JP4409235B2 - 難燃性の熱可塑性重合体組成物 - Google Patents
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Description
特開昭52−150464号公報(特許文献1)には、スチレン・共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物に対して特定の物性を有する熱可塑性樹脂をブレンドした組成物が記載されており、この公報にはその組成物が特に導電体およびハンダ付用針金の絶縁体として適すること、および前記熱可塑性樹脂の1種として熱可塑性ポリウレタンを用いることが開示されている。しかしながら、スチレン・共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物と熱可塑性ポリウレタンとは相容性に劣るため、両重合体の特性が十分に発揮されておらず、有用な組成物が得られない。
本願発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、難燃剤を使用することなく十分な難燃性を達成した熱可塑性重合体組成物であって、低硬度で溶融成形性にも優れた熱可塑性重合体組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、(i)芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、(ii)芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック(イ)とポリウレタンブロック(ロ)を有するブロック共重合体(II)、(iii)0.5g/dlの濃度のDMF溶液としウベローデ型粘度計を用いて30℃において測定した流下時間に基づいて算出される下記の対数粘度(η inh )が0.9dl/g以上である熱可塑性ポリウレタン(III)および(iv)パラフィン系オイル(IV)からなり、難燃性がUL94HB級以上である熱可塑性重合体組成物を提供する。
η inh =[ln(t/t 0 )]/c
[式中、tは熱可塑性ポリウレタンのDMF溶液の流下時間(秒)、t 0 はDMFの流下時間(秒)、およびcはDMF溶液中の熱可塑性ポリウレタンの濃度(g/dl)を表す。]
また、本発明で使用するブロック共重合体(II)は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック(イ)とポリウレタンブロック(ロ)を有するブロック共重合体である。
また、トリブロック共重合体の形態は、パラフィン系オイル(IV)の含浸能(保油能)が高く、パラフィン系オイル(IV)の移行を防止する観点からも好ましい。
ポリウレタンブロック(ロ)を構成する高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの高分子ポリオールは1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。高分子ポリオールとしては、これらのうちでも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィン系ポリオールのうちの1種または2種以上が好ましく、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールがより好ましい。
ポリエステルポリオールの製造に用いるポリオール成分としては、ポリエステルの製造において一般的に使用されているもの、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の炭素数2〜15の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジメタノール等の脂環式ジオール;1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジオール;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の1分子当たりの水酸基数が3以上である多価アルコールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールの製造に当たっては、これらのポリオール成分は、1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうちでも、ポリエステルポリオールの製造に当たっては、2−メチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオールなどのメチル基を側鎖として有する炭素数5〜12の脂肪族ジオールをポリオール成分として使用することが好ましい。特にこれらのメチル基を側鎖として有する炭素数5〜12の脂肪族ジオールをポリエステルポリオールの製造に用いる全ポリオール成分の30モル%以上の割合で使用することが好ましく、全ポリオール成分の50モル%以上の割合で使用することがより好ましい。
ポリカーボネートポリオールを構成するポリオール成分としては、ポリエステルポリオールの構成成分として例示したポリオール成分を使用することができる。また、ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを挙げることができ、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネートなどを挙げることができ、ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
なお、本明細書でいう高分子ポリオールの数平均分子量は、JIS K−1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
また、鎖伸長剤として、分岐を分子内に有する数平均分子量が100〜400の脂肪族ジオールを使用すると、常温付近において損失係数の値が大きく、かつ広い温度範囲にわたって大きな損失係数の値を保持する制振性能に優れた熱可塑性重合体組成物が得られる。このような分岐を分子内に有する脂肪族ジオールとしては、メチル基を側鎖として有する炭素数5〜12の脂肪族ジオールが好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)は、例えば、アニオン重合やカチオン重合などのイオン重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法などにより製造することができる。アニオン重合法による場合は、例えば、アルキルリチウム化合物などを重合開始剤として用いて、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量を有するブロック共重合体を製造した後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素含有化合物を添加して重合を停止させることにより製造することができる。そして、得られたブロック共重合体を、好ましくは、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、アルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケル等からなるチーグラー触媒などの水素添加反応触媒の存在下に、反応温度20〜150℃、水素圧力0.1〜15MPaの条件下で水素添加することによって、水素添加物としてもよい。
また、上記において、所望により、水素添加前または水素添加後のブロック共重合体を、無水マレイン酸等によって変性することによって分子内に酸無水物基等の官能基を有する付加重合系ブロック共重合体(I)を製造することもできる。
なお、付加重合系ブロック共重合体(I)としては、市販されているものを使用してもよい。
官能基含有ブロック共重合体が有する官能基としては、有機ジイソシアネート化合物と反応し得る官能基が好ましく、ブロック共重合体(II)の製造に際し、均一なポリウレタン形成反応が行えることから、水酸基がより好ましい。
官能基含有ブロック共重合体としては、市販されているものを使用することも可能である。
また、官能基含有ブロック共重合体の230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は、0.01〜100g/10分の範囲内であることが好ましい。かかるメルトフローレート(MFR)を有する官能基含有ブロック共重合体から調製されるブロック共重合体(II)を使用することにより、柔軟性、力学的性能および溶融成形性などの物性が優れた熱可塑性重合体組成物を得ることができる。官能基含有ブロック共重合体の230℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は、0.05〜80g/10分の範囲内であることがより好ましい。なお、官能基含有ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238に準拠して測定した値である。
[官能基含有ブロック共重合体の重量]:[高分子ポリオールの重量+鎖伸長剤の重量+有機ジイソシアネート化合物の重量]=5:95〜95:5の範囲内であることが好ましく、同重量比が10:90〜90:10の範囲内であることがより好ましく、20:80〜80:20の範囲内であることがさらに好ましく、30:70〜70:30の範囲内であることが特に好ましい。
また、上記(B)の方法によってブロック共重合体(II)を製造する場合、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の反応物と官能基含有ブロック共重合体の割合は、
[官能基含有ブロック共重合体の重量]:[高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の反応物の重量]=5:95〜95:5の範囲内であることが好ましく、同重量比が10:90〜90:10の範囲内であることがより好ましく、20:80〜80:20の範囲内であることがさらに好ましく、30:70〜70:30の範囲内であることが特に好ましい。
また、ウレタン化反応触媒とウレタン化反応触媒失活剤との含有割合は、ウレタン化反応触媒失活剤にリン系化合物を使用する場合は、ウレタン化反応触媒の金属原子1モル当たりに対して、リン系化合物のリン原子として0.1〜500モルの範囲内で使用することがより好ましく、0.2〜200モルの範囲内で使用することがさらに好ましく、0.5〜100モルの範囲内で使用することが最も好ましい。また、ウレタン化反応触媒失活剤にフェノール系化合物を使用する場合は、ウレタン化反応触媒の金属原子1モル当たりに対して、フェノール系化合物の水酸基として1〜5000モルの範囲内で使用することがより好ましく、2〜2000モルの範囲内で使用することがさらに好ましく、5〜1000モルの範囲内で使用することが最も好ましい。
〔1〕官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤を混合して、例えば、40〜100℃に加熱し、得られた混合物に、該混合物における活性水素原子とイソシアネート基のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量で有機ジイソシアネート化合物を添加して短時間撹拌した後、例えば、80〜200℃に加熱する方法。
〔2〕官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を、活性水素原子とイソシアネート基のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量で混合して、例えば、180〜260℃の高温で反応させつつ混練する方法。
〔3〕多軸スクリュー型押出機などの押出機に、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を連続的に供給して、例えば、90〜260℃に加熱し、反応系における活性水素原子とイソシアネート基のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量で官能基含有ブロック共重合体を連続的に供給して、例えば、180〜260℃の高温で連続溶融重合する方法。
〔4〕多軸スクリュー型押出機などの押出機に、官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を、活性水素原子とイソシアネート基のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量で連続的に供給して、例えば、180〜260℃の高温で連続溶融重合する方法。
〔5〕多軸スクリュー型押出機などの押出機に、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を連続的に供給して、例えば、90〜260℃に加熱してポリウレタンを形成した後に、官能基含有ブロック共重合体を混合して、例えば、180〜260℃の高温で連続溶融重合する方法。
〔6〕高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を、例えば、180〜260℃の高温で反応させつつ混練してポリウレタンを形成した後に、官能基含有ブロック共重合体を混合して、例えば、180〜260℃の高温で反応させつつ混練する方法。
〔7〕多軸スクリュー型押出機などの押出機に、官能基含有ブロック共重合体およびポリウレタン(市販品等)を連続的に供給して、例えば、180〜260℃の高温で反応させる方法。
〔8〕官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を、活性水素原子とイソシアネート基のモル比が好ましくは1:0.9〜1.3となる量で、有機溶媒中に加えて有機溶媒中でウレタン化反応を行う方法。
また、ブロック共重合体組成物は、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物から形成されるポリウレタンを含有する場合がある。さらに、ブロック共重合体組成物は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有し、官能基を有しないブロック共重合体(これは、付加重合系ブロック(イ)に相当する重合体である)を含み得る。
なお、本発明では、発明の趣旨を損なわない限り、上記のブロック共重合体組成物をそのまま、熱可塑性重合体組成物の製造に使用してもよい。
熱可塑性ポリウレタン(III)の対数粘度は1.0dl/g以上であることが好ましく、1.1dl/g以上であることがより好ましく、1.2dl/g以上であることがさらに好ましい。
なお、本明細書でいう熱可塑性ポリウレタン(III)の対数粘度は、該熱可塑性ポリウレタン(III)を0.5g/dlの濃度のDMF溶液とし、30℃において測定した流下時間に基づいて算出されるものであり、具体的には、後述する実施例に記載する方法で測定した値を意味する。
熱可塑性ポリウレタン(III)は、ブロック共重合体(II)におけるポリウレタンブロック(ロ)と同様の構造を有していることが好ましい。
熱可塑性ポリウレタン(III)を構成する高分子ポリオールとしては、数平均分子量が500〜10,000の範囲内であるものを使用することが好ましい。かかる数平均分子量を有する高分子ポリオールからなる熱可塑性ポリウレタン(III)を使用することにより、柔軟性、力学的性能および溶融成形性が良好な熱可塑性重合体組成物を得ることができる。熱可塑性ポリウレタン(III)を構成する高分子ポリオールの数平均分子量は、700〜8,000の範囲内であることがより好ましく、800〜5,000の範囲内であることがさらに好ましい。
上記の割合で高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を使用して得られる熱可塑性ポリウレタン(III)を使用することにより、柔軟性、力学的性能および溶融成形性などの種々の特性がより優れた熱可塑性重合体組成物を得ることができる。熱可塑性ポリウレタン(III)における、有機ジイソシアネート化合物由来の窒素原子含有量は、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計重量に基づいて1〜6重量%の範囲内であることがより好ましく、1.3〜5.5重量%の範囲内であることがさらに好ましく、1.6〜5重量%の範囲内であることが特に好ましい。
熱可塑性ポリウレタン(III)を形成するに当たっては、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤が有している活性水素原子1モルに対し、有機ジイソシアネート化合物が有しているイソシアネート基が0.9〜1.3モルとなるような割合で各成分を使用することが好ましい。上記の割合で高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を使用して得られる熱可塑性ポリウレタン(III)を使用することにより、柔軟性、力学的性能および溶融成形性などの種々の特性がより優れた熱可塑性重合体組成物を得ることができる。
[高分子ポリオールのモル数]:[鎖伸長剤のモル数]=1:0.2〜8.0(モル比)、かつ
[高分子ポリオールと鎖伸長剤の合計モル数]:[有機ジイソシアネート化合物のモル数]=1:0.98〜1.04
ウレタン化反応触媒の使用量は、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計重量に基づいて0.1ppm〜0.2重量%の範囲内であることが好ましく、0.5ppm〜0.02重量%の範囲内であることがより好ましく、1ppm〜0.01重量%の範囲内であることがさらに好ましい。
ウレタン化反応触媒は、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物のうち1者または2者以上に含有させておくことができるが、高分子ポリオールに含有させておくことが好ましい。
ウレタン化反応触媒失活剤の使用量は、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計重量に基づいて1ppm〜2重量%の範囲内であることが好ましく、5ppm〜0.2重量%の範囲内であることがより好ましく、10ppm〜0.1重量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記した難燃性を有するものであるために、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタン(III)およびパラフィン系オイル(IV)の重量をそれぞれW1、W2、W3およびW4としたとき、それらが以下の式(1)〜(3)を満足するような割合で組成物中に存在していることが好ましい。
5/100≦W2/W1≦200/100 (1)
100/100≦W3/W1≦300/100 (2)
10/100≦W4/W1≦200/100 (3)
付加重合系ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)の割合は、
10/100≦W2/W1≦180/100 であることがより好ましく、
20/100≦W2/W1≦150/100 であることがさらに好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)と熱可塑性ポリウレタン(III)の割合は、
150/100≦W3/W1≦280/100 であることがより好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)の割合は、
50/100≦W4/W1≦150/100 であることがより好ましい。
また、ウレタン化反応触媒失活剤の含有量は、熱可塑性重合体組成物の重量に基づいて1ppm〜2重量%の範囲内であることが好ましく、5ppm〜0.2重量%の範囲内であることがより好ましく、10ppm〜0.1重量%の範囲内であることがさらに好ましい。
また、ウレタン化反応触媒とウレタン化反応触媒失活剤との含有割合は、ウレタン化反応触媒失活剤としてリン系化合物を使用する場合には、ウレタン化反応触媒の金属原子1モル当たり、リン系化合物のリン原子として0.1〜500モルの範囲内であることが好ましく、0.2〜200モルの範囲内であることがより好ましく、0.5〜100モルの範囲内であることがさらに好ましい。また、ウレタン化反応触媒失活剤としてフェノール系化合物を使用する場合には、ウレタン化反応触媒の金属原子1モル当たり、フェノール系化合物の水酸基として1〜5000モルの範囲内であることが好ましく、2〜2000モルの範囲内であることがより好ましく、5〜1000モルの範囲内であることがさらに好ましい。
オレフィン系重合体(V)の含有量は、付加重合系ブロック共重合体(I)100重量部に対して、200重量部以下の範囲内であることが好ましい。オレフィン系重合体(V)を配合することにより、得られる熱可塑性重合体組成物の機械的強度および溶融成形性をより一層向上させることができる場合がある。
オレフィン系重合体(V)の具体例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレンーα−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。オレフィン系重合体(V)として、前記したオレフィン単独重合体およびオレフィン共重合体の1種または2種以上を使用することができる。
さらに、本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じ、滑剤、顔料、耐衝撃改良剤、加工助剤、結晶核剤、着色剤、難燃剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、光安定剤、耐電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、離型剤、発泡剤、香料などの各種添加剤;各種カップリング剤などの任意の成分を必要に応じて配合することができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、例えば、各構成成分を、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて、通常、150〜220℃の温度で約30秒〜5分間程度溶融混練することによって製造することができる。
所望とする物性を有する熱可塑性重合体組成物が確実に得られることから、150℃以下、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは190℃以下に冷却することなく溶融混練を行うことが望ましい。
溶融混練に際しては、熱可塑性重合体組成物中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度が0.9dl/g以上に維持される条件を採用することが重要である。
〔1〕高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の反応物、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)並びにパラフィン系オイル(IV)を溶融混練する。
〔2〕付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、パラフィン系オイル(IV)、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を溶融混練する。
〔3〕官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を混練してブロック共重合体(II)を含有するブロック共重合体組成物を調製し、次いでパラフィン系オイル(IV)、さらに必要に応じて、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり、高分子ポリオール、鎖伸長剤または有機ジイソシアネート化合物と反応性のある官能基を有しない付加重合系ブロック共重合体を溶融混練によって配合する。
〔4〕高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の反応物と官能基含有ブロック共重合体を混練してブロック共重合体(II)を含有するブロック共重合体組成物を調製し、次いでパラフィン系オイル(IV)、さらに必要に応じて、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり、高分子ポリオール、鎖伸長剤または有機ジイソシアネート化合物と反応性のある官能基を有しない付加重合系ブロック共重合体を溶融混練によって配合する。
〔5〕官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物およびパラフィン系オイル(IV)、さらに必要に応じて、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり、高分子ポリオール、鎖伸長剤または有機ジイソシアネート化合物と反応性のある官能基を有しない付加重合系ブロック共重合体を溶融混練する。
〔6〕高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の反応物、官能基含有ブロック共重合体およびパラフィン系オイル(IV)、さらに必要に応じて、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり、高分子ポリオール、鎖伸長剤または有機ジイソシアネート化合物と反応性のある官能基を有しない付加重合系ブロック共重合体を溶融混練する。
具体例を示せば、以下のとおりである。
(A)高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を反応させて調製した熱可塑性ポリウレタン(III)と付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)およびパラフィン系オイル(IV)を一括して溶融混練する〔手順1〕
(B)付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、パラフィン系オイル(IV)、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を一括して溶融混練する〔手順2〕
(C)ブロック共重合体(II)、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を一括して溶融混練し、次いで、別途溶融混練によって調製した付加重合系ブロック共重合体(I)とパラフィン系オイル(IV)からなる組成物を添加して溶融混練する〔手順3〕
(D)官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物およびパラフィン系オイルを一括して溶融混練する(手順4)。
(E)官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を混練し、得られた組成物にパラフィン系オイルを添加して溶融混練する(手順5)。
(F)高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を混練してポリウレタン形成反応を行い、次いで官能基含有ブロック共重合体を添加して混練し、得られた組成物にパラフィン系オイルを添加して溶融混練する(手順6)。
(G)官能基含有ブロック共重合体、高分子ポリオール、鎖伸長剤およびパラフィン系オイルを溶融混練し、次いで、有機ジイソシアネート化合物を添加して混練する。(手順7)
(H)高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の反応物として予め調製した熱可塑性ポリウレタン、官能基含有ブロック共重合体並びに別途調製した、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックを有するブロック共重合体またはその水素添加物からなり、高分子ポリオール、鎖伸長剤または有機ジイソシアネート化合物と反応性のある官能基を有しない付加重合系ブロック共重合体とパラフィン系オイルからなる組成物を溶融混練する。(手順8)
また、ウレタン化反応触媒失活剤を使用する場合、熱可塑性重合体組成物の物性が所望とする値になった時点で添加することが好ましい。
付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、熱可塑性ポリウレタン(III)およびパラフィン系オイル(IV)を含有する組成物の調製時に配合する場合、オレフィン系重合体(V)、上記した他の熱可塑性重合体、他の樹脂、無機充填剤や他の任意成分は、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)〔あるいは上記のブロック共重合体組成物〕、熱可塑性ポリウレタン(III)およびパラフィン系オイル(IV)とは別個に溶融混練装置に供給して混練してもよいし、付加重合系ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)〔あるいは上記のブロック共重合体組成物〕、熱可塑性ポリウレタン(III)およびパラフィン系オイル(IV)の少なくとも1種に含有させた上で溶融混練装置に供給して混練してもよい。
上記の他の材料としては、本発明の熱可塑性重合体組成物以外の各種熱可塑性樹脂またはその組成物、熱硬化性樹脂、紙、布帛、金属、木材、セラミックスなどを挙げることができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物を使用して得られる積層体では、層の数、各層の厚さ、形状、構造などには特に制限はなく、積層体の用途などに応じて適宜調整することができる。
何ら限定されるものではないが、本発明の熱可塑性重合体組成物を使用して得られる積層体としては、例えば、本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる1つの層と他の材料よりなる1つの層が積層した2層構造体、他の材料よりなる2つの表面層(表裏面層)の間に本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層が中間層として存在する3層構造体、他の材料よりなる1つの層の表裏面に本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層が積層した3層構造体、本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層と他の1種または2種以上の材料よりなる層が交互に4層以上に積層した多層構造体などを挙げることができる。
そして、積層体が他の材料からなる層を2つ以上有する場合は、それぞれの層を構成する他の材料は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、積層体が本発明の熱可塑性重合体組成物よりなる層を2つ以上有する場合は、それぞれの層を構成する熱可塑性重合体組成物は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
前記した成形法のうち、インサート射出成形法による場合は、予め所定の形状および寸法に形成しておいた他の材料を金型内にインサートしておき、そこに本発明の熱可塑性重合体組成物を射出成形して複合成形体を製造する方法が一般に採用される。この場合に、金型内にインサートしておく他の材料の形成方法は特に制限されない。インサートしておく他の材料が合成樹脂やゴム製品である場合は、例えば、射出成形、押出成形とその所定の寸法への切断、プレス成形、注型などのいずれの方法で製造したものであってもよい。また、インサートしておく他の材料が金属材料である場合は、例えば、金属製品を製造する従来汎用の方法(鋳造、圧延、切断、工作加工、研削加工など)によって所定の形状および寸法に予め形成しておけばよい。
また、前記した射出成形方法において、材料の射出順序を逆にして、金型に最初に本発明の熱可塑性重合体組成物を射出して第1の成形品をつくり、次いで他の材料(熱可塑性樹脂など)を射出成形して複合成形体を製造してもよい。
さらに、例えば、カレンダー成形を行う場合は、溶融可塑化状態にあるかまたは固形状態にある他の材料上に、本発明の熱可塑性重合体組成物を溶融下にカレンダー加工して被覆積層させることにより目的とする複合成形体を製造することができる。また、プレス成形による場合は、他の材料の配置下に本発明の熱可塑性重合体組成物を用いて溶融プレスを行うことによって複合成形体を製造することができる。
なお、実施例および比較例において、熱可塑性重合体組成物中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度、熱可塑性重合体組成物の溶融粘度、難燃性、硬度、引張破断強度、引張破断伸度および積層体における接着強度は、以下の方法により測定または評価した。
熱可塑性ポリウレタンを濃度0.5g/dlになるようにDMFに溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて、そのポリウレタン溶液の30℃における流下時間を測定し、下記の式により熱可塑性ポリウレタンの対数粘度(ηinh)を求めた。
熱可塑性ポリウレタンの対数粘度(ηinh)=[ln(t/t0)]/c
[式中、tは熱可塑性ポリウレタンのDMF溶液の流下時間(秒)、t0は溶媒(DMF)の流下時間(秒)、およびcはDMF溶液中の熱可塑性ポリウレタンの濃度(g/dl)を表す。]
なお、熱可塑性重合体組成物中の熱可塑性ポリウレタンに関しては、以下のようにして抽出して得られたものの対数粘度を測定した。
熱可塑性重合体組成物に、同組成物1g当たり200mlの割合でN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加えて、室温で24時間撹拌した後、濾過分別してDMF溶液を回収する。不溶部分にさらにDMFを加えて1時間撹拌して濾過分別を行う。この操作を3回繰り返す。回収したDMF溶液を一緒にし、DMFを留去した後、残留物を40℃で24時間真空乾燥し、熱可塑性ポリウレタンを得る。
80℃で1時間減圧下(1333.2Pa以下)に乾燥した熱可塑性重合体組成物の溶融粘度を、高化式フローテスター(島津製作所製)を使用して、荷重50kgf、ノズル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度200℃の条件下で測定した。
(3)難燃性:
熱可塑性重合体組成物を、プレス成形機〔神藤金属工業所(株)社製、「圧縮成形機AYS−10」(商品名)〕を使用して、200℃で3分間溶融させた後、200℃、50kgf荷重の条件に3分間保持して、厚さ1mmの成形品(試験片)を製造した。
得られた成形品(試験片)を用いて、「UL94プラスチック材料の燃焼試験」に記載されている「HB分類のための水平燃焼試験」(UNDERWRITERS LABORATORIES INC.社制定)に準じて成形品の難燃性を測定した。
UL94HB級の条件を満足するものを「○」と評価した。また、UL94HB級の条件を満足しないものを「×」と評価した。
表面を鏡面仕上げした金型を用いて、射出成形(シリンダー温度:180〜205℃、金型温度:35℃)により円板状の成形品(直径:120mm、厚さ:2mm)を製造した。得られた成形品を23℃で7日間放置した後、成形品を2枚重ね合わせたものを用いて、JIS K−6301に準じて、成形品のショアA硬度を測定した。
(5)引張破断強度および引張破断伸度:
上記の射出成形性の評価におけるのと同じ操作を行って円板状の成形品(直径:120mm、厚さ:2mm)を製造した。得られた成形品を25℃で7日間放置した後、JIS 3号に規定されるダンベル型に打ち抜いて試験片を作製し、JIS K−7311に準じて、島津製作所製「オートグラフ測定装置IS−500D」を使用して、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
金型内に、合成樹脂板(寸法:縦×横×厚さ=200mm×150mm×1mm)を配置し、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製;80トン射出成形機)を使用して、シリンダー温度220℃および金型温度40℃の条件下に熱可塑性重合体組成物を射出し、樹脂板の一方の表面に熱可塑性重合体組成物の層が積層した積層体(寸法:縦×横×厚み=200mm×150mm×2mm)を製造した。
得られた積層体から剥離強度測定用の試験片(寸法:縦×横×厚み=80mm×25mm×2mm)を切り出し、それを用いてJISK 6854に記載の「180度剥離試験」に準じて剥離強度を測定した。
SEBS:
ポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔(株)クラレ製、「セプトン8006」(商品名)〕
SEEPS−1:
ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔(株)クラレ製、「セプトン4055」(商品名)〕
F−SEEPS:
ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有し、分子の片末端に水酸基を有するトリブロック共重合体の水素添加物〔数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(モル比)、1分子当たりの平均水酸基数:0.9個;ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合と3,4−結合の合計量:8モル%;特開平10−139963号公報の参考例1に記載された方法に準じ、スチレン、イソプレンおよびブタジエンを原料として製造した。〕
F−SEEPSは、分子の片末端に水酸基を有するブロック共重合体[SEEPS−OH〔ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物、数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(モル比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合と3,4−結合の合計量:8モル%〕]と分子内に水酸基を有しないブロック共重合体[SEEPS−2〔ポリスチレンブロック−ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有するトリブロック共重合体の水素添加物、数平均分子量:50,000、スチレン含有量:30%、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける水素添加率:98%、イソプレンとブタジエンの比率:50/50(モル比)、ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロックにおける1,2−結合と3,4−結合の合計量:8モル%〕]を含有する〔SEEPS−OH/SEEPS−2=9/1(モル比)〕。
TPU−1:
ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン[(株)クラレ製、「クラミロンU8165」(商品名):ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)をソフトセグメントとするポリエステル系熱可塑性ポリウレタン;対数粘度:1.09dl/g]
TPU−2:
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール(数平均分子量:3500)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび1,4−ブタンジオールから構成されるポリウレタン(窒素原子含有率:1.9重量%;特開昭47−34494号公報の実施例2に記載された方法に準拠して製造した。)
PL: パラフィン系オイル[出光興産(株)製、「ダイアナプロセス PW−380」(商品名)]
(高分子ポリオール)
POH−1:
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸を反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が2.00であるポリエステルジオール(数平均分子量:3,500)
POH−2:
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパンおよびアジピン酸を反応させて製造した、1分子当たりの水酸基数が3.00であるポリエステルポリオール(数平均分子量:2,000)
POH−3:
1分子当たりの水酸基数が2.00であるポリテトラメチレングリコール(数平均分子量:2,000)
(鎖伸長剤)
BD: 1,4−ブタンジオール
(有機ジイソシアネート化合物)
MDI: 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(ウレタン化反応触媒)
CAT: テトライソプロピルチタネート
(ウレタン化反応触媒失活剤)
INACT: ジステアリルホスフェート
ABS: アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(日本合成ゴム(株)製、「JSR ABS12」(商品名))
PA6: ナイロン6(宇部興産(株)製、「UBEナイロン1013B」(商品名))
上記のTPU−2の100重量部およびF−SEEPSの100重量部を予備混合し、得られた混合物を同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機〔30mmφ、L/D=36;プラスチック工学研究所製、「BT−30」(商品名)〕を用いて、シリンダー温度220℃およびスクリュー回転数150rpmの条件下に溶融混練し、得られた反応混合物(溶融物)をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で4時間除湿乾燥することによりブロック共重合体組成物(PU-SEEPS Compound)を得た。
(1)ウレタン化反応触媒(CAT)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−3の混合物;POH−1:POH−3=30:70(モル比)]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、(POH−1とPOH−3の混合物):BD:MDIのモル比が1.00:1.09:2.08(窒素原子含有率は1.9重量%)で、かつこれらの合計供給量が137.5g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは、前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(重量比)]を90g/分(SEBSは18重量%、PLは18重量%)、並びにブロック共重合体(F−SEEPS)を22.5g/分(F−SEEPSは9重量%)となるようにして上記二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;220℃加温)に連続供給して、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と連続的に反応させ、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物1を得た。熱可塑性重合体組成物1中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。また、熱可塑性重合体組成物1について、上記した方法で溶融粘度、難燃性、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、シクロヘキサンによる抽出物の内の重合体成分(未反応のSEEPS−OH、SEEPS−2とSEBSを含む)の重量をWとしたとき、上記したブロック共重合体の重量(W2)、ジメチルホルムアミドを用いて抽出されたポリウレタンの重量[熱可塑性ポリウレタン(III)に相当:W3]およびPLの重量[パラフィン系オイル(IV)に相当:W4]との比率は、W2/W=29/100、W3/W=235/100、W4/W=80/100であった。
(3)さらに、熱可塑性重合体組成物1、ABS、PA6を用いて、上記した方法で積層体を製造し、得られた積層体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1)ウレタン化反応触媒(CAT)を15ppm含有する高分子ポリオール[POH−1、POH−3およびPOH−2の混合物、POH−1:POH−3:POH−2=29.4:68.6:2.0(モル比);1分子当たりの平均水酸基数=2.02]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、(POH−1/POH−3/POH−2の混合物):BD:MDIのモル比が1.00:1.25:2.22(窒素原子含有率は2.0重量%)で、かつこれらの合計供給量が131.25g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは、前部、中央部、後部の3つの帯域に分かれた)に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。ブロック共重合体(SEEPS−1)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEEPS−1:PL=1:1(重量比)]を95g/分(SEEPS−1は19重量%、PLは19重量%)、並びにブロック共重合体(F−SEEPS)を23.75g/分(F−SEEPSは9.5重量%)となるようにして上記二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;220℃加温)に連続供給して、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と連続的に反応させた。次いで、上記の二軸スクリュー型押出機の後部にウレタン化反応触媒失活剤(INACT)0.05重量%(供給量:0.125g/分)を添加して、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物2を得た。熱可塑性重合体組成物2中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。また、熱可塑性重合体組成物2について、上記した方法で溶融粘度、難燃性、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、シクロヘキサンによる抽出物は、GPC分析の結果、ポリスチレンブロック−水素添加ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有する重合体ブロック〔付加重合系ブロック(イ)〕を2個、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)単位、ポリテトラメチレングリコール単位、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート単位および1,4−ブタンジオール単位から構成されるポリウレタンブロック〔ポリウレタンブロック(ロ)〕を1個有するトリブロック共重合体を含有していることが分かった。
ジメチルホルムアミドを用いて抽出されたポリウレタンの重量[熱可塑性ポリウレタン(III)に相当:W3]およびシクロヘキサンを用いて抽出された未反応のSEEPS−OH、SEEPS−2およびSEEPS−1の合計重量[付加重合系ブロック共重合体(I)に相当:W1]、並びにPLの重量[パラフィン系オイル(IV)に相当:W4]の比率は、W3/W1=254/100、W4/W1=95/100であった。また、上記した付加重合系ブロック(イ)とポリウレタンブロック(ロ)を有するジブロック共重合体とトリブロック共重合体の合計重量(W2)と未反応のSEEPS−OH、SEEPS−2およびSEEPS−1の合計重量(W1)の比率は、W2/W1=52/100であった。
(3)さらに、熱可塑性重合体組成物2、ABS、PA6を用いて、上記した方法で積層体を製造し、得られた積層体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1)ウレタン化反応触媒(CAT)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−2の混合物、POH−1:POH−2=99.0:1.0(モル比);1分子当たりの平均水酸基数=2.01]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、(POH−1とPOH−2の混合物):BD:MDIのモル比が1.00:2.45:3.42(窒素原子含有率は2.1重量%)で、かつこれらの合計供給量が100g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは、前部、中央部、後部の3つの帯域に分かれた)に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(重量比)]を100g/分(SEBSは20重量%、PLは20重量%)、並びに参考例で得られたブロック共重合体組成物(PU-SEEPS Compound)を50g/分(PU-SEEPS Compoundは20重量%)となるようにして上記二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;220℃加温)に連続供給して、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と連続的に反応させた。次いで、上記の二軸スクリュー型押出機の後部にウレタン化反応触媒失活剤(INACT)0.03重量%(供給量:0.075g/分)を添加して、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物3を得た。熱可塑性重合体組成物3中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。また、熱可塑性重合体組成物3について、上記した方法で溶融粘度、難燃性、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、シクロヘキサンによる抽出物は、GPC分析の結果、ポリスチレンブロック−水素添加ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有する重合体ブロック〔付加重合系ブロック(イ)〕を2個、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)単位、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート単位および1,4−ブタンジオール単位から構成されるポリウレタンブロック〔ポリウレタンブロック(ロ)〕を1個有するトリブロック共重合体を含有していることが分かった。
ジメチルホルムアミドを用いて抽出されたポリウレタンの重量[熱可塑性ポリウレタン(III)に相当:W3]およびシクロヘキサンを用いて抽出された未反応のSEEPS−OH、SEEPS−2およびSEBSの合計重量[付加重合系ブロック共重合体(I)に相当:W1]、並びにPLの重量[パラフィン系オイル(IV)に相当:W4]の比率は、W3/W1=183/100、W4/W1=79/100であった。また、上記した付加重合系ブロック(イ)とポリウレタンブロック(ロ)を有するジブロック共重合体とトリブロック共重合体の合計重量(W2)と未反応のSEEPS−OH、SEEPS−2およびSEBSの合計重量(W1)の比率は、W2/W1=32/100であった。
(3)さらに、熱可塑性重合体組成物3、ABS、PA6を用いて、上記した方法で積層体を製造し、得られた積層体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1)ウレタン化反応触媒(CAT)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−3の混合物、POH−1:POH−3=30:70(モル比)]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、(POH−1/POH−3の混合物):BD:MDIのモル比が1.00:1.09:2.08(窒素原子含有率は1.9重量%)で、かつこれらの合計供給量が125g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは、前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(重量比)]を125g/分(SEBSは25重量%、PLは25重量%)となるようにして上記二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;220℃加温)に連続供給して、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と連続的に反応させ、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物C−1を得た。熱可塑性重合体組成物C−1中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。また、熱可塑性重合体組成物C−1について、上記した方法で溶融粘度、難燃性、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
さらに、熱可塑性重合体組成物C−1、ABS、PA6を用いて、上記した方法で積層体を製造し、得られた積層体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、熱可塑性重合体組成物C−1は、ブロック共重合体(II)に相当する重合体を含有していない。また、使用した原料の重量に基づいて熱可塑性重合体組成物C−1の組成を算出すると、SEBS/PL/熱可塑性ポリウレタン=100/100/200(重量比)である。
(1)ウレタン化反応触媒(CAT)を15ppm含有する高分子ポリオール[POH−1、POH−3およびPOH−2の混合物、POH−1:POH−3:POH−2=29.4:68.6:2.0(モル比);1分子当たりの平均水酸基数=2.02]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、(POH−1/POH−3/POH−2の混合物):BD:MDIのモル比が1.00:1.25:2.22(窒素原子含有率は2.0重量%)で、かつこれらの合計供給量が137.5g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは、前部、中央部、後部の3つの帯域に分かれた)に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:3(重量比)]を100g/分(SEBSは10重量%、PLは30重量%)、並びにブロック共重合体(F−SEEPS)を12.5g/分(F−SEEPSは5.0重量%)となるようにして上記二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;220℃加温)に連続供給して、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と連続的に反応させた。次いで、上記の二軸スクリュー型押出機の後部にウレタン化反応触媒失活剤(INACT)0.05重量%(供給量:0.125g/分)を添加して、得られた熱可塑性重合体組成物の溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物C−2を得た。熱可塑性重合体組成物C−2中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。また、熱可塑性重合体組成物C−2について、上記した方法で溶融粘度、難燃性、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、シクロヘキサンによる抽出物は、GPC分析の結果、ポリスチレンブロック−水素添加ポリ(イソプレン/ブタジエン)ブロック−ポリスチレンブロック型の構造を有する重合体ブロック〔付加重合系ブロック(イ)〕を2個、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)単位、ポリテトラメチレングリコール単位、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート単位および1,4−ブタンジオール単位から構成されるポリウレタンブロック〔ポリウレタンブロック(ロ)〕を1個有するトリブロック共重合体を含有していることが分かった。
ジメチルホルムアミドを用いて抽出されたポリウレタンの重量[熱可塑性ポリウレタン(III)に相当:W3]およびシクロヘキサンを用いて抽出された未反応のSEEPS−OH、SEEPS−2およびSEBSの合計重量[付加重合系ブロック共重合体(I)に相当:W1]、並びにPLの重量[パラフィン系オイル(IV)に相当:W4]の比率は、W3/W1=514/100、W4/W1=286/100であった。また、上記した付加重合系ブロック(イ)とポリウレタンブロック(ロ)を有するジブロック共重合体とトリブロック共重合体の合計重量(W2)と未反応のSEEPS−OH、SEEPS−2およびSEBSの合計重量(W1)の比率は、W2/W1=52/100であった。
(3)さらに、熱可塑性重合体組成物C−2、ABS、PA6を用いて、上記した方法で積層体を製造し、得られた積層体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
ブロック共重合体(SEBS)とパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(重量比)]を80g/分、熱可塑性ポリウレタン(TPU−1)を80g/分および参考例で得られたブロック共重合体組成物(PU-SEEPS Compound)を40g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36)に供給して220℃で溶融混練し、得られた溶融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断し、このペレットを70℃で4時間除湿乾燥することにより熱可塑性重合体組成物C−3を得た。熱可塑性重合体組成物C−3中の熱可塑性ポリウレタンの対数粘度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。また、熱可塑性重合体組成物C−3について、上記した方法で溶融粘度、難燃性、硬度、引張破断強度および引張破断伸度を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
さらに、熱可塑性重合体組成物C−3、ABS、PA6を用いて、上記した方法で積層体を製造し、得られた積層体の接着強度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
1)高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物のモル比
2)高分子ポリオール、鎖伸長剤、有機ジイソシアネート化合物、官能基含有ブロック共重合体、付加重合系ブロック共重合体、ブロック共重合体組成物、熱可塑性ポリウレタンおよびパラフィン系オイルの合計重量に対する割合
ウレタン化反応触媒(CAT)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−2の混合物、POH−1:POH−2=99.0:1.0(モル比);1分子当たりの平均水酸基数=2.01]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、(POH−1とPOH−2の混合物):BD:MDIのモル比が1.00:0.07:1.07(窒素原子含有率は0.8重量%)で、かつこれらの合計供給量が100g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは、前部、中央部、後部の3つの帯域に分かれた)に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(重量比)]を100g/分(SEBSは20重量%、PLは20重量%)、並びに参考例で得られたブロック共重合体組成物(PU-SEEPS Compound)を50g/分(PU-SEEPS Compoundは20重量%)となるようにして上記二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;220℃加温)に連続供給して、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と連続的に反応させた。次いで、上記の二軸スクリュー型押出機の後部にウレタン化反応触媒失活剤(INACT)0.03重量%(供給量:0.075g/分)を添加した。得られた熱可塑性重合体組成物の溶融物を水中に連続的に押し出したが、粘着性が強いためにストランド状に導糸できず、成形加工に用いるのに適したペレット形状の熱可塑性重合体組成物を得ることができなかった。
ウレタン化反応触媒(CAT)を10ppm含有する高分子ポリオール[POH−1とPOH−2の混合物、POH−1:POH−2=99.0:1.0(モル比);1分子当たりの平均水酸基数=2.01]、鎖伸長剤(BD)および有機ジイソシアネート化合物(MDI)を、(POH−1とPOH−2の混合物):BD:MDIのモル比が1.00:56.59:56.59(窒素原子含有率は7.0重量%)で、かつこれらの合計供給量が100g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンは、前部、中央部、後部の3つの帯域に分かれた)に連続供給して、260℃の連続溶融重合でポリウレタン形成反応を実施した。ブロック共重合体(SEBS)およびパラフィン系オイル(PL)の混合物[SEBS:PL=1:1(重量比)]を100g/分(SEBSは20重量%、PLは20重量%)、並びに参考例で得られたブロック共重合体組成物(PU-SEEPS Compound)を50g/分(PU-SEEPS Compoundは20重量%)となるようにして上記二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの中央部に接続された二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;220℃加温)に連続供給して、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と連続的に反応させた。次いで、上記の二軸スクリュー型押出機の後部にウレタン化反応触媒失活剤(INACT)0.03重量%(供給量:0.075g/分)を添加した。得られた熱可塑性重合体組成物の溶融物を水中に連続的に押し出したが、曳糸性が低いためにストランド状に導糸できず、成形加工に用いるのに適したペレット形状の熱可塑性重合体組成物を得ることができなかった。
Claims (5)
- 芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−1)と共役ジエン系重合体ブロック(b−1)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック共重合体(I)、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック(a−2)と共役ジエン系重合体ブロック(b−2)を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる付加重合系ブロック(イ)とポリウレタンブロック(ロ)を有するブロック共重合体(II)、パラフィン系オイル(IV)、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物を溶融混練して得られる熱可塑性重合体組成物であって、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物から生成する熱可塑性ポリウレタンの、0.5g/dlの濃度のDMF溶液としウベローデ型粘度計を用いて30℃において測定した流下時間に基づいて算出される下記の対数粘度(ηinh)が0.9dl/g以上であるとともに、組成物全体での難燃性がUL94HB級以上である熱可塑性重合体組成物。
ηinh=[ln(t/t0)]/c
[式中、tは熱可塑性ポリウレタンのDMF溶液の流下時間(秒)、t0はDMFの流下時間(秒)、およびcはDMF溶液中の熱可塑性ポリウレタンの濃度(g/dl)を表す。] - 高分子ポリオールの1分子当たりの平均官能基数が2.0〜2.1である請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 有機ジイソシアネート化合物に由来する窒素原子含有量が、高分子ポリオール、鎖伸長剤および有機ジイソシアネート化合物の合計重量に基づいて1〜6.5重量%の範囲内である請求項1又は2に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物からなる成形品。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物あるいは請求項4に記載の成形品と他の材料よりなる複合成形体。
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