320重量部が好ましく、1〜210重量部がより好ましい。ここで、最終的に成形体が含む無機フィラーの使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して1〜70重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、1〜30重量部がさらに好ましい。使用量が1重量部未満の場合、十分な改良効果が得られない恐れがある。一方、70重量部を超えると、黒度が低下する恐れがある。
一方、樹脂組成物を、無機フィラーを高濃度に配合したマスターバッチとして製造する場合、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して1〜320重量部が好ましく、1〜210重量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、ポリオレフィン樹脂の結晶化過程において結晶化度または結晶化速度を増加する造核剤や、結晶組織を微細化する効果をもつ透明化剤を配合できる。
結晶化度、結晶化速度の増加により成形体の力学特性の向上や、成形時の生産性改善が達成されるため好ましい。また、結晶組織を均一化・微細化することで、結晶部における可視光の散乱(白ボケ)が抑制されるため、成形体の黒度が向上して好ましい。
前記造核剤・透明化剤としては、多価の有機酸やその金属塩、アリールホスフェート化合物、環状多価金属アリールホスフェート化合物およびジベンジリデンソルビトール化合物が好ましい。これらの造核剤・透明化剤は、単独でも2種類以上併用しても良いが、本発明では、透明性の向上効果に優れたジベンジリデンソルビトール化合物が好ましい。
また、造核剤・透明化剤の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部がより好ましい。ここで、最終的に成形体が含む造核剤・透明化剤の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましい。使用量が0.01重量部未満の場合、十分な効果が得難い。一方、3重量部を超えても更なる効果は望めないことに加え、造核剤・透明化剤特有の臭気が発生する恐れがある。
一方、樹脂組成物を、造核剤・透明化剤を高濃度に配合したマスターバッチとして製造する場合、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましい。
多価の有機酸および/またはその金属塩としては、例えばマロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメ チルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、フェニルホスホン酸、ピロメリット酸などのカルボン酸(但し、脂肪族モノカルボン酸を除く)またはこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カ ルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、亜鉛もしくはアルミニウムの塩が挙げられる。
アリールホスフェート化合物は、次の化合物の金属塩が挙げられる。例えばビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4−クミルフェニル)ホスフェート、2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホス フェート、2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)ホスフェート、2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2'−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2'−チリデン−ビス(4−s−ブチル −6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2'−ブチリデン−ビス (4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)ホスフェート等のアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)の塩、モノ−およびビス−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート等のアルミニウム、カルシウムおよび亜鉛の塩が挙げられる。
環状多価金属アリールホスフェート化合物は、例えばビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェー ト]、ビス[2,2'−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[(4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート]、ビス[2,2'−エチリデン−ビ ス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、トリス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、トリス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ジヒドロオキシ−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェ ニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ジヒドロオキシ−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]のアルカ リ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム)、アルミニウム、チタン、マグネシウム、亜鉛、オキシジルコニウムの塩等が挙げられる。
ジベンジリデンソルビトール化合物は、例えば1,3−2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−i− プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(2',4'−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(3',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−2,4−ビス(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビ トール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、および1,3−2,4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)とカーボンナノチューブ(B)とワックス(C)に加え、必要に応じて各種フィラーや添加剤、着色剤等を加え、ヘンシェルミキサー、タンブラーまたはディスパー等で混合し、さらにニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライターまたはバンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合、あるいは溶融混練分散し、ペレット状、粉体状、顆粒状またはビーズ状等の形状の樹脂組成物を得ることができる。
樹脂組成物を製造するときにポリオレフィン樹脂(A)とカーボンナノチューブ(B)とワックス(C)とを混合、溶融混練する順序は特に限定されるものではなく、例えば、カーボンナノチューブ(B)とワックス(C)とを混合、溶融混練後に(A)と再度混合、溶融混練してもよいし、ポリオレフィン樹脂(A)とカーボンナノチューブ(B)とワックス(C)とを一度に混合、溶融混練しても良い。
また、本発明の樹脂組成物は、成形体と同濃度の原料成分を含有するコンパウンドの形態であっても良いし、マスターバッチを経た形態であっても良い。本発明においてコンパウンドとは、既に成形体において要求される濃度でカーボンナノチューブ(B)あるいはワックス(C)等の原料成分を含有する樹脂組成物のことをいう。かかるコンパウンドは、希釈せずにそのまま成形体の成形に供される。
一方、本発明においてマスターバッチとは、例えば、ベース樹脂とカーボンナノチューブ(B)とワックス(C)からなり、前記(B)と(C)とを高濃度に含有させた樹脂組成物のことである。すなわち、本発明の樹脂組成物が成形されてなる成形体を製造する際に、成形体を製造するための成形用材料を調整するために提供されるべき樹脂組成物のことをいう。この成形用材料は、マスターバッチと希釈樹脂であるポリオレフィン樹脂(A)とを、得られる成形体中のカーボンナノチューブ(B)およびワックス(C)の含有率が所定の値となるように混合、混練(希釈)して得ることができる。
この場合、マスターバッチには、ポリオレフィン樹脂(A)の他に本発明の目的を逸脱しない範囲内であれば、他の熱可塑性樹脂を併用できる。例えば、併用できる樹脂は、その樹脂のメルトフローレート(MFR、JIS K 7210に準拠)は、ポリオレフィン樹脂(A)のMFRに比べて10g/10min以上高いことが好ましい。これによりマスターバッチはポリオレフィン樹脂(A)中に良好に分配するため、色ムラのない外観良好な成形体を製造することができる。ここで、分配とは、マスターバッチが希釈樹脂で希釈される際に、マスターバッチが速やかにほぐれ、希釈樹脂の全体に速やかに拡がり、ムラ無く全体が均一に着色できることをいう。
かかるマスターバッチの使用量は、希釈樹脂100重量部に対して、1重量部〜30重量部が好ましく、2重量部〜25重量部がより好ましく、2重量部〜20重量部がさらにこの好ましい。使用量が1重量部未満の場合、必要な性能が得にくい。また30重量部を超えると成形体の価格が高くなりすぎる。
また、マスターバッチの製造方法は特に限定されるものではなく、本発明の樹脂組成物の製造方法と同様の方法で製造することができる。このとき、ベース樹脂と、カーボンナノチューブ(B)と、ワックス(C)とを混合、溶融混練する順序は特に限定されるものではないが、カーボンナノチューブ(B)の分散性を高める視点から、予め(B)を(C)に分散させた予備分散体を作製して使用することが好ましい。予備分散体の作製するための装置としては、上記に挙げた装置を使用することができるが、好ましくはロールミルを使用する。ロールミルにはロールが二本のものと三本のものが主であるが、特に分散性を上げるにはせん断力の大きい三本ロールミルが好ましい。
<成形体>
本発明の成形体は、前記樹脂組成物を使用して得た成形体である。成形方法としては特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形でき、例えば射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法などが適用できる。また、樹脂組成物を粉砕して得られる粉体塗料でも良い。
本発明の成形体は、傷ついた箇所が目立たず、青味があって、かつ黒度が高い漆黒調の外観が特徴である。そのため、人間の目に触れる用途に広く使用できる。その中でも例えばドアパネル、インストルメントパネル、フェンダー、バックドアなどの自動車内外装部品やパーソナルコンピュータなどの電気製品の外装部品として好ましく使用できる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に実施例で使用した原料を示す。前記各成分の配合比を表1〜表3に示す。なお、実施の形態としてマスターバッチを経た場合は、希釈後における配合比を示した。また、本明細書で実施例5〜11、13、19〜25、32〜39、41、47〜53、および55は、参考例である。
[ポリオレフィン樹脂]
(A−1):ブロックプロピレン共重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ966HP)
(A−2):高密度ポリエチレン樹脂(旭化成ケミカルズ社製、サンテックHD L50P)
[カーボンナノチューブ]
(B−1):同心円筒状のグラファイトシートが積層した多層カーボンナノチューブ(CNano社製、Flotube9000、平均繊維径=11nm 平均繊維長=10μm)
(B−2):閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状グラファイト網面が、中心軸を共有して2〜30個層状に積み重なって中心軸を共有し、前記集合体がHead−to−Tail様式で1個ないし数十個連結した多層カーボンナノチューブ(宇部興産社製、AMC、平均繊維径=11nm 平均繊維長=11μm)
[ワックス]
(C−1):パラフィンワックス(中京油脂社製、セロゾールR−582、溶融粘度=5mPa・s)
(C−2):ポリエチレンワックス(ベーカーヒューズ社製、ポリワックス725、溶融粘度=5mPa・s)
(C−3):ポリエチレンワックス(三井化学社製、ハイワックス100P、溶融粘度=13mPa・s)
(C−4):ポリエチレンワックス(三洋化成工業社製、サンワックス151P、溶融粘度=130mPa・s)
(C−5):ポリエチレンワックス(三井化学業社製、ハイワックス720P、溶融粘度=2800mPa・s)
(C−6):ポリエチレンワックス(三井化学社製、ハイワックス800P、溶融粘度=3200mPa・s)
(C−7):酸化型ポリエチレンワックス(三井化学社製、ハイワックス220MP、溶融粘度=60mPa・s、酸価=1KOHmg/g)
(C−8):酸化型ポリエチレンワックス(アライドケミカル社製、A−C330A、溶融粘度=1800mPa・s、酸価=30KOHmg/g)
(C−9):酸化型ポリエチレンワックス(アライドケミカル社製、A−C316A、溶融粘度=4100mPa・s、酸価=16KOHmg/g)
(C−10):変性ポリエチレンワックス(アライドケミカル社製、A−C573A、溶融粘度=240mPa・s、酸価=5KOHmg/g)
(C−11):ポリプロピレンワックス(クラリアント社製、Licocene PP 6102、溶融粘度=60mPa・s)
(C−12):ポリプロピレンワックス(クラリアント社製、Licocene PP 1502TP、溶融粘度=1800mPa・s)
(C−13):ポリプロピレンワックス(クラリアント社製、Licocene PP 1602TP、溶融粘度=7000mPa・s)
(C−14):無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(クラリアント社、Licocene PP MA 6452TP、溶融粘度= 1100mPa・s、酸価=41KOHmg/g)
(C−15):無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス(三洋化成工業社製、ユーメックス1010、溶融粘度=5500mPa・s、酸価=52KOHmg/g)
なお溶融粘度は170℃における粘度である。
[その他]
(D−1):タルク(日本タルク社製、ミクロエースSG−95、粒子径2.5μm)
(D−2):カーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラック#950、粒子径=16nm、吸油量=79ml/100g)
(実施例1)
(1)樹脂組成物の製造
(A−1)100重量部と、(B−1)1重量部と、(C−4)1重量部をヘンシェルミキサーに投入し、攪拌羽回転速度300rpmで4分間攪拌・混合した。これを、設定温度220℃の二軸押出機(日本製鋼社製、TEX30α)に投入して溶融混練・造粒することにより樹脂組成物を得た。
(2)成形体の製造
得られた樹脂組成物を、シリンダー設定温度220℃、金型温度40℃の射出成形機(名機製作所社製、M−50A2−DM)に投入して成形し、表面が
鏡面の板材(縦110mm×横90mm×厚さ2mm)を得た。
(3)評価
得られた成形体を以下の方法により評価を行った。評価結果を表6に示す。
(3−1)色評価
板材の表面をコンピュータカラーマッチングシステム(CCM)(倉敷紡績社製、AUCOLOR VP−2)にてL*値、a*値、b*値を標準光源D−65、拡散照明10°にて測定し、以下の基準で評価した。
[L*値] 極めて良好「A」:22.5未満
良好「B」:22.5以上23未満
やや不良「C」:23以上23.5未満
不良「D」:23.5以上
[a*値] 極めて良好「A」:−0.2未満
良好「B」:−0.2以上−0.15未満
やや不良「C」:−0.15以上−0.1未満
不良「D」:−0.1以上
[b*値] 極めて良好「A」:−0.3未満
良好「B」:−0.3以上−0.25未満
やや不良「C」:−0.25以上−0.2未満
不良「D」:−0.2以上
更に、上記評価を以下の基準で等級付けし、色評価の結果とした。
極めて良好「A」 全てA
良好「B」 Bを1個以上含み、CおよびDがない。
やや不良「C」 Cを1個以上含み、Dがない。
不良「D」 上記以外
(3−2)耐傷付き性評価
板材の表面を上島製作所社製のクロスカット塗膜剥離試験機AD−1110を用いて、175gの荷重を載せた引掻針(JIS G 4404に規定されるSKS 2種のタングステン鋼針)にて、引掻速度500mm/min、0.75mmピッチで、流れ方向(MD)に17本掻き傷を付けた。
流れ直角方向(TD)についても同様に試験を行った後、CCMにて、MD・TDの各方向に付けた掻き傷について、明度差(ΔL)を標準光源D−65、拡散照明10°にて測色した。ΔLが小さいほど、耐傷付き性が優れていることを示す。なお、測色した各ΔLの相加平均を以下の基準で評価した。
極めて良好「A」 ΔL=0.3未満
良好「B」 ΔL=0.3以上0.6未満
やや不良「C」 ΔL=0.6以上1未満
不良「D」 ΔL=1以上
(3−3)外観評価
板材表面において、10cm角(100cm2)当たりのブツ個数を目視により数えて以下の基準で評価した。なお、「ブツ」とは形状が円、楕円、四角等の各種形状で、プレート中に発生した長径方向に0.3mm以上の成分(B)の凝集塊のことをいう。
極めて良好「A」 10個以下
良好「B」 11個〜25個
やや不良「C」 26個〜50個
不良「D」 51個以上
(3−4)総合評価
色評価、耐傷付き性評価、外観評価の結果から下記の基準に従って総合評価を行った。極めて良好「4」または良好「3」を合格とし、やや不良「2」または不良「1」を不合格とした。
極めて良好「4」 全てA
良好「3」 Bを1個以上含み、CおよびDがない。
やや不良「2」 Cを1個以上含み、Dがない。
不良「1」 上記以外
(実施例2〜28、比較例1〜21)
原料を表1に示す種類および配合量で使用した以外は、実施例1と同様に行い樹脂組成物を得た。評価結果を表4に示す。
(実施例29〜56、比較例22〜34)
原料を表2に示す種類および配合量で使用した以外は、実施例1と同様に行い樹脂組成物を得、さらに成形体を得た。なお、本実施例では原料に無機フィラーを含むため、無機フィラーを含まない実施例1〜28の場合と比べて漆黒性および耐傷付き性が低下する。そのため、以下に示す新たな基準で評価を行った。評価結果を表5および6に示す。
(3)評価
(3−1)色評価
実施例1と同様の方法でL*値、a*値、b*値を測定し、以下の基準で評価した。
[L*値] 極めて良好「a」:24未満
良好「b」:24以上24.5未満
やや不良「c」:24.5以上25未満
不良「d」:25以上
[a*値] 極めて良好「a」:−0.15未満
良好「b」:−0.15以上−0.1未満
やや不良「c」:−0.1以上−0.05未満
不良「d」:−0.05以上
[b*値] 極めて良好「a」:−0.2未満
良好「b」:−0.2以上−0.15未満
やや不良「c」:−0.15以上−0.1未満
不良「d」:−0.1以上
更に、上記評価を以下の基準で等級付けし、色評価の結果とした。
極めて良好「a」 全てa
良好「b」 bを1個以上含み、cおよびdがない。
やや不良「c」 cを1個以上含み、dがない。
不良「d」 上記以外
(3−2)耐傷付き性評価
実施例1と同様の方法で板材に掻き傷を付け、CCMにて、MD・TD各方向の明度差(ΔL)を測色した。測色した各ΔLの相加平均を以下の基準で評価した。
極めて良好「a」 ΔL=5未満
良好「b」 ΔL=5以上5.5未満
やや不良「c」 ΔL=5.5以上6未満
不良「d」 ΔL=6以上
(3−3)外観評価
実施例1と同様の方法で、板材表面におけるブツ個数を目視により数えて以下の基準で評価した。
極めて良好「a」 10個以下
良好「b」 11個〜25個
やや不良「c」 26個〜50個
不良「d」 51個以上
(3−4)総合評価
色評価、耐傷付き性評価、外観評価の結果から下記の基準に従って総合評価を行った。極めて良好「4†」または良好「3†」を合格とし、やや不良「2†」または不良「1†」を不合格とした。
極めて良好「4†」 全てa
良好「3†」 bを1個以上含み、cおよびdがない。
やや不良「2†」 cを1個以上含み、dがない。
不良「1†」 上記以外
(実施例57)
(A−1)100重量部、(B−1)25.16重量部、および(C−4)126.42重量部をヘンシェルミキサーに投入し、攪拌羽回転速度300rpmで4分間攪拌・混合した。これを、設定温度220℃の二軸押出機(日本製鋼社製、TEX30α)に投入して溶融混練・造粒することによりマスターバッチを得た。
次に、(A−1)100重量部、(D−1)20.87重量部、および前記マスターバッチ10.37重量部を再度、設定温度220℃の二軸押出機(日本製鋼社製、TEX30α)に投入して溶融混練・造粒することにより樹脂組成物を得た。
成形体の製造および評価は実施例29〜56と同様に行った。評価結果を表5に示す。
(実施例58)
原料を表3に示す種類および配合量で使用した以外は、実施例57と同様に行い樹脂組成物を得た。評価結果を表5に示す。
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樹脂組成物に無機フィラーを含まない場合、表4の結果から明らかなように、実施例1〜28の成形体は、いずれも高い黒度と青味を兼ね備えた漆黒性が得られた上に、耐傷付き性が良好である。一方、表6に示す比較例1〜21の成形品は、いずれも低い黒度と青味、耐傷付き性を示す点で見劣りしている。例えば、ワックス(C)が未配合である比較例1の成形体や、170℃における溶融粘度が10〜3000mPa・s以外のワックス(C)を使用した比較例3〜8の成形体は、色調、耐傷付き性共に実施例と著しい差異が生じた。これは、ワックス(C)の配合有無、溶融粘度により、色調、耐傷付き性が影響を受けているためである。また、実施例2で使用したカーボンナノチューブ(B)の代わりに、カーボンブラック(D)を使用した比較例21では、色調、耐傷付き性のいずれも劣っている。
一方、樹脂組成物に無機フィラーを含む場合においても、表5の結果から明らかなように、実施例29〜58の成形体は、いずれも高い黒度と青味を兼ね備えた漆黒が得られた上に、耐傷付き性が良好である。特に、カーボンナノチューブ(B)をマスターバッチした実施例57および実施例58では、色調の一層の向上が認められる。一方、表6に示す比較例22〜34の成形品は、上記の無機フィラーを含まない場合と同様に、いずれも低い黒度と青味、耐傷付き性を示す点で見劣りしている。例えば、ワックス(C)が未配合である比較例22の成形体や、170℃における溶融粘度が10〜3000mPa・s以外のワックス(C)を使用した比較例24および比較例25の成形体は、色調、耐傷付き性共に実施例と著しい差異が生じた。これは、ワックス(C)の配合有無、溶融粘度により、色相、耐傷付き性が影響を受けているためである。また、実施例30で使用したカーボンナノチューブ(B)の代わりに、カーボンブラック(D)を使用した比較例34では、色調、耐傷付き性のいずれも劣っている。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、170℃における溶融粘度が10〜1000mPa・sであるポリエチレン系ワックス(ただし、酸化ポリエチレワックスおよび変性ポリエチレンワックスを除く)とを含
    前記ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、前記カーボンナノチューブ(B)を0.1〜1重量部、および前記ポリエチレン系ワックスを1〜10重量部含む、樹脂組成物。
  2. さらに、無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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