JP4983680B2 - 銀付調シート状物 - Google Patents

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本発明は、製造方法に有機溶剤を使用しない環境対応のシート状物であって、基体層と銀面層の間の剥離強力が良好であり、かつ高級な表面品位を有する銀付調シート状物に関するものである。
繊維質基体上にポリウレタン等の樹脂をコーティング、またはラミネートして形成される、いわゆる銀付と呼称される合成皮革は天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く利用されている。特に近年では、衣料、雑貨以外にも家具、自動車内装材といった用途でも使用が年々広がってきているが、用途が拡大するにつれて従来は要求のなかった高性能が求められている。例えば、より天然皮革に近い高品位、より柔軟、より高耐久、さらには製造工程での有機溶剤不使用や最終製品での揮発性有機溶剤(VOC)の発生がほとんどないといった環境対応といった様々な要求が強く求められている。
このような要求の中で、例えば、天然皮革に近い品位と柔軟性を特許文献1では検討している。基体層を構成する極細繊維層と、織編物層の厚み方向に対する割合を規定し、さらにポリウレタンシートを極細繊維層と織編物層の間に挿入することで、柔軟性と天然皮革に類似したシボ感を発現し、さらに銀面層にシリコン変性ポリウレタンを適用することで、表面の耐摩耗性を向上しているものである。
銀面層にシリコン変性ポリウレタンを用いることで、表面の滑りを向上して耐摩耗性を発現しているものであるが、シリコン変性ポリウレタンの滑り性は同時に基体層と銀面層との剥離強力を低下させることとなり、銀付調皮革様シートとしての耐久性を考えた場合、実用に耐えるものではなく、例えば強い摩擦力がかかる自動車シート用途等への適用はできないものである。
また、銀付調シート状物は銀面層と基体層との剥離強力を向上することが実用に耐える耐久性として非常に重要であるが、それに対して銀面層を有さない銀付調シート状物の検討がなされている。
例えば、特許文献2では極細繊維からなる不織布の内部に水分散性ポリウレタンを有する構成とし、水分散性ポリウレタンの不織布内部での存在位置をシート表層部分に集中させることで不織布表層に銀面に類似した外観を形成させるものである。製造工程に有機溶剤を使用しないため、環境対応素材であり、さらに銀面層と基体層は一体化した構造であるため、実用においても銀面層の剥離はないものであるが、表面の品位の制御は難しく、天然皮革並の高品位は発現しにくい。
すなわち、製造方法に有機溶剤を使用しない環境対応素材であって高級感のある品位と、基体層と銀面層との間の剥離強力が良好な銀付調シート状物が求められているが、これらの要求を満足する銀付調シート状物はまだ得られていない。
特開2007−162170号公報 特開2007−46183号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、製造方法に有機溶剤を使用しない環境対応のシート状物であって、基体層と銀面層の間の剥離強力が良好であり、かつ高級な表面品位を有する銀付調シート状物を提供するものである。
すなわち、本発明の銀付調シート状物は、「平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維からなる不織布に自己乳化型ポリウレタンを含有した基体層と、銀面層とからなる銀付調シート状物であって、不織布に含有される該自己乳化型ポリウレタンが分子構造内にシロキサン結合による架橋構造を有するポリウレタンであり、かつ銀面層が分子構造内にシロキサン結合による架橋構造を有する自己乳化型ポリウレタンからなることを特徴とする銀付調シート状物」である。
本発明によれば、製造方法に有機溶剤を使用しない環境対応のシート状物であって、基体層と銀面層の間の剥離強力が良好であり、かつ高級な表面品位を有する銀付調シート状物を得ることができる。
本発明でいう銀付調シート状物とは、少なくとも極細繊維からなる不織布を含む基体層と、基体層上の銀面層とからなるシート状物であって、天然皮革の銀面のような優れた表面外観を有するものである。
まず初めに基体層について述べる。
基体層は、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維からなる不織布に自己乳化型ポリウレタンを含有しているものである。
基体層を構成する不織布を構成する極細繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどのポリエステル、6−ナイロン、66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種合成繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル繊維を用いることが好ましい。
また、不織布は異なる素材の極細繊維が混合されて構成されていてもよく、また不織布の内部に、強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を挿入してもよい。なお、織物や編物を構成する繊維の平均単繊維繊度は特に限定はなく、0.001dtex以上5dtex以下の繊維であってもよい。
不織布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度としては、銀付調シート状物の柔軟性の観点から0.001dtex以上0.5dtex以下であることが重要である。好ましくは0.3dtex以下、より好ましくは0.2dtex以下である。一方、基体層と銀面層の剥離強力向上の観点からは、繊度が小さすぎると容易に繊維が切断してしまい、剥離強力は低下することから、0.005dtex以上であることが好ましい。
なお、不織布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は、極細繊維の断面が円形または円形に近い楕円形の場合は、銀付調シート状物断面の基体層部分において、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、極細繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して素材ポリマーの比重から繊度に換算し、さらにその100本の平均値を計算することで算出される。
一方、不織布を構成する極細繊維が異形断面の場合は、同様にして、異形断面の外周円直径を繊維径として算出する。さらに、円形断面と異形断面が混合している場合、繊度が大きく異なるものが混合している場合等は、それぞれが同数程度となるように100本を選び、算出する。
不織布を構成する極細繊維の繊度の均一性に関しては、極細繊維の繊度CVが10%以下であることが好ましい。ここで繊度CVとは、繊維束を構成する繊維の繊度標準偏差を束内の平均単繊維繊度で割った値を百分率(%)表示したものであり、値が小さいほど均一であることを示すものである。繊度CVを10%以下とすることで、基体層の柔軟性は全体的に均一になり、部分的な柔軟性の差は発生しにくくなる。極細繊維の断面が円形または円形に近い楕円形でない場合の繊度CVは、平均単繊維繊度の算出と同様の方法による。
極細繊維の断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形、十字型などの異形断面のものを採用してもよい。
基体層を構成する不織布は、短繊維不織布、長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いをより重視する場合には、短繊維不織布が好ましい。また、短繊維不織布においては、短繊維の繊維長は繊維の絡合による不織布の物理的強度を考慮して、25mm以上90mm以下であることが好ましい。
基体層は、このような不織布に、弾性樹脂バインダーとして自己乳化型ポリウレタン水分散液を含浸して当該自己乳化型ポリウレタンが当該不織布の内部空間に存在する構成としたものである。当該不織布の内部空間に自己乳化型ポリウレタンが存在することにより、不織布を構成する極細繊維を把持して引張強力、引裂強力等の物理特性を向上し、さらに適度な反発感を示すことによって銀付調シート状物の手持ち感を発現することができる。
当該不織布の内部空間に含有される自己乳化型ポリウレタンは、自己乳化型ポリウレタン水分散液から得られるものであり、本発明においては自己乳化型ポリウレタン水分散液を不織布に含浸することで不織布の内部空間に存在させることができる。自己乳化型ポリウレタン水分散液とは、界面活性剤等の乳化剤を用いなくても安定に水分散しているポリウレタン水分散液のことであり、自己乳化型ポリウレタン分子構造内に親水性の、いわゆる内部乳化剤を有するものである。
なお、自己乳化型ポリウレタンは、通常、水に分散した状態で取り扱われ、メーカーからもこの状態で入手できるが、これは一旦乾燥すると再度水に分散させることが不可能となるためである。
内部乳化剤は、4級アミン塩等のカチオン系、スルホン酸塩、カルボン酸塩等のアニオン系、ポリエチレングリコール等のノニオン系、およびカチオン系とノニオン系の組み合わせ、アニオン系とノニオン系の組み合わせのいずれでもよいが、カチオン系内部乳化剤は、黄変等の耐光性に劣り、アニオン系内部乳化剤は、中和剤による弊害が発生する可能性があるため、ノニオン系内部乳化剤であることが好ましい。
すなわち、アニオン系内部乳化剤を使用する場合は中和剤が必要となるが、例えば、中和剤がアンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミンである場合は、製膜・乾燥時の熱によってアミンが発生・揮発し、系外へ放出される。そのため、大気放出や作業環境の悪化を抑制するために揮発するアミンを回収する装置の導入が必須となる。また、アミンは加熱によって揮発せずに最終製品であるシート状物中に残留した場合、製品の焼却時等に環境へ排出されることも考えられるが、ノニオン系内部乳化剤は中和剤を使用しないため、アミン回収装置を導入する必要はなく、アミンのシート状物中への残留の心配もない。また、中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物等である場合、自己乳化型ポリウレタン部分が水に濡れるとアルカリ性を示すこととなるが、ノニオン系内部乳化剤は中和剤を使用しないため、自己乳化型ポリウレタンの加水分解による劣化を心配する必要もない。
本発明に使用する自己乳化型ポリウレタンは、内部乳化剤以外にポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤、内部架橋剤を適宜反応させた構造を有するものを用いることができる。
ポリオールとしては、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオール、フッ素系ジオールや、これらを組み合わせた共重合体を用いてもよい。中でも耐加水分解性の観点から、ポリカーボネート系ジオール、ポリエーテル系ジオールを用いることが好ましく、さらに耐光性、耐熱性といった観点から、ポリカーボネート系ジオールがより好ましい。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、などの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネートジオールでも2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネートジオールのいずれでも良い。
ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系が挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系が好ましい。
鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、メチレンビスアニリン等のアミン系、エチレングリコール等のジオール系、さらにはポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることができる。
内部架橋剤とは、自己乳化型ポリウレタン分子の一部として自己乳化型ポリウレタンを合成する際にあらかじめ分子構造内に導入しておく架橋反応可能な官能基を有する化合物のことであり、本発明では、シラノール基を自己乳化型ポリウレタン分子構造内に導入するために用いる化合物のことである。シラノール基を自己乳化型ポリウレタン分子構造内に導入することで、不織布の内部空間に存在する自己乳化型ポリウレタンはシロキサン結合による架橋構造を有することになり、自己乳化型ポリウレタンの耐加水分解性等の耐久性を飛躍的に向上することができる。また、後述する銀面層と基体層との剥離強力向上に寄与する。
シラノール基を自己乳化型ポリウレタン分子構造内に導入するために用いる化合物とは、1分子内に少なくとも1個のイソシアネート基と反応可能な活性水素基と加水分解性ケイ素基とを含有する化合物のことである。
加水分解性ケイ素基とは、水分により加水分解を受ける加水分解性基がケイ素原子に結合している基のことをいい、加水分解性基の具体例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等の一般に使用されている基が挙げられる。中でも、加水分解性が低く、比較的取扱が容易なアルコキシ基が好ましい。加水分解性基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合しているが、加水分解性シリル基の反応性、耐水性等から、2〜3個結合しているものが好ましい。
イソシアネート基と反応可能な活性水素基とは、メルカプト基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
活性水素基としてメルカプト基を有し、加水分解性基としてアルコキシ基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物は、例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、活性水素基としてアミノ基を有し、加水分解性基としてアルコキシ基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物は、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン等が挙げられる。中でも耐候性、耐加水分解性の観点から、自己乳化型ポリウレタン分子の中間部分に加水分解性ケイ素基を導入することが好ましく、さらに2個以上の活性水素基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物が好ましい。
前記加水分解性ケイ素基含有化合物が導入された自己乳化型ポリウレタンは、不織布の内部空間に存在した状態でシロキサン結合による架橋構造を含有する。この架橋構造により、自己乳化型ポリウレタンの耐久性を飛躍的に向上することができ、銀付調シート状物において、自己乳化型ポリウレタンの劣化による物理特性の低下を抑制することができる。さらには、後述する銀面層において、銀面層を形成する樹脂と基体層の自己乳化型ポリウレタン間にて架橋構造を形成する場合は、銀面層と基体層との間の剥離強力を飛躍的に向上することができる。
ここで、シロキサン結合となるためにはポリマーに直接結合しているシラノール基同士が縮合する必要がある。従って、シロキサン結合が存在するということは、シラノール基同士が縮合したものであり、ポリマー間を結合する架橋構造であることがわかる。
シロキサン結合の存在有無は、ポリウレタンのNMRによる測定において、シロキサン結合に起因するピークにより、確認できる。
シリコン原子の含有量はポリウレタン重量に対して0重量%よりも多く、1重量%以下であることが好ましい。シロキサン結合による架橋構造は多いほど自己乳化型ポリウレタンの耐加水分解性等の耐久性は向上するが、多すぎると自己乳化型ポリウレタンの柔軟性は低下し、銀付調シート状物の柔軟性が低下する。
なお、シリコン原子の含有量は、銀付調シート状物、または銀付調シート状物から抽出したポリウレタンの元素分析を行うことで、定量できる。
不織布内部に存在する自己乳化型ポリウレタンは単独であっても複数種が併用されていてもよく、また、他のポリマー等が併用されていてもよい。
他のポリマーとしては、例えば、アクリル系やシリコーン系等の水分散性や水溶性のポリマーが挙げられる。
当該不織布の内部空間に存在する自己乳化型ポリウレタンは、当該不織布を構成する極細繊維と実質的に密着しないことが好ましい。
極細繊維と自己乳化型ポリウレタンが実質的に密着していないことにより、自己乳化型ポリウレタンが極細繊維の動きを阻害しないため、銀付調シート状物は非常に柔軟となる。
ここでいう実質的に密着していないとは、銀付調シート状物の基体層断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率300倍で観察した際に、自己乳化型ポリウレタンが極細繊維に接着しておらず、自己乳化型ポリウレタンと極細繊維の間に空隙が存在することを確認できることをいう。部分的には接している場合もあるが、基本的には空隙があるものである。
自己乳化型ポリウレタンは、カーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、凝固調整剤等を含有していてもよい。
基体層重量に対する自己乳化型ポリウレタンの含有量は20重量%以上200重量%以下であることが好ましい。20重量%以上とすることで、シート強度を得て、かつ繊維の脱落を防ぐことができ、200重量%以下とすることで、風合いが必要以上に硬くなるのを防ぐことができる。より好ましくは30重量%以上180重量%以下である。
基体層は、例えば染料、顔料、柔軟剤、風合い調整剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、耐候剤等の機能性薬剤を含んでいてもよい。
次に銀面層について述べる。
銀面層を構成する樹脂は水分散型ポリウレタンである自己乳化型ポリウレタンである。強制乳化型ポリウレタンを用いた場合、エマルジョン間に界面活性剤が残存することによる耐水性や耐摩耗性の低下、さらには界面活性剤のブリードアウトによるべとつきが発生するため、好ましくない。
銀面層を構成する自己乳化型ポリウレタンは、基体層で用いた自己乳化型ポリウレタンを用いることができる。すなわち、前述と同様のポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤、内部乳化剤を適宜反応させた構造を有するものを用いることができ、それぞれ前述したものを用いることができる。
中でもポリオールは耐光性、耐加水分解性といった耐久性と、耐摩耗性の観点から、ポリカーボネート系ポリオールが好ましく、ポリイソシアネートは耐黄変性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系が好ましい。
自己乳化型ポリウレタンの耐加水分解性、耐光性等の耐久性を向上し、さらに銀面層と基体層間の剥離強力向上を目的として、架橋剤を併用することができる。架橋剤は、内部架橋剤であっても第3成分として添加する外部架橋剤であってもよいが、より均一にポリウレタン内部を架橋でき、自己乳化型ポリウレタンが比較的硬化しにくい内部架橋剤であることが好ましい。
外部架橋剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート、ブロックイソシアネート、カルボジイミド、オキサゾリン基、シラノール基等の反応性官能基を有する樹脂を用いることができる。
内部架橋剤としては、特に限定はないが基体層と同様にシラノール基を用いることが好ましい。シラノール基を用いることにより形成されるシロキサン結合による架橋は、銀面層を構成する自己乳化型ポリウレタンの柔軟性を保持したまま耐加水分解性、耐光性等の耐久性を向上することができる。さらに、基体層の内部にあるシラノール基を有する自己乳化型ポリウレタンと銀面層を構成するシラノール基を有する自己乳化型ポリウレタンとの間にもシロキサン結合による架橋構造を形成することができることによって、銀面層と基体層との間の剥離強力が著しく向上する。
銀面層を構成する自己乳化型ポリウレタンは単独であっても複数種が併用されていてもよく、また、他のポリマー等が併用されていてもよい。
他のポリマーとしては、例えば、アクリル系やシリコーン系等の水分散性や水溶性のポリマーが挙げられる。
また、銀面層を構成する自己乳化型ポリウレタンは、カーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、凝固調整剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤等を含有していてもよい。
さらに、銀面層は最表面に耐摩耗性や耐光性向上を目的としてトップコート層を有してもよい。トップコート層としては、ポリカーボネート系ポリウレタンを用いることができる。
銀面層の厚みは厚すぎると銀付調シート状物の柔軟性を損ない、薄すぎると耐摩耗性が低下することから、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましい。また、トップコート層も同様の理由により、0.01mm以上1mm以下であることが好ましい。
銀面層と基体層の間には、接着剤層が存在してもよい。
接着剤層は、接着できれば特に樹脂の限定はないが例えば、ポリウレタン、アクリル、天然ゴム等を用いることができるが、銀付調シート状物に含有される有機溶剤量を減らす観点から、水エマルジョン系、水溶性、無溶剤系の樹脂を用いることが好ましく、柔軟性の観点から、ポリウレタンが好ましい。
接着剤層は、ドット状に付与されていてもよく、ストライプ状、格子状等に付与されていてもよく、全面に付与されていてもよいが、銀付調シート状物の柔軟性を向上するためには、ドット状に付与されていることが好ましい。
次に、本発明の銀付調シート状物の製造方法の例を説明する。
本発明の銀付調シート状物の基体層の製造方法は、(1)〜(3)の工程を経て得られるものでもよい。
(1)アルカリ水溶液に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質の組み合わせからなる極細繊維発生型繊維を用いてシートを作成する工程。
(2)自己乳化型ポリウレタン水分散液をシートに含浸して、該自己乳化型ポリウレタンを付与する工程。
(3)該自己乳化型ポリウレタンを付与したシートをアルカリ水溶液で処理して極細繊維を発現せしめる工程。
工程は(1)(2)(3)の順に実施することで、自己乳化型ポリウレタンと極細繊維は実質的に密着していない構造を形成し、非常に柔軟な基体層を得ることができる。
不織布を構成する極細繊維を得る手段としては極細繊維発生型繊維を用いる。極細繊維発生型繊維をあらかじめ絡合した後に繊維の極細化を行うことによって、極細繊維が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発生型繊維としては、アルカリ水溶液に対する溶解性の異なる2種類以上の熱可塑性高分子成分を海成分・島成分とし、海成分をアルカリ水溶液を用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性高分子成分を繊維断面を放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、基体層の柔軟性の観点からも好ましい。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海・島の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式と、海・島の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点で高分子配列体方式による海島型複合繊維がより好ましい。
ここでいうアルカリ水溶液に対する溶解性の異なるとは、極細繊維を発現せしめる条件下で溶解速度が20倍以上、より好ましくは40倍以上異なることをいう。20倍未満であれば、極細繊維を発現せしめる際に溶解性の低い熱可塑性高分子成分の繊度を制御することが困難になるので好ましくない。
なお、アルカリ水溶液に対する溶解速度は、JIS K6911法(1995)の耐薬品性試験(試験液:水酸化ナトリウム10%)に準じて処理時間を1時間として得た重量比より算出できる。
アルカリ水溶液に対する溶解性の高い海島型複合繊維の海成分としては、アルカリ水溶液に対する溶解速度と紡糸安定性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルに5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を5〜12mol%共重合した共重合ポリエステルや、ポリ乳酸などを用いることができる。特に耐熱性、弱アルカリ水溶液への溶解性から、5−スルホイソフタル酸ナトリウムを5〜12mol%共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体やポリ乳酸を用いることが好ましい。また、これらの共重合体は2元のみならず、3元以上の多元共重合体であってもよい。
得られた極細繊維発生型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして不織布の原綿を得る。捲縮加工やカット加工は通常の方法を用いることができる。得られた原綿を、クロスラッパー等によりウエブとし、次いで繊維を絡合して不織布とする。
繊維を絡合させ不織布を得る方法としては、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチ等の通常の方法を用いることができる。
得られた前記不織布には繊維の緻密感向上のために、乾熱処理や熱水処理、湿熱処理によって収縮処理を施してもよい。
また、前記不織布は、自己乳化型ポリウレタン水分散液を付与する前に、不織布厚み方向に半裁(2枚に分割すること)、ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
自己乳化型ポリウレタン水分散液を前記不織布に付与するにあたっては、不織布に当該ポリウレタン水分散液を含浸、または付与し乾熱凝固する方法、不織布に当該ポリウレタン水分散液を含浸後、湿熱凝固して加熱乾燥する方法、熱水中で湿式凝固して加熱乾燥する方法、およびその組み合わせがあるが、特に限定することはない。
なお、乾燥温度は低すぎると乾燥時間が長時間となり、高すぎると自己乳化型ポリウレタンの熱劣化の原因となる可能性があることから、80℃以上180℃以下が好ましい。より好ましくは90℃以上160℃以下である。
基体層の製造に使用するポリウレタン水分散液は水中に分散してエマルジョンとしてあるポリウレタン水分散液であり、界面活性剤等の乳化剤を含有しない自己乳化型のポリウレタン水分散液である。
界面活性剤等の乳化剤を含有する強制乳化型のポリウレタン水分散液を用いた場合、得られた基体層の表面は乳化剤に起因するベトツキ等が発生するため、洗浄工程が必要となり、加工工程が増加してコストアップに繋がる。さらには、強制乳化型のポリウレタン水分散液では、乳化剤の存在により、皮膜化したポリウレタン膜の耐水性が低下するため、染色において、ポリウレタンの染色液への脱落が発生し、好ましくない。
自己乳化型ポリウレタン水分散液には、貯蔵安定性や製膜性向上のために水溶性有機溶剤を水分散液に対して0重量%以上40重量%以下含有していてもよいが、製膜時の加熱による大気中への有機溶剤の放出や最終製品への有機溶剤の残留等の懸念から、有機溶剤は0重量%以上1重量%以下含有していることが好ましい。
自己乳化型ポリウレタン水分散液は、自己乳化型ポリウレタン分子構造内に少なくとも1個のシラノール基を含有する自己乳化型ポリウレタン水分散液(以下、シラノール基含有自己乳化型ポリウレタンと記す)である。シラノール基を含有することで、製膜時にシラノール基同士が縮合してシロキサン結合による架橋構造を形成し、ポリウレタンの耐アルカリ加水分解性が飛躍的に向上する。
シラノール基含有自己乳化型ポリウレタン中のシラノール基は、反応に用いられた1分子内に少なくとも1個のイソシアネート基と反応可能な活性水素基と加水分解性ケイ素基とを含有する化合物中の加水分解性ケイ素基が水中で加水分解されて生成したものである。このシラノール基含有自己乳化型ポリウレタン中のシラノール基は、周囲に十分な水が存在するので、シラノール基同士が反応してシロキサン結合を形成する段階には到らず、水中で安定に存在する。
シラノール基含有自己乳化型ポリウレタン中に含まれるシラノール基は、シラノール基含有自己乳化型ポリウレタン分子の両端の少なくとも一方、または中間部分のいずれか、または両方に結合していてもよいが、架橋構造が製膜後の自己乳化型ポリウレタンの耐水性、物性等に影響を与えることから、シラノール基含有自己乳化型ポリウレタン分子の中間部分にシラノール基を含有することが好ましい。
自己乳化型ポリウレタン水分散液の濃度(自己乳化型ポリウレタン水分散液に対する自己乳化型ポリウレタンの含有量)は、自己乳化型ポリウレタン水分散液の貯蔵安定性の観点から、10重量%以上50重量%以下が好ましい。
また、自己乳化型ポリウレタン水分散液は感熱ゲル化温度を有することが好ましい。感熱ゲル化温度を有することで、シートに含浸し、乾燥する際のポリウレタンのマイグレーション現象を抑制することができる。ただ、感熱ゲル化温度は低すぎるとポリウレタン水分散液の貯蔵においてゲル化する可能性が高く、高すぎるとマイグレーション現象を抑制することができなくなることから、55℃以上90℃以下であることが好ましい。
自己乳化型ポリウレタン水分散液は、単独で感熱ゲル化性を有することが好ましいが、自己乳化型ポリウレタン水分散液に感熱ゲル化性を付与する、または感熱ゲル化温度を低下させる目的で、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の無機塩を添加してもよい。
また、自己乳化型ポリウレタン水分散液を付与するにあたっては、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、ポリウレタン凝固調整剤等を添加して用いることができる。
基体層は、極細繊維発生型繊維からなるシートに自己乳化型ポリウレタンを付与した後、アルカリ水溶液で処理することで極細繊維を発現せしめる。
アルカリ水溶液は、特に限定はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液、アンモニア塩等を用いることができる。
アルカリ水溶液の濃度は極細繊維が発現できれば特に限定はないが、0.05mol/L以上10mol/L以下が好ましい。
アルカリ水溶液での処理は、自己乳化型ポリウレタン付与後の極細繊維発生型繊維からなるシートを浸漬し、窄液を行うものであり、剥離型複合繊維の場合は、アルカリ水溶液処理と揉み作用等の物理力で分割し、海島型複合繊維の場合は、アルカリ水に溶解する海成分を溶出して極細繊維を発生させるものであることから、方法に特に限定はないが、例えば液流染色機や精錬装置等、さらにはそれらの組み合わせを用いての処理が挙げられる。
液流染色機を用いた処理での温度、時間はそれぞれ50℃以上140℃以下、5分以上90分以下であることが好ましい。
なお、極細繊維の発生を効率化する目的で、適宜加熱処理やスチーム処理、界面活性剤等の浸透剤を添加しての処理を行ってもよく、さらにはpH3以下の酸性水溶液による処理をあらかじめ行った後にアルカリ水溶液で処理してもよい。
前記の製造方法等により得られた基体層と銀面層を組み合わせることで、本発明の銀付調シート状物を得ることができる。
銀面層は、基体層上に直接樹脂をコーティングしてもよく、また離型紙等にコーティングした後に接着剤層を介して基体層にラミネート、または熱ラミネートしてもよい。
ラミネートの場合、離型紙上にトップコート層を形成した後に樹脂層、接着剤層の順に層を形成し、基体層と組み合わせてもよい。
銀面層の形成方法は、湿式造面方法、乾式造面方法および溶融造面方法等で代表される公知の形成方法であれば特に限定するものではない。
また、離型紙を用いない場合、エンボス加工により所望の型押しを行うことができる。
さらに、裏面側の外観や風合い柔軟化を目的として起毛処理しても良い。
本発明の銀付調シート状物は、染色されたものでもよい。染色は、基体層のみを染色後、銀面層と組み合わせてもよく、また、銀面層を基体層と組み合わせた後に染色してもよい。染色方法は、染色すると同時に揉み効果を与えて柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。液流染色機は、通常の液流染色機を使用することができる。
染色温度は高すぎると基体層の自己乳化型ポリウレタンや銀面層の樹脂が劣化する場合があり、逆に低すぎると繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により変更するのがよく、一般に80℃以上150℃以下が好ましく、110℃以上130℃以下がより好ましい。
染料は特に限定はなく不織布を構成する極細繊維にあわせて選択すればよいが、例えばポリエステル系極細繊維であれば分散染料、ポリアミド系極細繊維であれば酸性染料や含金染料といった染料、及びそれらを組み合わせた染料を用いることができる。
分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。
また、染色の均一性や再現性をアップする目的で染色時に染色助剤を使用することは好ましい。さらにシリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤等の仕上げ剤処理を施してもよく、仕上げ処理は染色後でも、染色と同浴でもよい。
本発明の銀付調シート状物は、家具、椅子、壁材や、自動車、電車、航空機などの車輛室内における座席、天井、内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴、婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、及びそれらの一部に使用した衣料用資材、研磨パッド等の工業用資材として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)平均単繊維繊度
不織布、または銀付調シート状物の基体層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して繊維の素材ポリマーの比重から繊度に換算し、さらに100本の平均値を計算することで算出した。
(2)繊度CV
不織布、または銀付調シート状物の基体層内部の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率2000倍で観察し、その写真から、束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維径を測定し、繊維径から各単繊維の繊度に換算して、繊維束を構成する繊維の繊度標準偏差を束内の平均単繊維繊度で割った値を百分率(%)で表した。5つの束状繊維について、同様の測定を行い、平均値を繊度CVとした。
(3)銀付調シート状物の構造
銀付調シート状物の基体層断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率300倍で観察し、その写真からポリウレタンと極細繊維の密着状態を判断した。
(4)シロキサン結合の確認とシリコン原子含有量
シート状物の基体層、または銀面層のランダムな3箇所以上からサンプリングしたポリウレタンについてそれぞれNMRによる測定を行い、少なくともいずれかの測定においてシロキサン結合に起因するピークを確認することにより、シロキサン結合の存在有無を確認した。また、ポリウレタンの元素分析を少なくとも5回以上行い、その平均値をシリコン原子の含有量とした。
(5)ポリウレタン水分散液の感熱ゲル化温度
試験管に固形分濃度10重量%のポリウレタン水分散液を10g入れ、95℃の恒温熱水浴中で昇温し、ポリウレタン水分散液が流動性を失ってゲル化・凝固するときの温度を感熱ゲル化温度とした。合計2回以上の測定を実施し平均値を感熱ゲル化温度とした。
(6)銀面層の剥離強力(N/cm)
JIS K 6854−2:1999に規定の測定方法に準じて測定した。剛性被着材として、ポリウレタン製クレープゴム板(長さ150mm、幅27mm、厚さ5mm)を使用し、また、たわみ性被着材として、縦方向、横方向それぞれに3枚ずつ切り出した、長さ250mm、幅25mmの銀付調シート状物を使用した。ポリウレタン系2液接着剤を用いて銀付調シート状物とゴム板とを接着力が十分に発揮されるように接着して試験片を作製した。試験片を50mm/分の速度で引き剥がしたときに要する応力と剥離長さとを測定し応力−剥離長さ曲線を求めた。得られた曲線から平均剥離力を求めた。縦方向、横方向それぞれについて得られた3個の平均剥離力を平均して算出した。
(7)外観品位
銀付調シート状物の表面品位は、銀付調シート状物を銀面層方向に曲げるように折込んだときに発生する折れシボを目視にて下記のように評価した。
5:牛革の天然銀付皮革と同等に緻密で細かい高級感のある折れシボを示す。
4:天然銀付皮革対比では若干劣るが、緻密で細かい折れシボを示す。
3:緻密ではないが細かい折れシボを示す。
2:大きな折れシボを示す。
1:座屈感のある大きな折れシボや大きく深いしわを示す。
(8)柔軟性(剛軟性)
JIS L1096−8.19.1(2005年度版)記載のA法(45°カンチレバー法)に基づき、2×15cmの試験片を5枚作成し45℃の斜面を有する水平台へ置き、試験片を滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したときのスケールを読み、5枚の平均値を求めた。
[化学物質の表記]
各実施例・比較例で用いた化学物質の略号の意味は以下の通りである。
3MPC:ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)ジオール
PTMG:ポリテトラメチレングリコール
PHC:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール
H12MDI:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
HDA:ヘキサメチレンジアミン。
[実施例1]
5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを海成分として45部、島成分としてポリエチレンテレフタレートが55部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が36島含まれる形態であり、平均繊度が2.8dtexの海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
この不織布を90℃の湯中で2分処理して収縮させ、100℃で5分乾燥した。次いで、固形分濃度25重量%の自己乳化型ポリウレタン水分散液Aを含浸し、乾燥温度120℃で10分熱風乾燥することで、不織布の島成分重量に対するポリウレタン重量が30重量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。
次に、このシートを90℃に加熱した濃度10g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い、海島型繊維の海成分を除去した脱海シートを得た。脱海シート表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、平均単繊維繊度は0.04dtex、繊度CVは7.4%であることを確認した。
そして、表面を180メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって平滑化することで、基体層となるシート(1)を得た。
一方、離型紙(AR−130SG:旭ロール社製商品名)に水系増粘剤によって増粘させた自己乳化型ポリウレタン水分散液F(固形分濃度30重量%)を、水分散液量で塗布量80g/mとなるように塗布・乾燥した後、接着層を塗布した。接着層が半乾燥、粘着性が残っている状態で、基体となるシート(1)の研削面に貼り合わせながら金属ロール間を通過させた。そして、40〜50℃の雰囲気中で2日間のエージングを行った後、離型紙を剥離した。
サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、本発明の銀付調シート状物を得た。
得られた銀付調シート状物は製造工程に有機溶剤を使用していない環境対応素材であり、良好な外観品位、風合いを示し、剥離強力も良好であった。
[実施例2]
ポリ乳酸を海成分として20部、島成分としてナイロン6が80部からなる割合で、1フィラメント中に島成分が16島含まれる形態であり、平均繊度が3.8dtexの海島型繊維のステープル(繊維長51mm)を用いて、カード、クロスラッパーを通してウェブを形成し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。
この不織布を90℃の湯中で2分処理して収縮させ、100℃で5分乾燥した。次いで、固形分濃度25重量%の自己乳化型ポリウレタン水分散液Aを含浸し、乾燥温度120℃で10分熱風乾燥することで、不織布重量に対するポリウレタン重量が20重量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。
次にこのシートを90℃に加熱した濃度40g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い、海島型繊維の海成分を除去した脱海シートを得た。脱海シート表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、平均単繊維繊度は0.2dtex、繊度CVは7.5%であることを確認した。
そして、表面を180メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって平滑化することで、基体層となるシート(2)を得た。
一方、離型紙(AR−130SG:旭ロール社製商品名)に水系増粘剤によって増粘させた自己乳化型ポリウレタン水分散液G(固形分濃度30重量%)を、水分散液量で塗布量80g/mとなるように塗布・乾燥した後、接着層を塗布した。接着層が半乾燥、粘着性が残っている状態で、基体となるシート(2)の研削面に貼り合わせながら金属ロール間を通過させた。そして、40〜50℃の雰囲気中で2日間のエージングを行った後、離型紙を剥離した。
サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、本発明の銀付調シート状物を得た。
得られた銀付調シート状物は製造工程に有機溶剤を使用していない環境対応素材であり、良好な外観品位、風合いを示し、剥離強力も良好であった。
[実施例3、参考例4、比較例1]
基体層のポリウレタン種と銀面層のポリウレタン種を表3の通り変更した以外は、実施例1と同様にして銀付調シート状物を得た。
実施例3、参考例4で得られた銀付調シート状物は、製造工程に有機溶剤を使用していない環境対応素材であり、実施例3は良好な外観品位、風合いを示し、剥離強力も良好であったが、比較例1で得られた銀付調シート状物は、製造工程に有機溶剤を使用していない環境対応素材であるが、銀面層に強制乳化型ポリウレタンを適用したことにより、界面活性剤に起因して剥離強力が低いものであった。
[比較例2]
直接紡糸法によって単繊維繊度0.1dtexのポリエチレンテレフタレート極細繊維を製造し、繊維長5mmに切断した短繊維を水中に分散せしめて懸濁液とした。この懸濁液を抄造し、目付50g/mの抄造シートを製造した。84dtex/72フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維からなる目付量50g/mの平織物の両面に上記抄造シートを積層し、ウォータージェットパンチによる高速水流の噴射により三次元的に交絡一体化させた。高速水流は孔径0.1mmの直進流噴射ノズルから3MPaの圧力で噴射した。
積層シートは下面に吸引装置を有する80メッシュの金網にのせ、ノズルから30mmの位置で高圧水流を衝突させた。積層シートの表裏両面からこの操作を行ない繊度CV8.2%の極細繊維不織布を製造した。
この不織布を90℃の湯中で2分処理して収縮させ、100℃で5分乾燥した。次いで、固形分濃度25重量%の強制乳化型ポリウレタン水分散液Eを含浸し、乾燥温度120℃で10分熱風乾燥することで、不織布重量に対するポリウレタン重量が20重量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。脱海シート表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、繊度CVは7.5%であることを確認した。
そして、表面を180メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって平滑化することで、基体層となるシート(6)を得た。
一方、離型紙(AR−130SG:旭ロール社製商品名)に水系増粘剤によって増粘させた強制乳化型ポリウレタン水分散液I(固形分濃度30重量%)を、水分散液量で塗布量80g/mとなるように塗布・乾燥した後、接着層を塗布した。接着層が半乾燥、粘着性が残っている状態で、基体となるシート(6)の研削面に貼り合わせながら金属ロール間を通過させた。そして、40〜50℃の雰囲気中で2日間のエージングを行った後、離型紙を剥離した。
サーキュラー染色機にて分散染料により染色を行い、銀付調シート状物を得た。
得られた銀付調シート状物は製造工程に有機溶剤を使用していない環境対応素材であるが、強制乳化型ポリウレタンに含有される界面活性剤の影響により、剥離強力は低く、また基体層のポリウレタンが直接繊維と接着していることにより、風合いは硬くなり、外観品位も悪いものであった。
Figure 0004983680
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Claims (3)

  1. 平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維からなる不織布に自己乳化型ポリウレタンを含有した基体層と、銀面層とからなる銀付調シート状物であって、不織布に含有される該自己乳化型ポリウレタンが分子構造内にシロキサン結合による架橋構造を有するポリウレタンであり、かつ該銀面層が分子構造内にシロキサン結合による架橋構造を有する自己乳化型ポリウレタンからなることを特徴とする銀付調シート状物。
  2. 前記基体層に含有される自己乳化型ポリウレタンと前記極細繊維の少なくとも一部が実質的に密着していないことを特徴とする請求項1記載の銀付調シート状物。
  3. 前記基体層に含有される自己乳化型ポリウレタンと、前記銀面層を構成する自己乳化型ポリウレタンの少なくとも一方が、ノニオン系内部乳化剤を有することを特徴とする請求項1または2に記載の銀付調シート状物。
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