JP5220670B2 - 多層熱収縮性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、多層熱収縮性フィルムに関する。
ビニル芳香族炭化水素の含有量が比較的高い、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体は、透明性、耐衝撃性等に優れているという特性を利用して、射出成形用途、シート、フィルム等の押し出し成形用途等に使用されている。
特に、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体樹脂を用いた熱収縮性フィルムは、塩化ビニル樹脂のような残留モノマーや可塑剤の残留及び焼却時の塩化水素の発生等の問題も無いため、食品包装やキャップシール、ラベル等に広く利用されている。
このような熱収縮性フィルムの特性としては、自然収縮性、低温収縮性、透明性、機械強度、包装機械適性等に優れていることが要求されており、従来からこれらの特性の向上と良好な物性バランスを得るため種々の検討がなされてきた。
特許文献1には、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂に、特定の部分水素添加ブロック共重合体を添加した組成物が開示されている。
特許文献2には、特定構造の水添共重合体、及びそれを用いた熱収縮性フィルムが開示されている。
特許文献3には、特定構造のブロック共重合体水添物とポリオレフィン系重合体とを含む、特定の貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E")とを有するブロック共重合体水添物組成物が開示されている。
特許文献4には、特定構造のブロック共重合体水添物とビニル芳香族炭化水素系重合体との組成物が開示されている。
特許文献5には、ブロック共重合体中のブロック率、重合体ブロックの配置及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダム重合した部分の共役ジエン量比率等に特徴を有するブロック共重合体、及びそれを用いた熱収縮性フィルムが開示されている。
特許文献6には、両末端に大きさの異なるビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを有する特定構造のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体と、ビニル芳香族炭化水素系樹脂とを含有する組成物が開示されている。
特許文献7には、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの分子量が特定範囲にある、特定構造のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体が開示されている。
特許文献8には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる特定構造のブロック共重合体及び該ブロック共重合体組成物が開示されている。
特許文献9には、特定構造を有する3種類のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体組成物が開示されている。
特許文献10には、高い透明性や光沢性、優れた低温収縮性、印刷適正に優れた熱収縮性フィルムとして、オレフィン系樹脂と接着樹脂からなる層を中間層とし、特定のゴム状弾性分散スチレン系樹脂を表面層及び裏面層とした積層体が開示されている。
特許文献11には、印刷適性、寸法安定性に優れ、比重を0.960未満とする熱収縮性フィルムとして、スチレン系樹脂からなる表面層及び裏面層の間に、プロピレン系樹脂と石油系樹脂、及び接着樹脂とからなる中間層を設けて積層体が開示されている。
特開2001−240713号公報 特開2006−117879号公報 特開2007−39662号公報 国際公開第06/109743号パンフレット 特開平7−97419号公報 特開平7−216187号公報 国際公開第03/91303号パンフレット 特開2004−26917号公報 国際公開第06/75665号パンフレット 特開2001−58377号公報 特開2001−301102号公報
しかしながら、上記従来技術において開示されているビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体、あるいはそれらの組成物からなる熱収縮性フィルムは、自然収縮性、低温収縮性及び剛性等の物性バランス、特に印刷後の低温伸びの保持と低収縮応力及び印刷性において、未だ十分であるとは言えず、また、これらの文献にはそれらを改良する方法に関する示唆もなされていない。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、自然収縮性、低温収縮性及び剛性、透明性等の物性バランスに優れ、印刷後の低温伸びの保持と低収縮応力、及び印刷性にも優れた特性を有する熱収縮性フィルムを提供する。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、第1の層として特定構造のブロック共重合体水添物組成物を用い、第2の層として特定のビニル芳香族炭化水素含有量を有する特定の混合重合体樹脂を用いた、熱収縮性多層フィルムを作製することにより、自然収縮性、低温収縮性及び剛性の物性バランスに優れ、印刷後の低温伸びの保持、低収縮応力及び優れた印刷性を実現できる多層熱収縮性フィルムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕第1の層と第2の層とを具備し、当該第1の層と第2の層とが積層された多層熱収縮性フィルムであって、
前記第1の層が、下記のブロック共重合体水添物組成物(α)により形成されており、
前記第2の層が、ビニル芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とを含有するブロック共重合体、若しくは当該ブロック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重合体、又はこれらに異なった種類のブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合体により形成されており、
前記ブロック共重合体水添物組成物(α)は、
ブロック共重合体水添物(I):5〜90質量%
ブロック共重合体又はその水添物(II):5〜90質量%
オレフィン系樹脂(III):5〜90質量%
を含有し、
前記ブロック共重合体水添物(I)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体の水添物であり、ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜85質量%であり、ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が50〜95質量%であって、ブロック共重合体水添物(I)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が−40℃以下に少なくとも1つ存在し、前記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体中の共役ジエン単位の二重結合の水添率が10%以上50%未満であり、
前記ブロック共重合体又はその水添物(II)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物であり、ビニル芳香族炭化水素含有量が85質量%を超えて95質量%未満であり、前記ブロック共重合体又はその水添物(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が20〜95質量%であって、前記ブロック共重合体又はその水添物(II)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜8万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃に少なくとも1つ存在し、
前記ブロック共重合体水添物組成物(α)中の水添された共役ジエン単位の含有量が0.5〜10質量%である多層熱収縮性フィルムを提供する。
〔2〕前記ブロック共重合体水添物(I)におけるビニル芳香族炭化水素の含有量が58〜80質量%、
前記ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が55〜90質量%であって、
前記ブロック共重合体水添物(I)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が、0.5万〜5万である前記〔1〕に記載の多層熱収縮性フィルムを提供する。
〔3〕前記ブロック共重合体又はその水添物(II)は、ビニル芳香族炭化水素含有量が87〜93質量%であり、
前記ブロック共重合体又はその水添物(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が30〜85質量%であって、前記ブロック共重合体又はその水添物(II)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万で、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が70〜105℃に少なくとも1つ存在する前記〔1〕又は〔2〕に記載の多層熱収縮性フィルムを提供する。
〔4〕前記ブロック共重合体水添物組成物(α)中の、水添された共役ジエン単位の含有量が、0.8〜9質量%である前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の多層熱収縮性フィルムを提供する。
〔5〕前記ブロック共重合体水添物組成物(α)に、下記重合体(IV)がさらに含有されている前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の多層熱収縮フィルムを提供する。
ここで、重合体(IV)は、下記(i)〜(iv)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であるものとする。
(i):前記成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物。
(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体。
(iii)ビニル芳香族炭化水素重合体。
(iv)ゴム変性スチレン系重合体。
〔6〕前記成分(I)〜(III)の合計50〜99.9質量%と、前記成分(IV)0.1〜50質量%とを含有するブロック共重合体水添物組成物(α)により形成された前記第1の層を具備する前記〔5〕に記載の多層熱収縮性フィルムを提供する。
〔7〕前記第2の層におけるビニル芳香族炭化水素の含有量が75〜85質量%である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の多層熱収縮性フィルムを提供する。
〔8〕前記第2の層には、振動周波数35Hzで測定した損失弾性率(E")が−25℃以下である成分が、13〜20質量%含有されている前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の多層熱収縮性フィルムを提供する。
〔9〕前記第1の層の、前記第2の層の形成面側とは反対側に第3の層を更に有する前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の多層熱収縮性フィルムを提供する。
本発明によれば、自然収縮性、低温収縮性及び剛性等の物性バランスに優れ、取り分け印刷後の低温伸びの保持と低収縮応力及び印刷性に優れる多層熱収縮性フィルムが得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と言う。)について説明するが、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
〔多層熱収縮性フィルム〕
本実施形態の熱収縮性フィルムは、第1の層と第2の層とを具備する多層熱収縮性フィルムである。
第1の層は、後述するブロック共重合体水添物組成物(α)により形成されている。
第2の層は、ビニル芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とを含有するブロック共重合体、若しくは該ブロック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重合体、又はこれらに異なった種類のブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合体により形成されている。
〔多層熱収縮性フィルムを構成する第1の層〕
第1の層を構成する前記ブロック共重合体水添物組成物(α)は、ブロック共重合体水添物(I):5〜90質量%、ブロック共重合体又はその水添物(II):5〜90質量%、オレフィン系樹脂(III):5〜90質量%を含有している。
前記ブロック共重合体水添物(I)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体の水添物であり、ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜85質量%である。ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が50〜95質量%であって、全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が−40℃以下に少なくとも1つ存在し、前記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体中の共役ジエン単位の二重結合の水添率が10%以上50%未満である。
前記ブロック共重合体又はその水添物(II)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物であり、ビニル芳香族炭化水素含有量が85質量%を超えて95質量%未満である。前記ブロック共重合体又はその水添物(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率は20〜95質量%であって、全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜8万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃に少なくとも1つ存在する。
前記ブロック共重合体水添物組成物(α)中の水添された共役ジエン単位の含有量は0.5〜10質量%である。
前記ブロック共重合体水添物組成物(α)を構成する成分について説明する。
(ブロック共重合体水添加物(I):成分(I))
ブロック共重合体水添物(I)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体の水添物である。
ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜85質量%、好ましくは58〜80質量%、より好ましくは60〜75質量%である。ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜85重量%の範囲であると剛性と伸びのバランスに優れた熱収縮性フィルムが得られる。
ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率は50〜95質量%である。好ましくは55〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%である。ビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が50〜95質量%の範囲であると、剛性と印刷後の低温伸びの保持に優れる熱収縮性フィルムを得ることができる。
ビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率は、前記成分(I)の水添前のブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるランダム共重合体鎖の重量及びビニル芳香族炭化水素の含有量(質量%)により調整できる。ランダム共重合体鎖に占めるビニル芳香族炭化水素量が多いほどブロック率は低下し、少ないほどブロック率を高くすることができる。
ビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率は、前記成分(I)の水添前のブロック共重合体を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(酸化分解法:I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)を適用して求められる。
この方法により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている。)を用いて、次の式から求められる。
ブロック率(質量%)=(ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量/ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量)×100
なお、上記酸化分解法により、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量」が求められ、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量」は、重合時の仕込み比率から、あるいはNMR等の分析により求められる。
前記成分(I)の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量は、0.5万〜6万である。好ましくは0.5万〜5万、より好ましくは0.7万〜4.5万である。
全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万の範囲であると、最終的に得られる多層熱収縮性フィルムが低収縮応力と低温収縮性に優れたものとなる。
全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量は、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量又はブロック共重合体の分子量により調整できる。
ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量を増加するか、あるいはブロック共重合体の分子量を高分子量化することにより、全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量は高分子量となる。
全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量は、前述の酸化分解法で得たブロック率の定量に用いたものと同一のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で特定して算出する。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用の単分散ポリスチレンを用いてGPCによりそのピークカウント数と単分散ポリスチレンの数平均分子量との検量線を作成しておき、これを用いて常法(例えば「ゲルクロマトグラフィー<基礎編>」講談社発行)に従って算出する。
前記成分(I)は、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が、−40℃以下、好ましくは−50℃以下、より好ましくは−60℃以下に少なくとも1つ存在する。
動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が−40℃以下の範囲にあると、印刷後の低温伸びの保持に優れた熱収縮性フィルムが得られる。
動的粘弾性測定の関数tanδは、例えば(株)レオロジ製粘弾性測定解析装置DVE・V4、東洋ボールドウイン社製レオバイブロンDDV・3型等より測定できる。具体的には、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、厚さ0.5〜2mmの試験片を用いて測定することにより得られる。
ピークを示す温度とは、tanδの値の温度に対する変化量の第1次微分値が零となる温度をいう。
このtanδのピーク温度は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比、ブロック共重合体水添物の分子量、ブロック共重合体水添物中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量、ブロック共重合体水添物中のビニル芳香族炭化水素単位数が1〜3の範囲である短連鎖ビニル芳香族炭化水素重合部分の含有量、共役ジエンのミクロ構造等によって調整される。
詳細には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体部の少なくとも1つは、ビニル芳香族炭化水素含有量を50質量%以下にすること、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体部の共役ジエンの連鎖を極力少なくするために極性溶剤の添加量を最適量に調整することが必要である。
前記成分(I)の、共役ジエン単位の二重結合の水添率は、10%以上50%未満である。好ましくは15〜45%であり、より好ましくは20〜40%の範囲である。
共役ジエン単位の二重結合の水添率が10%以上50%未満の範囲にあると、印刷後の低温伸びの保持に優れた多層熱収縮性フィルムが得られる。
前記成分(I)は、水添前のブロック共重合体を水素添加することにより得られる。
水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が挙げられる。
具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用できる。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できる。具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格、又はフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。
還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応は、通常、0〜200℃、好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。
水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPa、さらに好ましくは0.3〜7MPaであるものとする。
また、水添反応時間は、通常3分〜10時間であるものとし、好ましくは10分〜5時間である。
水添反応は、バッチプロセス、連続プロセスのいずれでもよく、これらの組み合わせてもよい。
前記成分(I)の、ビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定できる。
本発明において、水添ブロック共重合体(ブロック共重合体水添加物:成分(I))の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、極性化合物等の使用により任意に変えることができる。
一般に、ビニル結合量(ブロック共重合体水添加物:成分(I)のビニル結合量)は5〜90%、好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜75%の範囲で設定できる。
極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
なお、ビニル結合量とは、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)である。ビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)により把握できる。
(ブロック共重合体又はその水添物(II):成分(II))
ブロック共重合体水添物組成物(α)を構成するブロック共重合体又はその水添物(II)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物である。
ビニル芳香族炭化水素含有量は、85質量%を超えて95質量%未満であり、好ましくは87〜93質量%であり、より好ましくは89〜92質量%である。
ビニル芳香族炭化水素含有量が85質量%を超えて95質量%未満の範囲であると、剛性と自然収縮性のバランスに優れた多層熱収縮性フィルムが得られる。
前記成分(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率は20〜95質量%であるものとし、好ましくは30〜85質量%、より好ましくは35〜80質量%であるものとする。
前記成分(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が、20〜95質量%の範囲であると、剛性と印刷後の低温伸びの保持に優れる熱収縮性フィルムが得られる。ブロック率の調整及び測定方法については、上述した成分(I)場合と同様の手法により行うことができる。
前記成分(II)の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量は0.5万〜8万であるものとし、好ましくは0.5万〜6万、より好ましくは0.7万〜5万である。
前記成分(II)の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜8万の範囲であると、低収縮応力と低温収縮性に優れた多層熱収縮性フィルムが得られる。全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量の調整及び測定方法については、上述した成分(I)の場合と同様の手法により行うことができる。
前記成分(II)は、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃、好ましくは70〜105℃、より好ましくは75〜100℃に少なくとも1つ存在するものとする。
動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃の範囲に少なくとも1つ存在すると、低収縮応力と低温収縮性に優れた多層熱収縮性フィルムが得られる。動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度の調整及び測定方法については、上述した成分(I)の場合と同様の手法により行うことができる。
前記成分(II)における共役ジエン単位の二重結合の水添率については、特に制限はなく、0〜100%、好ましくは0〜95%、より好ましくは0〜90%の範囲である。
前記成分(II)における共役ジエン単位の二重結合の水添率が0〜50%の範囲であると、低温収縮性に優れた多層熱収縮フィルムが得られ、50%を超えて100%以下の範囲であると、印刷後の低温伸びの保持に優れた特性を有する多層熱収縮フィルムが得られる。
前記成分(II)における共役ジエン単位の二重結合の水添方法及び水添率の測定方法は前記した成分(I)の場合と同様の手法により行うことができる。
前記成分(I)及び前記成分(II)は、ビニル芳香族炭化水素単独重合体、及び/又は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体から構成されるセグメントを、少なくとも1つと、共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体から構成されるセグメントを、少なくとも1つ有する。
前記成分(I)及び前記成分(II)の水添前のポリマー構造(前記成分(II)のブロック共重合体も含む。)は、特に制限は無いが、例えば下記一般式(1)〜(3)により表される線状ブロック共重合体又はその水添物やラジアルブロック共重合体又はその水添物、あるいはこれらのポリマー構造の任意の混合物が使用できる。
(A−B)n、A−(B−A)n 、B−(A−B)n+1 ・・・(1)
[(A−B)k]m+1−X 、[(A−B)k−A]m+1−X ・・・(2)
[(B−A)k]m+1−X 、[(B−A)k−B]m+1−X ・・・(3)
上記式(1)〜(3)において、セグメントAは、ビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体、セグメントBは共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。
Xは、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
n、k及びmは、1以上の整数を表し一般的には1〜5の整数である。
また、Xに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。
また、上記一般式(1)〜(3)で表されるラジアルブロック共重合体又はその水添物において、更にA及び/又はBが少なくとも一つXに結合していてもよい。
上記セグメントA、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体中のビニル芳香族炭化水素は、均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよく、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が、セグメント中にそれぞれ複数個共存してもよい。
セグメントA中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントA中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントA中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)と、セグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントB中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントB中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)との関係は、セグメントAにおけるビニル芳香族炭化水素含有量のほうが、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素含有量より大であることが好ましい。セグメントAとセグメントBのビニル芳香族炭化水素含有量の差は5質量%以上であることが好ましい。
本実施形態において、水添前のブロック共重合体(ブロック共重合体水添物(I)の水添前のもの、及びブロック共重合体(II)のいずれも含む。以下同様とする。)は、例えば、炭化水素溶媒中で、有機アルカリ金属化合物(例えば、有機リチウム化合物)等を重合開始剤として、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合(例えば、アニオンリビング重合)することにより得られる。
水添前のブロック共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。特にスチレンが一般的なものとして挙げられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
水添前のブロック共重合体を構成する共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィン、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。特に1,3−ブタジエン、イソプレン等が一般的なものとして挙げられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
水添前のブロック共重合体を製造するために用いる炭化水素溶媒としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
また、重合開始剤としては、一般的に、共役ジエン及びビニル芳香族化合物に対し、アニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であって、1分子中に1個のリチウムを含む化合物や1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が挙げられる。
具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。
更に、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、水添前のブロック共重合体を製造する際の重合温度は、一般的に−10℃〜150℃であるものとし、好ましくは40℃〜120℃である。
重合に要する時間は、条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。
また、重合系の雰囲気は窒素ガス等の不活性ガス等により置換するのが望ましい。
重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。
さらに、重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
(オレフィン系樹脂(III):成分(III))
ブロック共重合体水添物組成物(α)を構成する成分(III)のオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系重合体等より選ばれた少なくとも1種の重合体、例えば、ポリエチレン、エチレン系共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体等又はその他のエチレンと不飽和脂肪酸類との共重合体系誘導体、同エチレン系アイオノマー樹脂、エチレン−αオレフィン共重合体等)、上記にカルボン酸基を付与した変性重合体、ポリブテン−1系共重合体等より少なくとも1種選ばれた成分を主体としたものが挙げられる。
特に好ましくは、ポリプロピレン系樹脂(ランダム共重合体及びこれらの脂環族飽和炭化水素系樹脂、石油樹脂、テンペン樹脂、ロジン類で変性したものも含む)、高密度ポリエチレン、リニア−低密度ポリエチレン(L・LDPE)、超低密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂(例えばエチレン系)等が挙げられる。
ブロック共重合体水添物組成物(α)において、前記成分(I)と前記成分(II)及び前記成分(III)の重量比が、当該組成物(α)全体を100として、成分(I)/成分(II)/成分(III)としたとき、5〜90/5〜90/5〜90であり、10〜80/10〜80/10〜80であることが好ましく、15〜70/15〜70/15〜70であることがより好ましい。
また、組成物(α)中の水添された共役ジエン単位の含有量は0.5〜10質量%であるものとし、好ましくは0.8〜9質量%、より好ましくは1〜7質量%である。
上記のように、成分(I)、成分(II)、成分(III)の重量比が組成物(α)全体を100としたときに、5〜90/5〜90/5〜90の範囲であって、水添された共役ジエン単位の含有量が0.5〜10質量%の範囲であると、最終的に目的とする多層熱収縮性フィルムは低温伸びと印刷後の低温伸びの保持に優れたものとなる。
(重合体(IV):成分(IV))
前記ブロック共重合体水添物組成物(α)には、下記重合体(IV)がさらに含有されていてもよい。
重合体(IV)は、下記の(i)〜(iv)から選ばれる少なくとも1種である。
(i)前記成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体。
(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体からなる共重合体。
(iii)ビニル芳香族炭化水素重合体。
(iv)ゴム変性スチレン系重合体。
前記(i):成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体(以後成分(i)と記載する場合もある。)のポリマー構造(水添物については、水添前のポリマー構造)は、下記一般式、
(Ab−Bb)n、Ab−(Bb−Ab)n、Bb−(Ab−Bb)n+1
(上式において、nは1以上の整数、一般的には1〜5である。)で表される線状ブロック共重合体、
又は、下記一般式、
[(Ab−Bb)k]m+2−X、[(Ab−Bb)k−Ab]m+2−X、
[(Bb−Ab)k]m+2−X、[(Bb−Ab)k−Bb]m+2−X
(上式において、Abはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bbは、共役ジエンを主体とする重合体である。AbブロックとBbブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。k及びmは1〜5の整数である。)で表されるラジアルブロック共重合体、あるいは、これらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合物が使用できる。
前記(i):成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体(成分(i))の好ましいビニル芳香族炭化水素含有量は10〜95質量%未満であり、より好ましくは20〜90質量%である。
前記成分(i)の分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(ポリスチレン換算分子量)が3万〜50万であることが好ましく、5万〜50万がより好ましく、7万〜30万がさらに好ましい。
前記成分(i)は、分子量が異なる複数のブロック共重合体の混合物であってもよい。
数平均分子量は、重合に使用する触媒量により任意に調整できる。
前記(ii):ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体(以下、成分(ii)と記載する場合もある。)の、ビニル芳香族系炭化水素とは、上述したスチレン系の単量体のことをいう。
また、脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とは、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル等の、炭素数C1〜C13好ましくはC2〜C13のアルコールとアクリル酸とのエステル誘導体、メタアクリル酸、炭素数C1〜C13好ましくはC2〜C13、より好ましくはC3〜C13のアルコールとメタアクリル酸とのエステル誘導体、α、β不飽和ジカルボン酸、例えばフマル酸、イタコン酸、マレイン酸等、又はこれらジカルボン酸とC2〜C13のアルコールとのモノ又はジエステル誘導体等からなる群より選ばれる少なくとも一種であるものとする。上記脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体は、一般に、エステル類主体のものであり、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル等のエステル類を主体にするものが好ましい。
前記成分(ii)の製造方法としては、スチレン系樹脂を製造する公知の方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を適用できる。上記成分(ii):ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体は、重量平均分子量が一般に50000〜500000の重合体である。
前記成分(ii)としては、スチレンとアクリル酸n−ブチルを主体とする共重合体が特に好ましく、成分(ii)全体を100質量%としたとき、アクリル酸n−ブチルとスチレンとの合計量が50質量%以上であることが好ましく、アクリル酸n−ブチルとスチレンの合計量が60質量%以上からなる脂肪族不飽和カルボン酸エステル−スチレン共重合体がさらに好ましい。
アクリル酸n−ブチルとスチレンを主体とする脂肪族不飽和カルボン酸エステル−スチレン共重合体を用いることにより、最終的に目的とする多層熱収縮性フィルムの低温収縮性が良好なものとなる。
前記(iii):ビニル芳香族炭化水素重合体(以下、成分(iii)と記載する場合もある。)は、ビニル芳香族炭化水素又はこれと共重合可能なモノマーを重合して得られるもの(但し、前記成分(ii)を除く。)である。
ビニル芳香族系炭化水素とは、主としてスチレン系の単量体をいう。具体的にはスチレン、α−アルキル置換スチレン、例えばα−メチルスチレン類、核アルキル置換スチレン類、核ハロゲン置換スチレン類等が挙げられる。
ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、無水マレイン酸等が挙げられる。
ビニル芳香族炭化水素重合体としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。特に好ましいビニル芳香族炭化水素重合体としては、ポリスチレンが挙げられる。これらのビニル芳香族炭化水素重合体の重量平均分子量は、一般に50000〜500000の重合体であるものとする。また、これらのビニル芳香族炭化水素重合体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(iii):ビニル芳香族炭化水素重合体は、本実施形態の多層熱収縮性フィルムの剛性改良剤として利用できる。
前記(iv):ゴム変性スチレン系重合体(以下、成分(iv)と記載する場合もある。)は、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとエラストマーとの混合物を重合することによって得られる。
重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等が一般的に行われている。
ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、共重合可能なエラストマーとしては、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム等が挙げられる。
これらのエラストマーは、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマー100質量部に対して、一般に3〜50質量部、上記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーに溶解して、あるいはラテックス状として、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等に供される。
ゴム変性スチレン系重合体としては、耐衝撃性ゴム変性スチレン系重合体(HIPS)が特に好ましい。
ゴム変性スチレン系重合体は、剛性、耐衝撃性、滑り性の改良剤として利用できる。
これらのゴム変性スチレン系重合体としては、重量平均分子量が、一般に50000〜500000の重合体を使用できる。
ゴム変性スチレン系重合体の添加量は、透明性維持を考慮すると、上記成分(I)〜(III)の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
上述した成分(i)〜(iv)のMFR(G条件で温度200℃、荷重5Kg)は、成形加工の観点から、0.1〜100g/10minであることが好ましく、0.5〜50g/10minがより好ましく、1〜30g/10minがさらに好ましい。
また、前記(IV)と前記成分(I)〜(III)の合計との重量比は、前記成分(I)〜(III)の合計50〜99.9質量%で前記成分(IV)が0.1〜50質量%が好ましく、前記成分(I)〜(III)の合計が55〜99.5質量%で前記成分(IV)が0.5〜45質量%であることがより好ましく、前記成分(I)〜(III)の合計が60〜99質量%で前記成分(IV)が1〜40質量%であることがさらに好ましい。
前記成分(I)〜(III)の合計50〜99.9質量%で前記成分(IV)が0.1〜50質量%の範囲であると、剛性と伸びのバランスに優れた多層熱収縮性フィルムが得られる。
〔多層熱収縮性フィルムを構成する第2の層〕
本実施形態の多層熱収縮性フィルムを構成する第2の層は、ビニル芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とを含有するブロック共重合体、若しくは当該ブロック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重合体、又はこれらに異なった種類のブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合体により形成されているものとする。
第2の層のビニル芳香族炭化水素の含有量は70〜90質量%が好ましく、75〜85質量%がより好ましい。
第2の層のビニル芳香族炭化水素の含有量が70〜90質量%の範囲とすることにより、本実施形態の多層熱収縮性フィルムにおいて剛性と印刷性が優れたものとなる。
前記第2の層には、振動周波数35Hzで測定した損失弾性率(E")が−25℃以下である成分が10〜25質量%、好ましくは13〜20質量%含有されているものとする。
第2の層の振動周波数35Hzで測定した損失弾性率(E")のピーク温度が−25℃以下である成分の含有量を上記範囲とすることにより、印刷後の伸びの保持に優れた多層熱収縮性フィルムとすることができる。
第2の層の振動周波数35Hzで測定した損失弾性率(E")のピークが−25℃以下である成分の含有量は、ブロック共重合体中に存在する共役ジエン重合体ブロックあるいはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体ブロック部分の組成と質量によって制御できる。
例えば、共役ジエン重合体ブロックの含有量が、第2の層を構成する、ビニル芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とを含有するブロック共重合体、若しくは当該ブロック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重合体、又はこれらに異なった種類のブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合体の20質量%であれば、振動周波数35Hzで測定した損失弾性率(E")が−25℃以下である成分の損失弾性率(E")のピーク温度は−85℃であり、その成分量(振動周波数35Hzで測定した損失弾性率(E")が−25℃以下である成分量)は20質量%である。
また、第2の層が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体ブロックの場合は、重合反応中に共重合体ブロック部分の重合終了時点でサンプリングして、その共重合体ブロック部分の損失弾性率(E")のピーク温度を求め、共重合体ブロック部分の重量から成分量を求めることができる。
ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体ブロックの損失弾性率(E")のピーク温度は、共役ジエンの含有量が多くなると−85℃に近づき、ビニル芳香族炭化水素の含有量が多くなると−25℃を超える温度となる。
このため、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との質量比率を調整することで容易かつ高い精度で制御できる。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムを構成する第2の層は、ビニル芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体、若しくは当該ブロック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重合体、又はこれらに異なった種類のブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合体であり、ブロック共重合体の構造及び各ブロック部分の構造は特に限定されない。
第2の層を構成するブロック共重合体は、前記成分(I)、前記成分(II)及び重合体(IV)の(i)前記成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体であってもよい。
ブロック共重合体の各ブロック部分の構造としては、特に限定されず、例えば、完全対称ブロック、非対称ブロック、テトラブロック、テーパードブロック、ランダムブロック等が挙げられ、それらの中でも好ましくはランダムブロックである。
〔その他の成分:滑剤〕
上述した第1の層及び/又は第2の層には、所定の滑剤を含有させてもよい。
滑剤としては、例えば、脂肪酸アミド、パラフィン、炭化水素系樹脂及び脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
添加量は、第1の層を構成する全材料100質量部及び/又は第2の層を構成する全材料100質量部に対して、0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜4質量部、より好ましくは0.1〜3質量部添加することによって、熱収縮性フィルムの耐ブロッキング性が良好なものとなる。
脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアロアミド、オレイル・アミド、エルシル・アミド、ベヘン・アミド、高級脂肪酸のモノ又はビスアミド、エチレンビス・ステアロアミド、ステアリル・オレイルアミド、N−ステアリル・エルクアミド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
パラフィン及び炭化水素系樹脂としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、パラフィン系合成ワックス、ポリエチレン・ワックス、複合ワックス、モンタン・ワックス、炭化水素系ワックス、シリコーンオイル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
〔その他の成分:紫外線吸収剤、光安定剤〕
上述した第1の層及び/又は第2の層には、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有させてもよい。
紫外線吸収剤及び光安定剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダード・アミン系光安定剤から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を適用できる。
添加量は特に限定されるものではなく、本実施形態の熱収縮性フィルム100質量部(第1の層、第2の層等を合わせた合計の重量)に対して0.05〜3質量部、好ましくは0.05〜2.5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部添加することにより、多層熱収縮性フィルムの耐光性の向上効果が得られる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ・ベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシ・ベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシ・ベンゾフェノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル酸,n−ヘクサデシルエステル、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン、1,6−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3',4',5',6'−テトラヒドロ・フタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール等が挙げられる。
ヒンダード・アミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、ビス(1,2,6,6,6,−ペンメチル−4−ピペリジル)セパケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアサスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチ)レ)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物が挙げられる。
また、ヒンダード・アミン系光安定剤としては、例えば、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]]、ポリ[6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジル)イミノ]]、2−(3,5−ジ・tert−ブチル−4−ヒドロキジベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンダメチル−4−ピペリジル)、テトラキシ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキシ(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4,−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボシ酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物が挙げられる。
さらにまた、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシル−メタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシル−メタクリレート等がある。
〔その他の成分:安定剤〕
上記第1の層及び/又は第2の層には、所定の安定剤を添加することが好ましい。
安定剤としては、特に限定されず、例えば、フェノール系安定剤、有機ホスフェート系及び/又は有機ホスファイト系安定剤等が挙げられる。
安定剤の添加量は特に限定されず、好ましくは、第1の層を構成する材料を100質量部及び/又は第2の層を構成する材料を100質量部としたとき、0.05〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。これによりゲル抑制効果が得られる。
安定剤としては、フェノール系安定剤が挙げられる。
具体的には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの安定剤の中でも特に、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートが好ましい。
上述した第1の層及び/又は第2の層は、有機ホスフェート系及び/又は有機ホスファイト系安定剤を含有させることが好ましい。
具体的には、トリス−(ノニルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−N,N−ビス〔2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−エチル〕−エタンアミン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホファイト等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔その他の成分:添加剤〕
上述した第1の層及び/又は第2の層には、目的に応じて種々の添加剤を添加することができる。
好適な添加剤としては、例えば、クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、オイル等の軟化剤、可塑剤が挙げられる。
また、各種の安定剤、顔料、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等も添加できる。
なお、ブロッキング防止剤、帯電防止剤としては、例えば脂肪酸アマイド、エチレンビス・ステアロアミド、ソルビタンモノステアレート、脂肪酸アルコールの飽和脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらは、第1の層を構成する材料及び/又は第2の層を構成する材料を100質量%としたとき、一般的に0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%の範囲で用いられる。
〔多層熱収縮性フィルムの第1の層と第2の層を構成する組成物の製造方法〕
第1の層と第2の層を構成する組成物の製造方法は、特に限定されず、従来公知のあらゆる配合方法によって製造できる。
例えば、オープンロール、インテンシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶剤に溶解又は分散混合後溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
〔多層熱収縮性フィルムの製造方法〕
本実施形態の多層熱収縮性フィルムは、熱収縮性1軸又は2軸延伸フィルムとすることができる。
延伸方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。
例えば、材料を通常のTダイ又は環状ダイから、フラット状又はチューブ状に、150〜250℃、好ましくは170〜220℃の温度で押出成形し、得られた未延伸物を、実質的に1軸延伸又は2軸延伸する方法や、第1のインフレーション工程として延伸前の原反シートを作製し、第2のインフレーション工程として流体中で再度インフレーション法によって熱収縮性フィルムを得る方法等によって製造できる。
1軸延伸の場合、その延伸方向等は特に限定されず、例えば、フィルム、シート状の場合は、カレンダーロール等で押出方向に、あるいはテンター等で押出方向と直交する方向に延伸し、チューブ状の場合はチューブの押出方向又は円周方向に延伸することができる。
2軸延伸の場合、その延伸方向等は特に限定されず、例えば、フィルム、シート状の場合には押出フィルム又はシートを金属ロール等で縦方向に延伸した後、テンター等で横方向に延伸し、チューブ状の場合にはチューブの押出方向及びチューブの円周方向、即ちチューブ軸と直角をなす方向にそれぞれ同時に、あるいは別々に延伸することができる。2軸延伸フィルムを連続生産する際には、MD方向とTD方向に延伸することが好ましい。
延伸条件は特に限定されず、所望の物性等に応じて適宜条件を設定できる。
延伸温度は60〜130℃が好ましく、70〜120℃がより好ましく、80〜110℃がさらに好ましい。
延伸温度を60℃以上とすることにより、延伸時の破断発生を抑制でき、所望の多層熱収縮性フィルムが得られる。延伸温度を130℃以下とすることで、収縮特性が優れた多層熱収縮性フィルムとすることができる。
延伸倍率は、特に限定されず、用途によって必要とする収縮率に対応するように上記範囲内で選定できる。好ましくは縦方向及び/又は横方向に延伸倍率1.5〜8倍、より好ましくは2〜6倍である。延伸倍率を1.5倍以上とすることで、熱収縮率が大きく熱収縮包装用として好ましいフィルムが得られる。延伸倍率を8倍以下にすることで、延伸加工工程における安定生産性が確保できる。
2軸延伸の場合、縦方向及び横方向における延伸倍率は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
1軸延伸又は2軸延伸を施した多層熱収縮性フィルムは、必要に応じて、熱処理して室温下における自然収縮を防止する手段を施すことが好ましい。
熱処理の温度は、特に限定されず、収縮性の観点から、好ましくは60〜160℃、より好ましくは80〜155℃である。熱処理の処理時間は、特に限定されず、収縮性の観点から、好ましくは3〜60秒間、より好ましくは10〜40秒間である。
このようにして得られた多層熱収縮性フィルムは、シュリンクフィルム等の熱収縮性包装用素材や熱収縮性ラベル用素材として使用できる。
熱収縮性包装用素材や熱収縮性ラベル用素材として使用するには、延伸方向における80℃の熱収縮率が10〜80%であることが好ましく、10〜75%であることがより好ましく、15〜70%であることがさらに好ましい。
熱収縮率が上記範囲であると、熱収縮率と自然収縮率のバランスに優れた多層熱収縮性フィルムとなる。
なお、本実施形態の多層熱収縮性フィルムにおいて、80℃の熱収縮率は、低温収縮性の尺度であると言える。80℃の熱収縮率とは、1軸延伸又は2軸延伸フィルムを80℃の熱水、シリコーンオイル、グリセリン等の、成形品の特性を阻害しない熱媒体中に10秒間浸漬したときの成形品の各延伸方向における熱収縮率である。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムが上記熱収縮率の範囲である場合、熱収縮性フィルム自体の自然収縮率は、4.0%以下であることが好ましく、3.5%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることがさらに好ましい。自然収縮率をかかる範囲とすることで、フィルムの寸法変化を小さくできるため、好適である。
ここで多層熱収縮性フィルム自体の自然収縮率とは、上記熱収縮率の範囲の多層熱収縮性フィルムを35℃で5日間放置し、後述する式により算出した値である。
自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100
(L2は放置前の長さを示し、L3は放置後の長さを示す。)
さらに、本実施形態の多層熱収縮性フィルムである1軸延伸又は2軸延伸フィルムは、延伸方向における引張弾性率が700〜3000MPaであることが好ましく、1000〜2500MPaであることがより好ましい。これにより、熱収縮包装材として必要とされる機能を発揮できる。
延伸方向における引張弾性率を700MPa以上とすることで、収縮包装工程においてヘタリの発生を抑制し、正常に包装できるため好ましい。引張弾性率を3000MPa以下とすることで、フィルムの耐衝撃性を優れたものにできるため好ましい。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムである1軸延伸又は2軸延伸フィルムを熱収縮性包装材として使用する場合、より優れた熱収縮率を得るために、130〜300℃、好ましくは150〜250℃の温度で、数秒〜数分間、好ましくは1〜60秒間加熱処理をして熱収縮させることが好ましい。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムは、第1の層と第2の層の2層を具備する構造であればよく、その他の層を具備していてもよい。
例えば、上述した第1の層を中間層とし、第1の層に積層された上述した第2の層を表面層とし、第2の層と反対側に、第1の層に所定の第3の層(裏面層)を設けた3層構造の多層熱収縮性フィルムが挙げられる。
第3の層は、第2の層と同じ成分であってもよいし、異なる成分であってもよい。すなわち、表面層として用いる第2の層と、裏面層として用いる第3の層は同じ組成物であってもよいし、異なる組成物であってもよい。
特に、第1の層を中間層として、2枚の第2の層で挟んだ3層構造を有する多層積層体においては、表裏層の耐溶剤性が良好なものを用いれば、印刷後の伸びに優れる等の特性が得られる。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、10〜300μmが好ましく、20〜200μmが好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムを構成する第1の層と第2の層の厚さの割合については、特に限定されるものではないが、(第2の層及びその他の層の厚みの合計)/(第1の層の厚み)が、5/95〜45/55であることが好ましく、10/90〜35/65であることがより好ましい。
〔用途〕
本実施形態における多層熱収縮性フィルムは、その特性を生かして種々の用途、例えば生鮮食品、菓子類の包装、衣類、文具等の包装等に利用できる。
特に好ましい用途としては、文字や図案を印刷した後、プラスチック成形品や金属製品、ガラス容器、磁器等の被包装体表面に熱収縮により密着させて使用する、いわゆる熱収縮性ラベル用素材(シュリンクラベル、シュリンクフィルム等)が挙げられる。
本実施形態における多層熱収縮性フィルムには、エンボス加工等、所定の加工を施して意匠性を付与してもよい。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムは、剛性と低温伸びに優れているため、高温に加熱すると変形を生じるような、プラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材の他、熱膨張率や吸水性等が極めて異なる材質(例えば、金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種)等を構成素材として用い得る容器の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
本実施形態の多層熱収縮性フィルムをラベルとして利用する場合のプラスチック容器の材質としては、例えば、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
これらのプラスチック容器の材料は2種以上の樹脂類の混合物であってもよく、これらの積層体であってもよい。
以下、本発明の実施例と、比較例を挙げて具体的に説明する。
[第1の層を構成する成分(I)〜(IV)の製造例]
<ブロック共重合体水添物(I)の製造例>
後述する実施例及び比較例において用いるブロック共重合体水添物A−1〜A−13を、下記方法により調製した。
水添ブロック共重合体は、シクロヘキサン溶媒中で、n−ブチルリチウムを触媒とし、テトラメチルエチレンジアミンをランダム化剤として製造し、下記表1に示す構造、スチレン含有量(質量%)、ブロック率、ブロックスチレン数平均分子量、tanδピーク温度、及び所定の水添率を有するブロック共重合体水添物を製造した。
スチレン含有量はスチレンとブタジエンとの添加量で調整した。
ブロック率はスチレン含有量、ブロック共重合体の構造で調整した。
ブロックスチレン数平均分子量はスチレンブロックの重量或いはブロック共重合体の分子量で調整した。
tanδピーク温度はブロック共重合体の構造で調整した。
なお、ブロック共重合体水添物の調製において、モノマーは、シクロヘキサンで濃度20質量%に希釈したものを使用した。
また、水添触媒は、窒素置換した反応容器に、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた水添触媒を使用した。
なお、下記表1中の「ブロック共重合体水添物の構造」、表2中の「ブロック共重合体の構造」、表4中の「ブロック共重合体の構造」において、Aはポリスチレン部、Bはスチレンとブタジエンのランダム共重合体部、Cはポリブタジエン部を表すが、これらに付されている番号が異なること(例えば、A1とA2)、あるいは、番号の付されているものと無印のもの(例えばB1とB)は、これらが互いに同一のものには限られず、重量や分子量が互いに異なるものであってもよいことを示している。但し、同一でもよい。
Figure 0005220670
〔ブロック共重合体水添物A−1〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン26質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.121質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン7質量部と、1,3−ブタジエン42質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で65分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たり、チタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した。
その後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−1を得た。
なお、水添率は水素量で調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−2〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.100質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン3質量部と1,3−ブタジエン10質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン6質量部と1,3−ブタジエン11質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で25分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン29質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たり、チタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−2を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−3〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.110質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン12質量部と1,3−ブタジエン30質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン28質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たり、チタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−3を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−4〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン33質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.097質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部と1,3−ブタジエン37質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−4を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−5〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.351質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.2倍モル添加し、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部と1,3−ブタジエン21質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブに1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを、n−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、5分間保持した後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−5を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−6〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.116質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部と1,3−ブタジエン47質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−6を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−7〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン38質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.089質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン9質量部と1,3−ブタジエン18質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−7を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−8〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン37質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.094質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン1質量部と1,3−ブタジエン27質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−8を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−9〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.090質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン34質量部と1,3−ブタジエン37質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−9を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−10〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.114質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と1,3−ブタジエン25質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と1,3−ブタジエン25質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−10を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−11〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン75質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.077質量部、テトラメチルエチレンジアミンを、n−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部と1,3−ブタジエン8質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部と1,3−ブタジエン7質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−11を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体水添物A−12〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.110質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン12質量部と1,3−ブタジエン30質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン28質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−12を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
〔ブロック共重合体A−13(水添率:0%)〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.110質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン12質量部と1,3−ブタジエン30質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン28質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−13を得た。
<ブロック共重合体又はその水添物(II)の製造例>
後述する実施例及び比較例において用いるブロック共重合体又はその水添物B−1〜B−11を、下記方法により調製した。
下記表2に示す構造、スチレン含有量(質量%)、ブロック率、ブロックスチレン数平均分子量、tanδピーク温度を有するブロック共重合体を製造した。
スチレン含有量は、スチレンとブタジエンの添加量で調整した。
ブロック率はスチレン含有量、ブロック共重合体の構造で調整した。
ブロックスチレン数平均分子量は、スチレンブロックの重量又はブロック共重合体の分子量で調整した。
tanδピーク温度は、ブロック共重合体の構造で調整した。
なお、ブロック共重合体の作製において、モノマーはシクロヘキサンで濃度20質量%に希釈したものを使用した。
Figure 0005220670
〔ブロック共重合体B−1〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、1,3−ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.036質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン59質量部と1,3−ブタジエン10質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で80分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−1を得た。
〔ブロック共重合体B−2〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.033質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン44質量部と1,3−ブタジエン7質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で60分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−2を得た。
〔ブロック共重合体B−3〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.035質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン36質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−3を得た。
〔ブロック共重合体B−4〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.113質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で25分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン52質量部と1,3−ブタジエン10質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で70分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン18質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で25分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブに1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを、n−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加した後、n−ブチルリチウムに対してメタノールを1.0倍モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−4を得た。
〔ブロック共重合体B−5〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン12質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.034質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.2倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン59質量部と1,3−ブタジエン18質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン11質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で15分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−5を得た。
〔ブロック共重合体B−6〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.033質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部と1,3−ブタジエン3質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で45分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−6を得た。
〔ブロック共重合体B−7〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン4質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.038質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン76質量部と1,3−ブタジエン15質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で100分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で10分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−7を得た。
〔ブロック共重合体B−8〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン46質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.034質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン3質量部と1,3−ブタジエン5質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で15分間連続供給して重合を行った。
次にスチレン46質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−8を得た。
〔ブロック共重合体B−9〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン2質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.038質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で8分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン41質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン2質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で8分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン42質量部と1,3−ブタジエン5質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン2質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で8分間連続供給して重合を行った。その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−9を得た。
〔ブロック共重合体B−10〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン43質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.033質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン24質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン23質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−10を得た。
〔ブロック共重合体B−11〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.035質量部、テトラメチルエチレンジアミンを、n−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、1,3−ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で7分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン32質量部と1,3−ブタジエン4質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で45分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−11を得た。
<オレフィン系樹脂(III)>
オレフィン系樹脂C−1:サンテック−HD J240(旭化成ケミカルズ(株)社製)
オレフィン系樹脂C−2:サンテック−LD M1820(旭化成ケミカルズ(株)社製)
オレフィン系樹脂C−3:サンアロマーPF621S(サンアロマー(株)社製)
Figure 0005220670
<共重合体(IV)>
〔共重合体D−1〕
PSJポリスチレン475D(PSジャパン(株)社製)
〔共重合体D−2〕
PSJポリスチレン685(PSジャパン(株)社製)
〔共重合体D−3〕
タフプレン126(日本エラストマー(株)社製、スチレン含量40質量%)
〔共重合体D−4〕
アクリル酸n−ブチル−スチレン共重合体であるD−4は、撹拌器付き10Lオートクレーブに、スチレン15質量部とアクリル酸n−ブチル85質量部の比率で、5kg添加し、同時にエチルベンゼン0.3kgと、分子量を調整するため1,1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを所定量仕込み、110〜150℃で2〜10時間重合した後、ベント押出機で未反応スチレン、アクリル酸n−ブチル、エチルベンゼンを回収して製造した。
なお、共重合体D−4の数平均分子量は216000であった。
[第2の層を構成するブロック共重合体の製造例]
後述する実施例及び比較例に用いるブロック共重合体E−1〜E−5を、下記方法により調製した。
下記表4に示す、構造、スチレン含有量(質量%)、数平均分子量を有するブロック共重合体を製造した。
スチレン含有量はスチレンとブタジエンの添加量で調整した。
数平均分子量は触媒量で調整した。
なお、ブロック共重合体の作製において、モノマーはシクロヘキサンで濃度20質量%に希釈したものを使用した。
Figure 0005220670
〔ブロック共重合体E−1〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン4質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.050質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン80質量部と1,3−ブタジエン13質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で110分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体E−1を得た。
〔ブロック共重合体E−2〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン53.8質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.046質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で60分間連続供給して重合を行った。
次に、1,3−ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン34.2質量部と1,3−ブタジエン7質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で45分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体E−2を得た。
〔ブロック共重合体E−3〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.065質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、1,3−ブタジエン33質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン32質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体E−3を得た。
〔ブロック共重合体E−4〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、1,3−ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.063質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン1.8質量部と1,3−ブタジエン35質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン28.2質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体E−4を得た。
〔ブロック共重合体E−5〕
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン29.8質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.070質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、1,3−ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン3.2質量部と1,3−ブタジエン34質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体E−5を得た。
次に、実施例及び比較例において適用した特性の測定方法、及び評価方法について説明する。
〔(1)ブロック率〕
四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)で測定でき、該方法により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている。)を用いて、次の式から求めた。
ブロック率(質量%)=(ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量/ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量)×100〕
なお、上記酸化分解法により、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量」が求められ、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量」は、重合時の仕込み比率から、あるいはNMR等の分析により求められる。
〔(2)動的粘弾性(tanδのピーク温度)〕
ペレットを加熱プレスで圧縮成形した厚さ約1mmの試験片を用い、株式会社ユービーエム製粘弾性測定解析装置DVE−V4により、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、温度−100℃〜150℃の範囲を測定し、tanδのピーク温度を求めた。
〔(3)数平均分子量〕
GPC装置(HLC8220GPC;東ソ−(株)製)を用い、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度40℃で測定した。
数平均分子量は、重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線から求めた。
ブロックスチレン数平均分子量については、(1)で得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分を試料として測定した。
〔(4)引張弾性率(剛性の目安)〕
試験片としては、延伸フィルムからMD及びTD方向に幅を10mm、標線間を100mmとする長さに短冊状に切り出したものを用いた。
測定温度は23℃とし、引張速度は10mm/minで行い、定法により引張弾性率を求めた。
なお、MD及びTD方向の平均値を引張弾性率の値とした。
〔(5)収縮応力〕
試験片としては、延伸フィルムからMD及びTD方向に幅を10mm、測定長を60mmとする長さに短冊状に切り出したものを用いた。
試験片の一端を固定し、もう一方の端に荷重検知器を取り付け、80℃湯浴中に浸し、30秒間の荷重変化を測定した。
このうち最大荷重f[dyne]のとき次式に従い最大熱収縮応力を算出した。
なお、d[μm]は試験片の最初の厚みであり、最大収縮応力とはフィルム面内各方向の熱収縮応力を測定したうちの最大値である。
熱収縮応力(Pa)=103 ×f/d
収縮応力は、値が小さい方が好ましいものであると判断した。
〔(6)−5℃伸び〕
試験片としては、延伸フィルムからMD方向に幅を15mm、標線間を40mmとする長さに短冊状に切り出したものを用いた。
測定温度は−5℃、引張速度は100mm/minで行った。
また、印刷後2日経過後、−5℃伸びを同様に測定し、さらには製膜直後の測定値との比較における保持率(%)を算出した。
−5℃伸びは、値が大きい方が好ましく、保持率は高い方が好ましい。
〔(7)80℃収縮率〕
延伸フィルム(TD方向)を80℃の温水中に10秒間浸漬し、次式により算出した。
80℃熱収縮率(%)=(L−L1)/L×100
ここで、Lは収縮前の長さを示し、L1は収縮後の長さを示す。
80℃収縮率は、一般的には値が大きい(よく縮む)方が好ましいと判断した。
〔(8)自然収縮率〕
延伸フィルム(TD方向)を35℃で5日間放置し、次式により算出した。
自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100
ここで、L2は放置前の長さを示し、L3は放置後の長さを示す。
自然収縮率が小さいほど、自然収縮性は優れていると判断した。
〔(10)印刷性〕
印刷装置として、グラビアミニ校正機CM型(日商グラビア(株)製)を用いた。
版として線数175L/インチ、インキ濃さ0〜100グラデーション版を用いて、黒インキでフィルム印刷を行い、下記基準に従い、グラデーション評価を目視で評価した。
<評価基準>
○:グラデーションに濃淡の境目がない。
△:グラデーションに濃淡の境目が僅かに認められる。
×:グラデーションに濃淡の境目が明確に認められる。
○〜△:グラデーションの濃淡の境目が○と△の中間である。
〔実施例1〜9〕、〔比較例1〜17〕
下記表5〜7に示す配合処方の材料を用いて、表面層、中間層、裏面層を具備する3層シートを作製した。
200℃でTダイより押出し、縦方向に1.2倍の延伸を行い、厚さ0.25mmのシート状に成形した。
その後、延伸温度を85℃として、テンターを用いて、横軸に延伸倍率を5倍に1軸延伸して厚さ約50μmの熱収縮性フィルムを得た。
各実施例及び各比較例とも、中間層と表面層・裏面層の厚みの比率(%)は10(表面層)/80(中間層)/10(裏面層)とした。
Figure 0005220670
Figure 0005220670
Figure 0005220670
実施例1〜9の熱収縮性フィルムの物性を下記表8に示し、比較例1〜17の熱収縮性フィルムの物性を下記表9及び表10に示す。
Figure 0005220670
Figure 0005220670
Figure 0005220670
実施例1〜9の多層熱収縮性フィルムは、引張弾性率、−5℃の印刷後の保持率、80℃収縮率、自然収縮率、収縮応力及び印刷性が実用上十分に優れた結果となった。
比較例1〜8は、成分(I)の配合量が本発明から外れているため、自然収縮率(良好な値は3.7%以下)、80℃収縮率(良好な値は33%以上)、引張弾性率(良好な値は1340MPa以上)、−5℃の伸び(良好な値は190%以上)、印刷後2日後の−5℃の伸びの保持率(良好な値は81%以上)、収縮応力(良好な値は3.7MPa以下)のいずれかにおいて、実用上十分な評価が得られなかった。
比較例9は、成分(II)の配合比率が低く、本発明から外れているため、比較例12、14は、成分(II)のtanδピーク温度は高く、本発明から外れているため、延伸できなかった。
比較例10においては、配合組成において本発明から外れているため、−5℃の伸びにおいて、実用上十分な評価が得られなかった。
比較例11〜17は、ブロック共重合体(II)の種類が本発明から外れているため、引張弾性率と−5℃の伸びの保持率及び収縮応力において、実用上十分な評価が得られなかった。
以上より、本実施形態の熱収縮性フィルムは、自然収縮性、低温収縮性及び剛性等の物性バランスに優れ、印刷後の低温伸びの保持と低収縮応力及び印刷性に優れていることが示された。
本発明の多層熱収縮性フィルムは、自然収縮性、低温収縮性及び剛性等の物性バランスに優れ、かつ、印刷後の低温伸びの保持と低収縮応力、さらには印刷性にも優れているため、飲料容器包装やキャップシール及び各種ラベル等の材料として産業上の利用可能性がある。

Claims (9)

  1. 第1の層と第2の層とを具備し、当該第1の層と第2の層とが積層された多層熱収縮性フィルムであって、
    前記第1の層が、下記のブロック共重合体水添物組成物(α)により形成されており、
    前記第2の層が、ビニル芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とを含有するブロック共重合体、若しくは当該ブロック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重合体、又はこれらに異なった種類のブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合体により形成されており、
    前記ブロック共重合体水添物組成物(α)は、
    ブロック共重合体水添物(I):5〜90質量%
    ブロック共重合体又はその水添物(II):5〜90質量%
    オレフィン系樹脂(III):5〜90質量%
    を含有し、
    前記ブロック共重合体水添物(I)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体の水添物であり、ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜85質量%であり、ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が50〜95質量%であって、ブロック共重合体水添物(I)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が−40℃以下に少なくとも1つ存在し、前記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体中の共役ジエン単位の二重結合の水添率が10%以上50%未満であり、
    前記ブロック共重合体又はその水添物(II)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物であり、ビニル芳香族炭化水素含有量が85質量%を超えて95質量%未満であり、前記ブロック共重合体又はその水添物(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が20〜95質量%であって、前記ブロック共重合体又はその水添物(II)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜8万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃に少なくとも1つ存在し、
    前記ブロック共重合体水添物組成物(α)中の水添された共役ジエン単位の含有量が0.5〜10質量%である、
    多層熱収縮性フィルム。
  2. 前記ブロック共重合体水添物(I)におけるビニル芳香族炭化水素の含有量が58〜80質量%、
    前記ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が55〜90質量%であって、
    前記ブロック共重合体水添物(I)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が、0.5万〜5万である請求項1に記載の多層熱収縮性フィルム。
  3. 前記ブロック共重合体又はその水添物(II)は、ビニル芳香族炭化水素含有量が87〜93質量%であり、
    前記ブロック共重合体又はその水添物(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が30〜85質量%であって、前記ブロック共重合体又はその水添物(II)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万で、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が70〜105℃に少なくとも1つ存在する請求項1又は2に記載の多層熱収縮性フィルム。
  4. 前記ブロック共重合体水添物組成物(α)中の、水添された共役ジエン単位の含有量が、0.8〜9質量%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層熱収縮性フィルム。
  5. 前記ブロック共重合体水添物組成物(α)に、下記重合体(IV)がさらに含有されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層熱収縮フィルム。
    ここで、重合体(IV)は、下記(i)〜(iv)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であるものとする。
    (i):前記成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物。
    (ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体。
    (iii)ビニル芳香族炭化水素重合体。
    (iv)ゴム変性スチレン系重合体。
  6. 前記成分(I)〜(III)の合計50〜99.9質量%と、前記成分(IV)0.1〜50質量%とを含有するブロック共重合体水添物組成物(α)により形成された前記第1の層を具備する請求項5に記載の多層熱収縮性フィルム。
  7. 前記第2の層におけるビニル芳香族炭化水素の含有量が75〜85質量%である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多層熱収縮性フィルム。
  8. 前記第2の層には、振動周波数35Hzで測定した損失弾性率(E")が−25℃以下である成分が、13〜20質量%含有されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多層熱収縮性フィルム。
  9. 前記第1の層の、前記第2の層の形成面側とは反対側に第3の層を更に有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の多層熱収縮性フィルム。
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