JP4689354B2 - エラストマー組成物 - Google Patents

エラストマー組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4689354B2
JP4689354B2 JP2005163094A JP2005163094A JP4689354B2 JP 4689354 B2 JP4689354 B2 JP 4689354B2 JP 2005163094 A JP2005163094 A JP 2005163094A JP 2005163094 A JP2005163094 A JP 2005163094A JP 4689354 B2 JP4689354 B2 JP 4689354B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
elastomer composition
block copolymer
crosslinking
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005163094A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006335901A (ja
Inventor
誠 多和田
竜司 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2005163094A priority Critical patent/JP4689354B2/ja
Publication of JP2006335901A publication Critical patent/JP2006335901A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4689354B2 publication Critical patent/JP4689354B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、特定の架橋されたブロック共重合体を含有するエラストマー組成物、その製造方法、および当該エラストマー組成物からなる成形品に関する。本発明のエラストマー組成物は、自動車部品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他様々な用途に有効に使用することが出来る。
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴムなどのゴム類に架橋剤や補強剤などを配合して高温高圧下で架橋したものが汎用されている。しかしながらこの様なゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う工程が必要であり、加工性に劣る。また架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、一般的には、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形を行うことができない。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形、射出成形、及び押出し成形などの汎用の溶融成形技術を利用して成型品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。このような熱可塑性エラストマーには、現在、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系などの種々の形式のポリマーが開発され、市販されている。
これらのうちで、スチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を示す。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などが提案されている。しかし、これらのブロック共重合体は、十分なガスバリヤー性、密封性、素材自体の粘りなどを有していない。このため、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材としては不十分である。
一方、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、さらにガスバリヤー性、密封性に優れた熱可塑性エラストマーとしては、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとを含有するイソブチレン系ブロック共重合体が知られている。しかしながら、このイソブチレン系ブロック共重合体は、加熱時の加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性に問題があった。
すなわち、上記のイソブチレン単位からなる重合体ブロックを含有するエラストマー状組成物は、熱可塑性エラストマーの特徴であるリサイクル性は有しているものの、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックからなるハードセグメントが物理的相互作用のみで架橋されているために、高温におけるゴム弾性が不十分であり、加硫ゴムを用いて達成されている高温時での低い圧縮永久歪のレベルには到達していない。これは、圧縮永久歪の試験温度が芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックのガラス転移点(Tg)以上になると、当該重合体ブロックの物理的拘束力が弱まり、当該重合体ブロックからなるハードセグメントのゴム弾性への寄与が低下するためである
また、イソブチレンを主体とする重合体ブロックを含有するイソブチレン系ブロック共重合体とゴムの架橋物からなる熱可塑性重合体組成物が知られている(特許文献1)。この組成物はガスバリヤー性、密封性、圧縮永久歪特性に優れたものであるが、架橋物としてゴムを使用しているため硬度及び強度が低いという問題があった。また、スチレン系ブロック共重合体とゴムをオレフィン系樹脂中で動的架橋した、圧縮永久歪み特性に優れた熱可塑性エラストマー樹脂組成物が知られている(特許文献2)。しかしながら該発明の組成物は、ブロック共重合体自身が架橋するわけではなく、架橋成分としてパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂を別途添加しなければならない問題があった。
国際公開第98/14518号パンフレット 特開平08−225713号公報
本発明の目的は、歪み回復性に優れ、しかも柔軟で、良好なゴム的特性を有する、イソブチレン系ブロック共重合体を含有するエラストマー組成物、その製造方法、および該エラストマー組成物からなる成形品を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の構造を有するブロック共重合体に架橋剤を加えて動的に架橋すると、歪み回復性に優れ、良好なゴム的特性を有する成形品を与えるエラストマー組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上およびイソブチレン単位からなる重合体ブロック(B)を1個以上有し、重合体ブロック(A)中に、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位を重合体ブロック(A)の質量に対して1質量%以上の割合で有するブロック共重合体(I)、架橋剤(II)、および架橋助剤(III)を含有し、少なくともブロック共重合体(I)中のアルキルスチレンのアルキル基が、架橋助剤(III)と溶融条件下に動的に架橋されたことを特徴とするエラストマー組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ブロック共重合体(I)100質量部に対して、架橋剤(II)及び架橋助剤(III)をそれぞれ0.1〜20質量部の割合で含有することを特徴とするエラストマー組成物、
架橋剤(II)が有機過酸化物であるエラストマー組成物、
架橋助剤(III)がビスマレイミド系化合物であるエラストマー組成物が挙げられる。このうち、ビスマレイミド系化合物は、ベンゼン環に結合したアルキル基部分および不飽和二重結合部分で架橋を生じさせ得るビスマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であるのが好ましい。
また、別の実施態様としては、上記のエラストマー組成物からなる成形品がある。
更に別の実施態様としては、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上およびイソブチレン単位からなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロック共重合体であって、重合体ブロック(A)中に、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位を重合体ブロック(A)の質量に対して1質量%以上の割合で有するブロック共重合体(I)100質量部を、溶融条件下で、まず架橋助剤(III)、ついで架橋剤(II)をそれぞれ0.1〜20質量部の割合で混合することを特徴とするエラストマー組成物の製造方法が挙げられる。
本発明に係るエラストマー組成物では、ブロック共重合体におけるハードセグメントをなす芳香族ビニル化合物単位から成るブロックにアルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルスチレンに由来する構造単位が導入されることによって、アルキルスチレンに由来する構造単位の部位で架橋結合が生じて、ハードセグメントをなす重合体ブロック部分で架橋された、従来にないイソブチレン系ブロック共重合体が形成される。その結果、歪み回復性に優れ、良好なゴム的特性を有する成形品を与えるエラストマー組成物が得られることとなる。
本発明に係るエラストマー組成物は、ガスバリヤー性、密封性、歪み回復性に優れ、柔軟で、良好なゴム的特性を有する。従って、本発明に係るエラストマー組成物は、例えば、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材として特に好適に用いることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明のエラストマー組成物におけるベース成分であるイソブチレン系ブロック共重合体(I)は、以下の要件;すなわち、(i)芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上およびイソブチレン単位からなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロック共重合体である;(ii)重合体ブロック(A)中に、炭素数1〜8のアルキル基の1個または2個以上がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位(以下「炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位」ということがある)を有する;(iii)前記炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位の含有量が、重合体ブロック(A)の質量に対して1質量%以上である;および、(iv)重合体ブロック(A)部分で少なくとも架橋されている; という要件を備えるイソブチレン系ブロック共重合体である。
より具体的に説明すると、例えば、イソブチレン系ブロック共重合体(I)が、重合体ブロック(A)を1個だけ有するジブロック共重合体(A−B)またはトリブロック共重合体(B−A−B)である場合は、該1個の重合体ブロック(A)は、アルキルスチレン由来構造単位を重合体ブロック(A)中に必ず有している必要がある。また、イソブチレン系ブロック共重合体(I)が、重合体ブロック(A)を2個以上有し且つ重合体ブロック(B)を1個または2個以上有するトリブロック以上のマルチブロック共重合体である場合は、2個以上の重合体ブロック(A)のうちの1個の重合体ブロック(A)のみが炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を有していても、または2個以上の重合体ブロック(A)がそれぞれ炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を有していても、すべての重合体ブロック(A)が炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を有していてもよい。
炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を有していない重合体ブロック(A)をA0、炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を有する重合体ブロック(A)をA1、重合体ブロック(B)をBで表すと、イソブチレン系ブロック共重合体(I)が重合体ブロック(A)を1個だけ有するジブロック共重合体、トリブロック共重合体である場合、イソブチレン系ブロック共重合体(I)は、少なくとも重合体ブロックA1部分で架橋された、A1−Bで表されるジブロック共重合体であるか、B−A1−Bで表されるトリブロック共重合体である。この場合、イソブチレン系ブロック共重合体(I)は、ゴム弾性を良好にする点から、重合体ブロック(B)部分でも架橋されていても良い。また、イソブチレン系ブロック共重合体(I)が重合体ブロック(A)を2個以上有するトリブロック以上のマルチブロック共重合体である場合は、例えば、ブロックA1部分で少なくとも架橋されたA1−B−A0、A1−B−A1、A1−B−A0−B、A1−B−A1−B、A1−A0−B−A0−A1、A0−A1−B−A1−A0、A1−B−A0−B−A1、(A1−B)j(jは3以上の整数を示す)、(A1−B)k−A1(kは2以上の整数を示す)、(B−A1−)m−B(mは2以上の整数を示す)、(A1−B)nX(nは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)などで表される種々のマルチブロック共重合体である。
そのうちでも、イソブチレン系ブロック共重合体(I)は、少なくともブロックA1部分で架橋されたA1−B−A1で表されるトリブロック共重合体および/またはA1−A0−B−A0−A1で表されるペンタブロック共重合体であることが、本発明のエラストマー組成物の高温での歪み回復性が良好になることから好ましい。中でも、イソブチレン系ブロック共重合体(I)が、少なくともブロックA1部分で架橋されたA1−B−A1で表されるトリブロック共重合体であるのが、架橋結合の導入による物性改善の効果が高く、得られるエラストマー組成物の高温での歪み回復性やゴム的特性がより優れたものとなることから好ましい。
重合体ブロック(A)における炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を構成するアルキルスチレンとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8である、o−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、2,4,6−トリアルキルスチレン、前記したアルキルスチレン類におけるアルキル基の水素原子の1個または2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキルスチレン類などを挙げることができる。より具体的には、炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を構成するアルキルスチレン誘導体としては、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチレン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス(クロロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)スチレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチレン、p−ジクロロメチルスチレンなどを挙げることができる。重合体ブロック(A)は、炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位として前記したアルキルスチレンおよびハロゲン化アルキルスチレンのうちの1種または2種以上からなる単位を有することができる。そのうちでも、重合体ブロック(A)中に含まれる炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位は、p−メチルスチレンからなる単位であることが、架橋剤(II)との反応性に優れ、重合体ブロック(A)に架橋構造を確実に導入できることから好ましい。アルキルスチレン由来構造単位におけるベンゼン環に結合したアルキル基の炭素数が9以上になると、架橋剤(II)との反応性に劣り、好ましくない。
イソブチレン系ブロック共重合体(I)において、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)はハードセグメントを構成し、一方、重合体ブロック(B)はソフトセグメントを構成する。重合体ブロック(A)が有する炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位におけるベンゼン環に結合した炭素数1〜8のアルキル基は、後述するように、溶融条件下での動的な架橋処理によって架橋剤(II)と反応して、重合体ブロック(A)からなるハードセグメント中に架橋結合を導入する作用を有する。そのため、イソブチレン系ブロック共重合体(I)は少なくとも重合体ブロック(A)の部分で架橋されている。
重合体ブロック(A)における炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位の割合は、イソブチレン系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロック(A)の質量[イソブチレン系ブロック共重合体(I)が2個以上の重合体ブロック(A)を有する場合はその合計質量]に対して1質量%以上であることが必要であり、5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、重合体ブロック(A)を構成する全ての単位が炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位からなっていてもよい。重合体ブロック(A)の質量に対して炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位の割合が1質量%未満であると、重合体ブロック(A)部分で架橋結合が形成されにくくなり、得られるエラストマー組成物の高温での歪み回復性が劣ったものとなる。
重合体ブロック(A)を構成する炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位以外の芳香族ビニル化合物単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどからなる単位を挙げることができ、中でもスチレンからなる単位が好ましい。炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位を有する重合体ブロック(A)では、炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位とそれ以外の芳香族ビニル化合物単位との結合形態は、ランダム状、ブロック状、テーパードブロック状などのいずれの形態になっていてもよい。
重合体ブロック(A)は、炭素数が1〜8のアルキルスチレン由来構造単位、他の芳香族ビニル化合物からなる構造単位と共に、必要に応じて他の共重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の共重合性単量体からなる構造単位の割合は、ブロック共重合体を構成する重合体ブロック(A)の合計質量に対して30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。もし、重合体ブロック(A)中のその他の共重合性単量体からなる構造単位の割合が高くなると、当該ブロック共重合体の物性が低下する、例えば、重合体ブロック(A)の分子量やガラス転移温度の低下に伴い耐熱性が低下する恐れがある。その場合の他の共重合性単量体としては、例えば、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどのイオン重合性単量体を挙げることができる。これらの他の共重合性単量体の結合形態は、ランダム状、ブロック状、テーパードブロック状などのいずれの形態になっていてもよい。
イソブチレン系ブロック共重合体(I)において、その重合体ブロック(B)を構成する単位としては、イソブチレンを挙げることができるが、必要に応じて他の共重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の共重合性単量体の割合は、イソブチレン系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロック(B)の合計質量に対して30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。もし、重合体ブロック(B)中のその他の共重合性単量体からなる構造単位の割合が高くなると、当該ブロック共重合体の特徴である物性、例えば耐候性やガスバリア性など、が低下する恐れがある。その場合の他の共重合性単量体としては、例えばイソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、β−ピネン、リモネン、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどのイオン重合性単量体を挙げることができる。重合体ブロック(B)が2種以上の構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパード、一部ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。そのうちでも、重合体ブロック(B)は、イソブチレン単位を主体とするモノマー単位からなるポリイソブチレンブロックであることが、耐候性、耐熱性などの点から好ましい。
イソブチレン系ブロック共重合体(I)は、重合体ブロック(A)部分のみで架橋されていても、または重合体ブロック(A)部分と重合体ブロック(B)部分の両方で架橋されていてもよい。そのうちでも、本発明のエラストマー組成物で用いるイソブチレン系ブロック共重合体(I)は、重合体ブロック(A)のみで架橋されていることが、架橋物の力学物性の点から好ましい。イソブチレン系ブロック共重合体(I)における架橋度は、イソブチレン系ブロック共重合体(I)を含有する本発明のエラストマー組成物のポリマー組成、用途などに応じて、前記アルキルスチレンに由来する構造単位の割合を変える、または、架橋剤(II)の使用部数を変えることにより調整し得るが、一般的には架橋後のイソブチレン系ブロック共重合体をトルエン中に入れ100℃にて12時間加熱処理した時に、トルエンに溶解せずに残留するゲルの質量割合(ゲル分率)が、抽出処理前でかつ架橋後のイソブチレン系ブロック共重合体(I)の質量に対して80%以上となるような架橋度であることが、高温でのゴム弾性に優れる点で好ましい。
本発明のエラストマー組成物で用いるイソブチレン系ブロック共重合体(I)は、ハードセグメントをなす重合体ブロック(A)部分に架橋結合が形成されているという点で、従来の芳香族ビニル化合物重合体ブロックとイソブチレン重合体ブロックを有するブロック共重合体の架橋物とは異なる新規な架橋ブロック共重合体である。本発明のエラストマー組成物では、ハードセグメント部分で少なくとも架橋されているイソブチレン系ブロック共重合体(I)を用いることによって、高温での歪み回復性に優れ、しかも柔軟で良好なゴム的性質を有するエラストマー組成物および成形品の提供を可能にしたものである。
イソブチレン系ブロック共重合体(I)の分子量は特に制限されないが、重合体ブロック(A)のピークトップ分子量(Mp)が2,500〜75,000、好ましくは5,000〜100,000の範囲内にあり、重合体ブロック(B)のピークトップ分子量が10,000〜300,000、好ましくは30,000〜250,000の範囲内にあり、イソブチレン系ブロック共重合体(I)の全体のピークトップ分子量が12,500〜2,000,000、好ましくは50,000〜1,000,000の範囲内にあることが、得られるエラストマー組成物の力学的特性、成形加工性などの点から好適である。なお、本明細書でいうピークトップ分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られたクロマトグラムのピークトップにおける保持時間に対応する分子量を、標準ポリスチレン検量線を用いて求めた値をいう。
本発明のエラストマー組成物の製造に用いる架橋前のイソブチレン系ブロック共重合体(I)の製法は何ら限定されず、重合体ブロック(A)にアルキルスチレン由来構造単位を有するイソブチレン系ブロック共重合体(I)を製造し得る方法であれば、いずれの方法を採用して製造してもよい。例えば、未架橋イソブチレン系ブロック共重合体(I)は、カチオン重合の一般的な重合方法を用い、その重合体ブロック(A)の製造時に、芳香族ビニル化合物の少なくとも一部として炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンを用いることによって製造することができる。
架橋反応を行う際の架橋剤(II)としては、溶融条件下での動的な架橋処理中に、未架橋イソブチレン系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロック(A)中に存在するアルキルスチレン由来構造単位におけるベンゼン環に結合した炭素数1〜8のアルキル基と少なくとも反応して、重合体ブロック(A)部分に架橋結合を形成させ得る架橋剤であれば特に制限されない。動的な架橋処理時の処理温度や時間に応じて、反応性などを考慮して適当な架橋剤を選択することができ、そのうちでも、有機過酸化物の1種または2種以上が架橋剤(II)として好ましく用いられる。
有機過酸化物としては有機過酸化物のいずれもが使用でき、例えば、ジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ジt−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドが反応性の点から好ましく用いられる。
架橋剤(II)の使用量は、上記したように、未架橋イソブチレン系ブロック共重合体(I)100質量部に対して0.1〜20質量部であり、0.2〜10質量部であるのが好ましく、0.3〜2質量部であるのがより好ましい。架橋剤(II)及び架橋助剤(III)の使用量がイソブチレン系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、0.1質量部未満であると十分な架橋結合を形成させることができず、一方20質量部を超えると、エラストマー組成物およびそれからなる成形品の力学物性が低下する。
架橋反応を行う際の架橋助剤(III)としては、溶融条件下での動的な架橋処理中に、未架橋イソブチレン系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロック(A)中に存在するアルキルスチレン由来構造単位におけるベンゼン環に結合した炭素数1〜8のアルキル基と少なくとも反応して、重合体ブロック(A)部分に架橋結合を形成させ得る架橋助剤であれば特に制限されない。動的な架橋処理時の処理温度や時間に応じて、反応性などを考慮して適当な架橋剤を選択することができ、そのうちでもビスマレイミド系化合物の1種または2種以上が架橋助剤(III)として好ましく用いられる。
ビスマレイミド系化合物としては、ベンゼン環に結合したアルキル基部分および不飽和二重結合部分で架橋を生じさせ得るビスマレイミド系化合物であればいずれでもよく、例えば、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレン(1−メチル)ビスマレイミド、N,N’−2,7−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン−4−メチルビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン(4−エチル)ビスマレイミドおよびトルイレンビスマレイミドなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドが反応性の点から好ましく用いられる。
架橋助剤(III)の使用量は、上記したように、イソブチレン系ブロック共重合体(I)100質量部に対して0.5〜50質量部であり、0.8〜30質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。架橋助剤(III)の使用量が未架橋イソブチレン系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、0.5質量部未満であると十分な架橋結合を形成させることができず、一方50質量部を超えると、エラストマー組成物およびそれからなる成形品の力学物性が低下する。
イソブチレン系ブロック共重合体(I)の架橋方法については、特に限定しないが、本発明のエラストマー組成物は、溶融条件下のイソブチレン系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、まず、架橋助剤(III)、次に架橋剤(II)をそれぞれ0.1〜20質量部の割合で混合し、場合により更に上記した他の重合体や添加剤を混合した混合物を溶融条件下に動的架橋する方法によって製造することが好ましい。かかる方法を採用する場合は、各成分が均一に混合され、しかも重合体ブロック(A)に有する官能基部分で少なくとも架橋された付加重合系ブロック共重合体を含有する本発明のエラストマー組成物を円滑に製造することができる。ここで、本明細書における「溶融条件下に動的架橋する」とは、溶融状態にした前記混合物に混練などによって剪断応力をかけながら架橋することを意味する。
上記した架橋剤(II)及び架橋助剤(III)と共に、必要に応じて、ベンゾチアジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物などからなる架橋促進剤、トアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能性単量体など、他の架橋助剤を用いてもよい。
本発明のエラストマー組成物は必要に応じてゴム用軟化剤を含有しても良い。その種類は特に制限されず、鉱物油系および/または合成樹脂系のいずれもが使用できる。鉱物油系軟化剤は、一般に芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素の混合物であって、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が全炭素原子中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、一方ナフテン系炭化水素の炭素原子が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、また芳香族系炭化水素の炭素原子が35%以上のものが芳香族系オイルと呼ばれている。これらの中で、本発明において好適に用いられるゴム用軟化剤はパラフィン系オイルである。
本発明のエラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性重合体を含有することができる。含有し得る他の熱可塑性重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのポリオキシメチレン系樹脂;スチレン単独重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)などのエチレン系エラストマー;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴムなどのスチレン系エラストマーおよびその水素添加物またはその変性物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加物または変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。なお、他の重合体の含有量は、得られるエラストマー組成物の柔軟性、力学物性が損なわれない範囲が好ましく、イソブチレン系ブロック共重合体(I)100質量部に対して200質量部以下であるのが好ましい。
また、本発明のエラストマー組成物は、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。本発明のエラストマー組成物が含有し得る無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラス粉末、金属粉末、カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。無機充填剤の含有量は、得られる熱可塑性エラストマーの性能が損なわれない範囲であるのが好ましく、一般的には、イソブチレン系ブロック共重合体(I)100質量部に対して50質量部以下であるのが好ましい。
さらに、本発明のエラストマー組成物は、必要に応じて滑剤、光安定剤、熱安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などをの1種または2種以上を含有することができる。このうち、酸化防止剤(IV)としては、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系などが挙げられる。
本発明のエラストマー組成物を製造するための、溶融条件下での動的架橋を行う装置としては、各成分を均一に混合し得る溶融混練装置のいずれもが使用でき、例えば単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。なかでも、混練中の剪断力が大きく連続運転が可能な二軸押出機を使用するのが好ましい。
何ら限定されるものではないが、押出機を使用して本発明のエラストマー組成物を製造する際の加工工程の具体例としては次の方法を挙げることができる。すなわち、イソブチレン系ブロック共重合体(I)を押出機のホッパーに投入する。架橋剤(II)および架橋助剤(III)は、イソブチレン系ブロック共重合体(I)を投入した当初から添加するか、または押出機の途中からそれらの一部または全部を添加して溶融混練して押し出す。その際に、2台以上の押出機を使用して、段階的に順次溶融混練してもよい。溶融混練温度は、イソブチレン系ブロック共重合体(I)が溶融し、架橋剤(II)及び架橋助剤(III)が反応する範囲内で適宜選択されるが、通常140℃〜270℃であるのが好ましく、160℃〜220℃であるのがより好ましい。溶融時間は約30秒から10分であるのが好ましい。
上記のようにして得られる本発明のエラストマー組成物は、成形加工性に優れるため、例えば、射出成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法およびカレンダー成形法などの成形法により成形、加工することができる。
本発明のエラストマー組成物を成形加工して得られる成形品は、各種用途に用いることができ、具体的には、例えば、インストルメンタルパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー、エアダクトなどの自動車内装部品;ウェザーストリップ、バンパー、モール、グラスランチャンネルなどの自動車外装部品;掃除機のバンパー、リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、テレビ、ステレオなどの家電部品;水中眼鏡、水中カメラカバーなどの水中使用製品;各種カバー部品、密閉、防水、防音、防振などを目的とする各種パッキン付き工業部品;ラック、ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;ベルト、ホース、チューブ;電線被覆、消音ギヤなどの電気、電子部品;スポーツ用品;雑貨品;文房具;ドア、窓枠材などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用シリンジのガスケット、バッグ、チューブなどの医療用品;ホットメルトシーリング材;糸ゴム、伸縮性フィルムなどの伸縮性材料;ワイヤー、ケーブルなどに使用することができる。
以下に本発明を実施例、比較例、参考例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。以下の実施例、比較例において、各物性の測定および成形品の品質の評価は次のようにして行った。
(ゲル分率の測定)
実施例、比較例で得られた試料1gをトルエン中に保持し100℃に12時間保つ抽出処理を行い、抽出処理後、抽出残渣を分離して真空乾燥し、抽出残渣の質量を測定して、抽出処理前の試料の質量に対する質量%を求めてゲル分率とした。
(圧縮永久歪み)
JIS K 6262に準拠し、試験片は12.0mm厚さプレスシートを使用した。70℃×22時間、25%変形の条件にて測定した。
以下の実施例または比較例で用いたブロック共重合体(I)、架橋剤(II)、架橋助剤(III)、及び酸化防止剤(IV)の内容は下記のとおりである。
○ブロック共重合体(I):パラメチルスチレン変性SIBS[(パラメチルスチレン/ スチレン)−イソブチレン−(パラメチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合 体、株式会社カネカ製]
○ブロック共重合体(J):SIBSTAR103T(スチレン−イソブチレン−スチレ ントリブロック共重合体、株式会社カネカ製)
○架橋剤(II)-1:ジターシャリーブチルペルオキシド[日本油脂(株)製「パーブチ ルD」]
○架橋剤(II)-2:ジクミルペルオキシド[日本油脂(株)製「パークミルD」]
○架橋助剤(III)-1:N,N’−m−フェニレンビスマレイミド[川口化学工業(株 )製「アクターPBM−R」]
○架橋助剤(III)-2:ジビニルベンゼン[和光純薬工業(株)製]
○酸化防止剤(IV)-1:5,7-di-t-butyl-3-(3,4 di-methyl-phenyl)-3H-benzofuran-2-on e[イルガノックスHP136、日本チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
○酸化防止剤(IV)-2:スミライザーGM[住友化学(株)製]
(製造例1)(ブロック共重合体(I)、パラメチルスチレン変性SIBSの製造)
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換したのち、注射器を用いてn−ヘキサン61.5gおよび塩化ブチル743.8g(いずれもモレキュラーシーブスで乾燥したもの)を加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した。イソブチレンモノマー235mL(2484mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.50g(2.16mmol)およびN,N'−ジメチルアセトアミド0.464g(4.97mmol)を加えた。次に四塩化チタン4.93g(26.0mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1時間40分同じ温度で撹拌を行なったのち、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、スチレンモノマー60.7g(583mmol)及びパラメチルスチレン7.64g(64.7mmol)の混合物を、重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから1時間45分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体のピークトップ分子量が101600であるブロック共重合体が得られた。ハードセグメントをなす重合体ブロック(A)部分に導入されたパラメチルスチレンの重量分率を、得られたブロック共重合体のNMR測定から算出したところ、9.0%であった。
(製造例2)(ブロック共重合体(J)、SIBSの製造)
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換したのち、注射器を用いてn−ヘキサン61.5gおよび塩化ブチル743.8g(いずれもモレキュラーシーブスで乾燥したもの)を加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した。イソブチレンモノマー235mL(2484mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.50g(2.16mmol)およびN,N'−ジメチルアセトアミド0.464g(4.97mmol)を加えた。次に四塩化チタン4.93g(26.0mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1時間40分同じ温度で撹拌を行なったのち、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、スチレンモノマー67.4g(648mmol)を、重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから1時間45分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体のピークトップ分子量が105000であるブロック共重合体が得られた。
(実施例1)
製造例1で製造したブロック共重合体(I)を、180℃に設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋助剤(III)-1を表1に示した割合で添加し、2分間引き続き混練した。架橋剤(II)-1を投入し、さらに溶融混練し2分間動的架橋を行なった。得られた組成物を170℃プレス成型機によりプレス成形し、厚み2mmのシートを得た。得られたシートの圧縮永久歪み、ゲル分率を上記方法にしたがって測定した。
(実施例2)
架橋助剤(III)-1の添加部数を10に変えた以外は、実施例1と同様に実施し、エラストマー組成物を得た。
(実施例3)
架橋助剤として、架橋助剤(III)-2を5部用いた以外は、実施例1と同様に実施し、エラストマー組成物を得た。
(実施例4)
架橋剤として、架橋剤(II)-2を5部用いた以外は、実施例3と同様に実施し、エラストマー組成物を得た。
(実施例5)
架橋剤(II)を添加した後30秒後に、酸化防止剤として0.5部の酸化防止剤(IV)-1を添加した以外は、実施例1と同様に実施し、エラストマー組成物を得た。
(実施例6)
架橋剤(II)を添加した後30秒後に、酸化防止剤として0.5部の酸化防止剤(IV)-2を添加した以外は、実施例1と同様に実施し、エラストマー組成物を得た。
(比較例1)
製造例2で製造したブロック共重合体(J)を、180℃に設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋助剤(III)-1を表1に示した割合で添加し、2分間引き続き混練した。架橋剤(II)-1を投入し、さらに溶融混練し2分間動的架橋を行なった。得られたエラストマー組成物は180℃で容易にシート状に成形することができた。
(比較例2)
製造例1で製造したブロック共重合体(I)を、180℃に設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて9分間溶融混練した。
(比較例3)
製造例1で製造したブロック共重合体(I)を、180℃に設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤(II)-1を投入し、さらに溶融混練し2分間動的架橋を行なった。
各実施例、比較例の結果を表1に示す。
Figure 0004689354
比較例で得られたシートではゲルが観測されなかったのに対し、実施例で得られたシートのゲル分率は10〜30%の範囲を示していた。これは、ハードセグメント部分の架橋が進行したために、ハードセグメント部分の拘束力が強化されたことを示している。
さらに、実施例の圧縮永久歪みの値は比較例の値に比べて改善されていることがわかる。例えばパラメチルスチレンブロックを含有するブロック共重合体(I)を用いた実施例1の圧縮永久歪みは、ブロック共重合体(J)を用いた比較例1のそれと比べて17改善されていた。

Claims (7)

  1. 芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上およびイソブチレン単位からなる重合体ブロック(B)を1個以上有し、重合体ブロック(A)中に、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位を重合体ブロック(A)の質量に対して1質量%以上の割合で有するブロック共重合体(I)、架橋剤(II)、および架橋助剤(III)を含有し、少なくともブロック共重合体(I)中のアルキルスチレンのアルキル基が、架橋助剤(III)と溶融条件下に動的に架橋されたことを特徴とするエラストマー組成物。
  2. ブロック共重合体(I)100質量部に対して、架橋剤(II)及び架橋助剤(III)をそれぞれ0.1〜20質量部の割合で含有することを特徴とするエラストマー組成物。
  3. 架橋剤(II)が有機過酸化物である請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
  4. 架橋助剤(III)がビスマレイミド系化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマー組成物。
  5. ビスマレイミド系化合物が、ベンゼン環に結合したアルキル基部分および不飽和二重結合部分で架橋を生じさせ得るビスマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項4に記載のエラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のエラストマー組成物からなる成形品。
  7. 芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック(A)を1個以上およびイソブチレン単位からなる重合体ブロック(B)を1個以上有し、重合体ブロック(A)中に、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位を重合体ブロック(A)の質量に対して1質量%以上の割合で有するブロック共重合体(I)100質量部を、溶融条件下で、まず架橋助剤(III)、ついで架橋剤(II)をそれぞれ0.1〜20質量部の割合で混合することを特徴とするエラストマー組成物の製造方法。
JP2005163094A 2005-06-02 2005-06-02 エラストマー組成物 Expired - Fee Related JP4689354B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005163094A JP4689354B2 (ja) 2005-06-02 2005-06-02 エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005163094A JP4689354B2 (ja) 2005-06-02 2005-06-02 エラストマー組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006335901A JP2006335901A (ja) 2006-12-14
JP4689354B2 true JP4689354B2 (ja) 2011-05-25

Family

ID=37556737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005163094A Expired - Fee Related JP4689354B2 (ja) 2005-06-02 2005-06-02 エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4689354B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016031991A1 (ja) * 2014-08-29 2016-03-03 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物および成形品
EP3187537B1 (en) 2014-08-29 2018-12-05 Kuraray Co., Ltd. Thermoplastic elastomer composition
CN114369297B (zh) * 2020-10-16 2023-12-08 旭化成株式会社 交联用橡胶组合物、交联橡胶的制造方法、以及轮胎用胎面

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002265747A (ja) * 2001-03-15 2002-09-18 Kuraray Co Ltd 粉末状重合体組成物
JP2002534543A (ja) * 1998-12-31 2002-10-15 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク スチレン/イソオレフィンコポリマー中間ブロックを含むトリブロックコポリマー
JP2003020383A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005105164A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Kaneka Corp 樹脂組成物からなる成形体および改質剤

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002534543A (ja) * 1998-12-31 2002-10-15 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク スチレン/イソオレフィンコポリマー中間ブロックを含むトリブロックコポリマー
JP2002265747A (ja) * 2001-03-15 2002-09-18 Kuraray Co Ltd 粉末状重合体組成物
JP2003020383A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005105164A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Kaneka Corp 樹脂組成物からなる成形体および改質剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006335901A (ja) 2006-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1398349B1 (en) Thermoplastic elastomer composition
JP3946080B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP3949110B2 (ja) 水添共重合体
JP7035086B2 (ja) 架橋性組成物およびそれからなる成形可能な熱可塑性エラストマー製品
WO2004044050A1 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
WO2005095511A1 (en) Hydrogenated styrenic block copolymer compositions with improved high temperature overmolding properties
US7169849B2 (en) Process for production of thermoplatic elastomer composition
JP4689354B2 (ja) エラストマー組成物
EP3960780A1 (en) Block copolymers and uses thereof
JP4007852B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4027771B2 (ja) 複層成形体
JP2006249269A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005255857A (ja) 水添ジエン系共重合体及びその製造方法
JP2005089656A (ja) スチレン系熱可塑性エラストマー組成物
JP2004091530A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2005206669A (ja) ビニル芳香族系熱可塑性エラストマー組成物
JP2003128871A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2004138168A (ja) チューブおよびホース
JP4133206B2 (ja) フィルム
JP2004277466A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその成形品
WO2021024347A1 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2008247986A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2006249372A (ja) 熱可塑性軟質組成物
JP2007216524A (ja) 複層成形品
JP2005187536A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101027

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110215

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4689354

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140225

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140225

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees