JP2008248148A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温時の歪み回復性(耐熱性)、押出成形加工性に優れ、表面性に優れた成形品を与える熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】 芳香族ビニル化合物単位から主としてなり、炭素数1〜8のアルキル基がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位(a)を1質量%以上含有する重合体ブロックAと、共役ジエン単位から主としてなる重合体ブロックBとを有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、オレフィン系樹脂(II)10〜300質量部、架橋剤(III)0.01〜20質量部、2個以上のメタクリロイル基とそれ以外の官能基とを有する架橋助剤(IV)0.5〜50質量部並びにゴム用軟化剤(V)0〜300質量部を溶融条件下で熱処理することにより得られる熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物に関する。
近年、ゴム的な軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有する熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療部品、履物、雑貨などの分野で用いられている。熱可塑性エラストマーの中でも、芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物に代表されるスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性、成形加工性などに優れた材料として使用されているが、近年、家電部品、自動車部品、建材部品などの利用分野が拡大するに伴って、耐熱性の向上が求められている。
スチレン系熱可塑性エラストマーを主体とする重合体組成物への耐熱性の付与については、〔1〕芳香族ビニル化合物よりなる重合体ブロックと共役ジエン化合物よりなる重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加物、非芳香族系ゴム用軟化剤、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂および必要に応じて無機充填剤を特定量配合してなる配合物を予め混練した後、有機パーオキサイド、架橋助剤および場合により酸化防止剤を加えて部分架橋するエラストマー状組成物の製造方法が提案され、高温圧縮永久歪みなどの諸物性に優れるエラストマー状組成物が得られること(特許文献1参照);〔2〕芳香族ビニル化合物よりなる重合体ブロックと共役ジエン化合物よりなる重合体ブロックを有し、特定の分子量分布を有するブロック共重合体の水素添加物とゴム用軟化剤の割合が20/80〜80/20(質量比)であって、かかる2成分の合計量100質量部に対してオレフィン系重合体を特定量配合してなる混合物を架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られる熱可塑性エラストマー組成物(特許文献2参照);が知られている。しかし、これらの組成物においては、ブロック共重合体の水素添加物の共役ジエン化合物重合体ブロックからなるソフトセグメントのみが架橋されているために、100℃以上におけるゴム弾性(圧縮永久歪み)が不十分であり、加硫ゴムを用いて達成されるレベルには到達していない。
上記した100℃以上における圧縮永久歪み(ゴム弾性)の改善を目的として、〔3〕芳香族ビニル化合物重合体ブロックを1個以上および共役ジエン化合物重合体ブロックを1個以上有するブロック共重合体において、少なくともハードセグメントをなす芳香族ビニル化合物重合体ブロック部分で架橋された特定の架橋構造を有するブロック共重合体またはその水素添加物、ポリオレフィン、および場合によりゴム用軟化剤を特定量配合した熱可塑性エラストマー組成物が提案され、かかる熱可塑性エラストマー組成物は高温での歪み回復性(耐熱性)に優れることが開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この熱可塑性エラストマー組成物において、耐熱性を付与するために架橋した場合、架橋ゲルが生成し、押出成形品表面の平滑性に乏しいという問題点を有する。
架橋ゲルを抑制する方法として、〔4〕(a)芳香族ビニル化合物よりなる重合体ブロックと共役ジエン化合物よりなる重合体ブロックを有するブロック共重合体の水素添加物および(b)非芳香族系ゴム用軟化剤、(c)パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体、(d)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体を特定量含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法において、成分(a)及び(b)、成分(c)の少なくとも一部、並びに成分(d)の一部を有機パーオキサイドの存在下にて熱処理して架橋せしめ、ついでこの架橋物と(d)の残部又は(c)及び(d)の残部とを配合し、必要に応じてポリエステル系熱可塑性エラストマー、無機充填剤を任意の段階で配合し、電子供与体成分を有機パーオキサイド存在下での熱処理前又は熱処理中に配合することを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法が提案され、架橋ゲルが抑制され成形体の外観が改良されることが開示されている(特許文献4参照)。しかし、この製造法においては、トルエンやメタノールを加えた混合物を、その沸点以上の温度で混練する必要があり、安全面に問題がある。
特開昭59−131613号公報 特開2000−109640号公報 国際公開第02/090433号パンフレット 特開平8−225713号公報
しかして、本発明の目的は、このような従来の問題点を解決し、高温時の歪み回復性(耐熱性)、押出成形加工性に優れ、表面性に優れた成形品を与える熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明によれば、上記の目的は、
(1) 芳香族ビニル化合物単位から主としてなり、炭素数1〜8のアルキル基がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位(a)を1質量%以上含有する重合体ブロックAと、共役ジエン単位から主としてなる重合体ブロックBとを有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、オレフィン系樹脂(II)10〜300質量部、架橋剤(III)0.01〜20質量部、2個以上のメタクリロイル基とそれ以外の官能基とを有する架橋助剤(IV)0.5〜50質量部並びにゴム用軟化剤(V)0〜300質量部を溶融条件下で熱処理することにより得られる熱可塑性エラストマー組成物;
(2) 架橋助剤(IV)が有するメタクリロイル基以外の官能基がヒドロキシル基である(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物;
(3) 架橋助剤(IV)がグリセロールジメタクリレートである(1)または(2)に記載の熱可塑性エラストマー組成物;
(4) アルキルスチレンに由来する構造単位(a)がp−メチルスチレンに由来する構造単位である(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物;
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品;
を提供することにより達成される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、高温条件下(例えば120℃)での歪み回復性などの耐熱性、成形加工性および得られる成形体の表面性に優れ、種々の用途に有効に使用可能な、良好な表面外観を有する成形体を与えることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(I)は、芳香族ビニル化合物単位から主としてなり、炭素数1〜8のアルキル基がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位(a)を1質量%以上含有する重合体ブロックAと、共役ジエン単位から主としてなる重合体ブロックBを有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体である。
重合体ブロックAにおいて、上記の構造単位(a)を与えるアルキルスチレンとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8であるo−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、2,4,6−トリアルキルスチレン、前記したアルキルスチレンにおけるアルキル基の水素原子の1個または2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキルスチレンなどを挙げることができる。より具体的には、構造単位(a)を与えるアルキルスチレンとしては、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチレン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス(クロロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)スチレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチレン、p−ジクロロメチルスチレンなどを挙げることができる。
重合体ブロックAは、構造単位(a)として前記したアルキルスチレンおよびハロゲン化アルキルスチレンのうちの1種または2種以上に由来する単位を有することができる。そのうちでも、構造単位(a)がp−メチルスチレンに由来する構造単位であることが、入手の容易さおよび架橋剤(III)との反応性に優れ、重合体ブロックAに架橋構造を確実に導入できることから好ましい。なお、構造単位(a)のベンゼン環に結合したアルキル基の炭素数が9以上になると、架橋剤(III)との反応性に劣り、架橋構造が形成されにくくなる。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、重合体ブロックAを構成する芳香族ビニル化合物単位として、構造単位(a)以外の他の芳香族ビニル化合物単位を有することができる。構造単位(a)以外の他の芳香族ビニル化合物単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどに由来する構造単位を挙げることができ、これらの1種または2種以上の単位を有することができる。なかでも、他の芳香族ビニル化合物単位としてはスチレンに由来する構造単位が好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)において、重合体ブロックAは熱可塑性エラストマーのハードセグメントに相当し、構造単位(a)におけるベンゼン環に結合したアルキル基は、架橋剤と反応して、重合体ブロックAからなるハードセグメントに架橋を導入する役割を有する。
重合体ブロックAにおける構造単位(a)の割合は、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックAの質量[付加重合系ブロック共重合体(I)が2個以上の重合体ブロックAを有する場合はその合計質量]に対して1質量%以上であり、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。場合によっては、重合体ブロックAを構成する全ての単位が構造単位(a)からなっていてもよい。構造単位(a)の割合が1質量%未満であると、重合体ブロックAに架橋が充分に導入されず、得られる熱可塑性エラストマー組成物において耐熱性(例えば高温(120℃)での圧縮永久歪み)が劣ったものになり易い。重合体ブロックAにおける構造単位(a)とそれ以外の芳香族ビニル化合物単位との結合形態は、ランダム状、ブロック状、テーパー状、テーパーブロック状などのいずれの形態であってもよい。
重合体ブロックAは、構造単位(a)を含有する上記した芳香族ビニル化合物単位と共に、必要に応じて他の重合性単量体に由来する構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体に由来する構造単位の割合は、重合体ブロックAの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどを挙げることができる。これら他の重合性単量体の結合形態は、ランダム状、ブロック状、テーパー状、テーパーブロック状などのいずれの形態であってもよい。
次に、付加重合系ブロック共重合体(I)において、重合体ブロックBを構成する共役ジエンとしては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができる。重合体ブロックBは、これらの共役ジエンの1種のみから構成されていても、2種以上から構成されていてもよく、中でもブタジエン、イソプレン、またはブタジエンとイソプレンの混合物に由来する構造単位から構成されているのが好ましい。なお、重合体ブロックBのミクロ構造の種類および含有量に特に制限はない。また、重合体ブロックBが2種以上の共役ジエンに由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、ブロック、テーパード状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
重合体ブロックBは、共役ジエンに由来する構造単位とともに、必要に応じて他の重合性単量体に由来する構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体の割合は、付加重合系ブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックBの合計質量に基づいて30質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、構造単位(a)を与える前記したアルキルスチレン(好適にはp−メチルスチレン)などを挙げることができる。
重合体ブロックBは、イソプレン単位からなるポリイソプレンブロックまたは該イソプレン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック;ブタジエン単位からなるポリブタジエンブロックまたは該ブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック;或いはイソプレン単位とブタジエン単位からなるイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックまたは該イソプレン単位およびブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加されたイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックであることが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の耐候性、耐熱性などの点から好ましい。
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したポリイソプレンブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH−C(CH)=CH−CH−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(CH)=CH)−CH−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH)(CH=CH)−CH−;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、各単位の割合は特に限定されない。
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したポリブタジエンブロックでは、その水素添加前には、そのブタジエン単位の70〜20モル%、特に65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH−CH=CH−CH−;1,4−結合のブタジエン単位)であり、30〜80モル%、特に35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH−;1,2−結合のブタジエン単位]であるのが好ましい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合量が上記した70〜20モル%の範囲内であると、ゴム弾性が良好になる。
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなっており、またブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジイル基およびビニルエチレン基からなっており、各単位の割合は特に制限されない。イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、イソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム、ブロック、テーパード状のいずれの形態になっていてもよい。そして、イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、ゴム弾性の改善効果の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が10:90〜90:10であるのが好ましく、30:70〜70:30であるのがより好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)を含有する熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、付加重合系ブロック共重合体(I)の重合体ブロックBにおける炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加されているのが好ましい。その際の共役ジエン単位からなる重合体ブロックBの水添率は60モル%以上であるのが好ましく、80モル%以上であるのがより好ましく、95モル%以上であるのがさらに好ましい。なお、重合体ブロックBの共役ジエン化合物単位に基づく炭素−炭素二重結合の水素添加率は、ヨウ素化滴定、赤外分光光度計、核磁気共鳴などの測定手段により、水素添加反応前後における重合体ブロックB中の炭素−炭素二重結合の量を測定し、その測定値から算出することができる。とりわけ該水添率が100モル%に近いと、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する際に、重合体ブロックBと架橋剤(III)との反応割合が低減する一方で、重合体ブロックAの有する構造単位(a)と架橋剤(III)との反応が促進されて、ハードセグメントをなす重合体ブロックAに架橋が導入される割合が高くなるので好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、重合体ブロックAと重合体ブロックBとが結合している限りは、その結合形式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組合わさった結合形式のいずれでもよい。それらのうちでも、重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合形式は直鎖状であることが好ましく、その例としては重合体ブロックAをAで、また重合体ブロックBをBで表したときに、A−B−Aで示されるトリブロック共重合体、A−B−A−Bで示されるテトラブロック共重合体、A−B−A−B−Aで示されるペンタブロック共重合体などを挙げることができる。それらのうちでも、トリブロック共重合体(A−B−A)が、付加重合系ブロック共重合体(I)の製造の容易性、柔軟性などの点から好ましく用いられる。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、重合体ブロックAの数平均分子量が2500〜75000、好ましくは5000〜50000の範囲内にあり、重合体ブロックBの数平均分子量が10000〜400000、好ましくは30000〜350000の範囲内にあり、付加重合系ブロック共重合体(I)全体の数平均分子量が12500〜2000000、好ましくは50000〜1000000の範囲内にあることが、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学的特性、成形加工性などの点から好適である。なお、本明細書でいう数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値をいう。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成するオレフィン系樹脂(II)としては、例えばエチレン系重合体、プロピレン系重合体、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。エチレン系重合体としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレンの単独重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。プロピレン系重合体としては、例えばプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体などが挙げられる。これらの中でも、成形加工性の点から、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体;プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などのプロピレン系重合体が好ましく、プロピレン系重合体がより好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物におけるオレフィン系樹脂(II)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して10〜300質量部の範囲内であり、15〜200質量部の範囲内が好ましく、20〜100質量部の範囲内がより好ましい。付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対するオレフィン系樹脂(II)の割合が10質量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性が乏しくなり、一方300質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、ゴム弾性が低下する。
本発明における架橋剤(III)としては、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得る際の溶融条件下での熱処理中に、付加重合系ブロック共重合体(I)の重合体ブロックAに存在する構造単位(a)に作用してその部分で重合体ブロックAに架橋を形成させ得る架橋剤が用いられる。かかる熱処理時の条件(例えば処理温度や処理時間など)に応じて、反応性などを考慮して適当な架橋剤を選択することができ、中でも有機過酸化物の1種または2種以上が架橋剤(III)として好ましく用いられる。
架橋剤(III)としては、例えばジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。これらのうちでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシドが反応性の点から好ましく用いられる。
架橋剤(III)の使用量は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲内であり、0.01〜5質量部の範囲内が好ましい。架橋剤(III)の使用量が前記した0.01質量部未満であると、十分な架橋結合を形成させることができず、一方20質量部よりも多いと、ゴム用軟化剤(V)のブリードアウト、力学的特性の低下などが生ずる。
本発明においては、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、2個以上のメタクリロイル基とそれ以外の官能基とを有する架橋助剤(IV)を0.5〜50質量部使用する。架橋助剤(IV)をこのような割合で使用することによって、適切な架橋度が得られ、高温での歪み回復性、ゴム的特性、押出成形性に優れ、表面性に優れた成形体を与える熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、架橋助剤(IV)の使用量が0.5質量部未満であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の架橋度が不十分となり、高温での歪み回復性などが劣り、50質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟なゴム的特性が不足する。架橋助剤(IV)の使用量は、成形加工性、柔軟性などの点から、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、0.5〜20質量部の範囲内が好ましく、1〜15質量部の範囲内がより好ましい。
架橋助剤(IV)が有するメタクリロイル基以外の官能基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、フルオロ基、シリル基などが挙げられ、入手の容易性の点からヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基が好ましく、ヒドロキシル基がより好ましい。架橋助剤(IV)としては、高温での歪み回復性、成形品の表面性の観点から、3価以上のアルコールの部分メタクリル酸エステルが好ましく用いられ、3価以上のアルコールとしては、グリセリン(グリセロール)、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールなどの炭素数3〜12の3価以上のアルコールを挙げることができる。
架橋助剤(IV)としては、例えば、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンジメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、セリノールジメタクリレート、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、3−アミノ−1,2−プロパンジオールジメタクリレート、1−オキシラニル−1,2−エタンジオールジメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエタン−1,1−ジオールジメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−プロパンジオールジメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオールジメタクリレート、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シランジオールジメタクリレートなどが挙げられる。これらのうちでも、高温での歪み回復性、成形品の表面性の観点から、グリセロールジメタクリレートが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じてゴム用軟化剤(V)を含有することができる。ゴム用軟化剤(V)としては、パラフィン系、ナフテン系のプロセスオイル等の石油系軟化剤;流動パラフィン;落花生油、ロジン等の植物油系軟化剤;エチレン−α−オレフィンオリゴマー、液状ポリブテン、低分子量ポリブタジエン等の合成軟化剤などが挙げられる。ゴム用軟化剤(V)としては、特に40℃における動粘度が20〜800mm/sである軟化剤、中でもパラフィン系オイルが好ましい。これらのゴム用軟化剤(V)は1種を単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。本発明に好適に用いることのできるゴム用軟化剤(V)として、例えば出光興産(株)が上市している商品名「ダイアナプロセスオイル」シリーズにおけるパラフィン系プロセスオイルなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物におけるゴム用軟化剤(V)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して0〜300質量部の範囲内であり、30〜250質量部の範囲内が好ましく、50〜200質量部の範囲内がより好ましい。ゴム用軟化剤(V)の含有量が付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して300質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学的特性が低下するほか、かかる熱可塑性エラストマー組成物より得られる成形体からのゴム用軟化剤(V)のブリードアウトが顕著となる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体を含有することができる。含有し得る他の重合体としては、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;スチレン単独重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM);スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴムまたはその水素添加物またはその変性物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加物または変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの他の重合体の含有量は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の力学的特性が損なわれない範囲が好ましく、付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して200質量部以下であるのが好ましい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラス粉末、金属粉末、カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。無機充填剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲、一般的には熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して50質量部以下であるのが好ましい。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じてα−メチルスチレン樹脂などの補強樹脂、難燃剤、滑剤、光安定剤、顔料、熱安定剤、防曇剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、着色剤などの1種または2種以上を含有することができる。このうち、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系の酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記した付加重合系ブロック共重合体(I)、オレフィン系樹脂(II)、架橋剤(III)、架橋助剤(IV)および場合によりゴム用軟化剤(V)、さらに必要に応じて他の成分を一括して一段の工程で溶融条件下で熱処理する方法;付加重合系ブロック共重合体(I)、オレフィン系樹脂(II)、架橋助剤(IV)、場合によりゴム用軟化剤(V)、さらに必要に応じて他の成分の全部を溶融条件下で混練した後、架橋剤(III)を加えて溶融条件下で熱処理する方法などによって製造することができる。
本発明における溶融条件下で熱処理する方法としては、少なくともオレフィン系樹脂(II)が溶融する条件で上記の成分を加熱する方法であれば特に制限はないが、当該溶融する条件で上記の成分を混練によって剪断応力をかけながら加熱する方法が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造するための、溶融条件下で熱処理する装置としては、各成分を均一に混合し得る溶融混練装置のいずれもが使用でき、例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、各種ニーダーなどの溶融混練機が挙げられる。なかでも、混練中の剪断力が大きいため微細かつ均一に分散させることができ、連続運転が可能な点から二軸押出機を使用するのが好ましい。
何ら限定されるものではないが、一軸押出機あるいは二軸押出機を使用して本発明の熱可塑性エラストマ-組成物を製造する場合、1台の押出機を使用しても、各成分をより分散させるために2台以上の押出機を使用して段階的に順次熱処理(好ましくは溶融混練)してもよい。熱処理温度は、少なくともオレフィン系樹脂(II)が溶融し、付加重合系ブロック共重合体(I)と架橋剤(III)が反応する温度の範囲内で適宜選択でき、通常140〜270℃の範囲内が好ましく、160〜240℃の範囲内がより好ましい。熱処理時間は30秒〜5分間であるのが好ましく、45秒〜3分間であるのがより好ましい。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性を有しており、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形などの公知の方法により成形することが可能である。また、二色成形法により他の部材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系エラストマー、ABS樹脂、ポリアミドなどの高分子材料、金属、木材、布など)と複合化することもできる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において得られた熱可塑性エラストマー組成物の評価は次のようにして行なった。
〔1〕硬度(JIS−A)
実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を230℃で射出成形することによって長さ110mm×幅110mm×厚さ2mmのシートを得た。このシートを6枚重ねて厚さ12mmとし、JIS K 6253に準じてA硬度を測定した。
〔2〕圧縮永久歪み
実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を230℃で射出成形することによって長さ110mm×幅110mm×厚さ2mmのシートを得た。このシートを6枚重ねてφ29mm×12.5mmの枠内に入れ、200℃で5分間プレスし、次いでJIS K 6262に準じて、120℃および70℃の温度条件下、圧縮変形量25%で22時間放置した後の圧縮永久歪みを測定した。この値が小さいほど高温での歪み回復性に優れる。
〔3〕成形品の外観(表面性)
以下の実施例および比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を、幅30mm×厚さ2.2mmのスリットダイを出口部分に取り付けた40φ単軸押出機を用いて、180℃の温度条件下で押出成形してリボン状成形体を得、そのときの成形体の表面性を目視により以下の基準で評価した。
○:表面が滑らかである
×:表面がザラザラしている
〔4〕成形品のベタつき
以下の実施例および比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物を、幅30mm×厚さ2.2mmのスリットダイを出口部分に取り付けた40φ単軸押出機を用いて、180℃の温度条件下で押出成形してリボン状成形体を得、そのときの成形体表面のベタつきを以下の基準で評価した。
○:低分子量物のブリードやブルームが見られず、手で触れてもベタつきがない
×:低分子量物のブリードやブルームが見られる、または手で触れるとベタつきがある
また、以下の実施例または比較例で用いた付加重合系ブロック共重合体、オレフィン系樹脂、架橋剤および架橋助剤、ゴム用軟化剤の内容は下記のとおりである。
製造例1:付加重合系ブロック共重合体(I)
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン30kg、sec−ブチルリチウム14ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)およびp−メチルスチレン/スチレン=30/70(質量比)の混合物778gを加え、50℃で120分間重合し、次いでイソプレン/ブタジエン=60/40(質量比)の混合物3630gを加えて120分間重合した。その後、さらにp−メチルスチレン/スチレン=30/70(質量比)の混合物778gを加え、120分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止し、ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られた反応混合液に、オクチル酸ニッケルとトリイソプロピルアルミニウムより調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下において5時間水素添加反応を行い、ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体の水素添加物[以下、付加重合系ブロック共重合体(I)と称する]を得た。得られた付加重合系ブロック共重合体(I)のMnは360000、各重合体ブロックの割合は15/70/15(質量比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率は99モル%であった。
製造例2:付加重合系ブロック共重合体(1)
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサンを30kgおよびsec−ブチルリチウムの1.3Mシクロヘキサン溶液を20ml加え、この溶液にスチレン778gを30分かけて加えて50℃で120分間重合し、イソプレン/ブタジエン=60/40(質量比)の混合物3630gを60分かけて加えて、同温度で120分間重合し、さらにスチレン778gを30分かけて加えて同温度で120分間重合することでポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。オクチル酸ニッケルとトリイソプロピルアルミニウムより調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下において5時間水素添加反応を行い、上記したポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物[以下、付加重合系ブロック共重合体(1)と称する]を得た。得られた付加重合系ブロック共重合体(1)のMnは360000、各重合体ブロックの割合は15/70/15(質量比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率は99モル%であった。
オレフィン系樹脂:
(II):単独重合ポリプロピレン(ホモ重合体)[(株)プライムポリマー製、商品名「プライムポリプロE111G」、MFR:0.5g/10分(230℃、21N)]
架橋剤:
(III): 2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン[日本油脂(株)製、商品名「パーヘキサ25B−40」]
架橋助剤:
(IV):グリセロールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステル 701」]
(1):トリメチロールプロパントリメタクリレート[新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステル TMPT」]
(2):トリアリルイソシアヌレート[日本化成(株)製、商品名「TAIC WH−60」]
(3):ヘキサンジオールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステル HD−N」]
(4):ポリエチレングリコールジメタクリレート(n=1)[新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステル 1G」]
(5):ポリエチレングリコールジメタクリレート(n=2)[新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステル 2G」]
(6):ポリエチレングリコールジメタクリレート(n=3)[新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステル 3G」]
ゴム用軟化剤:
(V)−1:パラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名「PW−380」、動粘度:381.6mm/s(40℃)]
(V)−2:パラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名「PW−90」、動粘度:95.54mm/s(40℃)]
滑剤:
不飽和脂肪酸アマイド[日本化成(株)製、商品名「ダイヤミッドO−200」]
実施例1〜4、比較例1〜7
(1)製造例1または2で製造した付加重合系ブロック共重合体、オレフィン系樹脂、架橋剤、架橋助剤およびゴム用軟化剤を、下記の表1または表2に示す割合(全て質量部)でそれぞれ予備混合した後、一括して二軸押出機[(株)日本製鋼所製]に供給して温度160〜200℃、回転数300rpmで1分間溶融混練し、ホットカットすることによって、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
(2)上記(1)で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、射出成形機(東芝機械社製「IS−55EPN」、型締圧55×10kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度40℃の条件下にて射出成形して、縦×横×厚さ=110mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造した。この成形品について、各物性を上記した方法で測定したところ、下記の表1および表2に示すとおりであった。
Figure 2008248148
Figure 2008248148
表1および2から明らかなとおり、本発明の要件を充足する実施例1〜4の熱可塑性エラストマー組成物は、いずれの硬度においても、70℃および120℃における圧縮永久歪みに優れ、かつ表面性が非常に優れた成形品を与えている。
これに対して、表2の結果から、本発明の要件を充足しない架橋助剤(1)〜(6)を用いた比較例1〜6の場合には、得られた成形品の表面性に劣っていることが分かる。また、付加重合系ブロック共重合体として、アルキルスチレンに由来する構造単位(a)を有しないブロック共重合体(1)を用いた比較例7の場合は、実施例4の場合と比較して特に120℃における圧縮永久歪みが大きく、高温時の歪み回復性に極めて劣っていることが分かる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、高温時の歪み回復性(耐熱性)、押出成形加工性に優れ、表面性に優れた成形品を与えることから、シート、フィルム、板状体、チューブ、ホース、ベルト等の用途;スポーツシューズ、ファッションサンダル等の履物用途;テレビ、ステレオ、掃除機、冷蔵庫等の家電用品用途;建築物の扉、窓枠に使用するシーリング用パッキン等の建材用途;バンパー部品、ボディーパネル、ウェザーストリップ、グロメット等の自動車外装部品用途;はさみ、ドライバー、歯ブラシ、スキーストック等における各種グリップ類などの広範囲の用途に有効に使用することができる。

Claims (5)

  1. 芳香族ビニル化合物単位から主としてなり、炭素数1〜8のアルキル基がベンゼン環に結合したアルキルスチレンに由来する構造単位(a)を1質量%以上含有する重合体ブロックAと、共役ジエン単位から主としてなる重合体ブロックBとを有するブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、オレフィン系樹脂(II)10〜300質量部、架橋剤(III)0.01〜20質量部、2個以上のメタクリロイル基とそれ以外の官能基とを有する架橋助剤(IV)0.5〜50質量部並びにゴム用軟化剤(V)0〜300質量部を溶融条件下で熱処理することにより得られる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 架橋助剤(IV)が有するメタクリロイル基以外の官能基がヒドロキシル基である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 架橋助剤(IV)がグリセロールジメタクリレートである請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. アルキルスチレンに由来する構造単位(a)がp−メチルスチレンに由来する構造単位である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。
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