JP2022160099A - 保護フィルム付き熱成形用シート、加飾シートおよびこれを用いた成形体 - Google Patents

保護フィルム付き熱成形用シート、加飾シートおよびこれを用いた成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性と硬度を両立させた表面外観に優れた熱成形用シートや加飾シートおよびこれらを用いた成形体を歩留りよく提供する。【解決手段】ポリカーボネート系樹脂を含む層(A層)、アクリル系樹脂を含む層(B層)、アクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)およびポリカーボネート系樹脂を含む保護フィルム層(D層)の少なくとも四層をこの順に積層してなる保護フィルム付き成形用シートであり、前記A層とD層のガラス転移温度(Tg)が100℃以上145℃以下であり、かつ前記A層とD層のガラス転移温度差が20℃以下である保護フィルム付き熱成形用シート。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂成形品の表面に歩留りよく耐薬品性、耐擦傷性および意匠を付与するために、意匠や機能を付与したシートを熱成形により樹脂成形品と一体化する手法に好適に用いられる保護フィルム付き熱成形用シートや加飾シートおよびこれらを用いた成形体に関する。
近年、自動車デザインの多様化や自動車の軽量化の要求から、自動車への樹脂製の成形部品の採用数が増加している。これら樹脂成形部品には、木目調、金属調などの意匠や、耐薬品性、耐擦傷性などの機能が求められ、意匠付与および機能付与の手法として、加飾シートなどの特定の意匠または機能を付与したシートを樹脂成形品と一体化させる手法が提案されている。具体例として下記2つの手法が例示できる。(1)シートを予め熱成形(真空成形、圧空成形等)にて特定形状とし、これを射出成形金型にセットし、溶融樹脂を射出して、射出成形体を形成すると同時に予備成形シートと一体化させる方法、(2)予め作製した樹脂成形品にシートを熱成形により被覆する方法(三次元表面加飾成形)。これら(1)、(2)の手法はどちらもシートの熱成形が必須であり、用いられる熱成形用シートは、耐薬品性と耐擦傷性を持たせるためにハードコート層を有し、基材シートには意匠層のアピアランスを阻害しないように透明性が求められるため、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂およびポリエステル系樹脂が用いられるのが一般的である。
例えば、特許文献1には表面堅牢性と成形性を高度に両立するために、基材フィルム上に紫外線硬化型ハードコート層を形成した積層ハードコートフィルムにおいて、三次元成形前にハードコート層を弱い紫外線露光量で硬化させた後、三次元成形後に後露光を行うことで成型性と表面硬度の両立を図った、所謂二段硬化の例が開示されている。
上記手法では表面堅牢性と成形性の両立ができるものの、一般的にシートを熱成形する際にはハードコート層上に貼合されている保護フィルムを剥離してから成形するため、半硬化状態のハードコート層が工程中で暴露した状態となり、帯電による異物の表面付着や取り扱い時のキズが多数発生し、製品外観に悪影響を及ぼす。
また、特許文献2には保護フィルムを貼合したまま成形するために粘着剤付きの各種素材の保護フィルムが提案されているが、基材シートと保護フィルムの素材が異なると、熱成形時の変形挙動が異なり、シートの反りや保護フィルムの部分剥離が発生する問題がある。
特開2012-210755号公報 特開2020-90084号公報
本発明の目的は、成形性と硬度を両立させた表面外観に優れた熱成形用シートや加飾シートおよびこれらを用いた成形体を歩留りよく提供することである。特に、樹脂成形品の表面に耐薬品性、耐擦傷性を付与するために、それらの機能を付与したシートを熱成形により樹脂成形品と一体化する手法に用いるのに好適な保護フィルム付き熱成形用シートや加飾シートおよびこれらを用いた成形体を提供することである。
上記課題はポリカーボネート系樹脂を含む層(A層)、アクリル系樹脂を含む層(B層)、アクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)およびポリカーボネート系樹脂を含む保護フィルム層(D層)の少なくとも四層をこの順に積層してなる保護フィルム付き熱成形用シートにより解決されることを見出した。
すなわち、本発明によれば、下記の構成が提供される。
1.ポリカーボネート系樹脂を含む層(A層)、アクリル系樹脂を含む層(B層)、アクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)およびポリカーボネート系樹脂を含む保護フィルム層(D層)の少なくとも四層をこの順に積層してなる保護フィルム付き成形用シートであり、前記A層とD層のガラス転移温度(Tg)が100℃以上145℃以下であり、かつ前記A層とD層のガラス転移温度差の絶対値が20℃以下である保護フィルム付き熱成形用シート。
2.前記A層およびD層は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有し、該ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成される前項1に記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
3.前記AおよびD層は、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対し、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1~20重量部含有する前項2に記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
4.前記C層とD層が他の層を介さずに直接接している前項1~3のいずれかに記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
5.前記保護フィルム付き成形用シートの総厚みが0.05mm以上3mm以下の範囲にある前項1~4のいずれかに記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
6.前項1~5のいずれかに記載の保護フィルム付き熱成形用シートのA層のB層、C層およびD層側と反対側に加飾層を形成した保護フィルム付き加飾シート。
7.前項1~5に記載の保護フィルム付き熱成形用シートまたは前項6に記載の保護フィルム付き加飾シートを予め金型キャビティの形状に賦形後、金型内に配置し、樹脂材料の成形と同時に一体化させた成形体を作製し、しかる後、活性エネルギー線による後露光を行った後に、前記D層を剥離することを特徴とする成形体の製造方法。
8.前項1~5に記載の保護フィルム付き熱成形用シートまたは前項6に記載の保護フィルム付き加飾シートを、金型キャビティ側に真空圧で貼り付けておき、樹脂材料の成形と同時に一体化させた成形体を作製し、しかる後、活性エネルギー線による後露光を行った後に、前記D層を剥離することを特徴とする成形体の製造方法。
本発明の保護フィルム付き熱成形用シートや加飾シートは、成形性と硬度および工程歩留り向上が可能な表面外観に優れた保護フィルム付き熱成形用シートや加飾シートであり、殊に樹脂成形品の表面に耐薬品性、耐擦傷性を付与するために、それらの機能を付与したシートを熱成形により樹脂成形品と一体化する手法に用いるのに好適な保護フィルム付き熱成形用シートや加飾シートであり、これらを用いた樹脂成形体は自動車内装材、電化製品、化粧品ケース、建材内装および外装品等に使用でき、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(ポリカーボネート系樹脂を含む層(A層))
本発明のA層に用いられるポリカーボネート系樹脂は、ジヒドロキシ化合物が炭酸エステル結合により結ばれたポリマーであり、通常、ジヒドロキシ成分とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させて得られるものである。
ジヒドロキシ成分の代表的な例としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、9,9-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン、イソソルビド、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。これらを単独で使用したホモポリマーでも、2種類以上共重合した共重合体であっても良い。物性面、コスト面からビスフェノールAが好ましい。本発明ではビスフェノール成分の50モル%以上がビスフェノールAおよび/またはビスフェノールCであるポリカーボネートが好ましく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
具体的なポリカーボネートとして、ビスフェノールAのホモポリマー、ビスフェノールCのホモポリマー、ビスフェノールAとビスフェノールCのとの2元共重合体、ビスフェノールAと1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンとの2元共重合体、ビスフェノールAと9,9-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}フルオレンとの2元共重合体等を挙げることができる。ビスフェノールAのホモポリマーが最も好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を界面重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で表して13,000~40,000の範囲が好ましい。該分子量が13,000より低いとシートとして脆くなり、熱成形の際に割れやバリが生じやすくなる場合があり、また40,000より高いとポリエステル系熱可塑性エラストマーとの樹脂組成物としてもその溶融粘度が高くなりすぎて溶融製膜が困難となる場合がある。分子量は、より好ましくは15,000~35,000、さらに好ましくは20,000~32,000、特に好ましくは22,000~28,000である。ポリカーボネート樹脂が2種以上の混合物の場合は混合物全体での分子量を表す。ここで粘度平均分子量とは、塩化メチレン100mLにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記式から粘度平均分子量(M)を算出したものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10-40.83
(但しc=0.7g/dL、[η]は極限粘度)
本発明のポリカーボネート系樹脂を含む層(A層)のガラス転移温度は、100℃以上145℃以下の範囲であることが必要であり、好ましくは110℃以上140℃以下、より好ましくは120℃以上130℃以下である。ガラス転移温度が上記範囲よりも高くなると、熱成形温度を高くする必要があり、熱成形時の被熱によってアクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)の熱ラジカル重合が開始してしまい、成形後クラック等の外観不良が発生してしまう。また、ガラス転移温度が上記範囲よりも低くなると、A層の熱成形に適正な成形温度がアクリル系樹脂を含む層(B層)またはアクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)のガラス転移温度を下回ってしまい、熱成形することができなくなる。ここで、ガラス転移温度とは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した値をいう。
該A層のガラス転移温度の調整方法は特に限定されることはないが、熱成形用シートの透明性を確保するために、ポリカーボネート系樹脂にポリエステル系熱可塑性エラストマーをブレンドする手法が好ましい。また、該ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成されるマルチブロック共重合体であることが好ましい。
該ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントはポリカーボネート樹脂との相溶性に優れ、透明性や熱成形性の点から好ましく、また強度等の面でも良好な特性を有する。ポリブチレンテレフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を共重合成分として含んでも良い。かかる共重合成分の割合は、ジカルボン酸成分およびジオール成分共にそれぞれの全成分100モル%中、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。ハードセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2~2.0、より好ましくは0.5~1.5の範囲である。
該芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントは、該セグメントから形成されたポリマーの融点が100℃以下、または100℃において液状で非晶性を示すセグメントのことを示す。ソフトセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2~2.0、より好ましくは0.5~1.5の範囲である。使用されるソフトセグメントは、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族カルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分するポリエステル単位からなるソフトセグメントである。(以下“SS-1”と称する場合がある)。SS-1は極めて良好な透明性が得られる点から好適である。
ソフトセグメントSS-1は、より良好な透明性を得られる点からジカルボン酸成分の合計100モル%中、芳香族ジカルボン酸の含有量が60~99モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が1~40モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が70~95モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が5~30モル%であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が85~93モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が7~15モル%であることがさらに好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が89~92モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が8~11モル%であることが特に好ましい。
SS-1の芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルカルボン酸、ビス(4-カルボキシフェニル)メタンおよびビス(4-カルボキシフェニル)スルホンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好適であり、テレフタル酸およびイソフタル酸がより好適であり、特に結晶性低下の点からイソフタル酸が好適である。
SS-1の脂肪族ジカルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、およびセバチン酸等の炭素数4~12の直鎖状脂肪族ジカルボン酸が好適であり、特にセバシン酸が好適である。
SS-1の炭素数5~15のジオール成分としては、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、3-メチルペンタンジオール、および2-メチルオクタメチレンジオール等の炭素数6~12の直鎖状脂肪族ジオールがより好ましく、特にヘキサメチレングリコールが好ましい。
SS-1は、ポリカーボネート樹脂との相溶性が高く、透明性が高いものを得ることが出来、また熱成形後の表面性や透明性も良好であるという観点から特に好ましい。SS-1としてより具体的には、イソフタル酸およびセバシン酸成とヘキサメチレングリコールからなるポリエステルが好ましい。
本発明では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーにおけるハードセグメントとソフトセグメントとの割合は、エラストマー100重量%中、ハードセグメントが20~70重量%およびソフトセグメントが80~30重量%であることが適切であり、ハードセグメントが20~40重量%およびソフトセグメントが80~60重量%であることがより好ましい。ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度(o-クロロフェノール中、35℃での測定された値)は0.6以上が好ましく、0.8~1.5の範囲がより好ましく、0.8~1.2の範囲がさらに好ましい。固有粘度が上記範囲より低い場合にはシート強度が低下するおそれがあり好ましくない。
本発明では、A層中のポリカーボネート系樹脂100重量部に対し、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1~20重量部含有することが好ましい。ポリエステル系熱可塑性エラストマーが1重量部を下回るとA層のガラス転移温度は145℃を超えてしまう場合があり、20重量部を超えると、A層のガラス転移温度は100℃を下回ってしまう場合がある。
A層の厚みは20~3000μmの範囲が好ましく、30~2500μmの範囲がより好ましく、40~2000μmの範囲がさらに好ましく、50~1500μmの範囲が特に好ましく、100~1000μmの範囲がもっとも好ましい。
本発明のA層には、それぞれの樹脂において一般的に用いられる各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料等が挙げられる。また本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス繊維等の強化フィラーを含有していてもよい。
(アクリル系樹脂を含む層(B層))
本発明においてB層に使用されるアクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの重合体を主体とするものであることが好ましい。B層としてアクリル系樹脂以外の樹脂を使用した場合、たとえばポリカーボネート樹脂では積層フィルムの表面硬度が低く、成形体に傷が付きやすく好ましくない。また、PET樹脂では厚みムラによる外観不良が生じやすく好ましくない。アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチルを好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含む共重合体であることが好ましい。
他の共重合成分として、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。また他の共重合成分として、他のエチレン性不飽和単量体が挙げられる。具体的にはスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物、1,3-ブタジエン、イソプレン等のジエン系化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアルケニルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N-置換マレイミド等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合成分の含有量は、好ましくは0~50重量%、より好ましくは0~30重量%、さらに好ましくは0~20重量%である。アクリル樹脂の製造方法は一般に、乳化重合法、懸濁重合法、連続重合法に大別されるが、本発明に用いられるアクリル樹脂はいずれの重合方法により製造されたものであっても良い。またB層に一般的な熱安定剤、着色剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤等の各種添加剤を加えても良い。
本発明のB層には、ゴム粒子を添加することもできるが、実質的にゴム粒子を含まないことが好ましい。アクリル樹脂にゴム粒子を加えることによる靭性改善等は公知の技術であり広く用いられているが、透明性および表面硬度確保の観点から含まないことが好ましい。
B層の厚みは5~300μmの範囲が好ましく、8~250μmの範囲がより好ましく、10~200μmの範囲がさらに好ましく、20~150μmの範囲が特に好ましく、30~100μmの範囲がもっとも好ましい。
(アクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層))
本発明のC層を構成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物は、アクリレートまたはウレタンアクリレートなどのアクリレート系樹脂を含有する。その含有量は、C層の全固形分中、70~95重量%の範囲にあることが好ましい。70重量%未満であると塗膜の凝集力や耐薬品性、耐擦傷性、光学特性等が低下する場合がある。95重量%超であると、光重合の開始が遅くなるため、生産性に劣る場合がある。
本発明におけるC層に含有されるアクリレート系樹脂は、オリゴマー、プレポリマーのいずれであってもよく、特に制限されるものではない。
アクリレート系樹脂組成物の未硬化物(組成物C)のガラス転移温度は30~150℃であることが好ましく、35~140℃であることがさらに好ましく、40~130℃で
あることが特に好ましい。ガラス転移温度が30℃未満のアクリレート系樹脂を使用すると、未硬化物の状態で加熱乾燥後の塗膜にタック性があり、ロール巻取り時にブロッキングが発生しやすくなる場合がある。ガラス転移点が150℃超であると、成形時に充分な被熱が与えられず、割れが発生する場合がある。
また、アクリレート系樹脂組成物の未硬化物(組成物C)に紫外線等の活性エネルギー線を照射し、硬化させた後の硬化層の鉛筆硬度はH以上であることが好ましい。鉛筆硬度を当該範囲にすることによって、耐摩耗性が向上するメリットがある。鉛筆硬度がH以上であると、耐擦傷性が十分になる。
ここで、鉛筆硬度とは、実施例で後述するように、アクリレート系樹脂組成物の未硬化物(組成物C)を塗工乾燥したシートを積算光量1000mJ/cmにて紫外線照射し、塗膜を硬化させて試験片とし、塗膜の鉛筆硬度をJIS K5600-5-4-1999に準拠して測定した値をいう。
本発明において、C層には光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤を含有させることによって、光(紫外線)照射によるハードコート層の重合硬化反応を短時間に行うことができる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル)チタニウム、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
C層の固形分中に含有する光重合開始剤は、C層の全固形分中、0.01~10重量%であることが好ましく、0.1~5重量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤の含有量が0.01重量%未満では光硬化性が低下する場合があり、10重量%を超えて配合した場合には、C層の着色の発生を招く場合があり、光硬化反応の進行が変わらないことから経済的に不利となる場合がある。また、光硬化性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。
C層の厚みは1~50μmの範囲が好ましく、2~30μmの範囲がより好ましく、2.5~20μmの範囲がさらに好ましく、3~10μmの範囲が特に好ましい。
C層には状況に応じてレベリング剤、消泡剤、防汚剤等の界面活性剤や、表面改質剤等の添加剤や、有機フィラー、無機フィラー等のフィラーを添加することができる。
(ポリカーボネート系樹脂を含む保護フィルム層(D層))
本発明のD層に用いられるポリカーボネート系樹脂は、ジヒドロキシ化合物が炭酸エステル結合により結ばれたポリマーであり、通常、ジヒドロキシ成分とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させて得られるものである。
ジヒドロキシ成分の代表的な例としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェ
ニル}プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、9,9-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン、イソソルビド、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。これらを単独で使用したホモポリマーでも、2種類以上共重合した共重合体であっても良い。物性面、コスト面からビスフェノールAが好ましい。本発明ではビスフェノール成分の50モル%以上がビスフェノールAおよび/またはビスフェノールCであるポリカーボネートが好ましく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
具体的なポリカーボネートとして、ビスフェノールAのホモポリマー、ビスフェノールCのホモポリマー、ビスフェノールAとビスフェノールCのとの2元共重合体、ビスフェノールAと1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンとの2元共重合体、ビスフェノールAと9,9-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}フルオレンとの2元共重合体等を挙げることができる。ビスフェノールAのホモポリマーが最も好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を界面重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で表して13,000~40,000の範囲が好ましい。該分子量が13,000より低いとシートとして脆くなり、熱成形の際に割れやバリが生じやすくなる場合があり、また40,000より高いとポリエステル系熱可塑性エラストマーとの樹脂組成物としてもその溶融粘度が高くなりすぎて溶融製膜が困難となる場合がある。分子量は、より好ましくは15,000~35,000、さらに好ましくは20,000~32,000、特に好ましくは22,000~28,000である。ポリカーボネート樹脂が2種以上の混合物の場合は混合物全体での分子量を表す。ここで粘度平均分子量とは、塩化メチレン100mLにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記式から粘度平均分子量(M)を算出したものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10-40.83
(但しc=0.7g/dL、[η]は極限粘度)
本発明のポリカーボネート系樹脂を含む保護フィルム層(D層)のガラス転移温度は、
100℃以上145℃以下の範囲であることが必要であり、好ましくは110℃以上140℃以下、より好ましくは120℃以上130℃以下である。ガラス転移温度が上記範囲よりも高くなると、熱成形温度を高くする必要があり、熱成形時の被熱によってアクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)の熱ラジカル重合が開始してしまい、成形後クラック等の外観不良が発生してしまう。また、ガラス転移温度が上記範囲よりも低くなると、D層の熱成形に適正な成形温度がアクリル系樹脂を含む層(B層)またはアクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)のガラス転移温度を下回ってしまい、熱成形することができなくなる。ここで、ガラス転移温度とは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した値をいう。
該D層のガラス転移温度の調整方法は特に限定されることはないが、A層と同様にポリカーボネート系樹脂にポリエステル系熱可塑性エラストマーをブレンドする手法が好ましい。また、該ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成されるマルチブロック共重合体であることが好ましい。
該ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントはポリカーボネート樹脂との相溶性に優れ、透明性や熱成形性の点から好ましく、また強度等の面でも良好な特性を有する。ポリブチレンテレフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を共重合成分として含んでも良い。かかる共重合成分の割合は、ジカルボン酸成分およびジオール成分共にそれぞれの全成分100モル%中、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。ハードセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2~2.0、より好ましくは0.5~1.5の範囲である。
該芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントは、該セグメントから形成されたポリマーの融点が100℃以下、または100℃において液状で非晶性を示すセグメントのことを示す。ソフトセグメントとなるポリマーの固有粘度は、好ましくは0.2~2.0、より好ましくは0.5~1.5の範囲である。使用されるソフトセグメントは、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族カルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分するポリエステル単位からなるソフトセグメントである。(以下“SS-1”と称する場合がある)。SS-1は極めて良好な透明性が得られる点から好適である。
ソフトセグメントSS-1は、より良好な透明性を得られる点からジカルボン酸成分の合計100モル%中、芳香族ジカルボン酸の含有量が60~99モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が1~40モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が70~95モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が5~30モル%であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が85~93モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が7~15モル%であることがさらに好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が89~92モル%および脂肪族ジカルボン酸の含有量が8~11モル%であることが特に好ましい。
SS-1の芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルカルボン酸、ビス(4-カルボキシフェニル)メタンおよびビス(4-カルボキシフェニル)スルホンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好適であり、テレフタル酸およ
びイソフタル酸がより好適であり、特に結晶性低下の点からイソフタル酸が好適である。
SS-1の脂肪族ジカルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、およびセバチン酸等の炭素数4~12の直鎖状脂肪族ジカルボン酸が好適であり、特にセバシン酸が好適である。
SS-1の炭素数5~15のジオール成分としては、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、3-メチルペンタンジオール、および2-メチルオクタメチレンジオール等の炭素数6~12の直鎖状脂肪族ジオールがより好ましく、特にヘキサメチレングリコールが好ましい。
SS-1は、ポリカーボネート樹脂との相溶性が高く、透明性が高いものを得ることが出来、また熱成形後の表面性や透明性も良好であるという観点から特に好ましい。SS-1としてより具体的には、イソフタル酸およびセバシン酸成とヘキサメチレングリコールからなるポリエステルが好ましい。
本発明では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーにおけるハードセグメントとソフトセグメントとの割合は、エラストマー100重量%中、ハードセグメントが20~70重量%およびソフトセグメントが80~30重量%であることが適切であり、ハードセグメントが20~40重量%およびソフトセグメントが80~60重量%であることがより好ましい。ポリエステル系熱可塑性エラストマーの固有粘度(o-クロロフェノール中、35℃での測定された値)は0.6以上が好ましく、0.8~1.5の範囲がより好ましく、0.8~1.2の範囲がさらに好ましい。固有粘度が上記範囲より低い場合にはシート強度が低下するおそれがあり好ましくない。
本発明では、D層中のポリカーボネート系樹脂100重量部に対し、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1~20重量部含有することが好ましい。ポリエステル系熱可塑性エラストマーが1重量部を下回るとD層のガラス転移温度は145℃を超えてしまう場合があり、20重量部を超えると、D層のガラス転移温度は100℃を下回ってしまう場合がある。
D層の厚みは10~100μmの範囲が好ましく、15~50μmの範囲がより好ましく、150~30μmの範囲がもっとも好ましい。
また、本発明において、C層とD層は、粘着層などの他の層を介さずに直接接している方が、より成形性に優れ、得られる成形品の外観表面が良好となることから好ましい。
本発明のD層には、それぞれの樹脂において一般的に用いられる各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料等が挙げられる。また本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス繊維等の強化フィラーを含有していてもよい。
(A層とD層のガラス転移温度差)
本発明のA層とD層のガラス転移温度差の絶対値は20℃以下であることが必須である。ガラス転移温度差の絶対値が20℃より大きいと、熱成形時の変形挙動が異なり、D層とC層間で部分的な剥離が発生したり、成形後のシートが大きく反る原因となる。A層とD層のガラス転移温度差の絶対値は15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
(保護フィルム付き熱成形用シートの製造方法)
本発明の熱成形用シートを構成するA層とB層の積層シートは、A層用の成形材料A、
B層用の成形材料Bを共押出法で製造することができる。共押出法は、成形材料A、成形材料Bを別々の押出機を用いて溶融押出しし、フィードブロック、またはマルチマニホールドダイを用いて積層することにより多層シートを得る方法であり、各押出機の押出量や製膜速度、ダイスリップ間隔等を調整することにより、得られる積層シートの総厚み、および厚み組成をコントロールすることが可能である。
積層シートは、溶融した樹脂をロールやベルトに密着させてシート成形を行う。さらに、冷えて固まる前の溶融した樹脂に、金属ロールで狭圧し、金属鏡面を転写することができるため、積層シートの表面外観を良くすることが出来る。金属弾性ロールとしては、例えば、軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置され、溶融樹脂に接触する円筒形の金属製薄膜とを備えており、これら軸ロールと金属製薄膜との間に水や油などの温度制御された流体が封入されたものや、ゴムロールの表面に金属ベルトを巻いたものが例として挙げられる。中でも、2本以上のロールに金属ベルトを巻いた金属弾性ロールは、溶融樹脂をより円弧上の広い面で狭圧することで、樹脂内に応力を極力残さない状態にして冷却することができる。
本発明の熱成形用シートを構成するC層を上記A層とB層の積層シート上に積層するためには、塗布法が一般的である。塗工方法については特に限定しないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工など、塗膜厚さの調整が容易な方式で塗工が可能である。塗工工程では、アクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)と必要に応じてヒンダードアミン系化合物、開始剤、その他添加剤等を適当な溶媒に溶解、分散した塗料を積層シート上に塗工、乾燥してC層を形成する。溶媒としては、組成物Cの溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等) 、エステル類( 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類、アミド類などが例示できる。また、溶媒は単独で使用しても混合して使用してもよい。
本発明の保護フィルム層(D層)を積層させるためには、熱ラミネート加工が好適である。ラミネート温度をC層のガラス転移温度より高くすることでC層が軟化し、溶着することでD層と所望の界面接着強度を有することができる。
本発明の保護フィルム付き熱成形用シートの厚みは、特に限定されないが、0.05mm以上3mm以下が好ましく、0.1mm以上2.5mm以下がより好ましく、0.15mm以上2mm以下がさらに好ましく、0.2mm以上1mm以下が特に好ましい。
(加飾シートの製造方法)
本発明の保護フィルム付き熱成形用シートには、A層のB層とは反対側に印刷等による加飾層を設けることができる。加飾層の形成方法としては、印刷による図柄層の形成、金属または金属酸化物の薄膜層の形成等が挙げられ、これらを組み合わせて用いても良い。図柄層を形成するための印刷方法としては、グラビア印刷、平板印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を製品形状や印刷用途に応じて使用することができる。金属、または金属酸化物の薄膜層形成の方法としては、蒸着、溶射法、メッキ法等が挙げられる。蒸着法として具体的には、真空蒸着法、ス
パッタリング、イオンプレーティング、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の方法を挙げることが出来る。また溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が挙げられる。メッキ法としては、無電解メッキ法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられる。
(成形体の製造方法)
本発明の保護フィルム付き熱成形用シートまたは加飾シートを用いて、成形体を作成することができる。成形体としては、自動車内装材、自動車のインジケーターパネル、電化製品、化粧品ケース、建材内装および外装品、各種機器や製品および雑貨類のケース、スイッチ、キー、キーパット、ハンドル、レバー、ボタン、家電・AV機器であるパソコンや携帯電話およびモバイル機器のハウジングや外装部品等を挙げることができる。
成形体は、保護フィルム付き熱成形用シートまたは加飾シートを用いて、従来公知の各種成形を行うことにより成形体を得ることができる。
成形体の成形法としては、射出成形における金型内加飾工法で、予め射出成形金型キャビティの形状に沿うように真空成形や圧空成形等により賦形した保護フィルム付き熱成形用シートまたは加飾シートを金型内にセットし、そこに溶融樹脂を射出して射出成形と同時に保護フィルム付き熱成形用シートまたは加飾シートを樹脂成形品に溶着して一体化させて成形体を得るインサートモールド成形法が挙げられる。
また、他の成形体の成形法としては、保護フィルム付き熱成形用シートまたは加飾シートを金型キャビティ側に真空圧で貼り付けておき、そこに溶融樹脂を射出して、熱と圧力がかかることにより保護フィルム付き熱成形用シートまたは加飾シートを樹脂成形品に貼合させて成形体を得る成形法が挙げられる。
さらに、真空成形や圧空成形でラミネーションする方法が挙げられる。熱成形の際の加飾成形用フィルムの加熱方法としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、高周波誘導、ハロゲンランプ、マイクロ波、高温誘導体(スチーム等)、レーザー等各種の方法を用いることが出来る。
作成された成形体は、冷却あるいは放冷され、続いてC層は、放射線(紫外線、可視光線、赤外線または電子線)を照射することにより硬化される。これらの放射線は、偏光であっても、無偏光であってもよい。特に、設備コスト、安全性、ランニングコスト等の観点から紫外線が好適である。紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。紫外線のエネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などが好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、100~5,000mJ/cmの範囲が好ましく、300~3,000mJ/cmがより好ましい。照射量が100mJ/cm未満の場合は、硬化が不十分となり、硬度が低下する場合がある。また5,000mJ/cmを超えると、C層が着色して透明性が低下する場合がある。放射線照射時における酸素濃度は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下が特に好ましい。酸素不含又は低濃度雰囲気には、酸素以外に含まれる気体は不活性ガスが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられる。
また、保護フィルム層(D層)はC層の硬化後に剥離することができる。C層の硬化前にD層を剥離しようとすると、未硬化のC層の一部が剥離時にD層に転写する懸念があるため、C層の硬化後に剥離することが好ましい。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例、比較例で行った物性測定は以下の方法で行った。
(ガラス転移温度)
TA Instruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度20℃/分で測定し、立ち下り点を求めた。
(熱成形用シートの総厚み)
アンリツ(株)製の電子マイクロ膜厚計で測定したシート幅方向における中央部の値である。シート幅方向とは製膜時のシート流れ方向に対して垂直な方向を表す。
(成形品の表面外観)
二軸延伸試験装置(東洋精機社製)を用いて、A層のガラス転移温度+20℃の温度で保護フィルム付き熱成形用シートを1分間予熱した後、同温度にて、延伸倍率1.3倍に延伸し、D層側から積算光量2000mJ/cmにて紫外線照射してC層を硬化した。その後、保護フィルム(D層)を剥離した後のシート表面外観を下記の指標で評価した。〇:キズおよび異物の付着がない
△:若干のキズおよび若干の表面変形が見られる
×:キズおよび表面変形が見られる
(鉛筆硬度)
上述した(成形品の表面外観)の評価で作成した保護フィルム(D層)を剥離した後のシートの硬化したC層の鉛筆硬度をJIS K5600-5-4-1999に準拠して測定した。
(成形性)
二軸延伸試験装置(東洋精機社製)を用いて、A層の(ガラス転移温度+20)℃の温度で保護フィルム付き熱成形用シートを1分間予熱した後、同温度にて、延伸倍率1.3倍に延伸した際のシート外観を下記の指標で評価した。
〇:クラックおよび白濁が認められない
△:弱いクラックまたは若干の白濁が認められる
×:クラックまたは白濁が認められる
[調製例1](ポリエステル系熱可塑性エラストマーの製造)
イソフタル酸ジメチル100重量部に対して、セバシン酸ジメチル13重量部、ヘキサメチレングリコール80重量部をジブチル錫ジアセテート触媒でエステル交換反応後、減圧下で重縮合して、固有粘度が1.06であり、DSC法による測定で結晶の融解に起因する吸熱ピークを示さない非晶性のポリエステル(ソフトセグメント)を得た。上記ポリエステル100重量部に対して、固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレートのペレット(ハードセグメント)を32重量部添加し、更に240℃で45分反応させたのち、フェニルホスホン酸を0.03重量部添加して反応を停止させた。得られた重合体の融点は190℃、固有粘度は0.93であった。
[実施例1]
(成形材料A)
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人(株)製パンライトL1250WP(ビスフェノールAのホモポリカーボネート樹脂(PC-A、粘度平均分子量23,900)、および上記[調製例1]にて得た熱可塑性エラストマーを、それぞれ事前に予備乾燥し、ポリカーボネート樹脂ペレット100重量部に対して熱可塑性エラストマー1重量部となるようにV型ブレンダーで混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度260℃で押出してペレット化し、A層用の成形材料Aを得た。成形材料Aのガラス転移温度は145℃であった。
(成形材料B)
B層用の成形材料Bとしてアクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製Acrypet VH-001、メタクリル酸メチル95モル%とアクリル酸メチル5モル%を共重合したアクリル樹脂)を用意した。
(共押出)
成形材料Aと成形材料Bを、それぞれスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260℃(成形材料A)、250℃(成形材料B)、スクリュー回転数109rpm(成形材料A)、11rpm(成形材料B)の条件で、フィードブロック方式にて650mm幅のTダイから押出し、溶融樹脂を金属ロールと金属スリーブロールで狭圧して冷却した後、エッジトリミングして巻取速度10.3m/minで巻き取り、A層/B層の2層構造(A層440μm、B層60μm)を有する幅400mmの積層シートを作成した。
(成形材料D)
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人(株)製パンライトL1250WP(ビスフェノールAのホモポリカーボネート樹脂(PC-A)、粘度平均分子量23,900))、および上記[調製例1]にて得た熱可塑性エラストマーを、それぞれ事前に予備乾燥し、ポリカーボネート樹脂ペレット100重量部に対して熱可塑性エラストマー1重量部となるようにV型ブレンダーで混合した後、2軸押出機を用いてシリンダー温度260℃で押出してペレット化し、D層用の成形材料Dを得た。成形材料Dのガラス転移温度は145℃であった。
(保護フィルムの押出成形)
成形材料Dをスクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数54rpmの条件で、650mm幅のTダイから押出し、溶融樹脂を金属ロールと金属スリーブロールで狭圧して冷却した後、エッジトリミングして巻取速度20.3m/minで巻き取り、厚み50μm、幅400mmの保護フィルム層(D層)を作成した。
(塗料調整)
C層を形成する塗料として、ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「フォルシードNo.371C(商品名)」(固形分40%、中国塗料(株)製)100重量部、イルガキュア184(光重合開始剤、(株)チバスペシャリティーケミカル製)5重量部、ヒンダードアミン系化合物TINUVIN292(商品名)」(BASF(株)製)5重量部をメチルイソブチルケトンで紫外線硬化性樹脂の塗料中の固形分濃度が30%となるまで希釈し十分攪拌して塗料を調製した。
(塗工)
A層とB層の積層シートのB層側に、上記C層を形成する塗料を、バーコーター(#8)を用いて塗工し、80℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ、塗膜厚み5μmのC層を形成した。しかる後、C層上に保護フィルム(D層)を配置し、100℃に加熱したニップロールで挟圧し熱ラミネートした後冷却し、厚み約0.55mmの保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[実施例2]
(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層120μm、B層30μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Aと成形材料Dの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[実施例3]
(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層200μm、B層50μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Aと成形材料Dの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[実施例4]
(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層40μm、B層10μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Aと成形材料Dの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[実施例5]
(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層360μm、B層90μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Aと成形材料Dの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[実施例6]
成型材料Aのポリカーボネート樹脂ペレットの製造時に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)に替えて2,2-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}プロパン(通称ビスフェノールC)を使用し、エラストマーを含有しないポリカーボネート樹脂ペレット(PC-C、粘度平均分子量21,500)を得、A層用の成形材料Aとした。また、(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層120μm、B層30μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Dの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[実施例7]
(塗工)工程で、厚み100μmの粘着層を使用した以外は、実施例2と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[比較例1]
成形材料Aにポリエステル系熱可塑性エラストマーを添加せず、(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層2000μm、B層450μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Dの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[比較例2、3]
(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層760μm、B層190μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Aと成形材料Dの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、保護フィルム付き熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
[比較例4]
(共押出)工程で、A層/B層の2層構造(A層760μm、B層190μm)を有する幅400mmの積層シートを作成し、成形材料Aの熱可塑性エラストマーの含有量を表1に示すように変更し、且つ保護フィルム(D層)を積層しなかった以外は実施例1と同様にして、熱成形用シートを作成した。各種評価結果を表1に示した。
Figure 2022160099000001
本発明の熱成形用シートおよび加飾シートは、成形性および硬度に優れ、該熱成形用シートおよび加飾シートを用いた成形体は、自動車内装材、自動車のインジケーターパネル、電化製品、化粧品ケース、建材内装および外装品、各種機器や製品および雑貨類のケース、スイッチ、キー、キーパット、ハンドル、レバー、ボタン、家電・AV機器であるパソコンや携帯電話およびモバイル機器のハウジングや外装部品として有用である。

Claims (8)

  1. ポリカーボネート系樹脂を含む層(A層)、アクリル系樹脂を含む層(B層)、アクリレート系活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(組成物C)の未硬化物から形成された層(C層)およびポリカーボネート系樹脂を含む保護フィルム層(D層)の少なくとも四層をこの順に積層してなる保護フィルム付き成形用シートであり、前記A層とD層のガラス転移温度(Tg)が100℃以上145℃以下であり、かつ前記A層とD層のガラス転移温度差の絶対値が20℃以下である保護フィルム付き熱成形用シート。
  2. 前記A層およびD層は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有し、該ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、炭素数5~15のジオールをジオール成分とするポリエステル単位からなるソフトセグメントとから構成される請求項1に記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
  3. 前記AおよびD層は、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対し、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1~20重量部含有する請求項2に記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
  4. 前記C層とD層が他の層を介さずに直接接している請求項1~3のいずれかに記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
  5. 前記保護フィルム付き成形用シートの総厚みが0.05mm以上3mm以下の範囲にある請求項1~4のいずれかに記載の保護フィルム付き熱成形用シート。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の保護フィルム付き熱成形用シートのA層のB層、C層およびD層側と反対側に加飾層を形成した保護フィルム付き加飾シート。
  7. 請求項1~5に記載の保護フィルム付き熱成形用シートまたは請求項6に記載の保護フィルム付き加飾シートを予め金型キャビティの形状に賦形後、金型内に配置し、樹脂材料の成形と同時に一体化させた成形体を作製し、しかる後、活性エネルギー線による後露光を行った後に、前記D層を剥離することを特徴とする成形体の製造方法。
  8. 請求項1~5に記載の保護フィルム付き熱成形用シートまたは請求項6に記載の保護フィルム付き加飾シートを、金型キャビティ側に真空圧で貼り付けておき、樹脂材料の成形と同時に一体化させた成形体を作製し、しかる後、活性エネルギー線による後露光を行った後に、前記D層を剥離することを特徴とする成形体の製造方法。
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