JP6908994B2 - 動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤ - Google Patents

動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP6908994B2
JP6908994B2 JP2016253103A JP2016253103A JP6908994B2 JP 6908994 B2 JP6908994 B2 JP 6908994B2 JP 2016253103 A JP2016253103 A JP 2016253103A JP 2016253103 A JP2016253103 A JP 2016253103A JP 6908994 B2 JP6908994 B2 JP 6908994B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
fatty acid
acid amide
crosslinked product
cross
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016253103A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018104572A (ja
Inventor
竜也 遠藤
竜也 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire Corp filed Critical Toyo Tire Corp
Priority to JP2016253103A priority Critical patent/JP6908994B2/ja
Publication of JP2018104572A publication Critical patent/JP2018104572A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6908994B2 publication Critical patent/JP6908994B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Description

本発明は、動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤに関するものである。
従来、例えば、空気入りタイヤのガスバリア層(即ち、インナーライナー)として、連続相である熱可塑性樹脂と分散相であるゴムとの動的架橋物からなる低空気透過性フィルムを用いる技術が知られている。
かかる動的架橋物は、架橋剤によるゴムの架橋が進行するに従い、粘度が上昇する。また、架橋ゴム分散相の微分散化が進行すると、樹脂と架橋ゴムの表面積が増えて、粘度がさらに上昇する。そのため、動的架橋物を用いてフィルムを成型する際には、通常の熱可塑性樹脂を用いたフィルム成型よりも大きな溶融粘度となり、フィルムの加工時に大きな負荷がかかる。
この負荷を低減させるために可塑剤を添加することが考えられる。可塑剤を添加する技術として、例えば、特許文献1には、加工性と低温特性を改良するために、ナイロン樹脂及びゴム成分ととともにスルホンアミド系の可塑剤を添加して動的架橋することが提案されている。しかしながら、可塑剤を添加すると、成型時の流動性を改善することはできるものの、空気透過性が大きくなり、低空気透過性フィルムとして使用することが難しくなる場合がある。また、一般に可塑剤は発煙(アウトガス)が多く、環境負荷の観点より必ずしも望ましいとはいえない。
一方、特許文献2には、フィルム成型時における押出負荷低減のために、高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩を添加することが開示されている。しかしながら、高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩は、外部潤滑性が悪く、フィルム成型性の改良には不十分である。
特許第4942253号公報 特開2011−231166号公報
本発明の実施形態は、低空気透過性を維持しつつ、溶融粘度を下げて加工性を改善することができる動的架橋物を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る動的架橋物は、連続相をなすナイロン樹脂と、前記連続相中に分散したゴムの架橋物と、脂肪酸アミド系滑剤と、を含むものである。
一実施形態に係る低空気透過性フィルムは、該動的架橋物からなるものである。また、一実施形態に係る空気入りタイヤは、該低空気透過性フィルムを備えたものである。
本発明の一実施形態に係る動的架橋物の製造方法は、ナイロン樹脂とゴムを架橋剤とともに混練して前記ゴムを動的に架橋し、架橋後に脂肪酸アミド系滑剤を添加し混合するものである。
本実施形態によれば、脂肪酸アミド系滑剤を用いることにより、低空気透過性を維持しつつ、動的架橋物の溶融粘度を低減することができ、例えばフィルム成型時の加工性を改善することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る動的架橋物は、連続相をなすナイロン樹脂と、該連続相中に分散したゴムの架橋物と、脂肪酸アミド系滑剤と、を含むものである。動的架橋物は、ナイロン樹脂とゴムを溶融混練してゴムを動的架橋させることにより得られるものであり、ナイロン樹脂を連続相(マトリックス相)とし、ゴムの架橋物を分散相(ドメイン相)とした海島構造を持つ。
ナイロン樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体などの脂肪族ポリアミド樹脂が挙げられる。これらはいずれか1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連続相を形成するナイロン樹脂には、本実施形態による効果を損なわない限り、可塑剤、軟化剤、充填剤、補強剤、加工助剤、安定剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて適宜配合してもよい。
分散相を形成するゴムとしては、一般に架橋(加硫)して使用される(即ち、架橋可能な)各種のゴムポリマーが用いられ、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、水素化スチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴム及びその水素添加ゴム; エチレンプロピレンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンブチレンゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)などのオレフィン系ゴム; ハロゲン化ブチルゴム(例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR))、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンなどの含ハロゲンゴム; その他、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリスルフィドゴムなどが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。一実施形態として、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、ニトリルゴム(NBR)及び水素化ニトリルゴム(H−NBR)から選択される少なくとも1種を用いてもよい。
分散相を形成するゴムには、上記ゴムポリマーを動的架橋するための架橋剤を配合してもよく、予めゴムと架橋剤を混合してマスターバッチ化しておいてもよい。架橋剤としては、硫黄や硫黄含有化合物等などの加硫剤、加硫促進剤の他、フェノール樹脂などが挙げられる。好ましくは、耐熱性等の点から、フェノール樹脂を用いることである。フェノール樹脂としては、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる樹脂が挙げられ、例えば、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、加硫速度を速くすることができる点から、臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などのハロゲン化フェノール樹脂を用いてもよい。架橋剤の配合量は、ゴムを適切に架橋できる量であれば、特に限定されないが、ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部でもよく、0.5〜5質量部でもよい。
分散相を形成するゴムには、例えば、充填剤や軟化剤、老化防止剤、加工助剤などの一般にゴム組成物に配合される各種添加剤を配合してもよい。
本実施形態に係る動的架橋物において、ナイロン樹脂とゴムとの配合比(添加剤を除いたポリマーとしての比率)は、特に限定されず、例えば、質量比(ナイロン樹脂/ゴム)で、90/10〜30/70でもよく、70/30〜40/60でもよく、60/40〜40/60でもよい。
本実施形態に係る動的架橋物には、脂肪酸アミド系滑剤が配合される。脂肪酸アミド系滑剤としては、各種の高級脂肪酸アミドを用いることができる。例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等のモノアミド類、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等のビスアミド類が挙げられる。
脂肪酸アミド系滑剤としては、また、アルキレンビスアミド構造を持つことから上記ビスアミド類に属するものとして、アルキレンジアミンと高級脂肪酸とジカルボン酸との重縮合物を用いてもよい。アルキレンジアミンとしてはエチレンジアミンやヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、高級脂肪酸としてはパルミチン酸やステアリン酸等の各種高級脂肪酸が挙げられ、ジカルボン酸としてはセバシン酸やアゼライン酸等が挙げられる。好ましい一実施形態に係る脂肪酸アミド系滑剤は、エチレンジアミンとステアリン酸とセバシン酸の重縮合物である。かかる重縮合物の具体例としては、共栄社化学(株)製の「ライトアマイドWH−215」、「ライトアマイドWH−255」等が挙げられる。
以上の脂肪酸アミド系滑剤は、いずれか1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。脂肪酸アミド系滑剤としては、エチレンビスステアリン酸アミドなどのアルキレンビス脂肪酸アミド、「ライトアマイドWH−215」、「ライトアマイドWH−255」などのアルキレンビスアミド構造を持つものが好ましく用いられる。
脂肪酸アミド系滑剤を構成する脂肪酸の炭素数は12以上であることが好ましく、より好ましくは12〜30であり、14〜28でもよい。なお、ここでいう炭素数は、ビスアミド類の場合、各脂肪酸の炭素数である。
脂肪酸アミド系滑剤の配合量は、特に限定するものではないが、ナイロン樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.6〜6質量部である。
脂肪酸アミド系滑剤は、連続相をなすナイロン樹脂中に含まれていることが好ましい。すなわち、脂肪酸アミド系滑剤は、分散相をなすゴム中ではなく、連続相をなすナイロン樹脂中に混在している。このように連続相をなすナイロン樹脂中に混在していることで、動的架橋物の溶融粘度を効果的に下げることができる。
動的架橋物には、ナイロン樹脂、ゴム、架橋剤及び脂肪酸アミド系滑剤とともに、相溶化剤を配合してもよい。相溶化剤は、ナイロン樹脂とゴムとの界面張力を低下させて、両者を相溶化させるものである。相溶化剤としては、特に限定されないが、一実施形態として、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(即ち、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、及び/又は、エチレン−グリシジルアクリレート共重合体)を用いてもよい。相溶化剤の配合量は、特に限定されず、ナイロン樹脂とゴム(添加剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して0.5〜20質量部でもよく、1〜10質量部でもよい。
本実施形態において、動的架橋物を製造するに際しては、ナイロン樹脂とゴム(即ち、未架橋ゴム)を架橋剤とともに溶融混練して、架橋剤によりゴムを動的に架橋(即ち、混練しながらゴムポリマーを架橋)させる。脂肪酸アミド系滑剤は、架橋前に添加しておいてもよいが、好ましくはゴムの架橋後に混練物に添加し混練することである。架橋後に添加することにより、脂肪酸アミド系滑剤は、架橋ゴム中には取り込まれにくいので、ナイロン樹脂中に効果的に含ませることができる。ここで、架橋後、即ち架橋が終わった段階にあるか否かは、混練物中のゴムのゲル化率により判断することができ、ゲル化率が70%以上、より好ましくは90%以上であれば、架橋後の段階にある。ゲル化率の測定方法は、以下の通りである。
混練物をアセトンで抽出を行い、その後、トルエン中に3日間浸漬させ、その後乾燥させる。トルエン浸漬前の質量から浸漬後の質量を差し引いた値を未架橋のゴム質量として(即ち、未架橋のゴム質量=浸漬前の質量−浸漬後の質量)、次式によりゲル化率を算出する。
・ゲル化率(%)={(混練物中のゴム質量−未架橋のゴム質量)/混練物中のゴム質量}×100
なお、ゲル化率の測定対象とする混練物は、例えば、二軸押出機を用いて混練する場合、滑剤を投入しようとする二軸開口部から採取すればよい。
脂肪酸アミド系滑剤以外の添加剤(相溶化剤及び架橋剤も含む)について、ナイロン樹脂及びゴムへの添加時期は、例えば、ナイロン樹脂とゴムとの混練前に予め添加混合しておいてもよく、混練中に添加してもよい。
一実施形態として、ゴムに架橋剤等を添加してゴム組成物(マスターバッチ)のペレットを作製し、該ペレットをナイロン樹脂及び相溶化剤とともに混練機に投入し、溶融混練して動的架橋し、架橋後に脂肪酸アミド系滑剤を添加し混練することにより動的架橋物のペレットを得てもよい。
混練に使用する混練機としては、特に限定されず、例えば、二軸押出機、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。混練温度は、ナイロン樹脂が溶融し、かつ架橋剤が架橋反応する温度以上であればよい。
このようにして得られた動的架橋物をフィルム化することにより、低空気透過性フィルムが得られる。すなわち、低空気透過性フィルムは、上記方法により得られた動的架橋物のペレットを用いて、フィルムを成形することにより製造することができる。動的架橋物のペレットをフィルム化する方法は特に限定されず、例えば押し出し成形やカレンダー成形など、通常の熱可塑性樹脂をフィルム化する方法を用いることができる。
低空気透過性フィルムの空気透過性は、特に限定されないが、80℃での空気透過係数が5×1013fm/Pa・s以下であることが好ましく、インナーライナーの薄肉化によるタイヤの軽量化を図ることができる。該空気透過係数は、0.1×1013〜4×1013fm/Pa・sでもよく、0.1×1013〜1.0×1013fm/Pa・sでもよい。ここで、空気透過係数は、JIS K7126−1「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて測定される値である。
低空気透過性フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、0.02〜1.0mmでもよく、0.05〜0.5mmでもよく、0.1〜0.3mmでもよい。
本実施形態に係る低空気透過性フィルムは、例えば、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどの重荷重用タイヤを含む各種の自動車用タイヤ、また自転車を含む二輪車用タイヤなど、各種の空気入りタイヤに適用することができる。好ましくは、空気入りタイヤのガスバリア層として用いることであり、タイヤ内面の全体にわたって設けられるインナーライナーとして用いることが好ましい。但し、ガスバリア層として用いる場合、タイヤ内面に設けるインナーライナーには限定されず、タイヤ内部からの空気の透過を防止してタイヤの空気圧を保持することができる態様、即ち内圧保持のための空気透過抑制層として設けられるものであれば、例えば、カーカスプライの外面側などの種々の位置に設けることができ、特に限定されない。
かかる空気入りタイヤの製造方法としても、特に限定されず、上記低空気透過性フィルムを用いて公知の方法によりグリーンタイヤを作製し、作製したグリーンタイヤをモールド内で加硫成型することにより、一実施形態に係る空気入りタイヤが得られる。
以下に、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
下記表1に示す配合(質量部)に従い、動的架橋物を作製した。詳細には、ゴムと架橋剤を、架橋しない条件で予め混合してゴムマスターバッチのペレットを作製し、得られたペレットとナイロン樹脂と相溶化剤を、温度230℃、回転数200rpmに設定した二軸押出機((株)プラスチック工学研究所製)に投入し、溶融混練して動的架橋物のペレットを作製した。その際、滑剤及び可塑剤は、二軸押出機の混練工程における残り1/3の位置(即ち、加熱シリンダの上流側から2/3の位置)において添加した。滑剤及び可塑剤の添加は、液体のものについては液体フィーダにより、粉体についてはサイドフィーダにより行った。
なお、上記混練工程の残り1/3の位置は、ゴムの架橋が終わっている段階である。このことは、比較例1の配合についてこの位置でのゲル化率を測定した結果、91.4%であったことから判明した。
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・ナイロン樹脂:東レ(株)製「CM6021XF」
・ゴム:BR、宇部興産(株)製「BR150L」
・架橋剤:アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製「タッキロール201」
・相溶化剤:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、住友化学(株)製「ボンドファーストBF−E」
・BM−4:可塑剤、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、大八化学工業(株)製「BM−4」
・TCP:可塑剤、トリクレジルホスフェート、大八化学工業(株)製「TCP」
・D620:可塑剤、アジピン酸系ポリエステル、(株)ジェイ・プラス製「D620」
・金属石鹸:滑剤、日油(株)製「カルシウムステアレート」
・WH−215:脂肪酸アミド系滑剤、共栄社化学(株)製「ライトアマイドWH−215」
・WH−255:脂肪酸アミド系滑剤、共栄社化学(株)製「ライトアマイドWH−255」。
得られた動的架橋物について溶融粘度を測定して加工性を評価した。また、該動的架橋物のペレットをフィルム成型用の単軸押出機にて厚み0.2mmのフィルムに成型し、成型時の回転数50rpmにおけるフィルム化電流値を読み取って加工性を評価した。また、得られたフィルムの空気透過係数を測定した。各評価方法は以下の通りである。
・溶融粘度:(株)安田精機製作所製のキャピラリーレオメーターを用いて、230℃、せん断速度800(1/s)での溶融粘度を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、溶融粘度が高く、加工性に劣ることを示す。
・フィルム化電流値:フィルム成型用の単軸押出機の温度を220℃とし、50rpmの際の電流値(機械負荷)を読み取り、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、電流値が高く、加工性に劣ることを示す。
・空気透過係数:JIS K7126−1「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて、空気透過係数を測定した。表1には、空気透過係数の値とともに、比較例1の値を100とした指数の値も示す。指数が大きいほど、空気透過性が高く、低空気透過性に劣ることを示す。
Figure 0006908994
表1に示すように、滑剤及び可塑剤を添加していない比較例1に対し、比較例2〜6では可塑剤を添加したことにより、溶融粘度が下がり、フィルム化する際の電流値も小さくなって、加工性については改善されていたが、空気透過係数が大きくなり、低空気透過性が悪化した。脂肪酸金属塩を添加した比較例7では、加工性の改善効果が不十分であった。これに対し、実施例1〜5であると、脂肪酸アミド系滑剤を添加したことにより、低空気透過性を維持するだけでなく、むしろ向上しながら、動的架橋物の溶融粘度が低減しており、また、フィルム化する際の電流値も小さく、加工性を改善することができた。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (7)

  1. 連続相をなすナイロン樹脂と、前記連続相中に分散したゴムの架橋物と、脂肪酸アミド系滑剤と、を含む動的架橋物。
  2. 前記脂肪酸アミド系滑剤を構成する脂肪酸の炭素数が12以上である請求項1に記載の動的架橋物。
  3. 前記脂肪酸アミド系滑剤を前記ナイロン樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部含む請求項1又は2に記載の動的架橋物。
  4. 前記脂肪酸アミド系滑剤が、連続相をなす前記ナイロン樹脂中に含まれている請求項1〜3のいずれか1項に記載の動的架橋物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の動的架橋物からなる低空気透過性フィルム。
  6. 請求項5に記載の低空気透過性フィルムを備える空気入りタイヤ。
  7. ナイロン樹脂とゴムを架橋剤とともに混練して前記ゴムを動的に架橋し、架橋後に脂肪酸アミド系滑剤を添加し混合する、動的架橋物の製造方法。
JP2016253103A 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤ Active JP6908994B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016253103A JP6908994B2 (ja) 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016253103A JP6908994B2 (ja) 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018104572A JP2018104572A (ja) 2018-07-05
JP6908994B2 true JP6908994B2 (ja) 2021-07-28

Family

ID=62785193

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016253103A Active JP6908994B2 (ja) 2016-12-27 2016-12-27 動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6908994B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001151981A (ja) * 1999-11-22 2001-06-05 Kuraray Co Ltd 動的架橋された重合体組成物
JP4118716B2 (ja) * 2003-03-12 2008-07-16 株式会社クラレ 熱可塑性エラストマー組成物およびその成形品
DE602004025128D1 (de) * 2003-09-29 2010-03-04 Zeon Corp Thermoplastische elastomerzusammensetzung und formkörper
JPWO2006098142A1 (ja) * 2005-03-15 2008-08-21 株式会社カネカ キャップライナー用組成物
JP5328358B2 (ja) * 2005-10-27 2013-10-30 エクソンモービル ケミカル パテンツ,インコーポレイティド 低透過性熱可塑性エラストマー組成物
JP2009079119A (ja) * 2007-09-26 2009-04-16 Kaneka Corp 樹脂組成物からなる成形体および改質剤
JP2010269588A (ja) * 2009-03-27 2010-12-02 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 空気透過抑制フィルムを備えたゴム製品及びその製造方法
JP6317601B2 (ja) * 2014-03-06 2018-04-25 株式会社カネカ 熱可塑性エラストマー組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018104572A (ja) 2018-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4004518B2 (ja) ゴム積層体を用いた空気入りタイヤ
JP5375700B2 (ja) 熱可塑性を示さないエラストマー組成物の製造方法
JP4821868B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP3159941B2 (ja) 低気体透過性熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
US10889709B2 (en) Thermoplastic resin composition, inner liner and pneumatic tire
JP2006315339A (ja) 熱可塑性エラストマーフィルム
JP5668876B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP5521363B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP5095093B2 (ja) ゴム組成物の製造方法およびそれにより得られるゴム組成物
JP4282131B2 (ja) タイヤ用熱可塑性エラストマー組成物
JP4543685B2 (ja) ホース層間ゴム用ゴム組成物およびホース
JP4156565B2 (ja) 自動車部品用熱可塑性樹脂組成物
JP6676366B2 (ja) 耐空気透過性フィルム及び空気入りタイヤの製造方法
JP6908994B2 (ja) 動的架橋物、低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤ
WO2018008630A1 (ja) ゴム組成物
JP4045905B2 (ja) 自動車用耐熱ホースおよびその製法
WO2016051874A1 (ja) 自動車用エアーホース
JP4954611B2 (ja) エピクロルヒドリンゴム組成物およびそれからなる成形体
KR102470778B1 (ko) 열가소성 폴리에스테르 엘라스토머 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 성형품
JP6837830B2 (ja) 動的架橋物の製造方法
JP2010215726A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP2008031350A (ja) 燃料系ホース用熱可塑性エラストマー体およびその製法
JP2008163067A (ja) ゴム組成物
JPH1016137A (ja) ゴム・熱可塑性エラストマー積層体
JPH1135754A (ja) ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210615

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6908994

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150