JP5344782B2 - 水添ブロック共重合体組成物 - Google Patents
水添ブロック共重合体組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5344782B2 JP5344782B2 JP2005029274A JP2005029274A JP5344782B2 JP 5344782 B2 JP5344782 B2 JP 5344782B2 JP 2005029274 A JP2005029274 A JP 2005029274A JP 2005029274 A JP2005029274 A JP 2005029274A JP 5344782 B2 JP5344782 B2 JP 5344782B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- heat
- block copolymer
- vinyl aromatic
- composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
また、収縮特性、耐環境破壊性に優れた熱収縮性フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体のセグメントに特定のTgを有する熱収縮性フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、低温収縮性、光学特性、耐クラック特性、寸法安定性等に優れる収縮フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素含有量が95〜20重量%で、ビカット軟化点が90℃を越えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物を延伸した低温収縮性フィルムが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、フィルムの経時安定性と耐衝撃性に優れた透明性熱収縮性フィルムを得るため、ビカット軟化点が105℃を越えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物で、特定の熱収縮力を特徴とする熱収縮性硬質フィルムが開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
また、自然収縮性、強度、表面特性、腰の強さ、低温収縮性等に優れる収縮フィルムを得るため、両外層が特定ブタジエン単位含量のスチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体とスチレン−ブチルアクリレートの混合物、中間層が特定ブタジエン単位含量のスチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体とスチレン−ブチルアクリレートの混合物からなる少なくとも3層の多層ポリスチレン系熱収縮フィルムが開示されている(例えば、特許文献10参照。)。
また、低温での熱収縮特性、収縮仕上がり性、自然収縮率、熱時、フィルム同士のブロッキングが発生しない熱収縮性フィルムを得るため、中間層が特定のビカット軟化点のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とし、内外層が特定のビカット軟化点のスチレン−共役ジエンブロック共重合体を主成分とする特定の熱収縮率を有する多層熱収縮性ポリスチレン系フィルムが開示されている(例えば、特許文献12参照。)。
また、柔軟性に富み、反発弾性と耐傷付き性が優れ、且つ取り扱い性が良好な水添共重合体を得るため、ビニル芳香族炭化水素の含有量、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量、重量平均分子量、及び共役ジエンの二重結合の水添率が特定の範囲にある水添共重合体が開示されている(例えば、特許文献14参照。)。
しかしながら、これらのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体その水添物又は該ブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体の組成物は、自然収縮性、低温収縮性、剛性、透明性、耐衝撃性及び耐溶剤性等の物性バランスが十分でなく、これらの文献にはそれらを改良する方法に関して開示されておらず、依然として市場での問題点が指摘されている。
1.ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、少なくとも1つのスチレンとブタジエンの共重合体部を含むブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であって、該水添ブロック共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素の含有量が70〜90重量%、共役ジエンの含有量が10〜30重量%、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が3万〜50万、ビカット軟化温度が73〜80℃である水添ブロック共重合体(I)と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体からなる共重合体であって、該共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素の含有量が70〜95重量%、脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体の含有量が5〜30重量%、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が5万〜50万、ビカット軟化温度が68〜90℃の共重合体(II)からなる組成物で、成分(I)と成分(II)の重量比が90/10〜10/90、該組成物のビカット軟化温度が70〜85℃である組成物100重量部に対して、下記のa)またはb)から選ばれる少なくとも1種のスチレン系重合体を0.5〜100重量部添加することを特徴とする組成物、
a)非ゴム変性スチレン系重合体
b)ゴム変性スチレン系重合体
2.上記1に記載の組成物に対して、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が20/80〜50/50、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が3万〜20万であるブロック共重合体又はその水添物(III)を3〜15重量%添加することを特徴とする組成物、
3.上記1又は2に記載の組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド、パラフィン、炭
化水素系樹脂および脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の滑剤を0.01〜5重量部添加することを特徴とする組成物、
4.上記1〜3のいずれかに記載の組成物100重量部に対して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートおよび2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールから選ばれる少なくとも1種の安定剤を0.05〜3重量部添加することを特徴とする組成物、
5.上記1〜4のいずれかに記載の組成物100重量部に対して、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダード・アミン系光安定剤から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤又は光安定剤を0.05〜3重量部添加することを特徴とする組成物、
6.上記1〜5のいずれかに記載の組成物からなるシート・フィルムあるいは熱収縮フィルム、
7.上記6に記載の熱収縮フィルムからなる層を、多層フィルムの少なくとも1つの層とし、延伸方向における80℃の熱収縮率が10〜80%であることを特徴とする熱収縮性多層フィルム、
8.上記6に記載の熱収縮フィルムからなる層を中層として、外層のビカット軟化温度が中層よりも3〜15℃高いことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
9.延伸方向における80℃の熱収縮率が5〜80%、延伸方向における引張弾性率が7000〜30000Kg/cm2である上記7又は8に記載の熱収縮性多層フィルム、に関する。
透明性、耐衝撃性及び耐溶剤性等の物性バランスに優れる。
成分(I)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量は3万〜50万、好ましくは5万〜30万、更に好ましくは8万〜20万である。数平均分子量が3万〜50万の範囲にあっては成形加工性に優れる。成分(I)のビカット軟化温度は70〜85℃、好ましくは73〜82℃、更に好ましくは75〜80℃である。ビカット軟化温度が70〜85℃の範囲にあっては自然収縮性、低温収縮性に優れる。
本発明に使用する水添ブロック共重合体の好ましいメルトフローレイト(JISK−6870により測定。条件はG条件で温度200℃、荷重5Kg)は成形加工性の点から、0.01〜100g/10min、0.05〜50g/10min、更に好ましくは0.5〜30g/10minであることが推奨される。数平均分子量とメルトフローレイト(以下、MFRと略すこともある)は重合に使用する触媒量により任意に調整できる。
本発明に使用する成分(I)、成分(II)及び組成物のビカット軟化温度は、厚さ3mmに圧縮成形したものを試験片とし、ASTM D−1525に準じて測定(荷重:1Kg、昇温速度:2℃/min)した値である。ビカット軟化温度の調整は例えば、数平均分子量を大きくすると高くなり、ビニル芳香族炭化水素の含有量を増すことで高くすることができる。
(A−B)n、A−(B−A)n 、B−(A−B)n+1
[(A−B)k]m+1−X 、[(A−B)k−A]m+1−X
[(B−A)k]m+1−X 、[(B−A)k−B]m+1−X
(上式において、セグメントAはビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体、セグメントBは共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5の整数である。また、Xに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)で表される線状ブロック共重合体やラジアルブロック共重合体、或いはこれらのポリマー構造の任意の混合物が使用できる。また、上記一般式で表されるラジアルブロック共重合体において、更にA及び/又はBが少なくとも一つXに結合していても良い。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
本発明に使用する成分(I)および成分(III)は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜7MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
本発明の成分(I)/(II)からなる組成物の重量比は90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、更に好ましくは70/30〜30/70である。成分(I)/(II)の組成比が本発明で規定する範囲にあっては自然収縮性、低温収縮性、透明性に優れる。成分(III)の添加量は3〜15重量%、好ましくは4〜13重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。成分(III)の添加量が3〜15重量%の範囲にあっては耐衝撃性に優れる。
組成物のビカット軟化温度は成分(I)および成分(II)のビカット軟化温度を調整する、或いは成分比率を調整することで得ることができる。
本発明の成分(I)/(II)或いは成分(I)/(II)/(III)からなる組成物(以後、成分(A)と呼ぶ)は、スチレン系重合体(以後、成分(B)と呼ぶ)との組成物として使用することができる。成分(A)と成分(B)の重量比は、成分(A)100重量部に対して成分(B)が0.5〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、更に好ましくは3〜50重量部である。かかる重量比で成分(A)と成分(B)を組み合わせることで、剛性、耐ブロッキング性、自然収縮性に優れるブロック共重合体組成物を得ることができる。
a)非ゴム変性スチレン系重合体
b)ゴム変性スチレン系重合体
本発明に使用するa)非ゴム変性スチレン系重合体はスチレンもしくはこれと共重合可能なモノマーを重合して得られるもの(但し、成分(II)の脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体を除く)である。スチレンと共重合可能なモノマーとしては、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、無水マレイン酸等があげられる。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられるが、特に好ましい非ゴム変性スチレン系重合体としてはポリスチレンをあげることができる。これらの非ゴム変性スチレン系重合体の重量平均分子量は、一般に50000〜500000の重合体を使用できる。また、これらの非ゴム変性スチレン系重合体は単独又は二種以上の混合物として使用でき、剛性改良剤として利用できる。
これらのエラストマーはビニル芳香族炭化水素もしくはこれと共重合可能なモノマー100重量部に対して一般に3〜50重量部該モノマーに溶解して或いはラテックス状で乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等に共される。特に好ましいゴム変性スチレン系重合体としては、耐衝撃性ゴム変性スチレン系重合体(HIPS)があげられ。ゴム変性スチレン系重合体は剛性、耐衝撃性、滑り性の改良剤として利用できる。これらのゴム変性スチレン系重合体の重量平均分子量は、一般に50000〜500000の重合体を使用できる。ゴム変性スチレン系重合体の添加量は透明性維持を考慮すると0.5〜10重量部が好ましい。
本発明の組成物には滑剤として脂肪酸アミド、パラフィン、炭化水素系樹脂、および脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を組成物100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部、更に好ましくは0.1〜3重量部添加することによって、耐ブロッキング性が良好となる。
脂肪酸アミドとしては、ステアロアミド、オレイル・アミド、エルシル・アミド、ベヘン・アミド、高級脂肪酸のモノ又はビスアミド、エチレンビス・ステアロアミド、ステアリル・オレイルアミド、N−ステアリル・エルクアミド等があるが、これらは単独或いは2種以上混合して使用できる。パラフィン及び炭化水素系樹脂としてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、パラフィン系合成ワックス、ポリエチレン・ワックス、複合ワックス、モンタン・ワックス、炭化水素系ワックス、シリコーンオイル等があるが、これらは単独或いは2種以上混合して使用できる。
本発明の組成物には紫外線吸収剤及び光安定剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダード・アミン系光安定剤から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤及び光安定剤を組成物100重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.05〜2.5重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部添加することによって、耐光性が向上する。
本発明の組成物には本発明に使用する成分(I)および成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体及び/又はその水添物は、ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜95重量%、好ましくは65〜90重量%で、本発明に使用する水添ブロック共重合体と同様の構造を有するものが使用でき、本発明に使用するブロック共重合体又はその水添物100重量部に対して5〜90重量部、好ましくは10〜80重量部配合することにより、耐衝撃性や剛性、伸び等を改善することができる。
本発明の組成物から熱収縮フィルムを得るには通常のTダイ又は環状ダイからフラット状又はチューブ状に150〜250℃、好ましくは170〜220℃で押出成形し、得られた未延伸物を実質的に1軸延伸又は2軸延伸する。熱収縮フィルムが例えば1軸延伸フィルムの場合、フィルム、シート状の場合はカレンダーロール等で押出方向に、或いはテンター等で押出方向と直交する方向に延伸し、チューブ状の場合はチューブの押出方向又は円周方向に延伸する。2軸延伸の場合、フィルム、シート状の場合には押出フィルム又はシートを金属ロール等で縦方向に延伸した後、テンター等で横方向に延伸し、チューブ状の場合にはチューブの押出方向及びチューブの円周方向、即ちチューブ軸と直角をなす方向にそれぞれ同時に、或いは別々に延伸する。
本発明の1軸延伸又は2軸延伸熱収縮フィルムを熱収縮性包装材として使用する場合、目的の熱収縮率を達成するために130〜300℃、好ましくは150〜250℃の温度で数秒から数分、好ましくは1〜60秒加熱して熱収縮させることができる。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、延伸方向における65℃の熱収縮率が5〜60%、好ましくは10〜55%、更に好ましくは15〜50%であり、延伸方向における引張弾性率が7000〜30000Kg/cm2、好ましくは10000〜25000Kg/cm2である熱収縮性多層フィルムを得ることもできる。
本発明の熱収縮性フィルム及び熱収縮性多層フィルムの厚さは10〜300μm、好ましくは20〜200μm、更に好ましくは30〜100μmで、両表層と内層の厚みの割合は5/95〜45/55、好ましくは10/90〜35/65であることが推奨される。
取り分け、本発明の1軸延伸熱収縮フィルムは低温収縮性、剛性及び自然収縮性に優れるため、高温に加熱すると変形を生じる様なプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材の他、熱膨張率や吸水性等が本発明のブロック共重合体とは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた容器の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
尚、本発明の熱収縮フィルムを熱収縮性ラベル用素材として使用する場合、延伸方向と直交する方向における80℃の熱収縮率は20%未満、好ましくは15%以下である。従って、本発明において熱収縮性ラベル様として1軸延伸するとは、延伸方向における80℃の熱収縮率が5〜80%で延伸方向と直交する方向の熱収縮率が20%未満になる様に延伸処理を施すことを云う。
(水添ブロック共重合体及びブロック共重合体A−1〜A−9の調製)
水添前ブロック共重合体はシクロヘキサン溶媒中n−ブチルリチウムを触媒とし、テトラメチルエチレンジアミンをランダム化剤として、表1に示した水添ブロック共重合体の構造、スチレン含有量(重量%)数平均分子量、ビカット軟化温度及び所定の水添率を有する水添ブロック共重合体を製造した。スチレン含有量はスチレンとブタジエンの添加量で、数平均分子量は触媒量で、ビカット軟化温度はスチレン含有量、ブロック共重合体の構造及び数平均分子量で調整した。なお、水添ブロック共重合体の調製において、モノマーはシクロヘキサンで濃度20重量%に希釈したものを使用した。
また、水添触媒は、窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた水添触媒を使用した。
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.065重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、70℃で20分間重合した。次にスチレン29重量部と1,3−ブタジエン16重量部を含むシクロヘキサン溶液を45分間連続的に添加して70℃で重合した。
次にスチレン35重量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して70℃で40分間重合した。その後水添触媒をブロック共重合体100重量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した後、脱溶媒して水添ブロック共重合体を得た。尚、水添率の調整は水素量で調整した。
2)ブロック共重合体水添物A−2〜A−9
ブロック共重合体水添物A−2〜A−9はブロック共重合体の構造及び数平均分子量、ビカット軟化温度及び水添率を調整する以外はA−1と同様な方法で調製した。
B−1〜B−4は撹拌器付き10Lオートクレーブに、スチレン、メチルメタアクリレート、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸及びエチルメタクリレートを表2に示す比率で5kg添加し、同時にエチルベンゼン0.3kgと、MFRを調整するため1,1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを所定量仕込み、110〜150℃で2〜10時間重合後、ベント押出機で未反応モノマー及びエチルベンゼンを回収して製造した。
実施例及び比較例に記載した測定、評価は以下の方法で行った。
1)スチレン含有量
スチレン含有量は、紫外分光光度計(装置名:UV−2450;島津製作所製)を用いて測定した。
2)数平均分子量
数分子量は、GPC装置(米国、ウォーターズ製)を用いて測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、35℃で測定した。重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、数平均分子量を求めた。
3)水添率
水添率は核磁気共鳴装置(装置名:DPX−400;ドイツ国、BRUKER社製)で測定した。
試料を厚さ3mmに圧縮成形したものを試験片とし、ASTM D−1525に準じて測定(荷重:1Kg、昇温速度:2℃/min)した値である。
5)収縮率
80℃収縮率は、延伸フィルムを80℃のシリコーンオイル中に30秒間浸漬し、次式により算出した。
熱収縮率(%)=(L−L1)/L×100、
L:収縮前の長さ、L1:収縮後の長さ。
6)自然収縮率
80℃で測定した収縮率が40%の延伸フィルムを35℃で5日間放置し、次式により算出した値である。
自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100、
L2:放置前の長さ、L3:放置後の長さ。
自然収縮率が小さいほど、自然収縮性は優れる。
JIS K−6732に準拠し、引張速度5mm/minでフィルムの延伸方向について測定した。試験片は幅を12.7mm、標線間を50mmとした。測定温度は23℃で行った。単位はKg/cm2。
8)パンクチャー衝撃強度
JISP−8134に準拠して測定した。単位はKg・cm。
9)Haze
延伸前のシート表面に流動パラフィンを塗布し、ASTM D1003に準拠して測定した。
縦5cm×横5cmの熱収縮性多層フィルム2枚重ねて100g/cm2Gの加重をかけ、40℃、7日間放置し、フィルムのブロッキング状態を目視判定した。
<判定基準>
○:ブロッキングが認められない。
×:ブロッキングが認められる。
11)温水融着性
延伸フィルムを直径約8cmのガラス瓶に巻き付け、70℃温水中に3本俵積みで5分間放置し、フィルムの融着状態を目視判定した。判定基準は、◎は全く融着していない、○は僅かに融着しているがすぐ離れる、×は融着してすぐには離れない。
MD方向15cm×TD方向15cmの延伸フィルムにメチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(比率は7/3)を刷毛で塗り、30℃で7日間乾燥後、印刷前後の0℃のフィルムMD方向の伸びの保持率で判定した。
<判定基準>
○:保持率50%以上
×:保持率50%未満
熱収縮性フィルム性能の測定は、表3に示した成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(B)の種類と量の配合組成物を40mm押出機を用いて厚さ0.3mmのシート状に成形し、その後延伸温度を85℃(比較例1及び比較例4は85℃で延伸不可のため、105℃で延伸した)として、テンターを用いて横軸に延伸倍率を5倍に1軸延伸して厚さ約60μmの熱収縮性フィルムを得た。この熱収縮性フィルムのフィルム性能を表3に示した。本発明の熱収縮性フィルムの性能は引張弾性率で表される剛性、80℃収縮率で表される低温収縮性、自然収縮性、パンクチャー衝撃強度で表される耐衝撃性、温水融着性、Hazeで表される透明性に優れ、耐溶剤性が良好である。尚、表3に示したシート、フィルム性能は上記の方法で行った。
表4に示した配合組成物を中層、表裏層とした3層シートをTダイより押出し、縦方向に1.2倍の延伸を行い、厚さ0.3mmのシートに成形した。次いで、テンターにより横方向に5倍延伸して厚さ60μmの熱収縮フィルムを得た。中層と表層・裏層の厚みの比率(%)は15(表層)/70(中層)/15(裏層)であった。得られた3層熱収縮フィルムの性能を表4に示した。尚、紫外線吸収剤として表裏層100重量部に対してアデカスタブLA−32(旭電化工業(株)社製)を0.2重量部、滑剤としてステアロアミドを表裏層の組成物100重量部に対して0.2重量部添加した。
Claims (9)
- ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、少なくとも1つのスチレンとブタジエンの共重合体部を含むブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であって、該水添ブロック共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素の含有量が70〜90重量%、共役ジエンの含有量が10〜30重量%、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が3万〜50万、ビカット軟化温度が73〜80℃である水添ブロック共重合体(I)と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体からなる共重合体であって、該共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素の含有量が70〜95重量%、脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体の含有量が5〜30重量%、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が5万〜50万、ビカット軟化温度が68〜90℃の共重合体(II)からなる組成物で、成分(I)と成分(II)の重量比が90/10〜10/90、該組成物のビカット軟化温度が70〜85℃である組成物100重量部に対して、下記のa)またはb)から選ばれる少なくとも1種のスチレン系重合体を0.5〜100重量部添加することを特徴とする組成物。
a)非ゴム変性スチレン系重合体
b)ゴム変性スチレン系重合体 - 請求項1に記載の組成物に対して、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が20/80〜50/50、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が3万〜20万であるブロック共重合体又はその水添物(III)を3〜15重量%添加することを特徴とする組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド、パラフィン、炭化水素系樹脂および脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の滑剤を0.01〜5重量部添加することを特徴とする組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物100重量部に対して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートおよび2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールから選ばれる少なくとも1種の安定剤を0.05〜3重量部添
加することを特徴とする組成物。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物100重量部に対して、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒンダード・アミン系光安定剤から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤又は光安定剤を0.05〜3重量部添加することを特徴とする組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物からなるシート・フィルムあるいは熱収縮フィルム。
- 請求項6に記載の熱収縮フィルムからなる層を、多層フィルムの少なくとも1つの層とし、延伸方向における80℃の熱収縮率が10〜80%であることを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
- 請求項6に記載の熱収縮フィルムからなる層を中層として、外層のビカット軟化温度が中層よりも3〜15℃高いことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
- 延伸方向における80℃の熱収縮率が5〜80%、延伸方向における引張弾性率が7000〜30000Kg/cm2である請求項7又は請求項8に記載の熱収縮性多層フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005029274A JP5344782B2 (ja) | 2005-02-04 | 2005-02-04 | 水添ブロック共重合体組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005029274A JP5344782B2 (ja) | 2005-02-04 | 2005-02-04 | 水添ブロック共重合体組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006213853A JP2006213853A (ja) | 2006-08-17 |
JP5344782B2 true JP5344782B2 (ja) | 2013-11-20 |
Family
ID=36977341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005029274A Expired - Fee Related JP5344782B2 (ja) | 2005-02-04 | 2005-02-04 | 水添ブロック共重合体組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5344782B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022259720A1 (ja) * | 2021-06-11 | 2022-12-15 | 株式会社大阪ソーダ | アクリル共重合体、アクリル共重合体含有組成物及びアクリル共重合体架橋物 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6125819A (ja) * | 1984-07-16 | 1986-02-04 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 低温収縮性フイルム及びその製造方法 |
JPH0457845A (ja) * | 1990-06-28 | 1992-02-25 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 樹脂組成物 |
JP2004091712A (ja) * | 2002-09-03 | 2004-03-25 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 熱収縮フィルム |
-
2005
- 2005-02-04 JP JP2005029274A patent/JP5344782B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006213853A (ja) | 2006-08-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4530669B2 (ja) | ブロック共重合体及びその組成物 | |
JP4838254B2 (ja) | ブロック共重合体及び熱収縮性フィルムの製造方法 | |
JP5534642B2 (ja) | ブロック共重合体水添物、又はそのシート、フィルム | |
JP2005105032A (ja) | 重合体組成物からなる熱収縮性フィルム | |
JP5224634B2 (ja) | 樹脂組成物 | |
JP4919713B2 (ja) | ブロック共重合体水添物組成物、そのシート・フィルム及び熱収縮性フィルム | |
JP4425602B2 (ja) | ブロック共重合体水添物、又はフィルム | |
JP4791021B2 (ja) | 水添共重合体及びその組成物 | |
JP5133289B2 (ja) | 熱収縮性フィルム | |
JP4381747B2 (ja) | ブロック共重合体及びその熱収縮性フィルム | |
JP5220670B2 (ja) | 多層熱収縮性フィルム | |
JP5344782B2 (ja) | 水添ブロック共重合体組成物 | |
JP5057752B2 (ja) | 熱収縮性フィルム | |
JP5057753B2 (ja) | 熱収縮性フィルム | |
JP4938310B2 (ja) | 重合体組成物からなる熱収縮性フィルム | |
JP4753574B2 (ja) | 熱収縮フィルム | |
JP2007008984A (ja) | ブロック共重合体水添物、ブロック共重合体水添物組成物及びそれらの熱収縮性フィルム | |
JP2008260797A (ja) | ブロック共重合体及びそれを含む熱収縮性フィルム | |
JP4761690B2 (ja) | 熱収縮性フィルム | |
JP2007016134A (ja) | ブロック共重合体水添物、ブロック共重合体水添物組成物及びそれらの熱収縮性フィルム | |
JP2003128861A (ja) | 重合体組成物及びその熱収縮フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100617 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100810 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100927 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20100927 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101019 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110419 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130626 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130813 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5344782 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |