JP4765628B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及び成形物 - Google Patents
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Description
1. ポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)に、ゲル分30重量%以上が均一分散したゴム(B)を混合し、動的架橋させて成る熱可塑性エラストマー組成物。
2. 前記ゴム(B)が、架橋性基を有する上記1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
3. 前記架橋性基が、架橋剤の存在下に該架橋剤と反応してゴム(B)を架橋させ得る官能基である上記2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
4. 前記架橋性基が、ハロゲン含有基、エポキシ基及びカルボキシル基から成る群から選ばれる少なくとも一種である上記2又は3記載の熱可塑性エラストマー組成物。
5. 前記ゴム(B)が、アクリルゴム、ニトリル共重合共役ジエンゴム及びポリエーテルゴムから成る群から選ばれる少なくとも一種である上記1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
6. 上記1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して成る成形物。
本発明に用いるゴム(B)は、ゴム弾性を有し、ポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)に混合、分散させることができるものであれば特に限定はない。
具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどの共役ジエンゴム;アクリルゴム;エピハロヒドリンゴム、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合ゴムなどのポリエーテルゴム;クロロプレンゴム;ブチルゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、共役ジエンゴム、アクリルゴム、ポリエーテルゴムが好ましく、耐熱性、耐油性等の観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのニトリル共重合共役ジエンゴム、アクリルゴム、ポリエーテルゴムが特に好ましい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリロニトリルが好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の、ニトリル共重合共役ジエンゴム中の含有量は、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは35〜60重量%である。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、炭素数2〜8のアルコキシアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルおよび(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸2−エトキシエチルおよびアクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。
共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、ブタジエン、クロロプレン、ピペリレンなどが挙げられる。非共役ジエン系単量体としては、1,2−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ノルボルナジエンなどが挙げられる。芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルが例示される。アミド基含有(メタ)アクリル単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。その他のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体を共重合する場合は、分子中に50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下で共重合するのが望ましい。
オキシラン単量体の種類も特に限定されないが、本発明に用いるポリエーテルゴムは、エチレンオキシド単量体単位を含有するものが好ましい。エチレンオキシド単量体単位の、ポリエーテルゴム中の含有量は、ポリエーテルゴムの全繰り返し単位中、好ましくは15〜70モル%、より好ましくは20〜65モル%、特に好ましくは25〜60モル%である。
さらにポリエーテルゴムは、エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体単位を含有するものが好ましい。エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体としては、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、エピクロルヒドリンなどが挙げられる。
ゲル分とは、ゴム(B)の架橋物のことであり、ゴム(B)をポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)に混合して架橋剤の存在下で、動的架橋させる前に、既に架橋している成分である。前記ゴム(B)中のゲル分は、既に架橋しており、そのゴムの良溶媒に不溶な成分であるため、その含有量は以下の方法により測定することができる。すなわち、ゴム(B)を所定量秤量し、ゴム(B)を該ゴムの良溶媒に溶解させて得られた溶液を金網等のフィルターで濾過し、フィルター上に捕捉された溶媒不溶解分を測定することにより測定される。
ゲル分がゴム(B)中に「均一に分散している」とは、ゴム(B)を粒子状でポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)に混合分散させる場合に、ゴム(B)の粒子の内部においても、表層部においても、ゲル分の含有量がほぼ同じであることを意味する。すなわち、ゲル分がゴム(B)粒子の表層部から内部に至るまで、ほぼ一定の濃度で存在することを意味する。したがって、ゲル分がゴム(B)粒子中に点在していても、表層部から内部に至るまでその含有量がほぼ同じであれば本発明の範囲に含まれ、一方、例えば、内部のコア部分のみにゲルが存在し、表層部はゲルが存在しないようなコア−シェル二層構造のようなものは本発明の範囲には含まれない。
この動的架橋用の架橋性基は、後に説明する架橋剤の存在下で、該架橋剤と反応してゴム(B)を架橋させ得る官能基であるのが好ましい。そのような架橋性基は、一般的に架橋剤と反応し得るものとして知られている官能基であればよく、また、用いる架橋剤の種類等によって適宜選択すればよい。このような架橋性基としては、ハロゲン含有基、エポキシ基及びカルボキシル基から成る群から選ばれる少なくとも一種であるのが特に好ましい。また、ゴム(B)にこれらの動的架橋用の架橋性基を導入するには、これらの架橋性基を有する単量体を、ゴム(B)の重合時に、重合に用いる前述の単量体に混合して公知の方法で重合すればよい。そのような架橋性基を有する単量体としては、以下のものが挙げられる。
エポキシ基含有単量体としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタアクリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などの有機酸;マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステルなどのブテンジオン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロアルキルエステル、フマル酸モノシクロアルキルエステルなどのブテンジオン酸モノシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
本発明に用いるポリアミド系重合体(A1)は、酸アミド結合(−CONH−)を有する重合体であれば限定はないが、本発明においては、ポリアミド樹脂として一般的に使用されているポリアミド重合体を用いるのが好ましい。
本発明に用いるポリエステル系重合体(A2)は、多価アルコールと多塩基酸との重縮合により得られ、エステル結合を有する重合体であれば限定はないが、本発明においては、例えば、アルキド樹脂、マレイン酸樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの一般的に知られているポリエステル樹脂を用いることができる。これらのポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸との重縮合により得られる不飽和二重結合を有するポリエステルと、ビニル化合物などとを反応させて得られる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコールなどが用いられる。多塩基酸としては、フタル酸、フマル酸、アジピン酸などが用いられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、多価アルコールとしてエチレングルコール、ブチレングリコールを、多塩基酸としてフタル酸を使用したポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましい。なお、これらのポリエステル重合体はポリエーテル重合体ブロックなどが共重合成分として含まれていてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上述したポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)に、ゴム(B)を混合して、動的架橋させることにより製造される。
動的架橋とは、前記ポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)にゴム(B)を混合し、このゴム(B)をポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)中に分散させながら、ゴム(B)を架橋剤の存在下に架橋させることをいう。このような動的架橋としては、具体的には、前記ポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)とゴム(B)とを、ブラベンダーやラボプラストミルなどのバッチ式混練機や、二軸押出機などの連続式混練機を用いて剪断を与えつつ混合しながら、ゴム(B)の動的架橋用の架橋性基を架橋させる方法が挙げられる。このように、ゴム(B)を混合分散させながら、ゴム(B)の動的架橋用の架橋性基を架橋させることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度及び、屈曲や定伸張に対する耐疲労性が改良される。
すなわち、動的架橋用の架橋性基がビニル基等の炭素−炭素不飽和結合を有する官能基である場合は、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤などが挙げられる。
動的架橋用の架橋性基が前記ハロゲン含有基である場合には、金属石鹸・硫黄系加硫剤、トリアジン系加硫剤などが挙げられる。
動的架橋用の架橋性基がエポキシ基である場合には、有機アンモニウム系架橋剤、多価酸系架橋剤などが挙げられる。
動的架橋用の架橋性基がカルボキシル基である場合には、多価アミン系架橋剤、ジイソシアナート系架橋剤などが挙げられる。
先ず、ゴム(B)を素練りしておく、次いで、ポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)を加熱溶融しつつ、前記素練りしたゴム(B)を、加熱溶融したポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)と混合し、分散させる。ゴム(B)がポリアミド系重合体(A1)又はポリエステル系重合体(A2)のマトリクス中に十分に微分散した時点で、前記架橋剤を添加しさらに混練する。
ゴム(B)中のゲル分含有量は、ゴム(B)を良溶媒に溶解させたときの溶媒不溶解分の割合を測定した。具体的には約0.2gのゴム(B)を秤量し、メチルエチルケトンに溶解させ、得られた溶液を金網等のフィルターで濾過する。フィルター中に捕捉された不溶解分の、溶媒除去後の重量を測定し、溶解させたゴム全重量に対する割合を計算した。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を250℃に予熱したプレス機により2mm厚のシートに成形し所定の形状に打ち抜いた試験片を作成する。この試験片を用いて、JIS K6251の引張試験に従って引張強度及び引張破断伸びを測定した。
前記(2)で引張強度及び引張破断伸びを測定した試験片と同一の試験片を、150℃の環境下に168時間静置して空気加熱老化を行い、この老化後の試験片を用いて、再度、前記方法で引張強度及び引張破断伸びを測定し、これら物性の加熱老化前後の変化量(引張強度変化:ΔTB、引張破断伸び変化:ΔEB)を測定した。これらの変化量が0に近いほど耐熱性に優れる。
JIS K6258に従い、前記(2)で作成した試験片を、150℃の環境下で70時間、IRM903試験油に浸漬させ体積変化率を測定した。体積変化率が小さいほど耐油性に優れる。
JIS K6262に従い、圧縮永久歪み測定用の試験片を作製し、20%の圧縮率で120℃、70時間の圧縮条件で圧縮永久歪みを測定した。圧縮永久歪みの値は、小さいほうが好ましい。
所定形状に打ち抜いた試験片を用い、該試験片を破断伸びの2分の1伸張させ、次いで0%伸張状態に戻す、という操作を300rpmで繰り返し、試験片が破断するまでの回数を測定することで一定の伸張の繰り返しに対する耐疲労性を評価した。破断までの回数が多いほど、耐疲労性に優れる。
カルボキシル基含有アクリルゴム(B1)の製造
まず、温度計、攪拌装置、窒素導入管及び減圧装置を備えた重合反応器に、イオン交換水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル47部、アクリル酸n−ブチル50部、エチレングリコールジメタアクリレート1部、及びフマル酸モノメチル2部を仕込み、減圧による脱気および窒素置換を繰り返して酸素を十分除去した。そして、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.002部およびクメンハイドロパーオキシド0.005部を加えて、20℃、常圧下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が95%以上に達するまで反応を継続した。得られたラテックスを塩化カルシウム水溶液で凝固させ、水洗乾燥してアクリルゴム(B1)を得た。アクリルゴム(B1)のゲル分の含有量は80%、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は45であった。また、得られたアクリルゴム(B1)は、粒子の表層部から内部に至るまで、架橋反応がほぼ均一に起こっており、ゲル分が、ほぼ一定の濃度で分散していることが確認できた。
東洋精機製ラボプラストミル(内容量600ml)を用い、230℃に予熱したミキサーに前記アクリルゴム(B1)40部を入れて1分間素練りし、次いで、前記ミキサーにポリアミド系重合体(A1:6−ナイロン 宇部興産(株)製 1013B、融点220℃、引張り破断強さ660MPa)60部を投入して5分間混合した。そして、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(架橋剤1)を投入してさらに7分間混合し、アクリルゴム(B1)を動的架橋させた。終了後、すみやかに混合物を取り出し、予熱していないプレス機でプレスすることによりシート状のサンプルを作成した。次いで、作成したサンプルを250℃に予熱したプレス機によりプレスすることにより、2mm厚のシートに成形して成形体を得た。そして、得られた成形体を前記方法により評価した。結果を表1に記載する。
エポキシ基含有アクリルゴム(B2)の製造
重合に用いる単量体混合物の組成を、アクリル酸エチル47部、アクリル酸n−ブチル50部、エチレングリコールジメタアクリレート1部及びグリシジルメタアクリレート2部に変更した以外はアクリルゴムB1と同様の操作で重合を行いアクリルゴム(B2)を得た。アクリルゴム(B2)のゲル分は75%、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は40であった。また、得られたアクリルゴム(B2)は、粒子の表層部から内部に至るまで、架橋反応がほぼ均一に起こっており、ゲル分が、ほぼ一定の濃度で分散していることが確認できた。
アクリルゴム(B1)をアクリルゴム(B2)に、ポリアミド系重合体(A1)をポリエステル系重合体(A2:ポリブチレンテレフタレート ポリプラスチック(株)製 DURANEX500FP、融点223℃、引張り破断強さ58MPa)に変更し、架橋剤を2−メチルイミダゾール(架橋剤2)に変更したこと以外は、実施例1と同様に混合分散及び動的架橋を行い、その後成形することにより、シート状の成形体を得た。そして、得られた成形体を実施例1と同様に評価した。結果を表1に記載する。
カルボキシル基含有水素化ニトリルゴム(B3)の製造
アクリロニトリル34部、ブタジエン67部、メタアクリル酸2部及びジビニルベンゼン1部から成る単量体混合物を用い、重合反応温度を10℃としたこと以外は、実施例1と同様の操作で乳化重合を行い、カルボキシル基含有アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)のラテックスを得た。得られたカルボキシル基含有NBRを、酢酸パラジウム触媒を用いて水素化し、水素化率95%のカルボキシル基含有水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム(B3;カルボキシル基含有HNBR)を得た。得られたゴム(B3)のゲル分は85%、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は80であった。また、得られたカルボキシル基含有HNBR(B3)は、粒子の表層部から内部に至るまで、架橋反応がほぼ均一に起こっており、ゲル分が、ほぼ一定の濃度で分散していることが確認できた。
アクリルゴム(B1)を前記カルボキシル基含有HNBR(B3)に変更した以外は、実施例1と同様に混合分散、動的架橋を行い、その後成形することにより、シート状の成形体を得た。そして、得られた成形体を実施例1と同様に評価した。結果を表1に記載する。
コア−シェルゴム(B4)の製造
先ず、アクリルゴムB1と同様の操作で、アクリル酸エチル49部、アクリル酸n−ブチル50部及びエチレングリコールジメタアクリレート1部から成る単量体混合物を乳化重合しアクリルゴムをコアとするラテックスを得た。次いで前記コアラテックス127.2部の存在下に、イオン交換水200部、アクリル酸エチル48部、アクリル酸n−ブチル50部及びフマル酸モノメチル2部を仕込み、次いで、減圧による脱気および窒素置換を繰り返して酸素を十分除去した後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.002部およびクメンハイドロパーオキシド0.005部を加えて常圧、20℃下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が95%以上に達するまで反応を継続し、アクリルゴムのコアの表面にアクリルゴムシェル層を有するコア−シェルゴム(B4)を得た。得られたコア−シェルゴム(B4)は、シェル層が未架橋状態でありコアのゲル分が60%であった。また、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は40であった。
アクリルゴムB2に代えて、前記コア−シェルゴムB4を用いたこと以外は、実施例2と同様に混合分散、動的架橋を行ない、その後成形することにより、シート状の成形体を得た。そして、得られた成形体を実施例1と同様に評価した。結果を表1に記載する。
アクリルゴムB1とポリアミド系重合体(A1)との混練を、架橋剤を使用せずに、ラボプラストミルにて230℃で10分行ったこと以外は、実施例1と同様に混合分散を行い、その後成形することにより、シート状の成形体を得た。そして、得られた成形体を実施例1と同様に評価した。結果を表1に記載する。
Claims (5)
- ポリアミド系重合体(A1)又は/及びポリエステル系重合体(A2)に、ゲル分30重量%以上が均一分散したゴム(B)を混合した後、架橋剤を加えて、動的架橋させて成り、
前記ゴム(B)が、架橋性基を有し、
前記架橋性基が、前記架橋剤の存在下に該架橋剤と反応してゴム(B)を架橋させ得る官能基である熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記架橋性基が、ハロゲン含有基、エポキシ基及びカルボキシル基から成る群から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記ゴム(B)が、アクリルゴム、ニトリル共重合共役ジエンゴム及びポリエーテルゴムから成る群から選ばれる少なくとも一種である請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記架橋剤の使用量は、ポリアミド系重合体(A1)、ポリエステル系重合体(A2)及びゴム(B)の合計100重量部に対して、0.1〜2.0重量部である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して成る成形物。
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