JP4067935B2 - 熱可塑性発泡体用組成物および発泡体 - Google Patents
熱可塑性発泡体用組成物および発泡体 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた外観と柔軟性を有した熱可塑性発泡体用組成物および該組成物を発泡させてなる発泡体に関する。本発明の熱可塑性発泡体用組成物は良好な柔軟性と耐熱性を有し、該組成物を発泡させてなる発泡体は耐熱性に優れ、種々の用途に有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系熱可塑性エラストマーを含有する組成物を発泡させた場合には、低発泡倍率の発泡体しか得られず、かつ、気泡の均一性および発泡体表面の平滑性も劣るという問題があった。この問題点に対し、特定の溶融張力と溶融延展性を有したスチレン系熱可塑性エラストマーと発泡剤からなる組成物を押出発泡成形してなる押出発泡成形体(特許文献1参照);断熱性、柔軟性を有し発泡性に優れた樹脂組成物(特許文献2参照);スチレン系熱可塑性ブロック共重合体、ポリオクテナマー、および必要に応じてポリオレフィン系エラストマーを含有する樹脂組成物に化学発泡剤を配合してなる、柔軟性、風合いに優れ、成形加工性のよい発泡樹脂組成物(特許文献3参照)などが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−18106号公報
【特許文献2】
特開平8−81590号公報
【特許文献3】
特許第3162498号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の押出発泡成形体、特許文献2の発泡性に優れた樹脂組成物は、いずれも柔軟性において必ずしも満足のいくレベルではない。また、特許文献3の発泡樹脂組成物は未水添系のスチレン系熱可塑性エラストマーを用いており、耐熱性に問題があった。上記発泡体に柔軟性を付与させるためには、スチレン系熱可塑性エラストマーを多く配合する、ゴム用軟化剤を多く配合するなどの方法が考えられるが、それらは発泡性を損なうという問題があった。
しかして、本発明の目的は、スチレン系熱可塑性エラストマーの柔軟性を損なうことなく、かつ耐熱性に優れる熱可塑性発泡体用組成物、および該組成物から得られる発泡体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、
(1)芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(a)、ポリオレフィン系樹脂(b)、ゴム用軟化剤(c)および発泡剤(d)からなる熱可塑性発泡体用組成物;
(2)付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAに、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(I)[以下、これを構造単位(I)と称することがある]および官能基(II)から選択される少なくとも1種を有し、前記構造単位(I)および/または官能基(II)によって少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されている上記(1)の熱可塑性発泡体用組成物;
(3)構造単位(I)がp−メチルスチレンに基づく構造単位であり、官能基(II)が水酸基である上記(2)の熱可塑性発泡体用組成物;
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの熱可塑性発泡体用組成物を発泡剤(d)の分解温度以上の温度で成形してなる熱可塑性発泡体の製造方法;および、
(5)上記(1)〜(3)のいずれかの熱可塑性発泡体用組成物を発泡させてなる発泡体;を提供することにより達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(a)は、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているものである。
【0007】
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックA部分と重合体ブロックB部分の両方で架橋されていてもよいが、重合体ブロックB部分では架橋されておらず重合体ブロックA部分のみで架橋されていることが、ゴム弾性、柔軟性に優れることからより好ましい。
【0008】
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAがハードセグメントを構成し、重合体ブロックBがソフトセグメントを構成している。本発明の熱可塑性発泡体用組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(a)は、ハードセグメントをなす重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)から選ばれる少なくとも1種を有し、構造単位(I)および/または官能基(II)によって少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されている。
【0009】
付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが有しうる構造単位(I)を構成するアルキルスチレンとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8である、o−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、2,4,6−トリアルキルスチレン、前記したアルキルスチレン類におけるアルキル基の水素原子の1個または2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキルスチレン類などを挙げることができる。より具体的には、構造単位(I)を構成するアルキルスチレンとしては、例えばo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチレン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス(クロロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)スチレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチレン、p−ジクロロメチルスチレンなどを挙げることができる。
【0010】
重合体ブロックAは、構造単位(I)として前記したアルキルスチレンおよびハロゲン化アルキルスチレンのうちの1種または2種以上からなる単位を有することができる。それらの中でも、構造単位(I)がp−メチルスチレンに基づく構造単位であることが、後述するビスマレイミド系化合物や有機過酸化物などの架橋剤(e)との反応性に優れ、重合体ブロックAに架橋構造を確実に導入できることから好ましい。なお、構造単位(I)のベンゼン環に結合したアルキル基の炭素数が9以上になると、架橋剤(e)との反応性に劣り、架橋構造が形成されにくくなる。
【0011】
一方、付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが有しうる官能基(II)(架橋前の官能基)としては、例えば、活性水素原子を有する官能基[例えば式:−OH、−SH、−NH2、−NHR、−CONH2、−CONHR、−CONH−、−SO3H、−SO2H、−SOHで表される官能基(式中、Rは炭化水素基を示す)など];窒素原子を有する官能基(例えば式:−NR2、>C=NH、>C=N−、−CN、−NCO、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、−NCS、−CONR2、−CONR−などで表される官能基(式中、Rは炭化水素基を示す)など);カルボニル基またはチオカルボニル基を有する官能基[例えば式:>C=O、>C=S、−CH=O、−CH=S、−COOR、−CSOR(式中、Rは炭化水素基を示す)など];エポキシ基、チオエポキシ基などを挙げることができる。付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAにこれらの官能基の1種または2種以上を有し、その部分で架橋されていることができる。これらの中でも、重合体ブロックAが有してもよい官能基(II)は水酸基(式:−OH)であることが、架橋が形成し易い点から好ましい。
【0012】
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAを構成する芳香族ビニル化合物単位として、構造単位(I)および/または官能基(II)以外の他の芳香族ビニル化合物単位を有することができる。他の芳香族ビニル化合物単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどからなる単位を挙げることができ、これらの1種または2種以上の単位を有することができる。なかでも、他の芳香族ビニル化合物単位としてはスチレンに基づく単位が好ましい。
【0013】
重合体ブロックAが、構造単位(I)および/または官能基(II)と共に他の芳香族ビニル化合物単位を有する場合は、構造単位(I)および/または官能基(II)と他の芳香族ビニル化合物単位の結合形態は、ランダム状、ブロック状、テーパードブロック状などのいずれの形態になっていてもよい。
【0014】
重合体ブロックAは、上記した芳香族ビニル化合物に基づく構造単位と共に、必要に応じて他の重合性単量体に基づく構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体に基づく構造単位の割合は、重合体ブロックAの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテルなどを挙げることができる。これらの他の重合性単量体の結合形態は、ランダム状、ブロック状、テーパードブロック状などのいずれの形態になっていてもよい。
【0015】
付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが構造単位(I)を有し、その部分で架橋されている場合に、重合体ブロックAにおける構造単位(I)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(a)における結合ブロック数、数平均分子量、重合体ブロックAが構造単位(I)のみを有しているか、または構造単位(I)と共に官能基(II)を有しているかなどによって異なり得る。
【0016】
付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAに官能基(II)を持たず、構造単位(I)のみを有し、構造単位(I)部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体またはその水素添加物[以下これを「付加重合系ブロック共重合体(aI)」ということがある]である場合は、重合体ブロックAにおける構造単位(I)の含有割合は、付加重合系ブロック共重合体(aI)を構成する重合体ブロックAの質量[付加重合系ブロック共重合体(aI)が2個以上の重合体ブロックAを有する場合はその合計質量]に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。場合によっては、重合体ブロックAを構成する全ての単位が構造単位(I)からなっていてもよい。重合体ブロックAに構造単位(I)のみを有する付加重合系ブロック共重合体(aI)において、重合体ブロックAの質量に対して構造単位(I)の含有割合が1質量%未満であると、重合体ブロックA部分で架橋が形成されにくくなり、そのような付加重合系ブロック共重合体を含有する熱可塑性発泡体用組成物の高温での圧縮永久歪みが劣ったものになり易い。
【0017】
一方、付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAが官能基(II)を有し、その部分で架橋されている場合に、重合体ブロックAにおける官能基(II)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(a)の結合ブロック数、数平均分子量、重合体ブロックAが官能基(II)のみを有しているかまたは官能基(II)と共に構造単位(I)を有しているかなどによって異なり得る。
【0018】
付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAに構造単位(I)を有さず、官能基(II)のみを有し、官能基(II)部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体またはその水素添加物[以下これを「付加重合系ブロック共重合体(aII)」ということがある]で重合体ブロックBでは架橋されていないものである場合は、付加重合系ブロック共重合体(aII)1分子当たりの官能基(II)の含有量は1.2〜1000個の範囲であることが好ましく、1.6〜200個の範囲であることがより好ましい。
【0019】
また、付加重合系ブロック共重合体(a)が構造単位(I)を持たず、重合体ブロックAおよび重合体ブロックBの両方に官能基(II)を有し、重合体ブロックAと重合体ブロックBの両方で架橋されているものである場合は、付加重合系ブロック共重合体(aII)1分子当たりの官能基(II)の含有量は2.2〜1100個の範囲であることが好ましく、1.6〜230個の範囲であることがより好ましい。その際に、重合体ブロックBでの官能基(II)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(aII)1分子当たり0.5〜30個の範囲であることが好ましい。
【0020】
さらに、付加重合系ブロック共重合体(a)が、同一または相異なる重合体ブロックAに構造単位(I)と官能基(II)の両方を有する場合は、構造単位(I)の含有量が重合体ブロックAの質量に対して1〜90質量%、および官能基(II)の含有量が付加重合系ブロック共重合体(a)1分子当たり1〜1000個の範囲であることが好ましい。
【0021】
付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックA部分における架橋の数(個数)は、付加重合系ブロック共重合体(a)1分子当たり2以上であることが好ましい。重合体ブロックAにおける架橋の数は、重合体ブロックAへの構造単位(I)および/または官能基(II)の導入個数およびそれに対する架橋剤(e)の使用量を調節することによって変えることができる。
【0022】
次に、付加重合系ブロック共重合体(a)において、重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができる。重合体ブロックBは、これらの共役ジエン化合物の1種のみから構成されていてもまたは2種以上から構成されていてもよく、中でもブタジエン、イソプレン、またはブタジエンとイソプレンの混合物から構成されているのが好ましい。重合体ブロックBが2種以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパード、ブロック状、またはそれらの2種以上の組み合わせからなっていることができる。
【0023】
重合体ブロックBは、共役ジエン化合物からなる構造単位とともに、必要に応じて他の重合性単量体からなる構造単位を少量有していてもよい。その場合の他の重合性単量体の割合は、付加重合系ブロック共重合体(a)を構成する重合体ブロックBの合計質量に基づいて30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。その場合の他の重合性単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、構造単位(I)を構成する前記したアルキルスチレン(好適にはp−メチルスチレン)などを挙げることができる。また、重合体ブロックBは、官能基(II)を有していてもよい。
【0024】
重合体ブロックBは、イソプレン単位からなるポリイソプレンブロックまたは該イソプレン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリイソプレンブロック;ブタジエン単位からなるポリブタジエンブロックまたは該ブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加された水添ポリブタジエンブロック;或いはイソプレン単位とブタジエン単位からなるイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックまたは該イソプレン単位およびブタジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加されたイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックであることが、耐候性、耐熱性などの点から好ましい。
【0025】
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したポリイソプレンブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=CH−CH2−;1,4−結合のイソプレン単位]、イソプロペニルエチレン基[−CH(C(CH3)=CH2)−CH2−;3,4−結合のイソプレン単位]および1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3)(CH=CH2)−CH2−;1,2−結合のイソプレン単位]からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなっており、各単位の割合は特に限定されない。
【0026】
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したポリブタジエンブロックでは、その水素添加前には、そのブタジエン単位の70〜20モル%、特に65〜40モル%が2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH2−CH=CH−CH2−;1,4−結合ブタジエン単位)であり、30〜80モル%、特に35〜60モル%がビニルエチレン基[−CH(CH=CH)−CH2−;1,2−結合ブタジエン単位]であることが好ましい。ポリブタジエンブロックにおける1,4−結合量が上記した70〜20モル%の範囲内であると、そのゴム物性が良好になる。
【0027】
重合体ブロックBの構成ブロックとなり得る上記したイソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、その水素添加前には、イソプレンに由来する単位は2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1−メチル−1−ビニルエチレン基からなっており、またブタジエンに由来する単位は2−ブテン−1,4−ジイル基およびビニルエチレン基からなっており、各単位の割合は特に制限されない。イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、イソプレン単位とブタジエン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパードブロック状のいずれの形態になっていてもよい。そして、イソプレンとブタジエンの混合物からなる共重合体ブロックでは、ゴム物性の改善効果の点から、イソプレン単位:ブタジエン単位のモル比が10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
【0028】
付加重合系ブロック共重合体(a)を含有する熱可塑性発泡体用組成物の耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、付加重合系ブロック共重合体(a)の重合体ブロックBにおける炭素−炭素二重結合の一部または全部が水素添加(以下「水添」ということがある)されていることが好ましい。その際の共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックBの水添率は60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。とりわけ該水添率が100モル%に近いと、本発明の熱可塑性発泡体用組成物を製造する際に、重合体ブロックBと架橋剤(e)との反応割合が低減する一方で、重合体ブロックAの有する構造単位(I)および/または官能基(II)の少なくとも1種と架橋剤(e)との反応が促進されて、ハードセグメントをなす重合体ブロックAに架橋が導入される割合が高くなるので好ましい。
【0029】
付加重合系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAにのみ構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種を有し、重合体ブロックBにはそれらのいずれをも有さず、重合体ブロックA部分でのみ架橋されているのが好ましいが、重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種を有すると共に、重合体ブロックBに官能基(II)を有し、重合体ブロックAと重合体ブロックBの両方で架橋されていてもよい。また、重合体ブロックAと重合体ブロックBの両方で架橋されている付加重合系ブロック共重合体(a)では、重合体ブロックBでの架橋は、構造単位(I)および/または官能基(II)以外のもので架橋されていてもよい。
【0030】
構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種を有する重合体ブロックAでは、構造単位(I)および/または官能基(II)は、重合体ブロックAの末端に存在していてもよいし、重合体ブロックAの分子鎖の途中に存在していてもよいし、重合体ブロックAの末端と分子鎖の途中の両方に存在していてもよい。そのため、重合体ブロックAは、重合体ブロックAの末端部分で架橋されていてもよいし、重合体ブロックAの分子鎖の途中で架橋されていてもよいし、または重合体ブロックAの末端と分子鎖の途中の両方で架橋されていてもよい。付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAを1個有するジブロック共重合体(A−B)、重合体ブロックAを1個有するトリブロック共重合体(B−A−B)またはそれらの水素添加物である場合、構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種の単位はその1個の重合体ブロックAに存在し、その部分で架橋が形成されている。
【0031】
また、付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAを2個以上有するトリブロック、テトラブロック以上のマルチブロック共重合体またはそれらの水素添加物である場合は、2個以上の重合体ブロックAのうちの1個にのみ構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種を存在させてその部分で架橋された構造にしてもよいし、或いは2個以上または全部の重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種をそれぞれ存在させて、複数の重合体ブロックA部分で架橋された構造にしてもよい。
【0032】
構造単位(I)および官能基(II)のいずれをも有していない重合体ブロックAをA0、構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種を有する重合体ブロックAをA1、重合体ブロックBをBで表すと、付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAを1個だけ有する前記したジブロック共重合体、トリブロック共重合体またはそれらの水素添加物である場合、付加重合系ブロック共重合体(a)は、少なくとも重合体ブロックA1部分で架橋された、A1−Bで表されるジブロック共重合体であるか、B−A1−Bで表されるトリブロック共重合体であるか、またはその水素添加物である。この場合、付加重合系ブロック共重合体(a)は、耐熱性、ゴム弾性を良好にする点から、重合体ブロックB部分でも架橋されていることが望ましい。
【0033】
また、付加重合系ブロック共重合体(a)が重合体ブロックAを2個以上有するトリブロック以上のマルチブロック共重合体である場合は、例えば、少なくともブロックA1部分で架橋されたA1−B−A0、A1−B−A1、A1−B−A0−B、A1−B−A1−B、A1−A0−B−A0−A1、A0−A1−B−A1−A0、A1−B−A0−B−A1、(A1−B)j(jは3以上の整数を示す)、(A1−B)k−A1(kは2以上の整数を示す)、(B−A1)m−B(mは2以上の整数を示す)、(A1−B)n−X(nは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)などで表される種々のマルチブロック共重合体および/またはその水素添加物などであり、それらのいずれであってもよい。
【0034】
その中でも、付加重合系ブロック共重合体(a)は、少なくともブロックA1部分で架橋されたA1−B−A1で表されるトリブロック共重合体の水素添加物またはA1−A0−B−A0−A1で表されるペンタブロック共重合体の水素添加物、特に、少なくともブロックA1部分が架橋されたA1−B−A1で表されるトリブロック共重合体の水素添加物の架橋物であることが、架橋の導入による物性改善の効果が高く、得られる熱可塑性発泡体用組成物の高温での圧縮永久歪みやゴム的特性が優れたものとなることから好ましい。
【0035】
付加重合系ブロック共重合体(a)における架橋度は、付加重合系ブロック共重合体(a)を含有する本発明の熱可塑性発泡体用組成物の組成、用途などに応じて調整し得るが、一般的には架橋後の付加重合系ブロック共重合体(a)をシクロヘキサンを用いて10時間ソックスレー抽出処理した時に、シクロヘキサンに溶解せずに残留するゲルの質量割合(ゲル分率)が抽出処理前の架橋後の付加重合系ブロック共重合体(a)の質量に対して80%以上となるような架橋度であることが、耐熱性、特に高温での圧縮永久歪みおよび柔軟性に優れる点から好ましい。
【0036】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(a)は、少なくとも重合体ブロックA部分に架橋が形成されているという点で、共役ジエン化合物重合体ブロック部分のみが架橋されている、芳香族ビニル化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックよりなるブロック共重合体の架橋物とは異なっている。本発明の熱可塑性発泡体用組成物では、ハードセグメントをなす重合体ブロックA部分で少なくとも架橋されている付加重合系ブロック共重合体(a)を用いることによって、上記したように、高温での圧縮永久歪みに優れ、しかも柔軟で良好なゴム的性質を有する熱可塑性発泡体用組成物の提供を可能にしたものである。
【0037】
付加重合系ブロック共重合体(a)は、架橋処理前の状態における共重合体[以下、これを付加重合系ブロック共重合体(a0)と称する]として、重合体ブロックAの数平均分子量が2500〜75000、好ましくは5000〜50000の範囲内にあり、重合体ブロックBの数平均分子量が10000〜300000、好ましくは30000〜250000の範囲内にあり、付加重合系ブロック共重合体(a0)全体の数平均分子量が12500〜2000000、好ましくは50000〜1000000の範囲内にあることが、得られる熱可塑性発泡体用組成物の力学的特性、成形加工性などの点から好適である。なお、本明細書でいう数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めた値をいう。
【0038】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物の製造に用いる上記付加重合系ブロック共重合体(a0)は、重合体ブロックAの有する構造単位(I)および/または官能基(II)が架橋されていない付加重合系ブロック共重合体である点を除いては、本発明の熱可塑性発泡体用組成物を構成している上記で説明した架橋後の付加重合系ブロック共重合体(a)とその内容(例えばブロック共重合体を構成する単量体の種類や組成など)において同じである。
【0039】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物の製造に用いる、架橋前の付加重合系ブロック共重合体(a0)の製法は何ら限定されず、重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種を有する付加重合系ブロック共重合体(a0)を製造し得る方法であれば、いずれの方法を採用して製造してもよい。例えば、付加重合系ブロック共重合体(a0)は、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、ラジカル重合法などの公知の重合方法を行うことによって製造することができる。例えば、重合体ブロックAに構造単位(I)を有する付加重合系ブロック共重合体(a0)は、アニオン重合法による場合、アルキルリチウム化合物などを開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの重合反応に不活性な有機溶媒中で、構造単位(I)を構成するアルキルスチレンまたは構造単位(I)を構成するアルキルスチレンとビニル芳香族化合物の混合物、共役ジエン化合物を逐次重合させてブロック共重合体(すなわち未水添の付加重合系ブロック共重合体(a0))を形成する。
【0040】
また、重合体ブロックAに官能基(II)を有する付加重合系ブロック共重合体(a0)は、停止反応、開始反応、官能化モノマーの共重合、高分子反応などを適用することによって製造することができる。例えば、二官能の陰イオン重合開始剤を用いて付加重合系ブロック共重合体を合成した場合、末端処理剤としてオキシラン、カルボニル基、チオカルボニル基、酸無水物、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、エポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基などを有する化合物を用い官能化させることによって重合体ブロックAの末端に官能基(II)を有する付加重合系ブロック共重合体(a0)(すなわち未水添の付加重合系ブロック共重合体(a0))を製造することができる。さらに、重合体ブロックAの分子鎖の途中に官能基(II)を有する付加重合系ブロック共重合体(a0)は、例えばマクロモレキュールズ(Macromolecules)、第28巻、8702頁(1995年)に記載された方法により製造することができる。
なお、付加重合系ブロック共重合体(a0)における官能基(II)の数は、HPLC、NMR、滴定などを用いて算出できる。
【0041】
また、上記で得られた、重合体ブロックAに構造単位(I)および官能基(II)の少なくとも1種を有する付加重合系ブロック共重合体(a0)は、必要に応じてさらに水素添加することができる。かかる水素添加反応は、例えば、該ブロック共重合体をシクロヘキサンなどの飽和炭化水素系溶媒中で、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒;ニッケル、コバルトなどの第8族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物または有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどの有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒などの水素添加触媒の存在下で、通常、反応温度として20〜100℃の範囲で、水素圧力0.1〜10MPaの範囲の条件下で行うことができ、該ブロック共重合体の水素添加物(すなわち、水素添加されている付加重合系ブロック共重合体(a0))を得ることができる。
【0042】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物を構成するポリオレフィン系樹脂(b)としては、例えばエチレン系重合体、プロピレン系重合体、ポリ(1−ブテン)およびポリ(4−メチル−1−ペンテン)などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
エチレン系重合体としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのエチレンの単独重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのエチレン共重合体を挙げられる。プロピレン系重合体としては、例えばプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合体などを挙げられる。これらの中でも、成形加工性の点から、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体;プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体などのプロピレン系重合体が好ましく、プロピレン系重合体を用いるのがより好ましい。
【0043】
また、異種のポリマーを程よく分散させる役割を果たす点から好ましいポリオレフィン系樹脂(b)として、メタロセン触媒を用いて製造された均質なポリエチレン、例えば日本ポリケム(株)が上市している商品名「カーネルKS560」が挙げられる。さらに、発泡シートにおける均一なセルを得るため、独自のレオロジー特性を持つ高溶融張力ポリプロピレンも好適に用いることができる。このような高溶融張力ポリプロピレンとしては、例えばモンテル(株)が上市している商品名「HMS−PP(High Melt Strength−PP)」が挙げられる。
【0044】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物を構成するゴム用軟化剤(c)は、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のプロセスオイルなどの石油系軟化剤、パラフィン、落花生油、ロジンなどの植物油系軟化剤などが挙げられる。特に40℃における動粘度が20〜800mm2/sである軟化剤、中でもパラフィン系オイルであることが望ましい。これらの軟化剤は1種を単独で、或いは2種以上混合して用いることができる。本発明に好適に用いることのできるゴム用軟化剤(c)としては、例えば出光興産(株)が上市している商品名「ダイアナプロセスオイル」シリーズにおけるパラフィン系オイルなどが挙げられる。ゴム用軟化剤(c)の配合割合は、付加重合系ブロック共重合体(a)100質量部に対して20〜500質量部の範囲であるのが好ましく、50〜400質量部の範囲であるのがより好ましい。ゴム用軟化剤(c)の配合割合が前記した500質量部を超えると、ゴム用軟化剤(c)のブリードアウト、および熱可塑性発泡体用組成物およびそれからなる成形品の力学物性が低下する傾向にある。一方、20質量部以下では、熱可塑性発泡体用組成物から得られる発泡体の柔軟性が不足する傾向になる。
【0045】
本発明で使用する発泡剤(d)は、熱によって分解し不活性ガスを発生するものであれば、無機系分散型発泡剤や有機分散型発泡剤などを特に制限なく使用できる。例えば重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、イソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼンなどが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して使用しても何ら差し支えない。発泡剤(d)の使用量は、[付加重合系ブロック共重合体(a0)+ポリオレフィン系樹脂(b)+ゴム用軟化剤(c)]の合計100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.3〜8質量部の範囲であることがより好ましく、最終的に得られる発泡体の発泡状態、風合い、柔軟性などに応じて、発泡剤の量を上記した範囲で適宜調整して用いることができる。さらに、分解温度を調整する発泡助剤や発泡剤を均一に分散させるための分散剤や核剤などを使用してもよい。
【0046】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物を構成する付加重合系ブロック共重合体(a)は、付加重合系ブロック共重合体(a0)に、その少なくとも重合体ブロックA部分で架橋結合を形成させる架橋剤(e)を作用させることにより得られる。架橋剤(e)としては、付加重合系ブロック共重合体(a0)の重合体ブロックAに存在する構造単位(I)に作用して架橋結合を形成させる架橋剤(以下、これを架橋剤(eI)と称する)、または付加重合系ブロック共重合体(a0)の重合体ブロックAもしくは重合体ブロックBに存在する官能基(II)と反応して架橋結合を形成する反応性基を有する架橋剤(以下、これを架橋剤(eII)と称する)が用いられる。
【0047】
架橋剤(eI)としては、後述する溶融条件下での動的な架橋処理中に、付加重合系ブロック共重合体(a0)の重合体ブロックAに存在する構造単位(I)に作用して、その部分で重合体ブロックAに架橋を形成させ得る架橋剤であればよい。動的な架橋処理時の処理条件(例えば処理温度や処理時間など)に応じて、反応性などを考慮して適当な架橋剤(eI)を選択することができ、そのうちでもビスマレイミド系化合物および有機過酸化物の1種または2種以上が架橋剤(eI)として好ましく用いられる。
【0048】
ビスマレイミド系化合物としては、ベンゼン環に結合したアルキル基部分および炭素−炭素二重結合部分で架橋を生じさせ得るビスマレイミド系化合物であればいずれも使用でき、例えばN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレン(1−メチル)ビスマレイミド、N,N’−2,7−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン−4−メチルビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン(4−エチル)ビスマレイミド、トルイレンビスマレイミドなどが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドが反応性の点から好ましい。
【0049】
有機過酸化物としては、例えばジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシドが反応性の点から好ましく用いられる。
【0050】
付加重合系ブロック共重合体(a0)として重合体ブロックBの炭素−炭素二重結合の全部が水添されたものを使用し、架橋剤(eI)としてビスマレイミド系化合物を用いると、付加重合系ブロック共重合体(a0)中の重合体ブロックBでは架橋が行われず、重合体ブロックAに存在する構造単位(I)部分のみ、すなわちハードセグメント部分のみで選択的に架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)が形成される。また、付加重合系ブロック共重合体(a0)として重合体ブロックBに炭素−炭素二重結合が存在するものを使用し、架橋剤(eI)としてビスマレイミド系化合物を用いると、構造単位(I)を有する重合体ブロックA部分および重合体ブロックB部分の両方で架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)が形成される。
【0051】
また、架橋剤(eI)として有機過酸化物を用いると、付加重合系ブロック共重合体(a0)における重合体ブロックBに炭素−炭素二重結合が存在してもまたは存在しなくても、構造単位(I)を有する重合体ブロックA部分および重合体ブロックB部分の両方で架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)が形成される。
【0052】
官能基(II)の種類に対応して用いられる架橋剤(eII)としては、官能基(II)が水酸基(−OH)、−SH、−NH2、−NHR、−CONH2、−CONHR,−CONH−、−SO3H、−SO2H、−SOHなどの活性水素原子を有する官能基である場合は、イソシアネート基を有するモノマー、イソシアネート付加物(脂肪族系、環状基を有する脂肪族系、芳香族系およびビフェニル系イソシアナート付加物など)、ブロックイソシアネートなどのイソシアネート化合物を使用することができ、イソシアネート基を2個以上、特に3個以上有するポリイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするイソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートなどが好ましく用いられる。その際に、官能基(II)とイソシアネート化合物との反応性を高めるために錫系触媒、チタン系触媒などを併用することもできる。
【0053】
官能基(II)が水酸基である場合には、前記したイソシアネート化合物以外にも、例えばポリエポキシ化合物、無水マレイン酸、ピロメリット酸無水物などのようなポリカルボン酸無水物などを架橋剤(eII)として用いることができる。
【0054】
官能基(II)がカルボキシル基である場合には、例えばポリエポキシ化合物、ポリアミンなどを架橋剤(eII)として用いることができる。また、官能基(II)がエポキシ基である場合は、例えばポリカルボン酸、ポリアミンなどを架橋剤(eII)として用いることができる。
【0055】
架橋剤(e)の使用量[架橋剤(eI)と架橋剤(eII)を併用する場合は両者の合計使用量]は、付加重合系ブロック共重合体(a0)100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.01〜10質量部の範囲であることがより好ましい。架橋剤(e)の使用量が前記した0.01質量部未満であると、十分な架橋結合を形成させることができず、一方前記した20質量部よりも多いと、ゴム用軟化剤(c)のブリードアウト、熱可塑性発泡体用組成物およびそれを発泡させてなる発泡体の力学物性の低下などが生ずる。
【0056】
また、官能基(II)の当量から架橋剤(eII)の使用量をみると、架橋剤(eII)の使用量は、重合体ブロックAに有する官能基(II)[重合体ブロックBも官能基(II)を有する場合はその合計]1当量に対して、0.1〜100当量の割合であることが好ましく、0.1〜10当量であることがより好ましい。
【0057】
なお、架橋剤(e)を用いる場合は、それと共に、必要に応じて、ベンゾチアジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物などの架橋促進剤、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能性単量体などの架橋助剤を用いてもよい。
【0058】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体を含有することができる。含有し得る他の重合体としては、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのポリオキシメチレン系樹脂;スチレン単独重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM);スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴムまたはその水素添加物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。
【0059】
他の重合体を含有させる場合、その含有量は、得られる熱可塑性発泡体用組成物の柔軟性、力学物性が損なわれない範囲が好ましく、通常、付加重合系ブロック共重合体(a0)100質量部に対して100質量部以下であるのが好ましく、80質量部以下であるのがより好ましい。
【0060】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物は、必要に応じて滑剤、光安定剤、顔料、熱安定剤、防曇剤、難燃剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系など)などの1種または2種以上を含有することができる。
【0061】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物では、ポリオレフィン系樹脂(b)からなる連続相(マトリックス相)中に、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されている付加重合系ブロック共重合体(a)からなる相、または付加重合系ブロック共重合体(a)とゴム用軟化剤(c)とからなる相が微細に分散している特異なモルフォロジー(分散形態)を形成していることが、該組成物が熱可塑性を示し易いことから好ましい。上記の微分散相の分散粒子径は、直径0.1μm〜30μmの範囲であるのが好ましく、0.1μm〜10μmの範囲であるのがより好ましい。しかしながら、本発明の熱可塑性発泡体用組成物では、微細に分散しているモルフォロジーに限定されず、付加重合系ブロック共重合体(a)とゴム用軟化剤(c)とからなる相と、ポリオレフィン系樹脂(b)からなる相とが共連続相を形成していてもよい。
【0062】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物の調製法は特に制限されないが、好適には付加重合系ブロック共重合体(a0)(架橋前の付加重合系ブロック共重合体)、ポリオレフィン系樹脂(b)、ゴム用軟化剤(c)および架橋剤(e)、さらに必要に応じて上記した他の重合体や添加剤を混合した混合物を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサーなどの公知の混練機を使用して溶融条件下に動的架橋処理する方法によって、付加重合系ブロック共重合体(a0)の少なくとも重合体ブロックA部分に架橋を形成した付加重合系ブロック共重合体(a)を含有する熱可塑性重合体組成物を製造した後、発泡剤(d)をドライブレンドする方法が挙げられる。または、上記した成分と共に発泡剤(d)も混合して、かかる発泡剤(d)の分解温度以下で溶融条件下に動的架橋処理する方法によっても製造することができる。かかる方法を採用することによって、重合体ブロックAに有する構造単位(I)および/または官能基(II)の少なくとも1種の部分で架橋された付加重合系ブロック共重合体(a)を含有する本発明の熱可塑性発泡体用組成物を円滑に製造することができる。
なお、ここで、本明細書における「溶融条件下に動的架橋処理する」とは、溶融状態にした前記混合物に混練によって剪断応力をかけながら架橋することを意味する。
【0063】
付加重合系ブロック共重合体(a0)およびポリオレフィン系樹脂(b)、ゴム用軟化剤(c)、架橋剤(e)を含有する混合物を架橋する場合であっても、ゴムの加硫工程のように、例えばプレス成形機を用いて架橋する様な静的条件下での架橋処理では、ポリオレフィン系樹脂(b)が連続相(マトリックス相)を形成しにくいため、得られる組成物は熱可塑性を示さないものとなり易い。
【0064】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物を用いて発泡体を製造するに当たっては、目的とする発泡体の種類、用途、形状などに応じて一般に用いられている種々の発泡成形法や発泡成形装置を使用することができ、何ら限定されない。例えば、射出成形機を用いて本発明の熱可塑性発泡体用組成物を発泡倍率を考慮した充填率で金型内に高速充填した後、金型内で発泡させて成形する射出発泡成形;押出成形機を用いて、本発明の熱可塑性発泡体用組成物を押出機から出る直前に発泡剤の分解温度以上まで加熱し、押出成形機に取り付けた金型に入ったところで発泡させたり、発泡させずに押出成形した後、得られた成形物を加熱炉などにより発泡剤の分解温度以上まで加熱して発泡させて成形する押出発泡成形;本発明の熱可塑性発泡体用組成物を金枠内に発泡倍率を考慮した充填率で充填し、プレス成形機で加熱することにより金枠内で発泡させて成形するプレス発泡成形などの成形法によって製造することができる。
【0065】
本発明の熱可塑性発泡体用組成物から得られる発泡体は、各種用途に用いることができる。具体的には、柔軟性を有し、ソフトな感触の発泡単層、または、一定の強度を得るための硬質材料を基材として持つ発泡複合成型体の形で用いられ、例えば自動車内装品(シート表皮、ピラー、ウエザーストリップなど)や外装部品(モール、トリムなど)、工業部品(パイプ、チューブ、電線被覆材など)、家具(椅子の座部や肘掛けなど)、雑貨(靴、スリッパなど)、情報機器などの部品や製品に使用することができる。
【0066】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお以下の実施例、比較例、参考例において、熱可塑性発泡体用組成物から得られる発泡体の物性評価は次のようにして行なった。
【0067】
(1)硬度(JIS−A)
実施例または比較例で得られた熱可塑性発泡体用組成物を長さ15cm×幅15cm×厚み2mmの金枠内にあらかじめ発泡倍率を考慮した充填率で充填し、プレス成形機を用いて230℃で4分間加熱プレスすることにより作製した厚さ2mmの発泡体シートを用い、JIS K 6253に準じて、JIS−A硬度を測定した。
【0068】
(2)圧縮永久歪み
実施例または比較例で得られた熱可塑性発泡体用組成物を長さ15cm×幅15cm×厚み2mmの金枠内にあらかじめ発泡倍率を考慮した充填率で充填し、プレス成形機を用いて230℃で4分間加熱プレスすることにより作製した厚さ2mmの発泡体シートを用い、JIS K 6262に準じて温度120℃、圧縮変形量25%の条件下に22時間放置した後の圧縮永久歪みを測定した。
【0069】
(3)発泡倍率
実施例または比較例で得られた熱可塑性発泡体用組成物を長さ15cm×幅15cm×厚み2mmの金枠内にあらかじめ発泡倍率を考慮した充填率で充填し、プレス成形機を用いて230℃で4分間加熱プレスすることにより作製した厚さ2mmの発泡体シートの密度を測定し、発泡剤を加える前の熱可塑性樹脂組成物の密度との比から、発泡倍率を以下の式により算出した。
発泡倍率(倍)=発泡剤を加える前の熱可塑性樹脂組成物の密度/発泡体の密度
【0070】
なお、以下の実施例、比較例で用いたポリオレフィン系樹脂(b)、ゴム用軟化剤(c)、発泡剤(d)、架橋剤(e)および架橋助剤は下記のとおりである。
○ポリオレフィン系樹脂(b−1):
「グランドポリプロB221」(商品名、(株)グランドポリマー製、ポリプロピレン(ランダム共重合体)、メルトフローレート=1g/10分)
○ゴム用軟化剤(c−1):
「ダイアナプロセスPW−380」(商品名、出光興産(株)製、パラフィン系プロセスオイル)
○発泡剤(d−1):
「スパンセルS−619」(商品名、永和化成(株)製、アゾジカルボンアミド/4,4‘−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)系複合発泡剤、分解温度199℃)
○架橋剤(e−1):
「バルノックPM」(商品名、大内新興化学工業(株)製、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド)
○架橋剤(e−2):
「パーヘキサ25B−40」(商品名、日本油脂(株)製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン)
○架橋剤(e−3):
「コロネートHX」(商品名、日本ポリウレタン工業(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としてなるイソシアヌレート結合を有するポリイソシアネート、イソシアネート基数=3個/1分子)
○架橋助剤(1):
「TAIC M−60」(商品名、日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート)
○架橋助剤(2):
「ノクセラーDM−P」(商品名、大内新興化学工業(株)製、ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド)
【0071】
参考例1
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン2700g、p−メチルスチレン/スチレン=40/60(質量比)の混合物70gおよびsec−ブチルリチウム2.52ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)を加え、50℃で120分間重合した後、イソプレン/ブタジエン=60/40(質量比)の混合物を326.6g加え120分間重合し、さらにp−メチルスチレン/スチレン=40/60(質量比)の混合物を70g加えて120分間重合した後、メタノールを添加し重合を停止し、ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られた反応混合液に、オクチル酸ニッケルとトリイソプロピルアルミニウムより別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下において5時間水素添加反応を行い、ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)トリブロック共重合体の水素添加物(以下、ブロック共重合体(a−1)と称する)を得た。得られたブロック共重合体(a−1)の数平均分子量は200000;ポリ(p−メチルスチレン/スチレン)ブロックの割合は30質量%;ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率は99モル%であった。
【0072】
参考例2
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン2700g、テトラヒドロフラン6.4g、ブタジエン331gおよび2官能の重合開始剤としてジリチオポリブタジエン5.8gを加え、50℃で120分間重合し、次いでスチレン144gを添加し、50℃で60分間重合した後、エチレンオキサイドを1.2g加え、最後にメタノールを添加し重合を停止して、両末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られた反応混合液に、オクチル酸ニッケルとトリイソプロピルアルミニウムより別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下において5時間水素添加反応を行い、両末端に水酸基を有するポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、ブロック共重合体(a−2)と称する)を得た。得られたブロック共重合体(a−2)の数平均分子量は200000;水酸基含有量=1.7個/1分子;ポリスチレンブロックの割合は30質量%;ポリブタジエンブロックの水素添加率は99モル%であった。
【0073】
参考例3
撹拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン2700g、スチレン70gおよびsec−ブチルリチウム2.52ml(1.3Mシクロヘキサン溶液)を加え、50℃で120分間重合した後、イソプレン/ブタジエン=60/40(質量比)の混合物を326.6g加え120分間重合し、さらにスチレン70gを加えて120分間重合した後、メタノールを添加して重合を停止し、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られた反応混合液に、オクチル酸ニッケルとトリイソプロピルアルミニウムより別途調製した水素添加触媒を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下において5時間水素添加反応を行い、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、ブロック共重合体(a−3)と称する)を得た。得られたブロック共重合体(a−3)の数平均分子量は203000;ポリスチレンブロックの割合は30質量%;ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックの水素添加率は99モル%であった。
【0074】
〈実施例1〜5、比較例1〜3〉
参考例1〜3で製造したブロック共重合体(a−1)〜(a−3)、ポリオレフィン系樹脂(b−1)〜(b−2)、ゴム用軟化剤(c−1)、架橋剤(e−1)〜(e−2)および架橋助剤(1)〜(2)を、下記の表1に示す割合(質量比)で予備混合した後、ラボプラストミル[東洋精機(株)製]に供給して温度200℃で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ製造し、その密度を測定した。次にラボプラストミルを用いて、前記熱可塑性樹脂組成物に表1に示した量の発泡剤(d−1)を加え、165℃、50rpmで2分間混練して熱可塑性発泡体用組成物を得、得られた熱可塑性発泡体用組成物を長さ15cm×幅15cm×厚み2mmの金枠内にあらかじめ発泡倍率を考慮した充填率で充填し、プレス成形機を用いて230℃で4分間加熱プレスすることにより、発泡体シートを得た。得られた発泡体の物性を表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
表1の実施例、比較例の結果から明らかなように、本発明の熱可塑性発泡体用組成物およびそれから得られる発泡体は、柔軟性を損なうことなく、耐熱性に優れることがわかる。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の発泡体の柔軟性を損なうことなく、耐熱性に優れる熱可塑性発泡体用組成物、および該組成物を発泡させてなる発泡体を得ることができる。
Claims (5)
- 芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックAを1個以上と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを1個以上有し、少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されているブロック共重合体およびその水素添加物から選ばれる少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(a)、ポリオレフィン系樹脂(b)、ゴム用軟化剤(c)および発泡剤(d)からなる熱可塑性発泡体用組成物。
- 付加重合系ブロック共重合体(a)が、重合体ブロックAに、炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン由来構造単位(I)および官能基(II)から選択される少なくとも1種を有し、前記構造単位(I)および/または官能基(II)によって少なくとも重合体ブロックA部分が架橋されている請求項1に記載の熱可塑性発泡体用組成物。
- 構造単位(I)がp−メチルスチレンに基づく構造単位であり、官能基(II)が水酸基である請求項2に記載の熱可塑性発泡体用組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性発泡体用組成物を発泡剤(d)の分解温度以上の温度で成形してなる発泡体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性発泡体用組成物を発泡させてなる発泡体。
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