JP2005272527A - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 柔軟性、高温時の歪み回復性(耐熱性)に優れ、かつ成形加工性、耐引裂性および耐油性に優れる熱可塑性重合体組成物を提供すること。
【解決手段】 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対し、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で含有する熱可塑性重合体組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は熱可塑性重合体組成物に関する。本発明の熱可塑性重合体組成物は、柔軟性、高温条件下(例えば120℃)での歪み回復性などの耐熱性、成形加工性、耐引裂性および耐油性に優れ、種々の用途に有効に使用可能な成形体を得ることができる。
近年、ゴム的な軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有する熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療部品、履物、雑貨など各種の分野で用いられている。この中で、芳香族ビニル化合物重合体ブロック−共役ジエン化合物重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物であるスチレン系熱可塑性エラストマーは柔軟性、成形加工性などに優れた材料として使用されているが、近年、家電部品、自動車部品、建材部品などの利用分野が拡大するに伴い、特に耐熱性の向上が求められている。また、スチレン系熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比べて引裂強度が劣るため、窓枠やドアのシール材、各種パッキンなどに使用した場合、長期使用においてシール性の低下を招くことから、引裂強度の向上も課題となっている。さらに、自動車部品においては、エンジンルーム内の部品として使用される場合、各種潤滑油にさらされたり、窓枠やドアのシール材、モール材などの外装材として使用される場合、ワックスやワックスリムーバーなどのオイル類にさらされることが多く、耐油性の向上も課題である。
スチレン系熱可塑性エラストマーを主体とする重合体組成物への耐熱性の付与については、〔1〕芳香族ビニル化合物よりなる重合体ブロックと共役ジエン化合物よりなる重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加物、非芳香族系ゴム用軟化剤、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂および必要に応じて無機充填剤を特定量配合してなる配合物を予め混練した後、有機パーオキサイド、架橋助剤および場合により酸化防止剤を加えて部分架橋することを特徴とするエラストマー状組成物の製造方法が開示され、高温圧縮永久歪などの諸物性に優れるエラストマー状組成物が得られること(特許文献1参照);〔2〕芳香族ビニル化合物よりなる重合体ブロックと共役ジエン化合物よりなる重合体ブロックを有する、特定の重量平均分子量範囲でかつ特定の分布を有するブロック共重合体の水素添加物とゴム用軟化剤の割合が20/80〜80/20(質量比)であって、かかる2成分の合計量100質量部に対してオレフィン系重合体を特定量配合してなる混合物を架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物(特許文献2参照);が提案されている。しかし、これらの組成物においては、ブロック共重合体の水素添加物の共役ジエン化合物重合体ブロックからなるソフトセグメントのみが架橋されているために、100℃以上におけるゴム弾性(圧縮永久歪み)が不十分であり、加硫ゴムを用いて達成されているレベルには到達していない。
一方、〔3〕(A)架橋可能なジエン系ゴムおよび/または架橋可能な熱可塑性エラストマー10〜80重量%、(B)ポリスチレン等の芳香族ビニル化合物系熱可塑性樹脂20〜80重量%、ならびに(C)可塑剤0〜40重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%〕に、(A)成分の架橋剤を添加し、溶融混練して得られ、(A)成分のゲル化率が30〜100%であることを特徴とする動的架橋組成物が開示され、引裂強度が良好であることが記載されている(特許文献3参照)。また、上記した100℃以上における圧縮永久歪み(ゴム弾性)を改善する目的として、〔4〕芳香族ビニル化合物重合体ブロックを1個以上および共役ジエン化合物重合体ブロックを1個以上有するブロック共重合体において、少なくともハードセグメントをなす芳香族ビニル化合物重合体ブロック部分で架橋された特定の架橋構造を有するブロック共重合体またはその水素添加物、ポリオレフィン、および場合によりゴム用軟化剤を特定量配合した熱可塑性エラストマー組成物が開示され、かかる熱可塑性エラストマー組成物は高温での歪み回復性(耐熱性)に優れることが開示されている(特許文献4参照)。
特開昭59−131613号公報 特開2000−109640号公報 特開平10−195241号公報 国際公開第02/090433号パンフレット
しかし、特許文献3の動的架橋組成物においては、耐熱性や耐油性の改良効果については何ら述べられていない。また、組成物中に、ポリスチレン等の親油性の高い芳香族ビニル化合物系熱可塑性樹脂の含有量が多いため、耐油性に劣ることが予想される。さらに、特許文献4の熱可塑性エラストマー組成物においては、水添ブロック共重合体のハードセグメントが架橋された構造であるので、耐熱性をより高めるため架橋剤および架橋助剤の使用量を多くしてかかる架橋度を高くした際には、特に破断伸びや引裂強度が著しく低下し、実用に供することができない場合がある。また、架橋度を高くしすぎた場合には、かかる熱可塑性エラストマー組成物の流動性が低下し、射出成形や押出成形などの各種成形における成形加工性の低下を招く傾向にある。
しかして、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決し、柔軟性、高温時の歪み回復性(耐熱性)に優れ、かつ成形加工性、耐引裂性および耐油性に優れる熱可塑性重合体組成物を提供することにある。
本発明によれば、上記の目的は、
(1) 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対し、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で含有する熱可塑性重合体組成物;
(2) 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対し、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で、そしてゴム用軟化剤(c)を300質量部以下の範囲で含有する熱可塑性重合体組成物;
(3) 付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAに、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに基づく構造単位(I)(以下、単に構造単位(I)と称する)および官能基(II)から選択される構造単位の少なくとも1種を有し、かつ前記構造単位(I)および/または官能基(II)によって少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されている(1)または(2)の熱可塑性重合体組成物;
(4) 構造単位(I)がp−メチルスチレンに基づく構造単位であり、官能基(II)が水酸基である(3)の熱可塑性重合体組成物;
(5) 付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の質量比が10:90〜95:5の範囲である(1)〜(4)のいずれかの熱可塑性重合体組成物;
(6) 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、かつ重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種を有するブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対し、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で、架橋剤(d)を0.01〜20質量部の範囲で含有してなる混合物を、溶融条件下に動的架橋することを特徴とする(1)の熱可塑性重合体組成物の製造方法;
(7) 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、かつ重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種を有するブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対して、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で、ゴム用軟化剤(c)を300質量部以下の範囲で、架橋剤(d)を0.01〜20質量部の範囲で含有してなる混合物を、溶融条件下に動的架橋することを特徴とする(2)の熱可塑性重合体組成物の製造方法;および
(8) (1)〜(5)のいずれかの熱可塑性重合体組成物からなる成形体;を提供することにより達成される。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性重合体組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(a)は、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているものである。
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックA部分と重合体ブロックB部分の両方で架橋されていてもよいが、重合体ブロックB部分では架橋されておらず、重合体ブロックA部分のみで架橋されていることが、ゴム弾性に優れることからより好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAがハードセグメントを構成し、重合体ブロックBがソフトセグメントを構成している。本発明の熱可塑性重合体組成物で好適に用いられる付加重合系ブロック共重合体(a)は、ハードセグメントをなす重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位を有し、構造単位(I)および/または官能基(II)によって少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されている。
付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが有しうる構造単位(I)を構成するアルキルスチレンとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8である、o−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、2,4,6−トリアルキルスチレン、前記したアルキルスチレン類におけるアルキル基の水素原子の1個または2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキルスチレン類などを挙げることができる。より具体的には、構造単位(I)を構成するアルキルスチレンとしては、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチレン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス(クロロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)スチレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチレン、p−ジクロロメチルスチレンなどを挙げることができる。
重合体ブロックAは、構造単位(I)として前記したアルキルスチレンおよびハロゲン化アルキルスチレンのうちの1種または2種以上からなる単位を有することができる。そのうちでも、構造単位(I)がp−メチルスチレンに基づく構造単位であることが、後述するビスマレイミド系化合物や有機過酸化物などの架橋剤(d)との反応性に優れ、重合体ブロックAに架橋構造を確実に導入できることから好ましい。なお、構造単位(I)のベンゼン環に結合したアルキル基の炭素数が9以上になると、架橋剤(d)との反応性に劣り、架橋構造が形成されにくくなる。
一方、付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが有しうる官能基(II)(架橋前の官能基)としては、例えば、活性水素原子を有する官能基[例えば式:−OH、−SH、−NH、−NHR、−CONH、−CONHR、−CONH−、−SOH、−SOH、−SOHで表される官能基(式中、Rは炭化水素基を示す)など];窒素原子を有する官能基(例えば、式:−NR、>C=NH、>C=N−、−CN、−NCO、−OCN、−SCN、−NO、−NO、−NCS、−CONR、−CONR−などで表される官能基(式中、Rは炭化水素基を示す)など);カルボニル基またはチオカルボニル基を有する官能基[例えば式:>C=O、>C=S、−CH=O、−CH=S、−COOR、−CSOR(式中、Rは炭化水素基を示す)など];エポキシ基、チオエポキシ基などを挙げることができる。付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAにこれらの官能基の1種または2種以上を有し、その部分で架橋されていることができる。これらの中でも、重合体ブロックAが有してもよい官能基(II)は、水酸基(式:−OH)であることが、架橋が形成し易い点から好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAを構成する芳香族ビニル化合物単位として、構造単位(I)以外の他の芳香族ビニル化合物単位を有することができる。他の芳香族ビニル化合物単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどからなる単位を挙げることができ、これらの1種または2種以上の単位を有することができる。なかでも、他の芳香族ビニル化合物単位としてはスチレンに基づく構造単位が好ましい。
重合体ブロックAが、構造単位(I)および/または官能基(II)と共に他の芳香族ビニル化合物単位を有する場合は、構造単位(I)および/または官能基(II)と他の芳香族ビニル化合物単位の結合形態は、ランダム、ブロック、テーパード状などのいずれの形態になっていてもよい。
重合体ブロックAは、上記した芳香族ビニル化合物に基づく構造単位と共に、必要に応じて他の重合性単量体に基づく構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体に基づく構造単位の割合は、重合体ブロックAの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどを挙げることができる。これらの他の重合性単量体の結合形態は、ランダム、ブロック、テーパード状などのいずれの形態になっていてもよい。
付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが構造単位(I)を有し、その部分で架橋されている場合に、重合体ブロックAにおける構造単位(I)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(a)における結合ブロック数、付加重合系ブロック共重合体の数平均分子量、重合体ブロックAが構造単位(I)のみを有しているか、または構造単位(I)と共に官能基(II)を有しているかなどによって異なり得る。
付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAに官能基(II)を持たず、構造単位(I)のみを有し、構造単位(I)部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体またはその水素添加物[以下これを「付加重合系ブロック共重合体(aI)」ということがある]である場合は、重合体ブロックAにおける構造単位(I)の含有割合は、付加重合系ブロック共重合体(aI)を構成する重合体ブロックAの質量[付加重合系ブロック共重合体(aI)が2個以上の重合体ブロックAを有する場合はその合計質量]に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。場合によっては、重合体ブロックAを構成する全ての単位が構造単位(I)からなっていてもよい。重合体ブロックAに構造単位(I)のみを有する付加重合系ブロック共重合体(aI)において、重合体ブロックAの質量に対して構造単位(I)の含有割合が1質量%未満であると、重合体ブロックA部分で架橋が形成されにくくなり、そのような付加重合系ブロック共重合体を含有する熱可塑性重合体組成物の耐熱性が劣ったものになり易い。
一方、付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが官能基(II)を有し、その部分で架橋されている場合に、重合体ブロックAにおける官能基(II)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(a)の結合ブロック数、数平均分子量、重合体ブロックAが官能基(II)のみを有しているかまたは官能基(II)と共に構造単位(I)を有しているかなどによって異なり得る。
付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAに構造単位(I)を有さず、官能基(II)のみを有し、官能基(II)部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体またはその水素添加物[以下これを「付加重合系ブロック共重合体(aII)」ということがある]で重合体ブロックBでは架橋されていないものである場合は、付加重合系ブロック共重合体(aII)1分子当たりの官能基(II)の含有量は1.2〜1000個の範囲であることが好ましく、1.6〜200個の範囲であることがより好ましい。
また、付加重合系ブロック共重合体(a)が構造単位(I)を持たず、重合体ブロックAおよび重合体ブロックBの両方に官能基(II)を有し、重合体ブロックAと重合体ブロックBの両方で架橋されているものである場合は、付加重合系ブロック共重合体(aII)1分子当たりの官能基(II)の含有量は、2.2〜1100個の範囲であることが好ましく、1.6〜230個の範囲であることがより好ましい。その際に、重合体ブロックBでの官能基(II)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(aII)1分子当たり0.5〜30個であることが好ましい。
さらに、付加重合系ブロック共重合体(a)が、同一または相異なる重合体ブロックAに構造単位(I)と官能基(II)の両方を有する場合は、構造単位(I)の含有量が重合体ブロックAの質量に対して1〜90質量%、および官能基(II)の含有量が付加重合系ブロック共重合体(a)1分子当たり1〜1000個の範囲であることが好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックA部分における架橋の数(個数)は、付加重合系ブロック共重合体(a)1分子当たり2以上であることが好ましい。重合体ブロックAにおける架橋の数は、重合体ブロックAへの構造単位(I)および/または官能基(II)の導入個数およびそれに対する架橋剤(d)の使用量を調節することによって変えることができる。
次に、付加重合系ブロック共重合体(a)において、重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができる。重合体ブロックBは、これらの共役ジエン化合物の1種のみから構成されていてもまたは2種以上から構成されていてもよく、中でもブタジエン、イソプレン、またはブタジエンとイソプレンの混合物から構成されているのが好ましい。重合体ブロックBが2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、ブロック、テーパード状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
重合体ブロックBは、共役ジエン化合物からなる構造単位とともに、必要に応じて他の重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体の割合は、付加重合系ブロック共重合体(a)を構成する重合体ブロックBの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、構造単位(I)を構成する前記したアルキルスチレン(好適にはp−メチルスチレン)などを挙げることができる。また、重合体ブロックBは、官能基(II)を有していてもよい。
重合体ブロックBは、イソプレン単位からなるポリイソプレンブロックまたは該イソプレン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック;ブタジエン単位からなるポリブタジエンブロックまたは該ブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック;或いはイソプレン単位とブタジエン単位からなるイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックまたは該イソプレン単位およびブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加されたイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックであることが、本発明の熱可塑性重合体組成物の耐候性、耐熱性などの点から好ましい。
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したポリイソプレンブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH−C(CH)=CH−CH−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(CH)=CH)−CH−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH)(CH=CH)−CH−;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、各単位の割合は特に限定されない。
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したポリブタジエンブロックでは、その水素添加前には、そのブタジエン単位の70〜20モル%、特に65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH−CH=CH−CH−;1,4−結合ブタジエン単位)であり、30〜80モル%、特に35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH−;1,2−結合ブタジエン単位]であることが好ましい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合量が上記した70〜20モル%の範囲内であると、ゴム弾性が良好になる。
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなっており、またブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジイル基およびビニルエチレン基からなっており、各単位の割合は特に制限されない。イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、イソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム、ブロック、テーパード状のいずれの形態になっていてもよい。そして、イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、ゴム弾性の改善効果の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(a)を含有する熱可塑性重合体組成物の耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックBにおける炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加(以下「水添」ということがある)されていることが好ましい。その際の共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックBの水添率は60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。とりわけ該水添率が100モル%に近いと、本発明の熱可塑性重合体組成物を製造する際に、重合体ブロックBと架橋剤(d)との反応割合が低減する一方で、重合体ブロックAの有する構造単位(I)および/または官能基(II)の少なくとも1種と架橋剤(d)との反応が促進されて、ハードセグメントをなす重合体ブロックAに架橋が導入される割合が高くなるので好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAにのみ構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位を有し、重合体ブロックBにはそれらのいずれをも有さず、重合体ブロックA部分でのみ架橋されているのが好ましいが、重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位を有すると共に、重合体ブロックBに官能基(II)を有し、重合体ブロックAと重合体ブロックBの両方で架橋されていてもよい。また、重合体ブロックAと重合体ブロックBの両方で架橋されている付加重合系ブロック共重合体(a)では、重合体ブロックBでの架橋は、構造単位(I)および/または官能基(II)以外のもので架橋されていてもよい。
構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種の単位を有する重合体ブロックAでは、構造単位(I)および/または官能基(II)は、重合体ブロックAの末端に存在していてもよいし、重合体ブロックAの分子鎖の途中に存在していてもよいし、重合体ブロックAの末端と分子鎖の途中の両方に存在していてもよい。そのため、重合体ブロックAは、重合体ブロックAの末端部分で架橋されていてもよいし、重合体ブロックAの分子鎖の途中で架橋されていてもよいし、または重合体ブロックAの末端と分子鎖の途中の両方で架橋されていてもよい。付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAを1個有するジブロック共重合体(A−B)、重合体ブロックAを1個有するトリブロック共重合体(B−A−B)またはそれらの水素添加物である場合、構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位はその1個の重合体ブロックAに存在し、その部分で架橋が形成されている。
また、付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAを2個以上有するトリブロック、テトラブロック以上のマルチブロック共重合体またはそれらの水素添加物である場合は、2個以上の重合体ブロックAのうちの1個にのみ構造単位(I)または官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位を存在させてその部分で架橋された構造にしてもよいし、或いは2個以上または全部の重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位をそれぞれ存在させて、複数の重合体ブロックA部分で架橋された構造にしてもよい。
構造単位(I)または官能基(II)のいずれをも有していない重合体ブロックAをA、構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位を有する重合体ブロックAをA、重合体ブロックBをBで表すと、付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAを1個だけ有する前記したジブロック共重合体、トリブロック共重合体またはそれらの水素添加物である場合、付加重合系ブロック共重合体(a)は、少なくとも重合体ブロックA部分で架橋された、A−Bで表されるジブロック共重合体であるか、B−A−Bで表されるトリブロック共重合体であるか、またはその水素添加物である。この場合、付加重合系ブロック共重合体(a)は、耐熱性、ゴム弾性を良好にする点から、重合体ブロックB部分でも架橋されていることが望ましい。
また、付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAを2個以上有するトリブロック以上のマルチブロック共重合体である場合は、例えば、少なくともブロックA部分で架橋されたA−B−A、A−B−A、A−B−A−B、A−B−A−B、A−A−B−A−A、A−A−B−A−A、A−B−A−B−A、(A−B)(jは3以上の整数を示す)、(A−B)−A(kは2以上の整数を示す)、(B−A−B(mは2以上の整数を示す)、(A−B)−X(nは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)などで表される種々のマルチブロック共重合体および/またはその水素添加物などであり、それらのいずれであってもよい。
その中でも、付加重合系ブロック共重合体(a)は、少なくともブロックA部分で架橋されたA−B−Aで表されるトリブロック共重合体の水素添加物、またはA−A−B−A−Aで表されるペンタブロック共重合体の水素添加物、特に少なくともブロックA部分が架橋されたA−B−Aで表されるトリブロック共重合体の水素添加物の架橋物であることが、架橋の導入による物性改善の効果が高く、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性がより優れたものとなることから好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(a)における架橋度は、付加重合系ブロック共重合体(a)を含有する本発明の熱可塑性重合体組成物の組成、用途などに応じて調整し得るが、一般的には架橋後の付加重合系ブロック共重合体(a)をシクロヘキサンを用いて10時間ソックスレー抽出処理した時に、シクロヘキサンに溶解せずに残留するゲルの質量割合(ゲル分率)が抽出処理前の架橋後の付加重合系ブロック共重合体(a)の質量に対して80%以上となるような架橋度であることが、耐熱性に優れる点から好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(a)は、少なくとも重合体ブロックA部分に架橋が形成されているという点で、共役ジエン化合物重合体ブロック部分のみが架橋されている芳香族ビニル化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックよりなるブロック共重合体の架橋物とは異なっている。本発明の熱可塑性重合体組成物では、ハードセグメントをなす重合体ブロックA部分で少なくとも架橋されている付加重合系ブロック共重合体(a)を用いることによって、上記したように、耐熱性に優れ、良好なゴム的性質を有する熱可塑性重合体組成物の提供を可能にしたものである。
付加重合系ブロック共重合体(a)は、架橋前の状態[すなわち、付加重合系ブロック共重合体(a)に相当する]として、重合体ブロックAの数平均分子量が2500〜75000、好ましくは5000〜50000の範囲内にあり、重合体ブロックBの数平均分子量が10000〜400000、好ましくは30000〜350000の範囲内にあり、付加重合系ブロック共重合体(a)全体の数平均分子量が12500〜2000000、好ましくは50000〜1000000の範囲内にあることが、得られる熱可塑性重合体組成物の力学的特性、成形加工性などの点から好適である。なお、本明細書でいう数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値をいう。
本発明の熱可塑性重合体組成物の製造に用いる上記付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAが有する構造単位(I)および/または官能基(II)で架橋されていない付加重合系ブロック共重合体である点を除いては、本発明の熱可塑性重合体組成物を構成している上記で説明した架橋後の付加重合系ブロック共重合体(a)とその内容(例えばブロック共重合体を構成する単量体の種類や組成、分子量など)において同じである。
本発明の熱可塑性重合体組成物の製造に用いる架橋前の付加重合系ブロック共重合体(a)の製法は何ら限定されず、重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種の単位を有する付加重合系ブロック共重合体(a)を製造し得る方法であれば、いずれの方法を採用して製造してもよい。例えば、付加重合系ブロック共重合体(a)は、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、ラジカル重合法などの公知の重合方法を行うことによって製造することができる。例えば、重合体ブロックAに構造単位(I)を有する付加重合系ブロック共重合体(a)は、アニオン重合法による場合、アルキルリチウム化合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの重合反応に不活性な有機溶媒中で、構造単位(I)を構成するアルキルスチレンまたは構造単位(I)を構成するアルキルスチレンとビニル芳香族化合物の混合物、共役ジエン化合物を逐次重合させてブロック共重合体(すなわち未水添の付加重合系ブロック共重合体(a))を形成する。
また、重合体ブロックAに官能基(II)を有する付加重合系ブロック共重合体(a)は、停止反応、開始反応、官能化モノマーの共重合、高分子反応などを適用することによって製造することができる。例えば、二官能の陰イオン重合開始剤を用いて付加重合系ブロック共重合体を合成した場合、末端処理剤としてオキシラン、カルボニル基、チオカルボニル基、酸無水物、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、エポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基などを有する化合物を用い官能化させることによって重合体ブロックAの末端に官能基(II)を有する付加重合系ブロック共重合体(a)(すなわち未水添の付加重合系ブロック共重合体(a))を製造することができる。さらに、重合体ブロックAの分子鎖の途中に官能基(II)を有する付加重合系ブロック共重合体(a)は、例えばマクロモレキュールズ(Macromolecules)、第28巻、8702頁(1995年)に記載された方法により製造することができる。
なお、付加重合系ブロック共重合体(a)における官能基(II)の数は、NMR、滴定などを用いて算出できる。
また、上記で得られた、重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種を有する付加重合系ブロック共重合体(a)は、必要に応じてさらに水素添加することができる。かかる水素添加反応は、例えば、該ブロック共重合体をシクロヘキサンなどの飽和炭化水素系溶媒中で、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒;ニッケル、コバルトなどの第8〜10族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物または有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどの有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒などの水素添加触媒の存在下で、通常、反応温度として20〜100℃の範囲で、水素圧力0.1〜10MPaの範囲の条件下で行うことができ、該ブロック共重合体の水素添加物(すなわち、水素添加されている付加重合系ブロック共重合体(a))を得ることができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(a)は、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有する。
付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックA’を構成する芳香族ビニル化合物単位としては、構造単位(I)以外の芳香族ビニル化合物単位、例えばスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどからなる単位を挙げることができ、これらの1種または2種以上の単位を有することができる。これらの中でも、スチレンに基づく構造単位が好ましい。
重合体ブロックA’は、上記した芳香族ビニル化合物に基づく構造単位と共に、必要に応じて他の重合性単量体に基づく構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体に基づく構造単位の割合は、重合体ブロックA’の合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどを挙げることができる。これらの他の重合性単量体の結合形態は、ランダム、ブロック、テーパード状などのいずれの形態になっていてもよい。
次に、付加重合系ブロック共重合体(a)において、重合体ブロックB’を構成する共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができる。重合体ブロックB’は、これらの共役ジエン化合物の1種のみから構成されていてもまたは2種以上から構成されていてもよく、中でもブタジエン、イソプレン、またはブタジエンとイソプレンの混合物から構成されているのが好ましい。重合体ブロックB’が2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパード、ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
重合体ブロックB’の構成ブロックとなり得る上記したポリイソプレンブロックでは、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH−C(CH)=CH−CH−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(CH)=CH)−CH−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH)(CH=CH)−CH−;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、各単位の割合は特に限定されない。
重合体ブロックB’の構成ブロックとなり得る上記したポリブタジエンブロックでは、そのブタジエン単位の70〜10モル%、特に65〜20モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH−CH=CH−CH−;1,4−結合ブタジエン単位)であり、30〜80モル%、特に35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH−;1,2−結合ブタジエン単位]であることが好ましい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合量が上記した70〜10モル%の範囲内であると、ゴム弾性が良好になる。
重合体ブロックB’の構成ブロックとなり得る上記したイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなっており、またブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジイル基およびビニルエチレン基からなっており、各単位の割合は特に制限されない。イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、イソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム、ブロック、テーパード状のいずれの形態になっていてもよい。そして、イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、ゴム弾性の改善効果の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
重合体ブロックA’をA’、重合体ブロックB’をB’で表すと、付加重合系ブロック共重合体(a)は、A’−B’で表されるジブロック共重合体、A’−B’−A’、B’−A’−B’で表されるトリブロック共重合体、A’−B’−A’−B’、A’−B’−A’−B’−A’、(A’−B’)(pは3以上の整数を示す)、(A’−B’)−A’(qは2以上の整数を示す)、(B’−A’)−B’(rは2以上の整数を示す)、(A’−B’)−X(nは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)などで表される種々のマルチブロック共重合体などであり、それらのいずれであってもよい。その中でも、付加重合系ブロック共重合体(a)は、特にA’−B’−A’で表されるトリブロック共重合体であることが、物性改善の効果が高く、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性がより優れたものとなることから好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックA’の数平均分子量が2500〜75000、好ましくは5000〜50000の範囲内にあり、重合体ブロックB’の数平均分子量が10000〜400000、好ましくは30000〜350000の範囲内にあり、付加重合系ブロック共重合体(a)全体の数平均分子量が12500〜2000000、好ましくは50000〜1000000の範囲内にあることが、得られる熱可塑性重合体組成物の力学的特性、成形加工性などの点から好適である。なお、本明細書でいう数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値をいう。
付加重合系ブロック共重合体(a)の製法は何ら限定されず、例えばアニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、ラジカル重合法などの公知の重合方法を行うことによって製造することができる。例えばアニオン重合法による場合、アルキルリチウム化合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの重合反応に不活性な有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させて付加重合系ブロック共重合体(a)を形成する。
付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)は、共に本発明の熱可塑性重合体組成物の必須成分である。未水添体である付加重合系ブロック共重合体(a)を構成成分として含むことにより、理由は定かではないが、本発明の熱可塑性重合体組成物に耐引裂性および耐油性が付与される。この両者の混合比に厳密な意味での制限はないが、得られる熱可塑性重合体組成物の高温での歪み回復性(耐熱性)、柔軟性、成形加工性などの観点から、通常、付加重合系ブロック共重合体(a):付加重合系ブロック共重合体(a)は、質量比として10:90〜95:5の範囲であるのが好ましく、30:70〜90:10の範囲であるのがより好ましく、40:60〜85:15の範囲であるのがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物を構成するオレフィン系樹脂(b)としては、例えばエチレン系重合体、プロピレン系重合体、ポリ(1−ブテン)およびポリ(4−メチル−1−ペンテン)などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
エチレン系重合体としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのエチレンの単独重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。プロピレン系重合体としては、例えばプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、成形加工性の点から、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体;プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体などのプロピレン系重合体が好ましく、プロピレン系重合体を用いるのがより好ましい。
オレフィン系樹脂(b)の配合量は、付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対して10〜300質量部の範囲である必要があり、15〜200質量部の範囲であるのが好ましく、20〜100質量部の範囲であるのがより好ましい。付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対するオレフィン系樹脂(b)の配合量が10質量部未満では、得られる熱可塑性重合体組成物の成形加工性に乏しくなり、一方、300質量部を超えると、得られる熱可塑性重合体組成物の柔軟性、ゴム弾性が劣る。
本発明の熱可塑性重合体組成物において、必要に応じてさらに含有される成分であるゴム用軟化剤(c)としては、パラフィン系、ナフテン系のプロセスオイルなどの石油系軟化剤;流動パラフィン;落花生油、ロジンなどの植物油系軟化剤;エチレン−α−オレフィンオリゴマー、液状ポリブテン、低分子量ポリブタジエンなどの合成軟化剤などが挙げられる。ゴム用軟化剤(c)としては、特に40℃における動粘度が20〜800mm/sである軟化剤、中でもパラフィン系オイルであることが望ましい。これらのゴム用軟化剤(c)は1種を単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。本発明に好適に用いることのできるゴム用軟化剤(c)として、例えば出光興産(株)が上市している商品名「ダイアナプロセスオイル」シリーズにおけるパラフィン系プロセスオイルなどが挙げられる。
ゴム用軟化剤(c)をさらに含有させる場合、その配合量は、付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対して300質量部以下の範囲であり、30〜250質量部の範囲であるのが好ましく、50〜200質量部の範囲であるのがより好ましい。ゴム用軟化剤(c)の配合量が付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対して300質量部を超えると、得られる熱可塑性重合体組成物の力学的特性が低下するほか、かかる熱可塑性重合体組成物より得られる成形体からのゴム用軟化剤(c)のブリードアウトが顕著となり、好ましくない。
架橋剤(d)としては、重合体ブロックAに存在する構造単位(I)に作用して架橋を形成させる架橋剤[以下これを架橋剤(dI)と称する]または官能基(II)と反応して架橋を形成する反応性基を有する架橋剤(d)[以下これを架橋剤(dII)と称する]が用いられる。
架橋剤(dI)としては、溶融条件下での動的な架橋処理中に、付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAに存在する構造単位(I)に作用してその部分で重合体ブロックAに架橋を形成させ得る架橋剤であればよい。かかる動的な架橋処理時の処理条件(例えば処理温度や処理時間など)に応じて、反応性などを考慮して適当な架橋剤(dI)を選択することができ、そのうちでもビスマレイミド系化合物および有機過酸化物の1種または2種以上が架橋剤(dI)として好ましく用いられる。
ビスマレイミド系化合物としては、ベンゼン環に結合したアルキル基部分および炭素−炭素二重結合部分で架橋を生じさせ得るビスマレイミド系化合物であればいずれも使用でき、例えばN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレン(1−メチル)ビスマレイミド、N,N’−2,7−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン−4−メチルビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン(4−エチル)ビスマレイミドおよびトルイレンビスマレイミドなどが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドが反応性の点から好ましい。
有機過酸化物としては、例えばジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシドが反応性の点から好ましく用いられる。
付加重合系ブロック共重合体(a)として重合体ブロックBの炭素−炭素二重結合の全部が水添されたものを使用し、架橋剤(dI)としてビスマレイミド系化合物を用いると、付加重合系ブロック共重合体(a)中の重合体ブロックBでは架橋が行われず、重合体ブロックAに存在する構造単位(I)部分のみ、すなわちハードセグメント部分のみで選択的に架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)が形成される。また、付加重合系ブロック共重合体(a)として重合体ブロックBに炭素−炭素二重結合が存在するものを使用し、架橋剤(dI)としてビスマレイミド系化合物を用いると、構造単位(I)を有する重合体ブロックA部分および重合体ブロックB部分の両方で架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)が形成される。
また、架橋剤(dI)として有機過酸化物を用いると、付加重合系ブロック共重合体(a)における重合体ブロックBに炭素−炭素二重結合が存在してもまたは存在しなくても、構造単位(I)を有する重合体ブロックA部分および重合体ブロックB部分の両方で架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)が形成される。
官能基(II)の種類に対応して用いられる架橋剤(dII)としては、官能基(II)が水酸基(−OH)、−SH、−NH、−NHR、−CONH、−CONHR、−CONH−、−SOH、−SOH、−SOHなどの活性水素原子を有する官能基である場合は、イソシアネート基を有するモノマー、イソシアネート付加物(脂肪族系、環状基を有する脂肪族系、芳香族系およびビフェニル系イソシアナート付加物など)、ブロックイソシアネートなどのイソシアネート化合物を使用することができ、イソシアネート基を2個以上、特に3個以上有するポリイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートなどが好ましく用いられる。その際に、官能基(II)とイソシアネート化合物との反応性を高めるために錫系触媒、チタン系触媒などを併用することもできる。
官能基(II)が水酸基である場合には、前記したイソシアネート化合物以外にも、例えば、ポリエポキシ化合物、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物などのポリカルボン酸無水物などを架橋剤(dII)として用いることができる。
官能基(II)がカルボキシル基である場合には、例えばポリエポキシ化合物、ポリアミンなどを架橋剤(dII)として用いることができる。また、官能基(II)がエポキシ基である場合は、例えば、ポリカルボン酸、ポリアミンなどを架橋剤(dII)として用いることができる。
架橋剤(d)の使用量[架橋剤(dI)と架橋剤(dII)を併用する場合は両者の合計使用量]は、付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲であり、0.01〜10質量部の範囲であることがより好ましい。架橋剤(d)の使用量が前記した0.01質量部未満であると、十分な架橋結合を形成させることができず、一方20質量部よりも多いと、ゴム用軟化剤(c)のブリードアウト、力学的特性の低下などが生ずる。
また、官能基(II)の当量から架橋剤(dII)の使用量をみると、架橋剤(dII)の使用量は、重合体ブロックAに有する官能基(II)[重合体ブロックBも官能基(II)を有する場合はその合計]1当量に対して、0.1〜100当量の割合であることが好ましく、0.1〜10当量であることがより好ましい。
また、上記した架橋剤(d)と共に、必要に応じて、ベンゾチアジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどの架橋助剤(e)を用いてもよい。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体を含有することができる。含有し得る他の重合体としては、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのポリオキシメチレン系樹脂;スチレン単独重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM);スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴムまたはその水素添加物またはその変性物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加物または変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
なお、他の重合体を含有させる場合、その含有量は、得られる熱可塑性重合体組成物の力学的特性が損なわれない範囲が好ましく、付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量100質量部に対して200質量部以下であるのが好ましい。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラス粉末、金属粉末、カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。無機充填剤を配合する場合、その含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であるのが好ましく、一般的には、熱可塑性重合体組成物100質量部に対して50質量部以下であるのが好ましい。
さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じてα−メチルスチレン樹脂などの補強樹脂、難燃剤、滑剤、光安定剤、顔料、熱安定剤、防曇剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、着色剤などの1種または2種以上を含有することができる。このうち、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系などが挙げられる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、少なくとも重合体ブロックA部分で架橋した付加重合系ブロック共重合体(a)を予め製造し、その架橋した付加重合系ブロック共重合体(a)に対して付加重合系ブロック共重合体(a)、オレフィン系樹脂(b)、必要に応じてゴム用軟化剤(c)、および他の任意添加成分を混合し加熱混練することによっても製造してもよい。
しかしながら、本発明の熱可塑性重合体組成物は、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上および共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、かつ重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種を有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(a)(架橋前の付加重合系ブロック共重合体)に対して、付加重合系ブロック共重合体(a)、オレフィン系樹脂(b)、必要に応じてゴム用軟化剤(c)、および他の任意添加成分を混合し、かかる混合物に架橋剤(d)および/または架橋助剤(e)を混合した混合物を溶融条件下に動的架橋する方法によって製造することが好ましい。かかる方法を採用することによって、各成分が均一に混合され、しかも重合体ブロックAに有する構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種の部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)を含有する本発明の熱可塑性重合体組成物を円滑に製造することができる。
ここで、本明細書において「溶融条件下に動的架橋する」とは、溶融状態にした前記混合物に混練によって剪断応力をかけながら架橋することを意味する。
本発明の熱可塑性重合体組成物の製造方法としては、通常の樹脂組成物の製造あるいは重合体組成物の製造に際して用いられる方法が採用できる。すなわち、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、各種ニーダーなどの溶融混練機を用いて、付加重合系ブロック共重合体(a)(架橋前の付加重合系ブロック共重合体)、付加重合系ブロック共重合体(a)、ポリオレフィン系樹脂(b)、必要に応じてゴム用軟化剤(c)、および他の任意添加成分を混合し、かかる混合物に架橋剤(d)および/または架橋助剤(e)を混合した混合物を溶融条件下に動的架橋する方法によって製造することができる。このときの温度は150〜250℃の範囲であるのが好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、プレス成形、カレンダー成形などの従来公知の方法を用いて、シート、フィルム、チューブ、中空成形体、型成形体、その他の各種成形体に成形することができる。また、二色成形法により他の部材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系エラストマー、ABS樹脂、ポリアミドなどの高分子材料、金属、木材、布など)と複合化することもできる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、自動車用内外装材部品、エンジンルーム内のチューブ、ホース類、電気・電子機器部品などの配線に用いられる電線用被覆材、電源コード、プラグ、アダプターなどの電気絶縁部品の被覆材;家屋、マンションなどのフローリングやビルなどの床面に敷く保護用のフロアーシート、テントシートなどのシート;ドア材、窓枠のシール材、べランダの目隠し板などの建築用材料;車両用内装材料などとして用いられる積層構造体;などとして有効に使用することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において得られた熱可塑性重合体組成物の評価は次のようにして行った。
〔1〕硬度(JIS−A)
実施例または比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を230℃で射出成形することによって長さ110mm×幅110mm×厚さ2mmのシートを得た。このシートを6枚重ねて厚さ12mmとし、JIS K 6253に準じてA硬度を測定した。
〔2〕圧縮永久歪み
実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を230℃で射出成形することによって長さ150mm×幅150mm×厚さ2mmのシートを得た。このシートを6枚重ねて長さ150mm×幅150mmの枠内に入れ、200℃で5分間プレスし、次いでJIS K 6262に準じて試験片を得、120℃の温度条件下、圧縮変形量25%で22時間放置した後の圧縮永久歪みを測定した。この値が小さいほど高温での歪み回復性に優れる。
〔3〕引裂強度
実施例および比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を230℃で射出成形することによって長さ110mm×幅110mm×厚さ2mmのシートを得た。このシートを用いて、JIS K 6252に準じて、切込み無しアングル型の試験片を作製し、23℃、試験つかみ具の移動速度500mm/分で引裂試験を行い、引裂強度を測定した。
〔4〕耐油性
実施例および比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を230℃で射出成形することによって長さ110mm×幅110mm×厚さ2mmのシートを得た。このシートを用いて長さ40mm×幅20mm×厚さ2mmの試験片を作製し、ゴム加工油(日本サン石油(株)製 SUNOCOゴム加工油 IRM903)に、100℃、70時間浸漬し、下式にしたがって試験片の質量変化率を測定し、耐油性の指標とした。
質量変化率(%)=100×(A−A)/A
:試験前の試験片の質量(g)
:試験後の試験片の質量(g)
また、以下の実施例または比較例で用いた付加重合系ブロック共重合体(a)、付加重合系ブロック共重合体(a)、ポリオレフィン樹脂(b)、ゴム用軟化剤(c)、架橋剤(d)および架橋助剤(e)の内容は下記のとおりである。
付加重合系ブロック共重合体(a
参考例1
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを30kg、sec−ブチルリチウム20ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)およびp−メチルスチレン/スチレン=50/50(質量比)で混合した混合物600gを加え、50℃で120分間重合し、次いでイソプレン/ブタジエン=50/50(質量比)で混合した混合物2800gを加えて、同温度で120分間重合した。その後、さらにp−メチルスチレン/スチレン=50/50(質量比)で混合した混合物600gを加えて同温度で120分間重合することでポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。該トリブロック共重合体を含む反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)30gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)200gを加えて調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素圧力で5時間水素添加反応を行い、上記したポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体の水素添加物[以下、付加重合系ブロック共重合体(a−1)と称する]を得た。得られた付加重合系ブロック共重合体(a−1)の数平均分子量は260000;ポリ(p−メチルスチレン)ブロックの割合は35質量%;ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率は99%であった。
参考例2
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン30kg、sec−ブチルリチウム20ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)およびp−メチルスチレン700gを加え、50℃で120分間重合し、次いでテトラヒドロフラン63gおよびブタジエン2600gを加えて120分間重合した。その後、さらにp−メチルスチレン700gを加え、120分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止し、ポリ(p−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)トリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られた反応混合液に、オクチル酸ニッケルとトリイソプロピルアルミニウムより別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下において5時間水素添加反応を行い、ポリ(p−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)トリブロック共重合体の水素添加物[以下、これをブロック共重合体(a−2)と称する]を得た。得られたブロック共重合体(a−2)の数平均分子量(Mn)は260000;ポリ(p−メチルスチレン)ブロックの割合は35質量%;ポリブタジエンブロックの水素添加率は99モル%であった。
参考例3
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン30kg、テトラヒドロフラン64g、ブタジエン3300gおよび2官能開始剤としてジリチオポリブタジエン58gを加え、50℃で120分間重合した後、スチレン1440gを添加し、50℃で60分間重合した。次に、エチレンオキサイドを12g加えた後、メタノールを添加し重合を停止して、両末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られた反応混合液に、オクチル酸ニッケルとトリイソプロピルアルミニウムより別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下において5時間水素添加反応を行い、両末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物[以下、これをブロック共重合体(a−3)と称する]を得た。得られたブロック共重合体(a−3)のMnは200000;水酸基含有量=1.7個/1分子;ポリスチレンブロックの割合は30質量%;ポリブタジエンブロックの水素添加率は99モル%であった。
付加重合系ブロック共重合体(a
参考例4
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン30kg、sec−ブチルリチウム80ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)およびスチレン860gを加え、50℃で30分間重合し、次いでテトラメチルエチレンジアミンを50g加えた後、イソプレン6.8kgを加えて30分間重合した。その後、さらにスチレン860gを加えて30分間重合した後、メタノールを添加し重合を停止し、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。[以下、これをブロック共重合体(a−1)と称する]を得た。得られたブロック共重合体(a−1)のMnは136000;ポリスチレンブロックの割合は20質量%、ポリイソプレンブロックの1,2−結合量と3,4−結合量の合計は65モル%であった。
参考例5
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン30kg、sec−ブチルリチウム80ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)およびスチレン860gを加え、50℃で30分間重合し、次いでテトラヒドロフランを170g加えた後、イソプレン6.8kgを加えて30分間重合した。その後、さらにスチレン860gを加えて30分間重合した後、メタノールを添加し重合を停止し、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。[以下、これをブロック共重合体(a−2)と称する]を得た。得られたブロック共重合体(a−2)のMnは132000;ポリスチレンブロックの割合は20質量%、ポリイソプレンブロックの1,2−結合量と3,4−結合量の合計は55モル%であった。
参考例6
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン30kg、sec−ブチルリチウム80ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)およびスチレン860g加え、50℃で30分間重合し、次いでテトラヒドロフランを170g加えた後、ブタジエン6.8kg加えて30分間重合した。その後、さらにスチレン860gを加えて30分間重合した後、メタノールを添加し重合を停止し、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。[以下、これをブロック共重合体(a−3)と称する]を得た。得られたブロック共重合体(a−3)の数平均分子量(Mn)は132000;ポリスチレンブロックの割合は20質量%、ポリブタジエンブロックの1,2−結合量は55モル%であった。
オレフィン系樹脂(b):
(b)−1:(株)三井住友ポリオレフィン製「グランドポリプロB101」(商品名)、[ポリプロピレン(ホモ重合体)、MFR:1g/10分(230℃、21N)]
ゴム用軟化剤(c):
(c)−1:出光興産(株)製、商品名「PW−380」
[パラフィン系プロセスオイル、動粘度:381.6mm/s(40℃)]
架橋剤(d):
(d)−1:大内新興化学工業(株)製、商品名「バルノックPM」
[N,N’−m−フェニレンビスマレイミド]
(d)−2:日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ25B−40」
[2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン]
(d)−3:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHX」
[ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としてなるイソシアヌレート結合を
有するポリイソシアネート、イソシアネート基数=3個/1分子]
架橋助剤(e):
(e)−1:日本化成(株)製、商品名「TAIC WH−60」
(トリアリルイソシアヌレート)
(e)−2:大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーDM−P」
(ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド)
<実施例1〜7、比較例1〜3>
参考例1〜3で得られたブロック共重合体(a−1)〜(a−3)、参考例4〜6で得られた付加重合系ブロック共重合体(a−1)〜(a−3)、オレフィン系樹脂(b)、ゴム用軟化剤(c)、架橋剤(d)および架橋助剤(e)を、表1および表2に示す配合(全て質量部)で予備混合した後、二軸押出機(テクノベル(株)製)を用い、温度160〜200℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練し、ストランドを押し出し、次いでペレタイザーでストランドをカットすることでペレット状の熱可塑性重合体組成物を得た。得られた熱可塑性重合体組成物のペレットを用いて、上記した方法で各物性評価を行った。結果を表1および表2に示す。
Figure 2005272527
Figure 2005272527
表1、表2の結果から、各実施例で得られた熱可塑性重合体組成物は、比較例に比べて120℃での圧縮永久歪みが小さいことから高温での歪み回復性(耐熱性)に優れ、引裂強度が高く、かつゴム加工油浸漬後の重量変化率が小さいことから耐油性に優れることがわかる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、柔軟性、高温時の歪み回復性(耐熱性)に優れ、かつ成形加工性、耐引裂性および耐油性に優れる。これらの特性を活かして、本発明の熱可塑性重合体組成物は、自動車用内外装材部品、エンジンルーム内のチューブ、ホース類、電気・電子機器部品などの配線に用いられる電線用被覆材、電源コード、プラグ、アダプターなどの電気絶縁部品の被覆材;家屋、マンションなどのフローリングやビルなどの床面に敷く保護用のフロアーシート、テントシートなどのシート;ドア材、窓枠のシール材、べランダの目隠し板などの建築用材料;車両用内装材料などとして用いられる積層構造体;などとして有効に使用することができる。

Claims (8)

  1. 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対し、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で含有する熱可塑性重合体組成物。
  2. 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対し、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で、そしてゴム用軟化剤(c)を300質量部以下の範囲で含有する熱可塑性重合体組成物。
  3. 付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAに、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに基づく構造単位(I)および官能基(II)から選択される構造単位の少なくとも1種を有し、かつ前記構造単位(I)および/または官能基(II)によって少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されている請求項1または請求項2に記載の熱可塑性重合体組成物。
  4. 構造単位(I)がp−メチルスチレンに基づく構造単位であり、官能基(II)が水酸基である請求項3に記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. 付加重合系ブロック共重合体(a)と付加重合系ブロック共重合体(a)の質量比が10:90〜95:5の範囲である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
  6. 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、かつ重合体ブロックAに炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに基づく構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種を有するブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対し、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で、架橋剤(d)を0.01〜20質量部の範囲で含有してなる混合物を、溶融条件下に動的架橋することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
  7. 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、かつ重合体ブロックAに炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに基づく構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種を有するブロック共重合体またはその水素添加物から選ばれる付加重合系ブロック共重合体(a)、および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA’を1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB’を1個以上有するブロック共重合体からなる付加重合系ブロック共重合体(a)の合計量((a)+(a))100質量部に対して、オレフィン系樹脂(b)を10〜300質量部の範囲で、ゴム用軟化剤(c)を300質量部以下の範囲で、架橋剤(d)を0.01〜20質量部の範囲で含有してなる混合物を、溶融条件下に動的架橋することを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物からなる成形体。
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