JP4056827B2 - 皮革様シートの表面塗布用水性液および該水性液を用いて銀面部を形成した皮革様シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮革様シートの銀面部を形成するための表面塗布用水性液および該水性液により銀面部を形成した皮革様シートに関し、特にカーシート、インテリア用に用いられる耐摩耗性に優れ、柔軟で高級感のある表面タッチを有するヌバック調皮革様シートとその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、皮革様シートとして、不織布などの繊維質基材にポリウレタンなどの高分子弾性体成分を付与した基体の表面に繊維立毛を存在させたものや該基体の表面に樹脂層を積層したものが知られている。銀面層を形成させる方法としては、(1)ポリウレタンの有機溶剤溶液を凹凸模様を有する離型紙上に塗布し、乾燥後に接着剤を用いて基体上に接着させて銀面層を形成させる方法や、(2)ポリウレタンの有機溶剤溶液を基体上に直接塗布し、乾燥後、熱プレスにより凹凸模様を付与して銀面層を形成させる方法が行われている。
しかし、上記の有機溶剤を用いる製造方法は、環境、安全性などの観点から好ましくない上、離型紙を用いる方法では使用後の離型紙を廃棄物として処理する必要があるため環境面から好ましくない。
【0003】
これらの点を考慮して、有機溶剤溶液を用いる方法に代えて、水性エマルジョンを用いる方法が提案されている(特開平9−31861号公報、特開2001−335742号公報)。
しかしながら、これらによる方法では、離型紙を用いず基体上に直接銀面層を形成させた場合、架橋剤を併用したポリウレタンでは加熱時の流動性が十分でないために熱プレスにより凹凸模様を付与することが困難であり、良好な表面模様を有する皮革様シートを得ることができない。また、架橋剤を併用しない場合には、ポリウレタンの耐久性が十分でない上、銀面層の形成後に風合いを柔軟化させるため熱水中で揉み処理を行う際に、ポリウレタンが基体上から脱落する問題が起こる。
【0004】
一方、銀面層としては、従来、多くがシボ模様の凹凸部でツヤ感、色調に差が無く、凹凸感、立体感に欠ける単調な外観であるため高級感のある外観の商品を生み出すための素材としては物足りないものであった。近年、これを改良する試みも繰り返しなされ、数多くの提案がなされている。
まずシボ模様の凹部をマット調にし、凹凸のツヤ差を作り、凸部を際だたせることで立体感を表現する試みが特公昭59−34821号公報や特公昭59−33715号公報に提案されている。また、凹凸部の色調を変えることで異色感、立体感を生み出す試みが特開昭63−42980号公報に提案されている。さらに、スエード調皮革状物の立毛面に高分子弾性体の有機溶剤溶液、または水性エマルジョンをシボ模様状に塗布し、凹凸感、異色感を表現しようとする試みが特公平5−45717号公報、特公平3−42358号公報に提案されている。また、表面被覆層を有する繊維質シートに凹凸模様を付与し凸部の被覆層をバフィングにより除去し繊維立毛を形成させ、立毛と銀面の混在した表面とすることが特開昭63−50580号公報に提案されている。これらは、ある程度興味ある外観は得られるものの、これだけでは実質的にシボ模様に皮革様の凹凸はなく充分な立体感が表現されないばかりか、表面摩耗に優れたものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、離型紙を用いることなく皮革様シートの表面に凹凸模様を有する銀面層を形成することができる、皮革様シートの表面塗布用水性液および該水性液を用いて立体感のある凹凸模様を有する耐久性に優れた皮革様シートを製造する方法、さらに該方法により得られる皮革様シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ポリウレタンエマルジョンおよび架橋剤から主としてなる、皮革様シートの表面塗布用水性液であって、ポリウレタンエマルジョン中のポリウレタンが、樹脂骨格中にポリウレタン100g当たり、カルボキシル基を5〜25mmolの割合で含有することを特徴とする皮革様シートの表面塗布用水性液である。
また、本発明は、
(2)ポリウレタンの平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする前記(1)に記載の皮革様シートの表面塗布用水性液である。
さらに、本発明は、
(3)ポリウレタンエマルジョンが、水性液中で界面活性剤の存在下にイソシアネート末端ウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を反応させて調製したポリウレタンエマルジョンであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の皮革様シートの表面塗布用水性液である
【0007】
そして、本発明は、
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの表面塗布用水性液を表面に塗布して銀面部を形成させることを特徴とする皮革様シートの製造方法であり、
(5)皮革様シートの表面に銀面部を形成後、凹凸模様のある熱プレスにより表面模様を形成させることを特徴とする前記(4)に記載の皮皮革様シートの製造方法である。
さらに、本発明は、
(6)前記(4)または(5)の製造方法により得られる皮革様シートであり、好ましくは、
(7)0.5デシテックス以下の極細繊維からなる3次元絡合不織布とそれに充填された高分子弾性体からなる基体の表面に、該極細繊維からなる立毛部と銀面部が混在している表面部が形成されていることを特徴とする前記(6)に記載の皮革様シートである。
【0008】
【発明の実態の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるポリウレタンエマルジョンは、エマルジョン中のポリウレタンが樹脂骨格中にポリウレタン100g当たりカルボキシル基を5〜25mmolの割合で含有していることが必要である。
ポリウレタン骨格中のカルボキシル基の量が、ポリウレタン100gあたり5mmol未満である場合には、架橋剤との反応が不十分なため熱水中での揉み処理などの際にポリウレタンが基体上から脱落したり、ポリウレタンの親水性基量が少ないために粒子径が大きくなり皮膜の透明性が低下して発色性や鮮明性が低下したりする問題が起こる。一方、ポリウレタン骨格中のカルボキシル基の量が、ポリウレタン100gあたり25mmolを超える場合には、架橋剤との反応点が多くなるため熱プレスによる凹凸模様の形成が困難になり、これを改善するために架橋剤の添加量を減らすと、ポリウレタン骨格中に親水性の強いカルボキシル基が多く存在するために、熱水中での揉み処理の際にやはりポリウレタンが脱落したり、銀面層が膨潤や変形を起こし熱プレスにより形成した凹凸模様が消失したりする問題が起こる。
ポリウレタン骨格中のカルボキシル基が、ポリウレタン100g当たり8〜22mmolの割合であることが好ましく、ポリウレタン100g当たり10〜20mmolの割合であることがより好ましい。また、カルボキシル基は大部分が中和された状態であることが好ましい。
【0009】
また、本発明に用いるポリウレタンエマルジョンは、ポリウレタンの平均粒子径が500nm以下であることが好ましい。ポリウレタンの平均粒子径が500nmを超える場合には、銀面層を構成するポリウレタン皮膜の透明性が劣るため、皮革様シート表面の発色性や鮮明性が劣る。
ポリウレタンの平均粒子径が、400nm以下であることが好ましく、350nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。
【0010】
ポリウレタンエマルジョンを製造する方法としては、従来公知の方法を用いることができ特に制限されないが、特に好ましい製造法の例としては、
(i)(a)高分子ポリオール、カルボキシル基を含有し且つイソシアネート基と反応性の活性水素原子を1個以上有する化合物、並びに有機ポリイソシアネートを反応させて、カルボキシル基を骨格中に含有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造するか、または(b)分子骨格中にカルボキシル基を有する高分子ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させてカルボキシル基を骨格中に有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造し;次いで、
(ii)前記(i)で得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下「ウレタンプレポリマー」ということがある)の骨格中のカルボキシル基を三級アミン、アルカリ金属水酸化物などの塩基性物質で中和した後;
(iii)所定量の界面活性剤の存在下に該中和されたウレタンプレポリマーを水性液中に強制撹拌などにより乳化させた状態でウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を反応させてポリウレタンエマルジョンを製造する方法;
を挙げることができる。
【0011】
この際に用いる界面活性剤の量は、ポリウレタン100g当たり0.5g〜6gであることが好ましい。ポリウレタン100g当たりの界面活性剤の含有量が0.5g未満の場合には、ポリウレタンの水性液中での分散安定性が低下しやすく、またポリウレタンの平均粒子径が大きくなりやすい。一方、ポリウレタン100g当たりの界面活性剤の含有量が6gを超える場合には、それ以上界面活性剤を添加しても分散安定化効果は改善されず経済的に不利である上、銀面層の耐水性が低下する傾向があるため好ましくない。
また、乳化分散をしやすくするために、ウレタンプレポリマーをアセトン、2−ブタノン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒で希釈しておいても良い。さらに、鎖伸長剤の一部または全部をポリウレタンの乳化前に反応させておいてもよい。ウレタンプレポリマーの希釈に用いた有機溶媒は、乳化後にエマルジョンから除去することが好ましい。
【0012】
高分子ポリオールとしては公知の高分子ポリオールのいずれも使用することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などのポリエーテルポリオール;ポリブチレンアジペートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン アジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンセバケート)ジオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン カーボネート)ジオールなどのポリカーボネートポリオール;ポリエステルカーボネートポリオールなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
本発明に用いうる有機ポリイソシアネートとしては、通常のポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ポリイソシアネートのいずれもが使用でき、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0014】
本発明で用いうる鎖伸長剤成分としては、通常のポリウレタンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用できるが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミン等のトリアミン類;トリエチレンテトラミン等のテトラミン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパン等のトリオール類;ペンタエリスリトール等のペンタオール類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。また、鎖伸長反応時に、鎖伸長剤とともに、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどのモノアミン類;4−アミノブタン酸、6−アミノヘキサン酸などのカルボキシル基含有モノアミン化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのモノオール類を併用してもよい。
【0015】
さらに、カルボキシル基を含有し且つイソシアネート基と反応性の活性水素原子を1個以上有する化合物としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸などのカルボキシル基含有ジオールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
そして、ポリウレタンエマルジョンの製造に用いうる界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのノニオン性界面活性剤などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。架橋剤と反応しないことから、カルボキシル基を含有しないアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0017】
なお、本発明に用いるポリウレタンエマルジョンは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、該エマルジョン中でエチレン性不飽和モノマーを乳化重合するなどの方法により変性を行った後、使用しても良い。
本発明の皮革様シートの表面塗布用の水性液は、ポリウレタンのほかに架橋剤を含有している必要がある。用いることができる架橋剤としては、ポリウレタン骨格中のカルボキシル基と反応し得る官能基を分子内に2個以上含有する水溶性または水分散性の化合物である。カルボキシル基と反応しうる官能基としては、カルボジイミド基、オキサゾリン基、エポキシ基、シクロカーボネート基、アジリジン基などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、架橋性能や水性液のポットライフ性が優れ、また安全面でも問題のないカルボジイミド基および/またはオキサゾリン基が好ましく、カルボジイミド基であることがより好ましい。カルボジイミド基を有する架橋剤としては、例えば日清紡績株式会社製「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトV−02」などを挙げることができ、オキサゾリン基を有する架橋剤としては、例えば日本触媒株式会社製「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスWS−500」などを挙げることができる。架橋剤の配合量としては、ポリウレタンに対して、架橋剤の有効成分が1〜20重量%であることが好ましく、1.5〜15重量%であることがより好ましく、2〜10重量%であることがさらに好ましい。
【0018】
本発明の皮革様シートの表面塗布用水性液は、乾燥して得られるフィルムの20%モジュラスが0.4〜4MPaであることが、得られる皮革様シートの風合いがより優れることから好ましい。20%モジュラスが0.5〜3.5MPaであることがより好ましく、0.6〜3MPaであることがさらに好ましい。
【0019】
また、本発明の皮革様シートの表面塗布用水性液は、顔料を含有していることが、銀面層の発色性・鮮明性が優れることから好ましい。
さらに、本発明の皮革様シートの表面塗布用の水性液は、本発明の効果を損なわない限り、さらに、浸透剤、消泡剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防黴剤、蛍光剤、染料、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、アクリルエマルジョンなどを適宜含有していてもよい。
【0020】
本発明の皮革様シートの表面塗布用水性液は、皮革様シート基体の表面に塗布し銀面部を形成させて用いる。この際、皮革様シートの表面に本発明の表面塗布用水性液による銀面部を形成後、凹凸模様のある熱プレスにより表面模様を形成させることが、優美で立体的な表面外観を有する皮革様シートが得られることから好ましい。
特に好ましい製法は、下記(I)〜(V)の工程をこの順序で行う製造方法である。
(I)0.5デシテックス以下の極細繊維が3次元絡合した不織布と、それに充填された高分子弾性体からなる基体を製造する工程;
(II)該基体表面を起毛する工程;
(III)該起毛表面に本発明の表面塗布用水性液を塗布し、乾式固化させる工程;
(IV)得られた皮革様シートの表面に、熱プレスにより凹凸模様を付与する工程;
(V)さらに、皮革様シートを熱水中で処理する工程。
なお、工程(II)は省略してもよく、工程(III)は連続状または非連続状に塗布しても良い。また、工程(II)および(III)の間で、基体表面に浸透剤を処理しても良い。
【0021】
このようにして得られた皮革様シートは、0.5デシテックス以下の極細繊維からなる3次元絡合不織布とそれに充填された高分子弾性体からなる基体の表面の一部または全部に銀面部が形成されている。特に、該極細繊維からなる立毛部と銀面部が混在している表面部が形成されていることが好ましく、銀面部に極細繊維とポリウレタンが混在していることも好ましい。
【0022】
本発明の皮革様シートを構成する繊維としては、特に限定されるものではなく、公知のセルロース系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維などの合成繊維、天然繊維、再生繊維、半合成繊維等が挙げられ、これら繊維は単独であっても、あるいは複数種が混合使用されていてもよい。
【0023】
良好なハンドリング性、さらに天然皮革様の柔軟性や風合い、手触り感を得るためには、表面立毛繊維の繊度は0.5デシテックス以下が好ましく、さらに優れた外観を得るためには0.2デシテックス以下がより好ましい。特に本発明において基体層を構成する繊維としては、単繊度が0.2デシテックス以下の極細繊維を数本〜数百本収束して、極細繊維束単位でのトータルデシテックスが0.5〜50デシテックスである繊維を用いることが、極細繊維束の柔軟性やヌバック調半銀調の皮革様シートを得る場合には立毛性の点でさらに好ましい。ト−タルデシテックスが、0.5デシテックス未満であれば十分な立毛性、ライティング効果及び十分な耐磨耗性が得られ難く、50デシテックスを越えると風合いが硬くなる傾向がある。
【0024】
このような極細繊維束は、相溶性を有しない2種以上のポリマーを混合して溶融して紡糸口金から吐出して延伸することにより、あるいは該ポリマーを別々に溶融して溶融物を紡糸口金で合せて吐出して延伸することにより、繊維断面が海島構造、あるいは多層張り合わせ構造となる、いわゆる極細繊維発生型繊維を製造し、この繊維から海成分ポリマーを除去、あるいは層間で剥離、または片方の層を除去することにより得られる。なお、本発明では、柔軟な風合いおよび表層とのシボバランスの点で、繊維質基材に高分子弾性体を含有せしめた後に、繊維を極細化することが好ましい。
この極細繊維発生型繊維を構成する島成分ポリマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類等が挙げられ、また海成分ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリスチレン及びこれらの繰り返し単位を構成単位の一部とする共重合体、共重合ポリエステルなどが挙げられる。
このような繊維をカードにかけてウエッブとし、得られたウエッブをニードルパンチによりまたは高圧水流を付与することにより3次元絡合不織布とする。3次元絡合不織布の目付としては、500〜1500g/m2が好ましい。
【0025】
このような3次元絡合の不織布内に付与する高分子弾性体と該高分子弾性体の付与方法は従来公知の樹脂および付与方法が採用できる。高分子弾性体として、たとえばポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、およびこれらの共重合体並びにこれらの混合物等の中から目的用途に応じて選択することができるが、柔軟性と充実感に優れるといった点からポリウレタン系樹脂が好ましく用いられる。付与方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記した樹脂の有機溶剤溶液や、水性エマルジョン、非水性エマルジョンなどを不織布に含浸後、非溶剤中で凝固させたり乾熱乾燥を行ったりする方法を用いることができる。
高分子弾性体の付与量については特に限定されるものではないが、風合いのバランスの点から、基体層の繊維布帛を構成する繊維と高分子弾性体との重量比が30/70〜95/5の範囲内であることが好ましく、50/50〜90/10の範囲内であることがより好ましい。基体層で繊維の比率が低くなりすぎるとゴムライクな風合いとなり好ましくなく、また、繊維の比率が高くなりすぎるとペーパーライクとなり、目標とする天然皮革様の風合いが得られない。
【0026】
基体層の厚みとしては、0.3〜2.0mmが天然皮革調のものが得られやすいことから好ましい。また、目付としては、皮革様の風合いおよび充実感の点で好ましくは120〜1600g/m2、さらに好ましくは200〜1200g/m2の範囲である。ヌバック調または半銀調の皮革様シートを得る場合には、基体層の表面にはサンドペーパーまたは針布によるバフィングにより繊維立毛が形成される。繊維立毛は均一でスエード調のライティングのある優美な外観のものが好ましい。
基体層の表面の繊維立毛状態すなわち繊維立毛長はその製品の用途および要求される外観によって変わるが、通常繊度の太いものは長めに、また繊度の細いものは短くするのが、表面のライティングを美しくする点で効果的である。
【0027】
起毛後の基体の表面に、本発明の表面塗布用水性液を塗布した後、乾燥を行うことにより銀面部が形成される。表面塗布用水性液の塗布方法としては、グラビアコート法、ナイフコート法等の公知の方法のいずれも使用可能であるが、基体の表面に銀面部のみを形成する場合には、ナイフコート法が好ましく用いられ、基体の表面に、極細繊維からなる立毛部と銀面部が混在している表面部を形成させたり、さらに該銀面部に極細繊維とポリウレタンを混在させる場合には、樹脂の塗布された部分と塗布されない部分を基体表面に造ることが可能な、グラビアコート法が好ましい。ナイフコート法を用いると表面全体を樹脂で覆うことになり、銀面部分と立毛部の混在したヌバック調を表現出来ない。
銀面部の厚みは5〜250μmであることが、表面磨耗と風合いの点から好ましい。特にヌバック調皮革様シートの場合には、表面の立毛部と銀面部の風合いのバランスの点から、銀面部の厚みが5〜20μmであることが好ましく、8〜15μmであることがより好ましい。表面塗布用水性液の塗布量としては、ポリウレタン換算で3〜300g/m2の範囲が好ましい。
【0028】
また、皮革様シート表面に占める銀面部と立毛部の面積割合としては銀付調、半銀調あるいはヌバック調等所望の皮革様シートを得るために適宜調整可能であるが、銀面部/立毛部=100/0〜50/50の範囲が好ましく、90/10〜50/50の範囲がより好ましい。上記範囲より立毛部の占める割合が増すとスエード調皮革様シートになり、銀面部を有する特徴がなくなる傾向がある。また、本発明において、銀面部と立毛部が混在している表面部を有する場合には、連続する立毛部上にスポット状に銀面部が存在している状態であっても、また連続する銀面部上にスポット状に立毛部が存在している状態であっても、さらに立毛部も銀面部も共にスポット状に存在していてもよい。要するに、立毛部と銀面部が表面に混在していればよく、これら全てをあわせて本発明では「不連続状」と称している。立毛部と銀面部の混在状態としては、皮革様シートの表面上任意の直径5mm、特に1mmの円を確認した場合に、いずれの円にも、立毛部と銀面部が存在しているような混在状態が好ましい。
【0029】
なお、表面塗布用水性液を塗布する前に基体表面に浸透剤を処理しておいたり、表面塗布用水性液に浸透剤を添加したりすると、表面塗布用水性液が基体中に引き込まれ、銀面部に極細繊維とポリウレタンが存在するようになる。
用いうる浸透剤としては、湿潤剤、浸透剤、またはレベリング剤として当業者に周知のものが使用できる。これらの中でもスルホコハク酸ジー2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩、スルホコハク酸ジオクチルエステルナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩型アニオン界面活性剤:ラウリル硫酸エステルナトリウム、硫酸化オレイン酸ブチルエステルナトリウム塩、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等の硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤:ポリエチレングリコールーモノー4―ノニルフエニルエーテル、ポリエチレングリコールーモノーオクチルエーテル、ポリエチレングリコールーモノーデシルエーテル等のHLB価6〜16のポリエチレングリコール型ノニオン界面活性剤:フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤から選ばれる1種以上を用いることが望ましい。浸透剤を基体に付与する方法は、グラビアコート法、ナイフコート法、スプレー法、含浸法、転写法の何れでもよいが、付与の均一性の点から含浸法及びグラビアコート法が好ましい。浸透剤の基体への付与量としては、有効成分付着量で0.5〜5.0g/m2の範囲が、より好ましくは1.0〜3.0g/m2の範囲が、得られる皮革様シートの風合いと表面物性の点で好ましい。0.5g/m2に満たない場合は、表面塗布用水性液が基体層内部まで均一に十分浸透せず、5.0g/m2を越えても浸透効果はあまり変わらず付着量のみが増える傾向を示す。また、浸透剤を表面塗布用水性液に添加する場合には、表面塗布用水性液中で浸透剤有効成分が0.001〜5wt%であることが好ましく、0.01〜4wt%であることがより好ましく、0.1〜3wt%であることがさらに好ましい。
【0030】
次に前記シートを凹凸模様のある熱プレスにより処理し、表面模様を形成させる。凹凸模様のある熱プレスで処理する方法は、表面に凹凸模様を有するエンボスロールを使用してロール表面に皮革様シート表面を熱圧着させる方法が好ましい。この表面の凹凸模様は熱水処理時のシワの発性起点にもなり、目的に応じた模様を選択すればよい。
その後に行う熱水処理は、染色処理を兼ねていてもよい。例えば分散染料、酸性染料、含金錯体染料、硫化染料を含有する水溶液中で処理する。熱水処理機としては、ウインス染色機、ジガー染色機、高圧液流染色機などのいずれを用いても良いが、特に効果のある方法として、高圧液流染色機を用い熱水流と共に皮革様シートを狭いノズルを通過させる方法が、風合いおよび、自然なシワ付けの点で好ましい。
熱水処理の際に天然皮革ライクな揉みシワを付与するには、処理中にタテ、ヨコ寸法共に2〜10%収縮させるのがよい。熱水処理条件としては40℃〜150℃の熱水浴中に1分〜90分浸漬する方法が一般的である。
得られたシートは、さらに必要に応じて揉み処理、整毛処理等を加えることにより、さらに柔軟で充実のあるかつ、表面摩耗性に優れた銀付調、半銀調またはヌバック調人工皮革が得られる。
【0031】
【実施例】
次に本発明の実施態様を具体的な実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
[ウレタンエマルジョンの平均粒子径]
大塚電子株式会社製「ELS−800」を使用して動的光散乱法により測定し、キュムラント法(東京化学同人社発行「コロイド科学 第IV巻 コロイド科学実験法」第103頁に記載)により解析して、エマルジョン中の粒子の平均粒子径を求めた。
【0033】
[マーチンデール法の摩耗減量の測定]
JIS L 1096(6.17.5E法 マーチンデール法)にて測定。押圧荷重12kPa、摩耗回数1万回、測定数4回の平均値で表す。
【0034】
《繊維質基体の製造》
[参考例1]
ポリエチレンテレフタレート(島成分)とポリエチレン(海成分)からなる繊度6デシテックスの複合紡糸繊維の絡合不織布にポリエーテル系ポリウレタンの14%濃度のDMF溶液を含浸し、DMF/水混合溶液に浸漬して該ポリウレタンを凝固した。
次いでトルエン中で処理して繊維中のポリエチレンを溶解除去し、該巾の10%巾出し、その後140℃で乾燥し、ポリエチレンテレフタレートの極細繊維束状繊維(顕微鏡写真から求めた平均単繊維度0.02デシテックス)の絡合不織布にポリウレタンエラストマーが充填された厚さ1.3mm、目付470g/m2の繊維質シートを得た。
この繊維質シートの一面に200メッシュのグラビアロールを使用して、DMFとシクロヘキサノンの50対50混合溶剤を18g/m2塗布し、乾燥した。この混合溶剤塗布面を粒度400番のサンドペーパーでバフィングを行い、表面の繊維を起毛して、極細繊維立毛が形成された立毛繊維質シートを得た。
【0035】
《ポリウレタンエマルジョンの製造》
[参考例2]
フラスコに、数平均分子量が2000のポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール 300g、2,2−ジメチロールブタン酸8.89gおよびイソホロンジイソシアネート82.7gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で3時間撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート基末端のプレポリマーを得た。これに2−ブタノン204gを加えて均一に撹拌した後、35℃にフラスコ内温度を下げ、トリエチルアミン5.77gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム8.34gを蒸留水301gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、蒸留水350gを追加して30秒間撹拌し、次いでヒドラジン・1水和物2.19g、イソホロンジアミン7.45gおよびジエチレントリアミン4.01gを蒸留水150gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った.その後、2−ブタノンをロータリーエバポレーターにより除去し、樹脂骨格中にポリウレタン100g当たりカルボキシル基を15mmolの割合で含有した、平均粒子径110nm、樹脂濃度33重量%のポリウレタンエマルジョンを得た(以後、PU▲1▼と呼ぶ)。なお、PU▲1▼から作成した厚さ500μmのキャストフィルムは透明であった。
【0036】
[参考例3]
参考例2において、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオールの代わりに数平均分子量が2000のポリテトラメチレングリコールを用いること以外は、参考例2と同様に実施して、樹脂骨格中にポリウレタン100g当たりカルボキシル基を15mmolの割合で含有した、平均粒子径100nm、樹脂濃度33重量%のポリウレタンエマルジョンを得た(以後、PU▲2▼と呼ぶ)。なお、PU▲2▼から作成した厚さ500μmのキャストフィルムは透明であった。
【0037】
[参考例4]
フラスコに、数平均分子量が2000のポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール 300g、2,2−ジメチロールブタン酸8.33gおよびイソホロンジジイソシアネート66.7gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で4時間撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート基末端のプレポリマーを得た。これに2−ブタノン271gを加えて均一に撹拌した後、35℃にフラスコ内温度を下げ、トリエチルアミン5.52gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム7.84gを蒸留水326gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、蒸留水269gを追加して30秒間撹拌し、次いでヒドラジン・1水和物1.27g、イソホロンジアミン4.31gおよびジエチレントリアミン2.32gを蒸留水163gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った.その後、2−ブタノンをロータリーエバポレーターにより除去し、樹脂骨格中にポリウレタン100g当たりカルボキシル基を15mmolの割合で含有した、平均粒子径190nm、樹脂濃度33重量%のポリウレタンエマルジョンを得た(以後、PU▲3▼と呼ぶ)。なお、PU▲3▼から作成した厚さ500μmのキャストフィルムは透明であった。
【0038】
[参考例5]
フラスコに、数平均分子量が2000のポリテトラメチレングリコール 250g、2,2−ジメチロールブタン酸18.5gおよびイソホロンジイソシアネート87.8gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で4時間撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート基末端のプレポリマーを得た。これに2−ブタノン189gを加えて均一に撹拌した後、35℃にフラスコ内温度を下げ、トリエチルアミン12.0gを加えて20分間撹拌を行った。次いで、蒸留水598gを前記プレポリマーに加えて撹拌して乳化を行った後、すぐにヒドラジン・1水和物2.62g、イソホロンジアミン8.90gおよびジエチレントリアミン1.80gを蒸留水139gに溶解した水溶液を加えて1時間撹拌し、鎖伸長反応を行った.その後、2−ブタノンをロータリーエバポレーターにより除去し、樹脂骨格中にポリウレタン100g当たりカルボキシル基を34mmolの割合で含有した、平均粒子径50nm、樹脂濃度33重量%のポリウレタンエマルジョンを得た(以後、PU▲4▼と呼ぶ)。なお、PU▲4▼から作成した厚さ500μmのキャストフィルムは透明であった。
【0039】
[参考例6]
フラスコに、数平均分子量が2000のポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール 300gおよびイソホロンジジイソシアネート66.7gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で3時間撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート基末端のプレポリマーを得た。これに2−ブタノン188gを加えて均一に撹拌した後、35℃にフラスコ内温度を下げた。次いで、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム11.5gおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル11.5gを蒸留水277gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、蒸留水318gを追加して30秒間撹拌し、次いでヒドラジン・1水和物2.03g、イソホロンジアミン6.90gおよびジエチレントリアミン3.72gを蒸留水139gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌し、鎖伸長反応を行った.その後、2−ブタノンをロータリーエバポレーターにより除去し、樹脂骨格中にカルボキシル基を含有しない、平均粒子径780nm、樹脂濃度33重量%のポリウレタンエマルジョンを得た(以後、PU▲5▼と呼ぶ)。なお、PU▲5▼から作成した厚さ500μmのキャストフィルムはやや白濁し半透明であった。
【0040】
[実施例1]
参考例1で得られた繊維質基材に、浸透剤としてポリフローKL260(共栄社化学株式会社製)の1.5%水溶液を含浸後、乾燥し、有効成分付着量で1.5g/m2付与した。次いで、水系エマルジョンとして参考例2で得られたPU▲1▼100g、ポリカルボジイミド系架橋剤(日清紡績株式会社製「E−01」)3.5g、水性顔料(大日本インキ化学工業株式会社製「Ryudye−W Brown FFR」30gおよび蒸留水120gからなる水性液を70メッシュのグラビアロールで1回、固型分付着量で7.5g/m2、塗布した後140℃で30分間乾燥した。次に、表面に凹凸模様を有するエンボスロールを使用して、165℃、0.4MPaの条件で皮革様シート表面にエンボスロールを熱圧着させて、皮革様シート表面に凹凸模様を形成させた。その後、高圧液流染色機を用いて130℃の熱水中で60分間処理した後、乾燥した。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=70/30の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
また、皮革様シート表面には凹凸模様が形成されており、熱水処理により凹凸模様が消失することはなかった。銀面部の発色性および鮮明性も良好であり、高級感のあるヌバック調の皮革様シートであった。
さらに、このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ1万回での減量は6mgで、表面のピリングもなく、カーシート、インテリア用として充分耐えうるものであった。
【0041】
[実施例2]
参考例1で得られた繊維質基材に、水系エマルジョンとして参考例3で得られたPU▲2▼100g、ポリカルボジイミド系架橋剤(日清紡績株式会社製「E−02」)3.5g、水性顔料(大日本インキ化学工業株式会社製「Ryudye−W Brown FFR」30g、浸透剤(共栄社化学株式会社製「ポリフローKL260」)3gおよび蒸留水120gからなる水性液を塗布すること以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=70/30の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
また、皮革様シート表面には凹凸模様が形成されており、熱水処理により凹凸模様が消失することはなかった。銀面部の発色性および鮮明性も良好であり、高級感のあるヌバック調の皮革様シートであった。
さらに、このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ1万回での減量は4mgで、表面のピリングもなく、カーシート、インテリア用として充分耐えうるものであった。
【0042】
[実施例3]
実施例2において、PU▲2▼の代わりに参考例4で得られたPU▲3▼を用いること以外は実施例2と同様にして、皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=70/30の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
また、皮革様シート表面には凹凸模様が形成されており、熱水処理により凹凸模様が消失することはなかった。銀面部の発色性および鮮明性も良好であり、高級感のあるヌバック調の皮革様シートであった。
さらに、このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ1万回での減量は8mgで、表面のピリングもなく、カーシート、インテリア用として充分耐えうるものであった。
【0043】
[比較例1]
実施例2において、ポリカルボジイミド系架橋剤(日清紡績株式会社製「E−02」)を用いないこと以外は、実施例2と同様にして皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=65/35の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
しかし、熱水処理時に銀面部のポリウレタンが顔料とともに一部脱落したため、皮革様シート表面の凹凸模様がほとんど消えていた。顔料の脱落のため、銀面部の色は薄く発色性は不十分であった。
また、このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ、1万回での減量が23mgと多く、表面のピリングもあり、カーシート、インテリア用としては不十分なものであった。
【0044】
[比較例2]
実施例2において、PU▲2▼の代わりに参考例5で得られたPU▲4▼を用いること以外は実施例2と同様にして、皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=65/35の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
しかし、熱水処理時に銀面部のポリウレタンが顔料とともに若干脱落し、またポリウレタンが熱水により膨潤し変形したため、皮革様シート表面の凹凸模様がほとんど消えていた。顔料の脱落のため、銀面部の色はやや薄く発色性はやや不十分であった。
また、このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ、銀面部のポリウレタンが一部脱落しているため、1万回での減量が14mgとやや多く、表面のピリングもややあり、カーシート、インテリア用としてはやや不十分なものであった。
【0045】
[比較例3]
比較例2において、ポリカルボジイミド系架橋剤(日清紡績株式会社製「E−02」)の配合量を7gとすること以外は、比較例2と同様にして皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=70/30の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
しかし、銀面部を形成しているポリウレタンの架橋量が多過ぎるため、エンボスロールによる熱プレス時に皮革様シート表面への凹凸模様の形成が不十分であった。銀面部の発色性および鮮明性は良好であった。
また、このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ、1万回での減量は3mgであった。
【0046】
[比較例4]
ポリカルボジイミド系架橋剤(日清紡績株式会社製「E−02」)を用いないこと以外は、比較例2と同様にして皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=60/40の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
しかし、熱水処理時に銀面部のポリウレタンが顔料とともに大量に脱落したため、皮革様シート表面の凹凸模様が完全に消えていた。顔料の脱落のため、銀面部の色は非常に薄く発色性は非常に低いものであった。
また、このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ、銀面部のポリウレタンが脱落しているため、1万回での減量が46mgと多く、表面のピリングも激しく、カーシート、インテリア用としては不十分なものであった。
【0047】
[比較例5]
比較例1において、PU▲2▼の代わりに参考例6で得られたPU▲5▼を用いること以外は、比較例1と同様にして、皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は表面塗布用水性液に由来するポリウレタンと極細繊維の混在した銀面部分と、該極細繊維の立毛部が銀面部/立毛部=65/35の面積割合で、任意の直径1mmの円内いずれも立毛部と銀面部が存在しているように混在していた。
しかし、熱水処理時に銀面部のポリウレタンが顔料とともに少量脱落し、皮革様シート表面の凹凸模様がやや小さくなっていた。また、ポリウレタンの平均粒子径が大きく皮膜の透明性が低いことから、皮革様シート表面の銀面部がくすんだ色となり、鮮明性が劣っていた。
このヌバック調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ、1万回での減量は10mgであった。
【0048】
[実施例4]
参考例1で得られた繊維質基材に、水系エマルジョンとして参考例3で得られたPU▲2▼100g、ポリカルボジイミド系架橋剤(日清紡績株式会社製「E−01」)3.5g、水性顔料(大日本インキ化学工業株式会社製「Ryudye−W Brown FFR」20gおよび蒸留水120gからなる水性液を、固型分付着量で50g/m2、ナイフコート法で塗布した後140℃で30分間乾燥した。次に、表面に凹凸模様を有するエンボスロールを使用して、165℃、0.4MPaの条件で皮革様シート表面にエンボスロールを熱圧着させて、皮革様シート表面に凹凸模様を形成させた。その後、高圧液流染色機を用いて100℃の熱水中で60分間処理した後、乾燥した。
得られた皮革様シートの表面は、表面塗布用水性液に由来するポリウレタンが全体に銀面部を形成していた。また、皮革様シート表面には凹凸模様が形成されており、熱水処理により凹凸模様が消失することはなかった。銀面部の発色性および鮮明性も良好であり、高級感のある銀付き調の皮革様シートであった。
さらに、この銀付き調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ1万回での減量は3mgと非常に良好であった。
【0049】
[比較例6]
実施例4において、PU▲2▼の代わりに参考例5で得られたPU▲4▼を用いること以外は実施例4と同様にして、皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は、表面塗布用水性液に由来するポリウレタンが全体に銀面部を形成していた。しかし、熱水処理時に銀面部のポリウレタンが熱水により膨潤し変形したため、皮革様シート表面の凹凸模様がほとんど消えていた。銀面部の発色性および鮮明性は良好であった。
また、この銀付き調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ、1万回での減量は5gであった。
【0050】
[比較例7]
比較例6において、ポリカルボジイミド系架橋剤(日清紡績株式会社製「E−01」)の配合量を7gとすること以外は、比較例6と同様にして、皮革様シートを得た。
得られた皮革様シートの表面は、表面塗布用水性液に由来するポリウレタンが全体に銀面部を形成していた。しかし、銀面部を形成しているポリウレタンの架橋量が多過ぎるため、エンボスロールによる熱プレス時に皮革様シート表面への凹凸模様の形成が不十分であった。銀面部の発色性および鮮明性は良好であった。
また、この銀付き調皮革様シートの表面をマーチンデール法で測定したところ、1万回での減量は2gであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の皮革様シートの表面塗布用の水性液により、離型紙を用いることなく皮革様シートの表面に凹凸模様を有する銀面層を形成することができる。また、該水性液を用いることにより、優雅な外観と優れた耐表面摩耗性能を有する銀付調、半銀調またはヌバック調人工皮革を製造することができる。
Claims (10)
- ポリウレタンエマルジョンおよび架橋剤から主としてなる、皮革様シートの銀面部を形成するための表面塗布用水性液であって、ポリウレタンエマルジョン中のポリウレタンが、樹脂骨格中にポリウレタン100g当たり、カルボキシル基を5〜25mmolの割合で含有することを特徴とする表面塗布用水性液。
- ポリウレタンの平均粒子径が500nm以下である請求項1に記載の表面塗布用水性液。
- ポリウレタンエマルジョンが、水性液中で界面活性剤の存在下にイソシアネート末端ウレタンプレポリマーに鎖伸長剤を反応させて調製したポリウレタンエマルジョンである請求項1または2に記載の表面塗布用水性液。
- 架橋剤がポリウレタンと反応する架橋性基としてカルボジイミド基を含有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面塗布用水性液。
- 皮革様シートの表面塗布用水性液が、さらに顔料を含有している請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面塗布用水性液。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面塗布用水性液を基体の少なくとも片面に塗布して銀面部を形成させる皮革様シートの製造方法。
- 皮革様シートの表面に表面塗布用水性液による銀面部を形成後、凹凸模様のある熱プレスにより、表面模様を形成させる請求項6に記載の皮革様シートの製造方法。
- 請求項6または7の製造方法により得られる皮革様シート。
- 0.5デシテックス以下の極細繊維からなる3次元絡合不織布とそれに充填された高分子弾性体からなる基体の表面に、該極細繊維からなる立毛部と銀面部が混在している表面部が形成されている請求項8に記載の皮革様シート。
- 銀面部に極細繊維とポリウレタンが混在している請求項9に記載の皮革様シート。
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