JP2016022616A - 多層フィルム、加飾成形用フィルムおよび加飾成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、高い表面硬度と光学等方性(低位相差)、熱成形性に優れ、加飾成形加工後のトリミング性が容易な多層フィルムを提供することにある。また本発明の目的は、該多層フィルムを用いた加飾成形用フィルムおよび加飾成形体を提供することにある。【解決手段】ポリカーボネート樹脂および熱可塑性エラストマーを含む層(A層)の両面にアクリル系樹脂を含む層(B−1層およびB−2層)が積層され、これらの溶融樹脂を金属ロールと金属弾性ロールで狭圧して製膜することで、低位相差、かつ高い表面硬度を持つ多層フィルムを得た。【選択図】なし
Description
本発明は、表面加飾用途に用いられる多層フィルム、加飾成形用フィルム、およびその加飾成形体に関する。
近年、家電製品、自動車内装部品、電子機器、建材、雑貨類等を対象とした外装において、環境意識の高まりや高級感を演出するために、インモールド転写、インモールドラミ、真空圧空成形ラミ等の加飾成形法が大幅に広がっている。加飾成形には、フィルムに印刷、賦形あるいは金属蒸着等を施した加飾成形用フィルムが用いられる。その基材フィルムとして、これまでアクリルフィルム、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム等が用いられてきた。
また最近では、立体的なデザイン形状をもつスマートフォンやタブレット、カーナビなどのタッチパネルディスプレイが増えてきているが、例えば、ディスプレイ前面板に使用されているガラスは、立体形状へ加工することは困難であり、軽量薄膜化や、機能性、安全性の面からもプラスチックによるガラス代替が急激に加速している。一方、プラスチックは目標の形状へ加工することに優れているが、成形時の応力によって光学歪み(位相差)が生じ、偏光サングラスなどで見ると虹色模様に歪む問題が起きている。そのため、光学等方性(低歪み)のものが要求されている。また、人の手で触る部材であるため、キズがつきにくい高い表面硬度も強く求められる傾向がある。
また、インサートモールド成形などの加飾成形用フィルムの成形と、射出成形を同時に行う加飾方法の場合、射出成形後に加飾成形用フィルムのトリミングを行う為、加飾成形用フィルムが容易に除去出来るように割れやすいこと(トリミング性)が求められている。
また、インサートモールド成形などの加飾成形用フィルムの成形と、射出成形を同時に行う加飾方法の場合、射出成形後に加飾成形用フィルムのトリミングを行う為、加飾成形用フィルムが容易に除去出来るように割れやすいこと(トリミング性)が求められている。
これらのニーズを踏まえて、かかる基材フィルムに求められる特性としては、目標の形状に正確に転写されるという熱成形性、表面硬度、光学等方性、良好な表面外観、透明性、加飾成形後のフィルムのトリミング性、耐熱性等が挙げられる。しかし、これらの特性を全て満足する基材はなく、これまで用途に応じて問題を抱えながらも使用してきたのが現状である。
例えば、アクリルフィルムは、透明性や耐候性や光学等方性に優れており、フィルムの脆性が高く割れやすいという特徴から、特定の加飾成形加工方法のトリミング性に優れ、本用途には多く用いられている。しかしながら、アクリルフィルムは耐熱性の要求される用途への展開に限界があり、トリミング時の割れやすさを維持しつつ高い耐熱性を要求される分野への適用が困難である。また、ポリカーボネートフィルムの場合、耐熱性は高いものの、アクリルフィルムに比べて熱成形性に劣り、複雑な形状や深い形状を正確に転写する用途には適用困難である。また、表面硬度が低く、さらに成形時の歪みが大きいことが問題であった。
かかる基材特性の改善策の一つとして、ポリカーボネート樹脂層の両面にアクリル樹脂層を積層させた積層フィルムが提案されている。特許文献1には、ポリカーボネート樹脂層の両面にアクリル樹脂層を積層し、ポリカーボネート樹脂層の厚みをアクリル樹脂層の一方の厚みの5倍以上にすることで、ポリカーボネート樹脂の特徴である難燃性および耐衝撃性と、アクリル樹脂の特徴である表面硬度とを両立する積層板が記載されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂層が厚いために光学歪みが発生しやすく、また、トリミング性に劣る。
特許文献2には、ポリカーボネート樹脂に熱可塑性エラストマーを加えることで、フィルムの熱成形性を向上させることが出来ることが記載されている。しかし、フィルムの表面硬度や光学歪みについて検討が不十分であった。
このように加飾成形用フィルムの基材として、これまで素材面の改良や積層体にするといった構成面からも、その特性改善が様々に検討されてきてはいるが、満足するものはなく、さらなる改良が求められている。
このように加飾成形用フィルムの基材として、これまで素材面の改良や積層体にするといった構成面からも、その特性改善が様々に検討されてきてはいるが、満足するものはなく、さらなる改良が求められている。
本発明の目的は、高い表面硬度と光学等方性(低位相差)、熱成形性に優れ、加飾成形加工後のトリミング性が容易な多層フィルムを提供することにある。また、本発明の目的は、該多層フィルムを用いた加飾成形用フィルムおよび加飾成形体を提供することにある。
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂層およびアクリル樹脂層を有する多層フィルムについて、ポリカーボネート樹脂層の素材面及びポリカーボネート樹脂層とアクリル樹脂層の厚み構成、製膜方法について鋭意検討した。その結果、特定の厚み構成で、上記特性を満たすフィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下の通りのものである。
すなわち本発明は以下の通りのものである。
1.ポリカーボネート樹脂および熱可塑性エラストマーを含む層(A層)の両面にアクリル系樹脂を含む層(B−1層およびB−2層)が積層され、総厚みが50〜300μmであり、A層の厚みが総厚みの5%〜35%であり、かつ、波長590nmの入射角0°における面内位相差Reが30nm以下である多層フィルム。
2.熱可塑性エラストマーが、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5〜15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成される上記1に記載の多層フィルム。
3.芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタンおよびビス(4−カルボキシフェニル)スルホンからなる群より選ばれる少なくとも一種である上記2に記載の多層フィルム。
4.脂肪族ジカルボン酸が、炭素数4〜12の直鎖状ジカルボン酸である上記2に記載の多層フィルム。
5.前記B−1及びB−2層の厚みが、それぞれ20μm以上の上記1〜4のいずれかに記載の多層フィルム。
6.押出機から出た溶融樹脂を金属ロールと金属弾性ロールで狭圧して製膜される上記1〜5のいずれかに記載の多層フィルム。
7.全光線透過率が90%以上である上記1〜6のいずれかに記載の多層フィルム。
8.ヘイズが1%以下である上記1〜7のいずれかに記載の多層フィルム。
9.上記1〜8のいずれかに記載の多層フィルムの一方の面に加飾が施された加飾成形用フィルム。
10.上記9に記載の加飾成形用フィルムを含む加飾成形体。
2.熱可塑性エラストマーが、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5〜15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成される上記1に記載の多層フィルム。
3.芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタンおよびビス(4−カルボキシフェニル)スルホンからなる群より選ばれる少なくとも一種である上記2に記載の多層フィルム。
4.脂肪族ジカルボン酸が、炭素数4〜12の直鎖状ジカルボン酸である上記2に記載の多層フィルム。
5.前記B−1及びB−2層の厚みが、それぞれ20μm以上の上記1〜4のいずれかに記載の多層フィルム。
6.押出機から出た溶融樹脂を金属ロールと金属弾性ロールで狭圧して製膜される上記1〜5のいずれかに記載の多層フィルム。
7.全光線透過率が90%以上である上記1〜6のいずれかに記載の多層フィルム。
8.ヘイズが1%以下である上記1〜7のいずれかに記載の多層フィルム。
9.上記1〜8のいずれかに記載の多層フィルムの一方の面に加飾が施された加飾成形用フィルム。
10.上記9に記載の加飾成形用フィルムを含む加飾成形体。
本発明によれば、表面硬度、光学等方性、透明性、熱成形性、トリミング性、耐熱性に優れる多層フィルムを得ることが出来る。これを用いることにより、表面硬度、光学等方性、透明性、熱成形性、トリミング性、耐熱性に優れる加飾成形用フィルム、さらには加飾成形品を得ることが出来る。
以下、本発明について詳述する。
[多層フィルム]
本発明の多層フィルムは、ポリカーボネート樹脂および熱可塑性エラストマーを含む層(A層)と、アクリル系樹脂を含む層(B−1層およびB−2層)を有している。すなわち、A層の両面にそれぞれB−1層およびB−2層が積層された多層フィルムである。
[多層フィルム]
本発明の多層フィルムは、ポリカーボネート樹脂および熱可塑性エラストマーを含む層(A層)と、アクリル系樹脂を含む層(B−1層およびB−2層)を有している。すなわち、A層の両面にそれぞれB−1層およびB−2層が積層された多層フィルムである。
<ポリカーボネート樹脂>
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物が炭酸エステル結合により結ばれたポリマーであり、通常、ジヒドロキシ成分とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させて得られるものである。
ジヒドロキシ成分の代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、イソソルビド、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらを単独で使用したホモポリマーでも、2種類以上を共重合した共重合体であっても良い。物性面、コスト面からビスフェノールAが好ましい。本発明では、ジヒドロキシ成分の50モル%以上がビスフェノールAであるポリカーボネートが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物が炭酸エステル結合により結ばれたポリマーであり、通常、ジヒドロキシ成分とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させて得られるものである。
ジヒドロキシ成分の代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、イソソルビド、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらを単独で使用したホモポリマーでも、2種類以上を共重合した共重合体であっても良い。物性面、コスト面からビスフェノールAが好ましい。本発明では、ジヒドロキシ成分の50モル%以上がビスフェノールAであるポリカーボネートが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
具体的なポリカーボネートとして、ビスフェノールAのホモポリマー、ビスフェノールAと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとの2元共重合体、ビスフェノールAと9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレンとの2元共重合体、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンのホモポリマー、ビスフェノールAと2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン等を挙げることができる。物性面、コスト面からビスフェノールAのホモポリマーが最も好ましい。
該ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、100〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは120〜180℃の範囲であり、更に好ましくは135〜150℃の範囲である。
該ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、100〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは120〜180℃の範囲であり、更に好ましくは135〜150℃の範囲である。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、または二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を界面重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するにあたっては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族、または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
上記二価ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を界面重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するにあたっては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族、または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量が13,000以上40,000未満の範囲が好ましく、より好ましくは、15,000以上35,000以下の範囲であり、更に好ましくは18,000以上28,000以下の範囲である。該分子量が13,000より低いとポリカーボネート樹脂の溶融粘度が低くなり、溶融製膜が困難となる場合がある。40,000以上になると熱可塑性エラストマーとの樹脂組成物であっても溶融粘度が高くなり、溶融製膜が困難となる場合があり、多層フィルムとしては加飾成形した後のトリミングが困難となる場合があり好ましくない。ポリカーボネート樹脂が2種以上の混合物の場合は混合物全体における粘度平均分子量を表す。ここで粘度平均分子量とは、塩化メチレン100mLにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記式から粘度平均分子量(M)を算出したものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10−4M0.83
(但しc=0.7g/dL、[η]は極限粘度)
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10−4M0.83
(但しc=0.7g/dL、[η]は極限粘度)
〈熱可塑性エラストマー〉
本発明で用いる熱可塑性エラストマーは、熱成形性を向上させるものであれば特に限定されないが、結晶性の高融点ポリエステルブロック単位からなるハードセグメントと、低融点のソフトセグメントで構成されるマルチブロック共重合体からなるポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
本発明で用いる熱可塑性エラストマーは、熱成形性を向上させるものであれば特に限定されないが、結晶性の高融点ポリエステルブロック単位からなるハードセグメントと、低融点のソフトセグメントで構成されるマルチブロック共重合体からなるポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
(ハードセグメント)
本発明におけるハードセグメントは、該セグメントからなるポリマーの融点が150℃以上であるポリエステルセグメントである。
ハードセグメントは、ポリブチレンテレフタレート単位を含むことが好ましい。ポリブチレンテレフタレートは、ポリカーボネート樹脂との相溶性に優れ、透明性や熱成形性の点から好ましく、また強度等の面でも良好な特性を有する。ポリブチレンテレフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲でそれ自体公知の他のポリエステルを共重合成分として含んでも良い。ポリブチレンテレフタレート単位の割合は、全繰り返し単位のモル数に対して好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
本発明におけるハードセグメントは、該セグメントからなるポリマーの融点が150℃以上であるポリエステルセグメントである。
ハードセグメントは、ポリブチレンテレフタレート単位を含むことが好ましい。ポリブチレンテレフタレートは、ポリカーボネート樹脂との相溶性に優れ、透明性や熱成形性の点から好ましく、また強度等の面でも良好な特性を有する。ポリブチレンテレフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲でそれ自体公知の他のポリエステルを共重合成分として含んでも良い。ポリブチレンテレフタレート単位の割合は、全繰り返し単位のモル数に対して好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
(ソフトセグメント)
本発明におけるソフトセグメントとは、該セグメントからなるポリマーの融点が100℃以下、または100℃において液状で非晶性を示すセグメントのことを示す。
ソフトセグメントは、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および炭素数5〜15のジオールから構成されるポリエステルである。
本発明におけるソフトセグメントとは、該セグメントからなるポリマーの融点が100℃以下、または100℃において液状で非晶性を示すセグメントのことを示す。
ソフトセグメントは、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および炭素数5〜15のジオールから構成されるポリエステルである。
ソフトセグメントは、より良好な透明性を得られる点からジカルボン酸成分の合計100モル%中、芳香族ジカルボン酸の含有量が60〜99モル%、および脂肪族ジカルボン酸の含有量が1〜40モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が70〜95モル%、および脂肪族ジカルボン酸の含有量が5〜30モル%であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が85〜93モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が7〜15モル%であることが更に好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が89〜92モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が8〜11モル%であることが特に好ましい。
ソフトセグメントの芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が好適であり、特に結晶性低下の点からイソフタル酸が好適である。ソフトセグメントの脂肪族ジカルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、およびセバシン酸等の炭素数6〜12の直鎖状脂肪族ジカルボン酸が好適であり、特にセバシン酸が好適である。
ソフトセグメントの炭素数5〜15のジオール成分としては、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、および2−メチルオクタメチレンジオール等の炭素数6〜12の直鎖状脂肪族ジオールが好ましい。特にヘキサメチレングリコールが好ましい。
ソフトセグメントとしてより具体的には、イソフタル酸、およびセバシン酸とヘキサメチレングリコールからなるポリエステルが好ましい。
ソフトセグメントの炭素数5〜15のジオール成分としては、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、および2−メチルオクタメチレンジオール等の炭素数6〜12の直鎖状脂肪族ジオールが好ましい。特にヘキサメチレングリコールが好ましい。
ソフトセグメントとしてより具体的には、イソフタル酸、およびセバシン酸とヘキサメチレングリコールからなるポリエステルが好ましい。
(組成等)
また、本発明のポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合が、エラストマー100重量%中、ハードセグメントが20〜70重量%、ソフトセグメントが80〜30重量%であることが好ましく、ハードセグメントが20〜40重量%、ソフトセグメントが80〜60重量%であることがより好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度は0.6以上が好ましく、0.8〜1.5の範囲がより好ましく、0.8〜1.2の範囲が更に好ましい。
また、本発明のポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合が、エラストマー100重量%中、ハードセグメントが20〜70重量%、ソフトセグメントが80〜30重量%であることが好ましく、ハードセグメントが20〜40重量%、ソフトセグメントが80〜60重量%であることがより好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度は0.6以上が好ましく、0.8〜1.5の範囲がより好ましく、0.8〜1.2の範囲が更に好ましい。
本発明では、A層中の熱可塑性エラストマーの含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、3〜40重量部であることが好ましい。3重量部より少ないと、エラストマー添加による熱成形性向上の効果が乏しくなるため好ましくなく、また40重量部より多くなると、樹脂組成物の熱変形温度が低くなりすぎるため多層フィルムの耐熱性が不足し好ましくない。より好ましくは4〜30重量部であり、更に好ましくは5〜25重量部である。
本発明のA層には、それぞれの樹脂において一般的に用いられる各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料等が挙げられる。
本発明のA層には、それぞれの樹脂において一般的に用いられる各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料等が挙げられる。
(ポリエステル系熱可塑性エラストマーの製造)
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、前述したハードセグメントとソフトセグメントを溶融混練することにより反応させてマルチブロック共重合体とすることにより得ることが出来る。
ハードセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.5〜1.5の範囲である。ソフトセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.5〜1.5の範囲である。
反応温度は、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜260℃の範囲である。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、前述したハードセグメントとソフトセグメントを溶融混練することにより反応させてマルチブロック共重合体とすることにより得ることが出来る。
ハードセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.5〜1.5の範囲である。ソフトセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.5〜1.5の範囲である。
反応温度は、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜260℃の範囲である。
<アクリル系樹脂>
本発明において、B−1層およびB−2層用のアクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの重合体を主体とするものが好ましい。アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチルのホモ重合体、あるいはメタクリル酸メチルを好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含む共重合体を挙げることが出来る。
他の共重合体の成分としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
本発明において、B−1層およびB−2層用のアクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの重合体を主体とするものが好ましい。アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチルのホモ重合体、あるいはメタクリル酸メチルを好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含む共重合体を挙げることが出来る。
他の共重合体の成分としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
更に他の共重合体の成分としては、エチレン性不飽和単量体が挙げられる。具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物、1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン系化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアルケニルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合体の成分の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜30重量%、更に好ましくは0〜20重量%である。
アクリル樹脂の製造方法は、一般に乳化重合法、懸濁重合法、連続重合法に大別されるが、本発明に用いられるアクリル樹脂はいずれの重合方法により製造されたものであっても良い。
アクリル樹脂の製造方法は、一般に乳化重合法、懸濁重合法、連続重合法に大別されるが、本発明に用いられるアクリル樹脂はいずれの重合方法により製造されたものであっても良い。
本発明では、効果を損なわない範囲で多層フィルムの熱成形時のバリ、割れの改善のため、アクリル樹脂にゴム粒子を添加しても良い。アクリル樹脂にゴム粒子を加えることによる靭性改善は公知の技術で、広く用いられており、本発明でも用いることができる。
一般に、ゴム粒子を加えると透明性が低下する傾向にあり、本発明ではできるだけ透明性の高いゴム粒子を用いることが好ましい。好ましいゴム粒子として、アクリル系の架橋弾性重合体からなるコア層をメタクリル酸エステル樹脂で包んだコアシェル構造としたもの、また中心部のメタクリル酸エステル樹脂をアクリル系の架橋弾性重合体で包み、更にその外側をメタクリル酸エステル樹脂で被覆した3層構造としたもの等が挙げられる。
一般に、ゴム粒子を加えると透明性が低下する傾向にあり、本発明ではできるだけ透明性の高いゴム粒子を用いることが好ましい。好ましいゴム粒子として、アクリル系の架橋弾性重合体からなるコア層をメタクリル酸エステル樹脂で包んだコアシェル構造としたもの、また中心部のメタクリル酸エステル樹脂をアクリル系の架橋弾性重合体で包み、更にその外側をメタクリル酸エステル樹脂で被覆した3層構造としたもの等が挙げられる。
多層構造のゴム粒子は、アクリル樹脂に対する分散性が良好であり、透明性の高い多層フィルムを得ることが可能である。本発明では加飾成形の際に、加飾成形用フィルムに要求される靭性、透明性を総合的に勘案して、ゴム粒子の有無、およびゴム粒子を含有する場合は、ゴム粒子の種類、量、サイズ等を決定すれば良い。
さらに、アクリル系樹脂に、効果が損なわれない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、着色剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤等の各種添加剤を加えても良い。
さらに、アクリル系樹脂に、効果が損なわれない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、着色剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤等の各種添加剤を加えても良い。
<層構成>
本発明の多層フィルムは、総厚みが50〜300μmの範囲である。総厚みが薄すぎるとハンドリングが困難となり、加飾成形用フィルム用途として相応しくなく、また多層フィルムを生産する上でも製膜が困難となる。一方、総厚みが厚すぎると、熱成形時のフィルム加熱に時間がかかり、熱成形性が低下するため好ましくない。
また本発明で好ましい多層フィルムの厚み組成は、A層の厚みが総厚みの5〜35%であり、10〜30%が好ましい。A層の厚みが薄すぎると、多層フィルムの搬送性やハンドリングが困難となり、耐熱性が不足するため好ましくない。厚すぎると光学歪みが生じやすく、トリミング性が悪くなるため好ましくない。
B−1層およびB−2層の厚みは、それぞれ20μm以上であることが好ましく、30μm以上がより好ましい。B−1層またはB−2層の厚みが20μmより薄いと、表面硬度が不十分となる。
本発明の多層フィルムは、総厚みが50〜300μmの範囲である。総厚みが薄すぎるとハンドリングが困難となり、加飾成形用フィルム用途として相応しくなく、また多層フィルムを生産する上でも製膜が困難となる。一方、総厚みが厚すぎると、熱成形時のフィルム加熱に時間がかかり、熱成形性が低下するため好ましくない。
また本発明で好ましい多層フィルムの厚み組成は、A層の厚みが総厚みの5〜35%であり、10〜30%が好ましい。A層の厚みが薄すぎると、多層フィルムの搬送性やハンドリングが困難となり、耐熱性が不足するため好ましくない。厚すぎると光学歪みが生じやすく、トリミング性が悪くなるため好ましくない。
B−1層およびB−2層の厚みは、それぞれ20μm以上であることが好ましく、30μm以上がより好ましい。B−1層またはB−2層の厚みが20μmより薄いと、表面硬度が不十分となる。
本発明の多層フィルムは、加飾成形用フィルムとして用いることができる。その多層フィルムとしては、位相差が小さく光学等方性に優れたものがよく、Reが30nm以下、好ましくは20nm以下、更に好ましくは10nm以下である。また透明性の高いものが好ましく、多層フィルムの全光線透過率は90%以上が好ましく、91%以上がより好ましく、92%以上がもっとも好ましい。また多層フィルムのヘイズは、1%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.5%以下がもっとも好ましい。
また本発明の多層フィルムは、表面硬度が高いものがよく、鉛筆硬度でF以上が好ましく、H以上がより好ましく、2H以上がもっとも好ましい。
また本発明の多層フィルムは、表面硬度が高いものがよく、鉛筆硬度でF以上が好ましく、H以上がより好ましく、2H以上がもっとも好ましい。
<多層フィルムの製造方法>
本発明の多層フィルムは、A層用の成形材料A、B−1層用の成形材料B−1およびB−2層用の成形材料B−2を共押出法で製造することができる。
共押出法は、成形材料A、成形材料B−1および成形材料B−2を別々の押出機を用いて溶融押出しし、フィードブロック、またはマルチマニホールドダイを用いて積層することにより多層フィルムを得る方法であり、各押出機の押出量や製膜速度、ダイスリップ間隔等を調整することにより、得られる多層フィルムの総厚み、および厚み組成をコントロールすることが可能である。
本発明の多層フィルムは、溶融した樹脂をロールやベルトに密着させてフィルム成形を行う。このときのロールやベルトの本数や配置、材質を適切に選択・配置することで光学歪みが小さいフィルムを得ることができる。例えば、金属ロールと金属弾性ロールの面で溶融樹脂の両面を接触、通過させる方法を用いることで、光学歪みが発生しやすいガラス転移温度付近での樹脂の分子配向を抑え、光学歪みを小さくすることができる。
本発明の多層フィルムは、A層用の成形材料A、B−1層用の成形材料B−1およびB−2層用の成形材料B−2を共押出法で製造することができる。
共押出法は、成形材料A、成形材料B−1および成形材料B−2を別々の押出機を用いて溶融押出しし、フィードブロック、またはマルチマニホールドダイを用いて積層することにより多層フィルムを得る方法であり、各押出機の押出量や製膜速度、ダイスリップ間隔等を調整することにより、得られる多層フィルムの総厚み、および厚み組成をコントロールすることが可能である。
本発明の多層フィルムは、溶融した樹脂をロールやベルトに密着させてフィルム成形を行う。このときのロールやベルトの本数や配置、材質を適切に選択・配置することで光学歪みが小さいフィルムを得ることができる。例えば、金属ロールと金属弾性ロールの面で溶融樹脂の両面を接触、通過させる方法を用いることで、光学歪みが発生しやすいガラス転移温度付近での樹脂の分子配向を抑え、光学歪みを小さくすることができる。
さらに、冷えて固まる前の溶融した樹脂に、金属ロールで狭圧し、金属鏡面を転写することができるため、多層フィルムの表面外観を良くすることが出来る。金属弾性ロールとしては、例えば、軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置され、溶融樹脂に接触する円筒形の金属製薄膜とを備えており、これら軸ロールと金属製薄膜との間に水や油などの温度制御された流体が封入されたものや、ゴムロールの表面に金属ベルトを巻いたものが例として挙げられる。中でも、2本以上のロールに金属ベルトを巻いた金属弾性ロールは、溶融樹脂をより円弧上の広い面で狭圧することで、樹脂内に応力を極力残さない状態にして冷却することができる。
共押出法の場合、一般にダイスから出た溶融樹脂を冷却ロールで冷却した後、ロール状に巻き取ることによりフィルムを製造するが、本発明ではその際に多層フィルムにプロテクトフィルムを付けて巻き取っても良い。特にアクリル系樹脂がゴム粒子を含まない場合、表面の滑り性が不足してそのまま巻き取ることが困難な場合があり、かかる場合にはプロテクトフィルムを付けて巻き取ることが好ましい。その際には、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の公知のプロテクトフィルムを用いることが出来る。また、アクリル系樹脂がゴム粒子を含み、得られる多層フィルムの表面の滑り性が良好な場合は、プロテクトフィルムを使用せずにそのまま巻き取ることも可能である。
[加飾成形用フィルム]
本発明の加飾成形用フィルムは、前述の多層フィルムの一方の面に加飾が施されたフィルムであり、インサート成形などフィルムと成形体が一体化する加飾成形に用いられるフィルムである。
加飾方法としては、印刷による図柄層の形成、金属または金属酸化物の薄膜層の形成等が挙げられ、これらを組み合わせて用いても良い。
図柄層を形成するための印刷方法としては、グラビア印刷、平板印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を製品形状や印刷用途に応じて使用することができる。金属、または金属酸化物の薄膜層形成の方法としては、蒸着、溶射法、メッキ法等が挙げられる。蒸着法として具体的には、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の方法を挙げることが出来る。また溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が挙げられる。メッキ法としては、無電解メッキ法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられる。これらの中でも蒸着法が容易に金属層形成可能であり、また品質面、環境対応の面からも好ましく使用される。
本発明の加飾成形用フィルムは、前述の多層フィルムの一方の面に加飾が施されたフィルムであり、インサート成形などフィルムと成形体が一体化する加飾成形に用いられるフィルムである。
加飾方法としては、印刷による図柄層の形成、金属または金属酸化物の薄膜層の形成等が挙げられ、これらを組み合わせて用いても良い。
図柄層を形成するための印刷方法としては、グラビア印刷、平板印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を製品形状や印刷用途に応じて使用することができる。金属、または金属酸化物の薄膜層形成の方法としては、蒸着、溶射法、メッキ法等が挙げられる。蒸着法として具体的には、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の方法を挙げることが出来る。また溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が挙げられる。メッキ法としては、無電解メッキ法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられる。これらの中でも蒸着法が容易に金属層形成可能であり、また品質面、環境対応の面からも好ましく使用される。
かくして多層フィルムの一方の面に加飾されたフィルムは、さらに粘着層や接着層を形成させても良い。かかる粘着層や接着層は、熱成形の際に、加飾成形基材と加飾成形用フィルムとの接着性を向上させるものである。通常、真空成形や圧空成形の場合は加飾された面が加飾成形基材側になることが多く、従って、かかる粘着層および接着層は、本発明の多層フィルムの加飾面の上に形成されることが好ましい。粘着層や接着層の材料としては、加飾成形用フィルム、および加飾成形基材の材質に適した感熱性または感圧性粘着剤や接着剤を適用することが出来る。粘着層や接着層を有する場合は、通常その上に離型フィルムを付けた形で提供される。
また、本発明の加飾成形用フィルムは、加飾成形基材とは反対側の表面に、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、金属蒸着コート等、各種の表面処理を行っても良い。
また、本発明の加飾成形用フィルムは、加飾成形基材とは反対側の表面に、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、金属蒸着コート等、各種の表面処理を行っても良い。
[加飾成形体]
本発明の加飾成形体は、加飾成形基材、および表面に形成された前述の加飾成形用フィルムを含む。加飾成形基材は、後述する各種部品の形状を有する成形体であり、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂等の各種樹脂で構成される。
加飾成形体としては、自動車内装材、自動車のインジケーターパネル、電化製品、化粧品ケース、建材内装および外装品、各種機器や製品および雑貨類のケース、スイッチ、キー、キーパット、ハンドル、レバー、ボタン、家電・AV機器であるパソコンや携帯電話およびモバイル機器のハウジングや外装部品等を挙げることができる。
加飾成形体は、加飾成形用フィルムを用いて、従来公知の各種成形を行うことにより表面に加飾された成形体を得ることができる。
本発明の加飾成形体は、加飾成形基材、および表面に形成された前述の加飾成形用フィルムを含む。加飾成形基材は、後述する各種部品の形状を有する成形体であり、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂等の各種樹脂で構成される。
加飾成形体としては、自動車内装材、自動車のインジケーターパネル、電化製品、化粧品ケース、建材内装および外装品、各種機器や製品および雑貨類のケース、スイッチ、キー、キーパット、ハンドル、レバー、ボタン、家電・AV機器であるパソコンや携帯電話およびモバイル機器のハウジングや外装部品等を挙げることができる。
加飾成形体は、加飾成形用フィルムを用いて、従来公知の各種成形を行うことにより表面に加飾された成形体を得ることができる。
成形法としては、射出成形における金型内加飾工法で、予め射出成形金型に沿うように真空成形された加飾成形用フィルムを金型内にセットし、そこに溶融樹脂を射出して射出成形と同時にフィルムを製品に溶着させるインサートモールド成形法が挙げられる。
また、射出成形金型内での加飾であるが、加飾成形用フィルムを金型キャビティ側に真空圧で貼り付けておき、射出成形時に同時成形して熱と圧力がかかることにより加飾成形用フィルムを成形体に貼合させる方法が挙げられる。
また、真空成形や圧空成形でラミネーションする方法が挙げられる。
熱成形の際の加飾成形用フィルムの加熱方法としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、高周波誘導、ハロゲンランプ、マイクロ波、高温誘導体(スチーム等)、レーザー等各種の方法を用いることが出来る。
また、射出成形金型内での加飾であるが、加飾成形用フィルムを金型キャビティ側に真空圧で貼り付けておき、射出成形時に同時成形して熱と圧力がかかることにより加飾成形用フィルムを成形体に貼合させる方法が挙げられる。
また、真空成形や圧空成形でラミネーションする方法が挙げられる。
熱成形の際の加飾成形用フィルムの加熱方法としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、高周波誘導、ハロゲンランプ、マイクロ波、高温誘導体(スチーム等)、レーザー等各種の方法を用いることが出来る。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例、比較例で行った物性測定は以下の方法で行った。
(1)多層フィルムの総厚み
アンリツ(株)製の電子マイクロ膜厚計で測定したフィルム幅方向における中央部の値である。フィルム幅方向とは製膜時のフィルム流れ方向に対して垂直な方向を表す。
アンリツ(株)製の電子マイクロ膜厚計で測定したフィルム幅方向における中央部の値である。フィルム幅方向とは製膜時のフィルム流れ方向に対して垂直な方向を表す。
(2)多層フィルムの各層厚み
(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX2000を用い、フィルム断面の観測により測定したフィルム幅方向における中央部の値である。
(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX2000を用い、フィルム断面の観測により測定したフィルム幅方向における中央部の値である。
(3)フィルムの面内位相差Re
王子計測機器(株)製の自動複屈折測定器KOBRA−21SDHを用いて測定波長590nmで入射角0°で測定したフィルム幅方向における中央部の値である。
王子計測機器(株)製の自動複屈折測定器KOBRA−21SDHを用いて測定波長590nmで入射角0°で測定したフィルム幅方向における中央部の値である。
(4)フィルムの表面硬度
JIS K 5600に従って、鉛筆硬度を測定した。
JIS K 5600に従って、鉛筆硬度を測定した。
(5)フィルムの全光線透過率、ヘイズ
日本電色工業(株)製のヘーズメーターNDH−5000型を用いて測定した。
日本電色工業(株)製のヘーズメーターNDH−5000型を用いて測定した。
(6)フィルムの表面性
投光器を用いてフィルムの投影像を目視観察し、ダイラインの有無を調べた。ダイラインがあった場合を×、なかった場合を○で表示した。
投光器を用いてフィルムの投影像を目視観察し、ダイラインの有無を調べた。ダイラインがあった場合を×、なかった場合を○で表示した。
(7)トリミング性
成形体外周に端面から30mmほど余分な多層フィルムがはみ出した加飾成形体をインサートモールド法により作成する。この余分なフィルムをトリミングする際に、手で折り曲げて容易に除去でき、さらに成形体端面にバリ残りなく取り除くことが出来るかで良否を判断した。
○:余分なフィルムを手で折り曲げて容易に除去することが出来、かつ成形体側にバリが残らない
×:余分なフィルムを手で折り曲げても容易には除去できない、または成形体側にもバリが残る。
成形体外周に端面から30mmほど余分な多層フィルムがはみ出した加飾成形体をインサートモールド法により作成する。この余分なフィルムをトリミングする際に、手で折り曲げて容易に除去でき、さらに成形体端面にバリ残りなく取り除くことが出来るかで良否を判断した。
○:余分なフィルムを手で折り曲げて容易に除去することが出来、かつ成形体側にバリが残らない
×:余分なフィルムを手で折り曲げても容易には除去できない、または成形体側にもバリが残る。
(8)熱成形性
真空成型法により、コーナーエッジの曲率半径が0.5mmの溝を有する直方体の金型にフィルムを転写させ、角部分まで転写されているかどうかをR面測定器で測定することで評価した。熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が1.5mm以下の場合は○、1.5mmを超える場合は×とした。
真空成型法により、コーナーエッジの曲率半径が0.5mmの溝を有する直方体の金型にフィルムを転写させ、角部分まで転写されているかどうかをR面測定器で測定することで評価した。熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が1.5mm以下の場合は○、1.5mmを超える場合は×とした。
(9)耐熱性
フィルムを200mm×50mmサイズにカットして、精密定規(最小目盛り0.5mm)を使って中央部に100.0mm標線を記入する。(但し0.25mm単位まで読み取ることとする。)140℃オーブンで90秒加熱後の標線の変化率を熱収縮率とした。熱収縮率が1%以下の場合は○、1%を超える場合は×とした。
熱収縮率(%)=(100.0−加熱後の標線長さ)/100.0×100
フィルムを200mm×50mmサイズにカットして、精密定規(最小目盛り0.5mm)を使って中央部に100.0mm標線を記入する。(但し0.25mm単位まで読み取ることとする。)140℃オーブンで90秒加熱後の標線の変化率を熱収縮率とした。熱収縮率が1%以下の場合は○、1%を超える場合は×とした。
熱収縮率(%)=(100.0−加熱後の標線長さ)/100.0×100
(10)エラストマーの固有粘度
o−クロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から求めた。
o−クロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から求めた。
(11)ポリカーボネートの粘度平均分子量
ポリカーボネートの粘度平均分子量(M)は、濃度0.7g/dLの塩化メチレン溶液の20℃での粘度測定から極限粘度[η]を求め、下記式より算出した。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
ポリカーボネートの粘度平均分子量(M)は、濃度0.7g/dLの塩化メチレン溶液の20℃での粘度測定から極限粘度[η]を求め、下記式より算出した。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
(12)ガラス転移温度(Tg)
TA Instruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度20℃/分で測定し、立ち下り点を求めた。
TA Instruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度20℃/分で測定し、立ち下り点を求めた。
[調製例](熱可塑性エラストマーの製造)
イソフタル酸ジメチル100重量部に対して、セバシン酸ジメチル13重量部、ヘキサメチレングリコール80重量部をジブチル錫ジアセテート触媒でエステル交換反応後、減圧下で重縮合して、固有粘度が1.06であり、DSC法による測定で結晶の融解に起因する吸熱ピークを示さない非晶性のポリエステル(ソフトセグメント)を得た。
上記ポリエステル100重量部に対して、固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレートのペレット(ハードセグメント)を32重量部添加し、更に240℃で45分反応させたのち、フェニルホスホン酸を0.03重量部添加して反応を停止させた。得られた重合体の融点は190℃、固有粘度は0.93であった。
イソフタル酸ジメチル100重量部に対して、セバシン酸ジメチル13重量部、ヘキサメチレングリコール80重量部をジブチル錫ジアセテート触媒でエステル交換反応後、減圧下で重縮合して、固有粘度が1.06であり、DSC法による測定で結晶の融解に起因する吸熱ピークを示さない非晶性のポリエステル(ソフトセグメント)を得た。
上記ポリエステル100重量部に対して、固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレートのペレット(ハードセグメント)を32重量部添加し、更に240℃で45分反応させたのち、フェニルホスホン酸を0.03重量部添加して反応を停止させた。得られた重合体の融点は190℃、固有粘度は0.93であった。
[実施例1]
(成形材料A)
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人(株)製パンライトL1250WP(粘度平均分子量23,900))、および上記[調製例]にて得た熱可塑性エラストマーを、それぞれ事前に予備乾燥し、ポリカーボネート樹脂/熱可塑性エラストマー=90/10(重量部)となるようにV型ブレンダーで混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度260℃で押出してペレット化し、A層用の成形材料Aを得た。成形材料Aのガラス転移温度は111℃であった。
(成形材料A)
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人(株)製パンライトL1250WP(粘度平均分子量23,900))、および上記[調製例]にて得た熱可塑性エラストマーを、それぞれ事前に予備乾燥し、ポリカーボネート樹脂/熱可塑性エラストマー=90/10(重量部)となるようにV型ブレンダーで混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度260℃で押出してペレット化し、A層用の成形材料Aを得た。成形材料Aのガラス転移温度は111℃であった。
(成形材料B−1およびB−2)
B−1層用の成形材料B−1およびB−2層用の成形材料B−2としてアクリル樹脂(デグサ製PLEXIGLAS8N;標準グレード)を用意した。
B−1層用の成形材料B−1およびB−2層用の成形材料B−2としてアクリル樹脂(デグサ製PLEXIGLAS8N;標準グレード)を用意した。
(共押出)
成形材料Aと成形材料B−1、およびB−2を、それぞれスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260℃(成形材料A)、250℃(成形材料B−1、B−2)、スクリュー回転数11rpm(成形材料A)、109rpm(成形材料B−1、B−2)の条件で、フィードブロック方式にて650mm幅のTダイから押出し、溶融樹脂を金属ロールと金属スリーブロールで狭圧して冷却した後、エッジトリミングして巻取速度10.3m/minで巻き取り、B−1層/A層/B−2層の3層構造を有するフィルム幅400mmの多層フィルムを作成した。製膜条件を表1に示す。なお、巻き取りにはポリエチレン系の弱粘着性のプロテクトフィルムを用いた。
得られた多層フィルムの総厚みは79μm、各層の厚みは、B−1層/A層/B−2層=37/7/35(μm)であり、A層の厚みが多層フィルムの総厚みの9%であった。これらはいずれもフィルム幅方向中央部の値であるが、幅方向の厚み斑は±3μmであり、また厚み組成の幅方向分布を測定したところ、各層で±2μm以内であり均一性の高いフィルムであった。Reは1.4nmと非常に低位相差であった。表面硬度、全光線透過率、ヘイズ等の評価結果を表1に示す。ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。金型形状へのフィルムの転写性は良好であり、コーナーエッジ部のフィルムの曲率半径は1.2mmであり、角部分まで正確に転写されていることが分かった。またトリミング性も良好であった。熱収縮率は0.75%であり、耐熱性も良好であった。
成形材料Aと成形材料B−1、およびB−2を、それぞれスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260℃(成形材料A)、250℃(成形材料B−1、B−2)、スクリュー回転数11rpm(成形材料A)、109rpm(成形材料B−1、B−2)の条件で、フィードブロック方式にて650mm幅のTダイから押出し、溶融樹脂を金属ロールと金属スリーブロールで狭圧して冷却した後、エッジトリミングして巻取速度10.3m/minで巻き取り、B−1層/A層/B−2層の3層構造を有するフィルム幅400mmの多層フィルムを作成した。製膜条件を表1に示す。なお、巻き取りにはポリエチレン系の弱粘着性のプロテクトフィルムを用いた。
得られた多層フィルムの総厚みは79μm、各層の厚みは、B−1層/A層/B−2層=37/7/35(μm)であり、A層の厚みが多層フィルムの総厚みの9%であった。これらはいずれもフィルム幅方向中央部の値であるが、幅方向の厚み斑は±3μmであり、また厚み組成の幅方向分布を測定したところ、各層で±2μm以内であり均一性の高いフィルムであった。Reは1.4nmと非常に低位相差であった。表面硬度、全光線透過率、ヘイズ等の評価結果を表1に示す。ダイラインは観察されず、表面性は良好であった。金型形状へのフィルムの転写性は良好であり、コーナーエッジ部のフィルムの曲率半径は1.2mmであり、角部分まで正確に転写されていることが分かった。またトリミング性も良好であった。熱収縮率は0.75%であり、耐熱性も良好であった。
[実施例2]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み128μm、A層の厚みが総厚みの16%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み128μm、A層の厚みが総厚みの16%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
[実施例3]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み121μm、A層の厚みが総厚みの31%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み121μm、A層の厚みが総厚みの31%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
[実施例4]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み296μm、A層の厚みが総厚みの19%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み296μm、A層の厚みが総厚みの19%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
[実施例5]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み299μm、A層の厚みが総厚みの32%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み299μm、A層の厚みが総厚みの32%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
[実施例6]
成形材料Aの比率をポリカーボネート樹脂/熱可塑性エラストマー=95/5(重量部)に変更し、各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み128μm、A層の厚みが総厚みの19%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
成形材料Aの比率をポリカーボネート樹脂/熱可塑性エラストマー=95/5(重量部)に変更し、各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み128μm、A層の厚みが総厚みの19%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。
[比較例1]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変え、Tダイから押し出した溶融樹脂を冷却ロールに一方の面をタッチさせて冷却した他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み252μm、A層の厚みが総厚みの16%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。Reが32.2nmと大きく、投影像を観察したところ、強いダイラインが観察され、表面外観に問題があった。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変え、Tダイから押し出した溶融樹脂を冷却ロールに一方の面をタッチさせて冷却した他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み252μm、A層の厚みが総厚みの16%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。Reが32.2nmと大きく、投影像を観察したところ、強いダイラインが観察され、表面外観に問題があった。
[比較例2]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み295μm、A層の厚みが総厚みの76%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。Reは47.1nmと高く、また割れにくく、トリミングが困難であった。熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径は8.4mmであり、熱成形性に問題があった。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み295μm、A層の厚みが総厚みの76%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。Reは47.1nmと高く、また割れにくく、トリミングが困難であった。熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径は8.4mmであり、熱成形性に問題があった。
[比較例3]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み112μm、A層の厚みが総厚みの71%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。実施例1と比較して表面硬度が劣っていた。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み112μm、A層の厚みが総厚みの71%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。実施例1と比較して表面硬度が劣っていた。
[比較例4]
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み35μm、A層の厚みが総厚みの17%に調整した多層フィルムを得た。しかし、フィルムが薄く、巻き取りの際に割れてしまう為、フィルムを巻き取る事が困難であった。製膜条件、評価結果を表1に示す。
各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み35μm、A層の厚みが総厚みの17%に調整した多層フィルムを得た。しかし、フィルムが薄く、巻き取りの際に割れてしまう為、フィルムを巻き取る事が困難であった。製膜条件、評価結果を表1に示す。
[比較例5]
成形材料Aにポリカーボネート樹脂ペレット(帝人(株)製パンライトL1250WP(粘度平均分子量23,900))のみを用い、 各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み295μm、A層の厚みが総厚みの30%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が6.1mmであり、熱成形性に問題があった。
成形材料Aにポリカーボネート樹脂ペレット(帝人(株)製パンライトL1250WP(粘度平均分子量23,900))のみを用い、 各押出機のスクリュー回転数、巻取速度を変えた他は、実施例1と同様に製膜して、総厚み295μm、A層の厚みが総厚みの30%に調整した多層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。熱成形後のコーナーエッジ部のフィルムの曲率半径が6.1mmであり、熱成形性に問題があった。
[比較例6]
成形材料Aを、フィードブロック方式ではなく単層方式で、スクリュー径40mmの単軸押出機によりシリンダー温度260℃で650mm幅のTダイから押出し、その後は実施例1と同様にして幅400mmのポリカーボネート単層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。実施例1と比較して表面硬度が劣っており、フィルムが割れにくく、トリミングが困難であった。
成形材料Aを、フィードブロック方式ではなく単層方式で、スクリュー径40mmの単軸押出機によりシリンダー温度260℃で650mm幅のTダイから押出し、その後は実施例1と同様にして幅400mmのポリカーボネート単層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。実施例1と比較して表面硬度が劣っており、フィルムが割れにくく、トリミングが困難であった。
[比較例7]
アクリル樹脂(デグサ製PLEXIGLAS8N;標準グレード)を、フィードブロック方式ではなく単層方式で、スクリュー径40mmの単軸押出機によりシリンダー温度250℃で650mm幅のTダイから押出し、その後は実施例1と同様にして幅400mmのアクリル単層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。熱収縮率が5.0%であり、耐熱性に劣っていた。
アクリル樹脂(デグサ製PLEXIGLAS8N;標準グレード)を、フィードブロック方式ではなく単層方式で、スクリュー径40mmの単軸押出機によりシリンダー温度250℃で650mm幅のTダイから押出し、その後は実施例1と同様にして幅400mmのアクリル単層フィルムを得た。製膜条件、評価結果を表1に示す。熱収縮率が5.0%であり、耐熱性に劣っていた。
本発明の多層フィルムは、加飾成形の材料として有用である。
Claims (10)
- ポリカーボネート樹脂および熱可塑性エラストマーを含む層(A層)の両面にアクリル系樹脂を含む層(B−1層およびB−2層)が積層され、総厚みが50〜300μmであり、A層の厚みが、総厚みの5%〜35%であり、かつ、波長590nmの入射角0°における面内位相差Reが30nm以下である多層フィルム。
- 熱可塑性エラストマーが、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5〜15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成される請求項1に記載の多層フィルム。
- 芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタンおよびビス(4−カルボキシフェニル)スルホンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載の多層フィルム。
- 脂肪族ジカルボン酸が、炭素数4〜12の直鎖状ジカルボン酸である請求項2に記載の多層フィルム。
- 前記B−1及びB−2層の厚みがそれぞれ20μm以上の請求項1〜4のいずれかに記載の多層フィルム。
- 押出機から出た溶融樹脂を金属ロールと金属弾性ロールで狭圧して製膜される請求項1〜5のいずれかに記載の多層フィルム。
- 全光線透過率が90%以上の請求項1〜6のいずれかに記載の多層フィルム。
- ヘイズが1%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の多層フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の多層フィルムの一方の面に加飾が施された加飾成形用フィルム。
- 請求項9に記載の加飾成形用フィルムを含む加飾成形体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014146787A JP2016022616A (ja) | 2014-07-17 | 2014-07-17 | 多層フィルム、加飾成形用フィルムおよび加飾成形体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018221580A1 (ja) * | 2017-05-31 | 2018-12-06 | 株式会社クラレ | 積層フィルム、積層成形体、およびこれらの製造方法 |
WO2023054533A1 (ja) | 2021-09-29 | 2023-04-06 | 株式会社クラレ | 押出樹脂積層フィルムとその製造方法 |
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2014
- 2014-07-17 JP JP2014146787A patent/JP2016022616A/ja active Pending
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