JP2003335917A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

Info

Publication number
JP2003335917A
JP2003335917A JP2002144484A JP2002144484A JP2003335917A JP 2003335917 A JP2003335917 A JP 2003335917A JP 2002144484 A JP2002144484 A JP 2002144484A JP 2002144484 A JP2002144484 A JP 2002144484A JP 2003335917 A JP2003335917 A JP 2003335917A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
block
block copolymer
functional group
thermoplastic elastomer
polymer block
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002144484A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4007852B2 (ja
Inventor
Eiji Nakamura
英慈 中村
Haruhisa Masuda
晴久 増田
Shigeru Sasaki
繁 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2002144484A priority Critical patent/JP4007852B2/ja
Publication of JP2003335917A publication Critical patent/JP2003335917A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4007852B2 publication Critical patent/JP4007852B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温での歪み回復性に優れる柔軟な熱可塑性
エラストマー組成物を提供すること。 【解決手段】 芳香族ビニル化合物系重合体ブロック
(A)を1個以上及び共役ジエン化合物系重合体ブロック
(B)を1個以上有するブロック共重合体であって、重合
体ブロック(A)に官能基を有し、且つ重合体ブロック
(A)部分で少なくとも架橋されている架橋ブロック共重
合体及び/又はその水素添加物からなる付加重合系ブロ
ック共重合体(I)100質量部;ポリオレフィン(II)1
0〜300質量部;及びゴム用軟化剤(III)0〜300
質量部の割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物、
並びに該熱可塑性エラストマー組成物を溶融条件下で動
的に架橋処理して製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の架橋された
付加重合系ブロック共重合体、ポリオレフィンおよび場
合によりゴム用軟化剤を含有する熱可塑性エラストマー
組成物、その製造方法、該熱可塑性エラストマー組成物
よりなる成形品、並びに該熱可塑性エラストマー組成物
を構成している特定の架橋された付加重合系ブロック共
重合体に関する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、高温での歪み回復性に優れ、かつ良好な成形加工性
および柔軟で良好なゴム的特性を有しており、自動車部
品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨
品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他の広範
な用途に極めて有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム弾性を有する軟質材料であっ
て、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様に成形
加工およびリサイクルが可能な熱可塑性エラストマー
が、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、雑
貨、履物等の分野で多用されている。このような熱可塑
性エラストマーの中で、芳香族ビニル化合物よりなる重
合体ブロックと共役ジエン化合物よりなる重合体ブロッ
クを有するブロック共重合体の水素添加物(以下、「水
添ブロック共重合体」と略記することがある)を用いた
エラストマー状組成物に関し、いくつかの提案がなされ
ている。例えば、特開昭59−131613号公報、特
開平8−225713号公報、特開2000−1096
40号公報、WO95/00566号明細書などには、
水添ブロック共重合体に炭化水素油およびオレフィン系
重合体等を配合したエラストマー状組成物を有機過酸化
物等の架橋剤と架橋助剤を用いて架橋させ、得られたエ
ラストマー状組成物の高温時のゴム弾性(圧縮永久歪
み)を改良するという提案がなされている。
【0003】しかしながら、上記の水添ブロック共重合
体を含有するエラストマー状組成物は、熱可塑性エラス
トマーの特徴であるリサイクル性は有しているものの、
水添ブロック共重合体の共役ジエン化合物ブロックから
なるソフトセグメントのみが架橋されているために、1
00℃以上におけるゴム弾性が不十分であり、加硫ゴム
を用いて達成されている高温時での低い圧縮永久歪のレ
ベルには到達していない。これは、圧縮永久歪の試験温
度がビニル芳香族ブロックのガラス転移点(Tg)以上
になると、ビニル芳香族化合物よりなる重合体ブロック
の拘束力が弱まり、芳香族ビニル化合物よりなる重合体
ブロックからなるハードセグメントのゴム弾性への寄与
が低下するためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、付加
重合系ブロック共重合体およびポリオレフィンを含有
し、高温での歪み回復性に優れ、しかも柔軟で良好なゴ
ム的特性を有する熱可塑性エラストマー組成物、その製
造方法、該熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品
および該熱可塑性エラストマー組成物を構成する特定の
付加重合系ブロック共重合体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、芳香族
ビニル化合物よりなる重合体ブロックを1個以上および
共役ジエン化合物よりなる重合体ブロックを1個以上有
するブロック共重合体において、芳香族ビニル化合物よ
りなる重合体ブロックに官能基を含有させ、該官能基を
有するブロック共重合体および/またはその水素添加物
に、特定量のポリオレフィンおよび場合によりゴム用軟
化剤を混合すると共に更に架橋剤を加えて動的に架橋処
理すると、高温での歪み回復性に優れ、良好なゴム的特
性を有する成形品を与える熱可塑性エラストマー組成物
が得られることを見出した。そして、前記動的な架橋処
理により得られた熱可塑性エラストマー組成物について
更に詳細に調査を行った。その結果、前記熱可塑性エラ
ストマー組成物では、ブロック共重合体においてハード
セグメントをなしている芳香族ビニル化合物よりなる重
合体ブロック部分で架橋された、従来にない付加重合系
ブロック共重合体が形成されており、そのようなハード
セグメントにおける架橋構造によって、該付加重合系ブ
ロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物およ
びそれからなる成形品に高温での優れた歪み回復性が付
与されていることを見出し、それらの知見に基づいて本
発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、(1) 芳香族ビニ
ル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上
および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック
(B)を1個以上有するブロック共重合体であって、重
合体ブロック(A)に官能基を有し、官能基を有する重
合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋されているブ
ロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少な
くとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100
質量部;ポリオレフィン(II)10〜300質量部;お
よびゴム用軟化剤(III)0〜300質量部;の割合で
含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物
である。
【0007】そして、本発明は、(2) 少なくともポ
リオレフィン(II)が連続相をなすモルフォロジーを有
する前記した(1)の熱可塑性エラストマー組成物;
(3) 重合体ブロック(A)に有する官能基が、活性
水素原子を有する官能基、窒素原子を有する官能基、カ
ルボニル基を有する官能基、チオカルボニル基を有する
官能基、エポキシ基およびチオエポキシ基から選ばれる
少なくとも1種の官能基である前記(1)または(2)
の熱可塑性エラストマー組成物;(4) 重合体ブロッ
ク(A)に有する官能基が水酸基である前記(1)〜
(3)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物;およ
び、(5) 重合体ブロック(A)に有する官能基の数
が、付加重合系ブロック共重合体(I)1分子当たり
1.2個以上である前記(1)〜(4)のいずれかの熱
可塑性エラストマー組成物;である。
【0008】さらに、本発明は、(6) 芳香族ビニル
化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上お
よび共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック
(B)を1個以上有するブロック共重合体であって、重
合体ブロック(A)に官能基を有するブロック共重合体
およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付
加重合系ブロック共重合体(I0)100質量部に対し
て;ポリオレフィン(II)10〜300質量部;ゴム用
軟化剤(III)0〜300質量部;および、架橋剤(I
V)0.01〜20質量部;の割合で混合してなる混合
物を、溶融条件下に動的に架橋処理することを特徴とす
る前記(1)の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
である。
【0009】そして、本発明は、(7) 付加重合系ブ
ロック共重合体(I0)の重合体ブロック(A)に有す
る官能基が、活性水素原子を有する官能基、窒素原子を
有する官能基、カルボニル基を有する官能基、チオカル
ボニル基を有する官能基、エポキシ基およびチオエポキ
シ基から選ばれる少なくとも1種の官能基である前記
(6)の製造方法;(8) 付加重合系ブロック共重合
体(I0)の重合体ブロック(A)に有する官能基が水
酸基である前記(6)または(7)の製造方法;およ
び、(9) 付加重合系ブロック共重合体(I0)の重
合体ブロック(A)に有する官能基が水酸基であり、架
橋剤が2官能以上のポリイソシアネート化合物、ポリエ
ポキシ化合物およびポリカルボン酸無水物から選ばれる
少なくとも1種の化合物である前記(6)〜(8)のい
ずれかの製造方法;である。
【0010】さらに、本発明は、(10) 前記(1)
〜(5)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物から
なる成形品である。
【0011】そして、本発明は、(11) 芳香族ビニ
ル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上
および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック
(B)を1個以上有するブロック共重合体であって、重
合体ブロック(A)に官能基を有し、官能基を有する重
合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋されているこ
とを特徴とするブロック共重合体またはその水素添加物
である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物におけるベ
ース成分をなす付加重合系ブロック共重合体(I)は、
以下の要件〜;すなわち、 芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック
(A)を1個以上および共役ジエン化合物単位からなる
重合体ブロック(B)を1個以上有するブロック共重合
体である; 重合体ブロック(A)に官能基を有する;および、 官能基を有する重合体ブロック(A)部分で少なく
とも架橋されている; という要件〜要件を備えるブロック共重合体および
その水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合
系ブロック共重合体である。
【0013】より具体的に説明すると、付加重合系ブロ
ック共重合体(I)は、1個または2個以上の重合体ブ
ロック(A)と、1個または2個以上の重合体ブロック
(B)を有するブロック共重合体およびその水素添加物
から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重
合体である(要件)。そして、付加重合系ブロック共
重合体(I)は、重合体ブロック(A)に官能基を有し
ている(要件)。付加重合系ブロック共重合体(I)
が、重合体ブロック(A)を1個だけ有するジブロック
共重合体(A−B)またはトリブロック共重合体(B−
A−B)および/またはそれらの水素添加物である場合
は、該1個の重合体ブロック(A)に官能基を有してい
る必要がある。また、付加重合系ブロック共重合体
(I)が、重合体ブロック(A)を2個以上有し且つ重
合体ブロック(B)を1個または2個以上有するトリブ
ロック以上のマルチブロック共重合体および/またはそ
の水素添加物である場合は、2個以上の重合体ブロック
(A)のうちの1個の重合体ブロック(A)のみに官能
基を有していても、または2個以上の重合体ブロック
(A)、場合によってすべての重合体ブロック(A)に
それぞれ官能基を有していてもよい。
【0014】官能基を有していない重合体ブロック
(A)をA0、官能基を有する重合体ブロック(A)を
1、重合体ブロック(B)をBで表すと、付加重合系
ブロック共重合体(I)が重合体ブロック(A)を1個
だけ有するジブロック共重合体、トリブロック共重合体
および/またはそれらの水素添加物である場合、付加重
合系ブロック共重合体(I)は、少なくとも重合体ブロ
ックA1部分で架橋された、A1−Bで表されるジブロッ
ク共重合体であるか、B−A1−Bで表されるトリブロ
ック共重合体であるか、またはその水素添加物である。
この場合、付加重合系ブロック共重合体(I)は、ゴム
弾性を良好にする点から、重合体ブロック(B)部分で
も架橋されていることが望ましい。また、付加重合系ブ
ロック共重合体(I)が重合体ブロック(A)を2個以
上有するトリブロック以上のマルチブロック共重合体で
ある場合は、例えば、ブロックA1部分で少なくとも架
橋されたA1−B−A0、A1−B−A1、A1−B−A 0
B、A1−B−A1−B、A1−A0−B−A0−A1、A0
−A1−B−A1−A0、A1−B−A0−B−A1、(A1
−B)j(jは3以上の整数を示す)、(A1−B)k
−A1(kは2以上の整数を示す)、(B−A1−)m−
B(mは2以上の整数を示す)、(A1−B)nX(n
は2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)など
で表される種々のマルチブロック共重合体および/また
はその水素添加物などであり、それらのいずれであって
もよい。
【0015】そのうちでも、付加重合系ブロック共重合
体(I)は、ブロックA1部分で少なくとも架橋された
1−B−A1で表されるトリブロック共重合体の水素添
加物および/またはA1−A0−B−A0−A1で表される
ペンタブロック共重合体の水素添加物であることが、本
発明の熱可塑性エラストマー組成物の高温での歪み回復
性が良好になることから好ましい。中でも、付加重合系
ブロック共重合体(I)は、ブロックA1部分で架橋さ
れたA1−B−A1で表されるトリブロック共重合体の水
素添加物であるのが、架橋結合の導入による物性改善の
効果が高く、得られる熱可塑性エラストマー組成物の高
温での歪み回復性やゴム的特性がより優れたものとなる
ことから好ましい。
【0016】付加重合系ブロック共重合体(I)では、
芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)
はハードセグメントを構成し、一方重合体ブロック
(B)はソフトセグメントを構成している。本発明の熱
可塑性エラストマー組成物に用いる付加重合系ブロック
共重合体(I)は、ハードセグメントをなす重合体ブロ
ック(A)に少なくとも官能基を有していてその重合体
ブロック(A)部分(ハードセグメント)で少なくとも
架橋されており(要件)、ハードセグメントが架橋さ
れていることよって熱可塑性エラストマー組成物に高温
での優れた歪み回復性、良好なゴム的特性などを付与す
る。
【0017】付加重合系ブロック共重合体(I)は、重
合体ブロック(A)にのみ官能基を有し重合体ブロック
(A)部分でのみ架橋されていてもよいし、重合体ブロ
ック(A)と重合体ブロック(B)の両方に官能基を有
し重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の両方
で架橋されていてもよい。重合体ブロック(A)におけ
る官能基は、重合体ブロック(A)の末端に存在してい
てもよいし、重合体ブロック(A)を構成する分子鎖の
途中に存在していてもよいし、重合体ブロック(A)の
末端と分子鎖の途中の両方に存在していてもよい。した
がって、重合体ブロック(A)、重合体ブロック(A)
の末端で架橋されていても、重合体ブロック(A)の分
子鎖の途中で架橋されていても、または重合体ブロック
(A)の末端と分子鎖の途中の両方において架橋されて
いてもよい。また、重合体ブロック(B)にも官能基を
有する場合は、官能基は重合体ブロック(B)の末端お
よび/または分子鎖途中に存在することができる。
【0018】重合体ブロック(A)にのみ官能基を含有
する場合は、付加重合系ブロック共重合体(I)1分子
当たりの官能基数は、1.2〜1000個であることが
好ましく、1.6〜200個であることがより好まし
い。また、重合体ブロック(A)および重合体ブロック
(B)の両方に官能基を含有する場合は、付加重合系ブ
ロック共重合体(I)1分子当たりの官能基数は、2.
2〜1100個であることが好ましく、1.6〜230
個であることがより好ましい。そのうち、重合体ブロッ
ク(B)での官能基数は、付加重合系ブロック共重合体
(I)1分子当たり0.5〜30個であることが好まし
い。付加重合系ブロック共重合体(I)における官能基
数は、HPLC、NMR、GPC、滴定等を用いて算出
できる。付加重合系ブロック共重合体(I)における重
合体ブロック(A)部分における架橋結合の箇所数(個
数)は、付加重合系ブロック共重合体(I)1分子当た
り、1.5〜100箇所であることが好ましく、1.8
〜50箇所であることがより好ましい。重合体ブロック
(A)における架橋結合の数は、重合体ブロック(A)
への官能基の導入個数およびそれに対する架橋剤(IV)
の使用量を調節することによって変えることができる。
【0019】付加重合系ブロック共重合体(I)が有す
る官能基(架橋前の官能基)の例としては、活性水素原
子を有する官能基[例えば、式:−OH,−SH,−N
2,−NHR,−CONH2,−CONHR,−CON
H−,−SO3H,−SO2H,−SOHで表される官能
基(式中Rは炭化水素基を示す)など];窒素原子を有
する官能基(例えば、式:−NR2,>C=NH,>C
=N−,−CN,−NCO,−OCN,−SCN,−N
O,−NO2,−NCS,−CONR2,−CONR−な
どで表される官能基(式中Rは炭化水素基を示す)な
ど];カルボニル基またはチオカルボニル基を有する官
能基[例えば、式:>C=O,>C=S,−CH=O,
−CH=S,−COOR,−CSOR(式中Rは炭化水
素基を示す)など];エポキシ基、チオエポキシ基など
を挙げることができ、付加重合系ブロック共重合体
(I)は、重合体ブロック(A)にこれらの官能基の1
種または2種以上を有していることができる。そのうち
でも、重合体ブロック(A)、または重合体ブロック
(A)と重合体ブロック(B)に有する官能基は、水酸
基であることが、架橋結合が形成し易い点から好まし
い。
【0020】付加重合系ブロック共重合体(I)の重合
体ブロック(A)を構成する芳香族ビニル化合物単位と
しては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−
メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレ
ン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノ
クロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレ
ン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデ
ン、アセトナフチレンに由来する単位を挙げることがで
きる。重合体ブロック(A)は、前記した芳香族ビニル
化合物の1種または2種以上に由来する構造単位を有し
ていることができる。2種以上の芳香族ビニル化合物に
由来する構造単位を有する場合は、それらの結合形態
は、ランダム状、テーパードブロック状、一部ブロック
状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなってい
ることができる。そのうちでも、重合体ブロック(A)
は、主としてスチレンに由来する構造単位からなってい
ることが好ましい。
【0021】重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化
合物に由来する構造単位と共に、必要に応じて他の共重
合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。
その場合の他の共重合性単量体からなる構造単位の割合
は、ブロック共重合体を構成する重合体ブロック(A)
の合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ま
しく、10質量%以下であることがより好ましい。その
場合の他の共重合性単量体としては、例えば、メタクリ
ル酸エステル、アクリル酸エステル、1−ブテン、ペン
テン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニ
ルエーテルなどのイオン重合性単量体を挙げることがで
きる。これらの単量体の結合形態は、ランダム状、テー
パードブロック状、一部ブロック状、またはそれらの2
種以上の組み合わせからなっていることができる。
【0022】付加重合系ブロック共重合体(I)におい
て、その重合体ブロック(B)を構成する共役ジエン化
合物としては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエ
ン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−
ペンタジエンなどを挙げることができる。重合体ブロッ
ク(B)は、これらの共役ジエン化合物の1種のみから
構成されていてもまたは2種以上から構成されていても
よい。重合体ブロック(B)が2種以上の共役ジエン化
合物に由来する構造単位を有している場合は、それらの
結合形態はランダム、テーパード、一部ブロック状、ま
たはそれらの2種以上の組み合わせからなっていること
ができる。
【0023】そのうちでも、重合体ブロック(B)は、
イソプレン単位を主体とするモノマー単位からなるポリ
イソプレンブロックまたはその不飽和結合の一部または
全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック;ブ
タジエン単位を主体とするモノマー単位からなるポリブ
タジエンブロックまたはその不飽和結合の一部または全
部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック;或い
はイソプレン単位とブタジエン単位を主体とするモノマ
ー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合ブロック
またはその不飽和結合の一部または全部が水素添加され
た水添イソプレン/ブタジエン共重合ブロックであるこ
とが、耐候性、耐熱性などの点から好ましい。特に、重
合体ブロック(B)は、前記したポリイソプレンブロッ
ク、ポリブタジエンブロックまたはイソプレン/ブタジ
エン共重合ブロックの水素添加されたブロックであるこ
とがより好ましい。
【0024】重合体ブロック(B)の構成ブロックとな
り得る上記したポリイソプレンブロックでは、その水素
添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル
−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2−C(C
3)=CH−CH2−;1,4−結合のイソプレン単
位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(C
3)=CH2)−CH2−;3,4−結合のイソプレン
単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C
(CH3)(CH=CH2)−CH2−;1,2−結合の
イソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくとも1
種の基からなっており、各単位の割合は特に限定されな
い。
【0025】重合体ブロック(B)の構成ブロックとな
り得る上記したポリブタジエンブロックでは、その水素
添加前には、そのブタジエン単位の70〜20モル%、
特に65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基
(−CH2−CH=CH−CH2−;1,4−結合ブタジ
エン単位)であり、30〜80モル%、特に35〜60
モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH)−C
2−;1,2−結合ブタジエン単位]であることが好
ましい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合
量が上記した70〜20モル%の範囲内であると、その
ゴム物性が良好になる。
【0026】重合体ブロック(B)の構成ブロックとな
り得る上記したイソプレン/ブタジエン共重合ブロック
では、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位
は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプ
ロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチ
レン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基から
なっており、またブタジエンに由来する単位は2−ブテ
ン−1,4−ジイル基および/またはビニルエチレン基
からなっており、各単位の割合は特に制限されない。イ
ソプレン/ブタジエン共重合ブロックでは、イソプレン
単位とブタジエン単位の配置は、ランダム状、ブロック
状、テーパードブロック状のいずれの形態になっていて
もよい。そして、イソプレン/ブタジエン共重合ブロッ
クでは、ゴム物性の改善効果の点から、イソプレン単
位:ブタジエン単位のモル比が1:9〜9:1であるこ
とが好ましく、3:7〜7:3であることがより好まし
い。
【0027】付加重合系ブロック共重合体(I)は、得
られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性および耐候
性が良好なものとなる点から、重合体ブロック(B)に
おける不飽和二重結合の一部または全部が水素添加(以
下「水添」ということがある)されていることが好まし
い。その際の共役ジエン重合体ブロックの水添率は60
モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であ
ることがより好ましく、100モル%であることがさら
に好ましい。とりわけ水添率が100モル%に近いと、
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造するための
動的な架橋処理の際に、重合体ブロック(B)と架橋剤
(IV)との反応割合が低減する一方で、重合体ブロック
(A)の有する官能基と架橋剤(IV)との反応が促進さ
れて、ハードセグメントをなす重合体ブロック(A)に
架橋結合が導入される選択性が高くなる場合があるので
好ましい。重合体ブロック(B)は、共役ジエンからな
る構造単位とともに、必要に応じて他の共重合性単量体
からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の
他の共重合性単量体の割合は、付加重合系ブロック共重
合体(I)を構成する重合体ブロック(B)の合計質量
に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10
質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の
共重合性単量体としては、例えばスチレン、p−メチル
スチレン、α−メチルスチレンなどのイオン重合性単量
体を挙げることができる。
【0028】また、付加重合系ブロック共重合体(I)
は、重合体ブロック(A)に有する官能基によって少な
くとも重合体ブロック(A)部分で架橋されていると共
に、重合体ブロック(A)中に、炭素数1〜8のアルキ
ル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキル
スチレンに由来する構造単位(以下「C1〜8アルキルス
チレン由来構造単位」ということがある)を有し、該C
1〜8アルキルスチレン由来構造単位部分で更に架橋され
ていてもよい。C1〜8アルキルスチレン由来構造単位を
形成するスチレン系単量体としては、例えば、アルキル
基の炭素数が1〜8である、o−アルキルスチレン、m
−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−
ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、
2,4,6−トリアルキルスチレン、前記したアルキル
スチレン類におけるアルキル基の水素原子の1個または
2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキ
ルスチレン類などを挙げることができる。より具体的に
は、C1〜8アルキルスチレン由来構造単位を構成するア
ルキルスチレン誘導体としては、例えば、o−メチルス
チレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレ
ン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチ
レン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,
4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、
2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレ
ン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、
2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチ
レン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル
−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレ
ン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチ
レン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス(クロ
ロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)ス
チレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、
o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチ
レン、p−ジクロロメチルスチレンなどを挙げることが
でき、そのうちでもp−メチルスチレンが好ましい。
【0029】重合体ブロック(A)中にC1〜8アルキル
スチレン由来構造単位を更に有する場合には、ビスマレ
イミド系化合物や有機過酸化物などの架橋剤で架橋する
ことによって、重合体ブロック(A)におけるC1〜8
ルキルスチレン由来構造単位部分でも架橋結合が形成さ
れる。付加重合系ブロック共重合体(I)は、官能基に
基づく架橋結合とC1〜8アルキルスチレン由来構造単位
に基づく架橋結合を、1つの重合体ブロック(A)中に
同時に有していてもよいし、またはそれぞれ異なる重合
体ブロック(A)に有していてもよい。付加重合系ブロ
ック共重合体(I)が、官能基に基づく架橋結合と、C
1〜8アルキルスチレン由来構造単位に基づく架橋結合の
両方を同一又は相異なる重合体ブロック(A)に有する
場合は、架橋結合をもたらすC1〜8アルキルスチレン由
来構造単位の含有量は、付加重合系ブロック共重合体
(I)を構成する重合体ブロック(A)の全質量に対し
て1質量%以上であることが反応性の点から好ましい。
【0030】付加重合系ブロック共重合体(I)は、重
合体ブロック(A)部分のみで架橋されていても、また
は重合体ブロック(A)部分と重合体ブロック(B)部
分の両方で架橋されていてもよい。そのうちでも、本発
明の熱可塑性エラストマー組成物で用いる付加重合系ブ
ロック共重合体(I)は、重合体ブロック(A)のみで
架橋されていることが、ゴム用軟化剤(III)の保持力
に優れ、そのブリードを抑制できる点から好ましい。付
加重合系ブロック共重合体(I)における架橋度は、付
加重合系ブロック共重合体(I)を含有する本発明の熱
可塑性エラストマー組成物のポリマー組成、用途などに
応じて調整し得るが、一般的には架橋後の付加重合系ブ
ロック共重合体をシクロヘキサンを用いて10時間ソッ
クスレー抽出処理した時に、シクロヘキサンに溶解せず
に残留するゲルの質量割合(ゲル分率)が抽出処理前の
架橋後の付加重合系ブロック共重合体(I)の質量に対
して80%以上となるような架橋度であることが、高温
でのゴム弾性に優れる点から好ましい。
【0031】本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用
いる付加重合系ブロック共重合体(I)は、ハードセグ
メントをなす重合体ブロック(A)部分に架橋結合が形
成されているという点で、共役ジエン系重合体ブロック
部分が架橋されている従来の芳香族ビニル化合物重合体
ブロック/共役ジエン化合物重合体ブロックよりなるブ
ロック共重合体の架橋物とは異なっている。本発明の熱
可塑性エラストマー組成物では、ハードセグメントをな
す重合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋されてい
る付加重合系ブロック共重合体(I)を用いることによ
って、高温での歪み回復性に優れ、しかも柔軟で良好な
ゴム的性質を有する熱可塑性エラストマー組成物および
成形品の提供を可能にしたものである。
【0032】付加重合系ブロック共重合体(I)の分子
量は特に制限されないが、水素添加前で且つ動的な架橋
処理前の状態[水素添加前の付加重合系ブロック共重合
体(I0)]において、重合体ブロック(A)の数平均
分子量が2,500〜75,000、好ましくは5,0
00〜50,000の範囲内にあり、重合体ブロック
(B)の数平均分子量が10,000〜300,00
0、好ましくは30,000〜250,000の範囲内
にあり、付加重合系ブロック共重合体(I)[水素添加
前の付加重合系ブロック共重合体(I0)]の全体の数
平均分子量が12,500〜2,000,000、好ま
しくは50,000〜1,000,000の範囲内にあ
ることが、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学
的特性、成形加工性などの点から好適である。なお、本
明細書でいう数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポ
リスチレン検量線から求めた値をいう。
【0033】本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用
いるポリオレフィン(II)としては、エチレン系重合
体、プロピレン系重合体、ポリブテン−1およびポリ4
−メチルペンテン−1などを挙げることができ、これら
の1種または2種以上を用いることができる。そのう
ち、ポリオレフィン(II)としては、成形加工性の点か
ら、エチレン系重合体および/またはプロピレン系重合
体が好ましく用いられ、プロピレン系共重合体がより好
ましく用いられる。
【0034】ポリオレフィン(II)として好ましく用い
られるエチレン系重合体としては、例えば、高密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンな
どのエチレンの単独重合体、エチレン・ブテン−1共重
合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘプテ
ン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・
4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン
・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル
酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体
などのエチレン共重合体を挙げることができる。なかで
も、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび/
または低密度ポリエチレンが成形加工性の点からより好
ましく用いられる。
【0035】また、ポリオレフィン(II)として好まし
く用いられるプロピレン系重合体としては、例えば、プ
ロピレン単独重合体、エチレン・プロピレンランダム共
重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、プロ
ピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・
ブテン−1共重合体、プロピレン・4−メチルペンテン
−1共重合体などを挙げることができる。なかでも、プ
ロピレン単独重合体、エチレン・プロピレンランダム共
重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共
重合体が成形加工性の点からより好ましく用いられる。
【0036】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し
て、ポリオレフィン(II)の含有割合が10〜300の
質量部であることが必要である。ポリオレフィン(II)
の含有割合が前記10〜300質量部であることによっ
て、熱可塑性エラストマー組成物中でポリオレフィン
(II)が連続相をなし、その連続相中に少なくとも重合
体ブロック(A)部分で架橋してなる付加重合系ブロッ
ク共重合体(I)が微粒子状で分散したモルフォロジー
を有するようになり、高温での歪み回復性、柔軟なゴム
的特性、良好な成形加工性が熱可塑性エラストマー組成
物に付与される。ポリオレフィン(II)の含有割合が前
記した10質量部よりも少ないと、得られる熱可塑性エ
ラストマー組成物の熱可塑性が不十分となり、成形加工
性が劣るようになり、一方前記した300質量部よりも
多いと、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性
が不足する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性、柔軟性など
の点から、付加重合系ブロック共重合体(I)100質
量部に対して、ポリオレフィン(II)を12〜200質
量部の割合で含有することが好ましく、14〜100質
量部の割合で含有することがより好ましい。
【0037】本発明の熱可塑性エラストマー組成物が必
要に応じて含有するゴム用軟化剤(III)の種類は特に
制限されず、鉱物油系および/または合成樹脂系のいず
れもが使用できる。鉱物油系軟化剤は、一般に芳香族系
炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化
水素の混合物であって、パラフィン系炭化水素の炭素原
子数が全炭素原子中の50%以上を占めるものがパラフ
ィン系オイルと呼ばれ、一方ナフテン系炭化水素の炭素
原子が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ば
れ、また芳香族系炭化水素の炭素原子が35%以上のも
のが芳香族系オイルと呼ばれている。これらの中で、本
発明において好適に用いられるゴム用軟化剤はパラフィ
ン系オイルである。パラフィン系オイルとしては、40
℃における動粘度が20〜800cst(センチストー
クス)、特に50〜600cstで、流動度が0〜−4
0℃、特に0〜−30℃、および引火点(COC法)が
200〜400℃、特に250〜350℃のものが好ま
しく用いられる。合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテ
ン、低分子量ポリブタジエンなどを挙げることができ、
いずれも使用できる。
【0038】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し
てゴム用軟化剤(III)を0〜300質量部の割合で含
有し、50〜250質量部の割合で含有することが好ま
しい。ゴム用軟化剤(III)の含有割合が前記した30
0質量部を超えると、ゴム用軟化剤(III)のブリード
アウト、および熱可塑性エラストマー組成物およびそれ
からなる成形品の力学物性が低下する。
【0039】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性重合体
を含有することができる。含有し得る他の熱可塑性重合
体としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;
ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・1
0、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・
12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、
ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレ
ン基含有ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
のポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメ
タクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリオキシメ
チレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーな
どのポリオキシメチレン系樹脂;スチレン単独重合体、
アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・
ブタジエン・スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリ
カーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム
(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重
合ゴム(EPDM)などのエチレン系エラストマー;ス
チレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレ
ン共重合体ゴムなどのスチレン系エラストマーおよびそ
の水素添加物またはその変性物;天然ゴム;合成イソプ
レンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加
物または変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブ
チルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピク
ロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロ
ロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタ
ン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエ
ステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などを挙げ
ることができる。なお、他の重合体の含有量は、得られ
る熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、力学物性が損
なわれない範囲が好ましく、付加重合系ブロック共重合
体(I)100質量部に対して200質量部以下である
のが好ましい。
【0040】また、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物は、必要に応じて無機充填剤を含有することができ
る。本発明の熱可塑性エラストマー組成物が含有し得る
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タル
ク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラッ
ク、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、
炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラス粉末、金属粉末、
カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛
などを挙げることができ、これらの1種または2種以上
を含有することができる。無機充填剤の含有量は、得ら
れる熱可塑性エラストマーの性能が損なわれない範囲で
あるのが好ましく、一般的には、付加重合系ブロック共
重合体(I)100質量部に対して50質量部以下であ
るのが好ましい。
【0041】さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組
成物は、必要に応じて滑剤、光安定剤、熱安定剤、防曇
剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、ブ
ロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などをの
1種または2種以上を含有することができる。このう
ち、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノー
ル系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系などが挙
げられる。
【0042】本発明の熱可塑性エラストマー組成物で
は、熱可塑性のポリオレフィン(II)からなる連続相
(マトリックス相)中に、少なくとも重合体ブロック
(A)部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体
(I)からなる相、または付加重合系ブロック共重合体
(I)とゴム用軟化剤(III)とからなる柔軟な相が、
微細に分散している特異なモルフォロジー(分散形態)
を有していることが好ましい。上記の微分散相の分散粒
子径は、直径0.1μm〜30μmであるのが好まし
く、0.1μm〜10μmであるのがより好ましい。し
かしながら、それに限定されず、本発明の熱可塑性エラ
ストマー組成物では、付加重合系ブロック共重合体
(I)とゴム用軟化剤(III)とからなる相と、ポリオ
レフィン(II)からなる相とが共連続相を形成していて
もよい。
【0043】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
重合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋した付加重
合系ブロック共重合体(I)を予め製造し、その架橋し
た付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対
してポリオレフィン(II)を10〜300質量部、ゴム
用軟化剤(III)を0〜300質量部および場合により
他の重合体や添加剤を混合し加熱混練することによって
も製造してもよい。しかしながら、本発明の熱可塑性エ
ラストマー組成物は、芳香族ビニル化合物単位からなる
重合体ブロック(A)を1個以上および共役ジエン化合
物単位からなる重合体ブロック(B)を1個以上有し、
且つ重合体ブロック(A)に官能基を有するブロック共
重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1
種の付加重合系ブロック共重合体(I0)(架橋前の付
加重合系ブロック共重合体)100質量部に対して、ポ
リオレフィン(II)を10〜300質量部、ゴム用軟化
剤(III)を0〜300質量部、および架橋剤(IV)
0.01〜20質量部の割合で混合し、場合により更に
上記した他の重合体や添加剤を混合した混合物を溶融条
件下に動的架橋する方法によって製造することが好まし
い。かかる方法を採用する場合は、各成分が均一に混合
され、しかも重合体ブロック(A)に有する官能基部分
で少なくとも架橋された付加重合系ブロック共重合体
(I)を含有する本発明のの熱可塑性エラストマー組成
物を円滑に製造することができる。ここで、本明細書に
おける「溶融条件下に動的架橋する」とは、溶融状態に
した前記混合物に混練などによって剪断応力をかけなが
ら架橋することを意味する。
【0044】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製
造に用いる上記付加重合系ブロック共重合体(I0
は、重合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋されて
いる付加重合系ブロック共重合体(I)の架橋前の前駆
体であり、重合体ブロック(A)に有する上記した官能
基、または場合により重合体ブロック(A)と重合体ブ
ロック(B)の両方に有する上記した官能基が未だ架橋
されていないことを除いては、本発明の熱可塑性エラス
トマー組成物を構成している上記で説明した架橋後の付
加重合系ブロック共重合体(I)とその内容(例えばブ
ロック共重合体を構成する単量体の種類や組成、分子量
など)において同じである。本発明の熱可塑性エラスト
マー組成物の製造に用いる架橋前の付加重合系ブロック
共重合体(I0)の製法は何ら限定されず、重合体ブロ
ック(A)に官能基を有する付加重合系ブロック共重合
体(I0)を製造し得る方法であれば、いずれの方法を
採用して製造してもよい。例えば、付加重合系ブロック
共重合体(I 0)は、アニオン重合やカチオン重合など
のイオン重合法、ラジカル重合法などの公知の重合方法
を行うことによって製造することができる。官能基の導
入は、何ら限定されるものではないが、停止反応、開始
反応、官能化モノマーの共重合、高分子反応等を用いる
ことで行うことができる。例えば、二官能の陰イオン重
合開始剤を用い付加重合系ブロック共重合体を合成した
場合、末端処理剤としてオキシラン、カルボニル基、チ
オカルボニル基、酸無水物、アルデヒド基、チオアルデ
ヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸
基、スルホン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニト
リル基、エポキシ基、スルフィド基、イソシアネート
基、イソチオシアネート基等を有する化合物を用い官能
化させることが出来る。また、重合体ブロック(A)の
分子鎖の途中に官能基を有する付加重合系ブロック共重
合体(I0)は、例えば、Macromolecules 1995,
28,p8702−8704に記載されている方法によ
り製造することができる。
【0045】架橋剤(IV)としては、重合体ブロック
(A)、または重合体ブロック(A)と重合体ブロック
(B)に有する官能基の種類に応じて、それぞれの官能
基と反応して架橋結合を形成する反応性基を有する化合
物を用いる。架橋剤(IV)は2個以上、特に3個以上の
反応性基を有する多官能化合物であることが好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I0)の重合体ブロック
(A)などが有する官能基が、水酸基、−SH、−NH
2、−NHR、−CONH2,−CONHR,−CONH
−、−SO3H、−SO2H,−SOHなどの活性水素原
子を有する官能基である場合は、モノマーイソシアネー
ト、イソシアネート付加物(脂肪族系、環状基を有する
脂肪族系、芳香族系およびビフェニル系イソシアナート
付加物など)、ブロックイソシアネートなどのイソシア
ネート化合物を架橋剤(IV)として使用することがで
き、イソシアネート基を2個以上、特に3個以上有する
ポリイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイ
ソシアネートを原料とするイソシアヌレート結合を有す
るポリイソシアネートなどが好ましく用いられる。その
際に、付加重合系ブロック共重合体(I0)の重合体ブ
ロック(A)などにおける官能基とイソシアネート化合
物(架橋剤)との反応性を高めるために錫系触媒、チタ
ン系触媒などを用いることができる。また、重合体ブロ
ック(A)に有する官能基が水酸基である場合には、前
記したイソシアネート化合物以外にも、例えば、ポリエ
ポキシ化合物、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物
などのようなポリカルボン酸無水物などを架橋剤(IV)
として用いることもできる。重合体ブロック(A)に有
する官能基が、カルボキシル基である場合には、例え
ば、ポリエポキシ化合物、ポリアミンなどを架橋剤(I
V)として用いることができる。また、重合体ブロック
(A)に有する官能基がエポキシ基である場合は、例え
ば、ポリカルボン酸、ポリアミンなどを架橋剤(IV)と
して用いることができる。
【0046】架橋剤(IV)の使用量は、上記したように
付加重合系ブロック共重合体(I0)100質量部に対
して0.01〜20質量部であることが好ましく、0.
01〜10質量部であることがより好ましい。架橋剤
(IV)の使用量が0.01質量部未満であると、付加重
合系ブロック共重合体(I0)の重合体ブロック(A)
に十分な架橋結合を形成させることができず、一方架橋
剤(IV)の使用量が20質量部よりも多いと、ゴム用軟
化剤(III)のブリードアウト、熱可塑性エラストマー
組成物およびそれからなる成形品の力学物性の低下など
が生ずる。付加重合系ブロック共重合体(I0)を構成
する重合体ブロック(A)または場合により重合体ブロ
ック(A)と重合体ブロック(B)に有する官能基の当
量の観点からは、付加重合系ブロック共重合体(I0
が有する官能基1当量に対して、架橋剤(IV)を0.1
当量以上、特に0.1〜100当量の割合で使用するこ
とが好ましい。
【0047】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製
造するための溶融条件下での動的架橋工程は、付加重合
系ブロック共重合体(I0)およびポリオレフィン(I
I)、またはこれら2者とゴム用軟化剤(III)を溶融混
練して微細かつ均一に分散させ、さらに架橋剤(IV)に
よって付加重合系ブロック共重合体(I0)における少
なくとも重合体ブロック(A)部分で相互間に架橋結合
を生じさせて付加重合系ブロック共重合体(I0)をそ
のハードセグメント[重合体ブロック(A)]で少なく
とも架橋した付加重合系ブロック共重合体(I)へと変
換させる。付加重合系ブロック共重合体(I0)、ポリ
オレフィン(II)および場合によりゴム用軟化剤(II
I)を含有する混合物を架橋する場合であっても、溶融
条件下に動的架橋せずに、ゴムの加硫工程のように静的
条件下で架橋する場合は、ポリオレフィン(II)が連続
相を形成しにくいため、得られる組成物は熱可塑性を示
さないものとなり易い。
【0048】また、付加重合系ブロック共重合体
(I0)として、その重合体ブロック(A)に上記した
官能基と共にC1〜8アルキルスチレン由来構造単位を有
するブロック共重合体および/またはその水素添加物を
用いる場合は、上記した架橋剤(IV)と共に、C1〜8
ルキルスチレン由来構造単位部分で架橋を生じさせるビ
スマレイミド系化合物や有機過酸化物などの架橋剤を同
時に添加して動的に架橋処理すればよい。その際に用い
得るビスマレイミド系化合物としては、例えば、N,
N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−
フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレン
(1−メチル)ビスマレイミド、N,N’−2,7−ナ
フテンビスマレイミド、N,N’−m−ナフテンビスマ
レイミド、N,N’−m−フェニレン−4−メチルビス
マレイミド、N,N’−m−フェニレン(4−エチル)
ビスマレイミドおよびトルイレンビスマレイミドなどを
挙げることができる。また、有機過酸化物としては、例
えば、ジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビ
ス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチ
ルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、
p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロ
ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾ
エート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネー
ト、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、t−ブチルクミルペルオキシドなどを挙げることが
でき、これらの架橋剤の1種または2種以上を用いるこ
とができる。ビスマレイミド系化合物や有機過酸化物の
使用量は、重合体ブロック(A)におけるC1〜8アルキ
ルスチレン由来構造単位の含有量、重合体ブロック
(A)に有する官能基の含有量、架橋後の付加重合系ブ
ロック共重合体(I)における所望の架橋度などに応じ
て適宜調節すればよい。
【0049】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製
造するための、溶融条件下での動的架橋を行う装置とし
ては、各成分を均一に混合し得る溶融混練装置のいずれ
もが使用でき、例えば単軸押出機、二軸押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。な
かでも、混練中の剪断力が大きく連続運転が可能な二軸
押出機を使用するのが好ましい。
【0050】何ら限定されるものではないが、押出機を
使用して本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造す
る際の加工工程の具体例としては次の方法を挙げること
ができる。すなわち、付加重合系ブロック共重合体(I
0)およびポリオレフィン(II)を混合し、押出機のホ
ッパーに投入する。その際にポリオレフィン(II)、架
橋剤(IV)およびゴム用軟化剤(III)を、付加重合系
ブロック共重合体(I 0)に当初から添加するか、また
は押出機の途中からそれらの一部または全部を添加して
溶融混練して押し出す。その際に、2台以上の押出機を
使用して段階的に順次溶融混練してもよい。溶融混練温
度は、付加重合系ブロック共重合体(I0)およびポリ
オレフィン(II)が溶融し、架橋剤(IV)が反応する範
囲内で適宜選択されるが、通常160℃〜270℃であ
るのが好ましく、180℃〜240℃であるのがより好
ましい。溶融混練時間は約30秒〜5分間であるのが好
ましい。
【0051】上記のような溶融条件下での動的な架橋処
理によって得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成
物は、熱可塑性のポリオレフィン(II)からなる連続相
(マトリックス相)中に、少なくとも重合体ブロック
(A)部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体
(I)からなる相、または付加重合系ブロック共重合体
(I)とゴム用軟化剤(III)とからなる柔軟な相が、
微細に分散している特異なモルフォロジー(分散形態)
を一般に有している。上記の微分散相の分散粒子径は、
直径0.1μm〜30μmであるのが好ましく、0.1
μm〜10μmであるのがより好ましい。しかしなが
ら、それに限定されず、本発明の熱可塑性エラストマー
組成物では、付加重合系ブロック共重合体(I)とゴム
用軟化剤(III)とからなる相と、ポリオレフィン(I
I)からなる相とが共連続相を形成していてもよい。こ
の場合も架橋剤(IV)の使用量、混練条件を適切に選択
することにより、得られる組成物を熱可塑性に優れたも
のとすることができる。
【0052】上記のようにして得られる本発明の熱可塑
性エラストマー組成物は、成形加工性に優れるため、例
えば、射出成形法、押出成形法、インフレーション成形
法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー
成形法、中空成形法、圧縮成形法およびカレンダー成形
法などの成形法により成形、加工することができる。
【0053】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成
形加工して得られる成形品は、各種用途に用いることが
でき、具体的には、例えば、インストルメンタルパネ
ル、センターパネル、センターコンソールボックス、ド
アトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エア
バックカバー、エアダクトなどの自動車内装部品;ウェ
ザーストリップ、バンパー、モール、グラスランチャン
ネルなどの自動車外装部品;掃除機のバンパー、リモコ
ンスイッチ、OA機器の各種キートップ、テレビ、ステ
レオなどの家電部品;水中眼鏡、水中カメラカバーなど
の水中使用製品;各種カバー部品、密閉、防水、防音、
防振などを目的とする各種パッキン付き工業部品;ラッ
ク、ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョ
イントブーツなどの自動車機能部品;ベルト、ホース、
チューブ;電線被覆、消音ギヤなどの電気、電子部品;
スポーツ用品;雑貨品;文房具;ドア、窓枠材などの建
築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用シリンジのガ
スケット、バッグ、チューブなどの医療用品;ホットメ
ルトシーリング材;糸ゴム、伸縮性フィルムなどの伸縮
性材料;ワイヤー、ケーブルなどに使用することができ
る。
【0054】
【実施例】以下に本発明を実施例、比較例、参考例など
により具体的に説明するが、本発明は以下の例により何
ら限定されない。以下の実施例、比較例、参考例および
比較参考例などにおいて、各物性の測定および成形品の
品質の評価は次のようにして行った。
【0055】(1)硬度(JIS−A)の測定:実施例
または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物か
らなるプレスシートを所定の厚さ(12mm)に重ね
て、JIS−K6301に準じてA硬度を測定した。
【0056】(2)引張破断強さおよび引張破断伸びの
測定:実施例または比較例で得られた熱可塑性エラスト
マー組成物からなるプレスシートを3号ダンベル形に打
ち抜き、オートグラフ[(株)島津製作所製]を使用し
て、JIS−K6301に準じて500mm/分の条件
で引張破断強さおよび引張破断伸びの測定を行った。
【0057】(3)圧縮永久歪みの測定:実施例または
比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる
プレスシートを用いて、JIS−K6301に準じて、
温度120℃、圧縮変形量25%の条件下に22時間放
置した後の圧縮永久歪みを測定した。
【0058】(4)ゲル分率の測定 実施例、比較例、参考例または比較参考例で得られた試
料1gをシクロヘキサンで10時間ソックスレー抽出処
理を行い、抽出処理後、抽出残渣を分離して真空乾燥
し、抽出残渣の質量を測定して、抽出処理前の試料の質
量に対する質量%を求めてゲル分率とした。なお、実施
例1および参考例2で得られた架橋後の熱可塑性エラス
トマー組成物よりなる試料でのゲル分率は、抽出処理後
の残渣(組成物)の質量から抽出処理前の試料に含まれ
るポリオレフィン(II)の質量を差し引いて該残渣に含
まれる付加重合系ブロック共重合体(I0−1)の架橋
物の質量を算出し、架橋処理前の熱可塑性エラストマー
組成物に含まれていた付加重合系ブロック共重合体(I
0−1)の質量に対する該残渣中の付加重合系ブロック
共重合体(I0−1)の架橋物の割合(質量%)を求め
てゲル分率とした。
【0059】(5)動的粘弾性の測定:参考例2または
比較参考例3で得られた熱可塑性エラストマー組成物を
用いて得られたプレスシートを幅5mmの短冊状に切断
して試験片を作製し、その試験片を用いて歪み0.3
%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件で動的粘弾
性を測定した。測定装置としてレオロジ社製の粘弾性解
析測定装置「DVE−V4」を使用した。
【0060】以下の実施例、比較例または比較参考例で
用いたポリオレフィン(II)、ゴム用軟化剤(III)、
架橋剤(IV)、ポリスチレンおよび水素添加ポリブタジ
エンの内容は下記のとおりである。 ○ポリオレフィン(II−1):ポリプロピレン(単独重
合体)[(株)グランドポリプロ製「グランドポリマー
S13B」、メルトフローレート=700g/10分] ○ポリオレフィン(II−2):ポリプロピレン(ランダ
ム共重合体)[(株)グランドポリプロ製「グランドポ
リマーB221」、メルトフローレート=1g/10
分] ○ゴム用軟化剤(III):パラフィン系プロセスオイル
[出光興産(株)製「PW−380」] ○架橋剤(IV−1):ヘキサメチレンジイソシアネート
を原料としてなるイソシアヌレート結合を有するポリイ
ソシアネート[日本ポリウレタン工業(株)製「コロネ
ートHX」、イソシアネート基数=3個/1分子] ○架橋剤(IV−2):ピロメリット酸無水物 ○架橋剤(3):ジクミルペルオキシド[日本油脂
(株)製「パークミルD」] ○架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート
【0061】《製造例1》[付加重合系ブロック共重合
体(I0−1)の製造] 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを2700
g、テトラヒドロフランを6.4g、ブタジエンモノマ
ーを308gおよび2官能開始剤としてジリチオポリブ
タジエン29gを加え、50℃で120分間重合した
後、スチレンモノマー144gを添加し、50℃で60
分間重合した。次に、エチレンオキサイドを6g加えて
付加させた後、メタノールを添加し重合を停止して、両
末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジエン−
ポリスチレン型トリブロック共重合体を得た。該トリブ
ロック共重合体のシクロヘキサン溶液を調製し、十分に
窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系
のZiegler系水素添加触媒を用いて水素雰囲気下
において80℃で5時間水素添加反応を行い、両末端に
水酸基を有するポリスチレン−水素添加ポリブタジエン
−ポリスチレン型トリブロック共重合体[Mn=60,
000;水酸基含有量=1.6個/1分子;各重合体ブ
ロックの割合=15/70/15(質量比);ポリブタ
ジエンブロックの水素添加率=99モル%][付加重合
系ブロック共重合体(I0−1)]を製造した。
【0062】《製造例2》[付加重合系ブロック共重合
体(I0−2)の製造] 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを2700
g、テトラヒドロフランを6.4g、ブタジエンモノマ
ーを331gおよび2官能開始剤としてジリチオポリブ
タジエン5.8gを加え、50℃で120分間重合した
後、スチレンモノマー144gを添加し、50℃で60
分間重合した。次に、エチレンオキサイドを1.2g加
えて付加させた後、メタノールを添加し重合を停止し
て、両末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジ
エン−ポリスチレン型トリブロック共重合体を得た。該
トリブロック共重合体のシクロヘキサン溶液を調製し、
十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/
Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて水素雰
囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、両
末端に水酸基を有するポリスチレン−水素添加ポリブタ
ジエン−ポリスチレン型トリブロック共重合体[Mn=
200,000;水酸基含有量=1.7個/1分子;各
重合体ブロックの割合=15/70/15(質量比);
ポリブタジエンブロックの水素添加率=99モル%]
[付加重合系ブロック共重合体(I0−2)]を製造し
た。
【0063】《製造例3》[付加重合系ブロック共重合
体(I0−3)の製造] (1) 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを2
700g、テトラヒドロフランを6.4g、ブタジエン
モノマーを308gおよび2官能開始剤としてジリチオ
ポリブタジエン29gを加え、50℃で120分間重合
した後、スチレンモノマー144gを添加し、50℃で
60分間重合した。次に、エチレンオキサイドを6g加
えて付加させた後、メタノールを添加し重合を停止し
て、両末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジ
エン−ポリスチレン型トリブロック共重合体を得た。該
トリブロック共重合体のシクロヘキサン溶液を調製し、
十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/
Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて水素雰
囲気下において80℃で5時間水素添加反応を行い、両
末端に水酸基を有するポリスチレン−水素添加ポリブタ
ジエン−ポリスチレン型トリブロック共重合体(ポリブ
タジエンブロックの水素添加率=94モル%)を製造し
た。 (2) 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを1
000g、上記の(1)で得られた両末端に水酸基を有
するポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチ
レン型トリブロック共重合体100g、t−ブチルリチ
ウムの1.7molペンタン溶液を5.88mlおよび
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを
1.6g加えて、50℃で120分撹拌した後、エチレ
ンオキサイドを3g加えて付加させ、次いでメタノール
を添加し重合を停止して、水酸基を有するポリスチレン
−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン型トリブロッ
ク共重合体[Mn=60,000;水酸基含有量=5個
/1分子;各重合体ブロックの割合=15/70/15
(質量比);ポリブタジエンブロックの水素添加率=9
4モル%][付加重合系ブロック共重合体(I0
3)]を製造した。
【0064】《製造例4》[付加重合系ブロック共重合
体(I0−4)の製造] (1) 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを5
060g、スチレンモノマーを182gおよび3−(t
−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ジメチル−1−
プロピルリチウムのシクロヘキサン溶液(18質量%)
(FMC Corp.製)34.2gを加え、40℃で6
0分間重合した後、イソプレン/ブタジエン=60/4
0の割合で混合した混合モノマーを850g加えて60
分間重合し、更にスチレンモノマーを182g加えて6
0分間重合した後、エチレンオキサイド10gを加え、
最後にメタノールを添加し反応を停止して、一方の末端
に水酸基を有し、他方の末端に保護された水酸基を有す
るポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポ
リスチレン型トリブロック共重合体を得た。該トリブロ
ック共重合体のシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒
素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系の
Ziegler系水素添加触媒を用いて水素雰囲気下に
おいて80℃で5時間水素添加反応を行い、水素添加ト
リブロック共重合体を製造した。 (2) 上記(1)で得られた水素添加トリブロック共
重合体の保護基の離脱反応を、テトラヒドロフラン中、
塩酸を用いて60℃で7時間行い、両末端に水酸基を有
するポリスチレン−水素添加ポリ(イソプレン/ブタジ
エン)−ポリスチレン型トリブロック共重合体[Mn=
100,000;水酸基含有量=1.8個/1分子;各
重合体ブロックの割合=15/70/15(質量比);
ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率
=99モル%][付加重合系ブロック共重合体(I0
4)]を製造した。
【0065】《製造例5》[官能基を持たない付加重合
系ブロック共重合体(5)の製造] 撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを2700
g、スチレンモノマーを71g及びsec−ブチルリチ
ウムの1.3molシクロヘキサン溶液を8.2ml加
え、50℃で60分間重合した後、テトラヒドロフラン
を6.27g、ブタジエンモノマーを333g加え12
0分間重合した。更にスチレンモノマーを71g加え6
0分間重合した後、メタノールを添加し重合を停止し、
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン型トリブ
ロック共重合体を得た。該トリブロック共重合体のシク
ロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧
容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水
素添加触媒を用いて水素雰囲気下において80℃で5時
間水素添加反応を行い、ポリスチレン−水素添加ポリブ
タジエン−ポリスチレン型トリブロック共重合体[Mn
=60,000;各重合体ブロックの割合=15/70
/15(質量比);ポリブタジエンブロックの水素添加率
=99モル%][付加重合系ブロック共重合体(5)]
を製造した。
【0066】《実施例1〜7》 (1) 製造例1〜4で製造した付加重合系ブロック共
重合体(I0−1)〜(I0−4)、ポリオレフィン(II
−1)または(II−2)、ゴム用軟化剤(III)および
架橋剤(IV−1)または(IV−2)を、下記の表1に示
す割合で予備混合した後、ラボプラストミル[東洋精機
(株)製]に供給してシリンダー温度180℃、スクリ
ュウ回転数50rpmで溶融混練して、熱可塑性エラス
トマー組成物をそれぞれ製造した。実施例1で得られた
架橋後の組成物を試料として用いて、そのゲル分率を上
記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおり
であった。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組
成物を用いて、プレス成形機[(株)神藤金属工業所製の
単動型圧縮成形機「NSF−37」]を使用して、金型
温度210℃の条件下で成形して150mm×150m
m×1mmの成形品(プレスシート)を製造し、得られ
た成形品の各物性を上記した方法で測定したところ、下
記の表1に示すとおりであった。
【0067】《比較例1〜7》 (1) 製造例1〜3で製造した付加重合系ブロック共
重合体(I0−1)〜(I0−3)、ポリオレフィン(II
−1)または(II−2)およびゴム用軟化剤(III)
を、下記の表2に示す割合で混合すると共に、そこに架
橋剤(3)(有機過酸化物)および架橋助剤(トリアリ
ルイソシアヌレート)を表2に示す量で混合し、実施例
1〜7の(1)と同じ操作を行って、熱可塑性エラスト
マー組成物をそれぞれ製造した。 (2) 上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組
成物を用いて、実施例1〜7の(2)と同じ成形操作を
行って、150mm×150mm×1mmの成形品(プ
レスシート)を製造し、得られた成形品の各物性を上記
した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりで
あった。
【0068】《比較参考例1》製造例5で製造した官能
基を持たない付加重合系ブロック共重合体(5)、ポリ
オレフィン(II−1)、ゴム用軟化剤(III)および架
橋剤(IV−1)(ポリイソシアネート)を下記の表3に
示す割合で予備混合した後、実施例1〜7の(1)と同
じ操作を行って試料を製造した。この試料について、上
記した方法でゲル分率を測定したところ、下記の表3に
示すとおりであった。
【0069】《参考例1および比較参考例2》製造例1
で製造した付加重合系ブロック共重合体(I0−1)ま
たは製造例5で製造した官能基を持たない付加重合系ブ
ロック共重合体(5)に、架橋剤(IV−1)(ポリイソ
シアネート)を下記の表3に示す割合で予備混合した
後、実施例1〜7の(1)と同じ操作を行って試料を製
造した。この試料について、上記した方法でゲル分率を
測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0070】《比較参考例3》製造例5で製造した官能
基を持たない付加重合系ブロック共重合体(5)にゴム
用軟化剤(III)を下記の表3に示す割合で予備混合し
た後、実施例1〜7の(1)と同じ操作を行って試料を
製造した。この試料について、上記した方法でゲル分率
を測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、この比較参考例3で得られた熱可塑性エラストマ
ー組成物の動的粘弾性を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の図1のグラフに示すとおりであった。
【0071】《参考例2》製造例1で製造した付加重合
系ブロック共重合体(I0−1)にゴム用軟化剤(III)
および架橋剤(IV−1)(ポリイソシアネート)を下記
の表3に示す割合で予備混合した後、実施例1〜7の
(1)と同じ操作を行って試料を製造した。この試料に
ついて、上記した方法でゲル分率を測定したところ、下
記の表3に示すとおりであった。また、この参考例2で
得られた熱可塑性エラストマー組成物の動的粘弾性を上
記した方法で測定したところ、下記の図1のグラフに示
すとおりであった。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】上記の表1および2の結果にみるように、
実施例1〜7で得られた熱可塑性エラストマー組成物
は、重合体ブロック(A)に官能基を有する付加重合系
ブロック共重合体(I0−1)〜(I0−4)のいずれか
を用い、これにポリオレフィン(II−1)または(II−
2)、ゴム用軟化剤(III)および官能基と反応する架
橋剤(IV−1)または(IV−2)を本発明で規定する割
合で含有してなる混合物を溶融条件下に動的に架橋処理
したことに得られたものであるために、120℃での圧
縮永久歪みが小さく、高温での歪み回復性に優れてい
る。
【0076】一方、比較例1、3、5および7では、製
造例1〜3で得られた重合体ブロック(A)に官能基を
有する付加重合系ブロック共重合体(I0−1)、(I0
−2)または(I0−3)を用い、これにポリオレフィ
ン(II−1)または(II−2)とゴム用軟化剤(III)
を添加しているが、架橋剤を全く配合していないため
に、得られた熱可塑性エラストマー組成物は、いずれも
120℃での圧縮永久歪みが大きく、高温での歪み回復
性に劣っている。
【0077】また、比較例2、4および6では、製造例
1〜3で得られた重合体ブロック(A)に官能基を有す
る付加重合系ブロック共重合体(I0−1)、(I0
2)または(I0−3)を用い、これにポリオレフィン
(II−1)または(II−2)とゴム用軟化剤(III)を
添加し、さらに架橋剤を添加しているが、用いた架橋剤
が重合体ブロック(A)の官能基(水酸基)を架橋でき
ない架橋剤(3)(有機過酸化物)であるために、得ら
れた熱可塑性エラストマー組成物は、いずれも実施例1
〜6に比べて、120℃での圧縮永久歪みが大きく高温
での歪み回復性に劣っている。
【0078】そして、上記の表3にみるように、官能基
を持たない付加重合系ブロック共重合体(5)を用いた
比較参考例1および比較参考例2は、架橋剤(IV−1)
(ポリイソシアネート)を添加して溶融条件下で動的に
処理を行なったにも拘わらず、得られた組成物のゲル分
率がゼロであり、全く架橋されていない。また、官能基
を持たない付加重合系ブロック共重合体(5)を用いた
比較参考例3では、架橋剤を添加せずにゴム用軟化剤
(III)のみを加えて溶融混練したために、得られた組
成物のゲル分率がゼロであり、全く架橋されていない。
一方、実施例1、参考例1および参考例2では、重合体
ブロック(A)に水酸基を有する付加重合系ブロック共
重合体(I0−1)に、架橋剤(IV−1)(ポリイソシ
アネート)を添加して溶融条件下で混練してことによ
り、ゲル分率がいずれも高くなっている。したがって、
これらの結果から、重合体ブロック(A)に官能基を有
する付加重合系ブロック共重合体(I0)に、該官能基
と反応する架橋剤を加えて溶融条件下で動的に加熱処理
すると、ハードセグメントをなす重合体ブロック(A)
部分で架橋されることがわかる。
【0079】また、図1のグラフにみるように、比較参
考例3で得られた熱可塑性エラストマー組成物は架橋さ
れていないために、80℃以上で貯蔵弾性率が大きく低
下したのに対して、参考例2で得られた熱可塑性エラス
トマー組成物は、付加重合系ブロック共重合体(I)の
ハードセグメントをなす重合体ブロック(A)部分での
架橋されていることによって、80℃以上の高温でも貯
蔵弾性率の大きな低下が見られず、高い弾性率を維持し
ている。
【0080】
【発明の効果】本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、高温での歪み回復性に優れ、かつ良好な成形加工性
および柔軟で良好なゴム的特性を有しており、自動車部
品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨
品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他の広範
な用途に極めて有効に使用することができる。本発明の
熱可塑性エラストマー組成物は、芳香族ビニル化合物単
位からなる重合体ブロック(A)を1個以上および共役
ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(B)を1個
以上有するブロック共重合体であって、重合体ブロック
(A)に官能基を有するブロック共重合体および/また
はその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体
(I0)に対して、ポリオレフィン(II)および場合に
よりゴム用軟化剤(III)を特定の割合で混合し、これ
に架橋剤(IV)を特定の量で混合して溶融条件下で動的
に架橋処理する本発明の方法によって、極めて簡単に且
つ円滑に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例2および比較参考例3で得られた熱可塑
性エラストマー組成物の動的粘弾性の測定結果を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 63/193 C08G 63/193 4J036 C08J 3/24 CER C08J 3/24 CERZ 4J100 C08L 23/00 C08L 23/00 63/00 63/00 A 75/04 75/04 91/00 91/00 (72)発明者 佐々木 繁 茨城県つくば市御幸が丘41番地 株式会社 クラレ内 Fターム(参考) 4F070 AA12 AA13 AA15 AA16 AA18 AA40 AB02 AB03 AB05 AB06 AB08 AC56 AC75 AC94 AE02 AE08 GA05 GA06 GB03 4J002 AE053 BB03X BB05X BB06X BB07X BB11X BB12X BB15X BB173 BL013 BP01W BP02X CD00W EK036 EK046 EK056 EK086 EL026 EL136 ER006 EU026 FD023 FD146 GC00 GL00 GQ00 4J026 HA06 HA15 HA26 HA32 HB06 HB15 HB16 HB26 HB32 HB45 HB48 HB50 HE02 HE05 4J029 AA03 AB07 AC01 AE01 FC14 GA13 JE022 JE052 JE112 4J034 BA03 DQ09 DQ18 GA06 GA23 GA26 GA33 GA35 GA36 GA37 HA07 HA08 HA09 HA11 HC03 HC35 HD00 HD01 QD01 QD04 RA11 RA19 4J036 AA01 FB00 FB05 JA15 4J100 BA03H CA31 HA03 HC08 HG03 JA00 JA43 JA57

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル化合物単位からなる重合体
    ブロック(A)を1個以上および共役ジエン化合物単位
    からなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロッ
    ク共重合体であって、重合体ブロック(A)に官能基を
    有し、官能基を有する重合体ブロック(A)部分で少な
    くとも架橋されているブロック共重合体およびその水素
    添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロッ
    ク共重合体(I)100質量部;ポリオレフィン(II)
    10〜300質量部;およびゴム用軟化剤(III)0〜
    300質量部;の割合で含有することを特徴とする熱可
    塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 少なくともポリオレフィン(II)が連続
    相をなすモルフォロジーを有する請求項1に記載の熱可
    塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 重合体ブロック(A)に有する官能基
    が、活性水素原子を有する官能基、窒素原子を有する官
    能基、カルボニル基を有する官能基、チオカルボニル基
    を有する官能基、エポキシ基およびチオエポキシ基から
    選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項1または
    2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 重合体ブロック(A)に有する官能基が
    水酸基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可
    塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 重合体ブロック(A)に有する官能基の
    数が、付加重合系ブロック共重合体(I)1分子当たり
    1.2個以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 【請求項6】 芳香族ビニル化合物単位からなる重合体
    ブロック(A)を1個以上および共役ジエン化合物単位
    からなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロッ
    ク共重合体であって、重合体ブロック(A)に官能基を
    有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ば
    れる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I
    0)100質量部に対して;ポリオレフィン(II)10
    〜300質量部;ゴム用軟化剤(III)0〜300質量
    部;および、架橋剤(IV)0.01〜20質量部;の割
    合で混合してなる混合物を、溶融条件下に動的に架橋処
    理することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラ
    ストマー組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 付加重合系ブロック共重合体(I0)の
    重合体ブロック(A)に有する官能基が、活性水素原子
    を有する官能基、窒素原子を有する官能基、カルボニル
    基を有する官能基、チオカルボニル基を有する官能基、
    エポキシ基およびチオエポキシ基から選ばれる少なくと
    も1種の官能基である請求項6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 付加重合系ブロック共重合体(I0)の
    重合体ブロック(A)に有する官能基が水酸基である請
    求項6または7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 付加重合系ブロック共重合体(I0)の
    重合体ブロック(A)に有する官能基が水酸基であり、
    架橋剤が2官能以上のポリイソシアネート化合物、ポリ
    エポキシ化合物およびポリカルボン酸無水物から選ばれ
    る少なくとも1種の化合物である請求項6〜8のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
  11. 【請求項11】 芳香族ビニル化合物単位からなる重合
    体ブロック(A)を1個以上および共役ジエン化合物単
    位からなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロ
    ック共重合体であって、重合体ブロック(A)に官能基
    を有し、官能基を有する重合体ブロック(A)部分で少
    なくとも架橋されていることを特徴とするブロック共重
    合体またはその水素添加物。
JP2002144484A 2002-05-20 2002-05-20 熱可塑性エラストマー組成物 Expired - Fee Related JP4007852B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002144484A JP4007852B2 (ja) 2002-05-20 2002-05-20 熱可塑性エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002144484A JP4007852B2 (ja) 2002-05-20 2002-05-20 熱可塑性エラストマー組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003335917A true JP2003335917A (ja) 2003-11-28
JP4007852B2 JP4007852B2 (ja) 2007-11-14

Family

ID=29704144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002144484A Expired - Fee Related JP4007852B2 (ja) 2002-05-20 2002-05-20 熱可塑性エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4007852B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004137389A (ja) * 2002-10-18 2004-05-13 Kuraray Co Ltd フィルム
JP2004352869A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 良外観熱可塑性重合体組成物
JP2005225977A (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2007112824A (ja) * 2005-09-21 2007-05-10 Idemitsu Kosan Co Ltd プロセスオイル及びゴム組成物
JP2019510857A (ja) * 2016-03-21 2019-04-18 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 架橋ポリウレタン
JP2019534368A (ja) * 2016-11-22 2019-11-28 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー ペンタブロックコポリマー
WO2022163796A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 Eneos株式会社 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法ならびに成形体

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63343A (ja) * 1986-06-20 1988-01-05 Nippon Erasutomaa Kk 履物用熱可塑性弾性体組成物
JPH01215849A (ja) * 1987-12-31 1989-08-29 Shell Internatl Res Maatschappij Bv 極性熱可塑性ポリマー及び改質ブロックコポリマーの耐衝撃性ブレンド
JPH02175705A (ja) * 1988-12-28 1990-07-09 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 変性水添共役ジエン系重合体、その組成物および製造方法
JPH07118492A (ja) * 1993-10-21 1995-05-09 Kuraray Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JPH07331057A (ja) * 1994-05-31 1995-12-19 Kuraray Co Ltd ポリフェニレンエーテル樹脂組成物
JP2003020383A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003183473A (ja) * 2001-12-19 2003-07-03 Asahi Kasei Corp 難燃性重合体組成物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63343A (ja) * 1986-06-20 1988-01-05 Nippon Erasutomaa Kk 履物用熱可塑性弾性体組成物
JPH01215849A (ja) * 1987-12-31 1989-08-29 Shell Internatl Res Maatschappij Bv 極性熱可塑性ポリマー及び改質ブロックコポリマーの耐衝撃性ブレンド
JPH02175705A (ja) * 1988-12-28 1990-07-09 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 変性水添共役ジエン系重合体、その組成物および製造方法
JPH07118492A (ja) * 1993-10-21 1995-05-09 Kuraray Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JPH07331057A (ja) * 1994-05-31 1995-12-19 Kuraray Co Ltd ポリフェニレンエーテル樹脂組成物
JP2003020383A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003183473A (ja) * 2001-12-19 2003-07-03 Asahi Kasei Corp 難燃性重合体組成物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004137389A (ja) * 2002-10-18 2004-05-13 Kuraray Co Ltd フィルム
JP2004352869A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 良外観熱可塑性重合体組成物
JP2005225977A (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2007112824A (ja) * 2005-09-21 2007-05-10 Idemitsu Kosan Co Ltd プロセスオイル及びゴム組成物
JP2019510857A (ja) * 2016-03-21 2019-04-18 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 架橋ポリウレタン
JP7110109B2 (ja) 2016-03-21 2022-08-01 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 架橋ポリウレタン
JP2019534368A (ja) * 2016-11-22 2019-11-28 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー ペンタブロックコポリマー
JP7204646B2 (ja) 2016-11-22 2023-01-16 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー ペンタブロックコポリマー
WO2022163796A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 Eneos株式会社 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法ならびに成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4007852B2 (ja) 2007-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2444534C (en) Thermoplastic elastomer composition
JP3946080B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP7035086B2 (ja) 架橋性組成物およびそれからなる成形可能な熱可塑性エラストマー製品
US7169849B2 (en) Process for production of thermoplatic elastomer composition
JP4007852B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4027771B2 (ja) 複層成形体
JP4689354B2 (ja) エラストマー組成物
JP4522728B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2005255857A (ja) 水添ジエン系共重合体及びその製造方法
JP4547178B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP2003003038A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法
JP4118716B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその成形品
JP4522729B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4080301B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2004138168A (ja) チューブおよびホース
JP4133206B2 (ja) フィルム
JP2004149674A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP4373808B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2004137479A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003128871A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2003003039A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP2004155825A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2004217701A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2007169564A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040813

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060413

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070410

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070606

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070828

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4007852

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110907

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120907

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130907

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees