JP2005187536A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2005187536A
JP2005187536A JP2003427878A JP2003427878A JP2005187536A JP 2005187536 A JP2005187536 A JP 2005187536A JP 2003427878 A JP2003427878 A JP 2003427878A JP 2003427878 A JP2003427878 A JP 2003427878A JP 2005187536 A JP2005187536 A JP 2005187536A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
elastomer composition
thermoplastic elastomer
parts
block copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003427878A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005187536A5 (ja
Inventor
Kenji Suzuki
憲司 鈴木
Akihiro Kotaka
昭広 小鷹
Kenji Shiyaji
賢治 社地
Mizuho Maeda
瑞穂 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2003427878A priority Critical patent/JP2005187536A/ja
Publication of JP2005187536A publication Critical patent/JP2005187536A/ja
Publication of JP2005187536A5 publication Critical patent/JP2005187536A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】 耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪み)および力学的特性に優れ、かつ臭気が少ない熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】 炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)を少なくとも1質量%以上有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し;
ポリオレフィン(II)を10〜300質量部;
分子内に少なくとも1個の芳香環を有する架橋剤(III)を0.01〜10質量部;および
架橋助剤(IV)を0.01〜20質量部の範囲で配合してなる混合物を、溶融条件下で動的に架橋処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、柔軟性、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪み)および力学的特性に優れ、かつ臭気が少ない熱可塑性エラストマー組成物に関する。本発明で得られる熱可塑性エラストマー組成物は、それらの優れた特性を活かして、各種成形品用の素材として使用できる。
熱可塑性エラストマーは、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様に成形加工が可能であることから、近年、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療部品、建材部品、履物、雑貨等の広い分野で使用されている。この中でも、芳香族ビニル化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物であるスチレン系熱可塑性エラストマーは柔軟性、加工性に優れた材料として利用されている。しかしながら、近年、自動車部品、家電部品、建材部品などの利用分野が拡大するに伴い、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪み)の向上が求められている。
上記の点を改良すべく、かかる芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックおよび共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックよりなるブロック共重合体の水素添加物に、ゴム用軟化剤およびオレフィン系重合体を配合し、得られたエラストマー組成物を有機過酸化物等の架橋剤と、必要に応じて架橋助剤、酸化防止剤の存在下で架橋させ、該エラストマー組成物の高温時のゴム弾性(圧縮永久歪み)を改良するという提案がなされている(特許文献1および特許文献2参照)。
また、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックを1個以上および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体であって、少なくとも芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック部分で架橋されているブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体100質量部に対し、ポリオレフィン10〜300質量部、およびゴム用軟化剤0〜300質量部の割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物が開示され、かかる熱可塑性エラストマー組成物は高温(120℃)での歪み回復性に優れ、かつ良好な成形加工性および柔軟で良好なゴム的特性を有することが記載されている(特許文献3参照)。
さらに、エラストマー成分(例えばEPM、EPDM、BR、ABR、IR、SBRなど)と、プラスチック成分、特にポリオレフィン系熱可塑性プラスチックを、1−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)−3−イソプロペニルベンゼンを架橋剤として用いて架橋することによる熱可塑性エラストマーの製造方法が開示され、得られた動的架橋熱可塑性エラストマーは機械的特性、耐熱性、成形性が良好なことが示されている(特許文献4参照)。
特開昭59−131613号公報 特開2000−109640号公報 国際公開第02/090433号パンフレット 特開平5−194791号公報
特許文献1および特許文献2では、芳香族ビニル化合物単位よりなる重合体ブロックと共役ジエン化合物単位よりなる重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加物の、共役ジエン化合物単位よりなるブロックからなるソフトセグメントに残留する二重結合部分は架橋されるが、芳香族ビニル化合物重合体単位よりなるブロックからなるハードセグメントは架橋されないため、圧縮永久歪みの試験温度が芳香族ビニル化合物単位よりなる重合体ブロックのガラス転移点(Tg)以上になると、芳香族ビニル化合物単位よりなる重合体ブロックの凝集力が弱まり、ゴム弾性(100℃以上における圧縮永久歪み)が低下するという問題点を有する。
特許文献3に記載の熱可塑性エラストマー組成物は、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪み)に優れているものの、充分なゴム弾性を得るために、架橋剤を、その種類によっては多量に使用しなければならない場合がある。一般に、架橋剤を多量に使用すると、得られる組成物における臭気の問題が発生しやすい。特に自動車部品や建材部品用途において、架橋剤を多量に使用した組成物から得られる成形品を室内で使用する場合、その臭気が少ないことは重要となる。しかしながら特許文献3では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の臭気については何ら記載されておらず、教示も示唆もなされていない。
特許文献4に記載の方法で得られる熱可塑性エラストマーは、耐熱性(具体的には70℃、24hrの条件での圧縮永久歪み)が十分なレベルであるとは言えないという問題点がある。
しかして、本発明の目的は、柔軟性、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪み)および力学的特性に優れ、かつ臭気が少ない熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位を有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックを1個以上有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体に、ポリオレフィン、分子内に少なくとも1個の芳香環を有する架橋剤、および架橋助剤を特定量配合してなる混合物、および必要に応じてさらにゴム用軟化剤を特定量配合してなる混合物を溶融条件下で動的に架橋処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物は、分子内に芳香環を有していない架橋剤を用いた場合に比べて少量の添加量で、得られる組成物が柔軟性、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪み)および力学的特性に優れ、かつ臭気が少ないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)(以下、構造単位(a)と略称することがある)を少なくとも1質量%以上有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し;
ポリオレフィン(II)を10〜300質量部;
分子内に少なくとも1個の芳香環を有する架橋剤(III)を0.01〜10質量部;および
架橋助剤(IV)を0.01〜20質量部の範囲で配合してなる混合物を、溶融条件下で動的に架橋処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物である。
また、本発明は、
[2][1]に記載の混合物にさらにゴム用軟化剤(V)を300質量部以下の範囲で配合させてなる混合物を、溶融条件下で動的に架橋処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物;
[3]炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)が、p−メチルスチレン単位からなることを特徴とする[1]または[2]の熱可塑性エラストマー組成物である。
そして、本発明は、
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品である。
本発明によれば、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪みが小さい)および力学的特性に優れ、かつ臭気が少ない熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(I)は、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)を少なくとも1質量%以上有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体である。
重合体ブロックAにおいて、構造単位(a)を構成するアルキルスチレンとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8であるo−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、2,4,6−トリアルキルスチレン、前記したアルキルスチレン類におけるアルキル基の水素原子の1個または2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキルスチレン類などを挙げることができる。より具体的には、構造単位(a)を構成するアルキルスチレンとしては、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチレン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス(クロロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)スチレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチレン、p−ジクロロメチルスチレンなどを挙げることができる。
重合体ブロックAは、構造単位(a)として前記したアルキルスチレンおよびハロゲン化アルキルスチレンのうちの1種または2種以上からなる単位を有することができる。これらの中でも、構造単位(a)として、p−メチルスチレンに基づく構造単位が入手の容易さおよび架橋剤(III)との反応性に優れる点から好ましい。
また、構造単位(a)以外の他の芳香族ビニル化合物単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどからなる単位を挙げることができ、これらの1種または2種以上の単位を有することができる。なかでも、他の芳香族ビニル化合物単位としてはスチレン単位が好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)において、重合体ブロックAは熱可塑性エラストマーのハードセグメントに相当し、構造単位(a)におけるベンゼン環に結合したアルキル基は、架橋剤(III)の存在下、動的な架橋反応により、重合体ブロックAからなるハードセグメントに架橋を導入する役割を有する。
重合体ブロックAにおける構造単位(a)の割合は、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックAの質量[付加重合系ブロック共重合体(I)が2個以上の重合体ブロックAを有する場合はその合計質量]に対して1質量%以上であり、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、さらに重合体ブロックAの全てが構造単位(a)からなっていてもよい。構造単位(a)の割合が1質量%未満であると、重合体ブロックAに架橋が充分に導入されず、得られる熱可塑性エラストマー組成物において耐熱性(例えば高温(120℃)での圧縮永久歪み)が劣ったものになり易い。重合体ブロックAにおける構造単位(a)とそれ以外の芳香族ビニル化合物単位との結合形態は、ランダム、ブロック、テーパードなどのいずれの形態であってもよい。
付加重合系ブロック共重合体(I)における重合体ブロックAの含有量は10〜40質量%が好ましい。10質量%より低い場合には架橋効果が充分に発現せず、充分な耐熱性、力学的強度を示さない傾向となる。また、40質量%より大きい場合、得られる熱可塑性エラストマー組成物が充分な柔軟性を示さなくなる傾向となる。
重合体ブロックAは、構造単位(a)を含む上記した芳香族ビニル化合物からなる構造単位と共に、必要に応じて他の重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体からなる構造単位の割合は、重合体ブロックAの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどを挙げることができる。
本発明に用いる付加重合系ブロック共重合体(I)は、上記の構造単位(a)を含む芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックAの他に、構造単位(a)を含まない芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックを有していてもよい。
一方、付加重合系ブロック共重合体(I)における共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えばイソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。重合体ブロックBはこれらの共役ジエン化合物の1種のみから構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。中でもブタジエン、イソプレンまたはブタジエンとイソプレンの混合物から構成されているのが好ましい。なお、重合体ブロックBのミクロ構造の種類および含有量に特に制限はない。また、2種以上の共役ジエン化合物を併用した場合、それらの結合形態はランダム、ブロック、テーパード、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
重合体ブロックBは、共役ジエン化合物からなる構造単位とともに、必要に応じて他の重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体の割合は、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックBの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、構造単位(a)を構成する前記したアルキルスチレン(好適にはp−メチルスチレン)などを挙げることができる。
そのうちでも、重合体ブロックBは、イソプレン単位からなるポリイソプレンブロックまたは該イソプレン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック;ブタジエン単位からなるポリブタジエンブロックまたは該ブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック;或いはイソプレン単位とブタジエン単位からなるイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックまたは該イソプレン単位およびブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された共重合体ブロックであることが、耐候性、耐熱性などの点から好ましい。なお、上記した、イソプレン単位とブタジエン単位からなるイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックが重合体ブロックBである場合は、ゴム物性の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、重合体ブロックAと重合体ブロックBとが結合している限りは、その結合形式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組合わさった結合形式のいずれでもよい。それらのうちでも、重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合形式は直鎖状であることが好ましく、その例としては重合体ブロックAをAで、また重合体ブロックBをBで表したときに、A−B−Aで示されるトリブロック共重合体、A−B−A−Bで示されるテトラブロック共重合体、A−B−A−B−Aで示されるペンタブロック共重合体などを挙げることができる。それらのうちでも、トリブロック共重合体(A−B−A)が、付加重合系ブロック共重合体(I)の製造の容易性、柔軟性などの点から好ましく用いられる。
付加重合系ブロック共重合体(I)の数平均分子量は特に制限されないが、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学的特性、成形加工性などの点から、好ましくは12500〜2000000であり、より好ましくは50000〜1000000の範囲である。なお、本明細書でいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、例えば、次のような公知のアニオン重合法によって製造することができる。すなわち、アルキルリチウム化合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの重合反応に不活性な有機溶媒中で、構造単位(a)を構成するアルキルスチレンまたは構造単位(a)を構成するアルキルスチレンと芳香族ビニル化合物の混合物、共役ジエン化合物を逐次重合させてブロック共重合体(すなわち、未水添の付加重合系ブロック共重合体(I))を形成する。
また、得られた該ブロック共重合体は、必要に応じてさらに水素添加される。かかる水素添加反応は、例えば、該ブロック共重合体をシクロヘキサンなどの飽和炭化水素系溶媒中で、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒;コバルト、ニッケルなどの第9族または第10族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物または有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどからなる有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒などの水素添加触媒の存在下で、通常、反応温度として20〜100℃の範囲で、水素圧力0.1〜10MPaの範囲の条件下で行うことができ、該ブロック共重合体の水素添加物(すなわち、水素添加されている付加重合系ブロック共重合体(I))を得ることができる。
水素添加率は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に要求される物性に応じて適宜調整することができるが、耐熱性、耐候性を重視する場合、かかる付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックBの共役ジエン化合物単位に基づく炭素−炭素二重結合の70%以上が水素添加されていることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることがさらに好ましい。
なお、重合体ブロックBの共役ジエン化合物単位に基づく炭素−炭素二重結合の水素添加率は、ヨウ素価滴定、赤外分光光度計、核磁気共鳴などの測定手段により水素添加反応前後における重合体ブロックB中の炭素−炭素二重結合の量を測定し、その測定値から算出することができる。
特に、水素添加率が100%に近いと、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造するための動的な架橋処理の際に、重合体ブロックBと架橋剤(III)との反応割合が低減する一方で、ハードセグメントである重合体ブロックAの有する構造単位(a)と架橋剤(III)との反応が促進されて、重合体ブロックAに架橋が導入される割合が高くなるので好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を調製する際に用いるポリオレフィン(II)としては、例えば、ポリプロピレン;高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE);エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ノネン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体またはこれらを無水マレイン酸などで変性した樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体を用いるのが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を調製するに際しては、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、ポリオレフィン(II)を10〜300質量部の割合で配合することが必要であり、10〜200質量部の割合で配合することが好ましく、10〜100質量部の割合で配合することがさらに好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、ポリオレフィン(II)の配合量が10質量部未満であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の熱可塑性が不充分となり、成形加工性などが劣るようになる。一方、300質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が不足する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を調製する際に用いる架橋剤(III)は、分子内に少なくとも1個の芳香環を有することが必要である。かかる架橋剤(III)は、分子内に芳香環を有していない架橋剤を用いた場合に比べて、得られる熱可塑性エラストマー組成物の臭気が少なく、また、本発明で用いる架橋剤(III)は、構造単位(a)を有する重合体ブロックAとの親和性に優れるため、分子内に芳香環を有していない架橋剤を用いた場合に比べて少ない架橋剤量で、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪み)や力学的特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
架橋剤(III)としては、例えば1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、1−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)−3−イソプロペニルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイドなどが挙げられる。そのうちでも、1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼンがより少ない添加量で効果が現れる点から好ましい。これらの架橋剤(III)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を耐熱性(例えば120℃における圧縮永久歪み)および力学的特性に優れ、かつ臭気の少ないものとする観点から、架橋剤(III)の使用量は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲であることが必要であり、0.1〜5質量部の範囲であることがより好ましい。架橋剤(III)の使用量が0.01質量部未満であると、付加重合系ブロック共重合体(I)の重合体ブロックAに十分な架橋を形成させることができず、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性が劣る。一方、10質量部よりも多いと、得られる熱可塑性エラストマー組成物の臭気が増加し、力学的特性の低下、未反応の架橋剤(III)のブリードアウトや必要に応じてさらに添加するゴム用軟化剤(V)のブリードアウトなどが生ずる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を調製する際に用いる架橋助剤(IV)としては、例えばトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ノナンジオールジアリルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドなどが挙げられる。そのうちでも、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの架橋助剤(IV)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を耐熱性(例えば120℃における圧縮永久歪み)および力学的特性に優れ、かつ臭気の少ないものとするためには、架橋助剤(IV)の使用量は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。架橋助剤(IV)の使用量が0.01質量部未満であると、付加重合系ブロック共重合体(I)の重合体ブロックAに十分な架橋を形成させることができず、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性が劣る。一方、10質量部よりも多いと、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学的特性の低下、得られる熱可塑性エラストマー組成物の臭気の増加や、架橋助剤(IV)および必要に応じてさらに添加するゴム用軟化剤(V)のブリードアウトなどが生ずる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じてさらにゴム用軟化剤(V)を含有してもよい。かかるゴム用軟化剤(V)の種類は特に制限されず、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のプロセスオイルなどの石油系軟化剤;パラフィン;ポリブテン、低分子量ポリブタジエンなどの合成樹脂系軟化剤;落花生油、ロジンなどの植物油系軟化剤などが挙げられる。
これらの中でもパラフィン系プロセスオイルを用いるのが特に好ましい。これらのゴム用軟化剤(V)は1種を単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。ゴム用軟化剤(V)を配合する場合、その配合量は付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して300質量部以下であり、200質量部以下であるのが好ましい。付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対するゴム用軟化剤(IV)の含有量が300質量部を超えると、ゴム用軟化剤(V)のブリードアウトが生じる傾向となるほか、力学的特性が低下する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤を含有させることができる。滑剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン二元共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体などのフッ素系滑剤;炭化水素系滑剤;脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸エステル系滑剤;シリコーン系滑剤;金属石鹸系滑剤、脂肪酸ケトン系滑剤などが挙げられる。滑剤を含有させる場合、その量は、通常、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して0.005〜5質量部の範囲であるのが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他の熱可塑性重合体を含有させることができる。他の熱可塑性重合体としては、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのポリオキシメチレン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)などのエチレン系ゴム;スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムなどのスチレン系ゴムもしくはその水素添加物またはそのマレイン酸変性物、エポキシ変性物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムもしくはその水素添加物またはそのマレイン酸変性物、エポキシ変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル−ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。他の熱可塑性重合体を含有させる場合、その含有量は本発明の熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して200質量部以下であるのが好ましい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて無機充填剤を含有させることができる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラス粉末、金属粉末、カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。無機充填剤を含有させる場合、その含有量は本発明の熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して50質量部以下であるのが好ましい。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて光安定剤、熱安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの1種または2種以上を含有することができる。このうち、酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば上記した成分(I)〜(IV)および場合によりゴム用軟化剤(V)、さらに必要に応じて他の成分を含む混合物を、一括して一段の工程で溶融条件下で動的に架橋処理することによって得ることができる。
なお、他の方法として、付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリオレフィン(II)、架橋助剤(IV)、場合によりゴム用軟化剤(V)さらに必要に応じて他の成分の一部を架橋剤(III)の存在下、溶融条件下で動的に架橋処理した後、付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリオレフィン(II)、架橋助剤(IV)、場合によりゴム用軟化剤(V)さらに必要に応じて他の成分の残りを加えて混練する方法;付加重合系ブロック共重合体(I)、ポリオレフィン(II)、架橋助剤(IV)、場合によりゴム用軟化剤(V)さらに必要に応じて他の成分の全部を溶融条件下で混練した後、架橋剤(III)を加えて溶融条件下で動的に架橋処理する方法などを採用しても良い。しかしながら、操作の簡便性の観点から、全成分を一括して一段の工程で溶融条件下で混練する上記した方法が好ましい。かかる方法を採用することによって、各成分が均一に混合され、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を円滑に製造することができる。
ここで、本明細書における「溶融条件下で動的に架橋処理する」とは、溶融状態にした前記混合物に混練によって剪断応力をかけながら架橋することを意味する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造するための、溶融条件下で動的に架橋処理する装置としては、各成分を均一に混合し得る溶融混練装置のいずれもが使用でき、例えば一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。なかでも、混練中の剪断力が大きいため微細かつ均一に分散させることができ、連続運転が可能な点から二軸押出機を使用するのが好ましい。
何ら限定されるものではないが、一軸押出機あるいは二軸押出機を使用して本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する場合、1台の押出機を使用しても良いし、各成分をより分散させるために2台以上の押出機を使用して段階的に順次溶融混練してもよい。
溶融混練温度は、付加重合系ブロック共重合体(I)およびポリオレフィン(II)が溶融し、架橋剤(III)が反応する範囲内で適宜選択できるが、通常130℃〜270℃であるのが好ましく、160℃〜240℃であるのがより好ましい。溶融混練時間は約30秒〜5分間であるのが好ましい。
上記のようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、各種成形方法、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形などの公知の方法により成形が可能である。
以下に本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、各成形品の物性評価は次のようにして行った。
(1)硬度(JIS−A):
下記の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形シートを所定の厚さ(12mm)に重ねて、JIS K 6253に準じてJIS A硬度を測定した。
(2)圧縮永久歪み(耐熱性):
下記の実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形シートを直径29mmの円形に打ち抜き、それを6枚重ねて温度200℃、圧力2.9MPaで5分間プレスして試験片を作製し、その試験片を用いて、JIS K 6262に準じて、温度120℃、圧縮変形量25%の条件下に22時間放置した後の圧縮永久歪みを測定した。
(3)力学的特性:
JIS K 6251に記載された方法に従って試験した。すなわち、下記の実施例および比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形シートより、JIS K 6251に規定されたダンベル状5号形の試験片を作製し、インストロン万能試験機を使用して、23℃の条件下で、引張速度500mm/minで引張試験を行い、破断強度(MPa)および破断伸度(%)を測定した。
(4)臭気
実施例および比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる射出成形シートの臭気を嗅ぎ、下記のように評価した。
◎:臭気を感じない
○:臭気をほとんど感じない
△:やや臭気を感じる
×:臭気を感じる
以下の実施例または比較例で用いたポリオレフィン(II)、架橋剤(III)、架橋助剤(IV)およびゴム用軟化剤(V)の内容は下記のとおりである。
ポリオレフィン(II)
ポリプロピレン(ホモ重合体)[(株)三井住友ポリオレフィン製「グランドポリプロB101」(商品名)、メルトフローレート=1g/10分(230℃、2.16kg)]
架橋剤(III−1)
1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン[日本油脂(株)製「パーブチルP−40」(商品名)]
架橋剤(III−2)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン[日本油脂(株)製「パーヘキサ25B−40」(商品名)]
架橋剤(III−3)
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン[日本油脂(株)製「パーヘキシン25B−40」(商品名)]
架橋助剤(IV)
トリアリルイソシアヌレート[日本化成(株)製「タイク WH−60」(商品名)]
ゴム用軟化剤(V)
パラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製「PW−380」(商品名)]
《製造例1》[付加重合系ブロック共重合体(I−1)の製造]
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを30kgおよびsec−ブチルリチウムの1.3Mシクロヘキサン溶液を20ml加え、この溶液にp−メチルスチレン700gを30分かけて加えて50℃で120分間重合し、次いでイソプレンとブタジエンの混合物(イソプレン/ブタジエン=50/50(質量比))2600gを60分かけて加えて、同温度で120分間重合し、さらにp−メチルスチレン700gを30分かけて加えて同温度で120分間重合することでポリp−メチルスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリp−メチルスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。該トリブロック共重合体を含む反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)30gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)200gを加えて調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素圧力で5時間水素添加反応を行い、上記したポリp−メチルスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリp−メチルスチレントリブロック共重合体の水素添加物[以下、付加重合系ブロック共重合体(I−1)と称する]を得た。得られた付加重合系ブロック共重合体(I−1)の数平均分子量は260000、各重合体ブロックの割合は17.5/65/17.5(質量比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率は99%であった。
《製造例2》[ブロック共重合体(1)の製造]
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを30kgおよびsec−ブチルリチウムの1.3Mシクロヘキサン溶液を20ml加え、この溶液にスチレン700gを30分かけて加えて50℃で120分間重合し、次いでイソプレンとブタジエンの混合物(イソプレン/ブタジエン=50/50(質量比))2600gを60分かけて加えて、同温度で120分間重合し、さらにスチレン700gを30分かけて加えて同温度で120分間重合することでポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。該トリブロック共重合体を含む反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)30gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)200gを加えて調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素圧力で5時間水素添加反応を行い、上記したポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物[以下、ブロック共重合体(1)と称する]を得た。得られたブロック共重合体(1)の数平均分子量は260,000、各重合体ブロックの割合は17.5/65/17.5(質量比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率は99%であった。
《実施例1〜4》
(1)製造例1で製造した付加重合系ブロック共重合体(I−1)、ポリオレフィン(II)、架橋剤(III−1)、架橋助剤(IV)およびゴム用軟化剤(V)を、下記の表1に示す割合でそれぞれ予備混合した後、一括して二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度160〜200℃、回転数200rpmで溶融混練し、ストランド状に押し出してストランドカッターでカットすることにより、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
(2)上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、射出成形機(東芝機械(株)製「IS−55EPN」、型締圧55×10kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度40℃の条件下にて射出成形して、縦×横×厚さ=110mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造した。この成形品について、各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
Figure 2005187536
《比較例1〜9》
(1)製造例1および2で製造した付加重合系ブロック共重合体(I−1)またはブロック共重合体(1)、ポリオレフィン(II)、架橋剤[(III−1)、(III−2)または(III−3)]、架橋助剤(IV)およびゴム用軟化剤(V)を、下記の表2に示す割合でそれぞれ予備混合した後、一括して二軸押出機[テクノベル(株)製]に供給して温度160〜200℃、回転数200rpmで溶融混練し、ストランド状に押し出してストランドカッターでカットすることにより、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
(2)上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、射出成形機(東芝機械(株)製「IS−55EPN」、型締圧55×10kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度40℃の条件下にて射出成形して、縦×横×厚さ=110mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造した。この成形品について、各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
Figure 2005187536
実施例1〜3の結果より、分子内に少なくとも1個の芳香環を有する架橋剤(III−1)を含有する混合物を溶融条件下で動的に架橋処理した熱可塑性エラストマー組成物は、120℃における圧縮永久歪み(耐熱性)および力学的特性に優れるだけでなく、臭気が極めて少ない。一方、比較例1〜3および比較例5〜7の結果より、分子内に芳香環を有していない架橋剤[(III−2)または(III−3)]を有する混合物を溶融条件下で動的に架橋処理した熱可塑性エラストマー組成物は、120℃における圧縮永久歪み(耐熱性)には優れるものの、力学的特性に劣り、さらに臭気を強く感じる。
また、実施例4の熱可塑性エラストマー組成物は、実施例1の熱可塑性エラストマー組成物と比較して架橋剤(III−1)の添加量が少ないが、120℃における圧縮永久歪み(耐熱性)は悪化することなく、臭気が低減し、力学的特性が向上している。これに対して、比較例4および比較例8の熱可塑性エラストマー組成物は、比較例1および比較例5の熱可塑性エラストマー組成物と比較して架橋剤(III−2)または(III−3)の添加量が少ないが、120℃における圧縮永久歪み(耐熱性)は著しく悪化し、かつ添加量が少ないことによる臭気の低減効果は小さい。
比較例9は分子内に少なくとも1個の芳香環を有する架橋剤(III−1)を含有する混合物を溶融条件下で動的に架橋処理した熱可塑性エラストマー組成物であるが、ブロック共重合体(1)が、そのハードセグメントである重合体ブロック(ポリスチレンブロック)に構造単位(a)[p−メチルスチレン単位]を含有していないため、実施例1と比較して120℃における圧縮永久歪みが極めて大きい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、耐熱性(例えば120℃での圧縮永久歪みが小さい)および力学的特性に優れ、かつ臭気が少ない。かかる熱可塑性エラストマー組成物は各種成形方法、例えば押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形などの公知の方法により成形が可能であり、前述した特徴を有する成形品を得ることができる。すなわち、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、シート、フィルム、板状体、チューブ、ホース、ベルト等の用途;スポーツシューズ、ファッションサンダル等の履物用途;テレビ、ステレオ、掃除機、冷蔵庫等の家電用品用途;建築物の扉、窓枠に使用するシーリング用パッキンなどの建材用途;バンパー部品、ボディーパネル、ウェザーストリップ等の自動車用外装部品用途;はさみ、ドライバー、歯ブラシ、スキーストックなどにおける各種グリップ類などの広範囲の用途に有効に使用できる。

Claims (5)

  1. 炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)を少なくとも1質量%以上有する芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対し;
    ポリオレフィン(II)を10〜300質量部;
    分子内に少なくとも1個の芳香環を有する架橋剤(III)を0.01〜10質量部;および
    架橋助剤(IV)を0.01〜20質量部の範囲で配合してなる混合物を、溶融条件下で動的に架橋処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 請求項1に記載の混合物にさらにゴム用軟化剤(V)を300質量部以下の範囲で配合させてなる混合物を、溶融条件下で動的に架橋処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(a)が、p−メチルスチレン単位からなることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 分子内に少なくとも1個の芳香環を有する架橋剤(III)が、1,3−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、1−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)−3−イソプロペニルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
JP2003427878A 2003-12-24 2003-12-24 熱可塑性エラストマー組成物 Pending JP2005187536A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003427878A JP2005187536A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 熱可塑性エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003427878A JP2005187536A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 熱可塑性エラストマー組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005187536A true JP2005187536A (ja) 2005-07-14
JP2005187536A5 JP2005187536A5 (ja) 2006-10-19

Family

ID=34787026

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003427878A Pending JP2005187536A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 熱可塑性エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005187536A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016031991A1 (ja) * 2014-08-29 2016-03-03 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物および成形品
WO2016031992A1 (ja) * 2014-08-29 2016-03-03 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0370761A (ja) * 1989-08-11 1991-03-26 Asahi Chem Ind Co Ltd 崩壊性樹脂組成物
JPH05194791A (ja) * 1992-01-23 1993-08-03 Kayaku Akzo Kk 熱可塑性エラストマー用架橋剤及びこれを使用した熱可塑性エラストマーの製造方法
JPH06211914A (ja) * 1993-01-20 1994-08-02 Dainippon Ink & Chem Inc 変性プロピレン系重合体の製造方法
JP2001192528A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Mitsubishi Chemicals Corp 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003003039A (ja) * 2001-06-18 2003-01-08 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP2003020383A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003238758A (ja) * 2002-02-20 2003-08-27 Kuraray Co Ltd ガスバリア性に優れた熱可塑性重合体組成物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0370761A (ja) * 1989-08-11 1991-03-26 Asahi Chem Ind Co Ltd 崩壊性樹脂組成物
JPH05194791A (ja) * 1992-01-23 1993-08-03 Kayaku Akzo Kk 熱可塑性エラストマー用架橋剤及びこれを使用した熱可塑性エラストマーの製造方法
JPH06211914A (ja) * 1993-01-20 1994-08-02 Dainippon Ink & Chem Inc 変性プロピレン系重合体の製造方法
JP2001192528A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Mitsubishi Chemicals Corp 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003020383A (ja) * 2001-05-01 2003-01-24 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003003039A (ja) * 2001-06-18 2003-01-08 Kuraray Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP2003238758A (ja) * 2002-02-20 2003-08-27 Kuraray Co Ltd ガスバリア性に優れた熱可塑性重合体組成物

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016031991A1 (ja) * 2014-08-29 2016-03-03 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物および成形品
WO2016031992A1 (ja) * 2014-08-29 2016-03-03 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物
JP5933141B1 (ja) * 2014-08-29 2016-06-08 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物および成形品
JP5933140B1 (ja) * 2014-08-29 2016-06-08 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物
KR20170046652A (ko) * 2014-08-29 2017-05-02 주식회사 쿠라레 열 가소성 엘라스토머 조성물
KR20170048341A (ko) * 2014-08-29 2017-05-08 주식회사 쿠라레 열 가소성 엘라스토머 조성물 및 성형품
CN106661309A (zh) * 2014-08-29 2017-05-10 株式会社可乐丽 热塑性弹性体组合物
CN106715576A (zh) * 2014-08-29 2017-05-24 株式会社可乐丽 热塑性弹性体组合物和成型品
US10259933B2 (en) 2014-08-29 2019-04-16 Kuraray Co., Ltd. Thermoplastic elastomer composition
US10287432B2 (en) 2014-08-29 2019-05-14 Kuraray Co., Ltd. Thermoplastic elastomer composition and molded article
KR102367517B1 (ko) 2014-08-29 2022-02-24 주식회사 쿠라레 열 가소성 엘라스토머 조성물
KR102368113B1 (ko) 2014-08-29 2022-02-25 주식회사 쿠라레 열 가소성 엘라스토머 조성물 및 성형품

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3946080B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
US7169849B2 (en) Process for production of thermoplatic elastomer composition
JP5116644B2 (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP4030664B2 (ja) 熱可塑性エラストマー樹脂組成物およびその製造方法
JP4477245B2 (ja) ゴム組成物
TWI403521B (zh) 改良之熱塑性彈性體組合物
JP3134504B2 (ja) 水添ジエン系共重合体およびその組成物
JP4027771B2 (ja) 複層成形体
JP2006328307A (ja) 射出成形体
JP4909467B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法
JP2006249269A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4184206B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005187536A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP5085174B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4909468B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP4118716B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその成形品
JP4373808B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005272527A (ja) 熱可塑性重合体組成物
JP2004067944A (ja) 極性熱可塑性エラストマー組成物
JP2004138168A (ja) チューブおよびホース
JP2001233996A (ja) ゴム系組成物
JP2005047948A (ja) スチレン系熱可塑性エラストマー組成物
JP2003201372A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2007126527A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその射出成形品
JP4133206B2 (ja) フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060831

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090421