JP3610669B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性および機械的性質が良好な熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳細にはスチレン系重合体、オレフィン系エラストマーおよび特定の水添ブロック共重合体を主成分とする、種々の用途に好適な特性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系重合体は、安価で大量に生産・消費されている樹脂である。このスチレン系重合体は、高剛性であるが、耐衝撃性や機械的強度が劣るため、使用の際に種々の制約を受けている。これらの問題を解決する方法として、スチレン系重合体にオレフィン系重合体を組み合わせる方法が考えられる。しかしながら、両者は非相溶性であり、単純に混合しただけのものでは、得られる成形品が層状剥離を起こすなど実用に耐えない。
そのため、スチレン系重合体とオレフィン系重合体との相溶性の向上を目的として、水添スチレン−ブタジエン共重合体を添加する技術が、特開昭56−38338号公報、特開昭56−50943号公報などで提案されている。しかしながら、これらの技術で用いられている水添スチレン−ブタジエン共重合体は、スチレン系重合体に対してはポリスチレンブロックセグメントを有するため良好な相溶性を示すが、オレフィン系重合体に対しては相溶性が充分でない。そのため、スチレン系重合体とオレフィン系重合体との相溶性が充分に向上されず、結果として得られる組成物の性能も不充分なものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、オレフィン系重合体およびオレフィン系エラストマーに、特定の構造を有する水添ブロック共重合体を配合することにより、耐衝撃性、機械的性質に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(イ)スチレン系重合体30〜95重量%、および(ロ)エチレンを主体とするオレフィン系エラストマー70〜5重量%の合計量100重量部に対し、(ハ)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック ( a ) 、およびポリブタジエンを主体とする重合体ブロックであって、ブタジエン部分の1,2−結合含量が20重量%未満である重合体ブロック(c)、あるいは、上記重合体ブロック(a)、上記ブロック( a )およびブロック(c)以外の重合体ブロック(b)、ならびに上記重合体ブロック(c)からなる、ブロック共重合体中のオレフィン性不飽和二重結合の80%以上を水素添加してなる重量平均分子量が1万〜70万である水添ブロック共重合体0.1〜50重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する(イ)スチレン系重合体は、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどを主たる単量体成分とする樹脂状(共)重合体である。このスチレン系重合体の具体例としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などのゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−(ポリブタジエンゴム)−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−(エチレン−プロピレンゴム)−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−p−メチルスチレン共重合体などの、一般にスチレン系重合体と称される重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の(共)重合体である。好ましいスチレン系重合体は、少なくとも50重量%のスチレン含量を持つものであり、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレンなどが特に好ましい。
【0006】
なお、これらスチレン系重合体のスチレン部分の立体規則性には、アイソタクチック構造、アタクチック構造、シンジオタクチック構造が存在するが、本発明の組成物を構成するスチレン系重合体としては、いずれの構造を有するものでも好適に用いられ、さらにこれらの構造が混在するスチレン系重合体も本発明の(イ)成分として用いることができる。
また、本発明の(イ)成分には、スチレン系重合体と良好な相溶性を示す他の重合体が含まれていてもよい。この(イ)成分に含まれていてもよい他の重合体としては、ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
【0007】
次に、本発明に使用される(ロ)エチレンを主体とするオレフィン系エラストマーは、15モル%を超えるエチレンを有する重合体であり、直鎖状あるいは分岐状のオレフィン系エラストマーである。この直鎖状あるいは分岐状のオレフィン系エラストマーの代表的な例としては、エチレン−α−オレフィン系エラストマーなどが挙げられる。ここで、エチレン−α−オレフィン系エラストマーにおけるα−オレフィンとしては、炭素数3〜12のものが一般的であり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、2 −ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、5−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、およびこれらの混合物が挙げられる。これらのα−オレフィンの中では、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。
【0008】
また、(ロ)オレフィン系エラストマーには、必要に応じて非共役ジエンが共重合されていてもよい。この非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5 −メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2 −ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエンなどが挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。これらの非共役ジエンは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0009】
なお、エチレンとα−オレフィンの組成比は、通常、モル比でエチレン/α−オレフィン=95/5〜50/50である。
また、必要に応じて使用される非共役ジエンは、本発明の(イ)オレフィン系エラストマー中に、30モル%以下である。
【0010】
上記(ロ)オレフィン系エラストマーは、各々単独でも(ロ)成分として好適に用いられるが、2種またはそれ以上のエラストマーのブレンド物であってもよい。このブレンド物としては、例えば2種のエラストマーのブレンド物である場合、直鎖状エラストマーどうしのブレンド物、分岐状エラストマーどうしのブレンド物、さらには直鎖状エラストマーと分岐状エラストマーのブレンド物のいずれの組み合わせも、(ロ)成分として好適である。
なお、高密度ポリエチレンや高圧法低密度ポリエチレンなどの、室温で樹脂状のオレフィン系重合体を(ロ)成分として用いた場合、得られる組成物の耐衝撃性や機械的性質が不充分となり好ましくない。
【0011】
次に、(ハ)水添ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック〔ブロック(a)〕、およびポリブタジエンを主体とし、1,2−結合を有するポリブタジエン含量(以下「1,2−結合含量」ともいう)が20重量%未満のポリブタジエンブロックを主体とする重合体ブロック〔ブロック(c)〕からなるブロック共重合体を水素添加することにより得られる。
以下、ブロック(a)を水素添加したブロックをブロック(A)、ブロック(c)を水素添加したブロックをブロック(C)という。
本発明の組成物において、(ハ)水添ブロック共重合体は、(イ)スチレン系重合体と(ロ)オレフィン系エラストマーとを相溶化させる働きを有する。この働きを発現させるため、本発明の(ハ)成分は、(イ)成分と(ロ)成分それぞれの相溶性の良いブロック単位を有する。すなわち、(ハ)成分中のブロック(A)は(イ)成分との相溶性を担い、またブロック(C)は(ロ)成分との相溶性を担う。このように、(ハ)成分を介することで、(イ)成分と(ロ)成分の相溶性が向上し、結果として得られる組成物の物性が向上することになる。
【0012】
本発明の(ハ)成分中のブロック(A)としては、芳香族ビニル化合物の単独重合体ブロックあるいは芳香族ビニル化合物と共役ジエンとの共重合体であって、芳香族ビニル化合物を90重量%以上有する重合体ブロックの共役ジエン部分が水素添加された重合体ブロックが好ましい。ブロック(a)中の芳香族ビニル化合物の含量が90重量%未満では、水素添加後のブロック(A)と(イ)成分との相溶性が低下するため、(イ)成分と(ハ)成分との相溶性が低下し、結果として(イ)成分と(ロ)成分の相溶性が不充分となり、得られる組成物の耐衝撃性や機械的性質が劣るものとなる。
【0013】
本発明の(ハ)成分を構成するブロック(A)の水素添加前のブロック(a)を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、これらの中でスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。また、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、また物性の優れた水添ブロック共重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
【0014】
また、本発明の(ハ)成分を構成するブロック(C)は、1,2−結合の少ないポリブタジエンを主体とする重合体ブロックを水素添加したものであり、通常の低密度ポリエチレン類似の構造を示す結晶性の重合体ブロックである。ブロック(c)中の好ましい1,2−結合含量は、20重量%未満であるが、好ましくは18重量%未満、さらに好ましくは16重量%未満である。ブロック(c)中の1,2−結合含量が20重量%以上では、水素添加後のブロック(C)と(ロ)成分との相溶性が低下するため、(ロ)成分と(ハ)成分との相溶性が低下し、結果として(イ)成分と(ロ)成分との相溶性が不充分となり、得られる組成物の耐衝撃性や機械的性質が劣るものとなる。なお、ブロック(c)には、重合体ブロックの10重量%以下の範囲で、芳香族ビニル化合物などのポリブタジエン以外の化合物が結合していてもよい。ここで、芳香族ビニル化合物としては、上記と同様のものが好適である。ただし、ブロック(c)中のポリブタジエンの含量が90重量%未満では、水素添加後のブロック(C)と(ロ)成分との相溶性が低下するため、(ロ)成分と(ハ)成分との相溶性が低下し、結果として(イ)成分と(ロ)成分との相溶性が不充分となり、得られる組成物の耐衝撃性や機械的性質が劣るものとなる。
【0015】
また、本発明の(ハ)成分は、上記ブロック(A)およびブロック(C)以外の重合体ブロック(B)を含むことも可能である。(ハ)成分中にブロック(B)を持たせる場合、例えばブロックをゴム的性質に優れたセグメントとして設計することで、耐衝撃性の向上を目指すことが可能である。この場合、ブロック(B)の水素添加前の構造としては、共役ジエン単独重合体あるいは芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体が好ましい。従って、例えば共役ジエンがブタジエンの場合、ゴム状のエチレン−1−ブテンランダム共重合ブロック、あるいは芳香族ビニル化合物−エチレン−1−ブテン共重合体と類似の構造を示す重合体ブロックが、ブロック(B)として好ましいものである。ここで、芳香族ビニル化合物および共役ジエンとしては、上記と同様のものが好適に用いられる。
【0016】
なお、本発明で(ハ)成分として用いられる水添ブロック共重合体は、下記一般式で表されるような、重合体分子鎖が延長または分岐されたブロック共重合体であってもよい。
〔(C)−(A)〕n−Z
〔(C)−(B)−(A)〕n−Z、または
〔(C)−(B)−(A)〕Z〔(A)−(B)〕
〔式中、(A)、(B)、(C)は上記に同じ、nは2以上の整数、Zはカップリング剤残基を示す。〕
この際のカップリング剤としては、例えばアジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ジメチルクロロシラン、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネートなどが挙げられる。
【0017】
本発明で使用される(ハ)水添ブロック共重合体は、ブロック(A)、ブロック(C)、および必要に応じて使用されるブロック(B)中のブタジエン(共役ジエン)部分のオレフィン性不飽和二重結合の少なくとも80%、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上が水素添加されて飽和されていることが必要である。80%未満では、耐衝撃性、機械的性質が劣り好ましくない。
なお、本発明で(ハ)成分として用いられる水添ブロック共重合体は、官能基で変性してもよい。この変性方法は、上記ブロック共重合体および/または水添ブロック共重合体を、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基およびエポキシ基の群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物を用いて変性する方法が挙げられる。
【0018】
本発明の(ハ)成分において、ブロック(A)とブロック(C)の重量比率は、好ましくは10〜99/90〜1、さらに好ましくは20〜95/80〜5、特に好ましくは30〜90/70〜10〔ただし、(A)+(C)=100重量%〕である。ブロック(A)の含量が10重量%未満〔ブロック(C)の含量が90重量%を超える〕の場合、(イ)成分と(ハ)成分との相溶性が低下する。一方、ブロック(A)の含量が99重量%を超える〔ブロック(C)の含量が1重量%未満〕場合、(ロ)成分と(ハ)成分との相溶性が低下する。いずれの場合も、結果として(イ)成分と(ロ)成分との相溶性が不充分となるため、得られる組成物の耐衝撃性や機械的性質が劣るものとなる。
また、(ハ)成分中にブロック(B)を含む場合、その含量は、ブロック(A)とブロック(C)の合計量100重量部に対し、好ましくは300重量部以下、さらに好ましくは200重量部以下、特に好ましくは100重量部以下〔ただし、ブロック(A)とブロック(C)の重量比率は、上記に同じ〕である。ブロック(B)の含量がブロック(A)とブロック(C)の合計量100重量部に対して300重量部を超えると、(イ)成分および/または(ロ)成分と(ハ)成分との相溶性が低下し、結果として(イ)成分と(ロ)成分との相溶性が不充分となるため、得られる組成物の物性が劣るものとなる。
【0019】
本発明の(ハ)水添ブロック共重合体の重量平均分子量は、1万〜70万、好ましくは4万〜60万であり、1万未満では、得られる組成物の耐衝撃性が劣り、一方70万を超えると、成形加工性が低下する。
また、2種またはそれ以上の水添ブロック共重合体のブレンド物も、本発明の(ハ)成分として好適に用いられる。
なお、本発明に使用される(ハ)水添ブロック共重合体は、例えば特開平2−133406号公報、特開平5−170844号公報などに開示されている方法によって得ることができる。
【0020】
本発明の組成物において、(イ)成分は30〜95重量%、好ましくは40〜95重量%、さらに好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは60〜90重量%、(ロ)成分は70〜5重量%、好ましくは60〜5重量%、さらに好ましくは50〜10重量%、特に好ましくは40〜10重量%〔ただし、(イ)+(ロ)=100重量%〕である。(イ)成分が30重量%未満〔(ロ)成分が70重量%を超える〕の場合、組成物の剛性が不充分となり好ましくない。一方、(イ)成分が95重量%を超える〔(ロ)成分が5重量%未満〕場合、得られる組成物の耐衝撃性が劣るものとなる。
また、本発明の組成物において、(ハ)成分は、(イ)成分と(ロ)成分の合計量100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。(ハ)成分が0.1重量部未満では、(イ)成分と(ロ)成分との相溶化が不充分となり、耐衝撃性の向上がみられない。一方、(ハ)成分が50重量部を超えると、剛性、機械的性質が劣るものとなる。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、通常の熱可塑性材料に用いられる添加剤を必要に応じて添加することができる。例えば、フタル酸エステルなどの可塑剤または補強剤、パラフィン系オイルなどのゴム用充填剤、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどのフィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、顔料、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、架橋剤、架橋助剤などを、またこれらの混合物を添加することができる。
【0022】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記(イ)〜(ハ)成分以外の熱可塑性材料やゴム状重合体、例えばポリブテン、プロピレン−1−ブテン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリメチルペンテン類、エチレン−ノルボルネン共重合体などのエチレン−環状オレフィン共重合体類、水添テルペン樹脂、石油樹脂、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのポリメタクリル酸アルキルエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アクリルゴム、エチレン系アイオノマーなどを配合することもできる。また、本発明の組成物の特性を損なわない範囲であれば、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂などを配合することもできる。
【0023】
本発明の組成物は、各種押し出し機、連続混練り機、ニーダー、バンバリーミキサーなどにより溶融混練りすることによって、また射出成形機によりドライブレンドすることにより得ることができる。本発明の組成物を製造するには、各成分を一括で混合してもよく、任意の成分をあらかじめ予備混合したのち、残りの成分を添加して混合してもよい。好ましい製造装置は、一軸あるいは二軸押し出し機、連続型混練り機であり、これらにより連続的に効率よく混練りし、ペレット化することができる。
本発明の組成物は、従来公知の方法、例えば押し出し成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、カレンダー成形などにより、実用上有用な成形品に加工することができる。また、必要に応じて、発泡、粉末、延伸、接着、印刷、塗装、メッキなどの加工を施すことができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は特に断らない限り重量基準である。
また、実施例中における各種の測定は、下記の方法に拠った。
▲1▼芳香族ビニル化合物含量
679cm−1のフェニル基の吸収を基に、赤外分析法により測定した。
▲2▼共役ジエンのビニル結合含量
赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。
▲3▼水添率
四塩化エチレンを溶媒に用い、100MHz、 1H−NMRスペクトルから算出した。
▲4▼重量平均分子量
トリクロルベンゼンを溶媒に用い、135℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算で求めた。
【0025】
▲5▼成形外観
下記の基準に従って、成形外観を目視評価した。
○;外観が良好である。
△;外観上、特に問題はない。
×;パール光沢、フローマーク、表面の荒れなど、外観不良現象がみられる。
【0026】
▲6▼耐衝撃性
JIS K7110に準拠して、アイゾット衝撃強度を測定し、耐衝撃性の指標とした。
▲7▼機械的性質
JIS K7113に準拠して、引張破断点伸度を測定し、機械的性質の指標とした。
【0027】
参考例
実施例および比較例に示す配合に用いられる各種の成分は、以下のとおりである。
スチレン系重合体
PS−1;アイソタクチックポリスチレン
PS−2;シンジオタクチックポリスチレン
エチレンを主体とするオレフィン系エラストマー
EP;エチレン−プロピレン共重合体〔日本合成ゴム(株)製、EP07P〕
【0028】
水添ブロック共重合体
Q−1〜Q−6;表1に示すミクロ構造、重量平均分子量、水添率の水添ブロック共重合体
SEBS−1;水添スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体〔シェル化学(株)製、KG1650、ブタジエン部分の1,2−結合含量=35〜40%、重量平均分子量=9.8万〕
SEBS−2;水添スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体〔シェル化学(株)製、KG1657X、ブタジエン部分の1,2−結合含量=35〜40%、重量平均分子量=13.2万〕
なお、これらのSEBS−1およびSEBS−2の構造は、以下の方法により求めた。すなわち、重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒に用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で求めた。また、ブタジエン部分の1,2−結合含量は、SEBS−1およびSEBS−2中のブチレン含量を、13C−NMRにより測定し、その値に基づいて算出した。上記の値の妥当性については、示差走査熱量測定におけるサーモグラムの形状から確認した。
その他のポリマー
LDPE;低密度ポリエチレン〔東ソー(株)製、ペトロセン190〕
【0029】
実施例1〜6、比較例1〜11
スチレン系重合体、オレフィン系エラストマー、および水添ブロック共重合体を、2軸押し出し機を用いて、表2〜4に示す配合処方で混合・ペレット化し、射出成形により、物性評価用の試験片を作製した。物性評価の結果を表2〜4に示す。
実施例1〜6は、いずれも本発明の範囲内の組成物であり、成形外観、耐衝撃性、機械的性質に優れたものである。
【0030】
これに対し、比較例1は、(ロ)〜(ハ)成分を用いなかった例であり、剛性は高いものの、耐衝撃性および機械的性質が極めて劣る。比較例2は、本発明の(ハ)成分を用いなかった例であり、剛性は高いものの、耐衝撃性に劣る。比較例3〜5は、水添ブロック共重合体の構造が本発明の(ハ)成分の範囲外の組成物であり、耐衝撃性、剛性、機械的性質が充分でなく、全体として物性のバランスに欠ける。比較例6は、(ロ)成分を用いなかった例であり、耐衝撃性に劣り、全体として物性のバランスに欠け、成形外観が不充分である。比較例7は、樹脂状のオレフィン系重合体を(ロ)成分に用いた例であり、耐衝撃性に劣る。比較例8〜9は、それぞれ(ロ)成分または(ハ)成分の量が本発明の範囲を超える例であり、いずれも剛性が劣る。比較例10〜11は、水添ブロック共重合体の構造が(ハ)成分の範囲相当の組成物である。比較例10では、耐衝撃性、剛性、機械的性質が充分でなく、全体として物性のバランスに欠ける。一方、比較例11では、特に成形外観と機械的性質が劣り、耐衝撃性や剛性も不充分である。
【0031】
【表1】
【0032】
*1)ST;スチレン
*2)BD;ブタジエン
*3)IP;イソプレン
*4)側鎖に不飽和結合を有する共役ジエンの含量の合計
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【発明の効果】
本発明は、スチレン系重合体、オレフィン系エラストマー、および特定の水添ブロック共重合体を主成分とする組成物であり、従来の組成物に比較して、耐衝撃性や機械的性質に優れた特性を有する。
従って、本発明の組成物は、上記の優れた特性により、産業界から寄せられる様々な要求に幅広く対応することができる。具体的には、射出成形、押し出し成形、ブロー成形などの種々の成形法により、フィルム、シート、チューブ、そのほか各種成形品の形態で、電気・電子機器部品、自動車内外装材、OA機器関連部品、文具製品、事務機器部品、半導体関連部品、医療用材料、そのほか一般工業資材などの幅広い用途に用いることができ、その工業的価値は高い。
Claims (2)
- (イ)スチレン系重合体30〜95重量%、および(ロ)エチレンを主体とするオレフィン系エラストマー70〜5重量%の合計量100重量部に対し、(ハ)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック ( a ) 、およびポリブタジエンを主体とする重合体ブロックであって、ブタジエン部分の1,2−結合含量が20重量%未満である重合体ブロック(c)、あるいは、上記重合体ブロック(a)、上記ブロック( a )およびブロック(c)以外の重合体ブロック(b)、ならびに上記重合体ブロック(c)からなる、ブロック共重合体中のオレフィン性不飽和二重結合の80%以上を水素添加してなる重量平均分子量が1万〜70万である水添ブロック共重合体0.1〜50重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
- (ハ)成分において、重合体ブロック(a)を水素添加して得られるブロック(A)と重合体ブロック(c)を水素添加して得られるブロック(C)の重量比率が10〜99/90〜1〔ただし、(A)+(C)=100重量%〕である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
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