JP5119088B2 - オーバーレイ用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、各種機器に貼付されるラベルに用いるリサイクル可能なオーバーレイ用フィルムに関し、該ラベルに広角視認性や高品質感を与えられる。
筐体材料としてプラスチックを用いているOA機器、パソコン、電子機器、家電機器などには、シール、デカルなどの呼び名で呼ばれているラベルが貼付されることがある。
このラベルには、機器の取扱い方法、注意事項、危険情報など重要な情報が表示されている場合が多く、印刷文字の読み取り易さを長期に亘り維持する必要がある。そこで、印刷されたラベルの表面を保護するために、透明なオーバーレイ用フィルムを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
また、上記機器の筐体材料のプラスチックとしては、(メタ)アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂、ポリスチレン(GPPS)および耐衝撃ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート・ABSアロイ(PC/ABS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリ乳酸樹脂およびこのアロイなどが利用されている。近年、環境への意識の高まりから、これらの筐体に貼付するラベルとして、筐体と同素材あるいは同素材を主成分とするフィルムやシートで構成して、筐体から剥がさずにリサイクル可能としたラベルが用いられるようになっている(特許文献2〜4参照)。
ところで、これらのラベルにおいては、室内光や野外光による反射などの影響を受けずに広い視野角において印刷文字の読み取りが可能であることが望まれている。さらに、高級機器に貼付されるラベルにおいては、高品質感を与える外観であることが求められている。そこで、通常、ラベルの表面をマット加工して粗面化して光沢感を抑えるなどのことがされているが、必ずしも充分な効果は得られていない。
特許第3642371号公報 特表2003−521719号公報 特開平8−67857号公報 特開平8−340182号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、各種機器に貼付されるラベルの保護と光の反射による広角視認性の低下の抑制をし、更にラベル外観に高品質感を与え、且つリサイクル可能なオーバーレイ用フィルムを提供することを目的とする。
本発明のオーバーレイ用フィルムは、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂100質量部に対して、ゴム変性ポリスチレン10〜60質量部と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体5〜30質量部とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明のオーバーレイ用フィルムは、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂100質量部に対して、ゴム変性ポリスチレン10〜60質量部と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体5〜30質量部とを含有する樹脂組成物をインフレーション成形させて得られたことを特徴とする。
これらのオーバーレイ用フィルムは、その少なくとも片面に接着剤層を設けていることが好ましい。
これらのオーバーレイ用フィルムは、JIS K7361−1に従って測定した全光線透過率が90%以上であり、且つヘイズ値が70〜90%である、厚さが5〜100μmのものであることが好ましい。
本発明のオーバーレイ用フィルムによれば、ラベルを保護すると共に、光の反射を抑制して、広角視認性や高品質感をラベルに付与することができる。また、該オーバーレイ用フィルムは、ABS樹脂を含有する筐体よりなる機器において、貼付したままリサイクルすることが可能である
また、本発明のオーバーレイ用フィルムの製造方法によれば、本発明のオーバーレイ用フィルムを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のオーバーレイ用フィルム(以下「フィルム」という。)は、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という。)と、ゴム変性ポリスチレンと、ビニル芳香族化合物を60質量%以上含有する重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を60質量%以上含有する重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とする。
なお、本発明におけるオーバーレイとはラベル等を保護するためにその表面を被覆することをいう。
[ABS樹脂]
ABS樹脂とは、所謂アクリルニトリル、ブタジエン、スチレンからなるもので、スチレンとアクリルニトリルの共重合体にブタジエンを含有するゴム成分を均一に分散させたポリマーアロイであれば特に限定されることはなく、その製造方法も、乳化重合法、連続塊重合法のいずれでもよい。
ABS樹脂は、本発明のフィルムに、耐衝撃性、強度、リサイクル性等の性質を付与することができる。
[ゴム変性ポリスチレン]
ゴム変性ポリスチレンは、フィルムにくもりを付与することを目的として配合されるものであり、これによって、本発明のフィルムは高品質感や広角視認性等を有するものとなる。このようにくもりを付与することで、くもりと光透過性のバランスが調節された好ましい透明性を有するフィルムとする。また、ゴム変性ポリスチレンは、フィルム表面に表面粗さを付与することや、本発明のフィルムの製膜性を向上させることも可能とする。
ゴム変性ポリスチレンとは、共役ジエン系ゴムの存在下でスチレン系単量体を重合させることにより得られたものをいう。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルp−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらの中で、スチレンを用いることが好ましい。
共役ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などを使用することができ、これらの中で、ポリブタジエンまたはスチレン−ブタジエン共重合体を用いることが好ましい。
ポリブタジエンとしては、シス構造の含有率が高い、高シスポリブタジエン、又はシス構造の含有率が低い、低シスポリブタジエンのいずれも使用することができる。また、スチレン−ブタジエン共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれの共重合体も使用することができる。
ゴム変性ポリスチレン中の共役ジエン系ゴムの含有量は、1〜15質量%であることが好ましく、3〜12質量%であることがより好ましい。共役ジエン系ゴムの含有量が1質量%未満の場合、くもりが得難く、フィルムの透明性が好ましいもとのなり難い。更に、後述のインフレーション法にてフィルムを製造する際に製膜性低下を生じ易い傾向にある。一方、共役ジエン系ゴムの含有量が15質量%を超えた場合、フィルムのくもりが高くなる、フィルムの表面が粗くなる等その表面外観が悪化し易い。特に、共役ジエン系ゴム由来のゲル状物が、表面外観に不具合を発生させることがある。
ゴム変性ポリスチレンの好ましい平均粒子径は0.15〜2.5μmの範囲であり、0.30〜2.0μmであることがより好ましい。平均粒子径が0.15μm未満の場合、フィルムにくもりを与え難く、フィルムの光透過性が向上し過ぎるために、ラベルに高品質感等の好ましい外観を付与し難い傾向にある。また、フィルムの製膜性が充分に得られない傾向にある。一方、平均粒子径が2.5μmを超えた場合、フィルム表面が粗くなり易く、外観が悪化し易い傾向にある。
ゴム変性ポリスチレンの配合量は、ABS樹脂100質量部に対して10〜60質量部であり、好ましくは15〜55質量部、より好ましくは20〜45質量部である。
ゴム変性ポリスチレンの配合量が上記範囲内である場合、くもりと光透過性のバランスが調節された好ましい透明性を有するフィルムを得ることができ、更に、該フィルムの表面が、高品質感を付与する、室内光反射によるラベルの視認性低下を抑える等の効果を発揮できる程度の粗さを有している
一方、ゴム変性ポリスチレンの配合量が10質量部未満の場合、フィルムの製膜性が低下し、特にインフレーション成形において、所謂バブルが不安定な状態になり易く、安定したフィルム成形をし難い。また、配合量が60質量部を超えた場合、フィルムのくもりが高くなり、光透過性を得難くなる傾向にあるため、くもりと光透過性のバランスが調節された好ましい透明性を得難い。更に、共役ジエン系ゴム由来のゲル状物がフィルム中に突起物として存在する可能性が高まり、接着剤を塗工する際に塗工ムラが発生する可能性がある。
[水添ブロック共重合体]
水添ブロック共重合体は、ABS樹脂とゴム変性ポリスチレンの相溶化剤として作用し、フィルムのくもりを低下させることができ、くもりと光透過性のバランスが調節された好ましい透明性を本発明のフィルムに与えられる。
水添ブロック共重合体とは、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体を水素添加して得られるものである。
ここで、ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等の中から1種または2種以上が選択され、これらの中でも、スチレンを用いることが好ましい。
また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペレリン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン等の中から1種または2種以上が選択され、これらの中でも、ブタジエンおよび/またはイソプレンを用いることが好ましい。
重合体ブロック(A)におけるビニル芳香族化合物を主体とするとは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を60質量%以上含有することであり、好ましくは80質量%以上含有しており、より好ましくは100質量%含有している。
なお、重合体ブロック(A)が共役ジエン化合物を含有する場合は、共役ジエン化合物の含有量が40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
また、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物が共重合した場合、このブロックにおける共役ジエン化合物の分布はランダム、テーパー、一部ブロックまたはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
重合体ブロック(B)における共役ジエン化合物を主体とするとは、少なくとも1個の共役ジエン化合物を60質量%以上含有することであり、好ましくは80質量%以上含有しており、より好ましくは100質量%含有している。
なお、重合体ブロック(B)がビニル芳香族化合物を含有する場合は、ビニル芳香族化合物の含有量が40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
また、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とが共重合した場合、このブロックにおけるビニル芳香族化合物の分布は、ランダム、テーパー、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せいずれであってもよい。
これら重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状またはこれらの組合せなどいずれでもよいが、直鎖状であることが好ましい。その中でも重合体ブロック(A)を2個以上含有する構造が好ましい。重合体ブロック(A)を2個以上含有する構造としては、例えば重合体ブロック(A)(以下、構造を述べる際に「A」とする)と重合体ブロック(B)(以下、構造を述べる際に「B」とする)とが、A−B−Aと並んでいる構造、A−B−A−Bと並んでいる構造、B−A−B−A−Bと並んでいる構造が挙げられ、中でも、A−B−Aと並んでいる構造が特に好ましい。
以上のようなブロック共重合体における、共役ジエンブロック中のビニル結合量は、20〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは40〜75質量%である。
なお、共役ジエンブロック中のビニル結合量とは、ブロック共重合体中に1,2−結合、3,4−結合および1,4−結合の結合形態で存在する共役ジエン化合物のうち、1,2−結合および3,4−結合の結合形態で存在する共役ジエン化合物のブロック共重合体における割合である。
ビニル結合量が20質量%未満の場合、ABS樹脂及びゴム変性ポリスチレンとの相溶性が低下し、フィルム製膜性が低下し易い傾向にある。一方、ビニル結合量が90質量%を超える場合、ABS樹脂及びゴム変性ポリスチレンとの親和性が過剰になり、水添ブロック共重合体がこれらの樹脂に取り込まれてしまい、フィルムのくもりが不十分な状態となり、くもりと光透過性のバランスが調節された好ましい透明性を本発明のフィルムに与え難い。
本発明に使用される水添ブロック共重合体は上記ブロック共重合体を水素添加することにより、該ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の好ましくは35%〜100%を飽和したもの、さらに好ましくは40%〜70%を飽和したものである。
水素添加率が35%未満では、フィルム製膜時の加工温度による耐熱性が低く、発生した分解物がフィルムに混入する不具合を生じ易い。
一方、水素添加率が40%〜70%であるとき、くもりと光透過性のバランスを調節した好ましい透明性を本発明のフィルムに与え易い。更に、フィルム製膜性も良好な傾向にある。
また、水添ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物含有量は、30〜80質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、45〜75質量%であることが更に好ましい。
水添ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物含有量が30質量%未満の場合、水添ブロック共重合体と、ABS樹脂及びゴム変性ポリスチレンとの親和性が不足するため、相溶性を得難く、フィルムの製膜性も十分でない傾向にある。一方、ビニル芳香族化合物含有量が80質量%を越えた場合、フィルムの光透過性が高く、光沢感のあるフィルムになり易い。また、ブロック共重合体と、ABS樹脂及びゴム変性ポリスチレンとの親和性が過剰になる傾向にあり、水添ブロック共重合体がこれらの樹脂に取り込まれていまい、相溶性を発揮できず、フィルムの製膜性が低下する傾向にある。
水添ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(以下「SEBS」という。)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(以下、「SEPS」という。)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)(以下、「SBBS」という。)などを挙げることができる。これらの中では、フィルムの製膜性並びに、所望の透明性及び外観を付与できるという点で、SBBSが好ましい。
本発明における該水添ブロック共重合体の配合量は、ABS樹脂100質量部に対し、5〜30質量部であり、好ましくは8〜27質量部、より好ましくは10〜25質量部である。
この配合量が5質量部未満の場合、ABS樹脂とゴム変性ポリスチレンとの相溶性が得難く、フィルムの製膜性、特にインフレーション法でのバブル安定性を得難い傾向にある。更に、フィルムのくもりを低下させ難い傾向にあり、くもりと光透過性のバランスを調節した好ましい透明性を本発明のフィルムに与え難い。一方、30質量部を超えると、ABS樹脂とゴム変性ポリスチレンとの相溶性が高くなりすぎるため、くもりが不十分な状態となり、オーバーレイ用フィルムに適さない。
尚、このような水添ブロック共重合体として、具体的に旭化成ケミカルズ(株)製、P−2000等が挙げられる。
なお、本発明のフィルムを構成する樹脂組成物には、上記3成分の他、必要に応じて、溶剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加しても良い。
以上の各樹脂を混合した樹脂混合物より得られる、本発明のフィルムの厚さは、好ましくは5μm〜100μmであり、より好ましくは10μm〜80μm、更に好ましくは15μm〜50μmである。
厚さが5μm未満の場合、フィルムにくもりを付与し難く、ラベルに広角視認性や高品質感等の好ましい外観を付与し難い。更に、フィルムにシワが入り易くなるため、ラベル等に用いた際に外観不良の発生頻度が高まるという不具合がある。
一方、100μmを越えるとフィルムの光透過性が低下し、ラベル等に貼付した際に、その視認性が低くなる傾向にある。
本発明のフィルムは上記したABS樹脂、ゴム変性ポリスチレン、水添ブロック共重合体からなる樹脂組成物を押出成形法によりフィルムとすることにより得られる。押出成形法としてはTダイ法およびインフレーション法が挙げられるが、インフレーション法が好ましい。Tダイ法で成形した場合、樹脂流れ方向への配向が生じフィルムが裂けやすくなってしまう不具合が発生する。一方、インフレーション成形により製膜する場合、ブロー比を、好ましくは1.1〜5.0、より好ましくは2.0〜3.5とすることで樹脂流れ方向への配向を防止することができ、フィルムの裂けが発生しにくくなる。
本発明のフィルムはその少なくとも片面に接着剤層を設けることが好ましい。
本発明のフィルムに接着剤層を設けた後、図1に示すように、表示事項が印刷などにより設けられたラベル13の表面に、該接着剤層12を用いて本発明のオーバーレイ用フィルム11をラミネートし、ラベル13の表面を被覆することができる。
接着剤層に用いる接着剤としては、アクリル系、合成ゴム系、天然ゴム系などの接着剤を適宜選択して使用することができる。接着剤層の形成方法としては、離型紙上に接着剤をグラビア、コンマコーター、ダイコーターなどで塗工、乾燥後に該フィルムと貼り合せて、接着剤を該フィルム面に転写する方法が、フィルムへの直接塗工によるフィルムの膨潤やシワ発生の抑止の面で好ましい。また、接着剤層の厚さは5μm〜30μmであることが好ましい。
本発明のフィルムは、くもりと光透過性のバランスを調節した透明性を有するものであり、そのくもりによって、光の反射によるラベルの表面印刷等の視認性の低下を抑制し広角視認性を付与し、且つラベル外観に高品質感を与えることができる。また、同時に光透過性をも有するため、ラベルの表面印刷等がフィルムのくもりによって視認できない等のことがない。
このような本発明のフィルムは、以下の透明性(全光線透過率とヘイズ値)、表面粗さ、及び光沢度によって示される特性を有していることが好ましい。
[透明性]
JIS K7361−1に従いフィルム1枚での全光線透過率(光透過性)が90%以上で、且つヘイズ値(くもり)が70%〜90%であることが好ましい。全光線透過率が90%未満の場合、透明性が不十分で、ラベルの表示内容が見難くなる。また、ヘイズ値が70%未満の場合、ラベルの印刷が鮮明に見えるということはあるものの、やや曇った状態で読み取れるというラベルとしての高品質感が不足してしまう。一方、ヘイズ値が90%を超える場合、ラベルの印刷が不鮮明で読み取りにくくなるという不具合が生じる。
なお、ゴム変性ポリスチレンの添加によって、全光線透過率は低くなり、ヘイズ値が高くなる傾向にあり、水添ブロック共重合体の添加によりヘイズ値が低下する傾向が見られる。
尚、本発明のフィルムは上記したように片面に接着層を設けることができる。接着層を設けることによりフィルム表面の粗さに起因するヘイズ値が低減される効果が生じる。
この関係を把握する方法として、フィルム表面に流動パラフィンを塗布して透明性を測定することが有用であることが判った。
フィルム片面に流動パラフィンを塗布したときは、全光線透過率が90%以上で、且つヘイズ値が50%〜85%であることが好ましい。更に好ましくは、ヘイズ値が65%〜80%である。
全光線透過率が90%未満の場合、透明性が不十分で、ラベルの表示内容が見難くなる。ヘイズ値が50%未満ではフィルムの透明性が良好すぎて、やや曇った状態で読み取れるというラベルとしての高品質感が不足してしまう。一方、ヘイズ値が85%を超える場合、ラベルの印刷が不鮮明で読み取りにくくなるという不具合が生じる。
[表面粗さ]
フィルムの表面粗さはJIS B0601 2001によるRa(算術平均粗さ)が0.30〜0.80、Ry(最大高さ)が2.5〜4.0であることが好ましい。この表面粗さは、ABS樹脂、ゴム変性ポリスチレンおよび水添ブロック共重合体を所定範囲で混合する際、特にゴム変性ポリスチレンの効果により得ることができる。
尚、フィルムの表面を更に粗くするため、フィルム製膜時にフィルム表面にマット加工を施しても良い。
本発明では、ABS樹脂、ゴム変性ポリスチレンおよび水添ブロック共重合体を所定範囲で混合する樹脂組成物を用いることにより、該樹脂組成物より得られる、フィルムの表面粗さを変化させ、フィルムの内部ヘイズ値を調整している。従って、高い全光線透過率を有していながら、ラベルの視認性を失わない程度のヘイズ値を有したフィルムを得ることが可能となり、このフィルムをラベルの表面にラミネートすると、高品質感を有するラベルが得られる。
[光沢度]
JIS K7105に基づく光沢度測定において、入射角/受光角が25°/25°、45°/45°、60°/60°、70°/70°の各条件での光沢度が、それぞれ
1.3〜1.7、8.0〜9.5、9.0〜10.0,20.0〜25.0であることが好ましい。各条件での下限値未満では光沢度不足で、ラベルに高品質感等の外観を付与し難い傾向にある。一方上限値を超えると光の反射が生じてラベルに表示された文字が読み取り難くなり、広角視認性を付与できなくなってしまう。
さらに、光沢度の測定においても上記した透明性測定と同様にフィルム片面に流動パラフィンを塗布しての測定が有効である。この場合の光沢度の範囲は上記した各条件とも上記数値範囲内であることが好ましい。
本発明の、ABS樹脂、ゴム変性ポリスチレン及び水添ブロック共重合体の配合によれば、光沢度を上記範囲に維持することができ、ラベルに高品質感等の外観を維持しながら、広角視認性を付与することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例及び比較例で得られたフィルムの透明性、表面粗さ、光沢度は以下の方法で測定した。
[透明性]
JIS K7361−1に従い、ヘイズガードプラス(Gardner社)を用いて、各フィルムの全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を測定した。
[表面粗さ]
JIS B0601 2001に従い、ミツトヨ製 サーフテスト SJ−400を用いて、各フィルムのRa(算術平均粗さ)、及びRy(最大高さ)を測定した。
[光沢度]
JIS K7105に基づく光沢度測定を、デジタル変角光沢計(スガ試験機)を用いて行い、各フィルムについて、入射角/受光角が25°/25°、45°/45°、60°/60°、70°/70°の各条件での光沢度を測定した。
[実施例1〜3、比較例1〜4]
下記に示すABS樹脂、ゴム変性ポリスチレン及び水添ブロック共重合体を表1の配合に従い混合し、樹脂組成物を得た後、該樹脂組成物をインフレーション装置で、ブロー比2.5、厚さ30μmのフィルムを製膜し、得られたフィルムの透明性、表面粗さ、及び光沢度を測定した。
また、得られたフィルム表面に流動パラフィンを全面塗布して、透明性を測定した。
ABS樹脂:ET−70(日本エイアンドエル製)
ゴム変性ポリスチレン(HIPS):H8672(PSジャパン製)
水添ブロック共重合体:P−2000(旭化成ケミカルズ製)
また、流動パラフィンを塗布する前の、上記各フィルムの片面にアクリル系接着剤(日栄化工製:L−100)を厚さ25μmで塗工して接着剤層とした。
該接着剤層を、下記の所望の印刷を施したラベル(ABSシート)に貼り合せて、オーバーレイ用フィルム付きのラベルを作製した。
ラベル:ABSシート PSZ−975 厚さ80μm (信越ポリマー製)
得られたオーバーレイ用フィルム付きのラベルの室内光の環境下での外観を以下の基準で目視にて評価した。
[視認性]
○:広い範囲の角度でみて反射しない。
△:広い範囲の角度でみて部分的に反射する。
×:広い範囲の角度でみて全ての角度で反射する。
[ラベルの品位]
○:マット感があり、深みのあるもの。
△:マット感があり、深みがややあるもの。
×:マット感がなく、深みのないもの。
Figure 0005119088
実施例1〜3については、ABS樹脂、ゴム変性ポリスチレン、及び水添ブロック共重合体の配合量が所定範囲内であるので、表面粗さが適度で、全光線透過率が90%以上でありながら、ヘイズ値が高品質感と、視認性を両立できる値であるフィルムを得ることができた。また、フィルムに広角視認性を付与することができた。
一方、比較例1で得られたフィルムは、水添ブロック共重合体(P−2000)の含有量が低かったため、製膜が不安定であった。また、得られたフィルムのヘイズ値が高く、光沢が不足していた。更に、全光線透過率が得られなかった。
比較例2で得られたフィルムは、水添ブロック共重合体(P−2000)の含有量が多かったため、ABS樹脂とゴム変性ポリスチレンの相溶性が高くなりすぎ、内部ヘイズ値(流動パラフィン塗布時のヘイズ値)が低下したフィルムとなった。
比較例3で得られたフィルムは、ゴム変性ポリスチレンの含有量が少ないため、製膜が不安定であった。また、フィルムにくもりを与え難いため、ヘイズ値が低下し、高品質感や広角視認性を付与することができなかった。
比較例4で得られたフィルムは、ゴム変性ポリスチレンの含有量が多いため、フィルムがくもり、全光線透過率もヘイズ値も得ることができず、高品質感が得られなかった。
本発明オーバーレイ用フィルムをラベルに使用すると、ラベルを被覆、保護するとともに、高品質感のある印刷外観を付与し、且つ表面反射による読み取りにくさを解消し、広角視認性を付与することができる。更に、特にABS樹脂を主成分とする筐体に貼付された際、ABS樹脂を含有するラベルのオーバーレイ用フィルムとして筐体から剥離せずに用いることができ、リサイクルが可能であるという点でも有用である。
ラベルに接着剤層を有する本発明のオーバーレイ用フィルムをラミネートした積層体の断面図。
符号の説明
11:オーバーレイ用フィルム
12:接着剤層
13:ラベル

Claims (4)

  1. アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂100質量部に対して、
    ゴム変性ポリスチレン10〜60質量部と、
    ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体5〜30質量部とを含有する樹脂組成物からなることを特徴とするオーバーレイ用フィルム。
  2. アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂100質量部に対して、
    ゴム変性ポリスチレン10〜60質量部と、
    ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体5〜30質量部とを含有する樹脂組成物をインフレーション成形させて得られたこと特徴とするオーバーレイ用フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載のオーバーレイ用フィルムの少なくとも片面に接着剤層を設けたオーバーレイ用フィルム。
  4. 請求項1又は2に記載のオーバーレイ用フィルムであって、JIS K7361−1に従って測定した全光線透過率が90%以上であり、且つヘイズ値が70〜90%である、厚さ5〜100μmのオーバーレイ用フィルム。
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