JP2002105278A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物

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JP2002105278A JP2000299313A JP2000299313A JP2002105278A JP 2002105278 A JP2002105278 A JP 2002105278A JP 2000299313 A JP2000299313 A JP 2000299313A JP 2000299313 A JP2000299313 A JP 2000299313A JP 2002105278 A JP2002105278 A JP 2002105278A
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豊明 栗原
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晴久 増田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 弾力性、力学的特性、耐油性、成形加工性、
耐摩耗性、耐傷つき性に優れ、各種材料との溶融接着性
に優れる熱可塑性重合体組成物、その成形品及び積層構
造体の提供。 【解決手段】 (i)芳香族ビニル重合体ブロックと共
役ジエン重合体ブロックを有する数平均分子量(Mn)100,
000以上のブロック共重合体及び/又はその水素添加物
からなる付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対
して;芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合
体ブロックを有するブロック共重合体又はその水素添加
物から誘導される付加重合系ブロックと熱可塑性ポリウ
レタンエラストマーブロックを有し、JIS−A硬度60〜90
および220℃での溶融粘度500〜1,500Pa・sのポリウレタ
ン系ブロック共重合体(II)を70〜150質量部;JIS−A
硬度75〜95の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)
を50〜200質量部;並びにパラフィン系オイル(IV)を0
〜200質量部よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性重合体組
成物、並びに該熱可塑性重合体組成物の成形品および積
層構造体に関する。より詳細には、本発明は、弾性を有
し、成形加工性、力学的特性、耐油性などの特性に優
れ、しかも耐摩耗性、耐傷つき性に非常に優れ、さらに
プラスチックなどの他の材料との溶融接着性に優れる熱
可塑性重合体組成物、並びに該熱可塑性重合体組成物か
らなる成形品および積層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車部品、家電部品、電線被覆材、雑
貨品などの各種製品のうち、従来加硫ゴムから主として
製造されていた製品に対して、熱可塑性樹脂と同様に成
形加工が可能で、しかも弾性を有する熱可塑性エラスト
マーまたはその組成物が利用されるようになっている。
熱可塑性エラストマーとしては、(水素添加)スチレン
・ジエン系熱可塑性エラストマー(以下「水素添加」を
「水添」という)、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリエステル
系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラス
トマーなど各種のものが知られている。
【0003】上記した熱可塑性エラストマーのうちで、
スチレン系重合体ブロックとジエン系重合体ブロックを
有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる
(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーは、
常温でゴム弾性を有し且つ加熱により可塑化・溶融して
成形加工を容易に行うことができ、しかも柔軟性と力学
的特性のバランスに優れていることから、近年種々の分
野で広く用いられている。また、熱可塑性ポリウレタン
エラストマーは、耐摩耗性および耐油性に優れ、ゴム弾
性を有し、溶融成形が可能なことから、ホース、ベル
ト、チューブをはじめとして種々の用途に用いられてい
る。
【0004】しかしながら、(水添)スチレン・ジエン
系熱可塑性エラストマーは、ポリウレタンエラストマー
や軟質ポリ塩化ビニル樹脂などに比べて、摩耗が大き
く、しかも傷つき易く、耐摩耗性および耐傷つき性に劣
っている。また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
は、耐熱水性、耐候性に劣り、硬度が高いため感触的に
硬く、その使用範囲が制限されているのが現状である。
【0005】(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラ
ストマーの耐摩耗性および耐傷つき性の向上を目的とし
た技術が従来から色々提案されており、そのような従来
技術として、(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラ
ストマーに熱可塑性ポリウレタンエラストマーを配合し
た熱可塑性樹脂組成物が知られている(特開昭63−2
95660号公報)。しかしながら、両者は相容性に乏
しく該熱可塑性樹脂組成物の性能は非常に劣るというの
が実状であった。
【0006】(水添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラ
ストマーと熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの相容
性を向上させる目的で、(水添)スチレン・ジエン系熱
可塑性エラストマーを不飽和ジカルボン酸またはその誘
導体で変性して熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブ
レンドすることが提案されている(特開昭63−254
156号公報)。しかしながら、これにより得られる重
合体組成物は、成形加工性の点で問題があり、また該重
合体組成物から得られる成形品の表面の荒れが大きいと
いう欠点がある。
【0007】さらに、(水添)スチレン・ジエン系熱可
塑性エラストマーの末端をイソシアネート基またはその
誘導体で変性して熱可塑性ポリウレタンエラストマーと
ブレンドすることが提案されている(特開平2−225
541号公報)。しかしながら、この場合も、前記と同
様に、充分な改良効果が得られているとは言い難い。
【0008】また、(水添)スチレン・ジエン系ブロッ
ク共重合体に対して、(水添)スチレン・ジエン系共重
合体ブロックと熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロ
ックを有するブロック共重合体、熱可塑性ポリウレタン
エラストマーおよびパラフィン系オイルを特定の量で配
合した熱可塑性重合体組成物が知られている(特開平1
1−323073号公報)。この熱可塑性重合体組成物
は、良好な弾力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成形
加工性を有し、しかも溶融接着性に優れていて各種の材
料に強固に接着するという優れた特性を有する。しかし
ながら、この熱可塑性重合体組成物およびそれからなる
成形品については、耐摩耗性および耐傷つき性の点での
検討が未だ十分になされておらず、用途によっては、前
記した優れた特性に加えて、耐摩耗性および耐傷つき性
の点で一層優れている熱可塑性重合体組成物および成形
品が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、(水
添)スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーと熱可塑
性ポリウレタンエラストマーが良好に相容していて、両
エラストマーが本来有する優れた特性を兼ね備え、特に
弾力性、力学的特性、耐油性、成形加工性、溶融接着性
などの諸特性に優れ、しかも耐摩耗性および耐傷つき性
の点で従来の同種の熱可塑性重合体組成物に比べて一層
優れる熱可塑性重合体組成物を提供することである。さ
らに、本発明のそのような熱可塑性重合体組成物からな
る成形品および積層構造体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。そして(水添)ス
チレン・ジエン系ブロック共重合体からなる熱可塑性エ
ラストマーに対して、(水添)スチレン・ジエン共重合
体ブロックと熱可塑性ポリウレタンエラストマー重合体
ブロックを有し且つ特定の硬度および溶融粘度を有する
ポリウレタン系ブロック共重合体、および特定の硬度を
有する熱可塑性ポリウレタンをそれぞれ特定の量で配合
し、それに必要に応じてパラフィン系オイルを特定の量
以下で配合した組成物であって、熱可塑性ポリウレタン
エラストマーのマトリックス中に、(水添)スチレン・
ジエン系ブロック共重合体とパラフィン系オイルからな
る相が分散した高次構造(モルフォロジー)を有する熱
可塑性樹脂組成物を製造することができた。そこで、そ
れにより得られたして熱可塑性重合体組成物の特性につ
いて更に調べたところ、該熱可塑性重合体組成物は、弾
力性、柔軟性、力学的特性、耐油性、成形加工性などの
特性に優れるばかりでなく、耐摩耗性および耐傷つき性
に極めて優れていること、しかも他の材料に対して極め
て高い溶融接着性を有することを見出した。
【0011】さらに、本発明者らは、耐摩耗性および耐
傷つき性に極めて優れている上記した熱可塑性重合体組
成物において、熱可塑性ポリウレタンエラストマーのマ
トリックス中に分散している(水添)スチレン・ジエン
系ブロック共重合体とパラフィン系オイルとからなる成
分の体積分率および溶融粘度、並びにマトリックスをな
す熱可塑性ポリウレタンエラストマーの体積分率および
溶融粘度が特定の関係を満たすようにすると、その耐摩
耗性および耐傷つき性が一層向上することを見出した。
また、本発明者らは、前記熱可塑性重合体組成物におい
て、シリコーンオイルを特定量以下で配合すると、表面
の滑り性が向上して、外観、耐傷つき性、表面特性が一
層優れたものになることを見出し、それらの知見に基づ
いて本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、 (1)(i) 芳香族ビニル化合物から主としてなる
重合体ブロック(A1)と共役ジエン化合物から主とし
てなる重合体ブロック(B1)を有する数平均分子量
(Mn)が100,000以上であるブロック共重合体
およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付
加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し
て; 芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック
(A2)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブ
ロック(B2)を有するブロック共重合体またはその水
素添加物から誘導される付加重合系ブロック(C)と、
熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有
し、JIS−A硬度が60〜90および220℃におけ
る溶融粘度が500〜1,500Pa・sのポリウレタ
ン系ブロック共重合体(II)を70〜150質量部; JIS−A硬度が75〜95の熱可塑性ポリウレタン
エラストマー(III)を50〜200質量部;並びに、 パラフィン系オイル(IV)を0〜200質量部;の割
合で含有し; (ii) パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)
と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量
(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon](質量比)が下記の
式(1);
【0013】
【数3】 IVcon/IIIcon≦1 (1) を満たし;且つ、 (iii) 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の
マトリックス中に、付加重合系ブロック共重合体(I)
とパラフィン系オイル(IV)とからなる相が分散した高
次構造を有する;ことを特徴とする熱可塑性重合体組成
物である。
【0014】そして、本発明は、(2) 下記の式
(2)を満たすものである前記した(1)の熱可塑性重
合体組成物;
【0015】
【数4】 (η1/η2)×(φ2/φ1)>1 (2) [式中、η1=付加重合系ブロック共重合体(I)とパ
ラフィン系オイル(IV)とからなる成分の溶融粘度、η
2=熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の溶融粘
度、φ1=付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフ
ィン系オイル(IV)とからなる成分の体積分率、φ2
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の体積分率
を示す。]; (3) JIS−A硬度が55〜85である前記(1)
または(2)の熱可塑性重合体組成物;および、 (4) 熱可塑性重合体組成物100質量部に対して、
更にシリコーンオイル(V)を5質量部以下の割合で含
有する前記(1)〜(3)のいずれかの熱可塑性樹脂組
成物;である。
【0016】そして、本発明は、 (5) 前記した(1)〜(4)のいずれかの熱可塑性
重合体組成物からなる成形品;および、 (6) 前記した(1)〜(4)のいずれかの熱可塑性
重合体組成物からなる層および他の材料からなる層を有
することを特徴とする積層構造体;である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる付加重合
系ブロック共重合体(I)は、上記のように、芳香族ビ
ニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A1)
[以下「芳香族ビニル重合体ブロック(A1)」とい
う]と、共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロ
ック(B1)[以下「共役ジエン重合体ブロック(B
1)」という]を有し、数平均分子量(Mn)が10
0,000以上であるブロック共重合体およびその水素
添加物から選ばれる少なくとも1種からなっている。ま
た、本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるポリウレタ
ン系ブロック共重合体(II)は、上記のように、芳香族
ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A2)
[以下「芳香族ビニル重合体ブロック(A2)」とい
う]と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロッ
ク(B2)[以下「共役ジエン重合体ブロック(B
2)」という]を有するブロック共重合体またはその水
素添加物からなる付加重合系ブロック(C)と、熱可塑
性ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有し且つ
JIS−A硬度が60〜90および220℃における溶
融粘度が500〜1,500Pa・sのポリウレタン系
ブロック共重合体である。
【0018】付加重合系ブロック共重合体(I)におけ
る芳香族ビニル重合体ブロック(A1)、およびポリウ
レタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック
(C)における芳香族ビニル重合体ブロック(A2)を
構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−、
m−、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレ
ン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノ
クロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレ
ン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデ
ン、アセトナフチレンなどのビニル芳香族化合物を挙げ
ることができる。芳香族ビニル重合体ブロック(A1)
および(A2)は、前記した芳香族ビニル化合物の1種
のみからなる構造単位を有していても、または2種以上
からなる構造単位を有していてもよい。そのうちでも、
芳香族ビニル重合体ブロック(A1)および(A2)は
スチレンに由来する構造単位から主としてなっているこ
とが好ましい。
【0019】芳香族ビニル重合体ブロック(A1)およ
び(A2)は、芳香族ビニル化合物からなる構造単位と
共に必要に応じて他の共重合性単量体からなる構造単位
を少量有していてもよく、その場合の他の共重合性単量
体からなる構造単位の割合は、芳香族ビニル重合体ブロ
ック(A1)または(A2)の重量に基づいて30重量
%以下であることが好ましく、10重量%以下であるこ
とがより好ましい。その場合の他の共重合性単量体とし
ては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジ
エン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどのイオン
重合性単量体を挙げることができる。
【0020】また、付加重合系ブロック共重合体(I)
における共役ジエン重合体ブロック(B1)およびポリ
ウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロッ
ク(C)における共役ジエン重合体ブロック(B2)を
構成する共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタ
ジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることがで
きる。共役ジエン重合体ブロック(B1)および(B
2)は、これらの共役ジエン化合物の1種から構成され
ていてもまたは2種以上から構成されていてもよい。共
役ジエン重合体ブロック(B1)および/または(B
2)が2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位
を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テ
ーパー、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組
み合わせからなっていることができる。
【0021】そのうちでも、共役ジエン重合体ブロック
(B1)および/または(B2)は、ゴム物性の改善効
果の点から、イソプレン単位とする主体とするモノマー
単位からなるポリイソプレンブロックまたはその不飽和
結合の一部または全部が水素添加された水添ポリイソプ
レンブロック;ブタジエン単位を主体とするモノマー単
位からなるポリブタジエンブロックまたはその不飽和結
合の一部または全部が水素添加された水添ポリブタジエ
ンブロック;或いはイソプレン単位とブタジエン単位を
主体とするモノマー単位からなるイソプレン/ブタジエ
ン共重合ブロックまたはその不飽和結合の一部または全
部が水素添加された水添イソプレン/ブタジエン共重合
ブロックであることが好ましい。特に、共役ジエン重合
体ブロック(B1)および/または(B2)は、前記し
たポリイソプレンブロック、イソプレン/ブタジエン共
重合ブロックまたはそれらの水素添加されたブロックで
あることがより好ましい。
【0022】共役ジエン重合体ブロック(B1)および
/または(B2)の構成ブロックとなり得る上記したポ
リイソプレンブロックでは、その水素添加前には、イソ
プレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−
1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=CH−CH
2−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニ
ルエチレン基[−CH(C(CH3)=CH2)−CH2
−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチル
−1−ビニルエチレン基[−C(CH3)(CH=C
2)−CH2−;1,2−結合のイソプレン単位]から
なる群から選ばれる少なくとも1種の基からなってお
り、各単位の割合は特に限定されない。
【0023】共役ジエン重合体ブロック(B1)および
/または(B2)の構成ブロックとなり得る上記したポ
リブタジエンブロックでは、その水素添加前には、その
ブタジエン単位の70〜20モル%、特に65〜40モ
ル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2−CH
=CH−CH2−;1,4−結合ブタジエン単位)であ
り、30〜80モル%、特に35〜60モル%がビニル
エチレン基[−CH(CH=CH)−CH2−;1,2
−結合ブタジエン単位]であることが好ましい。ポリブ
タジエンブロックにおける1,4−結合量が上記した7
0〜20モル%の範囲から外れると、そのゴム物性が不
良になることがある。
【0024】共役ジエン重合体ブロック(B1)および
/または(B2)の構成ブロックとなり得る上記したイ
ソプレン/ブタジエン共重合ブロックでは、その水素添
加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチル−2
−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン
基および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群
から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、また
ブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジイ
ル基および/またはビニルエチレン基からなっており、
各単位の割合は特に制限されない。イソプレン/ブタジ
エン共重合ブロックでは、イソプレン単位とブタジエン
単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパーブロ
ック状のいずれの形態になっていてもよい。そして、イ
ソプレン/ブタジエン共重合ブロックでは、ゴム物性の
改善効果の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位の
モル比が1:9〜9:1であることが好ましく、3:7
〜7:3であることがより好ましい。
【0025】付加重合系ブロック共重合体(I)および
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)では、耐熱性お
よび耐候性が良好なものとなる点から、その共役ジエン
重合体ブロック(B1)および(B2)における不飽和
二重結合の一部または全部が水素されていることが好ま
しい。その際の共役ジエン重合体ブロック(B1)およ
び(B2)の水添率は50モル%以上であることが好ま
しく、60モル%以上であることがより好ましく、80
モル%以上であることがさらに好ましい。
【0026】付加重合系ブロック共重合体(I)におけ
る芳香族ビニル重合体ブロック(A1)と共役ジエン重
合体ブロック(B1)との結合形態、およびポリウレタ
ン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブロック
(C)における芳香族ビニル重合体ブロック(A2)と
共役ジエン重合体ブロック(B2)との結合形態は特に
制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの
2つ以上が組合わさった結合形態のいずれであってもよ
く、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
【0027】付加重合系ブロック共重合体(I)および
/またはポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加
重合系ブロック(C)が、芳香族ビニル重合体ブロック
と共役ジエン重合体ブロックとが直線状に結合した構造
を有するものである場合は、芳香族ビニル重合体ブロッ
ク(A1)および(A2)をAで、また共役ジエン重合
体ブロック(B1)および(B2)をBで表したとき
に、A−Bで表されるジブロック構造、A−B−Aまた
はB−A−Bで表されるトリブロック構造、A−B−A
−BまたはB−A−B−Aで表されるテトラブロック構
造、またはAとBとが5個以上直鎖状に結合しているポ
リブロック構造を採ることができる。それらのうちで
も、A−Bで表されるジブロック構造またはA−B−A
で表されるトリブロック構造であることが、弾力性、力
学的特性、溶融接着性、取り扱い性などの点から好まし
い。
【0028】また、前記したトリブロック以上のポリブ
ロック構造のものでは、2個以上の芳香族ビニル重合体
ブロックAは互いに同じ内容のブロックであってもまた
は異なる内容のブロックであってもよく、また2個以上
の共役ジエン重合体ブロックBは互いに同じ内容のブロ
ックであってもまたは異なる内容のブロックであっても
よい。例えば、A−B−Aで表されるトリブロック構造
における2個の芳香族ビニル重合体ブロックA、或いは
B−A−Bで表されるトリブロック構造における2個の
共役ジエン重合体ブロックBは、それらを構成する芳香
族ビニル化合物または共役ジエン化合物の種類、その結
合形式、ブロックの数平均分子量などが同じであって
も、または異なっていてもよい。
【0029】付加重合系ブロック共重合体(I)および
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の付加重合系ブ
ロック(C)では、[芳香族ビニル重合体ブロック(A
1)または(A2)]:[共役ジエン重合体ブロック
(B1)または(B2)]の重量比が、1:9〜9:1
であることが熱可塑性重合体組成物およびそれから得ら
れる成形品や積層構造体の耐熱性が良好となり且つゴム
物性の改良効果が大きくなる点から好ましく、2:8〜
8:2であることがより好ましい。
【0030】付加重合系ブロック共重合体(I)は、水
素添加前の状態で、数平均分子量(Mn)が100,0
00以上であることが必要であり、150,000以上
であることが好ましい。付加重合系ブロック共重合体
(I)の数平均分子量(Mn)が100,000よりも
小さいと、熱可塑性重合体組成物の力学的特性、耐摩耗
性、耐傷つき性が低下する。また、ポリウレタン系ブロ
ック共重合体(II)における付加重合系ブロック(C)
の分子量は特に制限されないが、水添添加前の状態で、
10,000以上であることが、力学的特性、成形加工
性などの点から好ましく、50,000以上であること
がより好ましい。
【0031】付加重合系ブロック共重合体(I)では、
付加重合系ブロック共重合体(I)の全体の数平均分子
量(Mn)が水素添加前の状態で100,000以上で
ある限りは、芳香族ビニル重合体ブロック(A1)およ
び共役ジエン重合体ブロック(B1)の分子量は特に制
限されないが、水素添加前の状態で、芳香族ビニル重合
体ブロック(A1)の数平均分子量が2,500〜10
0,000の範囲であり、共役ジエン重合体ブロック
(B1)の数平均分子量が10,000〜400,00
0であることが、熱可塑性重合体組成物のゴム物性等が
優れたものとなる点から好ましい。
【0032】また、ポリウレタン系ブロック共重合体
(II)の付加重合系ブロック(C)では、芳香族ビニル
重合体ブロック(A2)および共役ジエン重合体ブロッ
ク(B2)の分子量は特に制限されないが、水素添加前
の状態で、芳香族ビニル重合体ブロック(A2)の数平
均分子量が2,500〜100,000の範囲であり、
共役ジエン重合体ブロック(B2)の数平均分子量が1
0,000〜400,000であることが、熱可塑性重
合体組成物のゴム物性等が優れたものとなる点から好ま
しい。
【0033】ここで、本明細書における付加重合系ブロ
ック共重合体(I)の数平均分子量(Mn)、付加重合
系ブロック共重合体(I)を構成している芳香族ビニル
重合体ブロック(A1)および共役ジエン重合体ブロッ
ク(B1)の数平均分子量(Mn)、ポリウレタン系ブ
ロック共重合体(II)における付加重合系ブロック
(C)の数平均分子量(Mn)、並びに付加重合系ブロ
ック(C)を構成している芳香族ビニル重合体ブロック
(A2)および共役ジエン重合体ブロック(B2)の数
平均分子量(Mn)は、いずれも、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリス
チレン検量線から求めた値をいう。
【0034】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる付
加重合系ブロック共重合体(I)は、上記したブロック
構造を有し、一般に分子末端に水酸基などの官能基をも
たないブロック共重合体である。
【0035】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いるポ
リウレタン系ブロック共重合体(II)は、上記したブロ
ック構造を有する付加重合系ブロック(C)と熱可塑性
ポリウレタンエラストマーブロック(D)とが結合した
ポリウレタン系ブロック共重合体である。本発明の熱可
塑性重合体組成物で用いるポリウレタン系ブロック共重
合体(II)は、JIS−A硬度が60〜90で、且つ2
20℃における溶融粘度が500〜1,500Pa・s
であることが必要であり、JIS−A硬度が60〜80
で、220℃における溶融粘度が700〜1,500P
a・sであることが好ましい。
【0036】ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の
JIS−A硬度が60未満であると、熱可塑性重合体組
成物の耐摩耗性、耐傷つき性、力学的特性が劣ったもの
になり、一方90を超えると熱可塑性重合体組成物の柔
軟性が失われ、引張り伸びが低下する。なお、本明細書
における「JIS−A硬度」とは、JIS K 630
1(A法)に準じて測定した硬度をいう。また、ポリウ
レタン系ブロック共重合体(II)の220℃における溶
融粘度が500Pa・s未満であると、耐摩耗性、耐傷
つき性、力学的特性が低下し、一方1,500Pa・s
を超えると流動性が悪くなり成形加工性が低下するた
め、いずれの場合も目的とする熱可塑性重合体組成物が
得られなくなる。なお、本明細書における「溶融粘度」
とは、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用し
て、95℃で1時間減圧乾燥(10torr以下)した
ポリマーの溶融粘度を、荷重50kgf、ノズル寸法=
直径1mm×長さ10mm、温度220℃の条件下で測
定したときの値をいう。
【0037】ポリウレタン系ブロック共重合体(II)に
おける熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック
(D)は、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)に上
記したJIS−A硬度および溶融粘度を与え得る熱可塑
性ポリウレタンエラストマーよりなるブロックであれば
いずれでもよいが、後述する熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマー(III)と同種または近似した熱可塑性ポリウ
レタンエラストマーより形成されていることが、熱可塑
性重合体組成物における重合体同士の相容性が良好にな
り、熱可塑性重合体組成物およびそれから得られる成形
品や積層構造体の力学的特性、耐摩耗性、耐傷つき性が
優れたものとなる点から好ましい。
【0038】ポリウレタン系ブロック共重合体(II)に
おける熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック
(D)は、熱可塑性重合体組成物のゴム物性がより良好
なものとなる点から、その数平均分子量(Mn)が20
0〜150,000であることが好ましく、500〜5
0,000であることがより好ましい。ここで、本明細
書における熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック
(D)の数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値
をいう。
【0039】ポリウレタン系ブロック共重合体(II)
は、1個の付加重合系ブロック(C)と1個の熱可塑性
ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有するジブ
ロック共重合体であっても、または付加重合系ブロック
(C)と熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック
(D)が合計で3個または4個以上結合したポリブロッ
ク共重合体であってもよいが、得られる熱可塑性重合体
組成物の相容性、力学物性および成形性の点から、1個
の付加重合系ブロック(C)と1個の熱可塑性ポリウレ
タンエラストマーブロック(D)が結合したジブロック
共重合体、および/または2個の(C)と1個の(D)
が結合したトリブロック共重合体であることが好まし
い。
【0040】付加重合系ブロック共重合体(I)および
ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の製造法は特に
制限されず、上記したそれぞれのブロック共重合体を製
造し得る方法であればいずれの方法で製造してもよく、
また既に市販されているものを用いてもよい。
【0041】何ら限定されるものではないが、付加重合
系ブロック共重合体(I)は、例えば、アニオン重合や
カチオン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合
法、ラジカル重合法などにより製造することができる。
アニオン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウ
ム化合物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサン
やシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビ
ニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の
分子構造および分子量を有するブロック共重合体を製造
した後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水
素化合物を添加して重合を停止させることにより製造す
ることができる。そして、前記により製造されるブロッ
ク共重合体を好ましくは公知の方法にしたがって不活性
有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添して、水添された
付加重合系ブロック共重合体(I)を得ることができ
る。
【0042】何ら限定されるものではないが、ポリウレ
タン系ブロック共重合体(II)は、例えば、熱可塑性ポ
リウレタンエラストマーと、芳香族ビニル重合体ブロッ
ク(A2)と共役ジエン重合体ブロック(B2)を有し
且つ末端に官能基、好ましくは水酸基を有する付加重合
系ブロック共重合体および/またはその水素添加物(以
下「末端変性付加重合系ブロック共重合体」という)を
溶融条件下に混練して反応させ、それにより得られるポ
リウレタン系反応生成物から、ポリウレタン系ブロック
共重合体(II)を抽出・回収することにより得ることが
できる。その際に、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
と、末端変性付加重合系ブロック共重合体との溶融混練
は、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミ
キサーなどの溶融混練装置を用いて行うことができる。
溶融混練条件は、使用する熱可塑性ポリウレタンエラス
トマーや末端変性付加重合系ブロック共重合体の種類、
装置の種類などに応じて選択することができるが、一般
に180〜250℃の温度で1〜15分間程度行うとよ
い。
【0043】ポリウレタン系ブロック共重合体(II)
は、上記した方法以外の方法でも製造できる。例えば、
押出機中などで高分子ジオール、有機ジイソシアネート
および鎖伸長剤を反応させて熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマーを製造する際の反応の開始時にまたは反応の途
中に、その反応系に末端変性付加重合系ブロック共重合
体を添加することによってポリウレタン系ブロック共重
合体(II)を含有するポリウレタン系反応生成物を形成
させ、そのポリウレタン系反応生成物からポリウレタン
系ブロック共重合体(II)を抽出・回収することによっ
ても得ることができる。
【0044】上記において、ポリウレタン系反応生成物
からのポリウレタン系ブロック共重合体(II)の抽出・
回収は、例えば、ポリウレタン系反応生成物を必要に応
じて適当な大きさに粉砕し、それをジメチルホルムアミ
ドなどのポリウレタンの良溶媒で処理して未反応の熱可
塑性ポリウレタンエラストマーを抽出・除去し、次いで
シクロヘキサンなどの末端変性付加重合系ブロック共重
合体の良溶媒で処理して未反応の末端変性付加重合系ブ
ロック共重合体を抽出除去し、残った固形物を乾燥する
ことにより行うことができる。
【0045】ポリウレタン系ブロック共重合体(II)の
製造に用いる上記の末端変性付加重合系ブロック共重合
体には、後述するその製造法に由来して、末端に官能基
を有しない付加重合系ブロック共重合体および/または
その水素添加物、すなわち付加重合系ブロック共重合体
(I)に相当する重合体が含まれていることが多い。そ
のため、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと、末端変
性付加重合系ブロック共重合体との反応により得られる
ポリウレタン系反応生成物は、ポリウレタン系ブロック
共重合体(II)、未反応の熱可塑性ポリウレタンエラス
トマー、付加重合系ブロック共重合体(I)、および末
端変性付加重合系ブロック共重合体の4者の混合物であ
ることが多い。このことから、本発明の熱可塑性重合体
組成物の製造に当たっては、付加重合系ブロック共重合
体(I)、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)、熱
可塑性ポリウレタンエラストマー(III)およびパラフ
ィン系オイル(IV)と共に、末端変性付加重合系ブロッ
ク共重合体を配合し、組成物中で末端変性付加重合系ブ
ロック共重合体と熱可塑性ポリウレタンエラストマー
(III)とを反応させて前記したポリウレタン系反応生
成物を形成させ、そのポリウレタン系反応生成物を組成
物中にそのまま存在させる方法[すなわちポリウレタン
系反応生成物からポリウレタン系ブロック共重合体(I
I)を回収せずに反応生成物の形態のままで組成物中に
存在させる方法]を用いてもよい。
【0046】ここで、ポリウレタン系ブロック共重合体
(II)の製造に用いられる末端変性付加重合系ブロック
共重合体は、例えば、次のようなアニオン重合法により
製造することができる。すなわち、アルキルリチウム化
合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共
役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および
分子量に達した時点で、エチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイド、スチレンオキサイドなどのオキシラン骨
格を有する化合物、またはε−カプロラクトン、β−プ
ロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン(ピバロラ
クトン)などのラクトン系化合物などを付加させ、次い
でアルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素含有
化合物を添加して重合を停止しることにより製造するこ
とができる。そして、それにより得られるブロック共重
合体を好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサンなど
の不活性有機溶媒中でアルキルアルミニウム化合物とコ
バルト、ニッケルなどからなるチーグラー触媒等の水添
触媒の存在下に、反応温度20〜150℃、水素圧力1
〜150kg/cm2の条件下で水素添加することによ
って、水添された末端変性付加重合系ブロック共重合体
を得ることができる。
【0047】末端変性付加重合系ブロック共重合体は、
それが直鎖状構造を有するものである場合は、分子の片
末端に1個の水酸基を有していても、または分子の両端
に2個の水酸基を有していてもよい。また、末端変性付
加重合系ブロック共重合体が分岐状または放射状の構造
を有するものである場合は、その分子末端に1個もしく
は複数個(分岐の数だけ)の水酸基を有していてもよ
い。末端変性付加重合系ブロック共重合体の1分子当た
りの末端水酸基の数は0.5〜2個であることが好まし
く、0.7〜2個であることがより好ましい。
【0048】本発明の熱可塑性重合体組成物では、熱可
塑性ポリウレタンエラストマー(III)としてJIS−
A硬度が75〜95の熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ーを用いることが必要であり、JIS−A硬度が80〜
95の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いること
が好ましい。熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)のJIS−A硬度が75未満であると、熱可塑性重
合体組成物およびそれからなる成形品や積層構造体の耐
摩耗性、耐傷つき性、力学的特性が低いものとなる。一
方、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)のJI
S−A硬度が95を超えると、熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマー(III)の溶融粘度が高くなって、熱可塑性
重合体組成物中で熱可塑性ポリウレタンエラストマー
(III)がマトリックスとなり難くなり、その結果熱可
塑性重合体組成物およびそれからなる成形品の耐摩耗
性、耐傷つき性が低いものとなる。
【0049】本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる熱
可塑性ポリウレタンエラストマー(III)は、一般に、
高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤
の反応により製造することができる。熱可塑性ポリウレ
タンエラストマー(III)の形成に用いられる高分子ジ
オールは、その数平均分子量が1,000〜6,000
であることが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)を含有する本発明の熱可塑性重合体組成物の力学的
特性、耐摩耗性、耐傷つき性、耐熱性、耐寒性、弾性回
復性などが良好になる点から好ましい。ここで、本明細
書でいう高分子ジオールの数平均分子量は、JIS K
1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出し
た数平均分子量である。
【0050】熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)の製造に用い得る高分子ジオールの例としては、ポ
リエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエス
テルエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポ
リエステルポリカーボネートジオールなどを挙げること
ができ、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)は
これらの高分子ジオールの1種または2種以上を用いて
形成されていることができる。
【0051】熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)の製造に用い得る上記ポリエステルジオールとして
は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびそ
れらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1
種のジカルボン酸成分と低分子ジオールとの反応により
得られるポリエステルジオール、ラクトンの開環重合に
より得られるポリエステルジオールなどを挙げることが
できる。より具体的には、前記ポリエステルジオールと
しては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸などの炭素数6〜10の脂肪族ジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などの芳香族
ジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体の1
種または2種以上と、例えばエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9
−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの炭
素数2〜10の脂肪族ジオールの1種または2種以上と
を重縮合反応させて得られるポリエステルジオール、ポ
リカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオー
ルを挙げることができる。
【0052】熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)の製造に用い得る上記ポリエーテルジオールとして
は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げ
ることができる。また、熱可塑性ポリウレタンエラスト
マー(III)の製造に用い得る上記ポリカーボネートジ
オールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオールの1種
または2種以上と、炭酸ジフェニル、炭酸アルキルなど
の炭酸エステルまたはホスゲンとを反応させて得られる
ポリカーボネートジオールを挙げることができる。
【0053】また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
(III)の製造に用いられる有機ジイソシアネートの種
類は特に限定されないが、分子量500以下の芳香族ジ
イソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよび脂肪族
ジイソシアネートの1種または2種以上が好ましく用い
られる。そのような有機ジイソシアネートの具体例とし
ては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイ
ソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネートなどを挙げることができ、こ
れらの有機ジイソシアネートのうちでも4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0054】また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
(III)の製造に用い得る鎖伸長剤としては、熱可塑性
ポリウレタンエラストマーの製造に従来から用いられて
いる鎖伸長剤のいずれもが使用でき、その種類は特に限
定されない。そのうちでも、鎖伸長剤としては、脂肪族
ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールのうち
の1種または2種以上が好ましく用いられる。好ましく
用いられる鎖伸長剤の具体例としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−
プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、シクロヘ
キサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼンなどのジオールを挙げることができる。前
記したうちでも、炭素数2〜6の脂肪族ジオールが鎖伸
長剤としてより好ましく用いられ、1,4−ブタンジオ
ールが更に好ましく用いられる。
【0055】本発明の熱可塑性重合体組成物では、熱可
塑性ポリウレタンエラストマー(III)として、高分子
ジオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネートを、高
分子ジオール:鎖伸長剤=1:0.2〜8.0(モル
比)の範囲であり且つ[高分子ジオールと鎖伸長剤の合
計モル数]:[有機ジイソシアネートのモル数]=1:
0.98〜1.04の範囲であるようにして反応させて
得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好ましく
用いられる。そのような熱可塑性ポリウレタンエラスト
マー(III)を含有する本発明の熱可塑性重合体組成物
は、押出成形、射出成形などの溶融成形時に溶融粘度の
急激な上昇がなく、目的とする成形品や積層構造体など
の製品を円滑に製造することができ、しかもそれにより
得られる製品の耐熱性・耐摩耗性・耐傷つき性が良好な
ものとなる。
【0056】本発明の熱可塑性重合体組成物において、
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)として、数
平均分子量が1,000以上のポリ(3−メチル−1,
5−ペンタンアジペート)ジオールをソフトセグメント
とする熱可塑性ポリウレタンを用いると、すなわちアジ
ピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの重
縮合により得られる数平均分子量が1,000以上のポ
リエステルジオールと、上記した鎖伸長剤および有機ジ
イソシアネートを反応させて得られる熱可塑性ポリウレ
タンエラストマーを用いると、耐摩耗性および耐傷つき
性に極めて優れ、しかも弾性、引張強度などの力学的特
性、耐油性、成形加工性、溶融接着性などの特性にも優
れる熱可塑性重合体組成物を得ることができる。
【0057】熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)の製造方法は特に限定されず、上記した高分子ジオ
ール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を使用し
て、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー
法、ワンショット法のいずれで製造してもよい。そのう
ちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが
好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶
融重合により製造することが好ましい。
【0058】本発明の熱可塑性重合体組成物において、
付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し
て0〜200質量部の割合で用いるパラフィン系オイル
(IV)としては、40℃での動粘度が20〜800mm
2/s、流動点が0〜−40℃および引火点が200〜
400℃のパラフィン系オイルが好ましく用いられ、4
0℃での動粘度が50〜600mm2/s、流動点が0
〜−30℃および引火点が250〜350℃のパラフィ
ン系オイルがより好ましく用いられる。
【0059】一般に、プロセスオイルなどとして用いら
れるオイルは、ベンゼン環やナフテン環などの芳香族環
を有する成分、パラフィン成分(鎖状炭化水素)などが
混合したものであり、パラフィン鎖を構成する炭素数
が、オイルの全炭素数の50重量%以上を占めるものを
「パラフィンオイル」と称している。本発明の熱可塑性
重合体組成物で用いるパラフィン系オイル(IV)として
は、パラフィンオイルと称されているものであればいず
れも使用可能であるが、芳香族環を有する成分の含有量
が5重量%以下のものが好ましく用いられる。
【0060】本発明の熱可塑性重合体組成物は、付加重
合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、ポ
リウレタン系ブロック共重合体(II)を70〜150質
量部、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)を5
0〜200質量部、およびパラフィン系オイル(IV)を
0〜200質量部の割合で含有すると共に、パラフィン
系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレ
タンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVc
on/IIIcon](質量比)が下記の式(1);
【0061】
【数5】 IVcon/IIIcon≦1 (1) を満たし;更に熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)のマトリックス中に、付加重合系ブロック共重合体
(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる相が分散
した高次構造(モルフォロジー)を有していることが必
要である。
【0062】付加重合系ブロック共重合体(I)100
質量部に対するポリウレタン系ブロック共重合体(II)
の含有量が70質量部未満であると、付加重合系ブロッ
ク共重合体(I)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー
(III)との相容性が不十分になり、熱可塑性重合体組
成物を用いて得られる成形品や積層構造体などの製品に
表面荒れの低下を生じ、しかも耐摩耗および耐傷つき性
の劣るものとなる。一方、付加重合系ブロック共重合体
(I)100質量部に対するポリウレタン系ブロック共
重合体(II)の含有量が150質量部を超えると、熱可
塑性重合体組成物の溶融流動性が低下し、やはり熱可塑
性重合体組成物を用いて得られる成形品や積層構造体な
どの製品に、表面荒れや層間の接着性の低下を生ずる。
特に、本発明の熱可塑性重合体組成物では、付加重合系
ブロック共重合体(I)100質量部に対して、ポリウ
レタン系ブロック共重合体(II)を75〜130質量部
の割合で含有することが好ましい。
【0063】また、付加重合系ブロック共重合体(I)
100質量部に対する熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ー(III)の割合が50質量部未満であると、熱可塑性
重合体組成物から得られる成形品や積層構造体などの表
面に荒れを生じ、しかも、熱可塑性ポリウレタンエラス
トマー(III)のマトリックス中に、付加重合系ブロッ
ク共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる
相が分散した高次構造(モルフォロジー)になりにくく
なることから、耐摩耗および耐傷つき性が劣るものとな
る。一方、付加重合系ブロック共重合体(I)100質
量部に対する熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)の割合が200質量部を超えると、成形品の硬度が
高くなり過ぎて、柔軟性が失われる。本発明の熱可塑性
重合体組成物は、付加重合系ブロック共重合体(I)1
00質量部に対して、熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ー(III)を100〜200質量部の割合で含有するこ
とが好ましい。
【0064】また、付加重合系ブロック共重合体(I)
100質量部に対するパラフィン系オイル(IV)の割合
が200質量部を超えると、引張強度や引張破断伸びな
どの力学的特性の低下、成形品表面の荒れ、成形中のス
プルー切れなどの問題を生ずるとともに、付加重合系ブ
ロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)から
なる相の溶融粘度が低下し、熱可塑性ポリウレタンエラ
ストマー(III)のマトリックス中への分散が困難にな
り、耐摩耗性および耐傷つき性が劣ったものとなる。本
発明の熱可塑性重合体組成物は、付加重合系ブロック共
重合体(I)100質量部に対して、パラフィン系オイ
ル(IV)を10〜100質量部の割合で含有することが
好ましい。
【0065】さらに、パラフィン系オイル(IV)の含有
量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon](質量
比)が上記の式(1)を満たさず、1よりも大きいと
[すなわちパラフィン系オイル(IV)の含有量の方が熱
可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量より
もの多くなると]、付加重合系ブロック共重合体(I)
とパラフィン系オイル(IV)からなる相が、熱可塑性ポ
リウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に分
散したモルフォロジーになりにくくなり、共連続構造と
なって、耐摩耗性および耐傷つき性が低下する。
【0066】付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリ
ウレタン系ブロック共重合体(II)および熱可塑性ポリ
ウレタンエラストマー(III)を含有する熱可塑性重合
体組成物、または前記3つの成分と共にパラフィン系オ
イル(IV)を含有する熱可塑性重合体組成物において、
付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイ
ル(IV)からなる相[パラフィン系オイル(IV)を含有
しない熱可塑性重合体組成物では付加重合系ブロック共
重合体(I)のみからなる相]が、熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマー(III)のマトリックス中に分散したモ
ルフォロジーとなっておらずに、双方の相が連続相とな
った共連続相構造であったり、または付加重合系ブロッ
ク共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)がマトリ
ックスをなす相構造であると、耐摩耗性、耐傷つき性が
低下したものとなる。ここで、本発明の「付加重合系ブ
ロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)から
なる相[パラフィン系オイル(IV)を含有しない熱可塑
性重合体組成物では付加重合系ブロック共重合体(I)
のみからなる相]が、熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ー(III)のマトリックス中に分散した高次構造(モル
フォロジー)」を有する熱可塑性重合体組成物は、溶融
成形すると、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)のみが連続相となって成形品表面に多く存在する。
【0067】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物で
は、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系
オイル(IV)とからなる成分の溶融粘度(η1)、熱可
塑性ポリウレタンエラストマー(III)の溶融粘度
(η2)、付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフ
ィン系オイル(IV)とからなる成分の体積分率
(φ1)、および熱可塑性ポリウレタンエラストマー(I
II)の体積分率(φ2)が、下記の式(2)を満たすこ
とが好ましい。下記の式(2)を満たすことによって、
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)がマトリッ
クス(連続相)になり易くなって、熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマー(III)のマトリックス中に付加重合系
ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)か
らなる成分[パラフィン系オイル(IV)を含有しない場
合は付加重合系ブロック共重合体(I)]が、微細に分
散したモルフォロジーになり易くなる。
【0068】
【数6】 (η1/η2)×(φ2/φ1)>1 (2)
【0069】ここで、付加重合系ブロック共重合体
(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる成分の溶
融粘度(η1)とは、熱可塑性重合体組成物がパラフィ
ン系オイル(IV)を含有しない場合は、付加重合系ブロ
ック共重合体(I)の溶融粘度をいい、また熱可塑性重
合体組成物がパラフィン系オイル(IV)を含有する場合
は、ポリウレタン系ブロック共重合体(II)および熱可
塑性ポリウレタンエラストマー(III)を加える前の、
熱可塑性重合体組成物における付加重合系ブロック共重
合体(I)とパラフィン系オイル(IV)の2者の混合物
の溶融粘度をいう。また、付加重合系ブロック共重合体
(I)とパラフィン系オイル(IV)とからなる成分の体
積分率(φ1)とは、熱可塑性重合体組成物がパラフィ
ン系オイル(IV)を含有しない場合は、付加重合系ブロ
ック共重合体(I)の体積分率[熱可塑性重合体組成物
に用いた付加重合系ブロック共重合体(I)の質量を付
加重合系ブロック共重合体(I)の比重で除した値]を
いい、また熱可塑性重合体組成物がパラフィン系オイル
(IV)を含有する場合は、付加重合系ブロック共重合体
(I)の体積分率とパラフィン系オイル(IV)の体積分
率[パラフィン系オイル(IV)の質量をパラフィン系オ
イル(IV)の比重で除した値]の合計をいう。
【0070】また、本発明の熱可塑性重合体組成物にお
いて、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部
に対して、更にシリコーンオイル(V)を5質量部以下
の割合で添加することにより、熱可塑性重合体組成物の
表面の滑り性が向上して、耐傷つき性に一層優れたもの
になり、爪などによる引き掻きによる傷跡の発生が大幅
に抑制される。シリコーンオイル(V)の配合量が、付
加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し
て、5質量部を超えると、ブリードアウトし易くなり、
好ましくない。本発明の熱可塑性重合体組成物にシリコ
ーンオイル(V)を含有させる場合は、シリコーンオイ
ル(V)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体
(I)100質量部に対して2〜4質量部とすることが
好ましい。シリコーンオイルの種類は特に制限されず、
従来から滑剤などとして用いられているシリコーンオイ
ルのいずれでもよく、例えば、ポリジメチルシロキサン
系シリコーンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン系
シリコーンオイル、などを挙げることができる。
【0071】本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記し
た成分と共に必要に応じてオレフィン系重合体、スチレ
ン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレ
ングリコールなどの他の熱可塑性重合体を含有していて
もよい。特に、本発明の熱可塑性重合体組成物中にオレ
フィン系重合体を含有させると、熱可塑性重合体組成物
の加工性、機械的強度を更に向上させることができる。
オレフィン系重合体としては、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブテン樹脂、プロピレンとエチレ
ンや1−ブテンなどの他のα−オレフィンとのブロック
共重合体やランダム共重合体などの1種または2種以上
を使用することができる。本発明の熱可塑性重合体組成
物へのオレフィン系重合体の配合量は、熱可塑性重合体
組成物の柔軟性を損なわないようにするために、一般に
付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し
て200質量部以下であることが好ましい。
【0072】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物
は、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。
無機充填剤は、本発明の熱可塑性重合体組成物に対し
て、増量剤としての経済性の改善に有用である。無機充
填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレ
ー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バ
リウムなどの1種または2種以上を使用できる。無機充
填剤の配合量は、熱可塑性重合体組成物の柔軟性が損な
われない範囲であることが好ましく、一般には付加重合
系ブロック共重合体(I)100質量部に対して100
質量部以下が好ましい。
【0073】また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、
上記した成分以外に、必要に応じて滑剤、光安定剤、顔
料、難燃剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料などの他の
成分の1種または2種以上を含有していてもよい。
【0074】本発明の熱可塑性重合体組成物では、熱可
塑性重合体組成物およびそれから得られる成形品のJI
S−A硬度が55〜85、特に60〜80の範囲内にな
るようにして、上記した成分を配合することが好まし
い。前記硬度にすることによって、適度な柔軟性を維持
しつつ、耐摩耗性および耐傷つき性に優れる熱可塑性重
合体組成物および成形品を得ることができる。
【0075】本発明の熱可塑性重合体組成物の製造法は
特に限定されず、本発明の熱可塑性重合体組成物におい
て用いられる上記した成分を均一に混合し得る方法であ
ればいずれの方法で製造してもよく、通常溶融混練法が
好適に用いられる。溶融混練は、例えば、単軸押出機、
2軸押出機、ニーダー、ローラー、バンバリーミキサー
などの溶融混練装置を用いて行うことができ、通常約1
70〜250℃の温度で約30秒〜5分間程度溶融混練
することにより、本発明の熱可塑性重合体組成物を得る
ことができる。
【0076】本発明の熱可塑性重合体組成物は熱溶融性
であって成形加工性に優れているので、単独で用いて各
種の成形品を製造することができ、その場合には耐摩耗
性、耐傷つき性、柔軟性、弾性、力学的特性、耐油性に
優れる種々の成形品を得ることができる。その際の成形
方法としては、熱可塑性重合体に対して一般に用いられ
ている各種の成形方法を使用することができ、例えば、
射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレン
ダー成形、流延成形などの任意の成形法を採用できる。
【0077】さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は
溶融接着性に極めて優れていて、各種の他の材料(例え
ば、合成樹脂、ゴム、金属、木材、セラミック、紙、布
帛など)と溶融下に強固に接着することができるので、
他の材料との積層構造体(複合構造体)の製造に特に有
効に使用することができ、したがって、本発明は本発明
の熱可塑性重合体組成物の層および他の材料の層を有す
る積層構造体(複合体)を本発明の範囲に包含する。本
発明の熱可塑性重合体組成物を溶融接着させる他の材料
の種類は特に制限されずいずれであってもよいが、本発
明の熱可塑性重合体組成物は、特に極性を有する材料に
対する溶融接着性に優れている。そのため、本発明は、
熱可塑性重合体組成物と極性を有する他の材料との積層
構造体をその好ましい態様として包含する。
【0078】本発明の積層構造体に使用する極性を有す
る他の材料の具体例としては、ポリウレタン、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレン
スルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、
ポリエーテル、ポリスルフォン、アクリロニトリル/ス
チレン共重合体(AS樹脂)、スチレン/無水マレイン
酸共重合体(SMA樹脂)、ゴム強化ポリスチレン(H
IPS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/スチ
レン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタ
ジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニ
トリル/スチレン/ブタジエン系共重合体、塩化ビニル
系重合体、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル/酢酸
ビニル共重合体、ポリフッ化ビニリデンフェノール樹
脂、エポキシ樹脂などの各種の合成樹脂;イソプレンゴ
ム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブタ
ジエン−アクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブ
チルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、アクリロニトリルゴムなどの各種の合成ゴム;鉄、
アルミニウム、銅などの金属やステンレス、ブリキ、ト
タンなどの各種合金などを挙げることができる。しかし
ながら、本発明の積層構造体を構成する他の材料は、勿
論、前記のものに何ら限定されない。
【0079】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の実施例および比較例では、成形品および積層
構造体の製造に用いた熱可塑性重合体組成物(ペレッ
ト)を以下のようにして製造した。また、それにより得
られた熱可塑性重合体組成物(ペレット)を用いて、以
下のようにして成形品(試験片)および積層構造体をつ
くり、外観の評価、並びに下記の各種物性、すなわち、
硬度、引張破断強度、引張破断伸び、100%モジュラ
ス、モルフォロジー(相構造)、耐摩耗性、耐傷つき
性、および積層構造体の剥離強度を次のようにして測定
した。
【0080】(1)熱可塑性重合体組成物(ペレット)
の製造:以下の実施例および比較例で用いている各材料
のうち、パラフィン系オイル以外の重合体材料をドライ
ブレンドし、これにパラフィン系オイルを添加して含浸
させて混合物をつくり、その混合物を2軸押出機(プラ
スチック工業研究所製「BT−30」)を使用して、シ
リンダー温度220℃およびスクリュー回転数150r
pmで溶融混練した後、ストランド状に押し出し、切断
して、熱可塑性重合体組成物のペレットを製造した。
【0081】(2)成形品の製造:上記(1)で製造し
た熱可塑性重合体組成物のペレットを用いるかまたは単
独の重合体材料を用いて(比較例1〜2)、射出成形機
(住友重機械工業株式会社製;SG−100)を使用し
て、シリンダー温度220℃および金型温度40℃の条
件下にて射出成形を行い、試験片(寸法:縦×横×厚み
=150mm×100mm×2mm)を作製した。
【0082】(3)積層構造体の製造:金型内に、ポリ
カーボネート樹脂樹脂板(寸法:縦×横×厚み=100
mm×40mm×1mm)を予め配置して置き、そこに
上記の(1)で製造した熱可塑性重合体組成物のペレッ
トまたは単独の重合体材料を用いて、射出成形機(住友
重機械工業株式会社製;SG−100)を使用して、シ
リンダー温度220℃および金型温度40℃の条件下に
て射出成形を行い、ポリカーボネート樹脂板の一方の表
面に熱可塑性重合体組成物または単独の重合体の層が積
層した積層構造体(寸法:縦×横×厚み=100mm×
40mm×2mm)を製造した。
【0083】(4)外観の評価:上記(2)で作製した
成形品(試験片)の表面を目視により観察して、下記の
評価基準で評価した。 [成形品の外観の評価基準] ◎:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが全くなく、極
めて良好である。 ○:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが殆どなく、良
好である。 △:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが少し存在し、
やや不良である。 ×:艶ムラ、ヒケ、ソリ、フローマークが存在し、不良
である。
【0084】(5)硬度の測定:上記の(2)で作製し
た成形品(試験片)を用いて、JIS K 6301
(A法)に準じて、JIS−A硬度を測定した。
【0085】(6)引張破断強度、引張破断伸びおよび
100%モジュラスの測定:上記の(1)で製造した熱
可塑性重合体組成物のペレットを用いるか、または単独
の重合体材料を用いて(比較例1〜2)、射出成形機
[FANUC(株)製;15トン射出成形機]を使用し
て、シリンダー温度220℃および金型温度40℃の条
件下にて射出成形を行って3号ダンベル試験片を成形
し、そのダンベル試験片を用いて、JIS K 630
1に準じて、引張破断強度、引張破断伸びおよび100
%モジュラスを測定した。
【0086】(7)モルフォロジー観察:上記の(2)
で作製した成形品(試験片)の断面を切り出し、10%
リンタングステン酸水溶液にて染色を行った後、走査型
電子顕微鏡[(株)日立製作所製]にて目視により試料
のモルフォロジーを観察した。また、実施例1と比較例
3のものについては、写真撮影した。
【0087】(8)耐摩耗性の評価:JIS−K626
4に準拠(H−22摩耗輪、1000回転、荷重1k
g)して耐摩耗性試験を行い、その摩耗量を測定して耐
摩耗性の評価を行った。
【0088】(9)耐傷つき性の評価: (i)傷つき試験機による試験:上記の(2)で作製し
た成形品(試験片)を用いて、往復式摩耗試験機
[(株)東洋精機製作所製]に、クロスカット用の針状
治具を取り付けて試験片の表面を引っ掻いて傷をつけ、
耐傷つき性を評価した。その際に、引っ掻き速度を1c
m/secとし、荷重200gで片道1回の傷つけ試験
と、荷重50gで往復10回の傷つけ試験の2種類の試
験を行い、それぞれの傷つけ試験で生じた傷の深さおよ
び幅を、表面粗さ計(小坂研究所製「SE−30D」)
を使用して測定した。 (ii)爪による傷つけ試験:上記の(2)で作製した成
形品(試験片)の表面を爪で引き掻き、生じた傷を目視
で観察して、下記の評価基準にしたがって評価した。
【0089】[爪による傷つけ試験の評価基準] ◎:傷が全く目立たず、耐傷つき性が極めて良好であ
る。 ○:凝視すれば傷が確認できる程度であり、耐傷つき性
が良好である。 △:傷がやや目立ち、耐傷つき性がやや不良である。 ×:明らかに傷がついており、耐傷つき性が不良であ
る。
【0090】(10)積層構造体における剥離強度の測
定:上記の(3)で作製した積層構造体から剥離強度測
定用の試験片(寸法:縦×横×厚み=80mm×25m
m×2mm)を切り出し、それを用いてJIS K68
54に記載の「180度剥離試験」に準じて剥離強度を
測定した。
【0091】また、以下の実施例および比較例で用いた
付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリウレタン系ブ
ロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタンエラスト
マー(III)、パラフィン系オイル(IV)、シリコーン
オイル(V)、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物
(比較例2で使用)、積層構造体を製造するのに用いた
合成樹脂板を構成するポリカーボネート樹脂の略号と内
容は次のとおりである。
【0092】[付加重合系ブロック共重合体(I)] ○SEPS:ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブ
ロック−ポリスチレンブロックからなるトリブロック共
重合体の水添物(数平均分子量200,000、スチレ
ン含量=30質量%、ポリイソプレンブロックにおける
水添率=98%)
【0093】[ポリウレタン系ブロック共重合体(I
I)] ○PU/SEPS:ポリスチレンブロック−ポリイソプ
レンブロック−ポリスチレンブロックからなる分子の片
末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水添物
(SEPS−OH)(数平均分子量200,000、ス
チレン含量=30質量%、ポリイソプレンブロックにお
ける水添率=98%、平均水酸基数=0.9個/分子)
100質量部と、熱可塑性ポリウレタン(株式会社クラ
レ製「クラミロンU8165」)100質量部をドライ
ブレンドし、二軸押出機(プラスチック工業研究所製
「BT−30」)を用いてシリンダー温度220℃およ
びスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練し
た後、押出し、切断してペレットをつくり、それにより
得られたペレットからジメチルホルムアミドを用いて未
反応のポリウレタンを抽出除去し、次いでシクロヘキサ
ンを用いて未反応のSEPS−OHを抽出除去し、残留
した固形物を乾燥することにより得られた熱可塑性ポリ
ウレタン(クラミロンU8165)と付加重合系ブロッ
ク共重合体(SEPS)のジブロック共重合体(JIS
−A硬度71;220℃における溶融粘度750Pa・
s)
【0094】[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)] ○TPU3190:株式会社クラレ製「クラミロンU3
190」(JIS−A硬度90) ○TPU8175:株式会社クラレ製「クラミロンU8
175」(JIS−A硬度75)
【0095】[パラフィン系オイル(IV)] ○パラフィン系オイル: 出光興産株式会社製「PW−380」
【0096】[スチレン系熱可塑性エラストマー組成物
(比較例2で使用)] ○SCD:株式会社クラレ製「セプトンコンパウンド
CJ−002」(SEPS/パラフィン系オイル/ポリ
プロピレン混合物;JIS−A硬度65)
【0097】[シリコーンオイル(V)] ○シリコーンオイル:信越化学工業株式会社製「KF−
96 3000CS」
【0098】[ポリカーボネート樹脂(積層構造体の製
造に用いた合成樹脂板を構成)] ○PC:帝人化成社製「パンライトL−1225」
【0099】《実施例1〜4》SEPS[付加重合系ブ
ロック共重合体(I)]、PU/SEPS[ポリウレタ
ン系ブロック共重合体(II)]、TPU3190[熱可
塑性ポリウレタンエラストマー(III)]、パラフィン
系オイル(IV)およびシリコーンオイル(V)を下記の
表1に示す割合で用いて、上記(1)の方法で熱可塑性
重合体組成物のペレットをそれぞれ製造した後、それぞ
れのペレットを用いて、上記(2)および(3)の方法
で成形品(試験片)および積層構造体を製造し、その結
果得られた成形品の外観の評価を上記した方法で行うと
共に、成形品の硬度、引張破断強度、100%モジュラ
ス(M100)、耐摩耗性、耐傷つき性、積層構造体の
剥離強度を測定または評価、並びにモルフォロジー観察
を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとお
りであった。また、実施例1で得られた成形品の断面の
モルフォロジーを写真撮影したものを図1に示す。図1
において、白色部が熱可塑性ポリウレタンエラストマー
(III)(TPU3190)よりなるマトリックスであ
り、黒色部が付加重合系ブロック共重合体(I)(SE
PS)とパラフィン系オイル(IV)からなる分散相であ
る。
【0100】《比較例1および2》TPU3190[熱
可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]またはSC
D(セプトンコンパウンドCJ−002)を単独で用い
て、上記(1)の方法で成形品(試験片)を製造し、そ
れにより得られた成形品の外観の評価を上記した方法で
行うと共に、成形品の硬度、引張破断強度、100%モ
ジュラス、耐摩耗性、耐傷つき性を上記した方法で測定
または評価し、また上記した方法でモルフォロジーを観
察したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0101】《比較例3および4》SEPS[付加重合
系ブロック共重合体(I)]、PU/SEPS[ポリウ
レタン系ブロック共重合体(II)]、TPU3190
[熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)]および
パラフィン系オイル(IV)を下記の表1に示す割合で用
いて、上記した方法で熱可塑性重合体組成物のペレット
をそれぞれ製造し、それぞれのペレットを用いて、上記
した方法で成形品(試験片)および積層構造体を製造
し、それにより得られた成形品の外観の評価を上記した
方法で行うと共に、成形品の硬度、引張破断強度、10
0%モジュラスおよび、耐摩耗性、耐傷つき性、積層構
造体の剥離強度を測定し、またモルフォロジー観察を上
記した方法で行ったところ、下記の表2に示すとおりで
あった。また、比較例3で得られた成形品の断面のモル
フォロジーを写真撮影したものを図2に示す。図2にお
いて、白色部が熱可塑性ポリウレタンエラストマー(II
I)(TPU3190)からなり、黒色部が付加重合系
ブロック共重合体(I)(SEPS)とパラフィン系オ
イル(IV)からなる。
【0102】《比較例5〜8》SEPS[付加重合系ブ
ロック共重合体(I)]、PU/SEPS[ポリウレタ
ン系ブロック共重合体(II)]、TPU8175[熱可
塑性ポリウレタンエラストマー(III)]およびパラフ
ィン系オイルを下記の表1に示す割合で用いて、上記し
た方法で熱可塑性重合体組成物のペレットをそれぞれ製
造し、それぞれのペレットを用いて、上記した方法で成
形品(試験片)および積層構造体を製造し、それにより
得られた成形品の外観の評価を上記した方法で行うと共
に、成形品の硬度、引張破断強度、100%モジュラス
および、耐摩耗性、耐傷つき性、積層構造体の剥離強度
を測定し、またモルフォロジー観察を上記した方法で行
ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】上記の表1の結果から、数平均分子量が1
00,000以上の付加重合系ブロック共重合体(I)
(SEPS)100質量部に対して、JIS−A硬度が
60〜90の範囲で且つ220℃における溶融粘度が5
00〜1,500Pa・sの範囲のポリウレタン系ブロ
ック共重合体(II)(PU/SEPS)を50〜150
質量部、JIS−A硬度が75〜95の範囲の熱可塑性
ポリウレタンエラストマー(III)(TPU3190)
を50〜200質量部並びにパラフィン系オイル(IV)
を0〜200質量部の範囲内の量で含有し、パラフィン
系オイル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレ
タンエラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVc
on/IIIcon]が1以下であり、且つ図1のように熱可塑
性ポリウレタンエラストマー(III)のマトリックス中
に付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オ
イル(IV)からなる相が分散したモルフォロジーを有す
る実施例1〜3の熱可塑性重合体組成物を用いると、表
面全体が平滑で荒れがなく、硬度、引張破断強度、引張
破断伸びおよび100%モジュラスをバランス良く備
え、しかも耐摩耗性および耐傷つき性に極めて優れ、非
常に高い溶融接着性を有する高品質の成形品および積層
構造体が得られることがわかる。
【0107】さらに、表1の実施例4の結果から、シリ
コーンオイルを更に添加した熱可塑性重合体組成物を用
いると、該熱可塑性重合体組成物表面の滑り性が向上
し、爪による傷に対する耐傷つき性が一層向上し、且つ
外観に一層優れる成形品が得られることがわかる。
【0108】上記の表2の比較例1から明らかなよう
に、TPU3190[熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ー(III)]を単独で用いて得られる成形品は、力学的
特性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れているが、熱可塑性
ポリウレタンエラストマーのみを用いているために、上
記したように耐候性および耐熱水性に劣っているため、
耐久性が必要とされる用途には適さない。また、上記の
表2の比較例2の結果から明らかなように、セプトンコ
ンパウンドCJ−002よりなる成形品は柔軟性を備え
ているものの、耐摩耗性、耐傷つき性に劣っている。
【0109】上記の表2に示すように、比較例3の熱可
塑性重合体組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ー(III)およびパラフィン系オイル(IV)の含有量が
本発明で規定する範囲を超えていて、図2からわかると
おり、熱可塑性重合体組成物のモルフォロジー(高次構
造)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の
マトリックス中に付加重合系ブロック共重合体(I)と
パラフィン系オイル(IV)からなる相が分散した状態と
なっておらず、双方の相が互いに入り乱れながら連続相
となった共連続構造となっていることにより、外観、耐
摩耗性、耐傷つき性、溶融接着性に劣っている。
【0110】上記の表2に示すように、比較例4の熱可
塑性重合体組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ー(III)およびパラフィン系オイル(IV)の配合量は
本発明の範囲内であっても、パラフィン系オイル(IV)
の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/IIIcon]が
1を超えていることにより、熱可塑性重合体組成物のモ
ルフォロジー(高次構造)が、熱可塑性ポリウレタンエ
ラストマー(III)のマトリックス中に付加重合系ブロ
ック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からな
る相が分散した状態となっておらず、双方の相が互いに
入り乱れながら連続相となった共連続構造となっている
ことにより、外観、耐摩耗性、耐傷つき性、溶融接着性
に劣るものとなっている。
【0111】上記の表3に示すように、比較例5〜8の
熱可塑性重合体組成物は、付加重合系ブロック共重合体
(I)100質量部に対するポリウレタン系ブロック共
重合体(II)の配合量が本発明で規定するよりも少なく
なっており、しかも比較例5と7では、パラフィン系オ
イル(IV)の含有量(IVcon)と熱可塑性ポリウレタン
エラストマー(III)の含有量(IIIcon)の比[IVcon/
IIIcon]が1を超えていることにより、熱可塑性重合体
組成物のモルフォロジー(高次構造)が、熱可塑性ポリ
ウレタンエラストマー(III)のマトリックス中に付加
重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル
(IV)からなる相が分散した状態となっておらず、双方
の相が互いに入り乱れながら連続相となった共連続構造
となっていることにより、耐摩耗性、耐傷つき性、溶融
接着性に劣っている。
【0112】
【発明の効果】本発明の熱可塑性重合体組成物は、弾力
性を有し、柔軟性、成形加工性、力学的特性、耐油性な
どの特性に優れ、しかも耐摩耗性、耐傷つき性に非常に
優れ、さらにプラスチックなどの他の材料との溶融接着
性に優れている。そのため、本発明の熱可塑性重合体組
成物から得られる成形品および積層構造体は、耐久性に
優れ、柔軟で弾力性のある良好な感触を有し、傷がつき
にくく、摩耗しにくい。そのため、本発明の熱可塑性重
合体組成物、それからなる成形品、積層構造体は、上記
した優れた特性を活かして、例えば、インストルメント
パネル、センターパネル、センターコンソールボック
ス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップなどの自動
車や車両用の各種内装部材;モール等の自動車外装部
品;掃除機のバンパー、リモコンスイッチやツマミ、O
A機器の各種キートップなどの家電部品;水中メガネ、
水中カメラカバーなどの水中使用製品;各種カバー部
品;密閉性、防水性、防音性、防振性を目的する各種パ
ッキン付き工業部品;ラック&ピニオンブーツ、サスペ
ンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機
能部品;カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チュ
ーブ、消音ギアなどの電気・電子部品;スポーツ用品;
ドア、窓枠材などの建築用資材;各種継手;バルブ部
品;医療用ギプス等々の広範な用途に極めて有効に用い
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の熱可塑性重合体組成物を用いて得ら
れた成形品の断面のモルフォロジーを写真撮影した図
(図面代用写真)である。
【図2】比較例3の熱可塑性重合体組成物を用いて得ら
れた成形品の断面のモルフォロジーを写真撮影した図
(図面代用写真)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 75/14 C08L 75/14 83/04 83/04 91/00 91/00 (72)発明者 佐々木 繁 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内 Fターム(参考) 4F100 AH06A AH06H AK11A AK11J AK28A AK28J AK51A AL02A AL05A AL09A AT00B CA19A GB32 GB46 GB48 JA06A JA07A JB07 JB16A JK09 JK11 JK12A JK13 JL01 JL12 4J002 AE054 BP01W BP02X BP03X CK03Y CP035 FD010 GF00 GM01 GT00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i) 芳香族ビニル化合物から主と
    してなる重合体ブロック(A1)と共役ジエン化合物か
    ら主としてなる重合体ブロック(B1)を有する数平均
    分子量(Mn)が100,000以上であるブロック共
    重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1
    種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に
    対して; 芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック
    (A2)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブ
    ロック(B2)を有するブロック共重合体またはその水
    素添加物から誘導される付加重合系ブロック(C)と、
    熱可塑性ポリウレタンエラストマーブロック(D)を有
    し、JIS−A硬度が60〜90および220℃におけ
    る溶融粘度が500〜1,500Pa・sのポリウレタ
    ン系ブロック共重合体(II)を70〜150質量部; JIS−A硬度が75〜95の熱可塑性ポリウレタン
    エラストマー(III)を50〜200質量部;並びに、 パラフィン系オイル(IV)を0〜200質量部;の割
    合で含有し; (ii) パラフィン系オイル(IV)の含有量(IVcon)
    と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の含有量
    (IIIcon)の比[IVcon/IIIcon](質量比)が下記の
    式(1); 【数1】 IVcon/IIIcon≦1 (1) を満たし;且つ、 (iii) 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の
    マトリックス中に、付加重合系ブロック共重合体(I)
    とパラフィン系オイル(IV)とからなる相が分散した高
    次構造を有する;ことを特徴とする熱可塑性重合体組成
    物。
  2. 【請求項2】 下記の式(2)を満たすものである請求
    項1の熱可塑性重合体組成物。 【数2】 (η1/η2)×(φ2/φ1)>1 (2) [式中、η1=付加重合系ブロック共重合体(I)とパ
    ラフィン系オイル(IV)とからなる成分の溶融粘度、η
    2=熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の溶融粘
    度、φ1=付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフ
    ィン系オイル(IV)とからなる成分の体積分率、φ2
    熱可塑性ポリウレタンエラストマー(III)の体積分率
    を示す。]
  3. 【請求項3】 JIS−A硬度が55〜85である請求
    項1または2の熱可塑性重合体組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性重合体組成物100質量部に対
    して、さらにシリコーンオイル(V)を5質量部以下の
    割合で含有する請求項1〜3のいずれか1項の熱可塑性
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項の熱可塑性
    重合体組成物からなる成形品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項の熱可塑性
    重合体組成物からなる層および他の材料からなる層を有
    することを特徴とする積層構造体。
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