JP7464406B2 - ポリウレタン膜状物及びポリウレタン膜状物の表面加工処理方法 - Google Patents

ポリウレタン膜状物及びポリウレタン膜状物の表面加工処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリウレタンを主体とするポリウレタン膜状物及びポリウレタン膜状物の表面加工処理方法に関する。
ポリウレタンを主体とするポリウレタン膜状物(以下、単に膜状物とも称する)は、種々の産業分野で用いられる製品の機能性部材や表面部材として広く用いられている。このような膜状物の表面を有機溶剤で溶解させることにより、膜状物の表面状態を変化させる技術も知られている。
例えば、下記特許文献1は、膜状物である多孔質ポリウレタン層に、通気性および透湿性を付与するための技術を開示する。具体的には、特許文献1は、ジメチルホルムアミド(DMF)とメチルエチルケトン(MEK)との混合液をグラビア塗布することにより、スポーツシューズ甲革用素材である多孔質ポリウレタン層の表面に開放孔を形成させる技術を開示する。また、その実施例においては、混合液の配合割合を変更したり、グラビアロールのメッシュサイズ,ロール圧等を変更して混合液の塗布量を変更したりすることにより、多孔質ポリウレタン層の表面に形成される開放孔の大きさや個数が調整されることが開示されている。
また、例えば、下記特許文献2は、靴や衣料などの用途に用いられる多孔質ポリウレタン層を折り曲げることにより、多孔質ポリウレタン層の表面に明度変化を生じさせる意匠効果を付与する技術を開示する。具体的には、特許文献2は、DMFとMEKとの混合液をグラビア塗布することにより,または,サンドペーパーで研削することにより、多孔質ポリウレタン層の表面にワックスを埋め込むための開放孔を形成させる技術を開示する。また、その実施例においては、多孔質ポリウレタン層を形成するためのポリウレタン組成,ポリウレタン溶液の溶液濃度,または溶液目付量を変更したり、DMFとMEKとの混合液の割合や塗布量を変更したりすることにより、形成される開放孔の大きさや個数が調整されることが開示されている。
国際公開第94/20665号 特開平6-264371号公報
表面を、ポリウレタンを溶解する有機溶剤で溶解させる表面加工処理を施される膜状物において、上述のように表面加工処理条件を変更するだけでは、均質な表面加工処理が得られにくいという問題があった。本発明は、表面を有機溶剤で溶解される表面加工処理を施されるポリウレタン膜状物において、均質な表面加工処理が得られやすいポリウレタン膜状物を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、ポリウレタンを主体とするポリウレタン膜状物であって、ポリウレタンは、数平均分子量Mnが100,000~1,000,000の範囲にあり、且つ、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnである分子量分散度が1.75以下である、ポリウレタン膜状物である。このような膜状物によれば、表面を有機溶剤で溶解する表面加工処理において、ポリウレタンを所望の程度に安定的に溶解させるように制御しやすくなる。
また、膜状物は、多孔質であることが、本発明の効果がより明瞭になる点から好ましい。具体的には、例えば、溶解処理により形成される開放孔の大きさや、開放孔の個数等が均質になりやすい。
また、膜状物は、少なくとも表層部が多孔質であり、開放孔を表面に備えることが好ましい。
また、膜状物は、ポリウレタンが、三次元架橋されていない状態であることがポリウレタンを溶解する有機溶剤で溶解処理されやすい点から好ましい。
また、膜状物は、通気性基材の表層に接合一体化されていることが好ましい。
また、本発明の他の一局面は、上述した何れかのポリウレタン膜状物を準備する工程と、ポリウレタン膜状物の表面に有機溶剤を塗布して表層部を溶解処理する工程と、を含むポリウレタン膜状物の表面加工処理方法である。
本発明によれば、表面を有機溶剤で溶解される表面加工処理を施されるポリウレタン膜状物において、均質な表面加工処理状態が得られやすいポリウレタン膜状物が得られる。
以下、本実施形態のポリウレタン膜状物及びポリウレタン膜状物の表面加工処理方法の一例について、詳しく説明する。
本実施形態のポリウレタン膜状物は、ポリウレタンを主体とするポリウレタン膜状物であって、ポリウレタンは、数平均分子量Mnが100,000~1,000,000の範囲にあり、且つ、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnである分子量分散度が1.75以下であり、表層部がポリウレタンを溶解する有機溶剤で溶解処理されやすい、ポリウレタン膜状物である。
膜状物の主体となるポリウレタンは、数平均分子量Mnが100,000~1,000,000の範囲にあり、且つ、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnである分子量分散度が1.75以下である限り、その種類は、とくに、限定されない。
ポリウレタンの数平均分子量は100,000~1,000,000の範囲であり、150,000~800,000の範囲であることが好ましい。数平均分子量が100,000以上の範囲であることにより、ポリウレタンを溶解する有機溶剤で表層部を溶解するときの溶解処理の制御性に優れた膜状物が得られる。また、数平均分子量を1,000,000以下の範囲であることにより、有機溶剤に対する溶解応答性に優れた膜状物が得られる。
そして、膜状物の主体となるポリウレタンは、分子量分散度が1.75以下であり、1.10~1.75、さらには、1.21~1.71、とくには1.25~1.67、ことには1.28~1.64であることが好ましい。分子量分散度が1.75以下であることにより、ポリウレタンを溶解する有機溶剤で表層部を溶解するときの溶解処理において、溶解処理の制御性に優れた膜状物が得られる。
ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定された分子量分布から評価されたポリスチレン換算の分子量である。また、分子量分散度は、Mw/Mnにより計算された数値の小数点以下第3位を四捨五入して求められる。
ポリウレタンは、分子末端に2個以上の水酸基を有するポリマーポリオール、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、及び鎖伸長剤として短鎖ポリオールまたはポリアミン化合物を含むポリウレタン原料として重合反応させて得られるポリウレタンまたはポリウレタンウレアである。
ポリマーポリオールの具体例としては、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール,ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンカーボネート)ジオール,ポリペンタメチレンカーボネートジオール,ポリテトラメチレンカーボネートジオール,ポリオクタメチレンカーボネートジオール,ポリノナメチレンカーボネートジオール,ポリデカメチレンポリカーボネートジオール,ポリドデカメチレンポリカーボネートジオール等のポリカーボネート系ジオールまたはそれらの共重合体;ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール,ポリ(メチルテトラメチレングリコール)等のポリエーテル系ジオールまたはそれらの共重合体;ポリブチレンアジペートジオール,ポリブチレンセバケートジオール,ポリヘキサメチレンアジペートジオール,ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンアジペート)ジオール,ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンセバケート)ジオール,ポリカプロラクトンジオール等のポリエステル系ジオールまたはそれらの共重合体;ポリエステルカーボネートジオール等の高分子ジオールが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート:イソホロンジイソシアネート,ノルボルネンジイソシアネート,4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート,1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン,1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート,2,6-トリレンジイソシアネート,4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;イソシアヌレート型,ビウレット型,アダクト型等の3官能や4官能のイソシアネート等の分岐構造を与える多官能性化合物である、多官能イソシアネートやそのイソシアネートブロック体、等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、鎖伸長剤としては、例えば、ヒドラジン,エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ノナメチレンジアミン,キシリレンジアミン,イソホロンジアミン,ピペラジンおよびそれらの誘導体;アジピン酸ジヒドラジド,イソフタル酸ジヒドラジド等のジアミン;ジエチレントリアミン等のトリアミン;トリエチレンテトラミン等のテトラミン;エチレングリコール,プロピレングリコール,1,4-ブタンジオール,1,6-ヘキサンジオール,1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン,1,4-シクロヘキサンジオール等のジオール;アミノエチルアルコール,アミノプロピルアルコール等のアミノアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタンは、上記ポリウレタン原料を用いた公知のプレポリマー法またはワンショット法を用いたポリウレタンの製造方法により製造される。詳しくは、例えば、溶剤の存在下で溶液重合させる方法や、乳化重合させる方法、または、実質的に溶剤の不存在下でポリウレタン原料を所定の比率で単軸又は多軸スクリュー型押出機を用いて溶融混合しながら連続溶融重合する方法等が挙げられる。これらの中では、溶液重合により製造することが、ポリウレタン溶液の状態で得られるために、本発明の目的の膜状物の生産性に優れる点から好ましい。
ポリウレタンの製造においては、ポリウレタン原料の種類、溶媒,触媒,添加剤の種類、重合条件(温度・圧力・時間・攪拌方法)を調整する等の公知の分子量制御方法により、分子量及び分子量分布を調整することができる。
本実施形態のポリウレタン膜状物は、多孔質であることがとくに好ましい。なお、多孔質としては、ポリウレタンを溶解する有機溶剤を塗布することにより表面に複数の開放孔を表出させうるような、多数の空孔を有する状態であれば、膜状物の厚さ方向の全体に均質に空孔が存在しても、膜状物の有機溶剤を塗布される表層のみに空孔が偏在するものであってもよい。
多孔質の膜状物を形成させる方法は特に限定されない。具体的には、例えば、(i)ポリウレタンを製造する際に気体を発生させて空孔を内在させる方法、(ii)ポリウレタンを溶解しない有機溶剤と接触させて空孔を内在させた状態で固化させる方法、(iii)ポリウレタンに中空ビーズなどを分散させることにより空孔を内在させる方法、(iv)ポリウレタン溶液を高速撹拌する等して強制的に空気を分散させて空孔を内在させる方法、(v)ポリウレタン原料に水溶性粒子などを分散させて固化させた後に粒子を溶解させて空孔を内在させる方法等、が挙げられる。
ポリウレタン膜状物が多孔質である場合、空孔の数は、目的とする用途に応じた適度な数であることが好ましい。また、ポリウレタン膜状物が多孔質である場合、各空孔の長さは特に限定されないが、膜状物の厚さに対して85%以下、さらには80%以下、とくには78%以下であることが好ましい。膜状物の厚さに対して長すぎる場合には、空孔が膜状物の厚さ方向の圧縮弾性率の局所的な低下を生じさせやすくする。なお、後述する膜状物と基材とを一体化して複合材料を形成する場合には、基材の一部を膜状物に侵入させた形態、膜状物の片面を一部除去して基材と一体化させた形態等になる。これらの場合には、表面加工処理前であっても、膜状物の空孔が長すぎても悪影響を生じにくくなる。
ポリウレタン膜状物は、加飾性や機能性を付与される目的で機能付与剤が配合されていてもよい。ここで機能付与剤とは、芳香性,消臭性,抗菌性,光輝性,磁性,導電性,高耐摩耗性,着色性,透明性,再帰反射性,構造色性,蛍光性,蓄光性,弾性,滑性,冷感性,温感性,温度・湿度の変化により大きさや色が変化する機能,蓄熱性,発熱性,吸液性,多孔質性等の各種機能を付与するための粒子である。また、粒子の形状としては、球状,多面体状,部分的に突起がある球状,扁平な球状等の粒状;花弁状,鱗片状,凸レンズ状,凹レンズ状,ドーナツ状などの薄片状;短い繊維状,針状,屈曲した棒状などの柱状;等の形状が挙げられる。
機能付与剤の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂を硬化剤で架橋させるなどの架橋性モノマーからなる中空微粒子内に芳香成分が内包された粒子等の芳香性微粒子;Zn,Ti,Fe,Alの酸化物または複合酸化物等の消臭性微粒子;光分解触媒能をもつアナターゼ型,ルチル型,アモルファス型の酸化チタンやゼオライト等の抗菌性微粒子;無機微粒子を金属または金属酸化物で被覆した粒子等の光輝性微粒子;マグネタイトやマンガン亜鉛フェライト等の磁性微粒子;導電性カーボン,白色金属化合物等の導電性微粒子;高耐摩耗性微粒子;顔料,染料等の着色性微粒子;透明性微粒子;再帰反射性微粒子;構造色を呈する微粒子;蛍光性微粒子;蓄光性微粒子;弾性微粒子;滑性微粒子;冷感性微粒子;温感性微粒子;蓄熱性微粒子;発熱性微粒子;吸水性微粒子等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
機能付与剤の大きさは、全方向において100μm以下のサイズであることが、膜状物の外観や分散性に優れる点から好ましい。また、膜状物の厚さ方向に対する大きさが膜状物の厚さに対して30~80%の範囲にあることが、膜状物の物理的強度や表面平滑性を低下させすぎないために、印刷加工や押圧加工の際にロール等の接圧ムラが生じにくくなる点から好ましい。
機能付与剤は、膜状物の表層近傍に偏在させても、万遍なく全体に均質に分散させてもよい。なお、少なくとも表層近傍に存在させた場合には、機能付与剤が機能性を発揮しやすくなる傾向がある。とくに、有機溶剤でポリウレタンを溶解させる表面加工処理を施すことにより、表層近傍の複数の機能付与剤が均質に表出しやすくなって高い機能をより発揮しやすくなる。
機能付与剤を含有させた膜状物を形成する方法は特に限定されない。具体的には、例えば、機能付与剤を分散させたポリウレタン溶液を用いて膜状物を形成する方法、ポリウレタンで被覆させた機能付与剤を用いて膜状物を形成する方法等が挙げられる。
また、膜状物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン及び機能付与剤以外に、通常用いられる酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、界面活性剤、滑剤、油剤、着色剤、フィラー等の添加剤あるいはアクリル系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹脂等の高分子弾性体を必要に応じて配合されてもよい。
膜状物を得る方法は、ポリウレタンの溶液・分散液を支持体表面にキャスト(流延)した後、固化させた後、支持体から剥離する方法や、加熱で流動化したポリウレタンの溶融物を例えばTダイのスリットから押出した後、冷却固化させる方法等が挙げられる。
また、膜状物は、基材と接合一体化した複合材料を形成していてもよい。膜状物は、その特性に応じて、基材に、強度,重量,厚さ,硬さ等を補足したり、防燃性,耐熱性,耐候性,耐衝撃性,圧縮弾性,導電性,絶縁性,消臭性,抗菌防カビ性等の機能を付与したりすることができる。
基材の種類は特に限定されない。具体的には、例えば、不織布,織物,編物等の繊維基材または繊維基材に樹脂を含浸複合化させた素材;樹脂やガラスからなる素材;繊維やフィラーを配合された樹脂組成物成形体;多孔質の樹脂である樹脂フォーム等が挙げられる。基材は、強度,可撓性,伸縮性,形態保持性,形態回復性,圧縮弾性,吸液性等の用途に応じて求められる特性を備える素材が適宜選択される。
これらの中では、繊維基材または繊維基材に樹脂を含浸複合化させた素材が、通気性があって膜状物の形成と同時並行して基材と一体化させることが容易な点や、膜状物の可撓性を活かした複合材料が得られやすい点から好ましい。
膜状物を基材に接合する方法は、(i)別々に形成した膜状物と基材とをホットメルト接着剤など公知の接着剤により接着一体化する方法、(ii)ポリウレタンの溶液、分散液または融液により基材表面に膜状物を形成するのと同時に接着や浸透により基材と一体化する方法等が挙げられる。
複合材料は、有機溶剤による表面加工処理が阻害されるため、繊維基材と一体化した複合材料の場合でも、膜状物の処理面側には繊維基材由来の繊維を含まないことが好ましい。
膜状物の厚さは時に限定されないが、50~5000μm、さらには60~2500μm、とくには65~900μmであることが好ましい。膜状物が薄すぎる場合には、表面加工処理する際に反対面の側にまで溶解処理の影響を与えて見掛け上ロバスト性を低下させる傾向がある。一方、膜状物が厚すぎる場合には、膜状物を形成する際に厚さ方向や面方向で分子量分散度の均一性が得られにくくなって見掛け上ロバスト性を低下させる傾向がある。
また、基材に膜状物を一体化させた複合材料においては、膜状物の厚さは、50~2500μm、さらには100~1000μmである場合には、均質な表面状態がより得られやすい点から好ましい。膜状物が薄すぎる場合には、基材自身の表面の凹凸の影響を受けやすくなって表面状態の均質性が低下しやすくなるおそれがある。また、膜状物が厚すぎる場合には、基材の種類によっては、膜状物を一体化することが難しくなるおそれがある。
膜状物は、表面にポリウレタンを溶解する有機溶剤を塗布されて表層部を溶解処理されて種々の機能を付与されたり加飾されたりするような種々の用途に好ましく用いられる。具体的には、例えば、多孔性の膜状物の場合には、表面に有機溶剤を塗布して内在する空孔を露出させることにより、膜状物の表面に開放孔を形成させることができる。また、非多孔性の膜状物の場合には、表面に有機溶剤を塗布して表面を平滑化させることができる。また、上述したような機能付与剤を配合された膜状物の場合には、表面に有機溶剤を塗布して内在する機能付与剤を露出させることにより、膜状物の表面に機能付与剤による機能を発現させることができる。また、機能付与剤を配合されていない膜状物には、機能付与剤を配合された有機溶剤を膜状物表面に塗布することにより、膜状物の表面に機能付与剤による機能を発現させることができる。
すなわち、このような表面加工処理によれば、膜状物に、着色プリント,立体プリント,保護コーティング,吸放湿性,防臭防カビ性,撥水性,撥油性,防燃性,滑性,粘着性,クッション性等の機能を付与することができる。
膜状物は、ポリウレタンを溶解する有機溶剤を塗布される際には三次元架橋されていないことが好ましい。ここで、三次元架橋とは、膜状物を構成する直鎖状または分岐したポリウレタンの分子内または分子間に形成された架橋構造のことである。分子間の架橋密度が高くなって三次元網目構造が緻密になればなるほど有機溶剤による溶解性が低下する。三次元架橋していないとは、少なくとも有機溶剤を塗布される表面が、好ましくは、膜状物全体が有機溶剤に溶解する程度に架橋されていない状態であるともいえる。
ポリウレタンを溶解する有機溶剤の具体例としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルスルホキシド,N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。また、ポリウレタンを溶解する有機溶剤は、溶解性を調整するために、ポリウレタンを溶解しない有機溶剤や無機溶剤と組み合わせて用いてもよい。さらに、ポリウレタンを溶解する有機溶剤は、溶解処理と同時に機能性を付与するために、機能付与剤,コーティング剤,着色剤等が配合されていてもよい。
膜状物の表面に、有機溶剤を塗布する方法は特に限定されない。具体的には、例えば、グラビアプリント,スクリーンプリント,リバースロールコート,スプレーコート等のように塗布される有機溶剤を計量して転写させる加工処理方法;ナイフコート,ドクターコート,スクイーズコート等のように塗布された有機溶剤の一部を除去することにより塗布量を調整する加工処理方法、等が挙げられる。膜状物の最表面のみを均一に処理することが容易な点や、所望の箇所のみを処理するなどの加工処理パターンを自由に選択することが可能な点で有機溶剤を計量して転写させる加工処理方法が好ましく、さらには塗布量が安定している点でグラビアプリントやスクリーンプリントがとくに好ましい。
表面加工処理において塗布された有機溶剤は、乾燥または洗浄によって除去される。乾燥処理の温度、湿度やその状態での処理時間は、ある一定条件で行ってもよいが、乾燥処理の初期から終了までの過程で変化させることで、表面加工処理の状態や程度を微調節することもできる。洗浄での洗浄液の組成、温度、液圧や処理時間は、ある一定条件で行ってもよいが、洗浄の初期から終了までの過程で変化させることで、表面加工処理の状態や程度を調整することもできる。また、乾燥処理と洗浄とを組み合わせて行ってもよい。
表面加工処理方法は、有機溶剤による表面加工処理の前工程または後工程として、サンドペーパーや砥石による研削、有機溶剤による表面加工処理などを組み合わせたり、複数回の表面加工処理を行ったりしてもよい。
このような膜状物は、均質性と易生産性、耐久性と柔軟性など種々の観点でバランスに優れた材料である。このような膜状物は、電気電子部品の機能性部材、車両・船舶・航空機内外装の加飾・機能性部材、靴・鞄・衣料の加飾・機能性部材、建築物の壁面・椅子の加飾・機能性部材など種々の用途分野で好ましく使用することができる。
次に、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例で用いた評価方法について、まとめて説明する。
(ポリウレタンの分子量)
GPC装置を用いてポリウレタンの分子量を次のようにして測定した。GPC装置において、移動相として臭化リチウム1g/Lを溶解したDMF溶液を1mL/分で送液し、Shodex HPLCカラム KD-802.5及びKD-806Mの上流から、ポリウレタン0.02g/ccの移動相溶液をオートサンプラーで0.05mL注入した。そして、示差屈折計で測定した分子量分布から、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を特定した。
(膜状物の厚さ及び空孔の長さ)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて膜状物の厚さを次のようにして測定した。膜状物の任意の箇所を厚さ方向にカットした断面において、膜状物の厚さ全体が1.0~10cmの範囲となる倍率で撮像した画像で、面方向(厚さ方向に対する直交方向)に30~40cmの範囲に渡って、等間隔に12点測定した厚さの値の最大値及び最小値の1点ずつを除いた10点の平均値を厚さとした。また、同様にして、面方向に30~40cmの範囲において、断面に存在する全ての空孔の厚さ方向の長さを測定した。厚さ方向全体に貫通したもの(両面に開孔したもの)は空孔から除外し、また断面において繋がっているものは1つの空孔とみなした。表面加工処理された面に最も近い箇所からその反対面に最も近い箇所までの厚さ方向に平行な長さを空孔の長さとした。
[実施例1]
ポリマーポリオールとしてポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMG)及びポリブチレンアジペートグリコール(以下、PBA)を、ポリイソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDI)を用い、また鎖伸長剤としてエチレングリコール(以下、EG)を用いて重合反応を行ってポリウレタン(ポリウレタンエラストマー)を製造した。そして、得られたポリウレタンを、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMF)で溶解された固形分濃度21質量%のポリウレタン溶液を調製した。
そして、調製されたポリウレタン溶液を平滑なガラス板上にキャストした後、水中で湿式凝固させることにより複数の空孔が内在する多孔質のポリウレタンの膜状物を得た。
得られた膜状物から任意の3箇所を選択して、分子量測定用の試験片を採取した。そして、各試験片の分子量を測定した。3箇所の重量平均分子量(Mw)は250,000~262,000の範囲であり、3箇所の数平均分子量(Mn)は177,000~186,000の範囲にあった。また、3箇所の分子量分散度(Mw/Mn)の平均は、1.41であった。
また、膜状物は厚さ110μmであり、空孔の長さは厚さの70%以下であった。
そして、格子状で120メッシュのグラビアロールを用いて膜状物の表面にDMFを転写して、膜状物表面の全体にDMFを塗布する表面加工処理を行った。表面加工処理の前後の膜状物表面を倍率40倍でSEMで観察した。
表面加工処理前には、30~150μm程度のサイズのうねり,3μm未満のサイズの微細孔や凹み、等の湿式凝固に由来する表面状態が確認された。一方、表面加工処理後には、一辺が200μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び直径8~70μmの開放孔が全体的に均質に形成されていた。開放孔は直径20μm以下のものが大多数を占め、とくに凸部及びその近傍により多く集中して形成されていた。
[実施例2]
実施例1と同様にして平滑なガラス板上にキャストされたポリウレタン溶液の上に、基材である通気性を有するポリエステルトリコット(繊維100%)を静置して、その状態でポリウレタンを水中で湿式凝固させた。このようにして、ポリウレタンの膜状物とポリエステルトリコットとが接合一体化された複合材料を得た。
得られた膜状物から任意の3箇所を選択して、分子量測定用の試験片を採取した。そして、各試験片の分子量を測定した。3箇所の重量平均分子量(Mw)は243,000~259,000の範囲であり、3箇所の数平均分子量(Mn)は168,000~181,000の範囲にあった。また、3箇所の分子量分散度(Mw/Mn)の平均は、1.43であった。
また、SEMによる観察によれば、膜状物は実施例1と同様に多孔質であることが確認された。なお、空孔の端部は、ポリエステルトリコットに侵入していて空孔長さが測定できない空孔が複数個確認された。
そして、格子状で140メッシュのグラビアロールを用いて膜状物の表面にDMFを転写して、膜状物表面の全体にDMFを塗布する表面加工処理を行った。表面加工処理の前後の膜状物表面を倍率40倍でSEMで観察した。
表面加工処理前には、30~150μm程度のサイズのうねり,3μm未満のサイズの微細孔や凹み、等の湿式凝固に由来する表面状態が確認された。一方、表面加工処理後には、一辺が180μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び直径8~70μmの開放孔が全体的に均質に形成されていた。開放孔は直径20μm以下のものが大多数を占め、とくに凸部及びその近傍により多く集中して形成されていた。
そして、複合材料をその上下から内径7cmの円筒2つで挟み、膜状物側が水に面するようにして上側の円筒内に水を注いだ。このようにして複合材料を気水界面に載置した。そして、ポリエステルトリコットの側の円筒内に5kPaの空気圧を掛けたところ、膜状物表面全体から万遍なく水中に微細で均一な気泡が出ることが確認できた。このことから、複合材料の開放孔を形成した膜状物の均質性が高いこと、及び膜状物の表面に形成された開放孔は、基材側へと連続している連通孔を多く含むことが確認された。
[実施例3]
重合条件を変更した以外は実施例1と同様にして、3箇所の重量平均分子量(Mw)が223,000~236,000の範囲であり、3箇所の数平均分子量(Mn)は138,000~149,000の範囲であり、3箇所の分子量分散度(Mw/Mn)の平均は、1.62であるポリウレタンエラストマーをポリウレタンとして、厚さ82μmの複数の空孔が内在する多孔質であり、空孔の長さは何れも厚さの80%の範囲にある膜状物を得た。
そして、実施例1と同様の条件で膜状物の表面にDMFを転写して、膜状物表面の全体にDMFを塗布する表面加工処理を行った。表面加工処理の前後の膜状物表面を倍率40倍でSEMで観察した。
表面加工処理前には、30~150μm程度のサイズのうねり,3μm未満のサイズの微細孔や凹み、等の湿式凝固に由来する表面状態が確認された。一方、表面加工処理後には、一辺が200μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び直径8~70μmの開放孔が全体的に均質に形成されていた。開放孔は実施例1で得られた膜状物に比べて、直径15μm以下のものが少なく直径20~50μmのものが大多数を占め、開放孔は面全体に偏りはほぼない分布で形成されていた。
[実施例4]
重合条件を変更した以外は実施例1と同様にして、3箇所の重量平均分子量(Mw)が162,000~176,000の範囲であり、3箇所の数平均分子量(Mn)は116,000~138,000の範囲であり、3箇所の分子量分散度(Mw/Mn)の平均は、1.30であるポリウレタンエラストマーをポリウレタンとして、厚さ211μmの、複数の空孔が内在する多孔質であり、空孔の長さは何れも厚さの75%の範囲にある膜状物を得た。
そして、実施例1と同様の条件で膜状物の表面にDMFを転写して、膜状物表面の全体にDMFを塗布する表面加工処理を行った。表面加工処理の前後の膜状物表面を倍率40倍でSEMで観察した。
表面加工処理前には、30~150μm程度のサイズのうねり,3μm未満のサイズの微細孔や凹み、等の湿式凝固に由来する表面状態が確認された。一方、表面加工処理後には、一辺が200μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び直径8~50μmの開放孔が全体的に均質に形成されていた。開放孔は実施例1で得られた膜状物に比べて、直径35μmを超えるものが少なく直径10~25μmのものが大多数を占め、開放孔は凸部及びその近傍により多く集中して形成されていた。
[実施例5]
実施例2において、DMFの代わりに、DMFとシクロヘキサノンとを70:30の割合で混合した有機溶剤を用いて表面加工処理を行った以外は同様にして、膜状物表面に表面加工処理を行った複合材料を得た。SEMで膜状物表面を観察したところ、表面加工処理前には実施例2の膜状物同様の表面状態が確認されたが、表面加工処理後には一辺が180μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び直径8~60μmの新たな開放孔が全体的に形成されていた。開放孔は実施例1に比べて直径45μmを超えるものが少なく、開放孔は凸部及びその近傍により多く集中して形成されていた。
そして、実施例2と同様にして、複合材料をその上下から内径7cmの円筒2つで挟み、膜状物側が水に面するようにして上側の円筒内に水を注いだ。そして、ポリエステルトリコットの側の円筒内に5kPaの空気圧を掛けたところ、膜状物表面全体から万遍なく水中に微細で均一な気泡が出ることが確認できた。このことから、複合材料の開放孔を形成した膜状物の均質性が高いこと、及び膜状物の表面に形成された開放孔は、基材側へと連続している連通孔を多く含むことが確認された。
[比較例1]
ポリウレタンの重合条件を調整することにより、3箇所の重量平均分子量(Mw)が193,000~223,000の範囲であり、3箇所の数平均分子量(Mn)は117,000~125,000の範囲であり、3箇所の分子量分散度(Mw/Mn)の平均は、1.81であるポリウレタンエラストマーをポリウレタンとして用いた以外は、実施例2と同様にして膜状物とポリエステルトリコットとが接合して一体化した複合材料を得た。SEMによる観察で、膜状物部分は多孔質であることは確認されたが、空孔端部が基材に侵入していて空孔長さが測定できない空孔が複数個確認された。
そして、実施例2と同様の条件で膜状物の表面にDMFを転写して、膜状物表面の全体にDMFを塗布する表面加工処理を行った。表面加工処理の前後の膜状物表面を倍率40倍でSEMで観察した。
表面加工処理前には、実施例2の膜状物同様の表面状態が確認されたが、表面加工処理後には一辺が180μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び新たな開放孔として新たな凸部及びその近傍により多く集中して形成された直径8~70μmの開放孔に加え、新たな凹部の中央付近に直径70~100μmの開放孔が形成された箇所がランダムに多数確認された。
実施例2同様に円筒2つで複合材料を上下から挟んで気水界面に載置して基材側に空気圧を掛けたところ、膜状物表面から水中に気泡が出るものの、その出てくる位置には偏りが見られ、かつ出てきた気泡は大きなものが含まれていてサイズが不均一であった。また、出てくるタイミングが実施例2に比べて断続的であった。このことから、膜状物表面の開放孔の中に基材側へと連続している連通孔は多数存在するものの、連通孔となっている開放孔の膜状物表面における分布には偏りがあり、開放孔を形成した材料としては均質性に劣るものであった。
[比較例2]
ポリウレタンの重合条件を調整することにより、3箇所の重量平均分子量(Mw)が276,000~342,000の範囲であり、3箇所の数平均分子量(Mn)は151,000~166,000の範囲であり、3箇所の分子量分散度(Mw/Mn)の平均は、1.90であるポリウレタンエラストマーをポリウレタンとして用いた以外は、実施例1と同様にして膜状物を得た。
SEMによる観察で、膜状物部分は多孔質であり、空孔の長さは厚さの90%以下であるものが大多数であった。また、空孔が厚さ方向全体に貫通したものの割合が実施例1に比べて多かった。
膜状物表面全体に実施例1同様の表面加工処理を行い、SEMにより膜状物表面を倍率40倍で観察した。表面加工処理前には30~150μm程度のサイズのうねりや3μm未満のサイズの微細孔や凹みなど湿式凝固に由来する表面状態が確認されたが、表面加工処理後には一辺が200μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び直径8~70μmの新たな開放孔が多数形成されているが、前記開放孔が全く形成されていない領域と集中して形成されている領域とがあって、開放孔を形成した材料としては均質性に劣るものであった。前記開放孔が形成されている領域において、前記新たな凸部及びその近傍により多く集中して直径35μm以下の前記開放孔が確認されると共に、前記新たな凹部の中央付近に直径40~70μmの開放孔が形成された箇所が複数個確認された。
[比較例3]
ポリウレタンの重合条件を調整することにより、3箇所の重量平均分子量(Mw)が254,000~333,000の範囲であり、3箇所の数平均分子量(Mn)は131,000~156,000の範囲であり、3箇所の分子量分散度(Mw/Mn)の平均は、2.04であるポリウレタンエラストマーをポリウレタンとして用いた以外は、実施例1と同様にして膜状物を得た。
SEMによる観察で、膜状物部分は多孔質であり、空孔の長さは厚さの90%以下であるものが大多数ではあるが、空孔が厚さ方向全体に貫通したものの割合が実施例1に比べて多かった。
膜状物表面全体に実施例1同様の表面加工処理を行い、SEMにより膜状物表面を倍率40倍で観察した。表面加工処理前には30~150μm程度のサイズのうねりや3μm未満のサイズの微細孔や凹みなど湿式凝固に由来する表面状態が確認された。表面加工処理後には一辺が200μm前後の格子状で連続した凸部とその格子状に囲まれた緩やかな凹部からなる新たな凹凸、及び新たな開放孔として前記新たな凸部及びその近傍に集中して形成された直径8~20μmの開放孔に加え、前記新たな凹部は中央付近に直径40~80μmの開放孔が形成された箇所、新たな凹部自体が他より一段窪んでいて直径20~40μmの開放孔が形成された箇所、及び新たな凹部自体が他より一段窪んでいて開放孔がほとんど存在しない箇所が観察され、開放孔を形成した材料としては均質性に劣るものであった。
本発明は、電気・電子部品の機能性部材、車両・船舶・航空機内外装の加飾・機能性部材、靴・鞄・衣料の加飾・機能性部材、建築物の壁面・椅子の加飾・機能性部材など種々の用途分野に用いられる材料の一部として好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. ポリウレタンを主体とするポリウレタン膜状物であって、
    前記ポリウレタンは、数平均分子量Mnが100,000~1,000,000の範囲にあり、且つ、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnである分子量分散度が1.75以下である、ことを特徴とするポリウレタン膜状物。
  2. 少なくとも表層部が多孔質である、請求項1に記載のポリウレタン膜状物。
  3. 前記ポリウレタンは、三次元架橋されていない状態である、請求項1または2に記載のポリウレタン膜状物。
  4. 通気性基材の表層に接合一体化されている、請求項1~3の何れか1項に記載のポリウレタン膜状物。
  5. 少なくとも表層部が多孔質である、ポリウレタンを主体とするポリウレタン膜状物であって、
    前記ポリウレタンは、数平均分子量Mnが100,000~1,000,000の範囲にあり、且つ、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnである分子量分散度が1.75以下であり、
    前記表層部の表面に開放孔を備えることを特徴とする、ポリウレタン膜状物。
  6. 前記ポリウレタンは、三次元架橋されていない状態である、請求項5に記載のポリウレタン膜状物。
  7. 通気性基材の表層に接合一体化されている、請求項5または6に記載のポリウレタン膜状物。
  8. 請求項1~4の何れか1項に記載のポリウレタン膜状物を準備する工程と、
    前記ポリウレタン膜状物の表面に有機溶剤を塗布して前記表層部を溶解処理する工程と、を含むことを特徴とする、ポリウレタン膜状物の表面加工処理方法。
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