JP4589510B2 - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性重合体組成物、並びに該熱可塑性重合体組成物の成形品および積層構造体に関する。より詳細には、本発明は、弾性を有し、成形加工性、力学的特性、耐油性などの特性に優れ、しかも耐摩耗性、耐傷つき性に非常に優れ、さらにプラスチックなどの他の材料との溶融接着性に優れる熱可塑性重合体組成物、並びに該熱可塑性重合体組成物からなる成形品および積層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品、家電部品、電線被覆材、雑貨品などの各種製品のうち、従来加硫ゴムから主として製造されていた製品に対して、熱可塑性樹脂と同様に成形加工が可能で、しかも弾性を有する熱可塑性エラストマーまたはその組成物が利用されるようになっている。熱可塑性エラストマーとしては、(水素添加)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマー(以下「水素添加」を「水添」という)、オレフィン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなど各種のものが知られている。
【0003】
上記した熱可塑性エラストマーのうちで、スチレン系重合体ブロックとジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーは、常温でゴム弾性を有し且つ加熱により可塑化・溶融して成形加工を容易に行うことができ、しかも柔軟性と力学的特性のバランスに優れていることから、近年種々の分野で広く用いられている。
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、耐摩耗性および耐油性に優れ、ゴム弾性を有し、溶融成形が可能なことから、ホース、ベルト、チューブをはじめとして種々の用途に用いられている。
【0004】
しかしながら、(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーは、ポリウレタンエラストマーや軟質ポリ塩化ビニル樹脂などに比べて、摩耗が大きく、しかも傷つき易く、耐摩耗性および耐傷つき性に劣っている。
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、耐熱水性、耐候性に劣り、硬度が高いため感触的に硬く、その使用範囲が制限されているのが現状である。
【0005】
(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーの耐摩耗性および耐傷つき性の向上を目的とした技術が従来から色々提案されており、そのような従来技術として、(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーに熱可塑性ポリウレタンエラストマーを配合した熱可塑性樹脂組成物が知られている(特開昭63−295660号公報)。しかしながら、両者は相容性に乏しく該熱可塑性樹脂組成物の性能は非常に劣るというのが実状であった。
【0006】
(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーと熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの相容性を向上させる目的で、(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーを不飽和ジカルボン酸またはその誘導体で変性して熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブレンドすることが提案されている(特開昭63−254156号公報)。しかしながら、これにより得られる重合体組成物は、成形加工性の点で問題があり、また該重合体組成物から得られる成形品の表面の荒れが大きいという欠点がある。
【0007】
さらに、(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーの末端をイソシアネート基またはその誘導体で変性して熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブレンドすることが提案されている(特開平2−225541号公報)。しかしながら、この場合も、前記と同様に、充分な改良効果が得られているとは言い難い。
【0008】
また、(水添)スチレン・ジエン系ブロック共重合体に対して、(水添)スチレン・ジエン系共重合体ブロックと熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロックを有するブロック共重合体、熱可塑性ポリウレタンエラストマーおよびパラフィン系オイルを特定の量で配合した熱可塑性重合体組成物が知られている(特開平11−323073号公報)。この熱可塑性重合体組成物は、良好な弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成形加工性を有し、しかも溶融接着性に優れていて各種の材料に強固に接着するという優れた特性を有する。しかしながら、この熱可塑性重合体組成物およびそれからなる成形品については、耐摩耗性および耐傷つき性の点での検討が未だ十分になされておらず、用途によっては、前記した優れた特性に加えて、耐摩耗性および耐傷つき性の点で一層優れている熱可塑性重合体組成物および成形品が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーと熱可塑性ポリウレタンエラストマーが良好に相容していて、両エラストマーが本来有する優れた特性を兼ね備え、特に弾力性、力学的特性、耐油性、成形加工性、溶融接着性などの諸特性に優れ、しかも耐摩耗性および耐傷つき性の点で従来の同種の熱可塑性重合体組成物に比べて一層優れる熱可塑性重合体組成物を提供することである。
さらに、本発明のそのような熱可塑性重合体組成物からなる成形品および積層構造体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた。そして(水添)スチレン・ジエン系ブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマーに対して、(水添)スチレン・ジエン共重合体ブロックと熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロックを有し且つ特定の硬度および溶融粘度を有するポリウレタン系ブロック共重合体、および特定の硬度を有する熱可塑性ポリウレタンをそれぞれ特定の量で配合し、それに必要に応じてパラフィン系オイルを特定の量以下で配合した組成物であって、熱可塑性ポリウレタンエラストマーのマトリックス中に、(水添)スチレン・ジエン系ブロック共重合体とパラフィン系オイルからなる相が分散した高次構造(モルフォロジー)を有する熱可塑性重合体組成物を製造することができた。そこで、それにより得られた熱可塑性重合体組成物の特性について更に調べたところ、該熱可塑性重合体組成物は、弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成形加工性などの特性に優れるばかりでなく、耐摩耗性および耐傷つき性に極めて優れていること、しかも他の材料に対して極めて高い溶融接着性を有することを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、耐摩耗性および耐傷つき性に極めて優れている上記した熱可塑性重合体組成物において、熱可塑性ポリウレタンエラストマーのマトリックス中に分散している(水添)スチレン・ジエン系ブロック共重合体とパラフィン系オイルとからなる成分の体積分率および溶融粘度、並びにマトリックスをなす熱可塑性ポリウレタンエラストマーの体積分率および溶融粘度が特定の関係を満たすようにすると、その耐摩耗性および耐傷つき性が一層向上することを見出した。
また、本発明者らは、前記熱可塑性重合体組成物において、シリコーンオイルを特定量以下で配合すると、表面の滑り性が向上して、外観、耐傷つき性、表面特性が一層優れたものになることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1)(i) 〈1〉芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A1)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B1)を有する数平均分子量(Mn)が100,000以上であるブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して;
〈2〉芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A2)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物から誘導される付加重合系ブロック(C)と、熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有し、JIS−A硬度が60〜90および220℃における溶融粘度が500〜1,500Pa・sのポリウレタン系ブロック共重合体(II)を70〜150質量部;
〈3〉JIS−A硬度が75〜95の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を50〜200質量部;並びに、
〈4〉パラフィン系オイル(IV)を10〜100質量部;
の割合で含有し;
(ii) パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon](質量比)が下記の式(1);
【0013】
【数
IVcon/IIIcon≦1 (1)
を満たし;且つ、
(iii) 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる相が分散した高次構造を有する;
ことを特徴とする熱可塑性重合体組成物である。
【0014】
そして、本発明は、
(2) JIS−A硬度が55〜85である前記した(1)の熱可塑性重合体組成物である。
【0015】
さらに、本発明は、
(3) 前記した(1)または(2)の熱可塑性重合体組成物からなる成形品である
【0016】
そして、本発明は、
) 前記した(1)または(2)の熱可塑性重合体組成物からなる層および他の材料からなる層を有することを特徴とする積層構造体ある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる付加重合系ブロック共重合体(I)は、上記のように、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A1)[以下「芳香族ビニル重合体ブロック(A1)」という]と、共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B1)[以下「共役ジエン重合体ブロック(B1)」という]を有し、数平均分子量(Mn)が100,000以上であるブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種からなっている。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるポリウレタン系ブロック共重合体(II)は、上記のように、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A2)[以下「芳香族ビニル重合体ブロック(A2)」という]と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B2)[以下「共役ジエン重合体ブロック(B2)」という]を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック(C)と、熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有し且つJIS−A硬度が60〜90および220℃における溶融粘度が500〜1,500Pa・sのポリウレタン系ブロック共重合体である。
【0018】
付加重合系ブロック共重合体(I)における芳香族ビニル重合体ブロック(A1)、およびポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(C)における芳香族ビニル重合体ブロック(A2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどのビニル芳香族化合物を挙げることができる。
芳香族ビニル重合体ブロック(A1)および(A2)は、前記した芳香族ビニル化合物の1種のみからなる構造単位を有していても、または2種以上からなる構造単位を有していてもよい。そのうちでも、芳香族ビニル重合体ブロック(A1)および(A2)はスチレンに由来する構造単位から主としてなっていることが好ましい。
【0019】
芳香族ビニル重合体ブロック(A1)および(A2)は、芳香族ビニル化合物からなる構造単位と共に必要に応じて他の共重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよく、その場合の他の共重合性単量体からなる構造単位の割合は、芳香族ビニル重合体ブロック(A1)または(A2)の重量に基づいて30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
その場合の他の共重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどのイオン重合性単量体を挙げることができる。
【0020】
また、付加重合系ブロック共重合体(I)における共役ジエン重合体ブロック(B1)およびポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(C)における共役ジエン重合体ブロック(B2)を構成する共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができる。共役ジエン重合体ブロック(B1)および(B2)は、これらの共役ジエン化合物の1種から構成されていてもまたは2種以上から構成されていてもよい。共役ジエン重合体ブロック(B1)および/または(B2)が2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
【0021】
そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック(B1)および/または(B2)は、ゴム物性の改善効果の点から、イソプレン単位主体とするモノマー単位からなるポリイソプレンブロックまたはその不飽和結合の一部または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック;ブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなるポリブタジエンブロックまたはその不飽和結合の一部または全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック;或いはイソプレン単位とブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合ブロックまたはその不飽和結合の一部または全部が水素添加された水添イソプレン/ブタジエン共重合ブロックであることが好ましい。特に、共役ジエン重合体ブロック(B1)および/または(B2)は、前記したポリイソプレンブロック、イソプレン/ブタジエン共重合ブロックまたはそれらの水素添加されたブロックであることがより好ましい。
【0022】
共役ジエン重合体ブロック(B1)および/または(B2)の構成ブロックとなり得る上記したポリイソプレンブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=CH−CH2−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(CH3)=CH2)−CH2−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3)(CH=CH2)−CH2−;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、各単位の割合は特に限定されない。
【0023】
共役ジエン重合体ブロック(B1)および/または(B2)の構成ブロックとなり得る上記したポリブタジエンブロックでは、その水素添加前には、そのブタジエン単位の70〜20モル%、特に65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2−CH=CH−CH2−;1,4−結合ブタジエン単位)であり、30〜80モル%、特に35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH 2 )−CH2−;1,2−結合ブタジエン単位]であることが好ましい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合量が上記した70〜20モル%の範囲から外れると、そのゴム物性が不良になることがある。
【0024】
共役ジエン重合体ブロック(B1)および/または(B2)の構成ブロックとなり得る上記したイソプレン/ブタジエン共重合ブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、またブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジイル基および/またはビニルエチレン基からなっており、各単位の割合は特に制限されない。イソプレン/ブタジエン共重合ブロックでは、イソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパーブロック状のいずれの形態になっていてもよい。そして、イソプレン/ブタジエン共重合ブロックでは、ゴム物性の改善効果の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が1:9〜9:1であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましい。
【0025】
付加重合系ブロック共重合体(I)およびポリウレタン系ブロック共重合体(II)では、耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、その共役ジエン重合体ブロック(B1)および(B2)における不飽和二重結合の一部または全部が水添されていることが好ましい。その際の共役ジエン重合体ブロック(B1)および(B2)の水添率は50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。
【0026】
付加重合系ブロック共重合体(I)における芳香族ビニル重合体ブロック(A1)と共役ジエン重合体ブロック(B1)との結合形態、およびポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(C)における芳香族ビニル重合体ブロック(A2)と共役ジエン重合体ブロック(B2)との結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組合わさった結合形態のいずれであってもよく、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
【0027】
付加重合系ブロック共重合体(I)および/またはポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(C)が、芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックとが直線状に結合した構造を有するものである場合は、芳香族ビニル重合体ブロック(A1)および(A2)をAで、また共役ジエン重合体ブロック(B1)および(B2)をBで表したときに、A−Bで表されるジブロック構造、A−B−AまたはB−A−Bで表されるトリブロック構造、A−B−A−BまたはB−A−B−Aで表されるテトラブロック構造、またはAとBとが5個以上直鎖状に結合しているポリブロック構造を採ることができる。それらのうちでも、A−Bで表されるジブロック構造またはA−B−Aで表されるトリブロック構造であることが、弾力性、力学的特性、溶融接着性、取り扱い性などの点から好ましい。
【0028】
また、前記したトリブロック以上のポリブロック構造のものでは、2個以上の芳香族ビニル重合体ブロックAは互いに同じ内容のブロックであってもまたは異なる内容のブロックであってもよく、また2個以上の共役ジエン重合体ブロックBは互いに同じ内容のブロックであってもまたは異なる内容のブロックであってもよい。例えば、A−B−Aで表されるトリブロック構造における2個の芳香族ビニル重合体ブロックA、或いはB−A−Bで表されるトリブロック構造における2個の共役ジエン重合体ブロックBは、それらを構成する芳香族ビニル化合物または共役ジエン化合物の種類、その結合形式、ブロックの数平均分子量などが同じであっても、または異なっていてもよい。
【0029】
付加重合系ブロック共重合体(I)およびポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(C)では、[芳香族ビニル重合体ブロック(A1)または(A2)]:[共役ジエン重合体ブロック(B1)または(B2)]の重量比が、1:9〜9:1であることが熱可塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品や積層構造体の耐熱性が良好となり且つゴム物性の改良効果が大きくなる点から好ましく、2:8〜8:2であることがより好ましい。
【0030】
付加重合系ブロック共重合体(I)は、水素添加前の状態で、数平均分子量(Mn)が100,000以上であることが必要であり、150,000以上であることが好ましい。付加重合系ブロック共重合体(I)の数平均分子量(Mn)が100,000よりも小さいと、熱可塑性重合体組成物の力学的特性、耐摩耗性、耐傷つき性が低下する。
また、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)における付加重合系ブロック(C)の分子量は特に制限されないが、水添前の状態で、10,000以上であることが、力学的特性、成形加工性などの点から好ましく、50,000以上であることがより好ましい。
【0031】
付加重合系ブロック共重合体(I)では、付加重合系ブロック共重合体(I)の全体の数平均分子量(Mn)が水素添加前の状態で100,000以上である限りは、芳香族ビニル重合体ブロック(A1)および共役ジエン重合体ブロック(B1)の分子量は特に制限されないが、水素添加前の状態で、芳香族ビニル重合体ブロック(A1)の数平均分子量が2,500〜100,000の範囲であり、共役ジエン重合体ブロック(B1)の数平均分子量が10,000〜400,000であることが、熱可塑性重合体組成物のゴム物性等が優れたものとなる点から好ましい。
【0032】
また、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック(C)では、芳香族ビニル重合体ブロック(A2)および共役ジエン重合体ブロック(B2)の分子量は特に制限されないが、水素添加前の状態で、芳香族ビニル重合体ブロック(A2)の数平均分子量が2,500〜100,000の範囲であり、共役ジエン重合体ブロック(B2)の数平均分子量が10,000〜400,000であることが、熱可塑性重合体組成物のゴム物性等が優れたものとなる点から好ましい。
【0033】
ここで、本明細書における付加重合系ブロック共重合体(I)の数平均分子量(Mn)、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成している芳香族ビニル重合体ブロック(A1)および共役ジエン重合体ブロック(B1)の数平均分子量(Mn)、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)における付加重合系ブロック(C)の数平均分子量(Mn)、並びに付加重合系ブロック(C)を構成している芳香族ビニル重合体ブロック(A2)および共役ジエン重合体ブロック(B2)の数平均分子量(Mn)は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値をいう。
【0034】
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる付加重合系ブロック共重合体(I)は、上記したブロック構造を有し、一般に分子末端に水酸基などの官能基をもたないブロック共重合体である。
【0035】
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるポリウレタン系ブロック共重合体(II)は、上記したブロック構造を有する付加重合系ブロック(C)と熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)とが結合したポリウレタン系ブロック共重合体である。
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるポリウレタン系ブロック共重合体(II)は、JIS−A硬度が60〜90で、且つ220℃における溶融粘度が500〜1,500Pa・sであることが必要であり、JIS−A硬度が60〜80で、220℃における溶融粘度が700〜1,500Pa・sであることが好ましい。
【0036】
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)のJIS−A硬度が60未満であると、熱可塑性重合体組成物の耐摩耗性、耐傷つき性、力学的特性が劣ったものになり、一方90を超えると熱可塑性重合体組成物の柔軟性が失われ、引張り伸びが低下する。
なお、本明細書における「JIS−A硬度」とは、JIS K 6301(A法)に準じて測定した硬度をいう。
また、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の220℃における溶融粘度が500Pa・s未満であると、耐摩耗性、耐傷つき性、力学的特性が低下し、一方1,500Pa・sを超えると流動性が悪くなり成形加工性が低下するため、いずれの場合も目的とする熱可塑性重合体組成物が得られなくなる。
なお、本明細書における「溶融粘度」とは、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用して、95℃で1時間減圧乾燥(10torr以下)したポリマーの溶融粘度を、荷重50kgf、ノズル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度220℃の条件下で測定したときの値をいう。
【0037】
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)における熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)は、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)に上記したJIS−A硬度および溶融粘度を与え得る熱可塑性ポリウレタンエラストマーよりなるブロックであればいずれでもよいが、後述する熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)と同種または近似した熱可塑性ポリウレタンエラストマーより形成されていることが、熱可塑性重合体組成物における重合体同士の相容性が良好になり、熱可塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品や積層構造体の力学的特性、耐摩耗性、耐傷つき性が優れたものとなる点から好ましい。
【0038】
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)における熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)は、熱可塑性重合体組成物のゴム物性がより良好なものとなる点から、その数平均分子量(Mn)が200〜150,000であることが好ましく、500〜50,000であることがより好ましい。
ここで、本明細書における熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)の数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値をいう。
【0039】
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)は、1個の付加重合系ブロック(C)と1個の熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有するジブロック共重合体であっても、または付加重合系ブロック(C)と熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)が合計で3個または4個以上結合したポリブロック共重合体であってもよいが、得られる熱可塑性重合体組成物の相容性、力学物性および成形性の点から、1個の付加重合系ブロック(C)と1個の熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)が結合したジブロック共重合体、および/または2個の(C)と1個の(D)が結合したトリブロック共重合体であることが好ましい。
【0040】
付加重合系ブロック共重合体(I)およびポリウレタン系ブロック共重合体(II)の製造法は特に制限されず、上記したそれぞれのブロック共重合体を製造し得る方法であればいずれの方法で製造してもよく、また既に市販されているものを用いてもよい。
【0041】
何ら限定されるものではないが、付加重合系ブロック共重合体(I)は、例えば、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などにより製造することができる。
アニオン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウム化合物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量を有するブロック共重合体を製造した後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合を停止させることにより製造することができる。
そして、前記により製造されるブロック共重合体を好ましくは公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添して、水添された付加重合系ブロック共重合体(I)を得ることができる。
【0042】
何ら限定されるものではないが、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)は、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、芳香族ビニル重合体ブロック(A2)と共役ジエン重合体ブロック(B2)を有し且つ末端に官能基、好ましくは水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体および/またはその水素添加物(以下「末端変性付加重合系ブロック共重合体」という)を溶融条件下に混練して反応させ、それにより得られるポリウレタン系反応生成物から、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)を抽出・回収することにより得ることができる。
その際に、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、末端変性付加重合系ブロック共重合体との溶融混練は、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて行うことができる。溶融混練条件は、使用する熱可塑性ポリウレタンエラストマーや末端変性付加重合系ブロック共重合体の種類、装置の種類などに応じて選択することができるが、一般に180〜250℃の温度で1〜15分間程度行うとよい。
【0043】
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)は、上記した方法以外の方法でも製造できる。例えば、押出機中などで高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて熱可塑性ポリウレタンエラストマーを製造する際の反応の開始時にまたは反応の途中に、その反応系に末端変性付加重合系ブロック共重合体を添加することによってポリウレタン系ブロック共重合体(II)を含有するポリウレタン系反応生成物を形成させ、そのポリウレタン系反応生成物からポリウレタン系ブロック共重合体(II)を抽出・回収することによっても得ることができる。
【0044】
上記において、ポリウレタン系反応生成物からのポリウレタン系ブロック共重合体(II)の抽出・回収は、例えば、ポリウレタン系反応生成物を必要に応じて適当な大きさに粉砕し、それをジメチルホルムアミドなどのポリウレタンの良溶媒で処理して未反応の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを抽出・除去し、次いでシクロヘキサンなどの末端変性付加重合系ブロック共重合体の良溶媒で処理して未反応の末端変性付加重合系ブロック共重合体を抽出除去し、残った固形物を乾燥することにより行うことができる。
【0045】
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の製造に用いる上記の末端変性付加重合系ブロック共重合体には、後述するその製造法に由来して、末端に官能基を有しない付加重合系ブロック共重合体および/またはその水素添加物、すなわち付加重合系ブロック共重合体(I)に相当する重合体が含まれていることが多い。
そのため、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、末端変性付加重合系ブロック共重合体との反応により得られるポリウレタン系反応生成物は、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)、未反応の熱可塑性ポリウレタンエラストマー、付加重合系ブロック共重合体(I)、および末端変性付加重合系ブロック共重合体の4者の混合物であることが多い。
このことから、本発明の熱可塑性重合体組成物の製造に当たっては、付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)およびパラフィン系オイル(IV)と共に、末端変性付加重合系ブロック共重合体を配合し、組成物中で末端変性付加重合系ブロック共重合体と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)とを反応させて前記したポリウレタン系反応生成物を形成させ、そのポリウレタン系反応生成物を組成物中にそのまま存在させる方法[すなわちポリウレタン系反応生成物からポリウレタン系ブロック共重合体(II)を回収せずに反応生成物の形態のままで組成物中に存在させる方法]を用いてもよい。
【0046】
ここで、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の製造に用いられる末端変性付加重合系ブロック共重合体は、例えば、次のようなアニオン重合法により製造することができる。すなわち、アルキルリチウム化合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量に達した時点で、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイドなどのオキシラン骨格を有する化合物、またはε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン(ピバロラクトン)などのラクトン系化合物などを付加させ、次いでアルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素含有化合物を添加して重合を停止ることにより製造することができる。そして、それにより得られるブロック共重合体を好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中でアルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケルなどからなるチーグラー触媒等の水添触媒の存在下に、反応温度20〜150℃、水素圧力1〜150kg/cm2の条件下で水素添加することによって、水添された末端変性付加重合系ブロック共重合体を得ることができる。
【0047】
末端変性付加重合系ブロック共重合体は、それが直鎖状構造を有するものである場合は、分子の片末端に1個の水酸基を有していても、または分子の両端に2個の水酸基を有していてもよい。また、末端変性付加重合系ブロック共重合体が分岐状または放射状の構造を有するものである場合は、その分子末端に1個もしくは複数個(分岐の数だけ)の水酸基を有していてもよい。末端変性付加重合系ブロック共重合体の1分子当たりの末端水酸基の数は0.5〜2個であることが好ましく、0.7〜2個であることがより好ましい。
【0048】
本発明の熱可塑性重合体組成物では、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)としてJIS−A硬度が75〜95の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることが必要であり、JIS−A硬度が80〜95の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のJIS−A硬度が75未満であると、熱可塑性重合体組成物およびそれからなる成形品や積層構造体の耐摩耗性、耐傷つき性、力学的特性が低いものとなる。一方、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のJIS−A硬度が95を超えると、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の溶融粘度が高くなって、熱可塑性重合体組成物中で熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)がマトリックスとなり難くなり、その結果熱可塑性重合体組成物およびそれからなる成形品の耐摩耗性、耐傷つき性が低いものとなる。
【0049】
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)は、一般に、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により製造することができる。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の形成に用いられる高分子ジオールは、その数平均分子量が1,000〜6,000であることが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を含有する本発明の熱可塑性重合体組成物の力学的特性、耐摩耗性、耐傷つき性、耐熱性、耐寒性、弾性回復性などが良好になる点から好ましい。ここで、本明細書でいう高分子ジオールの数平均分子量は、JIS K1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
【0050】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の製造に用い得る高分子ジオールの例としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオールなどを挙げることができ、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)はこれらの高分子ジオールの1種または2種以上を用いて形成されていることができる。
【0051】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の製造に用い得る上記ポリエステルジオールとしては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸成分と低分子ジオールとの反応により得られるポリエステルジオール、ラクトンの開環重合により得られるポリエステルジオールなどを挙げることができる。
より具体的には、前記ポリエステルジオールとしては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数6〜10の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体の1種または2種以上と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの炭素数2〜10の脂肪族ジオールの1種または2種以上とを重縮合反応させて得られるポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールを挙げることができる。
【0052】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の製造に用い得る上記ポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができる。
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の製造に用い得る上記ポリカーボネートジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオールの1種または2種以上と、炭酸ジフェニル、炭酸アルキルなどの炭酸エステルまたはホスゲンとを反応させて得られるポリカーボネートジオールを挙げることができる。
【0053】
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の製造に用いられる有機ジイソシアネートの種類は特に限定されないが、分子量500以下の芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシアネートの1種または2種以上が好ましく用いられる。そのような有機ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらの有機ジイソシアネートのうちでも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0054】
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の製造に用い得る鎖伸長剤としては、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用でき、その種類は特に限定されない。そのうちでも、鎖伸長剤としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールのうちの1種または2種以上が好ましく用いられる。好ましく用いられる鎖伸長剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどのジオールを挙げることができる。前記したうちでも、炭素数2〜6の脂肪族ジオールが鎖伸長剤としてより好ましく用いられ、1,4−ブタンジオールが更に好ましく用いられる。
【0055】
本発明の熱可塑性重合体組成物では、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)として、高分子ジオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネートを、高分子ジオール:鎖伸長剤=1:0.2〜8.0(モル比)の範囲であり且つ[高分子ジオールと鎖伸長剤の合計モル数]:[有機ジイソシアネートのモル数]=1:0.98〜1.04の範囲であるようにして反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましく用いられる。そのような熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を含有する本発明の熱可塑性重合体組成物は、押出成形、射出成形などの溶融成形時に溶融粘度の急激な上昇がなく、目的とする成形品や積層構造体などの製品を円滑に製造することができ、しかもそれにより得られる製品の耐熱性・耐摩耗性・耐傷つき性が良好なものとなる。
【0056】
本発明の熱可塑性重合体組成物において、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)として、数平均分子量が1,000以上のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンアジペート)ジオールをソフトセグメントとする熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いると、すなわちアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの重縮合により得られる数平均分子量が1,000以上のポリエステルジオールと、上記した鎖伸長剤および有機ジイソシアネートを反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いると、耐摩耗性および耐傷つき性に極めて優れ、しかも弾性、引張強度などの力学的特性、耐油性、成形加工性、溶融接着性などの特性にも優れる熱可塑性重合体組成物を得ることができる。
【0057】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の製造方法は特に限定されず、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を使用して、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造することが好ましい。
【0058】
本発明の熱可塑性重合体組成物において、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して10〜100質量部の割合で用いるパラフィン系オイル(IV)としては、40℃での動粘度が20〜800mm2/s、流動点が0〜−40℃および引火点が200〜400℃のパラフィン系オイルが好ましく用いられ、40℃での動粘度が50〜600mm2/s、流動点が0〜−30℃および引火点が250〜350℃のパラフィン系オイルがより好ましく用いられる。
【0059】
一般に、プロセスオイルなどとして用いられるオイルは、ベンゼン環やナフテン環などの芳香族環を有する成分、パラフィン成分(鎖状炭化水素)などが混合したものであり、パラフィン鎖を構成する炭素数が、オイルの全炭素数の50重量%以上を占めるものを「パラフィンオイル」と称している。
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるパラフィン系オイル(IV)としては、パラフィンオイルと称されているものであればいずれも使用可能であるが、芳香族環を有する成分の含有量が5重量%以下のものが好ましく用いられる。
【0060】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)を70〜150質量部、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を50〜200質量部、およびパラフィン系オイル(IV)を10〜100質量部の割合で含有すると共に、パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon](質量比)が下記の式(1);
【0061】
【数
IVcon/IIIcon≦1 (1)
を満たし;更に熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる相が分散した高次構造(モルフォロジー)を有していることが必要である。
【0062】
付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対するポリウレタン系ブロック共重合体(II)の含有量が70質量部未満であると、付加重合系ブロック共重合体(I)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)との相容性が不十分になり、熱可塑性重合体組成物を用いて得られる成形品や積層構造体などの製品に表面荒れの低下を生じ、しかも耐摩耗および耐傷つき性の劣るものとなる。
一方、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対するポリウレタン系ブロック共重合体(II)の含有量が150質量部を超えると、熱可塑性重合体組成物の溶融流動性が低下し、やはり熱可塑性重合体組成物を用いて得られる成形品や積層構造体などの製品に、表面荒れや層間の接着性の低下を生ずる。
特に、本発明の熱可塑性重合体組成物では、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)を75〜130質量部の割合で含有することが好ましい。
【0063】
また、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対する熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の割合が50質量部未満であると、熱可塑性重合体組成物から得られる成形品や積層構造体などの表面に荒れを生じ、しかも、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相が分散した高次構造(モルフォロジー)になりにくくなることから、耐摩耗および耐傷つき性が劣るものとなる。一方、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対する熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の割合が200質量部を超えると、成形品の硬度が高くなり過ぎて、柔軟性が失われる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を100〜200質量部の割合で含有することが好ましい。
【0064】
また、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対するパラフィン系オイル(IV)の割合が200質量部を超えると、引張強度や引張破断伸びなどの力学的特性の低下、成形品表面の荒れ、成形中のスプルー切れなどの問題を生ずるとともに、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相の溶融粘度が低下し、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中への分散が困難になり、耐摩耗性および耐傷つき性が劣ったものとなる。本発明の熱可塑性重合体組成物は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、パラフィン系オイル(IV)を10〜100質量部の割合で含有する
【0065】
さらに、パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon](質量比)が上記の式(1)を満たさず、1よりも大きいと[すなわちパラフィン系オイル(IV)の含有量の方が熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量より多くなると]、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に分散したモルフォロジーになりにくくなり、共連続構造となって、耐摩耗性および耐傷つき性が低下する。
【0066】
付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)および熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を含有する熱可塑性重合体組成物、または前記3つの成分と共にパラフィン系オイル(IV)を含有する熱可塑性重合体組成物において、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相[パラフィン系オイル(IV)を含有しない熱可塑性重合体組成物では付加重合系ブロック共重合体(I)のみからなる相]が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に分散したモルフォロジーとなっておらずに、双方の相が連続相となった共連続相構造であったり、または付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)がマトリックスをなす相構造であると、耐摩耗性、耐傷つき性が低下したものとなる。
ここで、本発明の「付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相[パラフィン系オイル(IV)を含有しない熱可塑性重合体組成物では付加重合系ブロック共重合体(I)のみからなる相]が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に分散した高次構造(モルフォロジー)」を有する熱可塑性重合体組成物は、溶融成形すると、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のみが連続相となって成形品表面に多く存在する。
【0067】
さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物では、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる成分の溶融粘度(η1)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の溶融粘度(η2)、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる成分の体積分率(φ1)、および熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の体積分率(φ2)が、下記の式(2)を満たすことが好ましい。下記の式(2)を満たすことによって、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)がマトリックス(連続相)になり易くなって、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる成分[パラフィン系オイル(IV)を含有しない場合は付加重合系ブロック共重合体(I)]が、微細に分散したモルフォロジーになり易くなる。
【0068】
【数
(η1/η2)×(φ2/φ1)>1 (2)
【0069】
ここで、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる成分の溶融粘度(η1)とは、熱可塑性重合体組成物がパラフィン系オイル(IV)を含有しない場合は、付加重合系ブロック共重合体(I)の溶融粘度をいい、また熱可塑性重合体組成物がパラフィン系オイル(IV)を含有する場合は、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)および熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を加える前の、熱可塑性重合体組成物における付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)の2者の混合物の溶融粘度をいう。
また、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる成分の体積分率(φ1)とは、熱可塑性重合体組成物がパラフィン系オイル(IV)を含有しない場合は、付加重合系ブロック共重合体(I)の体積分率[熱可塑性重合体組成物に用いた付加重合系ブロック共重合体(I)の質量を付加重合系ブロック共重合体(I)の比重で除した値]をいい、また熱可塑性重合体組成物がパラフィン系オイル(IV)を含有する場合は、付加重合系ブロック共重合体(I)の体積分率とパラフィン系オイル(IV)の体積分率[パラフィン系オイル(IV)の質量をパラフィン系オイル(IV)の比重で除した値]の合計をいう。
【0070】
また、本発明の熱可塑性重合体組成物において、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、更にシリコーンオイル(V)を5質量部以下の割合で添加することにより、熱可塑性重合体組成物の表面の滑り性が向上して、耐傷つき性に一層優れたものになり、爪などによる引き掻きによる傷跡の発生が大幅に抑制される。
シリコーンオイル(V)の配合量が、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、5質量部を超えると、ブリードアウトし易くなり、好ましくない。本発明の熱可塑性重合体組成物にシリコーンオイル(V)を含有させる場合は、シリコーンオイル(V)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して2〜4質量部とすることが好ましい。
シリコーンオイルの種類は特に制限されず、従来から滑剤などとして用いられているシリコーンオイルのいずれでもよく、例えば、ポリジメチルシロキサン系シリコーンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン系シリコーンオイル、
などを挙げることができる。
【0071】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した成分と共に必要に応じてオレフィン系重合体、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレングリコールなどの他の熱可塑性重合体を含有していてもよい。
特に、本発明の熱可塑性重合体組成物中にオレフィン系重合体を含有させると、熱可塑性重合体組成物の加工性、機械的強度を更に向上させることができる。
オレフィン系重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン樹脂、プロピレンとエチレンや1−ブテンなどの他のα−オレフィンとのブロック共重合体やランダム共重合体などの1種または2種以上を使用することができる。本発明の熱可塑性重合体組成物へのオレフィン系重合体の配合量は、熱可塑性重合体組成物の柔軟性を損なわないようにするために、一般に付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して200質量部以下であることが好ましい。
【0072】
さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。無機充填剤は、本発明の熱可塑性重合体組成物に対して、増量剤としての経済性の改善に有用である。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウムなどの1種または2種以上を使用できる。無機充填剤の配合量は、熱可塑性重合体組成物の柔軟性が損なわれない範囲であることが好ましく、一般には付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して100質量部以下が好ましい。
【0073】
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した成分以外に、必要に応じて滑剤、光安定剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料などの他の成分の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0074】
本発明の熱可塑性重合体組成物では、熱可塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品のJIS−A硬度が55〜85、特に60〜80の範囲内になるようにして、上記した成分を配合することが好ましい。前記硬度にすることによって、適度な柔軟性を維持しつつ、耐摩耗性および耐傷つき性に優れる熱可塑性重合体組成物および成形品を得ることができる。
【0075】
本発明の熱可塑性重合体組成物の製造法は特に限定されず、本発明の熱可塑性重合体組成物において用いられる上記した成分を均一に混合し得る方法であればいずれの方法で製造してもよく、通常溶融混練法が好適に用いられる。溶融混練は、例えば、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、ローラー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて行うことができ、通常約170〜250℃の温度で約30秒〜5分間程度溶融混練することにより、本発明の熱可塑性重合体組成物を得ることができる。
【0076】
本発明の熱可塑性重合体組成物は熱溶融性であって成形加工性に優れているので、単独で用いて各種の成形品を製造することができ、その場合には耐摩耗性、耐傷つき性、柔軟性、弾性、力学的特性、耐油性に優れる種々の成形品を得ることができる。その際の成形方法としては、熱可塑性重合体に対して一般に用いられている各種の成形方法を使用することができ、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの任意の成形法を採用できる。
【0077】
さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は溶融接着性に極めて優れていて、各種の他の材料(例えば、合成樹脂、ゴム、金属、木材、セラミック、紙、布帛など)と溶融下に強固に接着することができるので、他の材料との積層構造体(複合構造体)の製造に特に有効に使用することができ、したがって、本発明は本発明の熱可塑性重合体組成物の層および他の材料の層を有する積層構造体(複合体)を本発明の範囲に包含する。
本発明の熱可塑性重合体組成物を溶融接着させる他の材料の種類は特に制限されずいずれであってもよいが、本発明の熱可塑性重合体組成物は、特に極性を有する材料に対する溶融接着性に優れている。そのため、本発明は、熱可塑性重合体組成物と極性を有する他の材料との積層構造体をその好ましい態様として包含する。
【0078】
本発明の積層構造体に使用する極性を有する他の材料の具体例としては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテル、ポリスルフォン、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン/無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリフッ化ビニリデンフェノール樹脂、エポキシ樹脂などの各種の合成樹脂;イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリロニトリルゴムなどの各種の合成ゴム;鉄、アルミニウム、銅などの金属やステンレス、ブリキ、トタンなどの各種合金などを挙げることができる。しかしながら、本発明の積層構造体を構成する他の材料は、勿論、前記のものに何ら限定されない。
【0079】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。
以下の実施例および比較例では、成形品および積層構造体の製造に用いた熱可塑性重合体組成物(ペレット)を以下のようにして製造した。また、それにより得られた熱可塑性重合体組成物(ペレット)を用いて、以下のようにして成形品(試験片)および積層構造体をつくり、外観の評価、並びに下記の各種物性、すなわち、硬度、引張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラス、モルフォロジー(相構造)、耐摩耗性、耐傷つき性、および積層構造体の剥離強度を次のようにして測定した。
【0080】
(1)熱可塑性重合体組成物(ペレット)の製造:
以下の実施例および比較例で用いている各材料のうち、パラフィン系オイル以外の重合体材料をドライブレンドし、これにパラフィン系オイルを添加して含浸させて混合物をつくり、その混合物を2軸押出機(プラスチック工業研究所製「BT−30」)を使用して、シリンダー温度220℃およびスクリュー回転数150rpmで溶融混練した後、ストランド状に押し出し、切断して、熱可塑性重合体組成物のペレットを製造した。
【0081】
(2)成形品の製造:
上記(1)で製造した熱可塑性重合体組成物のペレットを用いるかまたは単独の重合体材料を用いて(比較例1〜2)、射出成形機(住友重機械工業株式会社製;SG−100)を使用して、シリンダー温度220℃および金型温度40℃の条件下にて射出成形を行い、試験片(寸法:縦×横×厚み=150mm×100mm×2mm)を作製した。
【0082】
(3)積層構造体の製造:
金型内に、ポリカーボネート樹脂板(寸法:縦×横×厚み=100mm×40mm×1mm)を予め配置して置き、そこに上記の(1)で製造した熱可塑性重合体組成物のペレットまたは単独の重合体材料を用いて、射出成形機(住友重機械工業株式会社製;SG−100)を使用して、シリンダー温度220℃および金型温度40℃の条件下にて射出成形を行い、ポリカーボネート樹脂板の一方の表面に熱可塑性重合体組成物または単独の重合体の層が積層した積層構造体(寸法:縦×横×厚み=100mm×40mm×2mm)を製造した。
【0083】
(4)外観の評価:
上記(2)で作製した成形品(試験片)の表面を目視により観察して、下記の評価基準で評価した。
[成形品の外観の評価基準]
◎:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが全くなく、極めて良好である。
○:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが殆どなく、良好である。
△:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが少し存在し、やや不良である。
×:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが存在し、不良である。
【0084】
(5)硬度の測定:
上記の(2)で作製した成形品(試験片)を用いて、JIS K 6301(A法)に準じて、JIS−A硬度を測定した。
【0085】
(6)引張破断強度、引張破断伸びおよび100%モジュラスの測定:
上記の(1)で製造した熱可塑性重合体組成物のペレットを用いるか、または単独の重合体材料を用いて(比較例1〜2)、射出成形機[FANUC(株)製;15トン射出成形機]を使用して、シリンダー温度220℃および金型温度40℃の条件下にて射出成形を行って3号ダンベル試験片を成形し、そのダンベル試験片を用いて、JIS K 6301に準じて、引張破断強度、引張破断伸びおよび100%モジュラスを測定した。
【0086】
(7)モルフォロジー観察:
上記の(2)で作製した成形品(試験片)の断面を切り出し、10%リンタングステン酸水溶液にて染色を行った後、走査型電子顕微鏡[(株)日立製作所製]にて目視により試料のモルフォロジーを観察した。また、実施例1と比較例3のものについては、写真撮影した。
【0087】
(8)耐摩耗性の評価:
JIS−K6264に準拠(H−22摩耗輪、1000回転、荷重1kg)して耐摩耗性試験を行い、その摩耗量を測定して耐摩耗性の評価を行った。
【0088】
(9)耐傷つき性の評価:
(i)傷つき試験機による試験:
上記の(2)で作製した成形品(試験片)を用いて、往復式摩耗試験機[(株)東洋精機製作所製]に、クロスカット用の針状治具を取り付けて試験片の表面を引っ掻いて傷をつけ、耐傷つき性を評価した。その際に、引っ掻き速度を1cm/secとし、荷重200gで片道1回の傷つけ試験と、荷重50gで往復10回の傷つけ試験の2種類の試験を行い、それぞれの傷つけ試験で生じた傷の深さおよび幅を、表面粗さ計(小坂研究所製「SE−30D」)を使用して測定した。
(ii)爪による傷つけ試験:
上記の(2)で作製した成形品(試験片)の表面を爪で引き掻き、生じた傷を目視で観察して、下記の評価基準にしたがって評価した。
【0089】
[爪による傷つけ試験の評価基準]
◎:傷が全く目立たず、耐傷つき性が極めて良好である。
○:凝視すれば傷が確認できる程度であり、耐傷つき性が良好である。
△:傷がやや目立ち、耐傷つき性がやや不良である。
×:明らかに傷がついており、耐傷つき性が不良である。
【0090】
(10)積層構造体における剥離強度の測定:
上記の(3)で作製した積層構造体から剥離強度測定用の試験片(寸法:縦×横×厚み=80mm×25mm×2mm)を切り出し、それを用いてJIS K 6854に記載の「180度剥離試験」に準じて剥離強度を測定した。
【0091】
また、以下の実施例および比較例で用いた付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)、パラフィン系オイル(IV)、シリコーンオイル(V)、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物(比較例2で使用)、積層構造体を製造するのに用いた合成樹脂板を構成するポリカーボネート樹脂の略号と内容は次のとおりである。
【0092】
[付加重合系ブロック共重合体(I)]
○SEPS:
ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロックからなるトリブロック共重合体の水添物(数平均分子量200,000、スチレン含量=30質量%、ポリイソプレンブロックにおける水添率=98%)
【0093】
[ポリウレタン系ブロック共重合体(II)]
○PU/SEPS:
ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロックからなる分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水添物(SEPS−OH)(数平均分子量200,000、スチレン含量=30質量%、ポリイソプレンブロックにおける水添率=98%、平均水酸基数=0.9個/分子)100質量部と、熱可塑性ポリウレタン(株式会社クラレ製「クラミロンU8165」)100質量部をドライブレンドし、二軸押出機(プラスチック工業研究所製「BT−30」)を用いてシリンダー温度220℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練した後、押出し、切断してペレットをつくり、それにより得られたペレットからジメチルホルムアミドを用いて未反応のポリウレタンを抽出除去し、次いでシクロヘキサンを用いて未反応のSEPS−OHを抽出除去し、残留した固形物を乾燥することにより得られた熱可塑性ポリウレタン(クラミロンU8165)と付加重合系ブロック共重合体(SEPS)のジブロック共重合体(JIS−A硬度71;220℃における溶融粘度750Pa・s)
【0094】
[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]
○TPU3190:
株式会社クラレ製「クラミロンU3190」(JIS−A硬度90)
○TPU8175:
株式会社クラレ製「クラミロンU8175」(JIS−A硬度75)
【0095】
[パラフィン系オイル(IV)]
○パラフィン系オイル:
出光興産株式会社製「PW−380」
【0096】
[スチレン系熱可塑性エラストマー組成物(比較例2で使用)]
○SCD:
株式会社クラレ製「セプトンコンパウンド CJ−002」(SEPS/パラフィン系オイル/ポリプロピレン混合物;JIS−A硬度65)
【0097】
[シリコーンオイル(V)]
○シリコーンオイル:
信越化学工業株式会社製「KF−96 3000CS」
【0098】
[ポリカーボネート樹脂(積層構造体の製造に用いた合成樹脂板を構成)]
○PC:
帝人化成社製「パンライトL−1225」
【0099】
《実施例1〜4》
SEPS[付加重合系ブロック共重合体(I)]、PU/SEPS[ポリウレタン系ブロック共重合体(II)]、TPU3190[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]、パラフィン系オイル(IV)およびシリコーンオイル(V)を下記の表1に示す割合で用いて、上記(1)の方法で熱可塑性重合体組成物のペレットをそれぞれ製造した後、それぞれのペレットを用いて、上記(2)および(3)の方法で成形品(試験片)および積層構造体を製造し、その結果得られた成形品の外観の評価を上記した方法で行うと共に、成形品の硬度、引張破断強度、100%モジュラス(M100)、耐摩耗性、耐傷つき性、積層構造体の剥離強度を測定または評価、並びにモルフォロジー観察を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、実施例1で得られた成形品の断面のモルフォロジーを写真撮影したものを図1に示す。図1において、白色部が熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)(TPU3190)よりなるマトリックスであり、黒色部が付加重合系ブロック共重合体(I)(SEPS)とパラフィン系オイル(IV)からなる分散相である。
【0100】
《比較例1および2》
TPU3190[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]またはSCD(セプトンコンパウンドCJ−002)を単独で用いて、上記(1)の方法で成形品(試験片)を製造し、それにより得られた成形品の外観の評価を上記した方法で行うと共に、成形品の硬度、引張破断強度、100%モジュラス、耐摩耗性、耐傷つき性を上記した方法で測定または評価し、また上記した方法でモルフォロジーを観察したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0101】
《比較例3および4》
SEPS[付加重合系ブロック共重合体(I)]、PU/SEPS[ポリウレタン系ブロック共重合体(II)]、TPU3190[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]およびパラフィン系オイル(IV)を下記の表に示す割合で用いて、上記した方法で熱可塑性重合体組成物のペレットをそれぞれ製造し、それぞれのペレットを用いて、上記した方法で成形品(試験片)および積層構造体を製造し、それにより得られた成形品の外観の評価を上記した方法で行うと共に、成形品の硬度、引張破断強度、100%モジュラスおよび、耐摩耗性、耐傷つき性、積層構造体の剥離強度を測定し、またモルフォロジー観察を上記した方法で行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、比較例3で得られた成形品の断面のモルフォロジーを写真撮影したものを図2に示す。図2において、白色部が熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)(TPU3190)からなり、黒色部が付加重合系ブロック共重合体(I)(SEPS)とパラフィン系オイル(IV)からなる。
【0102】
《比較例5〜8》
SEPS[付加重合系ブロック共重合体(I)]、PU/SEPS[ポリウレタン系ブロック共重合体(II)]、TPU8175[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]およびパラフィン系オイルを下記の表に示す割合で用いて、上記した方法で熱可塑性重合体組成物のペレットをそれぞれ製造し、それぞれのペレットを用いて、上記した方法で成形品(試験片)および積層構造体を製造し、それにより得られた成形品の外観の評価を上記した方法で行うと共に、成形品の硬度、引張破断強度、100%モジュラスおよび、耐摩耗性、耐傷つき性、積層構造体の剥離強度を測定し、またモルフォロジー観察を上記した方法で行ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0103】
【表1】
Figure 0004589510
【0104】
【表2】
Figure 0004589510
【0105】
【表3】
Figure 0004589510
【0106】
上記の表1の結果から、数平均分子量が100,000以上の付加重合系ブロック共重合体(I)(SEPS)100質量部に対して、JIS−A硬度が60〜90の範囲で且つ220℃における溶融粘度が500〜1,500Pa・sの範囲のポリウレタン系ブロック共重合体(II)(PU/SEPS)を70〜150質量部、JIS−A硬度が75〜95の範囲の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)(TPU3190)を50〜200質量部並びにパラフィン系オイル(IV)を0〜200質量部の範囲内の量で含有し、パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon]が1以下であり、且つ図1のように熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相が分散したモルフォロジーを有する実施例1〜3の熱可塑性重合体組成物を用いると、表面全体が平滑で荒れがなく、硬度、引張破断強度、引張破断伸びおよび100%モジュラスをバランス良く備え、しかも耐摩耗性および耐傷つき性に極めて優れ、非常に高い溶融接着性を有する高品質の成形品および積層構造体が得られることがわかる。
【0107】
さらに、表1の実施例4の結果から、シリコーンオイルを更に添加した熱可塑性重合体組成物を用いると、該熱可塑性重合体組成物表面の滑り性が向上し、爪による傷に対する耐傷つき性が一層向上し、且つ外観に一層優れる成形品が得られることがわかる。
【0108】
上記の表2の比較例1から明らかなように、TPU3190[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]を単独で用いて得られる成形品は、力学的特性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れているが、熱可塑性ポリウレタンエラストマーのみを用いているために、上記したように耐候性および耐熱水性に劣っているため、耐久性が必要とされる用途には適さない。
また、上記の表2の比較例2の結果から明らかなように、セプトンコンパウンドCJ−002よりなる成形品は柔軟性を備えているものの、耐摩耗性、耐傷つき性に劣っている。
【0109】
上記の表2に示すように、比較例3の熱可塑性重合体組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)およびパラフィン系オイル(IV)の含有量が本発明で規定する範囲を超えていて、図2からわかるとおり、熱可塑性重合体組成物のモルフォロジー(高次構造)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相が分散した状態となっておらず、双方の相が互いに入り乱れながら連続相となった共連続構造となっていることにより、外観、耐摩耗性、耐傷つき性、溶融接着性に劣っている。
【0110】
上記の表2に示すように、比較例4の熱可塑性重合体組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)およびパラフィン系オイル(IV)の配合量は本発明の範囲内であっても、パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon]が1を超えていることにより、熱可塑性重合体組成物のモルフォロジー(高次構造)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相が分散した状態となっておらず、双方の相が互いに入り乱れながら連続相となった共連続構造となっていることにより、外観、耐摩耗性、耐傷つき性、溶融接着性に劣るものとなっている。
【0111】
上記の表3に示すように、比較例5〜8の熱可塑性重合体組成物は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対するポリウレタン系ブロック共重合体(II)の配合量が本発明で規定するよりも少なくなっており、しかも比較例5と7では、パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon]が1を超えていることにより、熱可塑性重合体組成物のモルフォロジー(高次構造)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる相が分散した状態となっておらず、双方の相が互いに入り乱れながら連続相となった共連続構造となっていることにより、耐摩耗性、耐傷つき性、溶融接着性に劣っている。
【0112】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、弾力性を有し、柔軟性、成形加工性、力学的特性、耐油性などの特性に優れ、しかも耐摩耗性、耐傷つき性に非常に優れ、さらにプラスチックなどの他の材料との溶融接着性に優れている。
そのため、本発明の熱可塑性重合体組成物から得られる成形品および積層構造体は、耐久性に優れ、柔軟で弾力性のある良好な感触を有し、傷がつきにくく、摩耗しにくい。
そのため、本発明の熱可塑性重合体組成物、それからなる成形品、積層構造体は、上記した優れた特性を活かして、例えば、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップなどの自動車や車両用の各種内装部材;モール等の自動車外装部品;掃除機のバンパー、リモコンスイッチやツマミ、OA機器の各種キートップなどの家電部品;水中メガネ、水中カメラカバーなどの水中使用製品;各種カバー部品;密閉性、防水性、防音性、防振性を目的する各種パッキン付き工業部品;ラック&ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギアなどの電気・電子部品;スポーツ用品;ドア、窓枠材などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用ギプス等々の広範な用途に極めて有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の熱可塑性重合体組成物を用いて得られた成形品の断面のモルフォロジーを写真撮影した図(図面代用写真)である。
【図2】比較例3の熱可塑性重合体組成物を用いて得られた成形品の断面のモルフォロジーを写真撮影した図(図面代用写真)である。

Claims (4)

  1. (i) 〈1〉芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A1)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B1)を有する数平均分子量(Mn)が100,000以上であるブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して;
    〈2〉芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A2)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(B2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物から誘導される付加重合系ブロック(C)と、熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有し、JIS−A硬度が60〜90および220℃における溶融粘度が500〜1,500Pa・sのポリウレタン系ブロック共重合体(II)を70〜150質量部;
    〈3〉JIS−A硬度が75〜95の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を50〜200質量部;並びに、
    〈4〉パラフィン系オイル(IV)を10〜100質量部;
    の割合で含有し;
    (ii) パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon](質量比)が下記の式(1);
    [数1]
    IVcon/IIIcon≦1 (1)
    を満たし;且つ、
    (iii) 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる相が分散した高次構造を有する;
    ことを特徴とする熱可塑性重合体組成物。
  2. JIS−A硬度が55〜85である請求項1の熱可塑性重合体組成物。
  3. 請求項1または2の熱可塑性重合体組成物からなる成形品。
  4. 請求項1または2の熱可塑性重合体組成物からなる層および他の材料からなる層を有することを特徴とする積層構造体。
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